氷海域における油回収方法
【課題】砕氷船又は耐氷船の推進器を利用して強い水流を作り、氷と油を乖離させて効率よく油を回収する方法を提供する。
【解決手段】砕氷船1により、流出油3の上にある氷盤4aの周りに開水路5を形成し、砕氷船1が一周してアイスブーム7により氷盤4aを囲んで固定し、砕氷船1の推進器を用いて、強い水流を生じさせ、その水流の流れによって、氷盤4aから流出油3を乖離させて、アイスブーム7とオイルフェンス6の間の開水路5に浮上させ、この流出油3を回収する。
【解決手段】砕氷船1により、流出油3の上にある氷盤4aの周りに開水路5を形成し、砕氷船1が一周してアイスブーム7により氷盤4aを囲んで固定し、砕氷船1の推進器を用いて、強い水流を生じさせ、その水流の流れによって、氷盤4aから流出油3を乖離させて、アイスブーム7とオイルフェンス6の間の開水路5に浮上させ、この流出油3を回収する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事故等により氷海域に流出した原油や重油などの油を回収する氷海域における油回収方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の氷海域での油回収方法は、氷海域に流出した原油や重油などの油に対して、アイスブームを一方の曳船と他方の曳船で一定の速度で同じ方向に曳いて、氷盤下面の原油や重油などの油と氷盤を乖離させ、開放水面に浮上した原油や重油などの油をオイルフェンスの展張により拡散を防止しながら油回収船により回収する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来の氷海域での油回収方法は、ブームとスキマーの併用、現場焼却、油分散剤による化学的処理等がある(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平11−247166号公報(段落0008、図1)
【非特許文献1】Karl-Ulrich Evers,et al.“EVALUATION OF VARIOUS OIL SPILL RESPONSE SYSTEMS AND METHODS FOR ICE-COVERED WATERS IN THE FRAMEWORK OF THE ARCOP PROGRAM?AN OVERVIEW",18th IAHR International Symposium on Ice 2006、pp214~215
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の方法については、2隻の船+油回収船が必要でコスト高となる他、曳船でアイスブームを用いて大量の氷を曳航するので、非常に大きな荷重が船やアイスブームに作用する。船の曳航能力やアイスブームの引張り強度には限界があるので、比較的速い船速でアイスブームを曳航することができず、氷の移動速度を大きくできないので、氷と氷盤下若しくは裂け氷の中に混在する油の乖離が十分に行われない。したがって、油回収船で油だけを効率よく回収することができないという課題があった。
【0006】
また、非特許文献1では、従来の開水中で使用実績のある油回収機器を転用して油を回収するオペレーションが殆どであるが、氷海域では氷と油が混在するために効率的に油だけを取り出して回収することができない。また、現場焼却はSOx等の有害成分が大量に発生するので、海洋汚染等が生じるため環境保護の面から好ましくなく、漁業被害も生じる。また、油分散剤は氷の密接度が小さい(氷の海面に占める割合が3/10以下)状態でしか用いることができない等の課題があった。
【0007】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、砕氷船又は耐氷船の推進器を利用して強い水流を作り、氷と油を乖離させて効率よく油を回収する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明における氷海域における油回収方法は、砕氷船又は耐氷船により、流出油の上にある氷盤又は流氷の周りに開水路を形成しながら、前記開水路の外側に沿ってオイルフェンスを、前記開水路の内側の前記氷盤又は前記流氷に沿ってアイスブームを投入し、
前記砕氷船又は前記耐氷船が一周して前記アイスブームにより前記氷盤又は前記流氷を囲んで固定し、前記砕氷船又は前記耐氷船の推進器を用いて、強い水流を生じさせ、その水流の流れによって、前記氷盤又は前記流氷から前記流出油を乖離させて、前記アイスブームと前記オイルフェンスの間の前記開水路に浮上させ、この流出油を回収するものである。
【0009】
また、前記アイスブームの固定は、前記アイスブームの両終端を前記砕氷船又は前記耐氷船に繋ぎ止めて行い、前記推進器による水流は前記砕氷船又は耐氷船の停泊している開水路の反対側の開水路に向けるものである。
【0010】
また、前記推進器にアジマス推進器やポッド推進器等の旋回式推進器を用いるものである。
【0011】
また、前記流出油が比較的に少ないときは、前記オイルフェンスを用いないものである。
【0012】
また、前記砕氷船又は耐氷船に油回収装置を備え、前記開水路に浮上した流出油を前記油回収装置により回収するものである。
【0013】
また、油回収船の油回収装置により、前記開水路に浮上した流出油を回収するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、砕氷船又は耐氷船により、流出油の上にある氷盤又は流氷の周りに開水路を形成しながら、前記開水路の外側に沿ってオイルフェンスを、前記開水路の内側の前記氷盤又は前記流氷に沿ってアイスブームを投入し、前記砕氷船又は前記耐氷船が一周して前記アイスブームにより前記氷盤又は前記流氷を囲んで固定し、砕氷船又は耐氷船の推進器を用いて、強い水流を生じさせ、その水流の流れによって、氷盤又は流氷から流出油を乖離させて、アイスブームとオイルフェンスの間の開水路に浮上させ、この流出油を回収するので、氷と油を乖離させて効率よく油を回収することができる。また、油回収機能を有する船なら単独、または、砕氷船又は耐氷船と油回収船の2隻で油回収をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
実施の形態1.
