説明

氷菓の成形容器,氷菓の製造方法

【課題】例えばキャラクターの顔等を模した複雑な形状を有するアイスキャンデー等の氷菓を,型崩れ等を生じさせることなく高品質で製造することが可能な氷菓の成形容器及び氷菓の製造方法を提供すること。
【解決手段】一面3側に型部5を有する第1の成形型1と,その第1の成形型1に対して,前記一面に沿う矢印A1−A2方向に摺接して前記第1の成形型1を内包し,その内包状態で前記型部5の周囲の略全週と密着する第2の成形型2と,を有する成形容器Aを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,アイスキャンデー,アイスクリーム,シャーベット等の氷菓を製造するときに前記氷菓を成形する氷菓の成形容器及び氷菓の製造方法に関するものであり,特に複雑な形状の前記氷菓を高品質で製造することが可能な氷菓の成形容器及び氷菓の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アイスキャンデー等の氷菓を製造する方法として,例えば特許文献1や特許文献2等に記載のように,前記氷菓を成形する成形容器を用いる方法が知られている。
特許文献1に記載の成形容器には開口部が形成されており,その開口部を介して前記成形容器の内部に氷菓の原料液(以下,ミックス)を流し込むことが可能である。また,内部に前記ミックスを保持する状態で前記成形容器を冷却することで,前記成形容器の内部に流し込まれた前記ミックスが凍結し,これにより氷菓が製造される。また,製造された氷菓は前記開口部を介して前記成形容器から抜き取られる。
ところで,氷菓(凍結した状態の前記ミックス)を前記成形容器から前記抜き取る際に,前記氷菓が大きく型崩れすることは,前記氷菓の品質を保つ上で許されない。しかし,特許文献1に記載の成形容器に前記ミックスを流し込んで前記氷菓を製造する方法では,凍結した前記ミックスの型崩れを防止するためには,前記成形容器の内部形状を複雑にすることができず,例えば直方体形状,円筒形状などの単純な形状の氷菓しか製造することができなかった。
【0003】
ところが,近年では,例えばキャラクターの顔を模した形状等の,複雑な形状を有するアイスキャンデー等の氷菓のニーズが高まっている。そこで,複雑な形状の氷菓を製造可能なものとして,例えば特許文献2等に示されるアイスキャンデー製造用の成形容器が知られている。
そのような,従来例に係るアイスキャンデーの成形容器Bを図13に示す。
図13に示されるように,従来例に係る成形容器Bは,金型101及び金型102からなるものである。略直方体の形状を有する前記金型101,102各々における特定の一面は,互いに対向して密着する合わせ面103,104として定められている。該合わせ面103,104の一方又は両方には,例えばキャラクターの顔等を模した形状の彫り込みである型部105が形成されている。また,前記合わせ面104には,一端が前記型部105に接続され,もう一端が前記合わせ面104に直交する直交面106側の外部に接続されている,溝形状のスティック保持部107が形成されている。
【0004】
以下,前記成形容器Bを用いた,従来例に係るアイスキャンデーの製造方法について説明する。
前記成形容器Bは,アイスキャンデーの製造時には前記合わせ面103の部分及び前記合わせ面104の部分が互いに対向して密着する状態にされる。また,前記スティック保持部107を介して,アイスキャンデーのスティックが前記成形容器Bの外部から前記型部105へと差し込まれる。これにより,前記スティック保持部107を形成する左壁107a及び右壁107bが前記スティックを挟み込む状態となり,前記スティックが前記スティック保持部107により保持される。その状態で,溝形状の前記スティック保持部107を介して前記ミックスが前記型部105へと流しこまれる。
前記型部105に前記ミックスが満たされた状態で,前記成形容器Bが例えば塩化カルシウム等の冷媒で満たされたブライン槽に浸される。これにより,前記成形容器Bごと前記型部105に満たされた前記ミックスが冷却され,凍結される。次に前記合わせ面103,104が互いに離間され,その後凍結された前記ミックスであるアイスキャンデーが前記金型101若しくは102から剥離される。
以上により,前記型部105に応じた形状を有し且つスティック付のアイスキャンデーが製造可能である。
【特許文献1】特開2003−116467号公報
【特許文献2】登録実用新案第3055289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,型部105に満たされた前記ミックスが冷却され凍結される際に,前記ミックスには膨張が生じる。このようなミックスの膨張により,合わせ面103と104との密着を維持することが困難となる。これにより,冷媒の液体である塩化カルシウムが前記型部105に侵入してミックスに混入し,アイスキャンデーを苦くする,若しくは前記ミックスが前記型部105から流れ出すことにより,前記ミックスの凍結後において前記ミックスのバリが生じる等,アイスキャンデーの品質を悪化させる諸問題が生じる。
また,複雑な形状のアイスキャンデーを製造する場合に,凍結された前記ミックスに型崩れを極力生じさせずに前記ミックスを前記金型101若しくは前記金型102から剥離することは非常に重要な技術的課題であるが,このような問題を解決する方法は特許文献及び特許文献2には何ら示されていない。
