説明

水道用等のメータユニット

【課題】個々の接続配管に対する位置調整は勿論、ユニット全体の位置調整を可能にすると共に、ユニット全体のコンパクト化を実現して、狭いパイプシャフト内を有効利用したユニットの配置、並びにパイプシャフト内での配管作業を容易に行い得る経済性にも優れた水道用等のメータユニットを提供する。
【解決手段】一次側及び二次側に配設したメータ保持部材4,5に支持機構8,9を夫々設け、この支持機構8,9に水道用等メータのメータ本体Mを着脱自在に設けて成るメータユニット1である。前記メータ保持部材4,5の下面にはボルト部材6を介してセットプレート7を配設する。このセットプレート7を中空部を有する長尺状のベース部材2に形成された長手方向に延びるガイド溝3内に移動自在に摺嵌して、前記メータ保持部材4,5の位置調整を行い得るようにした水道用等のメータユニットである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道等の使用量を計量するための水道用等メータと、この水道用等メータ前後に配置される止水栓や接続器具類をユニットとして提供可能なメータユニットに関し、例えば、集合住宅などの戸口付近に配設されたパイプシャフト内に設置するのに好適な水道用等のメータユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、集合住宅などの戸口付近には、パイプシャフトと呼ばれる収納スペースが設けられており、この収納スペース内に給排水管や水道使用量を計量するための水道用メータや、ガス用の配管、メータ、給湯器等、種々の配管や機器を設けている。この場合、居住空間を確保するため、パイプシャフト内のスペースは狭くなっていることから、水道用メータ等の接続作業は困難であり、最近ではメータユニットと呼ばれる水道用メータを配管、継手、止水栓等の部材とユニット化したユニットごと接続するようにしている。ところが、水道用メータ、止水栓、接続器具類などをユニット化するベース部品は、主として鋳造により一体成形されており、極めて重いために据付時の施工性には問題を有していた。しかも、水道用メータを装着させる一次側・二次側接続部の相互間の寸法は変更できないために、口径や面間寸法の異なる水道用メータを使用する場合、その都度、水道用メータ毎にベース部品を準備しなければならなかった。現在、開示されているメータユニットとしては、以下に示すものがある。
【0003】
例えば、実公平6−9083号公報(特許文献1)では、メータ両端の管体部と水道配管用管体とを相互に接続する筒体部を具備した一対のホルダーと、このホルダーとは別体で形成されたベース本体とから成り、前記ホルダーの筒体部には一対のホルダーを相対峙させた状態でベース本体の両端部に装着させる装着用手段を備えた支持用脚部が連設されており、ベース本体の両端部には段部を形成する軸部が設けられ、ホルダーの各支持用脚部にはベース本体の各軸部に嵌合可能で支持用脚部を前記段部に係止する孔部が穿設され、各軸部には嵌装された各ホルダーの支持用脚部を段部に係止させて締付固定させるためのナットの螺合用雄ネジ部を設けた流体機器の連結装着用ベースが開示されている。
【0004】
特開2002−131097号公報(特許文献2)では、取付基台の中央部に、両端を回動軸とした水道用メータが少なくとも半回動可能な凹陥スペースを設け、水道用メータを中軸レベルに支持する受けホルダーと締付けホルダーを、そのレベル位置にボルト締着するボス部を各ホルダー側面に形成し、ベース両側の端部は床面等への取付部として切欠部が一体物の鋳物により鋳造構成されている。各ホルダーは前記ボス部に加工された雌ネジに螺合されるボルトを介してベースと固定され、また、ベース体の床面への固定はベース両端に形成した切欠部へのボルト係止によって行われている。更に、特開平9−280919号公報(特許文献3)では、水道用メータは、着脱装置を用いて上流側及び下流側のバルブの間に着脱自在に取り付けられ、上流側及び下流側のバルブはそれぞれその底部から下方へ延びるボスを備え、該ボスに形成したタップにボルトを締結することによりベースに固定されている。
【特許文献1】実公平6−9083号公報
【特許文献2】特開2002−131097号公報
【特許文献3】特開平9−280919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、実公平6−9083号公報(特許文献1)では、ベース本体を変更するのみで異種サイズのメータの装着を行えるものの、流体機器毎に数種類のベース本体を準備しなければならず、前述した問題を解決するものではない。
