説明

水蒸気透過測定システム

【課題】湿度調節チャンバーと流量調節装置とリモート測定用セルを同一温度設定の恒温室内からなる、高温湿度測定システムを提供する
【解決手段】純水と加圧されたガスが湿度調節チャンバー2内で一緒になると、ガスは相対湿度100%RH平衡に達するという原理と加圧されたガスが同じ温度にあるリモート測定用セル4へ流量調節装置3を通じて大気圧まで開放減圧されるとフィルムセル調湿側11の相対湿度は減少する原理を利用して、その調湿された試験ガスを同一温度内にあるリモート測定用セル4のサンプルフィルム調湿側11へ供給することで、水蒸気透過ガスバリア測定装置10の仕様範囲を湿度設定35%RHから、90%RHの範囲内に設定する場合において、40℃を超える温度設定にできるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスバリア水蒸気透過測定装置における試験条件及び仕様範囲拡大するため、同一温度内に湿度調節チャンバーシステムと流量調節装置とリモート測定用セルを接続設置し、圧力比による相対湿度減少の原理を利用して、85℃85%RHといった高温湿度条件下でのガスバリア測定ができるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来は、ガスバリア水蒸気透過測定装置における試験条件及び仕様の範囲は、温度設定上限40℃であり設定温度85℃における設定湿度100%RH以外での試験条件でサンプル測定可能なモコン社水蒸気透過率測定装置システムはなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ガスバリア水蒸気透過測定装置において、試験条件が温度設定40℃以上でのガスバリア試験になると湿度条件は、サンプルフィルム調湿側に純水を含ませたスポンジを置き、リモートセルを恒温槽内にセットすることでの100%RHのみ設定となり、それ以外のさまざま湿度設定ができないという難点があった。本発明は、この課題を解消するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
圧力コントロール装置1、湿度調節チャンバー2、流量調節装置3、リモート測定用セル4を恒温室内5で接続配管6により接続装着し、そこに純水と加圧されたガスが一つの湿度調節チャンバー2で一緒になると、ガスは、相対湿度100%RH平衡に達するという原理と加圧されたガスが同じ温度にある減圧用流量調節装置3で大気圧相当に減圧されると測定用セル4相対湿度は減少し、減少する相対湿度は一次圧と二次圧の比となるという原理を利用し、85℃85%RHといった高温高湿度条件下で、サンプルフィルム調湿側100%RH以外での設定湿度におけるガスバリア水蒸気透過測定ができるようにした。
【発明の効果】
【0005】
同一温度内で水槽式湿度調節チャンバーと減圧用流量調節装置を用いることで高温下で測定用セル調湿側湿度条件を100%RH以外の湿度設定値をセットできる。よって、ガスバリア水蒸気透過測定装置における試験条件及び仕様の範囲拡大が可能になり、さまざまな試験における温度設定と湿度設定の組み合わせが可能になり、ガスバリア水蒸気透過測定試験装置における水蒸気透過試験機10の需要も増える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】 本発明の全体での使用状態を示す正面図である。
【図2】 本発明の湿度調節チャンバー2と流量調節装置3の相関を示す正面図である。
【図3】 本発明のリモート測定用セル4の使用状態を示す拡大図である。
【実施例】
【0007】
圧力コントロール装置1のプレッシャーバルブ7でガスボンベから供給した試験用ガスを設定湿度に対する一定圧力値に調整して、純水を貯めた湿度調節チャンバー2へ接続配管6を通じて送る。湿度調節チャンバー2から送られた加圧された100%RHガスは、同温度にある減圧用流量調節装置3の減圧弁8で開放減圧され設定湿度へと変換される。設定湿度へ変換された試験用ガスは、さらに流量調節装置3で低流量へ一定量に調節されてリモート測定用セル4のサンプルフィルム調湿側に安定供給される。サンプルフィルムの調湿側11からドライ側12へ透過した水蒸気は、リモート測定用セル4ドライ側ガス出口からセフティートラップ受水器9の設置してある接続配管6を通じて、水蒸気透過試験機10へ送られる。これらの装置や器具は、すべて同一温度内で処理されなければならないため、恒温室内5で常に一定の温度に保たれている。この一連の動作により、サンプルであるフィルムの水蒸気透過率を高温湿度条件で測定するシステムである。
【符号の説明】
【0008】
1 圧力コントロール装置
2 湿度調節チャンバー
3 流量調節装置
4 リモート測定用セル
5 恒温室内
6 接続配管
7 調圧用高精密プレッシャーバルブ
8 圧力開放減圧弁
9 セフティートラップ受水器
10 ガスバリア水蒸気透過試験機
11 フィルム セル 調湿側
