説明

水質監視装置

【課題】被検水から亜硝酸を除去して亜硝酸以外の有害物質を監視する水質監視装置を提供する。
【解決手段】被検水に含まれる亜硝酸を酸化して硝酸とする硝化細菌が付着する担体Aを内部に有し、気体供給装置16から供給される気体によって、水源から送水される被検水の溶存酸素を飽和状態にする散気水槽15と、散気水槽15から、溶存酸素が飽和状態の被検水を微生物膜28に送水する被検水導入管19と、被検水導入管に、鉄液を導入する薬液導入管24とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水場や下水処理場等で取水した原水に混入する有害物質を、バイオセンサを用いて検知する水質監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浄水場では河川等の水源から取水した原水を沈殿ろ過槽等で浄水処理し、飲料水として配水している。このような通常の処理では除去できない有害物質、すなわち、各種の重金属や農薬および環境ホルモン等といった物質が河川水に混入した場合は、取水停止という非常事態に至る。
【0003】
一方、下水処理場では、突発事故や不注意により、工場あるいは化学プラントの排水に各種の重金属イオンや有機溶媒およびヒ素シアン等が混入することがあり、これらが流入すると、下水処理プロセスにおける活性汚泥微生物が大きな阻害を受け、その結果、活性汚泥の活性が低下して処理能力の回復までに多大の時間を必要とする。
【0004】
したがって、浄水場および下水処理場等において、上記各種の有害物質が混入したとき、これを迅速かつ感度良く検出する装置が望まれていた。
【0005】
この要望に応えて、浄水場では魚行動監視型の毒物検出装置、あるいは、各種の微生物膜を溶存酸素電極に取付けて、その呼吸活性の測定から毒物を検出する装置が設置され、また、下水処理場では、特定化学物質の混入した排水を検知する各種のセンサが、それぞれの取水口等に設置されている。
【0006】
これらのうち、浄水場に設置されている魚行動監視型の毒物検出装置は、魚類が毒物に反応するまでに時間がかかるため、その検出に長時間を要する。また、魚類の反応感度も飼育されている魚類の種類や個体差、および飼育の環境状態によってかなり異なり、さらに魚行動監視型の毒物検出装置は、その装置自体が大掛かりで、魚類の飼育や管理面において必要経費が大きい等の問題がある。
【0007】
そこで水質検査システムが開発されている。一例として、有害物質や雑菌等が繁殖し難い比較的低いpH値で作動させることができる鉄酸化細菌(鉄バクテリア)をプローブとして用いるバイオセンサ型の水質監視装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
図5に一例を示すバイオセンサ型の水質監視装置1では、検査すべき水源すなわち被検水源の被検水(例えば、河川の流入や、浄水場への流入水、下水処理場への流入水など)を中空糸膜フィルタ11でろ過し、供給ポンプ12により配管ヒータ13および導入管14を介して、散気水槽15に供給する。散気水槽15に送られた被検水には、気体供給器16から空気あるいは酸素濃度を一定に調整した気体が供給される。溶存酸素濃度が飽和状態となった被検水は、弁17を介し、被検水供給ポンプ18により被検水導入管19に送出される。なお、導入管14から散気水槽15に供給された被検水のうち、被検水導入管19に送水されない被検水は、排出管20を介して排出される。
【0009】
また、薬液供給ポンプ21により、鉄液パック22から弁23、薬液導入管24を介して硫酸第一鉄含有溶液が供給され、被検水導入管19で被検水と混合される。この混合液は、気体供給器16から供給される気体によって溶存酸素濃度が飽和状態とされた状態で被検水導入管19から測定槽25内に流入される。
【0010】