本実施の形態は、氷盤の下に油が流出している場合に、砕氷船の推進器を利用して強い水流を作り、氷と油を乖離させて効率よく油を回収する方法であり、以下、本方法について図を用いて説明する。
図1〜5は本発明の実施の形態1に係る流出油の回収方法の手順を示す図であり、図1は、砕氷船が油流出地点に到着する手順1を示す図、図2は、砕氷船が流出油の周りの氷盤を砕氷し開水路を作る手順2を示す図、図3は、砕氷船が流出油の周囲を1周した後に氷盤を固定する手順3を示す図、図4は砕氷船の推進器により強い水流を作って氷盤と流出油を乖離させる手順4を示す図、図5は砕氷船が流出油を回収する手順4aを示す図である。
【0016】
事故等により氷海域に原油や重油などの油が流出した場合、砕氷船1が図1に示す様に油流出地点に到着する(手順1)。この時、油回収船2を伴ってもよいし、油回収機能を有する砕氷船であれば単独でもよい。次に、図2に示すように砕氷船1が回収する流出油3の上にある氷盤4を流出油3を囲むように砕氷して開水路5を作る(手順2)。砕氷船1が開水路5を作る時に、砕氷船1から開水路5の内側の氷盤4aの外周に沿ってアイスブーム7、開水路5の外側に沿ってオイルフェンス6を投入する。なお、氷盤4は平坦氷でも氷丘で構成された氷盤でもよい。
なお、流出油の量が比較的少ない場合は、オイルフェンス6は投入しなくてもよい。
【0017】
オイルフェンス6は、従来、開水中で用いられるオイルフェンスである。アイスブーム7は氷を堰き止めるが油は透過する機能を有するものであれば何でもよく、形状としては漁業で従来から用いられている「まき網」のようなものでよく、水深方向の網の長さは2m程度あれば十分である。
0 図6はアイスブームとして用いられる例としてのまき網を示し、浮子12、まき網13、沈子14等からなる。図7はオイルフェンスを示し、図7(a)は上部に設けられたフロート15、スカート16等からなるカーテン式オイルフェンス、図7(a)は、スカート16の中間部にフロート17を設けた衝立式オイルフェンスを示す。
【0018】
次に、図3に示すように砕氷船1が流出油3の周囲を1周した後、アイスブーム7の両終端を砕氷船1に繋ぎ止めて、流出油3の上に有る氷盤4を動かない様に固定する(手順3)。その後、図4に示す様に砕氷船1の推進器を利用し、氷盤4の下に満遍なく強い水流8を作って氷盤4と流出油3を乖離させる(手順4)。この場合、砕氷船1の推進器がアジマス推進器やポッド推進器等の旋回式推進器であれば、水流8を放射状に作ることができ、効率的に氷盤4と流出油3を乖離することができる。砕氷船1と反対側の開水路5中に押し出された流出油3、若しくは開水路5の外側に有るオイルフェンス6に堰き止められて拡散が防止された流出油3は、アイスブーム7とオイルフェンス6の間の開水路5に停滞する。
【0019】
この時、砕氷船1と反対側の開水路中に位置する油回収船2が押し出された流出油3を、油回収装置9を用いて回収する。なお、油回収船2を使わないで、図5に示す様に砕氷船1が流出油3を油回収装置9で回収してもよい(手順4a)。
なお、図5では、既に油と氷盤4aが分離され、水流がないのでアイスブーム7が流されることは殆どないので、アイスブーム7の末端を固定してないが、ブイ等に固定しておけば効率的である。
【0020】
以上のように、砕氷船1により、流出油3の上にある氷盤4aの周りに開水路5を形成し、砕氷船1が一周してアイスブーム7により氷盤4aを囲んで固定し、砕氷船1の推進器を用いて、強い水流を生じさせ、その水流の流れによって、氷盤4aから流出油3を乖離させて、アイスブーム7とオイルフェンス6の間の開水路5に浮上させ、この流出油3を回収するので、油回収機能を有する船なら単独で、また、砕氷船1と油回収船2の2隻で、氷海域での油回収が可能であり、従来技術の様な2隻の船+油回収船を必要としない点でコスト的に優れている。また、砕氷船1の推進器を利用して大きな水流を発生させるため、氷と流出油との乖離効果が従来技術よりも優れており、効率的に油回収が行えると共に、大量の氷をある速度で曳航することが無いため、アイスブームに働く荷重を軽減できる等の利点がある。さらに、現場焼却や油分散剤を用いる等の処理を行わないので、化学的に有害な物質を生じることが無く、海洋汚染や漁業被害を最小限に抑えることができる。
【0021】
また、アイスブーム7の固定は、アイスブーム7の両終端を砕氷船1に繋ぎ止めて行い、推進器による水流は砕氷船1の停泊している開水路5の反対側の開水路5に向けるので、効率的に油回収をすることができる。
【0022】
また、推進器にアジマス推進器やポッド推進器等の旋回式推進器を用いるので、水流を放射状に作ることができ、効率的に氷盤と流出油を乖離することができる。
