説明

水路用コンクリート製インバート部材及び該部材を使用して既設水路を補修した既設水路の補修工法

【目的】本発明は、補修工事がきわめて困難な箇所に形成されている既設水路であり、しかも、きわめて不衛生になりがちとなる既設水路につき、補修が容易で、スムーズな流れを作ることができ、さらには勾配がある既設水路形成箇所において、逆の勾配側に流れを作ることができる水路用コンクリート製インバート部材及び該部材を使用して既設水路を補修した既設水路の補修工法の提供を目的とする。
【構成】断面略U字状に凹む高速流水路部と幅方向両端に向って上り勾配で傾斜する集水傾斜面とにより流水路部が形成され、長手方向一方側端部には接続膨出部を有し、長手方向他端部には接続凹み部を有し、長手方向両端部側の高速流水路部は、接続膨出部及び接続凹み部の幅より広幅に広げて形成された接続用高速流水路部と連通するよう構成され、接続用膨出部と接続用凹み部とを嵌め合わせ、左右方向へカーブして敷設可能とされたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば道路や住宅の脇に敷設されてなる既設水路の補修に使用される水路用コンクリート製インバート部材及び該部材を使用して既設水路を補修した既設水路の補修工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特開平10−140641号公報に記載されているように、いわゆる水路を形成する可変側溝については多くの特許出願がなされ、多くの特許も取得されている。
【0003】
しかしながら、例えば、都市部に存在する既設の家庭用排水などを流す既設水路の状況を考察すると、該既設水路は、U字溝で形成されていたり、単なる土留めにより形成されていたり、自然の谷川などで形成されていたりしている。
【0004】
これらの既設水路は、通常の家庭用排水を流すためのものであり、普段はほとんど水の流れを有しないのが現状である。従って、長い間、雨が降らない場合には、この既設水路に、ゴミや土砂が堆積し、悪臭が発生したり、雑草が繁殖したりしてきわめて不衛生になりがちである。
【0005】
ここで、近年では前記のような既設水路の補修が叫ばれているが、これら前記のような既設水路を改修、補修したくとも、当該既設水路は民家の隙間などをぬって形成されており、このため重機などが進入できず、補修工事がきわめて困難であったのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−140641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
かくして、本発明は前記従来からの課題を解決するために創案されたもので、民家の隙間などをぬって形成されており、このため重機などが進入できず、補修工事がきわめて困難な箇所に形成されている既設水路であり、しかも、通常の家庭用排水を流すためのもので、普段はほとんど水の流れを有しない、従って、長い間、雨が降らない場合には、ゴミや土砂が堆積し、悪臭が発生したり、雑草が繁殖したりしてきわめて不衛生になりがちとなる既設水路につき、補修が容易で、カーブする箇所でも簡単に補修ができ、少量の流れであってもスムーズな流れを作ることができ、さらには勾配がある既設水路形成箇所において、逆の勾配側に流れを作ることができる水路用コンクリート製インバート部材及び該部材を使用して既設水路を補修した既設水路の補修工法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かくして、本発明による水路用コンクリート製インバート部材及び該部材を使用して既設水路を補修した既設水路の補修工法は、
上面の幅方向略中央位置に断面略U字状に凹む高速流水路部を長手方向へ向かって設け、該高速流水路部の両端から幅方向両端に向っては、上り勾配で傾斜する集水傾斜面を各々設け、前記高速流水路部と集水傾斜面とにより流水路部が形成され、
長手方向一方側端部には、略半円状に張り出す接続膨出部を有し、長手方向他端部には、前記接続膨出部に嵌り合う略半円状の接続凹み部を有し、長手方向両端部側の前記高速流水路部は、前記接続膨出部及び接続凹み部の幅より広幅に広げて形成された接続用高速流水路部と連通するよう構成され、