測定槽25は温度調整器26によって温度調整されている。これは、測定槽25には飽和溶存酸素濃度が飽和状態にされた被検水が供給されるが、飽和溶存酸素濃度は液温度により変化するため、測定槽25の温度を一定にして酸素電極27の出力の最大値を安定させるためである。測定槽25内には、酸素を利用して硫酸第一鉄を硫酸第二鉄に変えることができる鉄酸化細菌を保持する微生物膜28が取付けられた酸素電極27が設けられている。さらに、酸素電極27からの電気出力が取り出され、その電気出力を変換演算器29によって増幅・変換し、演算を施して被検水の異常水質を判別する。微生物膜28に保持される鉄酸化細菌は、例えば、Thiobacillusferrooxidansである。測定槽25を通った被検水は排出管30を介して排出される。
【0011】
この化学的挙動の化学反応式は、
4FeSO+0+2HSO→2Fe(SO+2H
のようになり、2Fe(SOは水中で電離し、Fe3+イオンが生成される。このFe3+イオンがさらに水(H0)と反応して、水酸化鉄Fe(OH)となり沈殿することになる。微生物膜28に保持される鉄酸化細菌としては、Thiobacillus ferrooxidans以外にも、上記化学反応式の働きを持つすべての微生物が適用可能である。例えば、Gallionella ferruginea、Leptospirillum ferrOoxidans、Leptothrix、Sphaerotilus等が適していることが確認されている。
【0012】
なお、鉄酸化細菌の活性、すなわち鉄の酸化量は、温度の影響によっても変化する可能性があるため、測定槽25は温度調整器26によって、鉄酸化細菌の活性が安定するような温度に維持されるのが望ましい。温度調整器26は、そういう意味で設けられているものである。
【0013】
図5に示すバイオセンサ型の水質監視装置1は、鉄酸化細菌をプローブとして取付けた酸素電極27に被検水と鉄液の混合液を被検水供給ポンプ18および薬液供給ポンプ21によって送液し、この送液時における酸素電極27からの電気出力を監視するものである。このとき、被検水中の水溶性の有害物質が混入した場合、その有害物質が微生物膜28上の鉄酸化細菌の呼吸活性を低下させる。その結果、鉄酸化細菌に消費されなかった酸素が微生物膜28を透過するため、酸素電極27に到達する酸素量が増加する。その結果、酸素電極27が出力する電流値が増加するので、これによって有害物質の混入を判断する。
【0014】
このような水質監視装置1は、連続運転されると、被検水中の汚濁物質が各配管の内壁に付着し堆積してくる。また、鉄液中の硫酸第一鉄の一部が硫酸第二鉄に酸化されて、これも徐々に堆積してくる。これらは、配管系の閉塞や、異常水質検出の感度低下につながり、検出精度を低下させる原因となる。そのため、図5に示す質監視装置1には、被検水と硫酸第一鉄含有溶液の混合液が送液される被検水導入管19に、酸性溶液パック31から弁32、薬液供給ポンプ21および薬液導入管24を介して酸性溶液を供給し、被検水導入管19や測定槽25などの被検水通流路に付着堆積している汚濁物質および酸化鉄を除去し、排出する「酸洗浄」を行なうことができるようにしている。
【特許文献1】特開2005−249664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述したバイオセンサ型の水質監視装置に使用する鉄酸化細菌は、被検水中に約0.6mg/L以上の亜硝酸が含まれていると、呼吸活性が阻害されて鉄液を消費することが困難となり、酸素電極に到達する酸素量が増加する。
【0016】
亜硝酸は、人や魚等に悪影響を及ぼす物質であるため、亜硝酸濃度が0.6mg/L以上になった場合には異常を検出し、処理することが望ましい。一方、汚染が進んだ河川や、肥料や家畜のふん尿や生活排水に含まれるアンモニアが多量に流れ込む河川では、アンモニアの酸性物である亜硝酸の平均濃度が高く、亜硝酸の濃度が常時0.6mg/L以上である河川もある。
【0017】
上述したように、河川には重金属等のように亜硝酸以外の有害物質も含まれている。一方、亜硝酸以外の物質を検出する場合に対象の河川の亜硝酸の濃度が常時0.6mg/L以上である場合、被検水から亜硝酸を除く必要がある。
【0018】
