汚染土壌処理方法及び汚染土壌処理システム
【課題】短工期で安価に施工可能で、土壌中に残存した汚染物質を施工後も継続的かつ効果的に分解することができる汚染土壌処理方法及び汚染土壌処理システムを提供する。
【解決手段】汚染物質を含有する汚染土壌に油分分解能を有する微生物を活性化させる栄養剤を混合するステップ110の工程と、このステップ110の工程を経て栄養剤と混合された汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合するステップ120の工程と、このステップ120の工程を経て栄養剤及び改良材と混合された処理土を埋め戻すステップ130の工程とを行う。
【解決手段】汚染物質を含有する汚染土壌に油分分解能を有する微生物を活性化させる栄養剤を混合するステップ110の工程と、このステップ110の工程を経て栄養剤と混合された汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合するステップ120の工程と、このステップ120の工程を経て栄養剤及び改良材と混合された処理土を埋め戻すステップ130の工程とを行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油類等の汚染物質を含有した汚染土壌を浄化処理する汚染土壌処理方法及び汚染土壌処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
油類等の汚染物質に汚染された汚染土壌の処理方法の一例として、まず高温焼成した生石灰粉末を汚染土壌に混合し、生石灰の反応が完了した後、土壌中の微生物を活性化させる栄養剤(微生物栄養素)を散布混合することにより、生石灰と土壌中の水分との反応により生じる水和反応熱によって汚染物質の揮発を促進させ、その後、微生物によって汚染物質をさらに分解除去しようとする方法がある(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平5−228499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、土壌を構成する土壌粒子は各々粒度が異なり、個々の土壌粒子は微視的に見ると粒度の小さな微粒子が凝集され団粒構造をなしている場合が多い。汚染土壌においては、団粒構造の土壌粒子内部に汚染物質が浸透している場合もあり、汚染物質を残さず分解するためには団粒構造の土壌粒子内部にも微生物がある程度存在していなければならない。しかし、土壌中の微生物は移動能力に乏しく、一般に水を媒体としなければ移動することができない。したがって、微生物が団粒構造の土壌粒子内部に移動するには土壌粒子内部にまで水が浸透する必要がある。
【0005】
しかしながら、上記従来技術においては、最初の工程で生石灰を汚染土壌に混合している。そのため、団粒構造の土壌粒子内部まで水を浸透させる場合、土壌粒子表面に付着した石灰層を経由する際に水のpHが上昇し、土壌粒子内部に高pH水が浸入する。また、栄養素を土壌粒子内部に浸透させるにも栄養素を溶解させた水を土壌粒子内部に浸透させなければならないため、栄養剤を混合する際に土壌粒子内部に高pH水を浸入させることになる。その結果、元々団粒構造の土壌粒子内部に生息していた微生物は勿論のこと、浸透水に伴って土壌粒子内部に侵入する微生物も高pH水に晒され、甚だしい場合には微生物を死滅させてしまい十分に汚染物質を分解できなくなる恐れがある。
【0006】
本発明は、上述の事柄に基づいてなされたもので、その目的は、短工期で安価に施工可能で、土壌中に残存した汚染物質を施工後も継続的かつ効果的に分解することができる汚染土壌処理方法及び汚染土壌処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の発明は、汚染物質を含有する汚染土壌に油分分解能を有する微生物を活性化させる栄養剤を混合する工程と、前記栄養剤と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合する工程とを行うことを特徴とする。
【0008】
第2の発明は、汚染物質を含有する汚染土壌に表土又は油分分解能を有する微生物を担持した微生物担体を含む微生物材料を混合する工程と、前記微生物材料と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合する工程とを行うことを特徴とする。
【0009】
第3の発明は、汚染物質を含有する汚染土壌に油分分解能を有する微生物を活性化させる栄養剤を混合する工程と、前記汚染土壌に表土又は油分分解能を有する微生物を担持した微生物担体を含む微生物材料を混合する工程とを順不同又は同時に行った後、前記栄養剤及び前記微生物材料と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合する工程を行うことを特徴とする。
【0010】
第4の発明は、第1乃至第3の発明のいずれかにおいて、前記改良材は、単一粒子よりも粒径が大きな顆粒状の状態、又は単一粒子が凝集してなる粒子集合体の状態で混合することを特徴とする。
【0011】
第5の発明は、汚染物質を含有する汚染土壌に油分分解能を有する微生物を活性化させる栄養剤を混合する混合手段と、前記栄養剤と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合する混合手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
第6の発明は、汚染物質を含有する汚染土壌に表土又は油分分解能を有する微生物を担持した微生物担体を含む微生物材料を混合する混合手段と、前記微生物材料と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合する混合手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
第7の発明は、汚染物質を含有する汚染土壌に油分分解能を有する微生物を活性化させる栄養剤、及び表土又は油分分解能を有する微生物を担持した微生物担体を含む微生物材料を混合する混合手段と、前記栄養剤及び前記微生物材料と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合する混合手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、単に改良材を混合する前に栄養剤や微生物材料を汚染土壌に混合しておくことにより、改良材を混合した後も土壌中に生存する微生物数を増加させることができる。したがって、短工期で安価に施工可能であり、土壌中に残存した汚染物質を施工後も継続的かつ効果的に分解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明の汚染土壌処理方法及び汚染土壌処理システムの実施の形態を説明する。