12 フィルム セル ドライ側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力コントロール装置、湿度調節チャンバー、流量調節装置、リモート測定用セル、恒温槽、それらをつなぐ配管とからなる高温高湿度条件での試験装置システムであって、前記の圧力コントロール装置は、高精密プレッシャーバルブにより設定した圧力に変換し調節するもので、供給ガス圧力を一定に保ちつつ湿度調節チャンバーにその圧力が安定した試験用ガスを供給するものとなる。前記の湿度調節チャンバーは、純水とその加圧された試験用ガスを一緒にし、試験用ガスの相対湿度を100%RH平衡にするための密閉容器で、その加圧された100%RH試験用ガスを同じ温度下にある流量調節装置減圧用試験器とで構成され、チャンバー内で加圧されたガスが同一温度にある流量調節器で大気圧に減圧され、リモート測定用セル調湿側へ開放されるとリモート測定用セル調湿側内の試験用ガス相対湿度は、100%RHから幾分か減少され、その減少する相対湿度は、その圧力差の比率により調整でき圧力差が大きくなるほどその試験用ガスの相対湿度は上がるという原理を利用し、試験用ガスの調湿側湿度を一定に調整し、安定供給するためのものとなる。前記の流量調節装置は、安定した一定の湿度を保った試験用ガス流量を一定に安定、リモートセルに供給し調節する働きもあり、上記と同じ温度下で加圧された高流量ガスを低流量ガスに変換するものとなる。前記のリモート測定用セルは、上記と同じ温度下で試験用サンプルをセットし試験測定するためのセルであり、試験用サンプルのセッティング用器具である。上記の過程により安定した一定の温度、湿度、流量を保った試験用ガスを利用し、測定結果を試験機へ供給するためのものとなる。前記の恒温槽とは、上記のシステム装置を同一温度下でおこなうための器具となり、それらをつなぐ配管は、試験用ガスや測定結果の流れを得るために装置や器具を接続する役割と試験機の保護のためのセフティートラップを備えたものとなる。以上、この装置システムは、リモート測定用セルへ安定した一定の温度、湿度、流量の試験用ガスを純水と一次圧と二次圧の比を利用した調湿原理と同一温度下での器具、装置設置により、供給することとなることを特徴とする高温高湿度条件下での測定試験システム装置。
【請求項2】
前記の圧力コントロール装置による試験用窒素ガス供給の圧力値を17Kpaに変換し、前記の湿度調節チャンバーへ試験用窒素ガスを一定圧力で供給するものとなる。前記湿度調節チャンバー密閉容器はステンレス、アルミ、アクリル円筒容器に純水を貯めたガス出入口付き密閉水槽である。前記の流量調節計減圧用試験器とは、加圧された高圧ガスを大気圧まで減圧開放し、飽和槽の100%RH17Kpa加圧されたガスが加圧されていない状態、すなわち大気圧状態のリモート測定用セルへ開放することで相対湿度85%RHの試験用窒素ガスを前記のリモート測定用セル調湿側へ安定供給するためのものとなる。また前記の流量調節装置は、加圧による高流量な不安定流量の試験用窒素ガスを流量調節弁で絞り、20cc〜100cc/minの低流量で一定流量に変換調節するためのものとなる。前記のリモート測定用セルは、凹状のステンレス又はアルミ製の同サイズ容器を二つ上下に圧着し組み合わせることで、測定サンプルであるフィルムをその圧着部に挟み込むことにより密着固定する。凹状容器により圧着セッティングされたサンプルであるフィルムの片側の凹状部分に,0%RH試験キャリアガスを供給し、もう片側の凹状部分に上記により供給された,85%RHの試験用窒素ガスを供給する。85%RH側からドライ側にサンプルフィルムを通し透過した水分をガスバリア水蒸気透過測定用試験装置に送るのものとなる。前記の恒温槽とは、圧力コントロール装置、湿度調節チャンバー、流量調節装置やリモート測定用セル、配管の一部を同一温室内に収納でき、85℃の一定高温度を保つことのできるものとなり、配管は、試験用窒素ガスで腐食しない材質で大気中の水分を通さないもので伝導率のよい銅管やステンレス管で各装置や器具を接続し、測定中のサンプルフィルムへのストレスでの破壊によるガスバリア透過測定用試験機検知器に多量の水分が流出するのを防止するための受水器9となりセフティートラップを設けることを特徴とする請求項1記載の85℃85%RH条件下でのフィルムガスバリア水蒸気透過率測定試験装置システム。
【請求項3】
前記の湿度調節チャンバーは、純水と加圧されたガスが一つのステンレス又はアルミ製の容器の密閉水槽内一緒になると、ガスは相対湿度100%RH平衡に達するという原理と加圧されたガスが同じ温度にある減圧用流量調節装置で測定用セル内相当に値する大気圧相当に減圧されると測定用セル4相対湿度は100%RHから減少し、減少する相対湿度は一次圧と二次圧の比となるという原理を利用し、85℃85%RHといった高温高湿度条件下、設定温度40℃以上でサンプルフィルム調湿側100%RH以外での設定湿度におけるガスバリア水蒸気透過測定ができるようにした。大気圧相当のリモート測定用セル内へ流量調節装置を通じ開放減圧された試験用ガスの減少する相対湿度は、一次圧と二次圧の比となる。相対湿度を求める式は{大気圧÷(大気圧+加圧された圧力)}×100%RHである。その調湿された試験ガスを同一温度内にあるリモート測定用セルのサンプルフィルム調湿側へ供給することを特徴とする請求項2記載ガスバリア水蒸気透過率測定装置用85℃85%RH測定セルシステム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−15504(P2013−15504A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160325(P2011−160325)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(305002121)有限会社 ホーセンテクノ (4)
【Fターム(参考)】