【0006】
特開2002−131097号公報(特許文献2)では、メータユニットの位置調整は、取付け部の長さ範囲に限られるので微調整が困難である。また、ユニットはアンカーボルトなどを使用して、配管接続前に床面に直接固定されるため、一度固定してしまうと、接続される配管との位置調整はできなくなる。従って、配管による位置調整が不可欠となり、施工効率が低下する原因となっていた。更に、各戸毎の配管状態にバラツキが生じ、施工品質の低下のおそれもあった。更に、特開平9−280919号公報(特許文献3)はベース部品が板部材であるので軽量化が図られるものの、メータユニットの位置調整等、前述した問題を解決するものではない。
【0007】
ところで、1つのパイプシャフトから2戸への分岐給水を行う設備(2戸1型設備)では、2つのメータユニットを奥行きの浅いパイプシャフト内に直列に配置するが、各メータユニットを床面に固定するためのボルト締結スペースが必要であるので、ユニットの配置スペースは広く確保しなければならない。しかも、同一パイプシャフト内は、排水性のため適当な勾配を設けていることがあり、従来のユニットを床面に直接固定した場合、配管及びメータが傾いた状態での据付となり、施工品質の低下につながる。
【0008】
本発明は、上記の課題点に鑑み、鋭意研究の結果開発に至ったものであり、その目的とするところは、個々の接続配管に対する位置調整は勿論、ユニット全体の位置調整を可能にすると共に、ユニット全体のコンパクト化を実現して、狭いパイプシャフト内を有効利用したユニットの配置、並びにパイプシャフト内での配管作業を容易に行い得る経済性にも優れた水道用等のメータユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、一次側及び二次側に配設したメータ保持部材に支持機構を夫々設け、この支持機構に水道用メータ等のメータ本体を着脱自在に設けると共に、前記メータ保持部材を中空部を有する長尺状のベース部材に設けた水道用等のメータユニットである。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のメータユニットにおいて、前記メータ保持部材を前記ベース部材に移動自在に設けた水道用等のメータユニットである。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載のメータユニットにおいて、前記メータ保持部材の下面に締結部材を介してセットプレートを配設し、このセットプレートを中空部を有する長尺状のベース部材に形成された長手方向に延びるガイド溝内に移動自在に摺嵌させて、前記メータ保持部材の位置調整を行い得るようにした水道用等のメータユニットである。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記セットプレートには、メータ本体毎の面間に対応した複数の取付穴を設け、この取付穴に前記メータ保持部材に係合した締結部材を螺着し、一次側及び二次側に配設するメータ保持部材をセットプレート上に位置決めした状態で、前記ベース部材に配設するようにした水道用等のメータユニットである。
【0013】
請求項5に係る発明は、前記一次側のメータ保持部材に設けた支持機構にはエルボ等の配管部を介して止水栓等が接続され、且つ、前記二次側のメータ保持部材に設けた支持機構には逆止弁を設けて成る水道用等のメータユニットである。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5に記載のメータユニットにおいて、メータ本体の一次側及び二次側に配設するメータ保持部材を1組として、これを前記ベース部材上に2組対向させて設け、2台のメータ本体を直列状態に装着し得るようにした水道用等のメータユニットである。
【0015】
請求項7に係る発明は、請求項1乃至6に記載のメータユニットにおいて、少なくとも2つの当該ユニットの一次側に分岐用ヘッダを設けて、給水管からの流路を分岐させた水道用等のメータユニットである。
【0016】
請求項8に係る発明は、前記メータ保持部材に係合する締結部材として、六角孔付ボルトを用いた水道用等のメータユニットである。
【0017】