【0016】
まず、本発明の汚染土壌処理方法の背景について説明する。
従来、油類の汚染物質の揮発を促進させるために石灰系の薬剤を汚染土壌に混合した場合、土壌温度が一時的に高温(例えば80〜100℃)になるとともにpHも上昇し微生物にとって厳しい生息環境となることから、微生物は死滅してしまい、施工後は微生物による汚染物質の継続的な分解作用は期待できないというのが一般的な認識であった。
【0017】
それに対し、本願発明者等は上記通説を確認すべく次の試験を実施した。
最初に、油類の汚染物質を含有する汚染土壌のサンプルに所要量の生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材(以下、単に改良材とする)を混合したものを室内に放置し、定期的に汚染物質の含有量を測定した。
測定の結果、改良材を混合する前は4000mg/kg程度だったサンプルの汚染物質含有量が、改良材を混合した直後には発熱による揮発促進により1500mg/kg程度に低下し、その後も、1ヶ月後では400mg/kg、3ヵ月後では300mg/kg、6ヵ月後では250mg/kg・・・と徐々に低下することを知見した。
【0018】
次に、過去に汚染土壌に改良材を混合処理した実際の現場でその後の土壌の汚染物質含有量がどのようになっているのかを確認した。
施工後10ヶ月が経過した現場で調査を実施したところ、施工前には1500〜3500mg/kg程度だった汚染物質含有量が、100〜200mg/kg程度にまで低下していることが確認された。
【0019】
この結果を受け、更なる調査のため、同様の施工を実施する他の現場にて土壌中に生息する菌体数の経時変化を分析した。
結果、乾土1g当たりの菌体数は、施工前では1.0×1011〜6.0×1011cells/gだったところ、施工直後でも実に1.0×1010〜1.5×1011cells/gもの微生物が活動しており、さらに1ヵ月が経過すると1.0×1010〜3.0×1011cells/gと増殖傾向を示していた。
【0020】
本願発明者等は、以上の現象の裏付けを以下のように仮定した。
(1)水和反応熱が微生物に与える影響について
周知の通り、生石灰や石灰系の薬剤を土壌に混合すると、水と石灰との反応により水和反応熱が生じる。これは油類からなる汚染物質の揮発を促進させるのに有効に作用する。一般に、この温度上昇は微生物を死滅させる一因と考えられてきたが、微生物にとって好適な温度環境を越えたとしても、一時的なものであれば高温環境による微生物へのダメージは一般に考えられているよりは少ない。これは施工直後でも多数の微生物が土壌中に生存していたことから推測される。
【0021】
(2)土壌中の高pH環境について
(i)土壌中の大部分の領域は雨水や地下水が通過しないため、改良材によりpHが上昇するのは土壌全体における一部の領域のみである。
【0022】
つまり、図1に示した通り、土壌中には一般に「水道(みずみち)」が形成される。降雨等によって土壌に浸透する水(雨水、地下水等)は水道Aに流入し易くなっており、土壌全体にまんべんなく浸透する訳ではなく、水道Aを優先して選択的に通過するのが通常である。
【0023】
したがって、図2に示したように、水道Aに沿って土壌中に混合した改良材と接触した水(高pH水)が流通するものの、それ以外の大部分の領域の土壌のpHはほとんど上昇しない。したがって、土壌中に生息する微生物の大部分は高pH環境に晒されずそのまま活動を継続する。
【0024】
(ii)改良材を混合した後にpHが上昇するのは、微視的に見ると改良材の粒子近傍のみに限定され、仮に全体として見かけ上のpHが上昇したとしても、土壌中における実際のpH上昇は局所的なものである。
【0025】
一般に土壌は広い粒度範囲を持つ個々の土壌粒子から構成されているが、図3に示すように、一般に粒径の小さな微粒子Cは凝集されて団粒構造をなした土壌粒子Dを形成している。
このような団粒構造の土壌粒子Dが含まれた土壌に対し、単一粒子が互いに独立した状態に近い木目細かいパウダー状の改良材を混合すると、土壌粒子Dの表層(表面)に改良材の微粒子がまぶされ付着した状態となる。このような状態で降雨等があると土壌粒子Dの表層に付着した改良材と水とが接触する可能性があるが、水は土壌粒子Dの内部にまでは浸透し難く、高pH水に晒されて高pH環境になるのは、実際には図4に示したように土壌粒子Dの表層部のみである。したがって、大部分の土壌粒子Dは、その内部までが高pH環境となる訳ではない。
【0026】
また、前述したような木目細かいパウダー状(微粒子状)の粒子ではなく、単一粒子よりも粒径が大きな顆粒状の状態の改良材を土壌に混合する場合、図5に示したように、顆粒状の改良材Eは土壌中にまんべんなく分布する訳ではなく、分散し局所的に分布するのが通常である。この場合、降雨等があって改良材Eが水と接触すると、高pH水が改良材Eの周囲に拡散する可能性があるが、拡散する過程で土壌のpH緩衝作用により高pH水のpHは低下し、結果的に高pH水に晒されるのは顆粒状の改良材Eの近傍領域のみに限定され、高pH環境に晒される微生物も改良材Eの近傍領域に生息していたものに限られる。
【0027】
ここで、一般に石灰は石灰岩として採掘され、これを粉砕し高温焼成すると脱炭作用が起こり生石灰が生成される。生石灰は必要に応じて粉砕され、分級して粒度調整した上で製品として出荷される。一般には、粒径が0〜2mm、2〜5mm、0〜5mm、5〜15mm、5〜25mm、25〜30mm、5〜30mmの石灰が流通している。本発明において、前述したパウダー状(微粒子状)の改良材とは、粒径0〜2mm程度若しくはこれに近い粒度の改良材をいい、顆粒状の改良材とは、粒径2〜5mm程度若しくはこれに近い粒度の改良材をいう。
【0028】
なお、改良材は単一粒子(例えば0〜2mm程度若しくはこれに近い粒度の粒子)が凝集してなる粒子集合体の状態で混合することも考えられる。この場合も顆粒状の改良材と同じように土壌中に局所的に分散するとともに、顆粒状の改良材に比して改良材の表面積が大きくなるので、水との反応速度、すなわち発熱速度がより速くなるというメリットがある。
【0029】
以上(i)(ii)のように、土壌に改良材を混合しても土壌中に生息する微生物の大部分は実際に高pH環境に晒される訳ではなく、特別なダメージを受けずに活動を継続することができるものと本願発明者等は推論した。
【0030】
しかしながら、汚染土壌に改良材を混合した後、土壌中に生息する微生物を活性化して施工後も継続的に汚染物質が分解されるようにするために、さらに栄養剤を混合する場合、次のことが懸念される。
