説明

水陸両用車両用の推進装置、ならびに、自動操舵装置、自動操舵方法および自動操舵プログラム

【課題】簡易な構成で、前進させるための推進力を効率よく発生させることができる水陸両用車両用の推進装置を提供する。
【解決手段】エンジンからの駆動力を外側ギヤを介してホイール4に、内側ギヤを介してスクリュー7に伝達するプロペラシャフト2と、中心に給水口6を有した左右のホイール4と、水平パイプおよび垂直パイプによりT字形状に形成され、水平パイプの両端に給水口6を介してホイール4が回転可能に取り付けられると共に、垂直パイプの噴射口8が進行方向と反対方向に向けられた装着パイプと、装着パイプの水平パイプの内部で給水口6に対応した位置に収納され、内側ギヤから駆動力を取得して回転する左右の回転シャフトと、回転シャフトと共に回転可能に設けられた左右のスクリュー7と、回転シャフトと内側ギヤとの間を連結または分離する左右のスクリュー用クラッチとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水陸両用車両用の推進装置、ならびに、この推進装置を自動操舵する自動操舵装置、自動操舵方法および自動操舵プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンから伝達された駆動力で陸上用のホイールと水上用の回転駆動体(スクリュー等)とをそれぞれ回転させる水陸両用車両用の推進装置が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1に開示された推進装置は、自動車等の通常の車輪のホイール板を、扇風機の羽形(プロペラ)に改造したもので、このプロペラの回転面に対して内側および外側に、プロペラの回転を妨げないように曲流内板と曲流外板とをそれぞれ有したプロペラホイル車輪である。このうち、曲流内板は、板の一辺側に対向する他辺側がプロペラ回転面と所定角度をなすように、板の一辺側がプロペラの所定位置に取り付けられている。また、曲流外板は、曲流内板と同様に取り付けられている。ただし、曲流外板の一辺側が取り付けられている位置は、プロペラの回転軸を中心に、曲流内板の一辺側が取り付けられている位置に対して点対称となる位置である。
このプロペラホイル車輪は、陸上では、自動車等の通常の車輪として作用する。また、プロペラホイル車輪は、水上では、回転により、例えば、前方から曲流外板を介して右から左に向けてプロペラで取り込んだ水(左方横水圧流)を、曲流内板を介して後方縦水圧流に変換して推進力を生じる。そして、曲流内板と曲流外板とが、プロペラと共に回転するので、プロペラが半回転すると、曲流内板と曲流外板との働きが逆になる。すなわち、例えば、前方から曲流内板を介して左から右に向けてプロペラで取り込んだ水(右方横水圧流)を、曲流外板を介して後方縦水圧流に変換して推進力を生じるようになる。
【0004】
また、特許文献2に開示された推進装置では、ホイールが軸流ポンプとして作用して、回転面に直交する方向(横方向)から水流を取り込み、ホイールに連なる送出ポンプから水を噴射するものである。具体的には、ホイールの回転面に直交する方向(横方向)から水を取り込む専用の羽根がホイールのリムに接続されている。この羽根は回転により水を加速させる。そして、水が羽根を出る領域と隣接し、この領域に向かって開放された螺旋送出流路を通った水は、噴射方向を可変可能な送出ポンプから噴射される。
【特許文献1】特開2000−71704号公報(段落0005、図1)
【特許文献2】特表平9−501125号公報(第3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたプロペラホイル車輪では、プロペラが1回転する間に、例えば、上方(または下方)から曲流外板を介して右から左に向けてプロペラで取り込んだ水(左方横水圧流)を、曲流内板を介して下方(または上方)水圧流に変換してしまう。したがって、回転中の曲流内板と曲流外板の配置によっては、推進力である後方縦水圧流が発生しない。つまり、前進させるための推進力を効率よく発生させることができないという問題がある。
【0006】
また、特許文献2に開示された推進装置では、水を取り込むための回転駆動機構の他に、送出ポンプから噴射される水の噴射方向を変化させるための構成が必要であり、構成が複雑であるという問題がある。
【0007】
また、従来、このような推進装置を搭載した水陸両用車両で海上を走行する場合、人手によって、目的地までのルートを決定している。このとき、海上においては、目印となる目標物が少なく、目的地に直線ルートで向かえずに、例えば、一旦東へ向かってから北上するなどのルートにより、到達するまでに遠回りしてしまうことがある。その結果、燃料の消費を効果的に抑制することが困難となってしまう。
【0008】
そこで、本発明は、前記した問題を解決し、簡易な構成で、前進させるための推進力を効率よく発生させることができる水陸両用車両用の推進装置を提供することを目的とする。また、本発明は、水陸両用車両用の推進装置を自動的に操舵する自動操舵装置、自動操舵方法および自動操舵プログラムを提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、請求項1に記載の水陸両用車両用の推進装置は、エンジンから伝達された駆動力で陸上用のホイールと水上用のスクリューとをそれぞれ回転させる水陸両用車両用の推進装置であって、前記エンジンからの駆動力を少なくとも1つのシャフト用ギヤを介して前記ホイールおよび前記スクリューに伝達するプロペラシャフトと、中心に孔を有した左右のホイールと、水平パイプおよび垂直パイプによりT字形状に形成され、前記水平パイプの両端に、前記孔を介して前記ホイールがそれぞれ回転可能に取り付けられると共に、前記垂直パイプの開口が進行方向と反対方向に向けられた装着パイプと、前記装着パイプの水平パイプの内部で前記左右のホイールの孔に対応した位置にそれぞれ収納され、前記プロペラシャフトから伝達される駆動力で前記装着パイプの水平パイプの中心軸周りに回転する左右の回転シャフトと、前記回転シャフトに、当該回転シャフトと共に回転可能にそれぞれ1つ以上設けられた左右のスクリューと、前記回転シャフトと前記プロペラシャフトとの間を連結または分離するように設けられ、前記左右のスクリューの動作を制御する左右のスクリュー用クラッチとを備えることを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、水陸両用車両用の推進装置は、ホイールが取り付けられる装着パイプの内部に、スクリューが設けられた回転シャフトを備えており、左右のスクリュー用クラッチを連結して回転シャフトを介してスクリューを回転させることにより、水上において、水をホイールの孔から装着パイプの内部に取り込むことができる。ここで、装着パイプの形状は、T字形状を基本としており、垂直パイプの開口が進行方向と反対方向に向けられて配置される。そして、水陸両用車両用の推進装置は、水平パイプの両端に取り付けられたホイールの孔から取り込んだ水を垂直パイプの開口から噴射する。これにより、水陸両用車両を進行方向に直進させることができる。
【0011】
そして、水陸両用車両用の推進装置は、水上において、左右のスクリュー用クラッチのいずれかのみを連結して一方のスクリューのみを回転させることにより、一方のホイールの孔から取り込んだ水を他方のホイールの孔および垂直パイプの開口から噴射する。これにより、水陸両用車両用の推進装置は、水陸両用車両を左右いずれかの方向に転進させることができる。また、スクリューにエンジンからの駆動力を伝達するシャフト用ギヤは、ホイールにエンジンからの駆動力を伝達するシャフト用ギヤと共通のものでも別個のものでもよい。