何故なら,前記型部105等で凍結したアイスキャンデーは,上記型部5に強固に付着しており,容易に剥がすことができない。また,無理に剥がすと,スティックが折れたり,あるいはアイスキャンデーに欠けが生じるためである。
以上のように,従来例に係る氷菓の成形容器及びそれを用いた前記氷菓の製造方法では,複雑な形状の氷菓を高品質で製造することが困難であった。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,例えばキャラクターの顔等を模した複雑な形状を有する氷菓を,型崩れ等を生じさせることなく高品質で製造することが可能な氷菓の成形容器及び氷菓の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は,一面側にアイスキャンデー等の氷菓の原料液(以下,ミックス)が充填可能な型部が形成された第1の成形型と,前記第1の成形型の前記一面に沿う所定方向に摺接することにより前記第1の成形型を内包する内包状態とそうでない非内包状態とに切り替え可能であり,前記内包状態において前記第1の成形型の一面側における前記型部の略全周と密着する第2の成形型と,を具備する氷菓の成形容器である。
このような成形容器によれば氷菓の成形(ミックスの凍結)は,前記第2の成形型が前記第1の成形型を内包する内包状態で行われるため,冷却時に前記ミックスに膨張が生じた場合でも前記第1の成形型と前記第2の成形型とが離間することは全くなく,冷媒の液体の前記型部への侵入,前記型部から外部への前記ミックスの流出が極力防止される。その結果,形状及び味の変質が防止され,高品質の氷菓を製造することが可能である。
ここで,前記第1の成形型及び/又は前記第2の成形型は熱伝導率の良い素材からなるものが望ましく,例えばアルミニウム等からなるものを用いるのが望ましい。
【0007】
更に,前記第1の成形型における前記所定方向側の端部と前記型部とを接続する注入経路を設ければ,前記内包状態において前記ミックスを前記型部に注入することが可能となる。これにより,予めブライン槽(冷媒の液体で満たされた槽)に浸され冷却された状態の当該成形容器にミックスを流し込む等の,冷却効率の良い氷菓の製造手順を採用することができる。
また,本発明は,内部にミックスが充填可能であり,当該成形容器の外部と内部とを連通して氷菓のスティックが外部から内部へと挿通可能な連通孔が形成された氷菓の成形容器であって,前記連通孔が,前記スティックを挿通した状態で前記スティックにより占有される占有部と,前記占有部に隣接して形成され,前記スティックを挿通した状態でも前記スティックにより占有されずに当該成形容器の内部と外部とを連通する非占有部と,を有する氷菓の成形容器として捉えたものであっても良い。
前記ミックスの冷却時において前記ミックスに膨張が生じるが,前記ミックスは前記非占有部を介して前記型部の外部に逃げることが可能である。これにより,前記ミックスの膨張に伴う当該成形容器の破損などを防止することができる。
また,氷菓の製造時に前記型部に気体が侵入し,その気体が前記氷菓に気泡を生じさせて品質を低下させる原因となる場合もあった。しかし,本発明の成形容器によれば,前記型部に侵入した気体も前記非占有部を介して前記型部の外部に排気させることが可能となり,気泡が生じていない美しい氷菓を製造することが可能である。
【0008】
しかし,上述のように前記非占有部を設け,冷却時において前記非占有部に膨張した前記ミックスを逃がす場合,前記ミックスが前記非占有部において凍結して氷菓の突出部となり,氷菓の美観を損なう原因となる。特に,当該成形容器の内部の一面側に予め定められた型部を形成し,その型部により氷菓を複雑な形状に形成する場合,前記氷菓の前記型部により成形される面(以下,表面,前記一面の逆方向の面である)は出来るだけ美しく保ちたいという要望があるので,前記表面側において凍結したミックスによる突出部は除去されるべきである。
そこで,前記非占有部が前記占有部を挟んで前記一面側の大きな第1非占有部と前記一面側とは逆側の小さな第2非占有部とに分離するように,前記占有部と前記非占有部との位置関係を定めることが考えられる。凍結した前記ミックスのうち,前記表面側にある前記第2非占有部で凍結した部分は,氷菓の前記表側の美観を損なうものである。しかし,前記第2非占有部の前記占有部を挟んだ裏側に,前記第2非占有部よりも大きな前記第1非占有部を設けておくことにより,冷却時に膨張する前記ミックスは,ほとんど前記表面側とは裏側の前記第2非占有部に流れ出す。従って,前記ミックスの前記第2非占有部における凍結部分を小さくすることが可能であり,言い換えると前記表面側に生じる凍結ミックスによる突出部を小さくすることが可能である。これにより,例えば気体吹きつけ等の簡単な処理で前記第2非占有部の突出部を除去することが可能となり,複雑な形状に形成された氷菓の前記表面側の美観を損なうことがない。
【0009】
ところで,本発明は,アイスキャンデー,アイスクリーム,シャーベット等の氷菓を製造する方法として捉えたものであっても良い。具体的には,所定の成形容器の内部に氷菓のミックスを満たし,その後前記成形容器を冷却して内部の前記ミックスを凍結させ,これにより得られたアイスキャンデーを前記成形容器から剥離する各工程を有する氷菓の製造方法であって,前記ミックスの凍結と前記氷菓の剥離との間に,前記成形容器を熱板に押し当てて前記氷菓を加熱する工程を有することを特徴とする氷菓の製造方法である。