上記課題に鑑み、本発明は、被検水から亜硝酸を除去して亜硝酸以外の有害物質を監視する水質監視装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の特徴に係る水質監視装置は、鉄酸化細菌を保持する微生物膜を透過する酸素量を測定する溶存酸素電極と、内部に溶存酸素電極が配置されるとともに被検水が送水される測定槽とを有し、溶存酸素電極によって測定された酸素量に基づいて、被検水に含まれる有害物質の混入を監視する水質監視装置であって、被検水に含まれる亜硝酸を酸化して硝酸とする硝化細菌が付着する担体を内部に有し、気体供給装置から供給される気体によって、水源から送水される被検水の溶存酸素を飽和状態にする散気水槽と、散気水槽から、溶存酸素が飽和状態の被検水を測定槽に送水する被検水導入管と、被検水導入管に、鉄液を導入する薬液導入管とを備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、被検水から亜硝酸を除去して亜硝酸以外の有害物質を監視することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、図面を用いて、各実施形態に係る水処理システムについて説明する。以下の説明において、同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。また、図5を用いて上述した構成と同一の構成についても、同一の符号を付している。
【0022】
〈第1の実施形態〉
図1を用いて、第1の実施形態に係る水質監視装置1aについて説明する。図1に示すように、第1の実施形態に係る水質監視装置1aは、河川等の水源から取水した水を被検水としてろ過する中空糸膜フィルタ11と、ろ過された被検水を送水する供給ポンプ12と、被検水を加温する配管ヒータ13と、導入管14を介して供給された被検水を貯留する散気水槽15と、散気水槽15内の被検水に酸素を含む気体を送り込んで溶存酸素濃度を飽和させる気体供給器16と、溶存酸素濃度が飽和された被検水を弁17を介して被検水導入管19に送水する被検水供給ポンプ18を備えている。
【0023】
また、水質監視装置1aは、鉄液として硫酸第一鉄含有溶液を貯留する鉄液パック22と、鉄液パック22から硫酸第一鉄含有溶液を薬液導入管24に導く弁23と、洗浄液となる酸性溶液を貯留する酸性溶液パック31と、酸性溶液パック31から酸性溶液を取り込み、薬液導入管24に導く弁32と、薬液導入管24から硫黄第一鉄含有溶液または酸性溶液を被検水導入管19に送水する薬液供給ポンプ21を備えている。
【0024】
さらに、水質監視装置1aは、被検水供給ポンプ18によって被検水導入管19を介して被検水が送水され、薬液供給ポンプ21によって硫酸第一鉄含有溶液または酸性溶液が送水される測定槽25と、測定槽25の温度を一定に保持させる温度調整器26と、測定槽25内に配置され、被検水中の硫酸第一鉄を取り込み、硫酸第二鉄にする鉄酸化細菌を保持する微生物膜28と、測定槽25内に配置され、微生物膜28を透過した酸素の濃度に応じた電流を出力する酸素電極27と、酸素電極27から出力される電流を増幅した後、演算を行い被検水の水質が異常かどうかを判定する変換演算器29とを備えている。
【0025】
図1に示す水質監視装置1aの構成は、図5を用いて上述した従来の水質監視装置1の構成と同一であるが、水質監視装置1aに、散気水槽15に硝化細菌を保持する担体(硝化担体)Aを有している点で異なる。
【0026】
このとき、散気水槽15では、担体Aに保持される硝化細菌の働きによって、被検水中の亜硝酸は硝酸へ酸化される。すなわち、亜硝酸は、微生物膜28で保持される鉄酸化細菌に対して無害化される。硝化細菌の至適温度は約30℃であるが、水質監視装置1aでは、配管ヒータ13によって被検水を約30℃に加温しているため、約30℃の被検水に存在する硝化細菌の働きは活発化する。
【0027】