【0023】
また、流出油が比較的に少ないときは、オイルフェンス6を用いないのでオイルフェンス6は投入しなくてもよいので作業を簡単にすることができる。
【0024】
また、砕氷船1に油回収装置9を備え、開水路に浮上した流出油を油回収装置9により回収するので、油回収船2が不要となり、単独で回収でき、コスト的に優れている。
【0025】
また、油回収船2の油回収装置9により、開水路5に浮上した流出油を回収するので、砕氷船1に油回収装置9を備える必要がない。
【0026】
実施の形態2.
本実施の形態は、流氷中に油が流出している場合に、耐氷船の推進器を利用して強い水流を作り、氷と油を乖離させて効率よく油を回収する方法であり、以下、本方法について図を用いて説明する。
図8〜12は本発明の実施の形態1に係る流出油の回収方法の手順を示す図であり、図8は、砕氷船が油流出地点に到着する手順1を示す図、図9は、耐氷船が流出油の周りに開水路を作る手順2を示す図、図10は、耐氷船が流出油の周囲を1周した後に流氷を固定する手順3を示す図、図11は耐氷船の推進器により強い水流を作って流氷と流出油を乖離させる手順4を示す図、図12は耐氷船が流出油を回収する手順4aを示す図である。
【0027】
事故等により氷海域に原油や重油などの油が流出した場合、耐氷船11が図8に示す様に油流出地点に到着する(手順1)。この時、油回収船2を伴ってもよいし、油回収機能を有する耐氷船11であれば単独でもよい。次に、図9に示すように耐氷船11が回収する流出油3の上にある流氷10の周りに開水路5を作る(手順2)。耐氷船11が開水路5を作る時に、耐氷船11から開水路5の内側の流氷10の外周に沿ってアイスブーム7、開水路5の外側に沿ってオイルフェンス6を投入する。
なお、流出油の量が比較的少ない場合は、オイルフェンス6は投入しなくてもよい。
【0028】
オイルフェンス6は、従来、開水中で用いられるオイルフェンスである。アイスブーム7は氷を堰き止めるが油は透過する機能を有するものであれば何でもよく、形状としては漁業で従来から用いられている「まき網」のようなものでよく、水深方向の網の長さは2m程度あれば十分である。
【0029】
次に、図10に示すように耐氷船11が流出油3の周囲を1周した後、アイスブーム7の両終端を耐氷船11に繋ぎ止めて、流出油3の上に有る流氷10を囲うようにする( 手順3)。その後、図11に示す様に耐氷船11の推進器を利用し、流氷10の下に満遍なく強い水流8を作って流氷10と流出油3を乖離させる(手順4)。この場合、耐氷船11の推進器がアジマス推進器やポッド推進器等の旋回式推進器であれば、水流8を放射状に作ることができ、効率的に流氷10と流出油3を乖離することができる。耐氷船11と反対側の開水路5中に押し出された流出油3、若しくは開水路5の外側に有るオイルフェンス6に堰き止められて拡散が防止された流出油3は、アイスブーム7とオイルフェンス6の間の開水路5に停滞する。
【0030】
流氷10は強い水流8に流されて耐氷船11の反対側に集積するが、アイスブーム7によって堰き止められるので開水路5中に流れ出ることはない。この時、耐氷船11と反対側の開水路中に位置する油回収船2が押し出された流出油3を、油回収装置9を用いて回収する。なお、油回収船2を使わないで、図12に示す様に耐氷船11が流出油3を油回収装置9で回収してもよい(手順4a)。
【0031】
以上のように、耐氷船11により、流出油3の上にある流氷10の周りに開水路5を形成し、耐氷船11が一周してアイスブーム7により流氷10を囲んで固定し、耐氷船11の推進器を用いて、強い水流を生じさせ、その水流の流れによって、流氷10から流出油を乖離させて、アイスブーム7とオイルフェンス6の間の開水路5に浮上させ、この流出油3を回収するので、油回収機能を有する船なら単独で、また、耐氷船と油回収船の2隻で、氷海域での油回収が可能であり、従来技術の様な2隻の氷海船舶+油回収船を必要としない点でコスト的に優れている。また、耐水船11の推進器を利用して大きな水流を発生させるため、氷と流出油3との乖離効果が従来技術よりも優れており、効率的に油回収が行えると共に、大量の氷をある速度で曳航することが無いため、アイスブームに働く荷重を軽減できる等の利点がある。さらに、現場焼却や油分散剤を用いる等の処理を行わないので、化学的に有害な物質を生じることが無く、海洋汚染や漁業被害を最小限に抑えることが可能である。
【0032】
また、アイスブーム7の固定は、アイスブーム7の両終端を耐氷船11に繋ぎ止めて行い、推進器による水流は耐氷船11の停泊している開水路5の反対側の開水路5に向けるので、効率的に油回収をすることができる。
【0033】
