説明

汗取りパッド

【課題】 衣類に確実に止めることができるにもかかわらず、衣類の袖ぐり部の縫着糸等に粘着剤が付着して残ることがなく、しかも容易且つ安価に効率よく製造することができる汗取りパッドを提供する。
【解決手段】 衣類2の袖ぐり部3に対応する凹入縁4が形成された一対の吸収シート部5を重ね合わせて凹入縁4に沿う固着部6で固着し、各吸収シート部5の内側に、保護用の剥離シート部8が貼着された粘着部7を設ける各吸収シート部5の固着部6と粘着部7との間に、凹入縁4の全体にわたって所定幅の非粘着領域15を帯状に設け、各吸収シート部5の該非粘着領域15に対して固着部6と反対側の略全面又は反対側の周縁部を除く略全面にわたって粘着部7を形成する粘着剤12を塗工し、一方又は両方の吸収シート部5をその非粘着領域15で固着部6に沿って切り取り可能に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類の袖ぐり部に装着して汗等を吸収するための汗取りパッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、脇下用の汗取りパッドには、衣類の袖ぐり部に沿う凹入縁が形成された一対の吸収シート部を重ね合わせてその凹入縁に沿う固着部で固着したものがある。この脇下用の汗取りパッドは、各吸収シートの内面側に小さい矩形状の粘着テープが貼着されており、この粘着テープを介して衣類に止めるようになっている。(特許文献1)
この汗取りパッドを製造する際には、従来、吸収シート部が切り取られる吸収シートを重ね合わせ、この吸収シートから一対の吸収シート部を切り取り、次いで或いは切り取るのと同時に、一対の吸収シート部を凹入縁に沿って固着し、最後に各吸収シート部の内側に粘着テープを貼着している。
【特許文献1】特開平7−305211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の汗取りパッド及び汗取りパッドの製造方法には次のような問題点がある。即ち、特許文献1の図1に示される汗取りパッドは、各吸収シート部の固着部側と先端側との2カ所に粘着テープを貼着して、使用時のズレ等を防止するようになっている。しかし、固着部側の粘着テープが、衣類の袖ぐり部に対応する箇所に設けられているため、衣類から剥がした後に袖ぐり部の縫着糸等に粘着剤が付着して残ることがある。また、粘着テープが吸収シート部に対してかなり小さいため、たとえ固着部側と先端側との2カ所に粘着テープを設けたとしても、衣類に確実に止めるためには十分でない。
【0004】
一方、特許文献1の図2に示される汗取りパッドは、その先端側の左右2カ所に粘着テープを貼着しているため、袖ぐり部の縫着糸等に粘着剤が付着することはない。しかし、先端側の粘着テープのみにより衣類に止めるため、使用時にズレ等が起こる可能性が大きい。
【0005】
更に、衣類に確実に止めるためには、粘着テープの面積を大きくする必要があるが、その場合には粘着テープの使用量が増加し、原料コストが高騰するといった問題がある。しかも、粘着テープの面積が大きくなれば、吸収シートへの貼着が非常に煩わしくなる。
【0006】
また製造に際しては、一対の吸収シート部を固着部で固着した後に各吸収シート部の内面側に粘着テープを貼着しているため、一対の吸収シートの間隔を拡げてその各内面側に粘着テープを貼着する必要があり、その工程が煩わしく、製造の効率が悪くなるといった問題がある。
【0007】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み、衣類に確実に止めることができるにもかかわらず、衣類の袖ぐり部の縫着糸等に粘着剤が付着して残ることがなく、しかも容易且つ安価に効率よく製造することができる汗取りパッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、衣類2の袖ぐり部3に対応する凹入縁4が形成された一対の吸収シート部5を重ね合わせて前記凹入縁4に沿う固着部6で固着し、前記各吸収シート部5の内側に、保護用の剥離シート部8が貼着された粘着部7を設けた汗取りパッドにおいて、前記各吸収シート部5の前記固着部6と前記粘着部7との間に、前記凹入縁4の全体にわたって所定幅の非粘着領域15を帯状に設け、前記各吸収シート部5の該非粘着領域15に対して前記固着部6と反対側の略全面又は反対側の周縁部を除く略全面にわたって前記粘着部7を形成する粘着剤12を塗工し、一方又は両方の前記吸収シート部5をその前記非粘着領域15で前記固着部6に沿って切り取り可能に構成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、衣類2の袖ぐり部3に対応する凹入縁4が形成された一対の吸収シート部5を重ね合わせて凹入縁4に沿う固着部6で固着し、各吸収シート部5の内側に、保護用の剥離シート部8が貼着された粘着部7を設けた汗取りパッドにおいて、各吸収シート部5の固着部6と粘着部7との間に、凹入縁4の全体にわたって所定幅の非粘着領域15を帯状に設け、各吸収シート部5の該非粘着領域15に対して固着部6と反対側の略全面又は反対側の周縁部を除く略全面にわたって粘着部7を形成する粘着剤12を塗工し、一方又は両方の吸収シート部5をその非粘着領域15で固着部6に沿って切り取り可能に構成しているので、衣類2に確実に止めることができるにもかかわらず、衣類2の袖ぐり部3の縫着糸等に粘着剤12が付着して残ることがなく、しかも容易且つ安価に製造することができる。また切り取った一方の吸収シート部5をノースリーブの身ごろ13側に粘着部7を介して装着できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1〜図7は本発明の第1の実施形態を示している。
【0011】
汗取りパッド1は、衣類2の脇下部に装着して汗等を吸収するためのもので、図1及び図2に示すように、衣類2の袖ぐり部3に対応する凹入縁4が形成された一対の吸収シート部5が重ね合わされて凹入縁4に沿う固着部6で固着され、各吸収シート部5の内側に、保護用の剥離シート部8が貼着された粘着部7が設けられており、各吸収シート部5の固着部6と粘着部7との間に、凹入縁4の全体にわたって所定幅の非粘着領域15が帯状に設けられ、各吸収シート部5の非粘着領域15に対して固着部6と反対側の略全面又は反対側の周縁部を除く略全面にわたって粘着部7を形成する粘着剤12が塗工されている。
【0012】