【0012】
また、請求項2に記載の水陸両用車両用の推進装置は、請求項1に記載の水陸両用車両用の推進装置において、前記プロペラシャフトと前記ホイールとの間を連結または分離するように設けられ、前記左右のホイールの動作を制御するホイール用クラッチをさらに備えることを特徴とする。
【0013】
かかる構成によれば、水陸両用車両用の推進装置は、ホイール用クラッチを連結することにより、プロペラシャフトのシャフト用ギヤを介して、エンジンからの駆動力をホイールに伝達し、また、ホイール用クラッチを分離することにより駆動力のホイールへの伝達を停止させることができる。この水陸両用車両用の推進装置は、スクリュー用クラッチとは別に、ホイール用クラッチを備えているので、水上において、スクリュー用クラッチを連結すると共に、ホイール用クラッチを分離することにより、ホイールを停止させてスクリューのみを回転させることが可能になる。この場合には、水上での移動に不必要なホイールを停止することでエネルギーロスを低減すると共に、ホイール(またはタイヤ)に水上(または水中の)の浮遊物が巻き込まれる事態を回避することができる。また、陸上において、スクリュー用クラッチを分離すると共に、ホイール用クラッチを連結した場合には、陸上での移動に不必要なスクリューを停止することでエネルギーロスを低減できる。なお、スクリュー用クラッチとホイール用クラッチとが互いに連動するような構成とすることも可能であり、この場合には、互いに独立に作動するようにした場合と比べて構造を単純化できるので製造コスト等を低減できる。
【0014】
また、請求項3に記載の自動操舵装置は、請求項1または請求項2に記載の水陸両用車両用の推進装置を自動的に操舵する自動操舵装置であって、入力手段と、位置情報取得手段と、方位測定手段と、クラッチ制御手段とを備えることとした。
【0015】
かかる構成によれば、自動操舵装置は、入力手段によって、前記水陸両用車両の目的地の位置に関する目的位置情報を入力し、位置情報取得手段によって、前記水陸両用車両の現在位置に関する現在位置情報を取得し、方位測定手段によって、前記水陸両用車両の現在の進路の方位を測定する。ここで、目的位置情報および現在位置情報は、例えば、緯度と経度に関する情報であり、位置情報取得手段は、例えば、GPS受信機から構成される。そして、自動操舵装置は、クラッチ制御手段によって、前記入力手段で入力された目的位置情報と、前記位置情報取得手段で取得された現在位置情報とに基づいて、前記目的地への進路の方角である目的方位情報を算出し、算出した目的方位情報と、前記方位測定手段で測定された現在の進路の方位に関する進路方位情報との差分に基づいて、前記左右のスクリュー用クラッチを連結または分離させる。ここで、目的方位情報および進路方位情報は、例えば、1周を360°として、所定の方位(東西南北等)に割り当てられた角度の値である。これにより、入力された目的位置情報によって、水陸両用車両を目的地に自動的に移動させることができる。
【0016】
また、請求項4に記載の自動操舵装置は、請求項3に記載の自動操舵装置において、前記クラッチ制御手段が、前記目的方位情報と前記進路方位情報との差分が予め定められた許容範囲内である場合に、前記左右のスクリュー用クラッチをそれぞれ連結させるための制御信号を生成し、前記目的方位情報と前記進路方位情報との差分が予め定められた許容範囲を超え、かつ、前記水陸両用車両の進路の方位を前記目的地の方位に向けて修正するために左転が必要である場合に、前記左のスクリュー用クラッチを連結すると共に、前記右のスクリュー用クラッチを分離するための制御信号を生成し、前記目的方位情報と前記進路方位情報との差分が予め定められた許容範囲を超え、かつ、前記水陸両用車両の進路の方位を前記目的地の方位に向けて修正するために右転が必要である場合に、前記右のスクリュー用クラッチを連結すると共に、前記左のスクリュー用クラッチを分離するための制御信号を生成することとした。
【0017】
かかる構成によれば、自動操舵装置は、目的方位情報と進路方位情報との差分に応じて、自動的に水陸両用車両を進行方向に直進、左転または右転させる。ここで、水陸両用車両の進路の方位を目的地の方位に向けて修正するために左転が必要なのか右転が必要なのかを判定する方法は、種々の方法があり、例えば、目的方位情報から進路方位情報を差し引いた差分が正(プラス)であり、かつ、180°より大きい場合には、左転が必要であると判定することができる。これにより、遠回りすることなく自動的に目的地に到達することができる。
【0018】
また、請求項5に記載の自動操舵方法は、請求項1または請求項2に記載の水陸両用車両用の推進装置を自動的に操舵する自動操舵方法であって、入力ステップと、位置情報取得ステップと、方位測定ステップと、クラッチ制御ステップとを含むこととした。
【0019】
かかる手順によれば、自動操舵方法は、入力ステップで、前記水陸両用車両の目的地の位置に関する目的位置情報を入力し、位置情報取得ステップで、前記水陸両用車両の現在位置に関する現在位置情報を取得し、方位測定ステップで、前記水陸両用車両の現在の進路の方位を測定する。そして、自動操舵方法は、クラッチ制御ステップにて、前記入力ステップで入力された目的位置情報と、前記位置情報取得ステップで取得された現在位置情報とに基づいて、前記目的地への進路の方角である目的方位情報を算出し、算出した目的方位情報と、前記方位測定ステップで測定された現在の進路の方位に関する進路方位情報との差分に基づいて、前記左右のスクリュー用クラッチを連結または分離させる。これにより、入力された目的位置情報によって、水陸両用車両を目的地に自動的に移動させることができる。
【0020】
また、請求項6に記載の自動操舵プログラムは、請求項1または請求項2に記載の水陸両用車両用の推進装置を自動的に操舵するために、コンピュータを、目的方位情報算出手段、制御信号生成手段として機能させることとした。
【0021】
かかる構成によれば、自動操舵プログラムは、目的方位情報算出手段によって、前記水陸両用車両の目的地の位置に関する目的位置情報と、前記水陸両用車両の現在位置に関する現在位置情報とに基づいて、前記目的地への進路の方角である目的方位情報を算出する。そして、自動操舵プログラムは、制御信号生成手段によって、前記目的方位情報算出手段で算出された目的方位情報と、前記水陸両用車両の現在の進路の方位に関する進路方位情報との差分に基づいて、前記左右のスクリュー用クラッチを連結または分離させるための制御信号を生成する。これにより、入力された目的位置情報によって、水陸両用車両を目的地に自動的に移動させることができる。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の発明によれば、左右のホイールの孔から取り込んだ水を後方に噴射することができるので、水上における推進力を高めることができる。また、前進させるための左右のスクリューのいずれか一方を回転させて一方から水を取り込むことにより、一方に向くことができるので、方向転換のために必要とする構成を単純化することができる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、水上においてスクリューを回転させつつ、水上での移動に不必要なホイールを停止することでエネルギーロスを低減すると共に、ホイール(またはタイヤ)に水上(または水中の)の浮遊物が巻き込まれる事態を回避することができる。
【0024】