即ち,氷菓を成形容器から剥離するためには,前記氷菓のうち前記ミックスの凍結により前記成形容器と接着状態にされた部分を軽く融解させる必要がある。そこで,氷菓を熱する際に熱板を用いることにより,前記氷菓に対する均一かつ安定した加熱が可能となる。従って,前記接着部分の均一かつ行き過ぎのない良好な前記氷菓の融解が得られ,前記氷菓の形状を極力乱さずに前記成形容器から剥離することが可能となる。
尚,この成形容器としては上述の第1の成形型と前記第2の成形型とを有する(本発明に係る)成形容器を用いることが考えられ,その場合,前記氷菓と接着状態にある前記第1の成形型の,前記型部が形成された一面の裏側の面及び前記一面とその裏側の面との隣接面から前記熱板を押し当てること等が考えられる。これにより,前記氷菓の,前記第1の成形型との接着部分のみの集中的な加熱が得られ,前記第1の成形型との剥離が必要である部分以外に余計な融解が生じることがない。
ここで,熱板及びその他の方法により,前記氷菓を加熱後に前記成形型から剥離する場合,剥離された前記氷菓は表面が融解した状態である。そこで,剥離された前記氷菓を化粧フィルム等で包装する前に,前記氷菓に冷風を吹きつけて乾燥させることが考えられる。これにより,前記氷菓の化粧フィルム若しくはそれに封入される台紙等との接着が防止される。
【0010】
更に,本発明に係る氷菓の製造方法は,スティック付の前記氷菓を成形型から剥離する工程にも特徴を有する。
即ち,スティック付の氷菓を製造する際には,前記氷菓の成形型として,型部の所定方向の端部に前記スティックの保持部を有する成形型が用いられる。前記保持部により,前記スティックの一方の端部が前記氷菓の中に埋没するように前記型部の内部に突出し且つ他方の端部が取っ手となるように前記型部の外部に突出するように保持される。
そこで,本発明に係る氷菓の製造方法は,前記氷菓の前記成形型からの剥離が,前記保持部を支点として前記スティックの前記他方の端部を,前記型部が形成された一面に対する交差方向に付勢して前記氷菓の前記所定方向の逆側及びその周辺を前記成形型から剥離する第1の剥離工程,及び前記一面に対する直交方向と前記所定方向の逆方向との中間方向に前記氷菓を変位させることにより前記氷菓の前記第1の剥離工程における剥離部分以外の部分を前記成形型から剥離する第2の剥離工程の二段階で行われる氷菓の製造方法である。これにより,前記氷菓に型崩れを生じさせずに,綺麗に前記氷菓を前記成形型から剥離することが可能である。ここで,前記中間方向と前記一面とのなす角度が45°前後である場合に,特にスムーズに前記氷菓を前記成形型から剥離することが可能である。
【0011】
また,本発明に係る氷菓の製造方法は,上述した氷菓の製造上の各工程における前記ミックスの冷却温度及び時間,加熱温度及び時間等にも特徴を有する。
即ち,本発明は,前記第1の成形型が前記第2の成形型により内包される内包状態において,本発明に係る成形容器を,略−30℃の液体が満たされたブライン槽に浸し,前記成形容器が前記ブライン槽に浸された状態で前記注入経路から氷菓の原料液を注入することにより前記第1の成形型の一面側に形成された型部に前記ミックスを充填し,該ミックスの充填から略10分が経過した後に前記成形容器を前記ブライン槽から取り出し,前記成形容器を取り出した後にその成形容器を略72℃の液体が満たされた温槽に略10秒間浸し,温槽に浸した後に,前記第2の成形型を,前記第2の成形型が前記第1の成形型を内包しない非内包状態し,前記第2の成形型から取り外された前記第1の成形型の,前記型部が形成された前記一面の裏面側の部分及び前記一面と裏面とに隣接する面側の部分を80〜90℃の熱板に押しつけて加熱することを特徴とする氷菓の製造方法である。このように各工程における前記ミックスの冷却温度及び時間,加熱温度及び時間を調節することにより,高品質の氷菓を製造可能であることが判明している。
【発明の効果】
【0012】
本発明のような第1の成形型と第2の成形型とを有する成形容器によれば,冷却用の冷媒の前記型部への侵入,前記型部から外部への前記ミックスの流出が極力防止される。その結果,形状及び味の変質が防止され,高品質の氷菓を製造することが可能である。また,本発明の氷菓の製造方法によれば,前記氷菓に型崩れを生じさせずに成形型から剥離することが可能になる等,高品質な氷菓を製造することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下添付図面を参照しながら,本発明を氷菓の一例としてアイスキャンデーに適用した一実施形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。例えば,以下のアイスキャンデーはあくまで氷菓の一例として説明に用いるものであり,氷菓の別例であるアイスクリーム,シャーベット等も当然本発明の適用対象である。