請求項9に係る発明は、前記ベース部材の底面に補正座金を配置し、その差し込み量によってベース部材の取付床面に対する傾きを補正し得るようにした水道用等のメータユニットである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明によると、ベース部材に中空部材を用いることで、材料費の低減と軽量化を実現することが可能となり、しかも、請求項2、3に係る発明によると、ベース部材が床面に固定された状態にあっても、個々の接続配管に対する位置調整は勿論、ユニット全体の位置調整を容易に行い得る水道用等のメータユニットの実現が可能となった。
【0019】
請求項4に係る発明によると、長さ(面間)の異なるメータ本体に対し、同一のベース部材を共用して用いることができるので、従来のように水道用メータ毎に数種類のベース部品を準備する必要はなく、同一部品での異面間対応が可能となった。しかも、一次側及び二次側に配設されるメータ保持部材の取付位置精度を確実に確保できる。
【0020】
請求項5に係る発明によると、配管構成部材を含んだ位置調整を容易に行うことができ、配管構成部材の一体化により、ユニット全体のコンパクト化を図ることが可能となる。
【0021】
請求項6に係る発明によると、メータユニットをパイプシャフトに固定する際、2戸1型とした場合であっても、ベース部材の両端2箇所をボルト止めするだけで床面への固定が行えるので、水平方向における作業スペースを大幅に削減することができ、加えてユニット全体のコンパクト化が可能となる。
【0022】
請求項7に係る発明によると、メータユニットの一次側を分岐用ヘッダで支持することができるので、ユニット全体の剛性を向上することができ、運搬・据付作業が容易となると共に、給水管への接続作業も容易に行うことができる。これにより、分岐用ヘッダを予め組立てた状態での出荷が可能となり、パイプシャフト内に設置後ユニットと給水配管を接続する作業は分岐管を組立て、夫々のユニットに接続する作業が不要となり、組立工数を大幅に削減することが可能となる。しかも、2つのユニットを分岐用ヘッダを用いて接続すれば、運搬時の保持部材としても機能し、現場でのハンドリング性を向上させるという効果を奏する。
【0023】
請求項8に係る発明によると、ボルト部材の上方からの工具操作により、メータ保持部材をベース部材に取り付けることができるので、水平方向における作業スペースを大幅に低減することができ、加えてユニット全体のコンパクト化が可能となる。
【0024】
請求項9に係る発明によると、排水性のために勾配を設けたパイプシャフト内であっても、補正座金の差し込み量を調整するのみで、配管及び水道用等メータの傾きを適正な状態に補正することができるので、施工品質を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明を実施する第1の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る水道用メータユニットの構造を示した断面図であり、図2は、図1に示した水道用メータユニットの平面図である。同図において、図中1は、1戸1型に対応した水道用メータユニットである。図中2は、長尺中空状のベース部材であり、図中3は、ベース部材2の上面に形成された長手方向に延びるガイド溝である。図中4は、ベース部材2の一次側に配置されるメータ保持部材であり、図中5は、二次側に配置されるメータ保持部材である。図中6は、これらメータ保持部材4,5に係合した締結部材、本例では六角孔付ボルト(以下、ボルト部材という)であり、図中7は、前記ボルト部材6を介してメータ保持部材4,5の下面に配設されたセットプレートである。図中8,9は、メータ保持部材4,5に装着され、水道用メータMの端部と水道用配管部とを相互に接続させる一次側支持機構、並びに二次側支持機構である。図中10は、ベース部材2を床面に固定するアンカーボルトである。また、図中11は、ユニオンナットであり、このユニオンナット11を介して減圧弁12や止水栓13等が一次側に接続される。
【0026】
図3は、本発明に係るベース部材の一部切欠き斜視図であり、図4は、このベース部材の底面図である。本例のベース部材2には、ステンレス鋼製の防錆に優れた市販のC型部材が採用され、従来に比してより軽量化が図られると共に、防錆処理を行う必要がないので、更なる製造コストの削減を可能にしている。このC型部材は、矩形枠の一部を切り欠いて、この部位をガイド溝3とした中空断面形状であり、ガイド溝3を有する面にメータ保持部材4,5を固定することにより、部分的に矩形枠が形成されることで、ねじれにも耐えられる強度を有するベース部材2を得ることができる。また、ガイド溝3の溝縁部位を内方に折り曲げて断面積を多く確保すれば、極めて強度の高いベース部材2とすることもできる。