請求項3、請求項5または請求項6に記載の発明によれば、水陸両用車両に搭載した場合に、目的地の位置に関する目的位置情報を入力すれば、水陸両用車両を目的地に自動的に移動させることができる。したがって、途中に適切な目標物が無くても目的地に到達することができる。
【0025】
請求項4に記載の発明によれば、水陸両用車両に搭載された場合に、目的地の位置に関する目的位置情報を入力すれば、水陸両用車両を目的地に効率よく移動させることができる。したがって、途中に適切な目標物が無くても遠回りすることなく目的地に到達できる。その結果、水陸両用車両の燃料の消費を効果的に抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係る水陸両用車両用の推進装置および自動操舵装置を順次説明する。
【0027】
[水陸両用車両用の推進装置]
(第1の実施形態)
<推進装置の概要>
本発明の第1の実施形態に係る水陸両用車両用の推進装置の概要について図1および図2を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る水陸両用車両用の推進装置の一例を示す模式図であって、(a)は上方から視た斜視図、(b)は平面図、(c)は側方から視た斜視図を示している。図2は、図1の(a)に示した推進装置の一部を透視した説明図である。
【0028】
水陸両用車両用の推進装置1は、エンジンから伝達された駆動力で陸上用のホイール4と水上用のスクリュー7とをそれぞれ回転させるものであって、図1に示すように、プロペラシャフト2と、シャフトカバー14と、ホイール4と、タイヤ5と、給水口6と、スクリュー(またはインペラ)7と、噴射口8とを備えている。
【0029】
プロペラシャフト2は、図2に示すように、プロペラシャフト2の一端側でプロペラシャフト2の径より大径として装着パイプ3の外側に設けられた外側ギヤ(シャフト用ギヤ)9と、プロペラシャフト2の端部で外側ギヤ9より小径として装着パイプ3の内側(内部)に設けられた内側ギヤ(シャフト用ギヤ)10とを介して、エンジンからの駆動力をホイール4およびスクリュー7にそれぞれ伝達するものである。
【0030】
図1に示すシャフトカバー14は、プロペラシャフト2の一端側等をカバーするものであり、詳細には、図2に示すように、外側ギヤ9と、内側ギヤ10と、ホイールギヤ11と、左右の回転シャフト12と、左右のスクリュー用クラッチ13と、装着パイプ3とを格納する。なお、図2ではシャフトカバー14(図1参照)を透視して回転シャフト12とスクリュー用クラッチ13とをそれぞれ1つずつ図示しているが、実際には、左右に配置されている。
【0031】
図2に仮想線で示す装着パイプ3は、水平パイプおよび垂直パイプによりT字形状に形成され、水平パイプの両端に、孔(給水口)6を介してホイール4がそれぞれ回転可能に取り付けられると共に(図8参照)、垂直パイプの開口(噴射口8)が進行方向と反対方向に向けられており、噴射口8と反対方向にプロペラシャフト2の一部(ここでは内側ギヤ10)が水密に装着される。なお、垂直パイプはシャフトカバー14(図1参照)を貫通している。
【0032】
ホイール4は、図1に示すように、中心に孔(給水口)6を有し、この孔(給水口)6を介して装着パイプ3の水平パイプの両端に、それぞれ取り付けられている。このホイール4には、タイヤ5がそれぞれ装着されている。また、ホイール4は、図2に示すように、給水口6の反対側(装着パイプ3側の端部)に設けられたホイールギヤ11を介してプロペラシャフト2の外側ギヤ9から駆動力を取得し、装着パイプ3の水平パイプ外側で当該水平パイプの中心軸周りに回転するように構成されている。そして、中心軸に適合して穿設された孔(給水口)6から水(推進装置1の周囲の液体)が装着パイプ3内に流入するように構成されている。
【0033】
スクリュー(またはインペラ)7は、図1に示すように、ホイール4の給水口6の内側において、回転シャフト12(図2参照)に当該回転シャフト12と共に回転可能にそれぞれ設けられている。このスクリュー7は、図2に示すように、回転シャフト12の端部に1つ設けられているが、これは一例であって、スクリュー7の配置は回転シャフト12の端部に限定されず、また、1つの回転シャフト12に対してスクリュー7の個数は1以上の任意の個数である。スクリュー7は、回転することによって、図1に示すホイール4の給水口6を介して装着パイプ3の水平パイプの両端からそれぞれ水を取り込むことができる。そして、取り込んだ水は、図1に示すように、装着パイプ3の垂直パイプに形成された噴射口8から噴射される。
【0034】
左右の回転シャフト12は、それぞれ、装着パイプ3の水平パイプの内部で左右のホイール6の孔の中心に対応した位置に配置するようにそれぞれ収納され、プロペラシャフト2の内側ギヤ10から駆動力を取得し、装着パイプ3の水平パイプ内側で当該水平パイプの中心軸周りに回転するものである。なお、以下では、左右と言う場合、進行方向に対して直交する方向を示すものとする。
【0035】
左右のスクリュー用クラッチ13は、回転シャフト12にそれぞれ設けられ、各回転シャフト12とプロペラシャフト2の内側ギヤ10との間を連結または分離するように設けられ、左右のスクリュー7の動作を制御するものである。このスクリュー用クラッチ13は、例えば、電磁力でクラッチ板を吸着させる電磁クラッチである。なお、スクリュー用クラッチ13は、回転シャフト12上の図2に示した位置に配設されているが、この配置は一例であって、スクリュー7と内側ギヤ10との間であれば任意の位置に配設可能である。
【0036】
<推進装置が搭載された水陸両用車両>
次に、図1および図2に示した推進装置1が搭載された水陸両用車両について、図3および図4を参照して説明する。図3は、図1に示した推進装置を搭載した水陸両用車両の陸上での外観の一例を示す模式図であって、(a)は正面側方から視た斜視図、(b)は背面側方から視た斜視図を示している。図4は、図1に示した推進装置を搭載した水陸両用車両の水上での外観の一例を示す模式図であって、(a)は正面側方から視た斜視図、(b)は背面側方から視た斜視図を示している。
【0037】
水陸両用車両20は、ここでは、図3に示すように、前輪が1つで後輪が2つの3輪バイクである。後輪部に推進装置1(図1参照)が装備されている。この推進装置1(図1参照)は、陸上においては、図示しないエンジンからの駆動力に基づいて、後輪を回転駆動させることにより、水陸両用車両20を推進させることができる。この水陸両用車両20は、左右の後輪のホイールの中心に給水口6(図3の(a)では、左の給水口6のみを図示している)を有し、これらの給水口6に対応した噴射口8を、図3の(b)に示すように、車体後部に備えている。したがって、水陸両用車両20は、水上においては、図示しないエンジンからの駆動力に基づいて、スクリュー7(図1参照)を回転駆動させることにより、水陸両用車両20を推進させることができる。具体的には、図4に示すように、スクリュー7(図1参照)の回転によって左右の給水口6(図3参照)から取り込んだ水を、噴射口8から後方(進行方向と逆方向)に噴射する。この結果、噴射の反作用により、水陸両用車両20は、前進することができる。
【0038】
<ホイールの駆動に関する構成>
次に、図1に示した第1の実施形態の推進装置1のホイールの駆動に関する詳細な構成について、図5乃至図8を参照して説明する。図5は、図1に示した推進装置を構成する装着パイプの一例を示す構成図である。装着パイプ3は、水陸両用車両20(図3参照)の本体に固定される。この本体に装着される場合に、図5に示すように、水平パイプの両端は、ホイール4(図1参照)の孔(給水口)6に対して回動可能に接続されて、水平パイプの両端には、孔(給水口)6が形成されている。
