説明

水膨張性加硫用ゴム組成物および水膨張性加硫ゴム部材

【課題】水膨張性の経時安定性が向上し、圧縮永久歪性の改善された水膨張性ゴム組成物を提供する。
【解決手段】(A)エチレンオキサイド成分が70モル%〜95モル%、エピクロルヒドリン成分が5モル%〜30モル%、アリルグリシジルエーテル成分が0〜10モル%であるエピクロルヒドリン系重合体ゴムを10〜90重量部、(B)スチレンブタジエンゴム(SBR)を10〜90重量部、
からなるゴム成分100重量部に対して、
(C)酸化マグネシウムを0.1〜30重量部、(D)スルフェンアミド系化合物を0.1〜3重量部、(E)硫黄及び/または活性硫黄放出型有機加硫促進剤を0.01〜5重量部、(F)チオウレア系化合物を0.1〜5重量部、さらに必要により(G)吸水性物質を5〜200重量部含有する加硫用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水膨張性加硫用ゴム組成物およびその組成物を加硫してなる水膨張性加硫ゴム部材に関する。更に詳しくは(A)特定組成のエピクロルヒドリン系重合体ゴム、(B)スチレンブタジエンゴム(SBR)、(C)酸化マグネシウム、(D)スルフェンアミド系化合物、(E)硫黄及び/または活性硫黄放出型有機加硫促進剤、(F)チオウレア系化合物、さらに要すれば、(G)吸水性物質を含み、その加硫物は、ヒューム管、推進管等のゴム輪、U字溝等のパッキング材、構造物の止水板、コンクリート打継部の止水材、シールド工法におけるセグメント間のシール材等、土木・建築用における止水材として広く応用可能である。また、壁紙やコンテナ用の結露防止剤、農園芸用における土壌保水改良材等に広く応用可能である。
【背景技術】
【0002】
従来、水膨張性ゴムは、吸水性樹脂と母材であるゴムとを単に混合した後、ゴムのみを加硫してゴム構造中に高吸水性樹脂を封じ込めたものが一般に知られている(特開昭54−7463号公報、特開昭54−20066号公報、特開昭57−23618号公報等)。しかしながら、このようにして製造された水膨張性ゴムは、高吸水性樹脂の割合を増加していくと、膨張倍率はそれに従って大きくなるが、機械的強度が著しく低下するほか、高吸水性樹脂が水中へ流出して長期的な止水性能が減少する等の欠点を有している。
【0003】
この問題を解決するために、アルキレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体ゴムを疎水性ゴムとブレンドした水膨張性止水材が提案されている(特開2003-−113367号公報)。この水膨張性止水材は、アリルグリシジルエーテルを必須成分とした共重合体ゴムに限定されており、またその加硫物は硫黄加硫系により加硫されるものである。しかしながら、一般に、アルキレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体ゴムを硫黄加硫系により加硫した加硫物は、漏水の原因となる圧縮永久歪率が大きい傾向があり、また本提案ではその改良についても述べられていない。
【0004】
【特許文献1】特開昭54−7463号公報
【特許文献2】特開昭54−20066号公報
【特許文献3】特開昭57−23618号公報
【特許文献4】特開2003−113367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、水膨張性の経時安定性が向上し、圧縮永久歪性の改善された水膨張性ゴム組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は種々研究の結果、(A)エチレンオキサイド成分が70モル%〜95モル%、エピクロルヒドリン成分が5モル%〜30モル%、アリルグリシジルエーテル成分が0〜10モル%であるエピクロルヒドリン系重合体ゴムを10〜90重量部、(B)スチレンブタジエンゴム(SBR)を10〜90重量部、
からなるゴム成分100重量部に対して、
(C)酸化マグネシウムを0.1〜30重量部、(D)スルフェンアミド系化合物を0.1〜3重量部、(E)硫黄及び/または活性硫黄放出型有機加硫促進剤を0.01〜5重量部、(F)チオウレア系化合物を0.1〜5重量部、さらに必要により(G)吸水性物質を5〜200重量部含有する加硫用組成物が上述の目的を達成することを見出し、本発明を完成したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、長期間に亘って安定した水膨張性を維持し、良好なゴム弾性、優れた圧縮永久歪率を示すゴム組成物が得られる。その加硫物は、土木・建築用における止水材等として広く応用可能であり、また、産業用における結露防止剤、農園芸用における土壌保水改良材等に広く応用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の対象となるエピクロルヒドリン系重合体ゴム(A)は、エチレンオキサイド成分が70モル%〜95モル%、好ましくは80〜90モル%、エピクロルヒドリン成分が5モル%〜30モル%、、好ましくは10〜20モル%、アリルグリシジルエーテル成分が0〜10モル%、好ましくは0〜8モル%、更に好ましくは0〜6モル%含有してなるものが用いられる。エチレンオキサイド成分がこの範囲未満では目的とする水膨張性が急激に低下する。一方この範囲以上では、共重合体のゴム弾性が低下する。エピクロルヒドリン成分が上記範囲未満では共重合体ゴムのゴム弾性が失われると共に、機械的強度が低下する。また本発明におけるエピクロルヒドリン系重合体ゴムの加硫は、側鎖の塩素原子の反応性を利用しており、エピクロルヒドリン成分が上記範囲未満ではその加硫速度が低下する。アリルグリシジルエーテル成分は、加硫物の耐オゾン性の向上に有効である。