前記接続用膨出部と前記接続用凹み部とを嵌め合わせ、左右方向へカーブして敷設可能とされた、
ことを特徴とし、
または、
上面の幅方向略中央位置に断面略U字状に凹む高速流水路部を長手方向へ向かって設け、該高速流水路部の両端から幅方向両端に向っては、上り勾配で傾斜する集水傾斜面を各々設け、前記高速流水路部と集水傾斜面とにより流水路部が形成され、
長手方向一方側端部には、略半円状に張り出す接続膨出部を有し、長手方向他端部には、前記接続膨出部に嵌り合う略半円状の接続凹み部を有し、長手方向両端部側の前記高速流水路部は、前記接続膨出部及び接続凹み部の幅より広幅に広げて形成された接続用高速流水路部と連通するよう構成され、
前記接続用膨出部と前記接続用凹み部とを嵌め合わせ、左右方向へカーブして敷設可能とされ、
長手方向一端側の厚みは、長手方向他端側より厚く構成されて、前記高速流水路部が勾配を有して形成され、
前記接続用膨出部と前記接続用凹み部とを嵌め合わせ、左右方向へカーブ可能に敷設できると共に、勾配を有する敷設箇所で、前記勾配と逆の勾配で前記流水路部を敷設可能とした、
ことを特徴とし、
または、
前記長手方向一端側の厚みが、長手方向他端側より厚く構成されて、前記高速流水路部が勾配を有して形成された水路用コンクリート製インバート部材につき、前記勾配の角度が異なるよう形成でき、前記勾配を有する敷設箇所にあって、最適な逆勾配で前記流水路部を敷設できる、
ことを特徴とし、
または、
構築物の隙間をぬって形成され、重機が搬入できない箇所でのU字溝、土留め、自然谷川による曲線部を備えた既設水路の補修工法であり、
前記既設水路の底面部に、人力で運搬可能な重量で、あらかじめ工場で製造された、上面の幅方向略中央位置に断面略U字状に凹む高速流水路部を長手方向へ向かって設け、該高速流水路部の両端から幅方向両端に向っては、上り勾配で傾斜する集水傾斜面を各々設け、前記高速流水路部と集水傾斜面とにより流水路部が形成され、長手方向一方側端部には、略半円状に張り出す接続膨出部を有し、長手方向他端部には、前記接続膨出部に嵌り合う略半円状の接続凹み部を有し、長手方向両端部側の前記高速流水路部は、前記接続膨出部及び接続凹み部の幅より広幅に広げて形成された接続用高速流水路部と連通するよう構成され、前記接続用膨出部と前記接続用凹み部とを嵌め合わせ、左右方向へカーブして敷設可能とされた、コンクリート製インバート部材を既設水路の前記曲線部で長手方向へ繋いで使用し敷設した、
ことを特徴とし、
または、
構築物の隙間をぬって形成され、重機が搬入できない箇所でのU字溝、土留め、自然谷川による曲線部を備えた既設水路の補修工法であり、
前記既設水路の底面部に、人力で運搬可能な重量で、あらかじめ工場で製造された、上面の幅方向略中央位置に断面略U字状に凹む高速流水路部を長手方向へ向かって設け、該高速流水路部の両端から幅方向両端に向っては、上り勾配で傾斜する集水傾斜面を各々設け、前記高速流水路部と集水傾斜面とにより流水路部が形成され、長手方向一方側端部には、略半円状に張り出す接続膨出部を有し、長手方向他端部には、前記接続膨出部に嵌り合う略半円状の接続凹み部を有し、長手方向両端部側の前記高速流水路部は、前記接続膨出部及び接続凹み部の幅より広幅に広げて形成された接続用高速流水路部と連通するよう構成され、前記接続用膨出部と前記接続用凹み部とを嵌め合わせ、左右方向へカーブして敷設可能とされ、長手方向一端側の厚みは、長手方向他端側より厚く構成されて、前記高速流水路部が勾配を有して形成され、前記接続用膨出部と前記接続用凹み部とを嵌め合わせ、左右方向へカーブ可能に敷設できると共に、勾配を有する敷設箇所で、前記勾配と逆の勾配で前記流水路部を敷設可能とした、コンクリート製インバート部材を、既設水路の前記曲線部で長手方向へ繋いで使用して敷設し、前記敷設箇所の勾配とは逆の勾配にして流水路部を形成した、
ことを特徴とし、
または、
前記長手方向一端側の厚みが、長手方向他端側より厚く構成されて、前記高速流水路部が勾配を有して形成された水路用コンクリート製インバート部材につき、前記高速流水路部の勾配角度を異ならせて複数種類形成でき、前記勾配を有する敷設箇所にあって、最適な逆勾配で前記流水路部を敷設できる、
ことを特徴とし、
または、