【0031】
図6は、汚染土壌に微粒子状の改良材を混合した後の団粒構造の土壌粒子Dのモデル図である。
前述したように、土壌を構成する土壌粒子Dは各々粒度が異なり、個々の土壌粒子Dは微視的に見ると粒度の小さな微粒子が凝集され団粒構造をなしている場合が多い。図6では、団粒構造の各土壌粒子Dの表層に微粒子状の改良材Fが付着している状態を例示している。
【0032】
このような状態で土壌粒子Dの内部に生息する微生物Gを活性化させる栄養剤を与える場合、栄養素を土壌粒子Dの内部に浸透させるため、図7に示したように栄養素を溶解させた水を土壌粒子Dの内部に浸透させなければならない。この場合、団粒構造の土壌粒子Dの表面の石灰層を経由する際に栄養素を含んだ水のpHが上昇し、土壌粒子Dの内部に高pH水が浸入する。その結果、元々団粒構造の土壌粒子Dの内部に生息していた微生物Gは勿論のこと、浸透水に伴って土壌粒子Dの内部に侵入する微生物Gも高pH水に晒され、甚だしい場合には微生物が死滅してしまい十分に汚染物質を分解できなくなる恐れがある。
【0033】
そこで、本実施の形態においては、以下のような方法で油類の汚染物質を含有した汚染土壌を浄化処理する。
【0034】
図8は、本発明の汚染土壌処理方法の一実施の形態の手順を表すフローチャートである。
図8に示したように、本実施の形態の汚染土壌処理方法では、汚染物質を含有する汚染土壌に油分分解能を有する微生物を活性化させる栄養剤を混合するステップ110の工程と、栄養剤と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合するステップ120の工程と、汚染土壌に栄養剤及び改良材を混合して生成した処理土を埋め戻すステップ130の工程とを行う。
【0035】
また、ステップ120において、好ましくは、単一粒子よりも粒径が大きな顆粒状の状態、若しくは単一の微粒子が凝集してなる粒子集合体の状態の改良材を汚染土壌に混合する。
【0036】
このように、本実施の形態においては、改良材を混合する前に汚染土壌に栄養剤を混合しておくことにより、団粒構造の土壌粒子の内部に予め栄養素を豊富に含ませ土壌粒子内部の微生物を活性化させる。そして、その後で栄養剤を混合した汚染土壌に改良材を混合することにより、水和反応熱によって汚染物質の揮発を促進し、土壌中の汚染物質の含有量を大きく低下させる。
【0037】
このとき、本実施の形態においては、団粒構造の土壌粒子の周囲に改良材が付着する前に土壌粒子内部に栄養剤を浸透させてあるので、栄養剤を加える際に土壌粒子内に高pH水を浸入させてしまうことがない。すなわち、改良材を混合した後に栄養剤を加える場合のように、改良材混合後も土壌粒子内部に生存している微生物を死滅させる危険性が低いので、より多くの微生物を土壌中に生存させそれら微生物を活性化させることができる。
【0038】
したがって、施工時には水和反応熱により汚染物質含有量を大きく低減させることができ、施工後においても積極的に生かした微生物によって残存した汚染物質を継続的かつ効率的に分解除去することができる。このように、本実施の形態においては、上記のように積極的に微生物を生かし極力多くの微生物を土壌中に生存させる、施工後の汚染物質の分解効率を向上させることができるので、処理の確実性も向上する。また、施工自体は単に栄養剤を混合した後に改良材を混合して埋め戻すという簡素なものであり、短工期、低コストで実施可能である。
【0039】
以上のように、本実施の形態によれば、短工期で安価に施工完了することができ、しかも土壌中の微生物の活動を極力妨げず、土壌中に残存した汚染物質を施工後も継続的かつ効果的に分解することができる。
【0040】
また、図5を用いて説明したように、顆粒状の改良材は混合しても土壌中に局所的に存在するのが通常である。このことから、本実施の形態において、顆粒状の改良材を汚染土壌に混合すれば、例えば施工後に降雨等があった場合でも、高pH水に晒される領域を局所的な領域に制限することができ、微生物の生息環境が悪化する領域を最小限に止めることができる。したがって、微生物活性化の阻害要因をさらに制限し、施工後の汚染物質分解効果をより向上させることができる。さらに、前述したように粒子集合体の状態の改良材を用いた場合、顆粒状の改良材を用いた場合の効果に加え、発熱速度がより速くなるというメリットが得られる。
【0041】
図9は、本実施の形態の汚染土壌処理方法を実施するための本発明の汚染土壌処理システムの一実施の形態の全体構造を表す側面図である。
図9に示すように、本実施の形態の汚染土壌処理システムは、汚染物質を含有する汚染土壌を掘削し投入する油圧ショベル200と、この油圧ショベル200により投入された汚染土壌に油分分解能を有する微生物を活性化させる栄養剤を混合する自走式混合機械100と、自走式混合機械100にて栄養剤と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合する自走式混合機械500とを備えている。
【0042】
まず油圧ショベル200の構成について説明すると、201は走行体、202は走行体201上に旋回可能に設けた旋回体、203は旋回体202上の後方に設けた原動機、204は旋回体202の後部に設けたカウンタウエイト、205は旋回体202の前部に設けた運転席、206は旋回体202の前部中央に俯仰動可能に設けたブーム、207はブーム206の先端に回動可能に設けたアーム、208はアーム207の先端に回動可能に設けた掘削バケットである。
【0043】
209はブーム駆動用の油圧シリンダで、その基端は旋回体202に、ピストンロッド210の先端はブーム206の側面中間部にそれぞれ連結されている。211はアーム駆動用の油圧シリンダで、その基端はブーム206の上面中間部に、ピストンロッド212の先端はアーム207の基部にそれぞれ連結されている。213はバケット駆動用の油圧シリンダで、その基端はアーム207の上面基部側に、ピストンロッド214の先端はリンク215,216の一方にそれぞれ連結されている。リンク215の他方はアーム207の先端側に連結され、またリンク216の他方はピン217によってバケット208の背部に連結されている。上記ブーム206、アーム207及び駆動用油圧シリンダ210,211は、多関節型作業アームを構成する。
【0044】
自走式混合機械100の構成について説明すると、101はその走行体で、この走行体101は、走行体フレーム102と、この走行体フレーム102の両側にそれぞれ設けたトラックフレーム103と、このトラックフレーム103の一方側(図9中の左側)に設けた従動輪104と、トラックフレーム103の他方側(図9中の右側)に設けた駆動輪105と、従動輪104と駆動輪105とに掛け回した履帯106とで構成されている。