各吸収シート部5は、図1に示すように、略同一形状の横長の略三日月状で、その凹入縁4が衣類2の袖ぐり部3に沿うように形成されている。各吸収シート部5の形状は、衣類2の袖ぐり部3に沿う凹入縁4が形成されておれば十分であり、凹入縁4と反対の先端側の形状を適宜変更しても良いし、各凹入縁4を揃えて重ねることができれば、一対の吸収シート部5を夫々異なる形状にすることも可能である。
【0013】
また各吸収シート部5は、透水性シート層9と防水性シート層10との間に吸水体層11が介在された三層構造の積層シートが使用されている。そして、一対の吸収シート部5が、その防水性シート層10が内側となるように凹入縁4を揃えて重ね合わされ、凹入縁4から所定寸法だけ間隔をおいて、防水性シート層10側で凹入縁4に沿って湾曲する筋状の固着部6により固着されている。
【0014】
透水性シート層9は、透水性に優れた不織布により構成されている。なお、不織布は公知のものを使用しているが、例えば、合成樹脂繊維、天然繊維の何れを用いたものを使用しても良いし、それらを混合したものを使用しても良い。また、透水性シート層9は、透水性に優れたシート状素材であれば、不織布以外にも織物、編み物等を使用しても良い。
【0015】
防水性シート層10は、防水性に優れた熱可塑性(熱融着性)の合成樹脂フィルムにより構成されている。その合成樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレン系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリアミド系フィルム等、公知のものが使用されている。
【0016】
吸水体層11は、吸水性、保水性に優れた吸水性素材により構成されている。なお、吸水性素材としては公知のものを使用しているが、その吸水性素材をシート状に加工しても良いし、不定形の吸水性素材を透水性シート層9と防水性シート層10との間に保持するようにしても良い。
【0017】
固着部6は、防水性シート層10の熱融着により、吸収シート部5の凹入縁4に沿ってその略全長にわたって筋状に形成されている。また固着部6は、凹入縁4からその全長にわたって略均一の所定間隔をおいて形成されている。即ち、凹入縁4側に、一対の吸収シート部5が固着されていない非固着部分が形成されている。なお、固着部6は、所定間隔を設けずに凹入縁4を含む箇所に設けても良いし、凹入縁4に沿ってその方向に複数に分割して間欠的に設けても良い。また防水性シート層10の熱融着以外にも、接着剤、縫合等により固着部6を設けても良い。
【0018】
非粘着領域15は、各吸収シート部5の粘着剤12が塗工されていない領域で、各吸収シート部5の固着部6と粘着部7との間に、凹入縁4の全体にわたって所定幅を有する帯状に形成されている。なお、この非粘着領域15は、汗取りパッド1を衣類2に装着した際に、その袖ぐり部3の縫着糸等に粘着部7が接触しない程度、又は僅かしか接触しない程度の幅に形成されている。
【0019】
粘着部7は、各吸収シート部5の非粘着領域15に対して固着部6と反対側の周縁部を除く略全体に対応する略三日月状で、各吸収シート部5の内面側の防水性シート層10に塗工された粘着剤(ホットメルト系粘着剤)12により構成されている。なお、粘着剤12は、その略三日月状の粘着部7の略全体に塗布しても良いし、縦向き、横向き等の複数本の筋状に塗布しても良いし、ドット状に塗布しても良い。また粘着部7は、各吸収シート部5の非粘着領域15に対して固着部6と反対側の略全体に設けても良い。
【0020】
剥離シート部8は、各吸収シート部5の固着部6よりも先端側の形状と略一致する略三日月状で、その凹入縁4が固着部6の近傍に沿うように各粘着部7に貼着されている。なお、剥離シート部8は、少なくとも粘着部7の全体を覆うように設ければ十分であり、粘着部7と略同じ大きさにしても良いし、吸収シート部5の固着部6から先端側の形状よりも小さくしても良いし、一部が吸収シート部5の周縁部から外側に突出するようにしても良い。また剥離シート部8としては公知の剥離シート用のシート材を使用しているが、例えば、紙製の剥離紙、合成樹脂製の剥離フィルム等により構成されている。
【0021】
上記構成の汗取りパッド1を使用する際には、図3に示すように、各粘着部7の各剥離シート部8を剥離し、固着部6が衣類2の袖ぐり部3に沿うように、一対の吸収シート部5の一方を身ごろ13側に、他方を袖14側に夫々粘着部7を介して貼着する。
【0022】
なお、図1に仮想線で示すように、一方又は両方の吸収シート部5に、固着部6に沿ってその近傍にミシン目62等を設けて、吸収シート部5の先端側を固着部6側から容易に切り取り可能に構成し、切り取った一方の吸収シート部5をノースリーブの身ごろ13側に粘着部7を介して装着できるように構成しても良い。
【0023】
この汗取りパッド1は、衣類2の袖ぐり部3に対応する凹入縁4が形成された一対の吸収シート部5を重ね合せて凹入縁4に沿う固着部6で固着しているので、衣類2の脇下部分に確実に装着することができ、違和感なく快適に使用することができる。
【0024】
また、各吸収シート部5の非粘着領域15に対して固着部6と反対側の略全面又は反対側の周縁部を除く略全面にわたって粘着部7を構成する粘着剤12を塗工しているので、衣類2に確実に止めることができ、使用中のズレ等がない。
【0025】
更に、各吸収シート部5の固着部6と粘着部7との間に、凹入縁4の全体にわたって所定幅の非粘着領域15を帯状に設けているので、衣類2に確実に止めることができるにもかかわらず、衣類2から剥がした後に、衣類2の袖ぐり部3の縫着糸等に粘着剤12が付着して残ることもない。仮に袖ぐり部3の縫着糸等が粘着部7の一部領域に接触することがあっても、その接触領域を少なくできるので、多量の粘着剤12が残ることもない。
【0026】
製造に際して、例えば、各吸収シート部5に粘着部7を設けた後に、熱的手段により両吸収シート部5を固着部6で固着する場合にも、固着部6の近傍に非粘着領域15があるため、その固着が容易であり、また粘着部7に対する熱影響を防止できる。
【0027】
しかも、粘着剤12を塗工して粘着部7を形成しているので、粘着テープ等に比較して安価であり、また広い面積に容易に粘着部を設けることができる。
【0028】