前記コンクリート製インバート部材の両脇に側壁を取り付け、コンクリート製側溝を形成して敷設し、既設水路を補修した、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明による水路用コンクリート製インバート部材及び該部材を使用して既設水路を補修した既設水路の補修工法であれば、
民家の隙間などをぬって形成され、このため重機などが進入できず、補修工事がきわめて困難な箇所に形成されている既設水路であって、しかも、通常の家庭用排水を流すためのもので、普段はほとんど水の流れを有しない、従って、長い間、雨が降らない場合には、ゴミや土砂が堆積し、悪臭が発生したり、雑草が繁殖したりしてきわめて不衛生になりがちとなる既設水路につき、その補修が容易で、カーブする箇所でも簡単に補修ができ、しかも少量の流れしか有しない場合であってもスムーズな流れを作ることができ、さらには勾配がある既設水路形成箇所において、逆の勾配側に流れを作ることができるとの優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による水路用コンクリート製インバート部材の敷設状態説明図(その1)である。
【図2】本発明による水路用コンクリート製インバート部材の敷設状態説明図(その2)である。
【図3】本発明による水路用コンクリート製インバート部材の敷設状態説明図(その3)である。
【図4】本発明による他の実施例の水路用コンクリート製インバート部材の構成説明図である。
【図5】本発明による他の実施例における水路用コンクリート製インバート部材の敷設状態説明図(その1)である。
【図6】本発明による他の実施例における水路用コンクリート製インバート部材の敷設状態説明図(その2)である。
【図7】本発明による他の実施例における水路用コンクリート製インバート部材の敷設状態説明図(その3)である。
【図8】本発明による他の実施例における水路用コンクリート製インバート部材の敷設状態説明図(その4)である。
【図9】本発明による他の実施例における水路用コンクリート製インバート部材の敷設状態説明図(その5)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明の実施例を図に基づいて説明する。
【実施例】
【0012】
図1は本発明による水路用コンクリート製インバート部材及び該部材を使用して既設水路を補修した既設水路の補修工法の概略構成を説明する説明図であり、図に示す谷川1による既設水路は民家など既設構築物13の隙間をぬって形成され、重機などが入り込めない箇所に設けられており、このような既設水路が本発明の対象となる。
【0013】
ここで、前記自然の谷川1に設けられた既設水路は、民家の隙間などをぬって形成される関係上、一般的には直線的に敷設することが比較的困難で、たとえば右方向や左方向に蛇行して形成されることが多々見受けられ、決して直線的水路として形成されているものではない。よってこのような谷川1に設けられた既設水路の補修においては、左右に蛇行していて、これに充分対応形成できる部材を使用して補修することが要請されるものとなる。
【0014】
ここで、符号2は、水路用コンクリート製インバート部材を示す。
該水路用コンクリート製インバート部材2の構成につき説明すると、その外形は略直方体状をなして形成されており、その上面の幅方向略中央位置には、断面略U字状に凹む高速流水路部3が長手方向へ向かって連続的に設けられている。
【0015】
そして、該高速流水路部3の両端から、前記水路用コンクリート製インバート部材2の上面幅方向両端に向っては、若干の上り勾配の角度で傾斜する集水傾斜面4,4が前記正面に形成されている。そして、前記幅方向略中央に設けられた高速流水路部3と集水傾斜面4,4とにより流水路部5が形成されるものとなる。
【0016】
次に、当該水路用コンクリート製インバート部材2の長手方向一方側端部には、略半円状に張り出す接続膨出部6が設けられている。また、その長手方向他端部には、前記説明した接続膨出部6に嵌り合う略半円状の接続凹み部7が設けられている。
【0017】
しかして、長手方向両端部に形成された接続膨出部6および接続凹み部7においては、水路用コンクリート製インバート部材2、2を接続したとき、その接続部において前記高速流水路部3とフレキシブルに連通するよう構成された接続用高速流水路部8が形成されるものとなる。
【0018】