ここに,図1は本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの成形容器の斜視図,図2は本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの成形容器に形成された型部の底部と側部との関係を説明する概念図,図3は本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの成形容器が有する第1の型の第1断面図,図4は本発明の一実施形態に係るアイスキャンデー製造装置が有する第1の型の第2断面図,図5は本発明の一実施形態に係るアイスキャンデー製造装置を用いたアイスキャンデーの製造方法を表すフローチャート,図6は本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの製造方法におけるステップS1の作業を説明する模式図,図7は本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの製造方法におけるステップS2の作業を説明する模式図,図8は本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの製造方法におけるステップS3の作業を説明する模式図,図9は本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの製造方法におけるステップS4の作業を説明する模式図,図10は本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの製造方法におけるステップS8の作業を説明する模式図,図11は本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの製造方法におけるステップS9の作業を説明する模式図,図12は本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの成形容器により成形されたアイスキャンデーの部分斜視図,図13は従来例に係るアイスキャンデーの成形容器の斜視図である。
【0014】
以下,図1を参照しつつ,本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの成形容器Aについて説明する。
図1に示されるように,本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの成形容器A(以下,成形容器A)は,アルミニウムからなる第1の成形型1と,やはりアルミニウムからなる第2の成形型2とを有する。
前記第1の成形型1は直方体状の部材であり,その一面3には例えばキャラクターの顔等を模した彫り込みである型部5が形成されている。前記型部5にはアイスキャンデーの原料液(以下,ミックス)が充填可能である。
前記型部5において,前記アイスキャンデーの表面側を成形する底部Btと前記アイスキャンデーの側面側を成形する側面部Sとの綾部Rは,図2(a)のように角となっておらず,図2(b)のように丸みを付けて形成されている。これにより,前記第1の成形型1で成形され凍結したアイスキャンデーが,前記第1の成形型1から剥離しやすくなる。
以下,図1に示される矢印A1,A2,A3,A4は,前記第1の成形型1に対して固定された所定の方向を各々指すものとする。より詳しくは,前記型部5が形成された前記第1の成形型1の一面3に対する直交方向を矢印A3の方向と定める。また,前記矢印A4の方向は前記矢印A3の方向の逆方向,前記矢印A1及びA2はそれぞれ前記矢印A3の方向に対する直交方向であるものとする。従って,前記矢印A1及び前記矢印A2の指す方向は,前記一面3に沿った方向となる。
【0015】
前記第2の成形型2は特定面4に開口4aが形成され,その開口4aを通じて前記第1の成形型1を内包することが可能な直方体形状の箱部材である。
詳しくは,前記第2の成形型2は,前記第1の成形型1における前記一面3に沿った矢印A1及び矢印A2の方向に,前記第1の成形型1に対して密に摺接することが可能であり,この摺接によって,図1(b)のように,前記第2の成形型2が前記第1の成形型1を内包する内包状態と,図1(a)のような別体状態である非内包状態との切り替えが可能である。
また,前記第2の成形型2は,前記内包状態において,前記成形容器Aの内面に位置する前記型部5の縁のうち前記スティック保持部7を除く全面と密着し,これにより前記型部5に充填された前記ミックスの漏洩を防止する。
【0016】
図3は,図1に示される線L1−L1における前記第1の成形型1の断面図である。また,図4は,図1に示される線L2−L2における前記第1の成形型1の断面図である。以下,図1,図3及び図4を参照しつつ,前記第1の成形型1についてより詳しく説明する。
図1,図3及び図4に示されるように,前記第1の成形型1の,矢印A1方向の端部6(以下,第1端部6という)側には,アイスキャンデーIC(図10,図11等参照)のスティック8を保持するスティック保持部7が設けられている。該スティック保持部7は左壁7a,右壁7b及び底部7cに囲まれた断面凹状の切り欠き部分である。また,前記スティック保持部7は,図3に示されるように,前記第1の成形型1が前記第2の成形型2に内包される内包状態において,前記型部5と,前記第1端部6側の外部空間とを接続する。従って,前記スティック保持部7は,前記内包状態において前記ミックスを前記型部5に注入可能とする注入経路ともなる。また,前記スティック保持部7の前記底部7cには,前記矢印A1−A2方向に沿って凹形状の溝部7dが形成されている。
【0017】
前記スティック保持部7は,前記内包状態において当該成形容器Aの外部と内部(即ち型部5)とを連通する連通孔であり,これを介してアイスキャンデーのスティック8が前記成形容器Aの外部から内部へと挿通可能である。
図4に示されるように,前記スティック保持部7において,アイスキャンデーのスティック8は,前記底部7cに当接しつつ前記左壁7aと前記右壁7bとに挟みこまれた状態で保持される。