また、推進器にアジマス推進器やポッド推進器等の旋回式推進器を用いるので、水流を放射状に作ることができ、効率的に氷盤と流出油を乖離することができる。
【0034】
また、流出油が比較的に少ないときは、オイルフェンス6を用いないので、オイルフェンス6は投入しなくてもよいので作業を簡単にすることができる。
【0035】
また、耐氷船11に油回収装置9を備え、開水路5に浮上した流出油を油回収装置9により回収するので、油回収船2が不要となり、単独で回収でき、コスト的に優れている。
【0036】
また、油回収船2の油回収装置9により、開水路5に浮上した流出油を回収するので、耐氷船11に油回収装置9を備える必要がない。
【0037】
なお、本実施の形態では、耐氷船11を用いた場合を示したが砕氷船を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態1に係る流出油の回収方法において、砕氷船が油流出地点に到着する手順1を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る流出油の回収方法において、砕氷船が流出油の周りの氷盤を砕氷し開水路を作る手順2を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る流出油の回収方法において、砕氷船が流出油の周囲を1周した後に氷盤を固定する手順3を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る流出油の回収方法において、砕氷船の推進器により強い水流を作って氷盤と流出油を乖離させる手順4を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る流出油の回収方法において、砕氷船が流出油を回収する手順4aを示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る流出油の回収方法において、アイスブームとして用いられるまき網の斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る流出油の回収方法において用いられるオイルフェンスの部分斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る流出油の回収方法において、耐氷船が油流出地点に到着する手順1を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る流出油の回収方法において、耐氷船が流出油の周りに開水路を作る手順2を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る流出油の回収方法において、耐氷船が流出油の周囲を1周した後に流氷を固定する手順3を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係る流出油の回収方法において、耐氷船の推進器により強い水流を作って流氷と流出油を乖離させる手順4を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態2に係る流出油の回収方法において、耐氷船が流出油を回収する手順4aを示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1 砕氷船 2 油回収船 3 流出油 4、4a 氷盤 5 開水路 6 オイルフェンス 7 アイスブーム 8 推進器による水流 9 油回収装置 10 流氷 11 耐氷船。
【技術分野】
【0001】
本発明は、事故等により氷海域に流出した原油や重油などの油を回収する氷海域における油回収方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の氷海域での油回収方法は、氷海域に流出した原油や重油などの油に対して、アイスブームを一方の曳船と他方の曳船で一定の速度で同じ方向に曳いて、氷盤下面の原油や重油などの油と氷盤を乖離させ、開放水面に浮上した原油や重油などの油をオイルフェンスの展張により拡散を防止しながら油回収船により回収する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来の氷海域での油回収方法は、ブームとスキマーの併用、現場焼却、油分散剤による化学的処理等がある(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平11−247166号公報(段落0008、図1)