各吸収シート部5を、不織布からなる透水性シート層9、吸水素材からなる吸水体層11及び合成樹脂フィルムからなる防水性シート層10の三層構造としているので、汗が透水性シート層9に留まらずに吸水体層11に吸収され、肌に接触する側を極力乾いた状態に保持することができる。また、衣類2側に防水性シート層10を設けているので、粘着部7側、衣類2側に汗がしみ出すこともない。
【0029】
凹入縁4から所定寸法だけ間隔をおいて凹入縁4に沿って筋状に固着部6を設けているので、固着部6と肌との間に吸収シート部5が固着されていない部分が介在され、固着部6と肌との接触による不快感を感じることもない。
【0030】
次に、汗取りパッド製造装置について説明する。図4及び図5において、汗取りパッド製造装置16は、長尺の剥離シート17を原反ロール18から繰り出して搬送する第1搬送手段19と、剥離シート17の一側面に粘着剤12を塗布する塗布手段20と、剥離シート17から剥離シート部8に対応する部分以外で少なくとも吸収シート部5の固着部6に対応する部分をトリム21として切り取るトリム切り取り手段22と、そのトリム21を回収するトリム回収手段23と、長尺の吸収シート24を原反ロール(図示略)から繰り出して搬送する第2搬送手段25と、粘着剤12を介して剥離シート17を吸収シート24に貼着する貼着手段26と、その貼着シート27を搬送する第3搬送手段28と、貼着シート27を前記剥離シート17を内側にして前記粘着剤12の中間で幅方向に二つ折り状に折り畳む折り畳み手段29と、二つ折り状の貼着シート27の吸収シート24の重合部分を固着部6で固着する固着手段30と、貼着シート27の重合部分を、固着部6側の凹入縁4を含む周縁部で切り取って汗取りパッド1を得る切り取り手段31と、その汗取りパッド1を搬送する第4搬送手段58とを備えている。
【0031】
剥離シート17は、剥離シート部8が切り取られるもので、紙製の剥離紙、合成樹脂製の剥離フィルム等を使用している。吸収シート24は、吸収シート部5が切り取られるもので、透水性シート層9と防水性シート層10との間に吸水体層11が介在された三層構造の積層シートを使用している。
【0032】
第1搬送手段19は、図4に示すように、原反ロール18から繰り出した剥離シート17を貼着手段26まで搬送するためのもので、その搬送経路には、上手側から、一対のニップロール34、塗布手段20、コンベヤ32及びトリム切り取り手段22が設けられている。
【0033】
ニップロール34は、剥離シート17の両面側に一対あり、繰り出された剥離シート17を挟んで、剥離シート17の張力、塗布手段20への剥離シート17の供給角度等を調節するようになっている。
【0034】
塗布手段20は、図5及び図6に示すように、剥離シート17に粘着剤(ホットメルト系粘着剤)12を塗布する塗布ロール35と、この塗布ロール35の受け側となる受けロール36とを備えている。塗布ロール35は、その外周面に、径方向に突出する塗布部37が形成されている。塗布部37は略三日月状で、塗布ロール35の軸心方向の略中央に対して略線対称に対をなすように、その凹入縁側を向き合わせて塗布ロール35の軸心方向に2列に形成されている。なお、塗布部37は、塗布ロール35の周方向に複数対設けても良いし、1対のみ設けても良い。受けロール36は、塗布ロール35の回転軸と略平行な回転軸を有し、その外周面に、剥離シート17を介して塗布ロール35の塗布部37が接するように配置されている。
【0035】
そして塗布手段20は、塗布ロール35と受けロール36とをその間に搬送される剥離シート17に同調して回転させることにより、図外の粘着剤供給部から塗布部37に供給される粘着剤12を、剥離シート17の剥離面の幅方向の両側に、略対称な2列の略三日月状に塗布していくようになっている。
【0036】
コンベヤ32は、図4に示すように、塗布手段20とトリム切り取り手段22との間に配置されている。また、コンベヤ32は内部に吸引ケース33を備え、バキュームにより剥離シート17を下側(粘着剤12の塗布面と反対側)から吸着して搬送するようになっており、剥離シート17の伸び、蛇行、撓み、滑り等を防止して、剥離シート17を確実に搬送できるようになっている。なお、塗布手段20の上手側にもコンベヤ32を設けても良い。
【0037】
トリム切り取り手段22は、図5及び図6に示すように、略三日月状に塗布された粘着剤12の凹入縁38に沿って、粘着剤12の塗布後の剥離シート17の幅方向の中央部分のトリム(余裕部分)21を切り取るためのもので、トリム21を切り取る切り取りロール39と、この切り取りロール39の受け側になると共に、剥離シート17を吸着する吸着ロール40とを備えている。切り取りロール39は、その外周面に、粘着剤12の凹入縁38に沿って剥離シート17の幅方向の中央部分を切り取るためのカッター部41が周方向に設けられている。
【0038】
吸着ロール40は、切り取りロール39の回転軸と平行な回転軸を有し、その外周面に切り取りロール39のカッター部41が接するように配置されている。また吸着ロール40は、例えばその内部に吸引ケース(図示略)が配置されると共に、トリム21の切り取り後の剥離シート17に対応して、吸引ケースに挿通する多数の細孔が外周面の幅方向の両側に形成されており、剥離シート17を粘着剤12の塗布側と反対側で吸着して、トリム21の切り取り後の剥離シート17を回転により貼着手段26まで送るようになっている。なお、吸着ロール40は、トリム21の切り取り前に剥離シート17を吸着しても良いし、トリム21の切り取りと略同時に剥離シート17を吸着しても良い。
【0039】
そしてトリム切り取り手段22は、切り取りロール39と吸着ロール40とを、その間に搬送される剥離シート17に同調して回転させることにより、略三日月状に塗布された粘着剤12の凹入縁38に沿って、剥離シート17の幅方向の中央部分のトリム21を切り取っていくようになっている。またトリム21の切り取り後の剥離シート17は幅方向の両側部分が略対称となっている。なお、粘着剤12の凹入縁38に略一致する箇所でトリム21を切り取っても良いし、その凹入縁38から所定間隔をおいて剥離シート17の幅方向の内側でトリム21を切り取っても良い。
【0040】
トリム回収手段23は、図4に示すように、トリム切り取り手段22により切り取られたトリム21を即座に回収するためのもので、トリム21が連続状に形成される場合には、例えば巻き芯23aにトリム21を巻き付けていくようになっている。またトリム21が連続状に形成されない場合には、バキューム等によりトリム21を回収するようにしても良い。その場合には、吸着ロール40の外周面のトリム21に対応する箇所には細孔を設けずに、吸着ロール40がトリム21を吸着しないように構成すれば良い。