前記スティック保持部7(連通孔)は,前記スティックによりその全部分が占有されるわけではなく,前記スティックを保持して挿通する状態でも,前記スティックにより占有されずに前記成形容器Aの内部(つまり,型部5)と外部とを連通する非占有部を有する。より詳しくは,前記型部5が設けられた一面3側方向(前記矢印A3方向)の比較的大きな第1非占有部9aと,前記型部5が設けられた前記一面3の裏側方向(矢印A4方向)の比較的小さな第2非占有部9bと,が前記非占有部であり,前記スティック8の占有部分により分離されている。尚,前記第2非占有部9bは溝部7dの部分である。
このように前記スティック保持部7を形成する理由は,後に詳述する。
【0018】
図5は,本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの成形容器Aを用いたアイスキャンデーの製造方法(以下,本発明に係るアイスキャンデーの製造方法という)によるアイスキャンデーの製造手順を示すフローチャートである。以下,図5を参照しつつ,本発明に係るアイスキャンデーの製造方法及び製造手順について説明する。尚,図5に示されるS1,S2…は製造手順の番号(ステップ)を表すものであり,アイスキャンデーの製造はステップS1の手順から開始される。また,下記の説明による各ステップの作業は,作業者が手作業で行うものであっても良いし,適宜のアクチュエータが用いられた製造装置による自動作業で行うものであっても良い。
【0019】
ステップ1では,図6に示されるように,前記第1の成形型1にアイスキャンデーのスティック8を装着する。具体的には,図3に示されるように,前記スティック8の中腹部が,前記左壁7a及び前記右壁7bに挟みこまれてスティック保持部7に保持され,前記スティック8の一方の端部が前記成型容器Aの内部(型部5)に突出して且つ他方の端部が前記成型容器A(前記第1の成形型1)の外部に突出する状態にする。ステップ1の作業がスティック保持工程の一例である。
ステップ1に続くステップS2では,前記第2の成形型2を前記第1の成形型1に対して摺接し,これにより前記第2の成形型2が前記第1の成形型1を内包する内包状態(図1(b)参照)にする。例えば,図7に示されるように,前記第2の成形型2が,前記開口部4aが上方を向くように複数配列されて固定されている場合には,前記スティック8を保持した状態の前記第1の成形型1を,前記スティック8が上方に突出した状態で,上方から前記第2の成形型2各々に差し込めば良い。
【0020】
ステップS2に続くステップS3では,ステップS2において前記第1の成形型1を内包する内包状態にされた前記第2の成形型2(つまり,前記成形容器A)を,図8に示されるように冷媒として略−30℃の液体10が満たされたブライン槽11に浸して冷却する。
前記ブライン槽11に満たされる冷媒の液体10としては塩化カリウム等が考えられる。しかし,万が一その液体10が前記成形容器Aの内部に侵入した場合,塩化カリウムはアイスキャンデーを苦くしてしまうので,そのようなアイスキャンデーの味の変質を防止するために,例えばプロテイングリコール等の食品添加物を冷媒の液体10として用いることも考えられる。当該ステップS3の作業が成形容器冷却工程の一例である。
ステップS3に続くステップS4では,図9に示されるように,前記成形容器Aが前記ブライン槽11に浸された状態で,前記スティック保持部7(注入経路の一例)から前記ミックスを注入し,前記成形容器Aの内部に(つまり,前記第1の成形型1の一面3側に形成された型部5に)前記ミックスを充填する。当該ステップS4の作業が原料液充填工程の一例である。
【0021】
前記ブライン槽11に浸された状態では,前記ミックスを前記成形容器Aの内部(即ち,前記型部5)に注入した後,スティック8を浸したままで,約10分程度で前記ミックスが凍結し,アイスキャンデーが生成される。ステップS3,ステップS4及び10分程度の待機が凍結工程の一例である。
そこで,ステップS4に続くステップS5では,ステップS4における前記ミックスの注入後約10分の経過後に,前記成形容器Aを前記ブライン槽11から取り出す。当該ステップS5の作業が成形容器取り出し工程の一例である。
ステップS5に続くステップS6では,前記第1の成形型1を前記第2の成形型2から引き出す作業(続くステップS7の作業)の準備作業として,前記成形容器Aを加熱する。即ち,上述のステップS4〜S5にかけて前記ミックスは凍結されており,前記ミックスを介して前記第1の成形型1と前記第2の成形型2とは接着された状態にある。そこで,当該ステップS6では,前記ブライン槽11から取り出された前記成形容器Aを,略72℃の温槽に10秒前後浸す等して加熱する。これにより,前記第1の成形型1と前記第2の成形型2との接着が解消される。当該ステップS6の作業が温槽加熱工程の一例である。
ステップS6に続くステップS7では,前記第2の成形型2を,前記第1の成形型1を内包しない非内包状態にする。つまり,前記第2の成形型2に内包されている前記第1の成形型1を,前記第2の成形型2から引き出す。当該ステップS7が第2成形型取り外し工程である。
【0022】