【0009】
上記共重合体ゴムの製造方法としては公知の重合法を採用できる。特に本出願人の米国特許第3,
773,694号明細書に記載の有機錫−リン酸エステル縮合物を重合触媒とする方法は、重合物が高収率で得られるので好ましい。即ち、上記触媒の存在下で脂肪族又は芳香族炭化水素を溶媒として重合温度10〜70℃で5〜15時間重合させることにより、重合収率90%以上で製品を得ることができる。これ等の共重合体ゴムの分子量範囲は100℃におけるムーニー粘度表示で30〜200のものが好ましく用いられる。
【0010】
本発明の対象となるスチレンブタジエンゴム(SBR)(B)の結合スチレン量は特に限定されないが、通常20〜50重量%のものが用いられる。
【0011】
本発明におけるエピクロルヒドリン系重合体ゴム(A)とスチレンブタジエンゴム(SBR)(B)との配合比率は、目的とする用途によって選択可能である。すなわち、配合比率の選択により、水膨張性と機械的強度の実用的なコントロールが可能である。例えば、水膨張性の向上を目的とするならば、エピクロルヒドリン系重合体ゴム(A)の割合を多くすればよく、膨張時の機械的強度の向上を目的とするならば、スチレンブタジエンゴム(SBR)(B)の割合を多くすればよい。
【0012】
加硫速度の調整、加硫物の熱安定性の見地から、本発明の対象となる酸化マグネシウム(C)が用いられる。また、本発明における酸化マグネシウムと共に、公知の受酸剤となる金属化合物を更に用いることもできる。公知の受酸剤としては、周期表第II族(2族および12族)金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、亜リン酸塩、周期表第IV族(4族および14族)金属の酸化物、塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜リン酸塩、塩基性亜硫酸塩、三塩基性硫酸塩等の金属化合物が挙げられる。
【0013】
受酸剤の具体的な例としては、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、生石灰、消石灰、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フタル酸カルシウム、亜リン酸カルシウム、亜鉛華、酸化錫、リサージ、鉛丹、鉛白、二塩基性フタル酸鉛、二塩基性炭酸鉛、ステアリン酸錫、塩基性亜リン酸鉛、塩基性亜リン酸錫、塩基性亜硫酸鉛、三塩基性硫酸鉛、および下記一般式(I)で示される合成ハイドロタルサイトおよび一般式(II)で示されるLi-Al系包接化合物が挙げられる。
Mgx Zny AlZ (OH)2(x+y)+3Z-2 CO3・wH2O (I)
(xとyは0〜10の実数、ただしx+y=1〜10、zは1〜5の実数、wは0〜10の実数を表す)
〔Al2 Li(OH)6n X・mH2O (II)
(式中Xは、無機または有機のアニオンであり、nはアニオンXの価数であり、mは3以下の数)
【0014】
上記酸化マグネシウム(C)の配合割合は、上記ゴム成分[(A)+(B)]100重量部に対して、0.1〜30重量部の範囲に設定することが必要であり、より好ましくは0.2〜20重量部、特に好ましくは0.3〜15重量部である。この範囲未満の配合量では架橋が不十分となり、一方この範囲を超えると実用的なゴム物性が得られないからである。
【0015】
本発明で用いられるスルフェンアミド系化合物(D)は、遅効性加硫促進剤として作用するものであり、特に限定されるものではないが、例えば、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジイゾプロピル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミドN-エチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシ_ジエチレン-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミドなどが挙げられる。なかでも、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミドが好適である。
【0016】
上記スルフェンアミド系化合物の配合割合は、上記ゴム成分[(A)+(B)]100重量部に対して、0.1〜3重量部の範囲に設定することが必要であり、より好ましくは0.2〜2重量部、特に好ましくは0.3〜1.5重量部である。上記(D)成分の配合割合が、この範囲未満であれば、加硫促進効果が不十分であり、特に圧縮永久歪の向上が認められず、逆に、この範囲を超えると実用的なゴム物性が得られないからである。
【0017】