【0045】
107は走行体フレーム102上に設けた本体フレーム、108は本体フレーム107の他方側(図9中の右側)に支持部材109を介して設けた動力装置で、この動力装置108はエンジンと、このエンジンによって駆動されるポンプと、このポンプからの圧油を前記走行体及び後述する機器に切換え供給する弁等とを備えている。
【0046】
110は本体フレーム107のほぼ中央に設けた栄養剤混合手段としての混合装置で、この混合装置110の内部には、攪拌移送手段として少なくとも1本のパドルミキサが備えられている。特に図示していないが、この混合装置110は一方側(図9中の左側)の上部に入口を、他方側(図9中の右側)の下部に出口を備えている。111は混合装置110の駆動装置である。
【0047】
112は本体フレーム7の一方側(図9中の左側)に設けた支持架台、113はこの支持架台112上にばね114を介して設けた篩装置、115は篩装置113に設けた偏心体駆動軸、116は加振用油圧モータ、117は加振用油圧モータ116と偏心体駆動軸115とを連結するベルトである。
【0048】
118は篩装置113の下方に位置するように支持架台112に設けた搬送コンベアで、この搬送コンベア118の放出側(図9中の右側)は混合装置110の入口に臨んでいる。119は篩装置113を通過した土砂を受け入れるホッパで、このホッパ119は、篩装置113と搬送コンベア118との間に位置するように支持架台112に設けたホッパである。
【0049】
120は支柱121によって支持された貯留タンクで、この貯留タンク120の上部はその高さを調整するために蛇腹状に構成されている。122は貯留タンク120の下部に設けた供給口で、この供給口122は搬送コンベア118の他方側(図9中の右側)の上方に位置している。
【0050】
なお、本自走式混合機械100において、栄養剤を溶液の状態で土砂(汚染土壌)に混合する場合、貯留タンク120及びその供給口122は使用しない場合がある。特に図示していないが、混合装置110の入口部には、溶液の状態の栄養剤を散布するための配管が設置されており、図示しないタンク内に貯留した栄養剤が適宜ポンプ等により吐出され、混合装置110の入口付近に設けた上記配管を介して混合装置110内に供給されるようになっている。
【0051】
123は混合装置110の出口から排出された栄養剤と汚染土壌の混合土を搬送し排出する排出コンベアであり、この排出コンベア123の一方側(図9中の左側)は混合装置110の出口の下方に位置し、他方側(図9中の右側)は動力装置108の下方から上り傾斜を持つように本体フレーム107等に支持されている。
【0052】
自走式混合機械500の構成は、自走式混合機械100とほぼ同様である。すなわち、501は走行体で、走行体501は、走行体フレーム502と、走行体フレーム502の両側にそれぞれ設けたトラックフレーム503と、トラックフレーム503の一方側(図9中の左側)に設けた従動輪504と、トラックフレーム503の他方側(図9中の右側)に設けた駆動輪505と、従動輪504と駆動輪505とに掛け回した履帯506とで構成されている。
【0053】
507は走行体フレーム502上に設けた本体フレーム、508は本体フレーム507の他方側(図9中の右側)に支持部材509を介して設けた動力装置である。510は本体フレーム507のほぼ中央に設けた改良材混合手段としての混合装置で、この混合装置510の内部にはパドルミキサが備えられている。511は混合装置510の駆動装置である。
【0054】
512は本体フレーム7の一方側(図9中の左側)に設けた支持架台、513は支持架台512上にばね514を介して設けた篩装置、515は篩装置513に設けた偏心体駆動軸、516は加振用油圧モータ、517は加振用油圧モータ516と偏心体駆動軸515とを連結するベルトである。
【0055】
518は篩装置513の下方に位置するように支持架台512に設けた搬送コンベアで、この搬送コンベア518の放出側(図9中の右側)は混合装置510の入口に臨んでいる。519は篩装置513と搬送コンベア518との間に位置するように支持架台512に設けたホッパである。
【0056】
520は支柱521によって支持された改良材貯留用タンクで、この改良材貯留用タンク520の上部はその高さを調整するために蛇腹状に構成されている。522は改良材貯留用タンク520の下部に設けた供給口で、この供給口522は搬送コンベア518の他方側(図9中の右側)の上方に位置し、搬送コンベア518によって搬送されてくる混合土上に改良材を供給する。
【0057】
523は混合装置510の出口から排出された処理土を搬送し排出する排出コンベアで、この排出コンベア523の一方側(図9中の左側)は混合装置510の出口の下方に位置し、他方側(図9中の右側)は動力装置508の下方から上り傾斜を持つように本体フレーム507に支持されている。
【0058】
次に、上記構成の本実施の形態の汚染土壌処理システムの動作を説明する。
図8におけるステップ110の工程について説明すると、まず、油圧ショベル200の多関節型作業アームを操作し、バケット208によって処理すべき汚染土壌aを掘削し、自走式混合機械100に供給する。
【0059】
こうして自走式混合機械100の篩装置113に投入された汚染土壌は、篩装置113によって大きな石等の異物を除去されて下方のホッパ119へと導入される。ホッパ119で受け入れられた汚染土壌は、さらに下方の搬送コンベア118の搬送ベルト上に載置され、混合装置110に向かって搬送され、図示しないタンクから供給される栄養剤とともに混合装置110に導入される。混合装置110に導入された汚染土壌及び栄養剤は、パドルミキサによって均一に攪拌混合され、排出コンベア123上に排出される。そして、汚染土壌及び栄養剤の混合土は、排出コンベア123によって搬送され機外に排出される。
【0060】
ステップ120の工程について説明すると、自走式混合機械100から排出された混合土は、一旦所定の箇所に仮置きしても良いが、本例においては直接自走式混合機械500の篩装置513に供給される。篩装置513を経てホッパ519に受け入れられた混合土は、搬送コンベア518の搬送ベルト上に載置され、混合装置510に向かって搬送される。そして、この搬送の途中で改良材貯留用タンク520内の改良材が供給口522を介して供給され、改良材とともに混合土が混合装置510に導入される。混合装置510に導入された混合土及び改良材は、パドルミキサによって均一に攪拌混合され、排出コンベア523上に排出される。そして、混合土及び改良材を混合して生成された処理土は、排出コンベア523によってさらに搬送され機外に排出される。
【0061】