ステップS7に続くステップS8は,図10に示されるように,凍結された前記ミックスであるアイスキャンデーICを前記第1の成形型1から引き剥がす作業(後述のステップS9の作業)の準備作業として,前記第1の成形型1ごと前記アイスキャンデーICを加熱し,前記アイスキャンデーICと前記第1の成形型1との接着部分をわずかに融解させ,前記アイスキャンデーICを前記第1の成形型1から剥離させやすくする。
詳しくは,図10に示されるような断面L字状の熱板12に,前記第1の成形型1の,前記型部5が形成された一面の裏側部分14(つまり,前記第1の成形型1のうち,前記矢印A4方向の面を形成する部分)及び前記矢印A1方向の前記第1端部6に対する逆側の端部13(つまり前記矢印A2方向側の端部)を押し当てることで,前記アイスキャンデーICの,前記型部5と接触した面を僅かに融解させ,前記アイスキャンデーICの形状を壊すことなく,前記アイスキャンデーICを前記型部5から取り出し得るようにする。
前記熱板12の温度が80℃〜90℃である場合に,適度な前記アイスキャンデーICの融解が得られることが知られている。また,前記熱板12がそのような温度である場合,適当な前記第1の成形型1の押し当て時間は数秒程度である。但し,これは前記第1の成形型1がアルミニウムである場合に適当な融解を得るための加熱温度及び加熱時間であり,前記第1の成形型1の材質等によって適当な加熱温度及び加熱時間は変化し得る。当該ステップS8の作業が熱板加熱工程の一例である。
【0023】
ステップS8に続くステップS9では,前記ミックスが凍結して得られた前記アイスキャンデーICを前記第1の成形型1から剥離する。当該ステップS9の作業が剥離工程の一例である。
図11は,ステップS9における前記アイスキャンデーICの剥離方法を説明する前記第1の成形型1の断面図である。以下,図11を参照しつつ,ステップS9における前記アイスキャンデーICの剥離方法について説明する。
ステップS9において,前記アイスキャンデーICは,前記第1の成形型1の底部Btに対向密着する表面部IC1及び前記矢印A2側の端部IC2(以下,第2端部IC2)等の,前記第1の成形型1の側面部Sに対向密着する部分が,主に前記第1の成形型1と接着された状態にある。
まず,図11(a)に示すように,前記スティック8の,前記矢印A1側の端部8A1を,前記型部5が形成された一面の直交方向(図11の矢印A4方向)に向けて付勢する。このとき,前記スティック8を保持している前記スティック保持部7の底部7cが前記スティック8の支点になり,前記アイスキャンデーICに対して,前記底部7cを中心として図11の矢印A3の方向に持ち上げる力が作用する。これにより,前記第2端部IC2及び前記表面部IC1の前記第2端部IC2との近接部分(周辺の一例)が最初に前記第1の成形型1より剥離する。以上が第1の剥離工程の一例である。
次に,図11(b)に示すように,前記第1の剥離工程により斜めに傾斜した前記アイスキャンデーICを,前記矢印A2(前記一面3に沿う方向)と前記矢印A3との中間方向である矢印A5方向に平行移動させる。これにより,前記第1の剥離工程において剥離せずに残っている部分,詳しくは前記表面部IC1のうち前記第2端部IC2に近接しない部分が前記第1の成形型1より剥離し,前記アイスキャンデーICが前記第1の成形型1より完全に剥離する。以上が第2の剥離工程の一例である。ここで,前記矢印A5の方向(中間方向)と前記一面3とのなす角θが45°である場合に,前記アイスキャンデーICの型崩れを極力抑えつつスムーズに前記アイスキャンデーICを剥離することが可能となる。
【0024】
ステップS9に続くステップS10では,前記第1の成形型1から剥離された前記アイスキャンデーICに対して冷風を吹きつける。これは,以下の2つの理由から必要となる。
先ず,第1の理由は以下のものである。
上述のステップS6及びステップS8の作業により,前記アイスキャンデーICの表面は融解している。そこで,当該ステップS10において冷風を吹きつけて,融解している前記アイスキャンデーICの表面を乾燥される。当該ステップ10の作業が乾燥工程の一例である。これにより,例えば化粧フィルムに前記アイスキャンデーICと同時に封入される台紙等に,前記アイスキャンデーが接着されてしまうことを防止する。また,前記アイスキャンデーICの表面を再び冷却して低温状態にすることにより,前記アイスキャンデーICの購入者が化粧フィルムによるパッキングを前記アイスキャンデーICから剥がした際に,霜が前記アイスキャンデーICに付着するようになり,前記アイスキャンデーICの美観が向上する。
【0025】
第2の理由は以下のものである。
上述のように前記第1の成形型1の有する前記スティック保持部7(連通孔)において,膨張した前記ミックスを前記型部5の外部へと逃がすための第1非占有部9aと第2非占有部9bとが設けられている。ステップS4からステップS5にかけて,冷却により膨張した前記ミックスが前記第1非占有部9a及び前記第2非占有部9bへと流出する。この状態で前記ミックスが凍結することにより,図12に示される如く,前記アイスキャンデーICには,第1非占有部9aにおいて前記ミックスが凍結して形成された第1突出部OH1及び前記第2突出部OH2が,前記スティック8を挟んで,前記アイスキャンデーICの裏面部の側(前記矢印A3方向の面側)及び表面部IC1の側(前記型部5の底部Btにより成形された面側)に,それぞれ形成される。
【0026】