【非特許文献1】Karl-Ulrich Evers,et al.“EVALUATION OF VARIOUS OIL SPILL RESPONSE SYSTEMS AND METHODS FOR ICE-COVERED WATERS IN THE FRAMEWORK OF THE ARCOP PROGRAM?AN OVERVIEW",18th IAHR International Symposium on Ice 2006、pp214~215
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の方法については、2隻の船+油回収船が必要でコスト高となる他、曳船でアイスブームを用いて大量の氷を曳航するので、非常に大きな荷重が船やアイスブームに作用する。船の曳航能力やアイスブームの引張り強度には限界があるので、比較的速い船速でアイスブームを曳航することができず、氷の移動速度を大きくできないので、氷と氷盤下若しくは裂け氷の中に混在する油の乖離が十分に行われない。したがって、油回収船で油だけを効率よく回収することができないという課題があった。
【0006】
また、非特許文献1では、従来の開水中で使用実績のある油回収機器を転用して油を回収するオペレーションが殆どであるが、氷海域では氷と油が混在するために効率的に油だけを取り出して回収することができない。また、現場焼却はSOx等の有害成分が大量に発生するので、海洋汚染等が生じるため環境保護の面から好ましくなく、漁業被害も生じる。また、油分散剤は氷の密接度が小さい(氷の海面に占める割合が3/10以下)状態でしか用いることができない等の課題があった。
【0007】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、砕氷船又は耐氷船の推進器を利用して強い水流を作り、氷と油を乖離させて効率よく油を回収する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明における氷海域における油回収方法は、砕氷船又は耐氷船により、流出油の上にある氷盤又は流氷の周りに開水路を形成しながら、前記開水路の外側に沿ってオイルフェンスを、前記開水路の内側の前記氷盤又は前記流氷に沿ってアイスブームを投入し、
前記砕氷船又は前記耐氷船が一周して前記アイスブームにより前記氷盤又は前記流氷を囲んで固定し、前記砕氷船又は前記耐氷船の推進器を用いて、強い水流を生じさせ、その水流の流れによって、前記氷盤又は前記流氷から前記流出油を乖離させて、前記アイスブームと前記オイルフェンスの間の前記開水路に浮上させ、この流出油を回収するものである。
【0009】
また、前記アイスブームの固定は、前記アイスブームの両終端を前記砕氷船又は前記耐氷船に繋ぎ止めて行い、前記推進器による水流は前記砕氷船又は耐氷船の停泊している開水路の反対側の開水路に向けるものである。
【0010】
また、前記推進器にアジマス推進器やポッド推進器等の旋回式推進器を用いるものである。
【0011】
また、前記流出油が比較的に少ないときは、前記オイルフェンスを用いないものである。
【0012】
また、前記砕氷船又は耐氷船に油回収装置を備え、前記開水路に浮上した流出油を前記油回収装置により回収するものである。
【0013】
また、油回収船の油回収装置により、前記開水路に浮上した流出油を回収するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、砕氷船又は耐氷船により、流出油の上にある氷盤又は流氷の周りに開水路を形成しながら、前記開水路の外側に沿ってオイルフェンスを、前記開水路の内側の前記氷盤又は前記流氷に沿ってアイスブームを投入し、前記砕氷船又は前記耐氷船が一周して前記アイスブームにより前記氷盤又は前記流氷を囲んで固定し、砕氷船又は耐氷船の推進器を用いて、強い水流を生じさせ、その水流の流れによって、氷盤又は流氷から流出油を乖離させて、アイスブームとオイルフェンスの間の開水路に浮上させ、この流出油を回収するので、氷と油を乖離させて効率よく油を回収することができる。また、油回収機能を有する船なら単独、または、砕氷船又は耐氷船と油回収船の2隻で油回収をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
実施の形態1.
本実施の形態は、氷盤の下に油が流出している場合に、砕氷船の推進器を利用して強い水流を作り、氷と油を乖離させて効率よく油を回収する方法であり、以下、本方法について図を用いて説明する。
図1〜5は本発明の実施の形態1に係る流出油の回収方法の手順を示す図であり、図1は、砕氷船が油流出地点に到着する手順1を示す図、図2は、砕氷船が流出油の周りの氷盤を砕氷し開水路を作る手順2を示す図、図3は、砕氷船が流出油の周囲を1周した後に氷盤を固定する手順3を示す図、図4は砕氷船の推進器により強い水流を作って氷盤と流出油を乖離させる手順4を示す図、図5は砕氷船が流出油を回収する手順4aを示す図である。