【0039】
図6は、図5に示した装着パイプにプロペラシャフトおよびホイールを装着した一例を示す構成図であって、図2に半透視で示した推進装置1に装着パイプ3が装着された様子を示している。図7は、図6に示したホイールの一例を示す構成図であって、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は右斜め前方から視た斜視図を示している。ホイール4は、図7に示すように、孔6の周縁を囲む円筒部21に対して、円筒部21を取り巻くように一体に形成された1つのホイールギヤ11を備えている。そして、ホイールギヤ11には、プロペラシャフト2の外側ギヤ9(図6参照)を介して、図示しないエンジンからの駆動力が伝達される。このホイール4の構成は、一例であって、ホイールに駆動力を伝達するギヤがホイール4と別体であってもよく、そのギヤの個数が複数でもよい。
【0040】
図8は、図1の(b)に示した装着パイプの水平方向の断面の一例を示す説明図である。装着パイプ3の水平パイプには、ホイール4を装着するための突起状のリム22が外周に設けられている。なお、図8では、水平パイプの一方(左側)のみ示している。また、ホイール4は、ベアリング23,24を介して装着パイプ3の外側で当該水平パイプの中心軸周りに回転する。具体的には、装着パイプ3の水平パイプの先端部(リム22よりもホイール4側の所定部分)は、外周にネジが螺刻されて、中空のボルトが形成されており、この水平パイプの先端部から水が装着パイプ3内に流入するように構成されている。そして、このボルト(装着パイプ3の先端部)にホイール4が挿入された後、ボルトにナット25が螺合される。このとき、ホイール4は、ナット25や孔6より径の大きいベアリング23を介して装着され、装着パイプ3の水平パイプに対して回動自在となっている。また、ホイール4は、リム22とベアリング23との間(外周にネジが螺刻されていない部分)において、孔6の中に配置されたベアリング24を介して装着パイプ3の周りに回転する。
【0041】
<スクリューの駆動に関する構成>
次に、図1に示した推進装置1のスクリュー7の駆動に関する詳細な構成について、図9および図10を参照(適宜図2参照)して説明する。図9は、図1の(b)に示した装着パイプの内部の構成の一例を示す説明図である。装着パイプ3の内部には、スクリュー7(図2参照)を回転させる回転シャフト12を駆動するために、図9に示すように、支持部26〜29と、カバー部30と、ギヤボックス31と、ベアリング32,33と、シール部34〜36とを備えている。
【0042】
支持部26〜29は、装着パイプ3の中空内部で回転シャフト12を回転可能に、この順番で右側から左側にかけて支持するためのもので、装着パイプ3の内部においてプロペラシャフト2側(前側)に立設または所定の角度を有して形成されている。
カバー部30は、装着パイプ3の内部において噴射口8側(後側)に設けられ、支持部26〜29と共に、プロペラシャフト2の内側ギヤ10(図2参照)等を含む所定の内部空間を形成するものである。このカバー部30は、噴射口8側に錐状の頂点が配置されるように(または凸となるように)形成されているため、左右方向からの水流を効果的に後方(噴射口8側)に向けることができる。
【0043】
ギヤボックス31は、内側ギヤ10(図2参照)やスクリュー用クラッチ13(図2参照)等が収納される筐体であり、前記した装着パイプ3の内部空間に配設される。
ベアリング32は、支持部27とカバー部30との間で回転シャフト12を回動可能に受けるものであり、同様に、ベアリング33は、支持部28とカバー部30との間で回転シャフト12を回動可能に受けるものである。
【0044】
シール部34は、支持部26とカバー部30との間で、前記した内部空間の右側を水密に保つものであり、同様に、シール部35は、支持部29とカバー部30との間で、前記した内部空間の左側を水密に保つものである。また、シール部36は、プロペラシャフト2と装着パイプ3との間で、前記した内部空間の前方側を水密に保つものである。なお、シール部34,35は、それぞれ回転シャフト12を回動可能に受ける役割も果たす。
【0045】
図9に示した構成によって、カバー部30でカバーされた内部空間に配置されたギヤボックス31は水密に保たれるので、推進装置1は、水上(または水中)において回転シャフト12を駆動でき、その結果、水上走行に利用するスクリュー7を効率よく回転することが可能である。
【0046】
図10は、図2に示した回転シャフトの詳細な構成の一例を示す構成図である。以下では、スクリュー7(図2参照)およびスクリュー用クラッチ13(図2参照)について、左右を区別して、左スクリュー7a、右スクリュー7b、左スクリュー用クラッチ13aおよび右スクリュー用クラッチ13bとして適宜記載する。
【0047】
左右の回転シャフト12(図2参照)は、詳細には、図10に示すように、左回転シャフト12aと、右回転シャフト12bと、左ギヤシャフト12cと、右ギヤシャフト12dとを備えている。左回転シャフト12aは、左側の回転シャフト12(図2参照)の一部であり、先端(左端)に左スクリュー7aが取り付けられている。同様に、右回転シャフト12bは、右側の回転シャフト12(図2参照)の一部であり、先端(右端)に右スクリュー7bが取り付けられている。
【0048】
左ギヤシャフト12cは、一端(左側)が左スクリュー用クラッチ13aに接続されていると共に、他端(右側)が左ギヤ41aを介してプロペラシャフト2の内側ギヤ10に接続されている。同様に、右ギヤシャフト12dは、一端(左側)が右ギヤ41bを介してプロペラシャフト2の内側ギヤ10に接続されていると共に、他端(右側)が右スクリュー用クラッチ13bに接続されている。
【0049】
ここで、内側ギヤ10が回転すると、左ギヤ41aと右ギヤ41bは互いに逆方向に回転する。例えば、内側ギヤ10が、推進装置1の後方から視て時計回りに回転(右回転)すると、左ギヤ41aは、左方から視て時計回りに回転(右回転)すると共に、右ギヤ41bは右方から視て時計回りに回転(右回転)する。これにより、左右の回転シャフト12(図2参照)は、互いに逆方向に回転する。したがって、当該回転シャフト12に取り付けられた左スクリュー7aおよび右スクリュー7bも互いに逆方向に回転することによって、装着パイプ3(図9参照)内に水を取り込むことが可能になる。
【0050】
図10に示した構成によって、例えば、左スクリュー用クラッチ13aを連結すると、左回転シャフト12aと左ギヤシャフト12cとが一体となって回転シャフト12(図2参照)を形成して回転可能となる。これにより、プロペラシャフト2の内側ギヤ10からの駆動力は、左ギヤ41aを介して、左スクリュー7aに伝達される。一方、左スクリュー用クラッチ13aを切ると(分離すると)、左スクリュー7aは停止する。なお、右スクリュー7bも同様である。
【0051】
したがって、第1の実施形態に係る推進装置1を装着した水陸両用車両20(図3および図4参照)の水上での運転中に、例えば、左スクリュー用クラッチ13aを連結すると共に、右スクリュー用クラッチ13bを連結した場合に、左スクリュー7aおよび右スクリュー7bが回転し、左右の給水口6から取り込んだ水を噴射口8からジェット噴射として効果的に噴射することができる。
【0052】