ここで,前述のように,前記アイスキャンデーICの表面部IC1を成形する前記型部5には,例えばキャラクターの顔等を模した彫り込みが施されており,前記アイスキャンデーICの前記表面部IC1側の美観は美しく保ちたいという要望がある。そこで,当該ステップS10において,冷風を前記アイスキャンデーICに吹きつけることで,前記アイスキャンデーICの表面部IC1側に形成された前記第2突出部OH2を吹き飛ばして除去する。
このように,前記型部5に対向する前記アイスキャンデーICの表面部IC1の側(前記矢印A4側)における前記第2非占有部9bを,前記裏面部の側(前記矢印A3側)における前記第1非占有部9aよりも小さく設けておくことで,特に美観が重要となる前記表面部IC1の側に形成された前記第2突出部OH2を,冷風吹きつけ等の処理で簡単に除去することができる。
尚,前記第2非占有部9bを設けない場合(言い換えると,前記溝部7dを形成しない場合)に,前記第2突出部OH2が形成されないので,前記アイスキャンデーICの表面部IC1側の美観を保つ上で有利であるように思えるが,その場合,以下の不都合が生じる。詳しくは,前記第2非占有部9bを設けない場合,前記ステップS4において前記型部5に侵入した気体が完全には前記型部5から抜け出すことができない。そのため,前記ミックスが凍結されて得られた前記アイスキャンデーICの,特に図12に示される顎部15等に気泡が生じ,結果的に前記アイスキャンデーICの表面部IC1側の美観が損なわれてしまう。
【0027】
ステップS10に続くステップS11では,前記アイスキャンデーICのパッキング,詳しくは所定の化粧フィルム等による前記アイスキャンデーICの包装を行う。このとき,前記化粧フィルムには前記アイスキャンデーICの台紙を,前記アイスキャンデーICと同時に封入することも考えられる。
以上,本発明に係る,前記第1の成形型1と前記第2の成形型2とを有する成形容器Aによれば,冷媒の液体10の前記型部5への侵入,前記型部5から外部への前記ミックスの流出等が極力防止される。その結果,形状及び味の変質が防止され,高品質のアイスキャンデーICを製造することが可能である。また,本発明のアイスキャンデーICの製造方法によれば,前記アイスキャンデーICに型崩れを生じさせずに成形型から剥離することが可能になる等,高品質なアイスキャンデーICを製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの成形容器の斜視図。
【図2】本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの成形容器に形成された型部の底部と側面部との関係を説明する概念図。
【図3】本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの成形容器が有する第1の型の第1断面図。
【図4】本発明の一実施形態に係るアイスキャンデー製造装置が有する第1の型の第2断面図。
【図5】本発明の一実施形態に係るアイスキャンデー製造装置を用いたアイスキャンデーの製造方法を表すフローチャート。
【図6】本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの製造方法におけるステップS1の作業を説明する模式図。
【図7】本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの製造方法におけるステップS2の作業を説明する模式図。
【図8】本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの製造方法におけるステップS3の作業を説明する模式図。
【図9】本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの製造方法におけるステップS4の作業を説明する模式図。
【図10】本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの製造方法におけるステップS8の作業を説明する模式図。
【図11】本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの製造方法におけるステップS9の作業を説明する模式図。
【図12】本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの成形容器により成形されたアイスキャンデーの部分斜視図。
【図13】従来例に係るアイスキャンデーの成形容器の斜視図。
【符号の説明】
【0029】
A…本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの成形容器
B…従来例に係るアイスキャンデーの成形容器
1…第1の成形型
2…第2の成形型
3…一面
5…型部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面側に氷菓の原料液が充填可能な型部が形成された第1の成形型と,
前記第1の成形型の前記一面に沿う所定方向に摺接することにより前記第1の成形型を内包する内包状態とそうでない非内包状態とに切り替え可能であり,前記内包状態において前記第1の成形型の一面側における前記型部の略全周と密着する第2の成形型と,
を具備してなることを特徴とする氷菓の成形容器。
【請求項2】
前記第1の成形型及び/又は前記第2の成形型がアルミニウムからなる請求項1に記載の氷菓の成形容器。
【請求項3】