散気水槽15に投入時の担体Aに硝化細菌を予め付着させておかなくても、導入管14を介して被検水を送水すると、被検水に含まれている硝化細菌が担体Aに付着する。硝化細菌は、自然界に多数存在しており、被検水である河川水にも存在するため、担体Aに硝化細菌を保持させるような工程を行なわなくても、被検水の送水によって散気水槽15内では担体Aに自然に硝化細菌が付着して増殖する。また、配管ヒータ13によって至適温度に加温された被検水が送水されるため、担体Aでは、硝化細菌を半永久的に保持することができる。
【0028】
ここで、散気水槽15で有する担体Aの量は散気水槽15の容積や被検水に含まれる亜硝酸の濃度によって定められる。すなわち、被検水に含まれる亜硝酸の濃度が鉄酸化細菌に影響を与える濃度(約0.6mg/L)以下にすることのできる硝化細菌を保持できるように被検水に硝化細菌を保持する必要がある。例えば、亜硝酸の濃度が比較的低い(例えば、0.6mg/L)場合、散気水槽15内の担体Aの量も少なくても良いが、亜硝酸の濃度が高い場合(例えば、7mg/L)であるときには、担体Aの量を増やす必要がある。
【0029】
第1の実施形態に係る水質監視装置1aによれば、上述したように、散気水槽15に担体Aを投入し、担体Aが付着する硝化細菌によって被検水中の亜硝酸を硝酸に酸化させ、酸素電極27では亜硝酸が除去された被検水を用いて水質を測定するため、亜硝酸の濃度が0.6mg/L以上の被検水であっても、鉄酸化細菌による安定した異常水質の検出が可能となる。
【0030】
なお、河川水質に応じて投入される硝化細菌の量は決定されるが、その硝化細菌が亜硝酸を硝酸へ酸化できる濃度を越えて、亜硝酸の濃度が急激に上昇すると、硝化細菌で酸化することができず、測定槽に亜硝酸が到達して微生物膜28に保持される鉄酸化細菌の呼吸活動が低下するため、異常水質として検出される。このように、亜硝酸の濃度が河川で想定される濃度を超えるようなときは、異常水質として検出することが可能である。
【0031】
〈第2の実施形態〉
図2を用いて、第2の実施形態に係る水質監視装置1bについて説明する。図2に示すように、第2の実施形態に係る水質監視装置1bは、図1を用いて上述した第1の実施形態に係る水質監視装置1aと比較して、導入管14が一部で散気水槽15に被検水を送水する送水管14aと、排出管20に被検水を送水する送水管14bとに分岐している点で異なる。したがって、水質監視装置1bでは、供給ポンプ12によって送水される被検水の一部のみを散気水槽15に送水し、残りの被検水は排出管20から排出される。
【0032】
水質監視装置1bでは、被検水の水質を迅速に検査し、浄水場における取水の可否等を判断することが望まれるため、水質監視装置1bに取り込まれた被検水は散気水槽15まで迅速に送水する必要がある。また、散気水槽15内の被検水の有害物質の濃度が、水源の有害物質の濃度と同等になる時間(入れ替わり時間)を短縮する必要があるから、散気水槽15の容積を小さくする必要がある。また、散気水槽15内で有することができる担体Aの量は散気水槽15の容積に比例するから、散気水槽15の容積が小さい場合、使用することができる担体Aの量も少なくなり、亜硝酸の処理能力も制限される。つまり、亜硝酸処理能力と水質異常検出速度はトレードオフの関係にある。
【0033】
そのため、水質監視装置1bでは、取り込んだ被検水のうち、散気水槽15内で亜硝酸の酸化が可能な量の被検水のみを散気水槽15に供給し、残りの被検水は排出管20から排出する。
【0034】
ここで、例えば、導入管14が分岐したとき、散気水槽15に被検水を送水する送水管14aと排出管に被検水を送水する送水管14bとの径を調整することで、散気水槽15で処理可能な量の被検水のみを散気水槽15に供給することができる。または、送水管14a,14bにバルブを設け、散気水槽15に供給する被検水の量と排出管20を介して排出する被検水の量とを調整し、散気水槽15で処理可能な量の被検水のみを散気水槽15に供給することもできる。
【0035】
水質監視装置1bの監視対象の被検水の亜硝酸の濃度が高く、散気水槽15において亜硝酸を硝酸に酸化する処理時間が長い場合は、亜硝酸が処理しきれずに測定槽25に供給され亜硝酸に反応するので、第1の実施形態と比較して入れ替わり時間は遅くなるが、亜硝酸流入量を調整することができるため、図2に示す水質監視装置1bのように被検水の一部のみを送水する構成が有効になる。