【0041】
第2搬送手段25は、図4に示すように、原反ロール(図示略)から繰り出した吸収シート24を貼着手段26まで搬送するためのもので、その搬送経路にはコンベヤ42が設けられている。コンベヤ42は内部に吸引ケース43を備え、バキュームにより吸収シート24を透水性シート層9側から吸着して搬送するようになっており、吸収シート24の伸び、蛇行、撓み、滑り等を防止して、吸収シート24を確実に搬送できるようになっている。なお、第2搬送手段25は、第1搬送手段19による剥離シート17の搬送速度と略同一速度で吸収シート24を搬送するようになっている。
【0042】
貼着手段26は、図4〜図6に示すように、粘着剤12を介して剥離シート17を吸収シート24に貼着するためのもので、吸着ロール40と、この吸着ロール40との間で剥離シート17と吸収シート24とを押さえて貼着する押さえロール44とを備えている。
【0043】
吸着ロール40は、トリム切り取り手段22及び貼着手段26により共用されており、トリム21が切り取られた剥離シート17を吸着した状態で、その回転により、粘着剤12の塗布面が吸収シート24側となるように剥離シート17の搬送方向を反転させ、押さえロール44側まで送るようになっている。押さえロール44は、吸着ロール40の回転軸と略平行な回転軸を有し、その外周面に、吸収シート24及び剥離シート17を介して吸着ロール40が接するように配置されている。なお、吸着ロール40は、少なくとも切り取りロール39との接触位置から押さえロール44との接触位置までの間で剥離シート17を吸着できるようになっている。
【0044】
本実施形態では、吸着ロール40によりトリム21の切り取り後の剥離シート17を吸着するようになっているが、吸着ロール40に代えて吸着機能を有しないロールを使用することも可能である。また吸着ロール40を使用する場合にも、バキュームにより剥離シート17を吸着しても良いし、それ以外の公知の吸着手段を使用しても良い。
【0045】
そして、貼着手段26は、吸着ロール40と押さえロール44とを、その間に搬送されてくる剥離シート17及び吸収シート24に同調して回転させることにより、吸収シート24の防水性シート層10側に剥離シート17を粘着剤12を介して貼着するようになっている。なお、剥離シート17は、その幅方向の両側部分が吸収シート24の幅方向の中央に対して略対称となるように貼着されるようになっている。
【0046】
第3搬送手段28は、図4に示すように、吸収シート24と剥離シート17との貼着シート27を切り取り手段31まで搬送するためのもので、その搬送経路には、上手側から3個(複数)の第1〜第3コンベヤ45a〜45cと、折り畳み手段29と、固着手段30とが設けられている。
【0047】
第1〜第3コンベヤ45a〜45cは、貼着手段26の押さえロール44を隔てて第2搬送手段25のコンベヤ42と直列状に上手側から配置されている。また各コンベヤ45a〜45cは内部に吸引ケース47a〜47cを備え、バキュームにより貼着シート27を吸着して搬送するようになっており、貼着シート27の伸び、蛇行、撓み、滑り等を防止して、貼着シート27を確実に搬送できるようになっている。なお、第3搬送手段28は、第1搬送手段19による剥離シート17の搬送速度及び第2搬送手段25による吸収シート24の搬送速度と略同一速度で貼着シート27を搬送するようになっている。
【0048】
折り畳み手段29は、図5及び図6に示すように、吸収シート24と剥離シート17との貼着シート27を、幅方向の略中央(幅方向の両側の粘着剤12の略中央)で搬送方向に沿って、剥離シート17を内側にして二つ折り状に折り畳むためのもので、第2コンベヤ45b上に配置され、押さえロール49と折り畳み器50とを備えている。また、第1コンベヤ45aと第2コンベヤ45bとは谷型の屈曲状、例えば第1コンベヤ45aが進行方向に対して前下がり状に、第2コンベヤ45bが進行方向に対して前上がり状に夫々設けられており、その間で貼着シート27の吸着が一旦解除されるようになっている。なお、実施形態では、第2コンベヤ45bの上手側端部に第1コンベヤ45aの下手側端部がオーバーラップするように設けられている。
【0049】
押さえロール49は、第1コンベヤの下手側近傍で且つ折り畳み器50の上手側近傍で、軸心方向の一端が貼着シート27の幅方向の略中央(折り曲げ部)に対応するように第2コンベヤ45b上に設けられ、第2コンベヤ45bとの間に搬送されてくる貼着シート27の折り曲げ部に対して幅方向の一方側を第2コンベヤ45bに吸着させると共に、貼着シート27が折り曲げ部で確実に折り畳まれるように、貼着シート27の一方側を少なくとも折り曲げ部の近傍で規制する役割を有している。
【0050】
折り畳み器50は、第2コンベヤ45bと略平行な隔壁部50aと案内壁部50bとを備え、搬送される貼着シート27の第2コンベヤ45bに吸着された一方側を第2コンベヤ45bと隔壁部50aとの間に挿通すると共に、第2コンベヤ45bに吸着されていない他方側を案内壁部50bの案内により隔壁部50aと案内壁部50bとの間に挿通することにより、貼着シート27の一方側に隔壁部50aを隔てて他方側を重ね合わせて、貼着シート27を幅方向に二つ折り状に折り畳むようになっている。
【0051】
なお、第1コンベヤ45aと第2コンベヤ45bとを谷型の屈曲状に設け、押さえロール49を第1コンベヤ45aの下流側近傍の第2コンベヤ45b上に設けているので、貼着シート27の折り曲げ部から他方側に弛みが生じやすく、例えば吸収シート24と剥離シート17との剥がれ等の惧れを少なくできる。
【0052】
固着手段30は、図5及び図7に示すように、第2コンベヤ45bと第3コンベヤ45cとの間に配置され、二つ折り状の貼着シート27の両面側に対応して、一対の熱シールロール52を備えている。各熱シールロール52は、径方向に突出する熱シール部53が外周面に形成され、この各熱シール部53が貼着シート27を介して接するように夫々配置されている。熱シール部53は、貼着シート27の剥離シート17のトリム除去部分54に対応して、その縁部に沿うように湾曲状に形成されている。なお、熱シール部53は、図外の加熱手段により加熱されるようになっている。
【0053】