前記第1の成形型における前記所定方向側の端部と前記型部とを接続するものであり,前記内包状態において前記原料液を前記型部に注入可能な注入経路が前記第1の成形型に設けられてなる請求項1又は2のいずれかに記載の氷菓の成形容器。
【請求項4】
内部に氷菓の原料液が充填可能であり,当該成形容器の外部と内部とを連通して氷菓のスティックが外部から内部へと挿通可能な連通孔が形成された氷菓の成形容器であって,
前記連通孔が,
前記スティックを挿通した状態で前記スティックにより占有される占有部と,
前記占有部に隣接して形成され,前記スティックを挿通した状態でも前記スティックにより占有されずに当該成形容器の内部と外部とを連通する非占有部と,
を有してなることを特徴とする氷菓の成形容器。
【請求項5】
当該成形容器の内部の一面側に予め定められた型が形成されており,前記非占有部が前記占有部を挟んで前記一面側の大きな第1非占有部と該一面側とは裏側の小さな第2非占有部とに分離されてなる請求項4に記載の氷菓の成形容器。
【請求項6】
所定の成形容器の内部に氷菓の原料液を満たす原料液充填工程と,
前記成形容器を冷却して内部の前記原料液を凍結させる凍結工程と,
前記凍結工程で前記原料液が凍結して得られた氷菓を前記容器から剥離する剥離工程と,を有する氷菓の製造方法であって,
前記凍結工程と前記剥離工程との間に,前記成形容器を熱板に押し当てて前記氷菓を加熱する熱板加熱工程を有することを特徴とする氷菓の製造方法。
【請求項7】
前記成形容器が請求項3に記載の第1の成形型と請求項1に記載の第2の成形型とを有するものであり,
前記熱板加熱工程が,前記第2の成形型の非内包状態にある前記第1の成形型における前記一面の裏側の部分及び前記一面と裏側の面とに隣接する面側の部分を前記熱板に押し当てる工程である請求項6に記載の氷菓の製造方法。
【請求項8】
一面側に形成された氷菓の原料液が充填可能な型部と,
前記型部の縁部のうち前記一面に沿う所定方向側の部分に形成され氷菓のスティックを保持する保持部と,を有する成形型を用いた氷菓の製造方法であって,
前記スティックにおける一方の端部が前記型部に突出して且つ他方の端部が前記成形型より前記所定方向側の外部に突出するように前記スティックを前記保持部で保持するスティック保持工程と,
前記型部に氷菓の原料液を満たす原料液充填工程と,
前記スティック保持工程と前記原料液充填工程とにより前記型部に満たされた前記原料液に前記スティックの一方の端部が浸された状態の前記成形型を冷却して前記原料液を凍結させる凍結工程と,
前記凍結工程で前記原料液が凍結して得られた氷菓を前記成形型から剥離する剥離工程と,を有する氷菓の製造方法において,
前記剥離工程が,
前記保持部を支点として前記スティックの他方の端部を前記一面に対する交差方向に付勢することにより,前記氷菓の前記所定方向とは逆方向側の端部及びその周辺を前記成形型から剥離する第1の剥離工程と,
前記一面に対する直交方向と前記所定方向の逆方向との中間方向に前記氷菓を変位させることにより,前記氷菓の前記第1の剥離工程における剥離部分以外の部分を前記成形型から剥離する第2の剥離工程と,
を有してなることを特徴とする氷菓の製造方法。
【請求項9】
前記中間方向と前記一面とのなす角度が略45度である請求項8に記載の氷菓の製造方法。
【請求項10】
所定の成形容器の内部に氷菓の原料液を満たす原料液充填工程と,
前記成形容器を冷却して内部の前記原料液を凍結させる凍結工程と,
前記凍結工程で前記原料液が凍結して得られた氷菓を前記容器から剥離する剥離工程と,を有する氷菓の製造方法であって,
前記凍結工程と前記剥離工程との間に,前記氷菓を加熱する加熱工程を有し,
前記剥離工程の後に,前記容器から剥離された前記氷菓に冷風を吹き付けて前記氷菓を乾燥させる乾燥工程を有することを特徴とする氷菓の製造方法。
【請求項11】
請求項3に記載の第1の成形型が請求項1に記載の第2の成形型により内包される内包状態において請求項3に記載の氷菓の成形容器を略−30℃の液体が満たされたブライン槽に浸す成形容器冷却工程と,
前記成形容器が前記ブライン槽に浸された状態で前記注入経路から氷菓の原料液を注入し,前記第1の成形型の一面側に形成された型部に前記原料液を充填する原料液充填工程と,
前記原料液注入工程における前記原料液の充填から略10分が経過した後に前記成形容器を前記ブライン槽から取り出す成形容器取り出し工程と,
前記成形容器取り出し工程の後に前記成形容器を略72℃の液体が満たされた温槽に略10秒間浸す温槽加熱工程と,
前記温槽加熱工程の後に,前記第2の成形型を,前記第2の成形型が前記第1の成形型を内包しない非内包状態にする第2成形型取り外し工程と,
前記第2成形型取り外し工程により,前記第2の成形型に内包されない状態にされた前記第1の成形型の,前記型部が形成された前記一面の裏面側の部分及び前記一面と裏面とに隣接する面側の部分を80〜90℃の熱板に押しつける熱板加熱工程と,
を有することを特徴とする氷菓の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2007−104908(P2007−104908A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−296031(P2005−296031)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【出願人】(506294750)株式会社 グローバルピザシステム (1)
【Fターム(参考)】