【0016】
事故等により氷海域に原油や重油などの油が流出した場合、砕氷船1が図1に示す様に油流出地点に到着する(手順1)。この時、油回収船2を伴ってもよいし、油回収機能を有する砕氷船であれば単独でもよい。次に、図2に示すように砕氷船1が回収する流出油3の上にある氷盤4を流出油3を囲むように砕氷して開水路5を作る(手順2)。砕氷船1が開水路5を作る時に、砕氷船1から開水路5の内側の氷盤4aの外周に沿ってアイスブーム7、開水路5の外側に沿ってオイルフェンス6を投入する。なお、氷盤4は平坦氷でも氷丘で構成された氷盤でもよい。
なお、流出油の量が比較的少ない場合は、オイルフェンス6は投入しなくてもよい。
【0017】
オイルフェンス6は、従来、開水中で用いられるオイルフェンスである。アイスブーム7は氷を堰き止めるが油は透過する機能を有するものであれば何でもよく、形状としては漁業で従来から用いられている「まき網」のようなものでよく、水深方向の網の長さは2m程度あれば十分である。
0 図6はアイスブームとして用いられる例としてのまき網を示し、浮子12、まき網13、沈子14等からなる。図7はオイルフェンスを示し、図7(a)は上部に設けられたフロート15、スカート16等からなるカーテン式オイルフェンス、図7(a)は、スカート16の中間部にフロート17を設けた衝立式オイルフェンスを示す。
【0018】
次に、図3に示すように砕氷船1が流出油3の周囲を1周した後、アイスブーム7の両終端を砕氷船1に繋ぎ止めて、流出油3の上に有る氷盤4を動かない様に固定する(手順3)。その後、図4に示す様に砕氷船1の推進器を利用し、氷盤4の下に満遍なく強い水流8を作って氷盤4と流出油3を乖離させる(手順4)。この場合、砕氷船1の推進器がアジマス推進器やポッド推進器等の旋回式推進器であれば、水流8を放射状に作ることができ、効率的に氷盤4と流出油3を乖離することができる。砕氷船1と反対側の開水路5中に押し出された流出油3、若しくは開水路5の外側に有るオイルフェンス6に堰き止められて拡散が防止された流出油3は、アイスブーム7とオイルフェンス6の間の開水路5に停滞する。
【0019】
この時、砕氷船1と反対側の開水路中に位置する油回収船2が押し出された流出油3を、油回収装置9を用いて回収する。なお、油回収船2を使わないで、図5に示す様に砕氷船1が流出油3を油回収装置9で回収してもよい(手順4a)。
なお、図5では、既に油と氷盤4aが分離され、水流がないのでアイスブーム7が流されることは殆どないので、アイスブーム7の末端を固定してないが、ブイ等に固定しておけば効率的である。
【0020】
以上のように、砕氷船1により、流出油3の上にある氷盤4aの周りに開水路5を形成し、砕氷船1が一周してアイスブーム7により氷盤4aを囲んで固定し、砕氷船1の推進器を用いて、強い水流を生じさせ、その水流の流れによって、氷盤4aから流出油3を乖離させて、アイスブーム7とオイルフェンス6の間の開水路5に浮上させ、この流出油3を回収するので、油回収機能を有する船なら単独で、また、砕氷船1と油回収船2の2隻で、氷海域での油回収が可能であり、従来技術の様な2隻の船+油回収船を必要としない点でコスト的に優れている。また、砕氷船1の推進器を利用して大きな水流を発生させるため、氷と流出油との乖離効果が従来技術よりも優れており、効率的に油回収が行えると共に、大量の氷をある速度で曳航することが無いため、アイスブームに働く荷重を軽減できる等の利点がある。さらに、現場焼却や油分散剤を用いる等の処理を行わないので、化学的に有害な物質を生じることが無く、海洋汚染や漁業被害を最小限に抑えることができる。
【0021】
また、アイスブーム7の固定は、アイスブーム7の両終端を砕氷船1に繋ぎ止めて行い、推進器による水流は砕氷船1の停泊している開水路5の反対側の開水路5に向けるので、効率的に油回収をすることができる。
【0022】
また、推進器にアジマス推進器やポッド推進器等の旋回式推進器を用いるので、水流を放射状に作ることができ、効率的に氷盤と流出油を乖離することができる。
【0023】
また、流出油が比較的に少ないときは、オイルフェンス6を用いないのでオイルフェンス6は投入しなくてもよいので作業を簡単にすることができる。
【0024】
また、砕氷船1に油回収装置9を備え、開水路に浮上した流出油を油回収装置9により回収するので、油回収船2が不要となり、単独で回収でき、コスト的に優れている。
【0025】
また、油回収船2の油回収装置9により、開水路5に浮上した流出油を回収するので、砕氷船1に油回収装置9を備える必要がない。
【0026】
実施の形態2.