そして、固着手段30は、各熱シール部53が剥離シート17のトリム除去部分54の湾曲状の縁部に沿うように、各熱シールロール52をその間に搬送される貼着シート27に同調して回転させることにより、貼着シート27の吸収シート24の重合部分を、剥離シート17のトリム除去部分54の縁部に沿って湾曲状に熱シールにより固着するようになっている。
【0054】
なお、この実施形態では、吸収シート24をその内側の防水性シート層10の熱融着により固着しているが、熱融着性の防水性シート層10を有しない吸収シート24を使用する場合には、吸収シート24に予め熱融着性の接着剤を塗布しておいて、固着手段30により固着するようにしても良い。その場合には、貼着手段26と折り畳み手段29との間に、吸収シート24の幅方向の片側又は両側に、剥離シート17のトリム除去部分54の縁部に沿って、熱融着性の接着剤を塗布する接着剤塗布手段を設けることが望ましい。なお、熱融着性の接着剤に限らず、通常の接着剤を塗布しておいて、貼着シート27を二つ折り状に折り畳んだ際に、その接着剤により吸収シート24の重合部分が固着されるようにしても良い。
【0055】
切り取り手段31は、図4、図5及び図7に示すように、貼着シート27の重合部分を固着部6側の凹入縁4を含む周縁部で切り取って汗取りパッド1を得るためのもので、汗取りパッド1を切り取るための切り取りロール55と、その受け側となる受けロール56とを備えている。
【0056】
切り取りロール55は、その外周面に、固着部6と粘着剤12との外周部側に沿う略三日月状のカッター部57が、周方向に1又は複数形成されている。受けロール56は、切り取りロール55の回転軸と略平行な回転軸を有し、その外周面に切り取りロール55のカッター部57が接するように配置されている。
【0057】
そして、切り取り手段31は、カッター部57が貼着シート27の固着部6及び粘着剤12に対応するように、切り取りロール55と受けロール56とをその間に搬送されてくる貼着シート27に同調して回転させることにより、貼着シート27から、粘着剤12及び固着部6の外周部側に沿って、略三日月状の汗取りパッド1を貼着シート27の搬送方向に連続状に切り取っていくようになっている。
【0058】
汗取りパッド1を切り取った後の貼着シート27の残り部分であるトリム59は、トリム回収手段60により回収されるようになっている。トリム回収手段60は、例えば連続状のトリム59を巻き芯60aに巻き取って回収するようになっている。トリム59が連続状でない場合には、汗取りパッド1とトリム59とを選別する選別手段を設け、選別されたトリム59をバキューム等により回収するようにしても良い。選別手段としては、例えば、切り取り手段31の受けロール56内に吸引ケースを設け、汗取りパッド1又はトリム59の形状に対応して外周に細孔を設けて、その何れかを選択的に吸着することにより選別しても良い。
【0059】
第4搬送手段58は、切り取り手段31により切り取られた汗取りパッド1を所定箇所まで搬送するためのもので、例えばコンベヤ61により構成されている。
【0060】
次に上記構成の汗取りパッド製造装置16を用いた汗取りパッド製造方法について説明する。先ず、剥離シート17、吸収シート24及び貼着シート27を搬送する第1搬送手段19、第2搬送手段25及び第3搬送手段28の各コンベヤ32,42,45a〜45cの搬送速度を調節して、それらの搬送速度が同一となるように調節しておく。
【0061】
最初に、塗布手段20により剥離シート17の剥離面側に粘着剤12を塗布する。このとき、図6(a)に示すように、剥離シート17の幅方向の両側に、その中心線に対して略線対称な二列の略三日月状に、搬送方向に連続状に粘着剤12を塗布していく。なお、この実施形態では、粘着剤12の凹入縁38が剥離シート17の幅方向の内側に向くように、剥離シート17の搬送方向に対して縦長の略三日月状に粘着剤12を塗布する。また剥離シート17の搬送方向の前後の粘着剤12が重なり合わず、なるべく近接するように塗布することが望ましい。
【0062】
次に、トリム切り取り手段22により、剥離シート17の粘着剤12が塗布されていない部分からトリム21を切り取る。このとき、図6(a)及び(b)に示すように、剥離シート17の幅方向の中央部分から、三日月状に塗布された粘着剤12の凹入縁38に沿ってトリム21を連続状に切り取っていく。その際、粘着剤12の凹入縁38から剥離シート17の幅方向の中央側に所定間隔をおいてトリム21を切り取っているが、凹入縁38と略一致するようにトリム21を切り取っても良い。因みにトリム21は、吸収シート24が固着される固着部6に対応して剥離シート17から除去すれば十分であり、必ずしも粘着剤12の凹入縁38に沿って切り取る必要はない。
【0063】
そして、剥離シート17からトリム21を切り取った直後に、そのトリム21をトリム回収手段23により回収する。この実施形態では、連続状にトリム21を切り取っていくので、例えばそのトリム21を巻き芯23aに巻いて回収している。なお、トリム21を連続状または不連続状に切り取る場合に、バキュームにより吸引してトリム21を回収しても良い。
【0064】
一方、トリム21を切り取った後の剥離シート17を、吸着ロール40に吸着した状態でその回転により反転させ、粘着剤12を介して吸収シート24に貼着する。このとき、図6(b)に示すように、トリム21が切り取られて幅方向の両側に分割された剥離シート17を、吸収シート24にその幅方向の中心線に対して略対称となるように貼着する。なお、トリム21を切り取る前に剥離シート17を吸着ロール40により吸着しておいても良いし、トリム21の切り取りと略同時に剥離シート17を吸着ロール40に吸着しても良い。
【0065】
なお、吸収シート24の防水性シート層10側に剥離シート17を貼着する。また、吸収シート24の防水性シート層10の粘着剤12に対する親和性を、剥離シート17の剥離面のそれよりも大とすることにより、剥離シート17側に塗布した粘着剤12を吸収シート24側に移行させるようになっている。
【0066】
次に、折り畳み手段29により、吸収シート24と剥離シート17との貼着シート27を、吸収シート24の幅方向の略中央(幅方向の両側の粘着剤12の略中央)で、剥離シート17が内側となるように、搬送方向に沿って二つ折り状に折り畳む。すると、図7に示すように、幅方向の両側の剥離シート17及び粘着剤12が略重なり合う。
【0067】