この場合、左スクリュー用クラッチ13aを連結すると共に、右スクリュー用クラッチ13bを切った場合には、左スクリュー7aのみが回転し、左の給水口6から取り込んだ水は、噴射口8および右の給水口6から噴射する。その結果、水陸両用車両20(図3および図4参照)は、左方に回転(左転)する。逆に、左スクリュー用クラッチ13aを切ると共に、右スクリュー用クラッチ13bを連結した場合には、水陸両用車両20は、右方に回転(右転)する。なお、両スクリュー用クラッチ13a,13bを切った場合には、水陸両用車両20の噴射口8から強制的に噴射される水は生じない。したがって、水陸両用車両20は、やがて停止することになる。
【0053】
第1の実施形態によれば、左右方向から取得した水を後方にジェット噴射することで、水上での推進力を高めることができると共に、スクリュー用クラッチを制御するだけで方向転換を容易に行うことが可能となる。
【0054】
(第2の実施形態)
図11は、本発明の第2の実施形態に係る水陸両用車両用の推進装置の一例を示す模式図であって、(a)は内部を一部透視した平面図、(b)は内部を一部透視した背面側方から視た斜視図、(c)は(a)に示したホイール用クラッチの正面図、(d)はホイール用クラッチの別の例を示している。
【0055】
推進装置1Aは、図11に示すように、左右のホイール用クラッチ61を備えている点を除いて、図1乃至図10に示した推進装置1と同様の構成なので、同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。ただし、図11では、左ギヤシャフト12cは、水平方向(左右方向の)の左回転シャフト12aに対して垂直となるように(プロペラシャフト2と平行となるように)配置され、同様に、右ギヤシャフト12dは、水平方向の右回転シャフト12bに対して垂直となるように配置されている。また、左ギヤ41aおよび右ギヤ41bは外側ギヤ9を介してプロペラシャフト2から駆動力を取得する。また、左右のスクリュー用クラッチ13a,13bは、左右のギヤボックス内に配置されている。各ギヤボックスには、回転軸を90度変換するために図示しないギヤが互いに逆向きに設けられている。なお、左右のスクリュー用クラッチ13a,13bは、必ずしも左右のギヤボックス内に配置される必要はなく、左ギヤシャフト12および右ギヤシャフト12dの任意の位置に設けるようにしてもよい。
【0056】
ここで、外側ギヤ9が回転すると、左ギヤ41aと右ギヤ41bは両方とも外側ギヤ9とは逆方向に回転する。例えば、外側ギヤ9が、推進装置1の後方から視て時計回りに回転(右回転)すると、左ギヤ41aおよび右ギヤ41cは、ともに後方から視て反時計回りに回転(左回転)する。これにより、各ギヤボックス内の図示しないギヤを介して、左回転シャフト12aおよび右回転シャフト12bが互いに逆方向に回転する。したがって、当該左回転シャフト12aおよび右回転シャフト12bに取り付けられた左スクリュー7aおよび右スクリュー7bも互いに逆方向に回転することによって、仮想線で示す装着パイプ3内に水を取り込むことが可能になる。
【0057】
図11に示すように、左右のホイール用クラッチ61は、左回転シャフト12aの先端(左端)および右回転シャフト12bの先端(右端)にそれぞれ設けられている。このホイール用クラッチ61は、左回転シャフト12a(または右回転シャフト12b)とホイール4との間を連結または分離することによって、プロペラシャフト2の外側ギヤ9と、ホイール4との間を連結または分離するものである。これにより、左右のホイール用クラッチ61は、左右のホイール4の動作を制御する。なお、ホイール用クラッチ61が接続されたホイール4は、図示を省略したが、推進装置1Aが搭載される水陸両用車両20(図3参照)の本体に設けられた支持部材で円筒部21が回動自在に支持されており、また、ホイール用クラッチ61のクラッチ板を例えばホイール4側に移動する図示しない移動機構が備えられる。また、ホイール用クラッチ61は、同じく本体に固定される、仮想線で示した装着パイプ3の水平パイプの両端(好ましくはパイプ内であるが、パイプ外でもよい)で回動できるように構成されている。このホイール用クラッチ61を連結する場合には、スクリュー用クラッチ13a,13bを連結しておく。また、ホイール用クラッチ61を切っている場合でも、スクリュー用クラッチ13a,13bを連結しておけば、推進装置1Aを搭載した水陸両用車両20(図3および図4参照)は水上で前進することができる。
【0058】
ホイール用クラッチ61では、そのクラッチ板が、図11の(c)に示すように、外枠部62と、中心にシャフト用孔63が穿設された内輪部64と、外枠部62と内輪部64とを連結する複数(図では4個)の外枠支持部65とを備えている。
ホイール用クラッチ61は、いわゆる噛み合いクラッチから構成されており、外枠部62には、図示は省略するが、ホイール4の円筒部21(図11の(b)参照)の先端周縁に形成された接合部(図示しない)と噛み合う爪を有している。なお、これは一例であって、爪は、ホイール4の円筒部21の先にホイールギヤ11(図2参照)が設けられている場合には、このホイールギヤ11と噛み合うように構成される。
【0059】
内輪部64には、シャフト用孔63に挿入された左回転シャフト12aおよび右回転シャフト12bがそれぞれ固定されている。
外枠支持部65は、内輪部64から外枠部62に放射状に形成され、内輪部64の回転を外枠部62に確実に伝達する強度を保持する材質およびサイズを有している。
【0060】
これら外枠部62、内輪部64および外枠支持部65によって、液体透過部(隙間)66が形成されており、スクリュー7によって、給水口6(図1参照)から流入する水は、この液体透過部66を介してホイール用クラッチ61を通過して推進装置1A内部に取り込まれ、噴射口8(図1参照)から噴射される。
【0061】
ホイール用クラッチ61のクラッチ板の形状は、図11の(c)に示すものに限定されるものではなく、例えば、図11の(d)に示すような形状でもよい。ホイール用クラッチ61Aのクラッチ板の形状は、図11の(d)に示すように、外枠支持部65Aが碁盤状に並設されている点を除いて、図11の(c)に示したものと同様である。この場合には、液体透過部(隙間)66Aが、網目状になって、図11の(c)に示した液体透過部(隙間)66よりも細かくなるので、通過する水を収束し易く水流の勢いの低減を防止し易くなる。なお、外枠支持部65の放射状の形状にさらに同心円状の形状を追加することにより、網目状の隙間を形成するようにしてもよい。
【0062】
第2の実施形態に係る推進装置1Aを装着した水陸両用車両20(図3および図4参照)は、陸上での運転中には、ホイール用クラッチ61(または61A)を連結する。これにより、ホイール4が駆動してタイヤ5が回転するので、水陸両用車両20は陸上で前進することができる。また、水陸両用車両20は、水上での運転中には、ホイール用クラッチ61(または61A)を切る。これにより、ホイール4およびタイヤ5が停止する。その結果、水上の運転中には、タイヤ5を回転させずに移動できるので、水上または水中に浮遊する浮遊物をタイヤ5に巻き込む虞がなくなる。
【0063】
第2の実施形態によれば、ホイール用クラッチ61(または61A)を備えているので、水上での運転中に、スクリュー7を回転させつつ、ホイール4およびタイヤ5の回転を停止することができる。その結果、タイヤ巻き込みに起因した故障等を未然に防ぐことができる。
【0064】
[自動操舵装置]
<自動操舵装置の構成>
図1に示した推進装置1を自動的に操舵する自動操舵装置を図12乃至図14を参照して説明する。図12は、図1に示した推進装置を自動操舵する自動操舵装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。