本実施の形態は、流氷中に油が流出している場合に、耐氷船の推進器を利用して強い水流を作り、氷と油を乖離させて効率よく油を回収する方法であり、以下、本方法について図を用いて説明する。
図8〜12は本発明の実施の形態1に係る流出油の回収方法の手順を示す図であり、図8は、砕氷船が油流出地点に到着する手順1を示す図、図9は、耐氷船が流出油の周りに開水路を作る手順2を示す図、図10は、耐氷船が流出油の周囲を1周した後に流氷を固定する手順3を示す図、図11は耐氷船の推進器により強い水流を作って流氷と流出油を乖離させる手順4を示す図、図12は耐氷船が流出油を回収する手順4aを示す図である。
【0027】
事故等により氷海域に原油や重油などの油が流出した場合、耐氷船11が図8に示す様に油流出地点に到着する(手順1)。この時、油回収船2を伴ってもよいし、油回収機能を有する耐氷船11であれば単独でもよい。次に、図9に示すように耐氷船11が回収する流出油3の上にある流氷10の周りに開水路5を作る(手順2)。耐氷船11が開水路5を作る時に、耐氷船11から開水路5の内側の流氷10の外周に沿ってアイスブーム7、開水路5の外側に沿ってオイルフェンス6を投入する。
なお、流出油の量が比較的少ない場合は、オイルフェンス6は投入しなくてもよい。
【0028】
オイルフェンス6は、従来、開水中で用いられるオイルフェンスである。アイスブーム7は氷を堰き止めるが油は透過する機能を有するものであれば何でもよく、形状としては漁業で従来から用いられている「まき網」のようなものでよく、水深方向の網の長さは2m程度あれば十分である。
【0029】
次に、図10に示すように耐氷船11が流出油3の周囲を1周した後、アイスブーム7の両終端を耐氷船11に繋ぎ止めて、流出油3の上に有る流氷10を囲うようにする( 手順3)。その後、図11に示す様に耐氷船11の推進器を利用し、流氷10の下に満遍なく強い水流8を作って流氷10と流出油3を乖離させる(手順4)。この場合、耐氷船11の推進器がアジマス推進器やポッド推進器等の旋回式推進器であれば、水流8を放射状に作ることができ、効率的に流氷10と流出油3を乖離することができる。耐氷船11と反対側の開水路5中に押し出された流出油3、若しくは開水路5の外側に有るオイルフェンス6に堰き止められて拡散が防止された流出油3は、アイスブーム7とオイルフェンス6の間の開水路5に停滞する。
【0030】
流氷10は強い水流8に流されて耐氷船11の反対側に集積するが、アイスブーム7によって堰き止められるので開水路5中に流れ出ることはない。この時、耐氷船11と反対側の開水路中に位置する油回収船2が押し出された流出油3を、油回収装置9を用いて回収する。なお、油回収船2を使わないで、図12に示す様に耐氷船11が流出油3を油回収装置9で回収してもよい(手順4a)。
【0031】
以上のように、耐氷船11により、流出油3の上にある流氷10の周りに開水路5を形成し、耐氷船11が一周してアイスブーム7により流氷10を囲んで固定し、耐氷船11の推進器を用いて、強い水流を生じさせ、その水流の流れによって、流氷10から流出油を乖離させて、アイスブーム7とオイルフェンス6の間の開水路5に浮上させ、この流出油3を回収するので、油回収機能を有する船なら単独で、また、耐氷船と油回収船の2隻で、氷海域での油回収が可能であり、従来技術の様な2隻の氷海船舶+油回収船を必要としない点でコスト的に優れている。また、耐水船11の推進器を利用して大きな水流を発生させるため、氷と流出油3との乖離効果が従来技術よりも優れており、効率的に油回収が行えると共に、大量の氷をある速度で曳航することが無いため、アイスブームに働く荷重を軽減できる等の利点がある。さらに、現場焼却や油分散剤を用いる等の処理を行わないので、化学的に有害な物質を生じることが無く、海洋汚染や漁業被害を最小限に抑えることが可能である。
【0032】
また、アイスブーム7の固定は、アイスブーム7の両終端を耐氷船11に繋ぎ止めて行い、推進器による水流は耐氷船11の停泊している開水路5の反対側の開水路5に向けるので、効率的に油回収をすることができる。
【0033】
また、推進器にアジマス推進器やポッド推進器等の旋回式推進器を用いるので、水流を放射状に作ることができ、効率的に氷盤と流出油を乖離することができる。
【0034】
また、流出油が比較的に少ないときは、オイルフェンス6を用いないので、オイルフェンス6は投入しなくてもよいので作業を簡単にすることができる。
【0035】
また、耐氷船11に油回収装置9を備え、開水路5に浮上した流出油を油回収装置9により回収するので、油回収船2が不要となり、単独で回収でき、コスト的に優れている。
【0036】
また、油回収船2の油回収装置9により、開水路5に浮上した流出油を回収するので、耐氷船11に油回収装置9を備える必要がない。
【0037】
なお、本実施の形態では、耐氷船11を用いた場合を示したが砕氷船を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態1に係る流出油の回収方法において、砕氷船が油流出地点に到着する手順1を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る流出油の回収方法において、砕氷船が流出油の周りの氷盤を砕氷し開水路を作る手順2を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る流出油の回収方法において、砕氷船が流出油の周囲を1周した後に氷盤を固定する手順3を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る流出油の回収方法において、砕氷船の推進器により強い水流を作って氷盤と流出油を乖離させる手順4を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る流出油の回収方法において、砕氷船が流出油を回収する手順4aを示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る流出油の回収方法において、アイスブームとして用いられるまき網の斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