【0027】
図示するように、ベース部材2の底面には長手方向に沿って複数の長穴2aが形成されており、このうち、端部切り欠き形状の長穴2a,2aに上方からアンカーボルト10,10を係合するので、床面にアンカーボルト10を仮固定した上で、ベース部材2をアンカーボルト10に係止でき、ベース部材2の位置調整・設置を容易にしている。また、長穴2aの遊び量に対応したベース部材2の位置調整が可能であり、接続配管に対する適正位置にて、再度固定を行うことができる。勿論、本例で示すベース部材2の形状等は一例であって、これに限定するものではない。
【0028】
図1に示すように、一次側に配置されるメータ保持部材4には一次側筒状部4aが形成されており、水道用メータMの一次側端部M1と水道用配管部とを相互に接続させる、後述する一次側支持機構8が装着されている。本例で示す一次側のメータ保持部材4は、一次側に垂直状に管路を形成し得る構造としているが、左右の横方向に管路を形成し得る構造、或は直管配管に対応し得る構造から成るものでもよい。一方、二次側に配置されるメータ保持部材5には二次側筒状部5aが形成されており、水道用メータMの二次側端部M2と水道用配管部とを相互に接続させる、後述する二次側支持機構9が装着されている。また、メータ保持部材4,5の両側部にリブ4b,5bを設けて、水道用メータMの取付時並びに配管による曲げ力に必要十分な強度を確保している。メータ保持部材4,5の基部4c,5cには、長手方向に沿って2本のボルト部材6,6が夫々係合されており、メータ保持部材4,5の下面にはこのボルト部材6と螺合したセットプレート7が配設されている。
【0029】
なお、図5は、メータ保持部材の他例を示した側面図であり、同図に示すように、メータ保持部材5(4)の両側に垂下部5d,5dを設けて、ベース部材2の外側面を嵌め込み可能とする。これにより、板厚が薄いベース部材2に対しても、水道用メータMの取付時並びに配管による曲げ力に対しても変形を生じさせることなく、メータ保持部材4,5の取り付けを行うことができる。
【0030】
図6は、セットプレートの一例を示した平面図である。同図に示すように、前記セットプレート7は長尺状の板部材から成り、このセットプレート7には、水道用メータ毎の面間に対応した複数の取付穴が形成されている。このうち、所望の取付穴に一次側及び二次側のメータ保持部材4,5に係合したボルト部材6を螺着して、これらメータ保持部材4,5を位置決めした状態でベース部材2に取り付けている。同図において、左側の取付穴7a,7aにメータ保持部材4(5)のボルト部材6,6を螺合させ、且つ、同図において、右側の取付穴7b,7bにメータ保持部材5(4)のボルト部材6,6を螺合させた場合には、面間の狭い水道用メータMに対応した構成と成る。一方、同図において、左側の取付穴7c,7cにメータ保持部材4(5)のボルト部材6,6を螺合させ、且つ、同図において、右側の取付穴7b,7bにメータ保持部材5(4)のボルト部材6,6を螺合させた場合には、面間の広い水道用メータMに対応した構成と成る。これにより、例えば、呼び径13mmである水道用メータのように、ショートタイプとロングタイプと呼ばれる面間の異なるものに対しても、1つのセットプレート7を共用して用いることができる。
【0031】
ここで、本実施形態の一例として示す一次側支持機構8の構造について説明すると、一次側筒状部4aに内挿され、水道用メータMの一次側端部M1を支受けする円孤状の受け面14を突設したスライド部材15と、このスライド部材15を進退させる回転部材16等から成り、前記受け面14の最下部には、スライド部材15の進退方向へ延びる案内溝14aを有し、この案内溝14aに基部4c上面に突設した円柱状部17を係合させることで、回転部材16の回転に伴ってスライド部材15が回転するのを防止しつつ、スライド部材15を進退方向へ案内するように構成されている。
【0032】
前記回転部材16の内周には、一次側筒状部4aの外周に形成した雄ネジ部4eと螺合する雌ネジ部16aを形成している。回転部材16が進出する際には、段部面16bが前記スライド部材15の環状フランジ部15a背面を押圧する。回転部材16のメータ側端部内周には、スライド部材15の環状フランジ部15aを係止するための止め輪18を嵌着しており、回転部材16の回転後退に伴って、スライド部材15も一緒に後退させるよう構成されている。また、回転部材16の外周面は、回転部材16を手動操作するためのフィン状の把持部16cを放射状に設けている。