そして、固着手段30により、二つ折りにされた貼着シート27を、剥離シート17のトリム除去部分54に対応する吸収シート24の重合部分で固着する。このとき、図7に示すように、剥離シート17のトリム除去部分54の縁部に沿って湾曲状に、吸収シート24の重合部分を搬送方向に順次固着していく。なお、粘着剤12と固着部6との間に、その略全長にわたって所定幅の非粘着領域15を形成すべく貼着シート27を固着しているが、非固着領域15を形成しないように粘着剤12の極近傍で固着しても良い。
【0068】
この実施形態では、吸収シート24の防水性シート層10に熱融着性の合成樹脂を使用し、その熱融着により吸収シート24を防水性シート層10側で固着する。なお、吸収シート24の材質によっては、吸収シート24への剥離シート17の貼着後で、その貼着シート27を折り畳む前に、剥離シート17のトリム除去部分54に対応して吸収シート24に熱融着性又はその他の適当な接着剤を塗布しておいても良い。
【0069】
固着部6は、1個の汗取りパッド1に対応する部分毎に間欠的に形成しても良いし、搬送方向に隣接して切り取られる汗取りパッド1の固着部6と連続状に形成しても良い。また1個の汗取りパッド1に対応する部分内で分割して間欠的に形成しても良い。更に筋状に1本の固着部6を設ける以外にも、1個の汗取りパッド1に対して複数本の筋状の固着部6を平行に設けても良い。
【0070】
そして、切り取り手段31により、固着後の貼着シート27から、固着部6に沿う凹入縁4を含む周縁部で汗取りパッド1を搬送方向に順次切り取っていく。このとき、図7に示すように、固着部6側では、固着部6に沿う湾曲状に吸収シート24をカットして凹入縁4を形成し、凹入縁4と反対の先端部側では、粘着剤12の外周部側に沿って吸収シート24及び剥離シート17を湾曲状にカットすることにより略三日月状の汗取りパッド1を切り取る。実施形態では、少なくとも三日月状に塗布された粘着剤12の全体を含むように、その縁部から所定間隔をおいて外側で各汗取りパッド1を切り取っているが、粘着剤12を広めに塗布して、粘着剤12が塗布された部分をカットしても良い。凹入縁4側も、実施形態では固着部6から粘着剤12と反対側に所定間隔をおいて吸収シート24の重合部分を切り取っているが、固着部6上で切り取っても良い。
【0071】
なお、切り取った汗取りパッド1は、第4搬送手段58により順次所定箇所に搬送していく。また汗取りパッド1が切り取られた後の貼着シート27の余裕部分であるトリム59は、トリム回収手段60により回収する。このとき、トリム59が連続状に形成されていれば、巻き芯60aに巻き取って回収すればよいし、トリム59が不連続の場合には、バキューム等により吸引して回収すればよい。
【0072】
本実施形態の汗取りパッド1の製造方法は、長尺の吸収シート24と剥離シート17とを連続的に搬送しながら、重ね合わされた一対の吸収シート部5が衣類2の袖ぐり部3に対応する凹入縁4側の固着部6で固着され且つ各吸収シート部5の内側に剥離シート部8で保護された粘着剤12を有する脇下用の汗取りパッド1を順次製造するに際して、剥離シート17の一側面に粘着剤12を塗布し、その塗布後の剥離シート17を吸収シート24に粘着剤12を介して貼着し、その貼着シート27を剥離シート17を内側にして粘着剤12の中間で幅方向に二つ折り状に折り畳み、二つ折り状の貼着シート27の吸収シート24の重合部分を固着部6で固着し、その後に貼着シート27の重合部分を、固着部6側の凹入縁4を含む周縁部で切り取って汗取りパッド1を得るので、衣類2の袖ぐり部3に対応する凹入縁4が形成された一対の吸収シート部5を重ね合せて凹入縁4に沿う固着部6で固着した汗取りパッド1を効率よく連続的に製造することができる。とりわけ、一対の吸収シート部5の固着後に、その内面側に粘着テープを貼着する必要がないので、汗取りパッド1を効率よく製造することができる。
【0073】
剥離シート17の幅方向の両側に略対称に粘着剤12を塗布し、その剥離シート17から、剥離シート部8に対応する部分以外で少なくとも吸収シート24の固着部6に対応する部分をトリム21として除去し、この剥離シート17を粘着剤12を介して吸収シート24に貼着し、次いで吸収シート24を剥離シート17を内側にして二つ折り状に折り畳んで幅方向の両側の粘着剤12を略重ね合わせた後、剥離シート17のトリム21の除去部分54で吸収シート24の重合部分を固着し、続いて粘着剤12及び固着部6の外周部側で汗取りパッド1を切り取るので、固着部6に対応する穴部等を予め剥離シート17に形成しておく必要がない。また貼着シート27から、粘着剤12及び固着部6の外周部側に対応して汗取りパッド1を切り取っていくので、粘着剤12の無駄を少なく又は無くすことができる。
【0074】
粘着剤12塗布後の剥離シート17から、吸着ロール40と切り取りロール39との間でトリム21を切り取り、吸着ロール40に吸着された剥離シート17を、吸着ロール40の回転により送りながら、吸着ロール40と押さえロール44との間で吸収シート24に貼着するので、トリム21除去後の剥離シート17の形状の如何にかかわらず、剥離シート17を吸収シート24の所要箇所に確実に貼着することができる。
【0075】
剥離シート17の両側に粘着剤12を略三日月状に塗布し、その後に粘着剤12の少なくとも凹入縁38に沿って、剥離シート17からトリム21を除去するので、粘着剤12の凹入縁38に沿って吸収シート24の固着部6を設けることができ、吸収シート部5に対する粘着部7の相対面積が大きい汗取りパッド1を効率よく容易に製造することができる。
【0076】
図8及び図9は本発明の第2の実施形態を例示している。この実施形態は、貼着シート27の幅方向に2列の汗取りパッド1を切り取っていくものである。まず、図8(a)に示すように、塗布手段20により、剥離シート17にその幅方向に4列の略三日月形状に粘着剤12を塗布していく。その際、剥離シート17の幅方向の両側の各一対の粘着剤12が夫々凹入縁38を向かい合わせ且つ略対称となるようにする。次に、トリム切り取り手段22により、剥離シート17の幅方向の両側から、各一対の粘着剤12の間のトリム21をその凹入縁38に沿って切り取っていく。そして、図8(b)に示すように、貼着手段26により、トリム21の切り取り後の剥離シート17を粘着剤12を介して吸収シート24に貼着する。
【0077】