る流出油の回収方法において用いられるオイルフェンスの部分斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る流出油の回収方法において、耐氷船が油流出地点に到着する手順1を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る流出油の回収方法において、耐氷船が流出油の周りに開水路を作る手順2を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る流出油の回収方法において、耐氷船が流出油の周囲を1周した後に流氷を固定する手順3を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係る流出油の回収方法において、耐氷船の推進器により強い水流を作って流氷と流出油を乖離させる手順4を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態2に係る流出油の回収方法において、耐氷船が流出油を回収する手順4aを示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1 砕氷船 2 油回収船 3 流出油 4、4a 氷盤 5 開水路 6 オイルフェンス 7 アイスブーム 8 推進器による水流 9 油回収装置 10 流氷 11 耐氷船。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
砕氷船又は耐氷船により、流出油の上にある氷盤又は流氷の周りに開水路を形成しながら、前記開水路の外側に沿ってオイルフェンスを、前記開水路の内側の前記氷盤又は前記流氷に沿ってアイスブームを投入し、
前記砕氷船又は前記耐氷船が一周して前記アイスブームにより前記氷盤又は前記流氷を囲んで固定し、
前記砕氷船又は前記耐氷船の推進器を用いて、強い水流を生じさせ、その水流の流れによって、前記氷盤又は前記流氷から前記流出油を乖離させて、前記アイスブームと前記オイルフェンスの間の前記開水路に浮上させ、この流出油を回収することを特徴とする氷海域における油回収方法。
【請求項2】
前記アイスブームの固定は、前記アイスブームの両終端を前記砕氷船又は前記耐氷船に繋ぎ止めて行い、前記推進器による水流は前記砕氷船又は耐氷船の停泊している開水路の反対側の開水路に向けることを特徴とする請求項1記載の氷海域における油回収方法。
【請求項3】
前記推進器にアジマス推進器やポッド推進器等の旋回式推進器を用いることを特徴とする請求項1または2記載の氷海域における油回収方法。
【請求項4】
前記流出油が比較的に少ないときは、前記オイルフェンスを用いないことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の氷海域における油回収方法。
【請求項5】
前記砕氷船又は前記耐氷船に油回収装置を備え、前記開水路に浮上した流出油を前記油回収装置により回収することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の氷海域における油回収方法。
【請求項6】
油回収船の油回収装置により、前記開水路に浮上した流出油を回収することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の氷海域における油回収方法。
【請求項1】
砕氷船又は耐氷船により、流出油の上にある氷盤又は流氷の周りに開水路を形成しながら、前記開水路の外側に沿ってオイルフェンスを、前記開水路の内側の前記氷盤又は前記流氷に沿ってアイスブームを投入し、
前記砕氷船又は前記耐氷船が一周して前記アイスブームにより前記氷盤又は前記流氷を囲んで固定し、
前記砕氷船又は前記耐氷船の推進器を用いて、強い水流を生じさせ、その水流の流れによって、前記氷盤又は前記流氷から前記流出油を乖離させて、前記アイスブームと前記オイルフェンスの間の前記開水路に浮上させ、この流出油を回収することを特徴とする氷海域における油回収方法。
【請求項2】
前記アイスブームの固定は、前記アイスブームの両終端を前記砕氷船又は前記耐氷船に繋ぎ止めて行い、前記推進器による水流は前記砕氷船又は耐氷船の停泊している開水路の反対側の開水路に向けることを特徴とする請求項1記載の氷海域における油回収方法。
【請求項3】
前記推進器にアジマス推進器やポッド推進器等の旋回式推進器を用いることを特徴とする請求項1または2記載の氷海域における油回収方法。
【請求項4】
前記流出油が比較的に少ないときは、前記オイルフェンスを用いないことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の氷海域における油回収方法。
【請求項5】
前記砕氷船又は前記耐氷船に油回収装置を備え、前記開水路に浮上した流出油を前記油回収装置により回収することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の氷海域における油回収方法。
【請求項6】
油回収船の油回収装置により、前記開水路に浮上した流出油を回収することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の氷海域における油回収方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−174949(P2008−174949A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−8361(P2007−8361)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(502116922)ユニバーサル造船株式会社 (172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(502116922)ユニバーサル造船株式会社 (172)
【Fターム(参考)】
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