ステップ130の工程では、例えば油圧ショベル200等を用いて自走式混合機械500から排出された処理土bを目的の埋め戻し場所d(例えば、掘削場所等)に掘削箇所に埋め戻す。
【0062】
以上の工程を施工し終えたら、その後特別な施工はないので、例えば建設用地として土地を利用する場合には、処理土bを埋め戻した埋め戻し場所dには、処理後直ちに施設eを建設可能である。勿論、建設用地の例に限られず、例えば駐車場やグランド等に土地を利用する場合でも、施工後は、目的に応じて土地を即時的に再利用することが可能である。
【0063】
本実施の形態の汚染土壌処理方法においては、単に汚染土壌に栄養剤を混合した後に改良材を混合して埋め戻すだけなので、このように汚染土壌処理システムを簡素に構成することができる。また、油圧ショベル200、自走式混合機械100,500はいずれも自走機能を備えているので、汚染現場においてレイアウトの自由度が大きく、また汚染現場内での移動も容易である。また、トレーラ等の荷台に自力で昇り降りできるので、現場間の輸送性にも優れている。
【0064】
図10は、本発明の汚染土壌処理方法の他の実施の形態の手順を表すフローチャートである。
図10に示すように、本実施の形態の汚染土壌処理方法は、汚染物質を含有する汚染土壌に表土又は油分分解能を有する微生物を担持した微生物担体を含む微生物材料を混合するステップ210の工程と、微生物材料と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合するステップ220の工程と、汚染土壌に微生物材料及び改良材を混合して生成した処理土を埋め戻すステップ230の工程とを行う。
【0065】
ステップ220,230の工程は、図8のステップ120,130の工程と同様であり、本例においても、ステップ220において、好ましくは、単一粒子よりも粒径が大きな顆粒状の状態、若しくは単一の微粒子が凝集してなる粒子集合体の状態の改良材を汚染土壌に混合する。
【0066】
前述した本発明の汚染土壌処理方法の一実施の形態は、土壌中の微生物を活性化させるために、改良土を混合する前に栄養剤を汚染土壌に混合した例であったのに対し、本実施の形態は、土壌に生息する微生物そのものの数を増加させる例である。
【0067】
一般に、微生物数の分布は土壌の深度方向に変化し、微生物数は表層の土壌ほど多く深くなるにつれて減少する。このような微生物数の多い表土を汚染土壌に混合することで、最終的に埋め戻される処理土全体の微生物数も増加する。この意味では、必ずしも表土に限らず、土砂やおがくず等の媒体に微生物を担持させた微生物担体をステップ210の工程で混合しても良い。
【0068】
本例においては、このようにして微生物数を予め増加させておくことにより、改良材を混合した後の微生物の生存数を増加させることができる。また、微生物数を増加させることによって、団粒構造の土壌粒子内部に生息する微生物も増加する。したがって、前述した本発明の汚染土壌処理方法の一実施の形態と同様、施工時には水和反応熱により汚染物質含有量を大きく低減させることができ、施工後においても増加させた微生物によって汚染物質を継続的かつ効果的に分解除去することができる。また、単に微生物材料を混合した後に改良材を混合して埋め戻すという簡素な施工であるため、短工期、低コストで実施可能である。
【0069】
また、本実施の形態においても、顆粒状の改良材を汚染土壌に混合すれば、例えば施工後に降雨等があった場合でも、高pH水に晒される領域を局所的な領域に制限することができ、微生物の生息環境が悪化する領域を最小限に止めることができる。したがって、微生物活性化の阻害要因をさらに制限し、施工後の汚染物質分解効果をより向上させることができる。また、粒子集合体の状態の改良材を汚染土壌に混合すれば、顆粒状の改良材を用いた場合の効果に加え、発熱速度をより速くすることができる。
【0070】
また、本実施の形態の汚染土壌処理方法も、先に図9に示した汚染土壌処理システムにより施工可能である。
すなわち、図10におけるステップ210の工程について説明すると、まず、油圧ショベル200の多関節型作業アームを操作し、バケット208によって処理すべき汚染土壌aを掘削し、自走式混合機械100に供給する。
【0071】
こうして自走式混合機械100の篩装置113に投入された汚染土壌は、篩装置113によって大きな石等の異物を除去されて下方のホッパ119へと導入される。ホッパ119で受け入れられた汚染土壌は、さらに下方の搬送コンベア118の搬送ベルト上に載置され、混合装置110に向かって搬送される。そしてこの搬送の途中で貯留タンク120内に貯留した微生物材料が供給口122を介して供給され、微生物材料とともに汚染土壌が混合装置110に導入される。混合装置110に導入された汚染土壌及び微生物材料は、パドルミキサによって均一に攪拌混合され、排出コンベア123上に排出される。そして、汚染土壌及び微生物材料の混合土は、排出コンベア123によって搬送されて機外に排出される。
【0072】
ステップ220の工程について説明すると、自走式混合機械100から排出された混合土は、一旦所定の箇所に仮置きしても良いが、本例においては直接自走式混合機械500の篩装置513に供給される。篩装置513を経てホッパ519に受け入れられた混合土は、搬送コンベア518の搬送ベルト上に載置され、混合装置510に向かって搬送される。そして、この搬送の途中で改良材貯留用タンク520内の改良材が供給口522を介して供給され、改良材とともに混合土が混合装置510に導入される。混合装置510に導入された混合土及び改良材は、パドルミキサによって均一に攪拌混合され、排出コンベア523上に排出される。そして、混合土及び改良材を混合して生成された処理土は、排出コンベア523によってさらに搬送され機外に排出される。
【0073】
ステップ230の工程では、例えば油圧ショベル200等を用いて自走式混合機械500から排出された処理土bを目的の埋め戻し場所d(例えば、掘削場所等)に掘削箇所に埋め戻す。
【0074】
以上の工程を施工し終えたら、その後特別な施工はないので、例えば建設用地として土地を利用する場合には、処理土bを埋め戻した埋め戻し場所dには、処理後直ちに施設eを建設可能である。勿論、建設用地の例に限られず、例えば駐車場やグランド等に土地を利用する場合でも、施工後は、目的に応じて土地を即時的に再利用することが可能である。
【0075】
本実施の形態の汚染土壌処理方法においても、単に汚染土壌に微生物材料を混合した後に改良材を混合して埋め戻すだけなので、このように汚染土壌処理システムを簡素に構成することができる。また、油圧ショベル200、自走式混合機械100,500はいずれも自走機能を備えているので、汚染現場においてレイアウトの自由度が大きく、また汚染現場内での移動も容易である。また、トレーラ等の荷台に自力で昇り降りできるので、現場間の輸送性にも優れている。