次に、折り畳み手段29により、吸収シート24と剥離シート17との貼着シート27を、その幅方向の両側の各一対の粘着剤12の略中央を折り曲げ部として、幅方向の両側部分を中央部分に重ねるように折り畳んでいく。折り畳み手段29の押さえロール49は、貼着シート27の幅方向の中央部分に対応して配置され、その両端が貼着シート27の幅方向の両側の各一対の粘着剤12の略中央(折り曲げ部)に対応するようになっている。また折り畳み器50は、貼着シート27の幅方向の中央部分に対応する隔壁部50aと、貼着シート27の幅方向の両側部分を夫々案内する一対の案内壁部50bとを備え、押さえロール49により押さえられて第2コンベヤ45bに吸着された貼着シート27の中央部分を第2コンベヤ45bと隔壁部50aとの間に挿通すると共に、貼着シート27の幅方向の両側部分を一対の案内壁部50bの案内により隔壁部50aと案内壁部50bとの間に夫々挿通することにより、幅方向の両側部分を中央部分に重ねるように貼着シート27を折り畳むようになっている。なお、折り畳み後の貼着シート27の幅方向の両側部分は互いに重なり合わず、その両端部間に隙間が形成されている。
【0078】
そして、図9に示すように、固着手段30により、折り畳まれた貼着シート27を剥離シート17のトリム除去部分54に対応してその縁部に沿って固着する。このとき、貼着シート27の幅方向の両側の各トリム除去部分54に対応して2列に固着していく。最後に固着部6に沿う凹入縁4を含む周縁部で汗取りパッド1を搬送方向に順次切り取っていく。その際にも、貼着シート27の幅方向の両側から2列に汗取りパッド1を切り取っていく。
【0079】
この実施形態のように、貼着シート27の幅方向に2列の汗取りパッド1を切り取るように構成しても良く、製造効率を向上できる利点がある。なお、2列に限らず幅方向に3列以上の汗取りパッド1を切り取るように構成しても良い。また、この実施形態では、貼着シート27を幅方向の両側部分を互いに重なり合わないように中央部分に重ね合わせているので、幅方向に2列の汗取りパッド1を切り取ることにより貼着シート27の幅が大きくなるにもかかわらず、各々の折り曲げ幅を小さくすることができ、貼着シート27を容易に折り畳むことができる。なお、貼着シート27の幅方向の略中央から一方側をその他方側に重ねて折り畳むように構成しても良い。
【0080】
図10〜図12は本発明の第3の実施形態を示している。この実施形態は、剥離シート17の幅方向の両側に、幅方向に長い略三日月状に粘着剤12を塗布するようにしたものである。以下、この実施形態による汗取りパッド1の製造方法について説明する。
【0081】
先ず、塗布手段20により、図10及び図11に示すように、凹入縁38が搬送方向に対して前向きで且つ横長の略三日月状に、剥離シート17の幅方向の両側に2列に粘着剤12を塗布していく。次に、剥離シート17から、少なくとも粘着剤12の凹入縁38に沿って、前後の粘着剤12の中間部分と幅方向の両側部分とをトリム21として切り取っていく。即ち、幅方向に並んだ一対の粘着部7を含むように剥離シート17を残し、それ以外の部分をトリム21として除去する。従って、トリム21が幅方向の両側で搬送方向に連続し、巻き芯23aに巻き取ってトリム21を回収することができる。なお、トリム21は、剥離シート17の粘着剤12が塗布されていない部分のうち、少なくとも固着部6に対応して除去すれば十分である。
【0082】
なお、トリム21の除去後の剥離シート17が搬送方向に分断されているが、吸収シート24に貼着されるまで吸着ロール40により吸着されているので、吸収シート24の所要箇所に確実に貼着することが可能である。
【0083】
貼着手段26及び折り畳み手段29は第1の実施形態と略同様に構成されており、略同様の手順で貼着手段26により吸収シート24に剥離シート17を貼着し、その貼着シート27を折り畳み手段29により二つ折りにしていく。
【0084】
固着手段30の熱シールロール52には、図10及び図12に示すように、横向きの熱シール部53が形成されており、二つ折り状に折り畳まれた貼着シート27の吸収シート24の重合部分を、剥離シート17のトリム除去部分54に対応して固着していく。このとき、固着部6の向き以外は第1の実施形態と略同様であり、粘着剤12の凹入縁38側で剥離シート17のトリム除去部分54に沿って吸収シート24を固着していく。
【0085】
最後に、固着部6により固着された二つ折り状の貼着シート27から、固着部6側の凹入縁4を含む周縁部で汗取りパッド1を切り取る。このとき、汗取りパッド1の向き以外は第1の実施形態と略同様であり、固着部6及び粘着剤12の外周部側に沿う略三日月状に汗取りパッド1を切り取る。なお、略三日月状に塗布された粘着剤12の全体が汗取りパッド1側に含まれるように、粘着剤12の外側で、吸収シート24及び剥離シート17をカットする。
【0086】
なお、本実施形態のように、切り取り手段31で発生するトリム59が連続状でない場合には、図10に二点鎖線で示すように、トリム回収手段60をバキューム60bにより構成しても良い。この場合には、汗取りパッド1とトリム59との一方を選別して吸着できるように受けロール56を構成する等によりトリム選別手段を設け、適宜箇所にバキューム60bを配置すればよい。
【0087】
この実施形態のようにして汗取りパッド1を製造しても良い。この実施形態では、横長の略三日月状の汗取りパッド1を製造する場合には、各搬送手段19,25,28の搬送速度が同じであれば、第1の実施形態よりも速く製造することが可能である。また汗取りパッド1をより密に切り取っていくことができ、歩留まりの向上も可能である。
【0088】
なお、本実施形態のように進行方向に対して横向きに略三日月状の汗取りパッド1を切り取っていく場合にも、第2の実施形態と同様に、貼着シート27の幅方向に2列又は3以上の複数列の汗取りパッド1を切り取っていくように構成しても良い。
【0089】
以上、本発明の各実施形態について詳述したが、本発明は実施形態に限られるものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0090】
例えば、実施形態では、剥離シート17に粘着剤12を塗布する際に、縦向き又は横向きの略三日月状に塗布する例を示しているが、斜め向き等の略三日月状に粘着剤12を塗布しても良いし、三日月状以外に矩形状、円形状、楕円形状等に塗布しても良い。またその塗布領域の全体に粘着剤12を塗布しても良いし、塗布領域内に縦方向、横方向等の複数の筋状、ドット状等に塗布しても良い。
【0091】
また塗布手段20は、塗布ロール35による以外にも、例えばノズルから粘着剤12を射出して剥離シート17に塗布するようにしても良いし、剥離シート17の搬送方向に連続状に粘着剤12を塗布可能であれば、その他公知の装置を使用しても良い。