【0036】
なお、排出管20から排出される被検水は加温する必要がない。したがって、配管ヒータ13は散気水槽15の前段に設けられていればよく、送水管14aに設けられ、散気水槽15に送水する被検水のみを加温するように構成してもよい。
【0037】
〈第3の実施形態〉
図3を用いて、第3の実施形態に係る水質監視装置1cについて説明する。図3に示すように、第3の実施形態に係る水質監視装置1cは、図1を用いて上述した第1の実施形態に係る水質監視装置1aと比較して、散気水槽15の前段にバッファタンク33と、導入管34と、供給ポンプ35とを備えている点で異なる。
【0038】
第3の実施形態に係る水質監視装置1cでは、供給ポンプ12によって送水される被検水が導入管14からバッファタンク33で貯水される。その後、バッファタンク33に貯水されている被検水の一部が供給ポンプ35によって導入管34を介して散気水槽15に送水される。
【0039】
水質監視装置1cでは、被検水の水質を迅速に検査し、浄水場における取水の可否等を判断することが望まれるため、水質監視装置1bに取り込まれた被検水は散気水槽15まで迅速に送水する必要がある。また、散気水槽15内の被検水の有害物質の濃度が、水源の有害物質の濃度と同等になる時間(入れ替わり時間)を短縮する必要があるから、散気水槽15の容積を小さくする必要がある。また、散気水槽15内で有することができる担体Aの量は散気水槽15の容積に比例するから、散気水槽15の容積が小さい場合、使用することができる担体Aの量も少なくなり、亜硝酸の処理能力も制限される。つまり、亜硝酸処理能力と水質異常検出速度はトレードオフの関係にある。
【0040】
第3の実施形態の水質監視装置1cでは、バッファタンク33から供給ポンプ35により一部の被検水を汲み取ることで、例えば被検水中の亜硝酸濃度の季節変動が激しい河川においては供給ポンプ35の流量を変更し亜硝酸の処理流量を変更して、亜硝酸処理能力と水質異常検出速度のトレードオフ関係を調整することができる。
【0041】
水質監視装置1cの監視対象の被検水の亜硝酸の濃度が高く、散気水槽15において亜硝酸を硝酸に酸化する処理時間が長い場合は、亜硝酸が処理しきれずに測定槽25に供給され亜硝酸に反応するので、第1の実施形態と比較して入れ替わり時間は遅くなるが、亜硝酸流入量を調整することができるため、図3に示す水質監視装置1cのように被検水の一部のみを送水する構成が有効になる。
【0042】
なお、水質監視装置1cの場合も排出管20から排出される被検水は加温する必要がない。したがって、配管ヒータ13は導入管34に設けられていれば良く、散気水槽15に送水する被検水のみを加温するように構成してもよい。
【0043】
〈第4の実施形態〉
図4を用いて、第4の実施形態に係る水質監視装置1dについて説明する。図4に示すように、第4の実施形態に係る水質監視装置1dは、図1を用いて上述した第1の実施形態に係る水質監視装置1aと比較して、導入管14が一部で散気水槽15に被検水を送水する送水管14cと、排出管20に被検水を送水する送水管14dとに分岐している点で異なる。したがって、水質監視装置1dでは、供給ポンプ12によって送水される被検水の一部のみを散気水槽15に送水し、残りの被検水は排出管20から排出される。
【0044】
また、水質監視装置1dは、供給ポンプ38と、供給ポンプ38によって散気水槽15から被検水が送水される流動床式硝化槽39とを備えている。この流動床式硝化槽39は散気水槽15と同様に、内部に硝化細菌を保持することができる担体Aを有しており、流動床式硝化槽39に送水された被検水に含まれている亜硝酸も硝化細菌によって硝酸に酸化される。この流動床式硝化槽39は、下方から被検水が流入され、内部で担体Aが流動して情報から処理水が散気水槽15に送水されるように形成されているため、担体Aと被検水との接触効率が向上される。したがって、流動床式硝化槽39に被検水を通水することで、被検水中の亜硝酸の酸化効率も向上する。