【0033】
本実施形態の一例として示す二次側支持機構9の構造について説明すると、二次側筒状部5aのメータ側外周に螺着され、水道用メータMの二次側端部M2を支受けする円弧状の受け面19を突設したナット部材20と、このナット部材20の螺着により二次側筒状部5aの内部に収容保持される逆止弁21等から構成されており、前記逆止弁21の弁体21aはスプリング22により一次側の環状弁座21bに付勢されて弁閉状態となる構造を有している。このように、メータユニット1の二次側支持機構9に逆止弁21を取付しているので、水道用メータMの一次側の圧力が負圧となった場合でも、二次側の水が逆流するのを防ぐよう機能する。なお、本例では挟持固定式を採用して説明したが、その他、ネジ固定式などの支持機構を具備するものでもよい。
【0034】
次に、本発明を実施する第2の形態を図面に基づいて説明する。なお、同一部材には同一符合を付して、その説明を省略する。図7は、本発明における水道用メータユニットを示した全体概要図である。同図に示す水道用メータユニット1は、1つのパイプシャフトから2戸への分岐給水を行い得る構造を有し、本例で示すベース部材30は、前述した第1の形態におけるベース部材2より長い、断面略C字状を呈した長尺部材であり、このベース部材30には、2組のメータ保持部材4,5が取り付けられている。同図に示すように、2台の水道用メータM,Mは直列状態に敷設され、一次側のメータ保持部材4,4に延設された垂直状のエルボ配管部を介して、減圧弁12,12や止水栓13,13等を順次接続し、前記止水栓13,13の上流側管端に分岐用ヘッダ31を設けて、フレキ管32(或は、ワンタッチ継手など)を介した給水立管33からの管路を形成して成る。勿論、配管の構成は本例に限定されるものではなく、実施に応じて任意である。
【0035】
同図に示すように、両ユニット間の距離L1は、両ユニット間の離間スペースに配置される減圧弁12,12や止水栓13,13の干渉を防いだ最小限の長さとしており、セットプレート7を用いて両ユニットを正確に位置決めすることができ、狭いパイプシャフト内においても、ユニット全体の設置が効率的に行われ、しかも、2つのユニットを正確に位置決めできるので、ユニットの一次側端部に接続される分岐用ヘッダ31の位置合わせ配管作業も容易となる。
【0036】
次に、水道用メータユニットの組立手順について説明する。メータ保持部材4,5を対向させてセットプレート7にセットし、このセットプレート7にメータ保持部材4,5に係合したボルト部材6を締め付けて仮止め状態とする。これにより、メータ保持部材4,5は、セットプレート7により正確な位置決めが成された状態となる。この仮止めされた状態にあるセットプレート7をベース部材2の内側に嵌め入れるようにして、ベース部材2の開口端面から挿入すれば、セットプレート7は、ベース部材2に形成された長手方向に延びるガイド溝3内にスライド自在に摺嵌された状態となる。所望位置にてボルト部材6を締め付けると、メータ保持部材4,5の下面とセットプレート7の上面とで、ガイド溝3の溝縁部位3aが挟持されて本固定が成される。なお、ベース部材2の内壁面に凹凸状の滑り止めを形成すれば、固定されたセットプレート7をより強固に位置保持することができる。
【0037】
一方、位置調整が必要な場合には、このボルト部材6による締め付けを緩めることで、メータ保持部材4,5のガイド溝3に沿ったスライドが可能となり、メータ保持部材4,5を適正位置へスライドさせる。このとき、セットプレート7がベース部材2の内壁に対して摺動するので、横ぶれ等を起こすことなくスムーズなスライドが実現される。次いで、一次側にあるメータ保持部材4に延設されたエルボ配管部に、ユニオンナット11を介して減圧弁12を接続すると共に、この減圧弁12の管端部にユニオンナット11を介して止水栓13の接続が行なわれる。
【0038】
なお、図1、図2に示すように、水道用メータMを装着した状態では、ボルト部材6は水道用メータM並びに周辺の構成部材(接続部材)の下方に位置するので取り外すことはできず、いたずら等による分解を防ぐことができる。しかも、ボルト部材6として、メータ保持部材4,5をその上から係止する六角孔付ボルトを採用すれば、横方向からのネジ操作を防ぐことができるので、更に効果的である。
【0039】