【0092】
なお、実施形態のように、剥離シート17に粘着剤12を塗布する段階で、最終的な粘着部7の形状に塗布しておくことが望ましいが、その形状よりも広い領域に粘着剤12を塗布しておき、貼着シート27から汗取りパッド1を切り取る段階で、粘着剤12が塗布された部分も含めて吸収シート24及び剥離シート17をカットするようにしても良い。また剥離シート部8は、少なくとも粘着部7を覆う形状であれば良く、必ずしも三日月状でなくても良い。
【0093】
剥離シート17からトリム21を切り取る際には、実施形態では、少なくとも略三日月状に塗布された粘着剤12の凹入縁38に沿うようにトリム21を切り取っているが、この段階で、剥離シート17が最終的な剥離シート部8の形状となるようにトリム21を切り取っても良い。この場合には、最後に貼着シート27から汗取りパッド1を切り取る際のトリム59が吸収シート24の余裕部分だけになるので、吸収シート24の余裕部分であるトリム59と剥離シート17の余裕部分であるトリム21とを容易に分別することができ、廃棄物の分別、リサイクル等を促進できる。
【0094】
貼着シート27を吸収シート24の重合部分で貼着する際には、実施形態では、剥離シート17のトリム除去部分54に対応してその縁部に沿って湾曲状に固着しているが、衣類2の袖ぐり部3に対応する湾曲状に吸収シート24を固着すれば、必ずしもその縁部に沿って固着しなくても良い。また実施形態では、吸収シート24の防水性シート層10側の熱融着により吸収シート24を固着しているが、接着剤により固着しても良いし、ミシン等により縫合することも可能である。
【0095】
折り畳まれて固着された貼着シート27から汗取りパッド1を切り取る切り取り手段31、各搬送手段19,25,28,58のコンベヤ32,42,45a〜45b,61等も実施形態はあくまでも例示であり、その他の公知の装置を使用しても良い。汗取りパッド1の形状も、三日月状に限られるものではなく、衣類2の袖ぐり部3に対応する凹入縁4を有する形状であれば、先端側の形状は適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す汗取りパッドの一部破断平面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態を示す汗取りパッドの断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態を示す汗取りパッドの使用状態の説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態を示す汗取りパッド製造装置の正面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態を示す汗取りパッド製造装置の斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施形態を示す汗取りパッド製造装置の各部の平面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態を示す汗取りパッド製造装置の各部の平面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態を示す汗取りパッド製造装置の各部の平面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態を示す汗取りパッド製造装置の各部の平面図である。
【図10】本発明の第3の実施形態を示す汗取りパッド製造装置の斜視図である。
【図11】本発明の第3の実施形態を示す汗取りパッド製造装置の各部の平面図である。
【図12】本発明の第3の実施形態の示す汗取りパッド製造装置の各部の平面図である。
【符号の説明】
【0097】
1 汗取りパッド
2 衣類
3 袖ぐり
4 凹入縁
5 吸収シート部
6 固着部
7 粘着部
8 剥離シート部
12 粘着剤
15 非粘着領域
17 剥離シート
20 塗布手段
21 トリム
24 吸収シート
26 貼着手段
27 貼着シート
29 折り畳み手段
30 固着手段
31 切り取り手段
38 凹入縁
39 切り取りロール
40 吸着ロール
44 押さえロール
54 トリム除去部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類(2)の袖ぐり部(3)に対応する凹入縁(4)が形成された一対の吸収シート部(5)を重ね合わせて前記凹入縁(4)に沿う固着部(6)で固着し、前記各吸収シート部(5)の内側に、保護用の剥離シート部(8)が貼着された粘着部(7)を設けた汗取りパッドにおいて、前記各吸収シート部(5)の前記固着部(6)と前記粘着部(7)との間に、前記凹入縁(4)の全体にわたって所定幅の非粘着領域(15)を帯状に設け、前記各吸収シート部(5)の該非粘着領域(15)に対して前記固着部(6)と反対側の略全面又は反対側の周縁部を除く略全面にわたって前記粘着部(7)を形成する粘着剤(12)を塗工し、一方又は両方の前記吸収シート部(5)をその前記非粘着領域(15)で前記固着部(6)に沿って切り取り可能に構成したことを特徴とする汗取りパッド。
【請求項2】
前記各吸収シート部(5)は透水性シート層(9)と防水性シート層(10)との間に吸水体層(11)が介在されたシートを、その防水性シート層(10)が内側となるように配置したことを特徴とする請求項1に記載の汗取りパッド。
【請求項3】
前記凹入縁(4)から所定寸法だけ間隔をおいて該凹入縁(4)に沿って筋状に前記固着部(6)を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の汗取りパッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−328629(P2006−328629A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−206294(P2006−206294)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【分割の表示】特願2002−294938(P2002−294938)の分割
【原出願日】平成14年10月8日(2002.10.8)
【出願人】(390018832)東亜機工株式会社 (14)
【Fターム(参考)】