【0076】
図11は、本発明の汚染土壌処理方法のさらに他の実施の形態の手順を表すフローチャートである。
図11に示すように、本実施の形態の汚染土壌処理方法では、汚染物質を含有する汚染土壌に油分分解能を有する微生物を活性化させる栄養剤を混合するステップ310の工程と、汚染土壌に表土又は油分分解能を有する微生物を担持した微生物担体を含む微生物材料を混合するステップ320の工程と、栄養剤及び微生物材料と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合するステップ330の工程と、汚染土壌に栄養剤・微生物材料・改良材を混合して生成した処理土を埋め戻すステップ340の工程とを行う。
【0077】
ステップ310〜340の各工程は、図8のステップ110、図10のステップ210〜230の工程とそれぞれ同様であり、本例においても、ステップ330において、好ましくは、単一粒子よりも粒径が大きな顆粒状、若しくは単一の微粒子が凝集してなる粒子集合体の状態の改良材を汚染土壌に混合する。また、本実施の形態において、ステップ310,320の工程の施工順序は限定されない。すなわち、ステップ310の工程とステップ320の工程とを順不同又は同時に行った後、ステップ330の工程を行えば良い。
【0078】
本例においては、前述した本発明の汚染土壌処理方法の各実施の形態を組み合わせることにより、改良材を混合した後の微生物の生存数をより増加させることができるので、施工時には水和反応熱により汚染物質含有量を大きく低減させることができ、施工後においても汚染物質を継続的かつより効果的に分解除去することができる。また、栄養剤・微生物材料を混合した後に改良材を混合して埋め戻すという簡素な施工であるため、短工期、低コストで実施可能である。
【0079】
また、本実施の形態においても、顆粒状の改良材を汚染土壌に混合すれば、例えば施工後に降雨等があった場合でも、高pH水に晒される領域を局所的に制限することができ、微生物の生息環境の悪化を最小限に止めることができる。したがって、微生物活性化の阻害要因をさらに制限し、施工後の汚染物質分解効果をより向上させることができる。また、粒子集合体の状態の改良材を汚染土壌に混合すれば、顆粒状の改良材を用いた場合の効果に加え、発熱速度をより早くすることができるというメリットが得られる。
【0080】
また、本実施の形態の汚染土壌処理方法も、先に図9に示した汚染土壌処理システムにより施工可能である。
例えば、自走式混合機械100において、図示しないタンクに栄養剤を貯留して汚染土壌に栄養剤を供給し、貯留タンク120に微生物材料を貯留して汚染土壌に微生物材料を供給するようにする。これにより、自走式混合機械100において、混合装置110に栄養剤・微生物材料とともに汚染土壌が導入され、汚染土壌が栄養剤・微生物材料とともに混合される。また、その混合土は後段の自走式混合機械500に導入され改良材とともに混合される。すなわち、この場合はステップ310,320の工程が、自走式混合機械100によって同時に行われる。
【0081】
ステップ310,320の工程を分けて行う場合、例えば図12に模式的に図示したようにステップ310,320をそれぞれ行う2台の自走式混合機械100を配置し、前段の自走式混合機械100で汚染土壌に栄養剤を混合した後、その混合土に後段の自走式混合機械100で微生物材料を混合するようにすれば良い。勿論、前段の自走式混合機械100で汚染土壌に微生物材料を混合した後、後段の自走式混合機械100で栄養剤を混合するようにしても良い。後段の自走式混合機械100から排出された混合土は、自走式混合機械500に供給されて改良材と混合され、その後埋め戻される。
【0082】
本実施の形態の汚染土壌処理方法においても、単に汚染土壌に微生物材料を混合した後に改良材を混合して埋め戻すだけなので、このように汚染土壌処理システムを簡素に構成することができる。また、油圧ショベル200、自走式混合機械100,500はいずれも自走機能を備えているので、汚染現場においてレイアウトの自由度が大きく、また汚染現場内での移動も容易である。また、トレーラ等の荷台に自力で昇り降りできるので、現場間の輸送性にも優れている。
【0083】
なお、図9や図12に示した汚染土壌処理システムは、走行体や篩装置、コンベア、改良材や微生物の供給装置等と一体にユニット化した自走式混合機械を用いているが、本発明の汚染土壌処理方法は、栄養剤や微生物材料を汚染土壌と混合処理する少なくとも1つの混合装置、及び改良材等と汚染土壌とを混合処理する混合装置の少なくとも2つの混合装置があれば施工可能である。混合装置は、パドルミキサによるものでなくとも、例えば高速回転する回転打撃子によって土砂を解砕混合するものや、ロータリミキサ、スクリュミキサ、リボンスクリュを用いたミキサ、パン型ミキサ等、他の混合方式の混合装置でも代替可能である。また、処理対象となる汚染土量が少ない場合には、必ずしもシステムを構築する必要はなく、人手により混合することも可能である。これらの場合も同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の背景の説明図であり、水道が形成された土壌のモデル図である。
【図2】本発明の背景の説明図であり、水道が形成された土壌の高pH領域を表すモデル図である。
【図3】本発明の背景の説明図であり、土壌粒子の団粒構造を表したモデル図である。
【図4】本発明の背景の説明図であり、団粒構造の土壌粒子の高pH領域を表すモデル図である。
【図5】本発明の背景の説明図であり、土壌に対する顆粒状の改良材の混合状態を表すモデル図である。
【図6】汚染土壌に微粒子状の改良材を混合した後の団粒構造の土壌粒子のモデル図である。
【図7】汚染土壌に微粒子状の改良材を混合した後の団粒構造の土壌粒子に栄養素を溶解した水が浸透する状態を模式化したモデル図である。
【図8】本発明の汚染土壌処理方法の一実施の形態の手順を表すフローチャートである。
【図9】本実施の形態の汚染土壌処理方法を実施するための本発明の汚染土壌処理システムの一実施の形態の全体構造を表す側面図である。
【図10】本発明の汚染土壌処理方法の他の実施の形態の手順を表すフローチャートである。
【図11】本発明の汚染土壌処理方法のさらに他の実施の形態の手順を表すフローチャートである。
【図12】本実施の形態の汚染土壌処理方法を実施するための本発明の汚染土壌処理システムの他の実施の形態の全体構造を表す側面図である。
【符号の説明】
【0085】
100 自走式混合機械
110 混合装置
500 自走式混合機械
510 混合装置
a 汚染土壌
b 処理土
C 土壌微粒子
D 土壌粒子
E 改良材
F 改良材
G 微生物
【技術分野】