その接続用高速流水路部8の形状は、図から理解されるように、水路用コンクリート製インバート部材2の長手方向両端部側に位置する高速流水路部3の幅方向両端から前記接続膨出部6および接続凹み部7の幅方向両端部側に向けて広幅に広げた状態、すなわち略扇状に広げた状態にして形成されている。
【0019】
そして、その深さは、連通する高速流水路部3の底部からの深さとほぼ同じ深さ(厚み)に形成され、もって接続膨出部6および接続凹み部7側の高速流水路部3は、幅方向略中央部に形成された直線状の高速流水路部3とスムーズに、段差なく繋げられ連通するものとなる。
【0020】
よって、一対の水路用コンクリート製インバート部材2の前記接続用膨出部6と前記接続用凹み部7とを嵌め合わせると、前述したように左右に向けてフレキシブルに、自由自在にカーブさせて水路用コンクリート製インバート部材2を繋げて敷設することが可能とされるのである(図1および図2参照)。
【0021】
そして、このような民家など既設構築物13の隙間をぬって設けられた自然の谷川1などで構成された既設水路の補修に際しては、重機の搬入がきわめて困難であり、もって人力で運搬できる程度の重量からなる補修部材、すなわち人力で運搬できる程度の重量からなる水路用コンクリート製インバート部材2が好ましいとされるのである。
【0022】
また、図に示す水路用コンクリート製インバート部材2はその両端部に接続膨出部6,接続凹み部7が設けられた部材であるが、たとえば直線部分が多く続く既設水路の補修においては、両端部に前記のような接続膨出部6や接続凹み部7が形成されていないタイプの水路用コンクリート製インバート部材2を使用することもできる。このような部材の方が直線部分の長く続く既設水路の補修に際してはコストが安価とすることができる。
【0023】
また、一方側にしか接続用膨出部6あるいは接続用凹み部7が形成されていないタイプの水路用コンクリート製インバート部材2を使用してもかまわないし、両端部に接続用膨出部6と接続用凹み部7とが形成された水路用コンクリート製インバート部材2を長さ方向中間位置から切断した長さの短いタイプ、あるいはそのような短いタイプの長さのものを型枠で形成し使用してもかまわないものである(図7および図8参照)。
【0024】
次に、図3に本発明の第2実施例を示す。
【0025】
本実施例では、たとえば自然の谷川1による既設水路において、側壁9、9を水路用コンクリート製インバート部材2の両脇に接続して取り付け、いわゆる現場において組立ててコンクリート製側溝10を形成して補修した場合を示すものである。
【0026】
しかして、当該側壁9の水路用コンクリート製インバート部材2への取り付け方法について本発明では何ら限定されないが、本実施例では水路用コンクリート製インバート部材2の幅方向両側の側端面にねじ穴11をあらかじめ設けておき、側壁9側に設けられた貫通穴12の外側から接続ねじ14を挿入し、水路用コンクリート製インバート部材2と両側壁9,9とを一体化することが考えられる。
【0027】
前記のように水路用コンクリート製インバート部材2の両脇に側壁9,9を取り付け、側溝10を形成することは、たとえば左右方向にカーブする箇所に敷設する場合においても施工することができる。この場合、カーブする外側の側壁9は比較的長い長さの側壁9を使用し、カーブする内側の側壁9には短い長さにカットした側壁9を使用するものとなる。
【0028】
次に、図4ないし図6に本発明の第3実施例を示す。
【0029】
この実施例では、水路用コンクリート製インバート部材2の長手方向一端側の厚みを、長手方向他端側より厚く構成し、前記高速流水路部3を有する流水路部5に所定の勾配を有するよう形成したものである。
【0030】
このようなタイプの水路用コンクリート製インバート部材2は、主に、敷設箇所が勾配を有する斜面であり、しかも水を流す方向につき、前記敷設箇所である斜面の勾配とは逆の勾配で流れるよう構成しなければならない場合に使用されるものである。
【0031】