本発明で用いられる硫黄および/または活性硫黄放出型有機加硫促進剤(E)成分において、活性硫黄放出型有機加硫促進剤としては、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド(TT)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TET)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(TRA)等のチウラム類、セレニウムジエチルジチオカルバメート(TTSE)、テルリウムジエチルジチオカルバメート(TTTE)等のジチオ酸塩類、2−(4′−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール(MDB)等のチアゾール類、4,4'-ジチオジモルフォリン、アルキルフェノール・ジサルファイド、有機多硫化重合体等があげられる。これらの(E)成分は単独であるいは2種以上併用して用いられる。
【0018】
上記硫黄および/または活性硫黄放出型有機加硫促進剤の配合割合は、上記ゴム成分[(A)+(B)]100重量部に対して、0.01〜5重量部の範囲に設定することが必要であり、より好ましくは0.03〜4重量部、特に好ましくは0.05〜3重量部である。すなわち、上記(E)成分の配合割合が、この範囲未満であれば、加硫促進効果が不十分であり、特に圧縮永久歪の向上が認められず、逆に、この範囲を超えると加硫物が剛直になりすぎてゴム加硫物として通常期待される物性が得られなくなる。
【0019】
本発明で用いられるチオウレア系化合物(F)成分は、特に限定されるものではないが、例えば、エチレンチオウレア系化合物、ジアルキルチオウレア系化合物、トリアルキルチオウレア系化合物等のチオウレア系化合物があげられる。なかでも、エチレンチオウレア(2−メルカプトイミダゾリン)、1,3−ジエチルチオウレア、1,3−ジブチルチオウレア、トリメチルチオウレア等が好適である。
【0020】
上記チオウレア系化合物の配合割合は、上記ゴム成分[(A)+(B)]100重量部に対して、0.1〜5重量部の範囲に設定することが必要であり、好ましくは0.15〜4重量部、より好ましくは0.2〜3.5重量部、特に好ましくは0.3〜4重量部である。すなわち、チオウレア系化合物の配合割合が、この範囲未満では架橋が不十分となり、一方、この範囲を超えると加硫物が剛直になりすぎてゴム加硫物として通常期待される物性が得られなくなる。
【0021】
エピクロルヒドリン系重合体ゴム(A)において、硫黄および/または活性硫黄放出型有機加硫促進剤(E)成分は加硫促進剤として作用し、チオウレア系化合物(F)成分は加硫剤として作用する。また、スチレンブタジエンゴム(SBR)(B)において、硫黄および/または活性硫黄放出型有機加硫促進剤(E)成分は加硫剤として作用している。
【0022】
上記(C)〜(F)成分を、さらに必要により(G)成分を適当量配合する事により、水膨張性の経時安定性が向上し、圧縮永久歪性の改善された水膨張性ゴム組成物が得られる。
【0023】
更に、本発明の対象となる吸水性物質(G)としては、公知の吸水性樹脂、例えば、アクリル酸塩系、マレイン酸塩系、ポリビニルアルコール系、ポリエーテル系、デンプン系、セルロース系が挙げられる。ただし、吸水性物質はこれらに限定されない。
【0024】
アクリル酸塩系としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、アクリル酸ナトリウム-ビニルアルコール共重合体、アクリル酸メチル-酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリアクリロニトリル系重合体ケン化物、ヒドキシエチルメタクリレートポリマー等が挙げられる。
【0025】
マレイン酸塩系としては、マレイン酸エステル-酢酸ビニル共重合体ケン化物、無水マレイン酸-イソブチレン共重合体、無水マレイン酸-α-オレフィン共重合体等が挙げられる。
【0026】
ポリビニルアルコール系としては、ポリビニルアルコール架橋重合体、ポリビニルアルコール-マレイン酸メチル共重合体、等が挙げられる。
【0027】
ポリエーテル系としては、エーテル型ポリウレタン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレングリコール-ジアクリレート架橋重合体等が挙げられる。
【0028】
デンプン系としては、デンプン-アクリロニトリルグラフト重合体加水分解物、デンプン-アクリル酸グラフト重合体、デンプン-スチレンスルホン酸グラフト重合体、デンプン-ビニルスルホン酸グラフト重合体、デンプン-アクリルアミドグラフト重合体が挙げられる。
【0029】
セルロース系としては、セルロース-アクリロニトリルグラフト重合体、セルロース-スチレンスルホン酸グラフト重合体、カルボキメチルセルロースの架橋体、ヒドロキシエチルセルロースt等が挙げられる。
【0030】
これらの吸水性物質は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。吸水性物質の量は、ゴム成分[(A)+(B)]100重量部に対して0〜200重量部、好ましくは5〜150重量部である。
【0031】