【0001】
本発明は、油類等の汚染物質を含有した汚染土壌を浄化処理する汚染土壌処理方法及び汚染土壌処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
油類等の汚染物質に汚染された汚染土壌の処理方法の一例として、まず高温焼成した生石灰粉末を汚染土壌に混合し、生石灰の反応が完了した後、土壌中の微生物を活性化させる栄養剤(微生物栄養素)を散布混合することにより、生石灰と土壌中の水分との反応により生じる水和反応熱によって汚染物質の揮発を促進させ、その後、微生物によって汚染物質をさらに分解除去しようとする方法がある(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平5−228499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、土壌を構成する土壌粒子は各々粒度が異なり、個々の土壌粒子は微視的に見ると粒度の小さな微粒子が凝集され団粒構造をなしている場合が多い。汚染土壌においては、団粒構造の土壌粒子内部に汚染物質が浸透している場合もあり、汚染物質を残さず分解するためには団粒構造の土壌粒子内部にも微生物がある程度存在していなければならない。しかし、土壌中の微生物は移動能力に乏しく、一般に水を媒体としなければ移動することができない。したがって、微生物が団粒構造の土壌粒子内部に移動するには土壌粒子内部にまで水が浸透する必要がある。
【0005】
しかしながら、上記従来技術においては、最初の工程で生石灰を汚染土壌に混合している。そのため、団粒構造の土壌粒子内部まで水を浸透させる場合、土壌粒子表面に付着した石灰層を経由する際に水のpHが上昇し、土壌粒子内部に高pH水が浸入する。また、栄養素を土壌粒子内部に浸透させるにも栄養素を溶解させた水を土壌粒子内部に浸透させなければならないため、栄養剤を混合する際に土壌粒子内部に高pH水を浸入させることになる。その結果、元々団粒構造の土壌粒子内部に生息していた微生物は勿論のこと、浸透水に伴って土壌粒子内部に侵入する微生物も高pH水に晒され、甚だしい場合には微生物を死滅させてしまい十分に汚染物質を分解できなくなる恐れがある。
【0006】
本発明は、上述の事柄に基づいてなされたもので、その目的は、短工期で安価に施工可能で、土壌中に残存した汚染物質を施工後も継続的かつ効果的に分解することができる汚染土壌処理方法及び汚染土壌処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の発明は、汚染物質を含有する汚染土壌に油分分解能を有する微生物を活性化させる栄養剤を混合する工程と、前記栄養剤と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合する工程とを行うことを特徴とする。
【0008】
第2の発明は、汚染物質を含有する汚染土壌に表土又は油分分解能を有する微生物を担持した微生物担体を含む微生物材料を混合する工程と、前記微生物材料と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合する工程とを行うことを特徴とする。
【0009】
第3の発明は、汚染物質を含有する汚染土壌に油分分解能を有する微生物を活性化させる栄養剤を混合する工程と、前記汚染土壌に表土又は油分分解能を有する微生物を担持した微生物担体を含む微生物材料を混合する工程とを順不同又は同時に行った後、前記栄養剤及び前記微生物材料と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合する工程を行うことを特徴とする。
【0010】
第4の発明は、第1乃至第3の発明のいずれかにおいて、前記改良材は、単一粒子よりも粒径が大きな顆粒状の状態、又は単一粒子が凝集してなる粒子集合体の状態で混合することを特徴とする。
【0011】
第5の発明は、汚染物質を含有する汚染土壌に油分分解能を有する微生物を活性化させる栄養剤を混合する混合手段と、前記栄養剤と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合する混合手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
第6の発明は、汚染物質を含有する汚染土壌に表土又は油分分解能を有する微生物を担持した微生物担体を含む微生物材料を混合する混合手段と、前記微生物材料と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合する混合手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
第7の発明は、汚染物質を含有する汚染土壌に油分分解能を有する微生物を活性化させる栄養剤、及び表土又は油分分解能を有する微生物を担持した微生物担体を含む微生物材料を混合する混合手段と、前記栄養剤及び前記微生物材料と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合する混合手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、単に改良材を混合する前に栄養剤や微生物材料を汚染土壌に混合しておくことにより、改良材を混合した後も土壌中に生存する微生物数を増加させることができる。したがって、短工期で安価に施工可能であり、土壌中に残存した汚染物質を施工後も継続的かつ効果的に分解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明の汚染土壌処理方法及び汚染土壌処理システムの実施の形態を説明する。
【0016】
まず、本発明の汚染土壌処理方法の背景について説明する。
従来、油類の汚染物質の揮発を促進させるために石灰系の薬剤を汚染土壌に混合した場合、土壌温度が一時的に高温(例えば80〜100℃)になるとともにpHも上昇し微生物にとって厳しい生息環境となることから、微生物は死滅してしまい、施工後は微生物による汚染物質の継続的な分解作用は期待できないというのが一般的な認識であった。
【0017】
それに対し、本願発明者等は上記通説を確認すべく次の試験を実施した。
最初に、油類の汚染物質を含有する汚染土壌のサンプルに所要量の生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材(以下、単に改良材とする)を混合したものを室内に放置し、定期的に汚染物質の含有量を測定した。
測定の結果、改良材を混合する前は4000mg/kg程度だったサンプルの汚染物質含有量が、改良材を混合した直後には発熱による揮発促進により1500mg/kg程度に低下し、その後も、1ヶ月後では400mg/kg、3ヵ月後では300mg/kg、6ヵ月後では250mg/kg・・・と徐々に低下することを知見した。