自動操舵装置50は、水上において、推進装置1の左右のスクリュー用クラッチ13a,13bを自動的に連結または分離するものであり、図12に示すように、入力手段51と、位置情報取得手段52と、コンパス(方位測定手段)53と、記憶手段54と、電力増幅回路55(55a,55b)と、クラッチ制御手段56とを備えている。ここで、自動操舵装置50は、推進装置1(図1乃至図10参照)と共に水陸両用車両20(図3参照)に搭載されている。なお、図1乃至図10に示した推進装置1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0065】
入力手段51は、水陸両用車両20の目的地(搭乗者の目的地)の位置に関する目的位置情報(緯度、経度)を入力するものであり、例えば、専用のボタン、テンキー、タッチパネルなどのポインティングデバイスから構成される。この入力手段51に入力された目的位置情報は、クラッチ制御手段56に出力される。なお、水陸両用車両20は、図示しないイグニッションスイッチを備えており、このイグニッションスイッチのON/OFFに対応した信号(始動命令/停止命令)も、クラッチ制御手段56に出力される。
【0066】
位置情報取得手段52は、アンテナATNを介してGPS(Global Positioning System)衛星から水陸両用車両20の現在位置に関する現在位置情報(緯度、経度)を取得し、取得した現在位置情報をクラッチ制御手段56に出力するものである。
【0067】
コンパス(方位測定手段)53は、水陸両用車両20の現在の進路の方位(現在方位)を測定し、現在方位に関する進路方位情報θをクラッチ制御手段56に出力するものである。ここで、進路方位情報θとは、例えば、1周を360°として、所定の方位(東西南北等)に割り当てられた角度の値である。
【0068】
記憶手段54は、入力手段51に入力された目的位置情報(緯度、経度)と、クラッチ制御手段56による処理に用いられる各種制御プログラムや各種データ等とを記憶するものであって、例えば、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、HDD(Hard Disk Drive)とから構成されている。
【0069】
電力増幅回路55(55a,55b)は、クラッチ制御手段56から入力される制御信号を増幅し、電磁クラッチである左右のスクリュー用クラッチ13a,13bにそれぞれ出力するものである。この電力増幅回路55は、例えば、オペアンプ、または、FET(Field Effect Transistor)などの半導体素子を備えている。
【0070】
クラッチ制御手段56は、CPU(Central Processing Unit)が、例えばHDDに記憶された制御プログラムをRAMに展開することにより以下の各種機能を実現する。すなわち、クラッチ制御手段56は、入力手段51で入力された目的位置情報(緯度、経度)と、位置情報取得手段52で取得された現在位置情報(緯度、経度)とに基づいて、目的地への進路の方角である目的方位情報θendを算出する機能(目的方位情報算出手段)を有している。また、クラッチ制御手段56は、算出した目的方位情報θendと、コンパス53で測定された進路方位情報θとの差分に基づいて、左右のスクリュー用クラッチ13a,13bをそれぞれ連結または分離させる制御信号(左制御信号Lct、右制御信号Rct)を生成する機能(制御信号生成手段)を有している。このクラッチ制御手段56で生成された制御信号(左制御信号Lct、右制御信号Rct)は、電力増幅回路55(55a,55b)に出力される。ここで、目的方位情報θendは、進路方位情報θと同様なものであり、1周を360°として、所定の方位(東西南北等)に割り当てられた角度の値である。
【0071】
このクラッチ制御手段56は、左制御信号Lctおよび右制御信号Rctとして、例えば、連結を示すフラグ「1」と、分離を示すフラグ「0」とのいずれかを選択して制御信号を生成する。これらの制御信号の組合せによって、推進装置1および水陸両用車両20は、表1に示すように、駆動される。
【0072】
【表1】

【0073】
クラッチ制御手段56は、目的方位情報θendと進路方位情報θとの差分が予め定められた許容範囲内である場合に、表1に示すように、左制御信号Lctおよび右制御信号Rctをそれぞれ「1」とすることにより、左右のスクリュー用クラッチ13a,13bをそれぞれ連結(ON)する。これにより、左スクリュー7aおよび右スクリュー7bがそれぞれ回転する。したがって、操舵結果は「直進」となる。
【0074】
また、クラッチ制御手段56は、目的方位情報θendと進路方位情報θとの差分が予め定められた許容範囲を超え、かつ、水陸両用車両20の進路の方位を目的地の方位に向けて修正するために左転が必要である場合に、表1に示すように、左制御信号Lctを「1」、右制御信号Rctを「0」とすることにより、左スクリュー用クラッチ13aを連結すると共に、右スクリュー用クラッチ13bを分離(OFF)する。これにより、左スクリュー7aは回転し、右スクリュー7bは停止する。したがって、操舵結果は「左転」となる。
【0075】
また、クラッチ制御手段56は、目的方位情報θendと進路方位情報θとの差分が予め定められた許容範囲を超え、かつ、水陸両用車両20の進路の方位を目的地の方位に向けて修正するために右転が必要である場合に、表1に示すように、左制御信号Lctを「0」、右制御信号Rctを「1」とすることにより、右スクリュー用クラッチ13bを連結すると共に、左スクリュー用クラッチ13aを分離する。これにより、左スクリュー7aは停止し、右スクリュー7bは回転する。したがって、操舵結果は「右転」となる。
【0076】
さらに、クラッチ制御手段56は、図示しないイグニッションスイッチがOFFされて、それに対応した信号(停止命令)が入力された場合に、表1に示すように、左制御信号Lctおよび右制御信号Rctをそれぞれ「0」とすることにより、左右のスクリュー用クラッチ13a,13bをそれぞれ分離する。これにより、左スクリュー7aおよび右スクリュー7bがそれぞれ停止する。したがって、操舵結果は「停止」となる。
【0077】
<クラッチ制御手段の判別基準>
クラッチ制御手段56は、目的方位情報θendが式(1)で示される条件を満足するか否かを判別することにより、目的方位情報θendと進路方位情報θとの差分が予め定められた許容範囲内か否かを判定する。
【0078】
(θ−Δθ)≦θend≦(θ+Δθ) … 式(1)
ただし、Δθは予め定められた許容方位に関する情報であり、例えば、目的方位情報θendや進路方位情報θに対応した角度の値である。
【0079】
クラッチ制御手段56は、水陸両用車両20の進路の方位を目的地の方位に向けて修正するために左転が必要なのか右転が必要なのかを判定するために、目的方位情報θendと進路方位情報θとの差分が式(2)で示される条件を満足するか否かを判別する。
【0080】
(θend−θ)>0 … 式(2)
【0081】
また、クラッチ制御手段56は、目的方位情報θendと進路方位情報θとの差分が前記した式(2)で示される条件を満足すると判別した場合、目的方位と進路方位との偏差Aを式(3)で計算し、この偏差Aが180°より大きい場合に左転が必要であると判定し、そうでない場合に右転が必要であると判定する。
【0082】
A=θend−θ … 式(3)
【0083】