2戸1型設備用の水道用メータユニット1の場合は、ベース部材30に2組のメータ保持部材4,5を取り付ける。この場合、ベース部材30には、2組のメータ保持部材4,5を夫々独立したセットプレート7,7を介してスライド自在に装着しており、図7に示す両ユニット間の距離L1を設定する際には、両ユニット間の離間スペースに配置される減圧弁12,12や止水栓13,13の干渉を防いだ最小限の長さとして、両ユニットを正確に位置決めする。これにより、狭いパイプシャフト内においても、ユニット全体の設置を効率的に行うことができる。しかも、2つのユニットを正確に位置決めできるので、ユニットの一次側端部に接続される分岐用ヘッダ31の位置合わせ配管作業も容易に行い得る。また、2つのユニットを装着できる長いベース部材30を用いつつ、各ユニットを個別に調整することができる。同図に示すように、分岐用ヘッダ31まで配管し、ユニットの組立を完了する。メータユニットの組立に際しては、特殊工具などを用いる必要がなく、前述のように、ベース部材の長さを変更することで、2戸1型から1戸1型へ、或は1戸1型から2戸1型への変更を容易に行うことができる。
【0040】
次に、パイプシャフトへの据付手順について説明する。ベース部材2の底面には長手方向に沿って形成された複数の長穴2aのうち、本例では両端部に位置する長穴2a,2aにアンカーボルト10,10を係合させて、ベース部材2をパイプシャフト内の床面に固定する。従って、床面へ固定した後においても、長穴2aの遊び量に対応したベース部材2の位置調整が可能であり、ベース部材2を含むユニット全体を床面に対して位置調整することができる(ここでは、位置調整aという。)。しかも、アンカーボルト10を端部切り欠き形状の長穴2aに係合しているので、床面にアンカーボルト10を仮固定した上で、ベース部材2をアンカーボルト10に係止でき、ベース部材2の位置調整・設置が容易となる。
【0041】
メータ保持部材4,5に係合したボルト部材6を緩めて、ベース部材2に対するメータ保持部材4,5の位置調整を行う(ここでは、位置調整bという。)。保持部材4,5はセットプレート7に位置決めされているので、適正な位置関係を維持した状態で位置調整を行うことができ、ユニットの適正な位置決めを行うことができる。前述した2段階の位置調整aと位置調整bを行うことで、従来に比してユニット全体の正確な微調整を行うことができ、狭いパイプシャフト内での配管作業を容易にすることはもとより、ユニット全体の設置スペースを抑制することができる。特に、2戸1型設備用のメータユニットの場合では、ベース部材30に予め2つのユニットを固定しているので、一次側対向側におけるボルトの着脱が不要であり、ベース部材30の両端部をパイプシャフトの床面に固定するだけで、パイプシャフト内への据付が完了し、狭いパイプシャフト内での配管作業が容易となり、しかも、ユニット全体のコンパクト化を図ることができる。
【0042】
更に、図8は、本発明における水道用メータユニットの他例を示した要部断面図である。同図に示すように、本例で示すメータユニットは、一次側のメータ保持部材4と二次側のメータ保持部材5を夫々独立して位置調整を可能にするものであり、メータ保持部材4,5に係合したボルト部材6にはナット部材34を螺合している。図中34aは、前記ガイド溝3より幅寸法の大きい座金である。従って、第1、第2の形態と同様に、ガイド溝3の溝縁部3aを挟持してメータ保持部材3,4をベース部材1上に固定する一方、この締結を緩めた場合には、夫々独立して一次側のメータ保持部材4と二次側のメータ保持部材5がスライド自在となって、位置調整を行い得るよう構成されている。その他、一次側のメータ保持部材4と二次側のメータ保持部材5を夫々独立して位置調整を可能にするものとして、図示しない板部材を用いてもよい。
【0043】
図9は、(a)補正座金の平面図と(b)その側面図であり、図10は、補正座金の取付状態を示した説明図である。パイプシャフト内は排水のために適当な勾配を設けている場合があり、この場合には補正座金35を用いる。この補正座金35にはユニットを固定するアンカーボルト10の横方向より差し込める長穴35aを設けており、また、床面の傾きに対応する傾斜部35bと抜け出し防止のための平面部35cを設けている。使用に際しては、図10に示すように、ユニットをアンカーボルト10で固定する際にベース部材2と床面との間に横方向から差し込む。また、補正座金35は差込み量によって角度を変えることができる。前記傾斜部35bと平面部35cをベース部材2の底面で押えることにより、補正座金35の抜け出しを防止している。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係るメータユニットによれば、水道用のメータユニットとして、前述のごとく優れた機能を如何なく発揮し、例えば、ガス用のメータユニットとして用いた場合であっても、水道用メータユニットと同様、その優れた機能を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る水道用メータユニットの構造を示した断面図である。