図6から理解されるように、敷設箇所は矢印Aに示すように、図6に向かって右側から左側へ下り勾配の傾斜面となっている。しかしながら、各種の事情により排水方向は矢印Bで示すように図6に向かって左側から右側へ流れるように構成しなければならない場合がある。よって、そのような場合には、本実施例の水路用コンクリート製インバート部材2を使用し、図6に示すように敷設構成することになる。図6から理解されるように、この水路用コンクリート製インバート部材2は、長手方向一端側と他端側との厚みを異ならせて形成され、もってそれぞれ形状が異なるものとなっているが、その厚みの差の比率、言い換えれば形状の差異は現場敷設箇所の斜面勾配によってそれぞれ異ならせるものとなる。
【0032】
従って、本発明では所定の勾配を有する敷設箇所に最適な逆流勾配の流水路部5を構成すべく、前述したように複数種類の勾配を有した水路用コンクリート製インバート部材2を製造し、前記の要請に迅速に対応しているのである。
【0033】
ここで、このような勾配の異なる水路用コンクリート製インバート部材2の製造は比較的簡単に行える。すなわち、型枠部材において長手方向両端側の厚みを調整する調整部材をたとえば調整ねじを用い、これを進退させることにより調節部材を取り付け調整し、これにより勾配の異なる水路用コンクリート製インバート部材2の製造を行うがごときである。
【0034】
なお、図9では、ほぼ水平面をなす敷設箇所においても、流水路部5に所定の勾配を有するよう構成したものであるが、この場合も複数種類の厚みの異なり、勾配の異なる水路用コンクリート製インバート部材2を製造し、迅速に現場で対応できるものとしている。
【0035】
ところで、第1実施例から第3実施例において、本発明の水路用コンクリート製インバート部材2には、高速流水路部3を有する流水路部5が形成されている。ここで、この高速流水路部3を形成する意義につき述べると、通常流量の少ない場合には、この高速流水路部3内において泥水を含んだ雨水などが流れることになる。
【0036】
そして、たとえ、泥水を含んだ雨水などの流量が少なくとも、前記高速流水路部3での水深を深くすることができる。と共に、水深を深くした結果、高速流水路部3の中でその流速をはやめることができ、これにより、水路用コンクリート製インバート部材2の上面全体にわたって汚泥などの土砂が堆積しにくいという効果をもたらすことになる。
【0037】
さらにこの水路用コンクリート製インバート部材2の上面は幅方向両端部より略中央に向かって緩やかな下り傾斜面をなす集水傾斜面4,4として形成されているため、前記水路用コンクリート製インバート部材2上面に流れ込んだ雨水はこの下り傾斜面をなす集水傾斜面4,4上を通って略中央の高速流水路3に常に集水されることになる。
【符号の説明】
【0038】
1 谷川
2 水路用コンクリート製インバート部材
3 高速流水路部
4 集水傾斜面
5 流水路部
6 接続膨出部
7 接続凹み部
8 接続高速流水路部
9 側壁
10 側溝
11 ねじ穴
12 貫通穴
13 既設構築物
14 接続ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面の幅方向略中央位置に断面略U字状に凹む高速流水路部を長手方向へ向かって設け、該高速流水路部の両端から幅方向両端に向っては、上り勾配で傾斜する集水傾斜面を各々設け、前記高速流水路部と集水傾斜面とにより流水路部が形成され、
長手方向一方側端部には、略半円状に張り出す接続膨出部を有し、長手方向他端部には、前記接続膨出部に嵌り合う略半円状の接続凹み部を有し、長手方向両端部側の前記高速流水路部は、前記接続膨出部及び接続凹み部の幅より広幅に広げて形成された接続用高速流水路部と連通するよう構成され、
前記接続用膨出部と前記接続用凹み部とを嵌め合わせ、左右方向へカーブして敷設可能とされた、
ことを特徴とする水路用コンクリート製インバート部材。
【請求項2】
上面の幅方向略中央位置に断面略U字状に凹む高速流水路部を長手方向へ向かって設け、該高速流水路部の両端から幅方向両端に向っては、上り勾配で傾斜する集水傾斜面を各々設け、前記高速流水路部と集水傾斜面とにより流水路部が形成され、
長手方向一方側端部には、略半円状に張り出す接続膨出部を有し、長手方向他端部には、前記接続膨出部に嵌り合う略半円状の接続凹み部を有し、長手方向両端部側の前記高速流水路部は、前記接続膨出部及び接続凹み部の幅より広幅に広げて形成された接続用高速流水路部と連通するよう構成され、
前記接続用膨出部と前記接続用凹み部とを嵌め合わせ、左右方向へカーブして敷設可能とされ、
長手方向一端側の厚みは、長手方向他端側より厚く構成されて、前記高速流水路部が勾配を有して形成され、