また、クラッチ制御手段56は、目的方位情報θendと進路方位情報θとの差分が前記した式(2)で示される条件を満足しないと判別した場合、目的方位と進路方位との偏差Aを式(4)で計算し、この偏差Aが180°より大きい場合に左転が必要であると判定し、そうでない場合に右転が必要であると判定する。
【0084】
A=360°−|θend−θ| … 式(4)
【0085】
<自動操舵装置の動作>
次に、図13を参照(適宜図12参照)して、クラッチ制御手段の動作を中心に自動操舵装置の動作について説明する。図13は、図12に示したクラッチ制御手段の動作を示すフローチャートである。前提として、水上において、自動操舵装置50は、図示しないイグニッションスイッチのONに対応した信号(始動命令)が入力され、ユーザ(または運転者)の操作にしたがって、入力手段51によって、水陸両用車両20の目的地の位置に関する目的位置情報(緯度、経度)を入力する(入力ステップ)。また、自動操舵装置50は、作動中に常に、位置情報取得手段52によって、水陸両用車両20の現在位置に関する現在位置情報を取得し(位置情報取得ステップ)、コンパス53によって、水陸両用車両20の現在の進路の方位を測定する(方位測定ステップ)。
【0086】
この場合、クラッチ制御手段56は、目的位置情報(緯度、経度)と、位置情報取得手段52で取得された現在位置情報(緯度、経度)とに基づいて、目的方位情報θendを算出する(ステップS1)。そして、クラッチ制御手段56は、前記した式(1)に基づいて、算出した目的方位情報θendと進路方位情報θとの差分が予め定められた許容範囲内であるか否かを判定する(ステップS2)。許容範囲内の場合(ステップS2:Yes)、クラッチ制御手段56は、左制御信号Lctおよび右制御信号Rctをそれぞれ「1」とする(ステップS3)。これにより、自動操舵装置50の操舵結果は、前記した表1に示すように「直進」となる。続いて、クラッチ制御手段56は、図示しないタイマによって所定時間Δtが経過したか否かを判別する(ステップS4)。所定時間Δtが経過した場合(ステップS4:Yes)、クラッチ制御手段56は、ステップS2に戻る。
【0087】
また、クラッチ制御手段56は、図示しないイグニッションスイッチのOFFに対応した信号(停止命令)が入力されたか否かを判別しており(ステップS5)、所定時間Δtが経過していなくても(ステップS4:No)、停止命令が入力された場合(ステップS5:Yes)、左制御信号Lctおよび右制御信号Rctをそれぞれ「0」とする(ステップS6)。これにより、自動操舵装置50の操舵結果は、前記した表1に示すように「停止」となるので、クラッチ制御手段56は処理を終了する。停止命令が入力されていない場合(ステップS5:No)、クラッチ制御手段56は、ステップS4に戻る。
【0088】
ステップS2においてNoの場合、すなわち、目的方位情報θendと進路方位情報θとの差分が許容範囲を超えた場合、クラッチ制御手段56は、その差分が前記した式(2)で示される条件を満足するか否かを判別する(ステップS7)。前記した式(2)を満足する場合には(ステップS7:Yes)、クラッチ制御手段56は、目的方位と進路方位との偏差Aを前記した式(3)で計算し(ステップS8)、前記した式(2)を満足しない場合には(ステップS7:No)、偏差Aを前記した式(4)で計算する(ステップS9)。
【0089】
ステップS8またはステップS9に続いて、クラッチ制御手段56は、偏差Aが180°より大きいか否かを判別する(ステップS10)。偏差Aが180°より大きい場合には(ステップS10:Yes)、クラッチ制御手段56は、左転が必要であると判定し、左制御信号Lctを「1」、右制御信号Rctを「0」とする(ステップS11)。これにより、自動操舵装置50の操舵結果は、前記した表1に示すように「左転」となる。一方、偏差Aが180°以下の場合には(ステップS10:No)、クラッチ制御手段56は、右転が必要であると判定し、左制御信号Lctを「0」、右制御信号Rctを「1」とする(ステップS12)。これにより、自動操舵装置50の操舵結果は、前記した表1に示すように「右転」となる。そして、ステップS11またはステップS12に続いて、クラッチ制御手段56は、ステップS2に戻る。
【0090】
<許容範囲を超えた場合の具体例>
図13に示したフローチャートにおいて、目的方位情報θendと進路方位情報θとの差分が許容範囲を超えた場合(ステップS2:No)のクラッチ制御手段56の動作の具体例について図14を参照して説明する。図14は、図13に示したフローチャートで許容範囲を超えた場合の説明図であって、(a)は目的方位情報と進路方位情報との差分の例、(b)は(a)に示した差分の例に対応した操舵結果を示している。
【0091】
ここでは、図14の(a)に示すように、北(N)を0°、東(E)を90°、南(S)を180°、西(W)を270°と設定した。図14に示すように、例えば、転回例R1は、目的方位情報θendが「140°」、進路方位情報θが「50°」の場合の具体例である。この場合、前記した式(2)を満足するので、偏差Aは前記した式(3)で計算され「90°」となり、これは180°以下なので、操舵結果は「右転」となる。転回例R2〜R5の場合にも同様の計算を行うことができる。以上をまとめると、図14の(b)に示す操舵結果がそれぞれ得られる。
【0092】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その趣旨を変えない範囲でさまざまに実施することができる。例えば、第2の実施形態の推進装置1Aでは、ホイール用クラッチ61(または61A)は、図11に示すように、スクリュー用クラッチ13a,13bよりもホイール4に近い位置に設けたが、逆に、遠い位置にホイール用クラッチを設けることも可能である。例えば、図2を参照して、左ギヤ41aおよび右ギヤ41bが内側ギヤ10を介してプロペラシャフト2から駆動力を取得する場合に、外側ギヤ9とホイールギヤ11とを連結または分離するために、外側ギヤ9を移動させるホイール用クラッチを設けることができる。このとき、例えば、プロペラシャフト2を同軸の2重構造として外側ギヤ9の位置を内側ギヤ10の位置と比べて前後に移動できるように構成してもよい。この場合には、ホイール用クラッチは、スクリュー用クラッチ13a,13bと独立に制御できるので、かかる推進装置を装着した水陸両用車両20(図3および図4参照)は、陸上での移動中にスクリュー7の回転を停止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る水陸両用車両用の推進装置の一例を示す模式図であって、(a)は上方から視た斜視図、(b)は平面図、(c)は側方から視た斜視図を示している。
【図2】図1の(a)に示した推進装置の一部を透視した説明図である。
【図3】図1に示した推進装置を搭載した水陸両用車両の陸上での外観の一例を示す模式図であって、(a)は正面側方から視た斜視図、(b)は背面側方から視た斜視図を示している。
【図4】図1に示した推進装置を搭載した水陸両用車両の水上での外観の一例を示す模式図であって、(a)は正面側方から視た斜視図、(b)は背面側方から視た斜視図を示している。
【図5】図1に示した推進装置を構成する装着パイプの一例を示す構成図である。
【図6】図5に示した装着パイプにプロペラシャフトおよびホイールを装着した一例を示す構成図である。
【図7】図6に示したホイールの一例を示す構成図であって、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は右斜め前方から視た斜視図を示している。
【図8】図1の(b)に示した装着パイプの水平方向の断面の一例を示す説明図である。
