説明

水門開閉機操作装置

【課題】水門開閉機を操作するための動力として使用するエンジンを他の水門と共用することができるとともに、手動操作も可能となる水門開閉機操作装置を提供する。
【解決手段】ケース1内の上段に、第1のスプロケット11が固定され且つ着脱自在のハンドル17を取り付けられて回転させる手動入力軸12が軸支され、ケース1内の中段に、第2のスプロケット19及び第3のスプロケット20が固定され且つ一端にエンジン9の出力軸26にカップリング27を介して連結可能な動力入力軸21が軸支されるとともに、第2のスプロケット19が無端チェーン24で第1のスプロケット11に連結され、ケース内の下段に、第4のスプロケット28が固定され且つ一端に水門開閉機8の操作軸34にカップリング33を介して連結可能な出力軸29が軸支されるとともに、第4のスプロケット28は無端チェーン31で第3のスプロケット20に連結されている水門開閉機操作装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水門開閉機を手動又はエンジンにより操作可能な水門開閉機操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
河川や水路に設置されている水門のうち、ハンドルを人力により回転させて扉体を上昇させるものがあるが、大きな労力を必要とするとともに時間がかかるため数人で操作しなければならなかったが、労力と時間を軽減するため、エンジンを利用して扉体を昇降させるものが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された水門開閉装置は、水門の扉体を昇降させるための動力源としてディーゼルエンジンが水門上部に固定され、ディーゼルエンジンの回転は、チェーンおよび減速器を介して駆動軸に伝達され、駆動軸の両端部はそれぞれクラッチ機構に連結されている。そして、クラッチ機構の出力軸により巻上器を駆動し、扉体の上部に取り付けられたピンラックを巻き上げることによって扉体を上昇させる構造となっている。扉体を下降させる場合、扉体の自重により、ブレーキで降下速度を制動させながら降下させるか、または開閉ハンドルを開方向とは逆に回転させることにより扉体を下降させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−121443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1では、エンジンは水門に固定され、さらに、エンジンがチェーン、駆動軸及びクラッチ機構を介して開閉機に連結された構造であってエンジンが着脱自在ではないので、このエンジンを簡単に外して他の水門の開閉機に利用することができない。そのため、エンジンを他の水門と共用することができず、水門毎にそれ専用のディーゼルエンジンを用意しておかなければならないという問題がある。
また、エンジンが着脱自在ではないので、エンジンを取り付けたままの状態となるので、定期的に保守点検しなければならなくなる。
【0006】
そこで、本発明は、水門開閉機を操作するための動力として使用するエンジンを他の水門どうしの間で共用することができるとともに、手動操作も可能となる水門開閉機操作装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の水門開閉機操作装置は、 ケース内の上段に、第1のスプロケットが固定され且つ着脱自在のハンドルを取り付けられて回転させる手動入力軸が軸支され、ケース内の中段に、第2のスプロケット及び第3のスプロケットが固定され且つ一端にエンジンの出力軸にカップリングを介して連結可能な動力入力軸が軸支されるとともに、第2のスプロケットが無端チェーンで前記第1のスプロケットに連結され、ケース内の下段に、第4のスプロケットが固定され且つ一端に水門開閉機の操作軸にカップリングを介して連結可能な出力軸が軸支されるとともに、第4のスプロケットは無端チェーンで前記第3のスプロケットに連結されていることを特徴とする。
【0008】
前記構成において、ケースの両側面に水平板と上下方向に長孔が形成された垂直板が直交してL字形に形成されるとともに、長孔にケースを固定するボルトを通し、ボルトの位置を変えてケースの高さが調整されるケース高さ調整スタンドを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の水門開閉機操作装置は、エンジンがカップリングを介して着脱自在であるため、エンジンを他の水門と共用することが可能となる。
本発明の水門開閉機操作装置は、エンジンと手動のいずれかで水門開閉機の操作が可能となる。
【0010】
本発明の水門開閉機操作装置は、その出力軸と水門開閉機の操作軸を連結するカップリングを変えることにより、各種の水門開閉機に利用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の水門開閉機操作装置の駆動側の斜視図である。
【図2】本発明の水門開閉機側の斜視図である。
【図3】本発明の水門開閉機操作装置の内部を示す図である。
【図4】本発明の水門開閉機操作装置と、水門開閉機及びエンジンを連結するカップリングを示す図である。
【図5】本発明のエンジンとハンドルを装着した水門開閉機操作装置と水門開閉機を連結した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の水門開閉機操作装置の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【0013】
図1〜図5に示す水門開閉機操作装置おいて、直方体のケース1の両側面にケース高さ調整スタンド2がそれぞれ固定され、ケース1が直立に設置される。ケース高さ調整スタンド2は水平板3と垂直板4が直交するL字形に形成され、垂直板4には長孔5が上下方向に形成され、長孔5にケース1を固定するボルト6を通し、ボルト6の位置を変えてケース1の高さが調整される。
【0014】
ケース1の駆動側面7には、水門開閉機8を駆動するためのエンジン9を載せるエンジン台10が水平に固定される。
【0015】
ケース1の上段には、第1スプロケット11が固定された手動入力軸12が、ケース1の駆動側面7の軸受13と、駆動側面7と反対側の水門開閉機側面14の軸受15との間に回転可能に水平に軸支されている。手動入力軸12は、駆動側面7からハンドル取付軸16が突出し、ハンドル取付軸16がハンドル17の取付孔18に挿入されてハンドル17が装着可能となっている。
【0016】