【図2】図1に示した水道用メータユニットの平面図である。
【図3】ベース部材の一部切欠き斜視図である。
【図4】ベース部材の底面図である。
【図5】メータ保持部材の他例を示した側面図である。
【図6】セットプレートの一例を示した平面図である。
【図7】本発明における水道用メータユニットを示した全体概要図である。
【図8】本発明における水道用メータユニットの他例を示した要部断面図である。
【図9】(a)補正座金の平面図と(b)その側面図である。
【図10】補正座金の取付状態を示した説明図である。
【符号の説明】
【0046】
1 メータユニット
2 ベース部材
3 ガイド溝
4,5 メータ保持部材
6 締結部材(ボルト部材)
7 セットプレート
8,9 支持機構
13 止水栓
21 逆止弁
31 分岐用ヘッダ
35 補正座金
M メータ本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次側及び二次側に配設したメータ保持部材に支持機構を夫々設け、この支持機構に水道用メータ等のメータ本体を着脱自在に設けると共に、前記メータ保持部材を中空部を有する長尺状のベース部材に設けたことを特徴とする水道用等のメータユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のメータユニットにおいて、前記メータ保持部材を前記ベース部材に移動自在に設けた水道用等のメータユニット。
【請求項3】
請求項2に記載のメータユニットにおいて、前記メータ保持部材の下面に締結部材を介してセットプレートを配設し、このセットプレートを中空部を有する長尺状のベース部材に形成された長手方向に延びるガイド溝内に移動自在に摺嵌させて、前記メータ保持部材の位置調整を行い得るようにした水道用等のメータユニット。
【請求項4】
前記セットプレートには、メータ本体毎の面間に対応した複数の取付穴を設け、この取付穴に前記メータ保持部材に係合した締結部材を螺着し、一次側及び二次側に配設するメータ保持部材をセットプレート上に位置決めした状態で、前記ベース部材に配設するようにした請求項2又は3に記載の水道用等のメータユニット。
【請求項5】
前記一次側のメータ保持部材に設けた支持機構にはエルボ等の配管部を介して止水栓等が接続され、且つ、前記二次側のメータ保持部材に設けた支持機構には逆止弁を設けて成る請求項1乃至4の何れか1項に記載の水道用等のメータユニット。
【請求項6】
請求項1乃至5に記載のメータユニットにおいて、メータ本体の一次側及び二次側に配設するメータ保持部材を1組として、これを前記ベース部材上に2組対向させて設け、2台のメータ本体を直列状態に装着し得るようにした水道用等のメータユニット。
【請求項7】
請求項1乃至6に記載のメータユニットにおいて、少なくとも2つの当該ユニットの一次側に分岐用ヘッダを設けて、給水管からの流路を分岐させた水道用等のメータユニット。
【請求項8】
前記メータ保持部材に係合する締結部材として、六角孔付ボルトを用いた請求項2乃至7の何れか1項に記載の水道用等のメータユニット。
【請求項9】
前記ベース部材の底面に補正座金を配置し、その差し込み量によってベース部材の取付床面に対する傾きを補正し得るようにした請求項1乃至8の何れか1項に記載の水道用等のメータユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−133079(P2006−133079A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−322394(P2004−322394)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(000150615)株式会社長谷工コーポレーション (94)
【出願人】(390002381)株式会社キッツ (223)
【Fターム(参考)】