【図9】図1の(b)に示した装着パイプの内部の構成の一例を示す説明図である。
【図10】図2に示した回転シャフトの詳細な構成の一例を示す構成図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る水陸両用車両用の推進装置の一例を示す模式図であって、(a)は内部を一部透視した平面図、(b)は内部を一部透視した背面側方から視た斜視図、(c)は(a)に示したホイール用クラッチの正面図、(d)はホイール用クラッチの別の例を示している。
【図12】図1に示した推進装置を自動操舵する自動操舵装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【図13】図12に示したクラッチ制御手段の動作を示すフローチャートである。
【図14】図13に示したフローチャートで許容範囲を超えた場合の説明図であって、(a)は目的方位情報と進路方位情報との差分の例、(b)は(a)に示した差分の例に対応した操舵結果を示している。
【符号の説明】
【0094】
1,1A 水陸両用車両用の推進装置
2 プロペラシャフト
3 装着パイプ
4 ホイール
5 タイヤ
6 孔(給水口)
7 スクリュー
8 噴射口
9 外側ギヤ(シャフト用ギヤ)
10 内側ギヤ(シャフト用ギヤ)
11 ホイールギヤ
12 回転シャフト
13 スクリュー用クラッチ
14 シャフトカバー
20 水陸両用車両
21 円筒部
22 リム
23,24 ベアリング
25 ナット
26〜29 支持部
30 カバー部
31 ギヤボックス
32,33 ベアリング
34〜36 シール部
41a 左ギヤ
41b 右ギヤ
50 自動操舵装置
51 入力手段
52 位置情報取得手段
53 コンパス(方位測定手段)
54 記憶手段
55(55a,55b) 電力増幅回路
56 クラッチ制御手段
61,61A ホイール用クラッチ
62 外枠部
63 シャフト用孔
64 内輪部
65,65A 外枠支持部
66,66A 液体透過部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンから伝達された駆動力で陸上用のホイールと水上用のスクリューとをそれぞれ回転させる水陸両用車両用の推進装置であって、
前記エンジンからの駆動力を少なくとも1つのシャフト用ギヤを介して前記ホイールおよび前記スクリューに伝達するプロペラシャフトと、
中心に孔を有した左右のホイールと、
水平パイプおよび垂直パイプによりT字形状に形成され、前記水平パイプの両端に、前記孔を介して前記ホイールがそれぞれ回転可能に取り付けられると共に、前記垂直パイプの開口が進行方向と反対方向に向けられた装着パイプと、
前記装着パイプの水平パイプの内部で前記左右のホイールの孔に対応した位置にそれぞれ収納され、前記プロペラシャフトから伝達される駆動力で前記装着パイプの水平パイプの中心軸周りに回転する左右の回転シャフトと、
前記回転シャフトに、当該回転シャフトと共に回転可能にそれぞれ1つ以上設けられた左右のスクリューと、
前記回転シャフトと前記プロペラシャフトとの間を連結または分離するように設けられ、前記左右のスクリューの動作を制御する左右のスクリュー用クラッチと、
を備えることを特徴とする水陸両用車両用の推進装置。
【請求項2】
前記プロペラシャフトと前記ホイールとの間を連結または分離するように設けられ、前記左右のホイールの動作を制御するホイール用クラッチをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の水陸両用車両用の推進装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の水陸両用車両用の推進装置を自動的に操舵する自動操舵装置であって、
前記水陸両用車両の目的地の位置に関する目的位置情報を入力する入力手段と、
前記水陸両用車両の現在位置に関する現在位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記水陸両用車両の現在の進路の方位を測定する方位測定手段と、
前記入力手段で入力された目的位置情報と、前記位置情報取得手段で取得された現在位置情報とに基づいて、前記目的地への進路の方角である目的方位情報を算出し、算出した目的方位情報と、前記方位測定手段で測定された現在の進路の方位に関する進路方位情報との差分に基づいて、前記左右のスクリュー用クラッチを連結または分離させるクラッチ制御手段と、
を備えることを特徴する自動操舵装置。
【請求項4】
前記クラッチ制御手段は、
前記目的方位情報と前記進路方位情報との差分が予め定められた許容範囲内である場合に、前記左右のスクリュー用クラッチをそれぞれ連結させるための制御信号を生成し、
前記目的方位情報と前記進路方位情報との差分が予め定められた許容範囲を超え、かつ、前記水陸両用車両の進路の方位を前記目的地の方位に向けて修正するために左転が必要である場合に、前記左のスクリュー用クラッチを連結すると共に、前記右のスクリュー用クラッチを分離するための制御信号を生成し、
前記目的方位情報と前記進路方位情報との差分が予め定められた許容範囲を超え、かつ、前記水陸両用車両の進路の方位を前記目的地の方位に向けて修正するために右転が必要である場合に、前記右のスクリュー用クラッチを連結すると共に、前記左のスクリュー用クラッチを分離するための制御信号を生成する、
ことを特徴する請求項3に記載の自動操舵装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の水陸両用車両用の推進装置を自動的に操舵する自動操舵方法であって、
前記水陸両用車両の目的地の位置に関する目的位置情報を入力する入力ステップと、
前記水陸両用車両の現在位置に関する現在位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記水陸両用車両の現在の進路の方位を測定する方位測定ステップと、
前記入力ステップで入力された目的位置情報と、前記位置情報取得ステップで取得された現在位置情報とに基づいて、前記目的地への進路の方角である目的方位情報を算出し、算出した目的方位情報と、前記方位測定ステップで測定された現在の進路の方位に関する進路方位情報との差分に基づいて、前記左右のスクリュー用クラッチを連結または分離させるクラッチ制御ステップと、
を含むことを特徴する自動操舵方法。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の水陸両用車両用の推進装置を自動的に操舵するために、コンピュータを、
前記水陸両用車両の目的地の位置に関する目的位置情報と、前記水陸両用車両の現在位置に関する現在位置情報とに基づいて、前記目的地への進路の方角である目的方位情報を算出する目的方位情報算出手段、
この目的方位情報算出手段で算出された目的方位情報と、前記水陸両用車両の現在の進路の方位に関する進路方位情報との差分に基づいて、前記左右のスクリュー用クラッチを連結または分離させるための制御信号を生成する制御信号生成手段、
として機能させることを特徴する自動操舵プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−125960(P2007−125960A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−319390(P2005−319390)
【出願日】平成17年11月2日(2005.11.2)
【出願人】(000125369)学校法人東海大学 (352)