【0045】
第4の実施形態に係る水質監視装置1cによれば、上述したように、散気水槽15の他、担体Aと被検水との接触効率の高い流動床式硝化槽39でも亜硝酸の酸化が行なわれるため、亜硝酸濃度の高い被検水を検査する際には、流動床式硝化槽39を使用しない場合と比較して短時間で亜硝酸の濃度を低下することができる。
【0046】
なお、図4に示すように、散気水槽15と流動床式硝化槽39の間に弁40,41が設けられている場合、被検水の循環を調節することができる。例えば、亜硝酸濃度が比較的低い(0.6mg/L付近)場合、弁40,41を閉にして被処理水を流動床式硝化槽39に通水しないようにしてもよい。このように弁40,41を閉にして被処理水を通水しなければ、循環させる場合と比較し、供給ポンプ12から供給された処理水が測定槽25に送水されるまでの時間が短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】第1の実施形態に係る水質監視装置について説明する図である。
【図2】第2の実施形態に係る水質監視装置について説明する図である。
【図3】第3の実施形態に係る水質監視装置について説明する図である。
【図4】第4の実施形態に係る水質監視装置について説明する図である。
【図5】従来の水質監視装置について説明する図である。
【符号の説明】
【0048】
1,1a〜1d…水質監視装置
11…中空糸膜フィルタ
12…供給ポンプ
13…配管ヒータ
14…導入管
14a,14b…送水管
15…散気水槽
16…気体供給器
17…弁
18…被検水供給ポンプ
19…被検水導入管
20…排出管
21…薬液供給ポンプ
22…鉄液パック
23…弁
24…薬液導入管
25…測定槽
26…温度調整器
27…酸素電極
28…微生物膜
29…変換演算器
30…排出管
31…酸性溶液パック
32…弁
33…バッファタンク
34…導入管
35…供給ポンプ
38…供給ポンプ
39…流動床式硝化槽
40,41…弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄酸化細菌を保持する微生物膜を透過する酸素量を測定する溶存酸素電極と、内部に前記溶存酸素電極が配置されるとともに被検水が送水される測定槽とを有し、前記溶存酸素電極によって測定された酸素量に基づいて、被検水に含まれる有害物質の混入を監視する水質監視装置であって、
被検水に含まれる亜硝酸を酸化して硝酸とする硝化細菌が付着する担体を内部に有し、気体供給装置から供給される気体によって、水源から送水される被検水の溶存酸素を飽和状態にする散気水槽と、
前記散気水槽から、溶存酸素が飽和状態の被検水を前記測定槽に送水する被検水導入管と、
前記被検水導入管に、鉄液を導入する薬液導入管と、
を備えることを特徴とする水質監視装置。
【請求項2】
水源から取水した被検水の一部を前記散気水槽に送水する送水管と、
残りの被検水を排出する排出管と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の水質監視装置。
【請求項3】
水源から取水した被検水を一時貯水するバッファタンクと、
前記バッファタンクから被検水の一部を前記散気水槽に送水する送水管と、
前記バッファタンクから残りの被検水を排出する排出管と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の水質監視装置。
【請求項4】
硝化細菌が付着する担体を内部に有し、前記散気水槽から被検水が送水される送水管が下方に接続されるともに、前記散気水槽から供給されて内部で流動された被検水を前記散器水槽に送水する送水管が上方に接続される流動床式硝化槽を備えることを特徴とする請求項1に記載の水質監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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