ケース1の中段には、第2スプロケット19及び第3スプロケット20が固定された動力入力軸21がケース1の駆動側面7の軸受22と、この駆動側面7と反対側の水門開閉機側面14の軸受23との間に回転可能に水平に軸支されている。第2スプロケット19は第3スプロケット20より径が大きく形成され、第3スプロケット20はケース1の上部の第1スプロケット11と同じ径に形成されている。第2スプロケット19は第1スプロケット11と無端チェーン24で連結されている。
【0017】
動力入力軸21は駆動側面7から突出した連結軸25とエンジンの出力軸26が着脱可能なカップリング27の孔に挿入されて連結される。連結軸25、エンジンの出力軸26及びカップリング27の孔は、断面多角形、例えば、断面四角形に形成して互いを回り止めする。
【0018】
ケース1の下段には、第4スプロケット28が固定された出力軸29がケースの駆動側面7の軸受30と、この駆動側面7と反対側の水門開閉機側面14の軸受との間に回転可能に水平に軸支されている。第4スプロケット28はケース1の中部の第2スプロケット19と同じ径に形成され、ケース1の中部の第3スプロケット20と無端チェーン31で連結されている。
【0019】
出力軸29は水門開閉機側面14から突出した連結軸32が着脱可能なカップリング33の一方の孔に挿入されて連結され、カップリング33の他方の孔に水門開閉機8の操作軸34が挿入されて連結される。操作軸34の回転により水門の扉体が上昇する。
【0020】
本発明の水門開閉機操作装置の使用方法及び動作について説明する。
【0021】
ケース1の下部の出力軸29の高さが水門開閉機8の操作軸34の高さと一致するように、高さ調整スタンド2の長孔5に通すボルト6の高さを調節してケース1に固定して高さ調整を行う。
【0022】
高さが調整されたケース1の出力軸29と水門開閉機8の操作軸34の間にカップリング33を配置してケース1を水門開閉機側に寄せて出力軸29と操作軸34をカップリング33の孔に挿入して連結して、水門開閉機操作装置と水門開閉機8を連結する。
【0023】
水門開閉機操作装置の連結が終了した後、水門開閉機8を手動で操作して扉体を上昇させる場合、手動入力軸12の駆動側面7から突出したハンドル取付軸16をハンドル17の取付孔18に挿入してハンドル17を取り付ける。このとき、エンジン9は、ハンドル17の回転の邪魔になるので、エンジン台10には載せておかない。
【0024】
手動入力軸12に取り付けたハンドル17を回転させると、手動入力軸12の回転で第1スプロケット11が回転し、第1スプロケット11に無端チェーン24を介して接続されている動力入力軸21に固定されている第2スプロケット19が回転する。
【0025】
第2スプロケット19が回転すると、第2スプロケット19と同じく動力入力軸21に固定されている第3スプロケット20が回転する。
【0026】
第3スプロケット20が回転すると、第3スプロケット20に無端チェーン31を介して接続されている出力軸29に固定されている第4スプロケット28が回転し、出力軸29が回転する。
【0027】
出力軸29が回転すると、出力軸29にカップリング33で連結されている水門開閉機8の操作軸34が回転し、水門の扉体が上昇する。
【0028】
労力を軽減したり緊急時に扉体を速やかに上昇させたりするためにエンジン9により水門開閉機8を操作する場合、エンジン9をエンジン台10に載せ、エンジンの出力軸26と動力入力軸21の間にカップリング27を配置してエンジン9の出力軸26と動力入力軸21を連結する。このとき、ハンドル17は、回転するとエンジン9に当たるため、手動入力軸12のハンドル取付軸16から外しておく。
【0029】
エンジン9を作動させてエンジンの出力軸26を回転させると、エンジンの出力軸26にカップリング27で連結されている動力入力軸21が回転し、動力入力軸21に固定されている第3スプロケット20が回転する。
【0030】
第3スプロケット20が回転すると、手動の場合と同様に、第3スプロケット20に無端チェーン31を介して接続されている第4スプロケット28が回転し、第4スプロケット28が固定されている出力軸29が回転し、出力軸29にカップリング33で連結されている操作軸34が回転し、水門の扉体が上昇する。
【符号の説明】
【0031】
1:ケース 2:ケース高さ調整スタンド
3:水平板 4:垂直板
5:長孔 6:ボルト
7:駆動側面 8:水門開閉機
9:エンジン 10:エンジン台
11:第1スプロケット 12:手動入力軸
13:軸受 14:水門開閉機側面
15:軸受 16:ハンドル取付軸
17:ハンドル 18:取付孔
19:第2スプロケット 20:第3スプロケット
21:動力入力軸 22:軸受
23:軸受 24:無端チェーン
25:連結軸 26:エンジンの出力軸
27:カップリング 28:第4スプロケット
29:出力軸 30:軸受
31:無端チェーン 32:連結軸
33:カップリング 34:操作軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内の上段に、第1のスプロケットが固定され且つ着脱自在のハンドルを取り付けられて回転させる手動入力軸が軸支され、
ケース内の中段に、第2のスプロケット及び第3のスプロケットが固定され且つ一端にエンジンの出力軸にカップリングを介して連結可能な動力入力軸が軸支されるとともに、第2のスプロケットが無端チェーンで前記第1のスプロケットに連結され、
ケース内の下段に、第4のスプロケットが固定され且つ一端に水門開閉機の操作軸にカップリングを介して連結可能な出力軸が軸支されるとともに、第4のスプロケットは無端チェーンで前記第3のスプロケットに連結されていることを特徴とする水門開閉機操作装置。
【請求項2】
ケースの両側面に水平板と上下方向に長孔が形成された垂直板が直交してL字形に形成されるとともに、長孔にケースを固定するボルトを通し、ボルトの位置を変えてケースの高さが調整されるケース高さ調整スタンドを備えたことを特徴とする請求項1記載の水門開閉機操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−219915(P2011−219915A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86289(P2010−86289)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(594148645)株式会社協和製作所 (10)
【Fターム(参考)】