また本発明の組成物に、上記の他に当該技術分野で行われる各種の老化防止剤、充填剤、補強剤、可塑剤、加工助剤、顔料、難燃剤、発泡剤等を任意に配合できる。
【0032】
本発明の組成物の配合方法としては、従来ポリマー加工の分野において利用されている任意の手段、例えばミキシングロール、バンバリーミキサー、各種ニーダー類等を利用することができる。
【0033】
本発明の組成物は、通常100〜250℃に加熱することで加硫物とすることができる。加硫時間は温度によって異なるが、0.5〜300分の間で行われるのが普通である。加硫成型の方法としては、金型による圧縮成型、射出成型、スチーム缶、エアーバス、赤外線、あるいはマイクロウェーブによる加熱等任意の方法を用いることができる。
【0034】
この加硫用ゴム組成物を加硫成型してなる水膨張性加硫ゴムは、ヒューム管、推進管等のゴム輪、U字溝等のパッキング材、構造物の止水板、シールド工法におけるセグメント間のシール材、コンクリート打継部の止水等土木建築用の止水材として広く応用可能である。水膨張性ゴムからなる止水材は水に触れて膨張し、その高い膨張圧で止水するので優れた止水効果が得られる。その形状、構成、用法を例示すれば、例えばヒューム管用ゴム輪においては通常の非膨張性ゴムと水膨張性ゴムとの多層構造のゴム輪が、予めヒューム管接合部に装着され、接合されて後、止水効果を発揮する。またシールド工法のセグメント間のシール材に用いる際は、リボン状の止水材を予めセグメント組合せ部に貼りつけ、セグメントが組み込まれた後、止水材の水膨張によって止水される。その他、止水を必要とする箇所又は工事の特殊性に応じて、止水材の形状、寸法、構成、施工方法等は異なる。
【実施例】
【0035】
以下、本発明を実施例、比較例により具体的に説明する。但し、本発明はその要旨を逸脱しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0036】
実施例1〜3、比較例1〜4
表1に示す各配合組成で70℃に調整したオープンロールで混練り配合し、更に170℃×15分プレス加硫して、2mm厚の加硫シートを得た。
【0037】
<加硫物性>
・初期物性
引張試験はJIS K6251、硬さ試験はJIS K6253に記載の方法に準じて行った。
・水膨張性試験
JIS K 6258に記載の方法に準じ、それぞれの浸漬時間により体積変化を測定した。
・圧縮永久歪試験
得られた上記未加硫ゴムシートを試験片作製用金型を用いて170℃で20分プレス加硫し、直径約29mm、高さ約12.5mmの円柱状試験片を得た。得られた加硫物を用い、JIS K6262記載の方法に準じて試験を行った。(70℃で22時間)
【0038】
各試験方法より得られた実施例および比較例の試験結果を表2に示す。各表中、M100はJIS K6251の引張試験試験に定める100%伸び時の引張応力、TbはJIS K6251の引張試験試験に定める引張強さ、EbはJIS K6251の引張試験試験に定める伸び、HsはJIS K6253の硬さ試験に定める硬さをそれぞれ意味する。また、水膨張性試験における△Vは体積変化率を示す。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
各実施例と比較例との比較により明らかなように、実施例1〜3では、機械的強度と水膨張性とのバランスが向上している水膨張性ゴム組成物が得られている。また、優れた圧縮永久歪性を示している。
一方、比較例1〜3はいずれも圧縮永久歪率が大きい上に、比較例2は水膨張性が小さく、比較例3は、水膨張性が時間の経過とともに減少している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エチレンオキサイド成分が70モル%〜95モル%、エピクロルヒドリン成分が5モル%〜30モル%、アリルグリシジルエーテル成分が0〜10モル%であるエピクロルヒドリン系重合体ゴム10〜90重量部、(B)スチレンブタジエンゴム(SBR)10〜90重量部
からなるゴム成分100重量部に対して、
(C)酸化マグネシウムを0.1〜30重量部、(D)スルフェンアミド系化合物を0.1〜3重量部、(E)硫黄及び/または活性硫黄放出型有機加硫促進剤を0.01〜5重量部、(F)チオウレア系化合物を0.1〜5重量部含有することを特徴とする水膨張性加硫用ゴム組成物。
【請求項2】
さらに、ゴム成分100重量部に対して(G)吸水性物質を5〜200重量部含有することを特徴とする請求項1に記載の水膨張性加硫用ゴム組成物。
【請求項3】
吸水性物質(G)が、アクリル酸塩系、マレイン酸塩系、ポリビニルアルコール系、ポリエーテル系、デンプン系、セルロース系よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の水膨張性加硫用ゴム組成物。
【請求項4】
請求項1〜3に記載の加硫用ゴム組成物を加硫成型してなる水膨張性加硫ゴム部材。

【公開番号】特開2006−28337(P2006−28337A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−209124(P2004−209124)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000108993)ダイソー株式会社 (229)
【Fターム(参考)】