前記接続用膨出部と前記接続用凹み部とを嵌め合わせ、左右方向へカーブ可能に敷設できると共に、勾配を有する敷設箇所で、前記勾配と逆の勾配で前記流水路部を敷設可能とした、
ことを特徴とする水路用コンクリート製インバート部材。
【請求項3】
前記長手方向一端側の厚みが、長手方向他端側より厚く構成されて、前記高速流水路部が勾配を有して形成された水路用コンクリート製インバート部材につき、前記勾配の角度が異なるよう形成でき、前記勾配を有する敷設箇所にあって、最適な逆勾配で前記流水路部を敷設できる、
ことを特徴とする請求項2記載の水路用コンクリート製インバート部材。
【請求項4】
構築物の隙間をぬって形成され、重機が搬入できない箇所でのU字溝、土留め、自然谷川による曲線部を備えた既設水路の補修工法であり、
前記既設水路の底面部に、人力で運搬可能な重量で、あらかじめ工場で製造された、上面の幅方向略中央位置に断面略U字状に凹む高速流水路部を長手方向へ向かって設け、該高速流水路部の両端から幅方向両端に向っては、上り勾配で傾斜する集水傾斜面を各々設け、前記高速流水路部と集水傾斜面とにより流水路部が形成され、長手方向一方側端部には、略半円状に張り出す接続膨出部を有し、長手方向他端部には、前記接続膨出部に嵌り合う略半円状の接続凹み部を有し、長手方向両端部側の前記高速流水路部は、前記接続膨出部及び接続凹み部の幅より広幅に広げて形成された接続用高速流水路部と連通するよう構成され、前記接続用膨出部と前記接続用凹み部とを嵌め合わせ、左右方向へカーブして敷設可能とされた、コンクリート製インバート部材を既設水路の前記曲線部で長手方向へ繋いで使用し敷設した、
ことを特徴とする既設水路の補修工法。
【請求項5】
構築物の隙間をぬって形成され、重機が搬入できない箇所でのU字溝、土留め、自然谷川による曲線部を備えた既設水路の補修工法であり、
前記既設水路の底面部に、人力で運搬可能な重量で、あらかじめ工場で製造された、上面の幅方向略中央位置に断面略U字状に凹む高速流水路部を長手方向へ向かって設け、該高速流水路部の両端から幅方向両端に向っては、上り勾配で傾斜する集水傾斜面を各々設け、前記高速流水路部と集水傾斜面とにより流水路部が形成され、長手方向一方側端部には、略半円状に張り出す接続膨出部を有し、長手方向他端部には、前記接続膨出部に嵌り合う略半円状の接続凹み部を有し、長手方向両端部側の前記高速流水路部は、前記接続膨出部及び接続凹み部の幅より広幅に広げて形成された接続用高速流水路部と連通するよう構成され、前記接続用膨出部と前記接続用凹み部とを嵌め合わせ、左右方向へカーブして敷設可能とされ、長手方向一端側の厚みは、長手方向他端側より厚く構成されて、前記高速流水路部が勾配を有して形成され、前記接続用膨出部と前記接続用凹み部とを嵌め合わせ、左右方向へカーブ可能に敷設できると共に、勾配を有する敷設箇所で、前記勾配と逆の勾配で前記流水路部を敷設可能とした、コンクリート製インバート部材を、既設水路の前記曲線部で長手方向へ繋いで使用して敷設し、前記敷設箇所の勾配とは逆の勾配にして流水路部を形成した、
ことを特徴とする既設水路の補修工法。
【請求項6】
前記長手方向一端側の厚みが、長手方向他端側より厚く構成されて、前記高速流水路部が勾配を有して形成された水路用コンクリート製インバート部材につき、前記高速流水路部の勾配角度を異ならせて複数種類形成でき、前記勾配を有する敷設箇所にあって、最適な逆勾配で前記流水路部を敷設できる、
ことを特徴とする請求項4記載の既設水路の補修工法。
【請求項7】
前記コンクリート製インバート部材の両脇に側壁を取り付け、コンクリート製側溝を形成して敷設し、既設水路を補修した、
ことを特徴とする請求項4、請求項5または請求項6記載の既設水路の補修工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−107379(P2012−107379A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254830(P2010−254830)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(592243313)フジプレコン株式会社 (10)
【Fターム(参考)】