【0018】
次に、過去に汚染土壌に改良材を混合処理した実際の現場でその後の土壌の汚染物質含有量がどのようになっているのかを確認した。
施工後10ヶ月が経過した現場で調査を実施したところ、施工前には1500〜3500mg/kg程度だった汚染物質含有量が、100〜200mg/kg程度にまで低下していることが確認された。
【0019】
この結果を受け、更なる調査のため、同様の施工を実施する他の現場にて土壌中に生息する菌体数の経時変化を分析した。
結果、乾土1g当たりの菌体数は、施工前では1.0×1011〜6.0×1011cells/gだったところ、施工直後でも実に1.0×1010〜1.5×1011cells/gもの微生物が活動しており、さらに1ヵ月が経過すると1.0×1010〜3.0×1011cells/gと増殖傾向を示していた。
【0020】
本願発明者等は、以上の現象の裏付けを以下のように仮定した。
(1)水和反応熱が微生物に与える影響について
周知の通り、生石灰や石灰系の薬剤を土壌に混合すると、水と石灰との反応により水和反応熱が生じる。これは油類からなる汚染物質の揮発を促進させるのに有効に作用する。一般に、この温度上昇は微生物を死滅させる一因と考えられてきたが、微生物にとって好適な温度環境を越えたとしても、一時的なものであれば高温環境による微生物へのダメージは一般に考えられているよりは少ない。これは施工直後でも多数の微生物が土壌中に生存していたことから推測される。
【0021】
(2)土壌中の高pH環境について
(i)土壌中の大部分の領域は雨水や地下水が通過しないため、改良材によりpHが上昇するのは土壌全体における一部の領域のみである。
【0022】
つまり、図1に示した通り、土壌中には一般に「水道(みずみち)」が形成される。降雨等によって土壌に浸透する水(雨水、地下水等)は水道Aに流入し易くなっており、土壌全体にまんべんなく浸透する訳ではなく、水道Aを優先して選択的に通過するのが通常である。
【0023】
したがって、図2に示したように、水道Aに沿って土壌中に混合した改良材と接触した水(高pH水)が流通するものの、それ以外の大部分の領域の土壌のpHはほとんど上昇しない。したがって、土壌中に生息する微生物の大部分は高pH環境に晒されずそのまま活動を継続する。
【0024】
(ii)改良材を混合した後にpHが上昇するのは、微視的に見ると改良材の粒子近傍のみに限定され、仮に全体として見かけ上のpHが上昇したとしても、土壌中における実際のpH上昇は局所的なものである。
【0025】
一般に土壌は広い粒度範囲を持つ個々の土壌粒子から構成されているが、図3に示すように、一般に粒径の小さな微粒子Cは凝集されて団粒構造をなした土壌粒子Dを形成している。
このような団粒構造の土壌粒子Dが含まれた土壌に対し、単一粒子が互いに独立した状態に近い木目細かいパウダー状の改良材を混合すると、土壌粒子Dの表層(表面)に改良材の微粒子がまぶされ付着した状態となる。このような状態で降雨等があると土壌粒子Dの表層に付着した改良材と水とが接触する可能性があるが、水は土壌粒子Dの内部にまでは浸透し難く、高pH水に晒されて高pH環境になるのは、実際には図4に示したように土壌粒子Dの表層部のみである。したがって、大部分の土壌粒子Dは、その内部までが高pH環境となる訳ではない。
【0026】
また、前述したような木目細かいパウダー状(微粒子状)の粒子ではなく、単一粒子よりも粒径が大きな顆粒状の状態の改良材を土壌に混合する場合、図5に示したように、顆粒状の改良材Eは土壌中にまんべんなく分布する訳ではなく、分散し局所的に分布するのが通常である。この場合、降雨等があって改良材Eが水と接触すると、高pH水が改良材Eの周囲に拡散する可能性があるが、拡散する過程で土壌のpH緩衝作用により高pH水のpHは低下し、結果的に高pH水に晒されるのは顆粒状の改良材Eの近傍領域のみに限定され、高pH環境に晒される微生物も改良材Eの近傍領域に生息していたものに限られる。
【0027】
ここで、一般に石灰は石灰岩として採掘され、これを粉砕し高温焼成すると脱炭作用が起こり生石灰が生成される。生石灰は必要に応じて粉砕され、分級して粒度調整した上で製品として出荷される。一般には、粒径が0〜2mm、2〜5mm、0〜5mm、5〜15mm、5〜25mm、25〜30mm、5〜30mmの石灰が流通している。本発明において、前述したパウダー状(微粒子状)の改良材とは、粒径0〜2mm程度若しくはこれに近い粒度の改良材をいい、顆粒状の改良材とは、粒径2〜5mm程度若しくはこれに近い粒度の改良材をいう。
【0028】
なお、改良材は単一粒子(例えば0〜2mm程度若しくはこれに近い粒度の粒子)が凝集してなる粒子集合体の状態で混合することも考えられる。この場合も顆粒状の改良材と同じように土壌中に局所的に分散するとともに、顆粒状の改良材に比して改良材の表面積が大きくなるので、水との反応速度、すなわち発熱速度がより速くなるというメリットがある。
【0029】
以上(i)(ii)のように、土壌に改良材を混合しても土壌中に生息する微生物の大部分は実際に高pH環境に晒される訳ではなく、特別なダメージを受けずに活動を継続することができるものと本願発明者等は推論した。
【0030】
しかしながら、汚染土壌に改良材を混合した後、土壌中に生息する微生物を活性化して施工後も継続的に汚染物質が分解されるようにするために、さらに栄養剤を混合する場合、次のことが懸念される。
【0031】
図6は、汚染土壌に微粒子状の改良材を混合した後の団粒構造の土壌粒子Dのモデル図である。
前述したように、土壌を構成する土壌粒子Dは各々粒度が異なり、個々の土壌粒子Dは微視的に見ると粒度の小さな微粒子が凝集され団粒構造をなしている場合が多い。図6では、団粒構造の各土壌粒子Dの表層に微粒子状の改良材Fが付着している状態を例示している。
【0032】
このような状態で土壌粒子Dの内部に生息する微生物Gを活性化させる栄養剤を与える場合、栄養素を土壌粒子Dの内部に浸透させるため、図7に示したように栄養素を溶解させた水を土壌粒子Dの内部に浸透させなければならない。この場合、団粒構造の土壌粒子Dの表面の石灰層を経由する際に栄養素を含んだ水のpHが上昇し、土壌粒子Dの内部に高pH水が浸入する。その結果、元々団粒構造の土壌粒子Dの内部に生息していた微生物Gは勿論のこと、浸透水に伴って土壌粒子Dの内部に侵入する微生物Gも高pH水に晒され、甚だしい場合には微生物が死滅してしまい十分に汚染物質を分解できなくなる恐れがある。
【0033】
そこで、本実施の形態においては、以下のような方法で油類の汚染物質を含有した汚染土壌を浄化処理する。
【0034】
図8は、本発明の汚染土壌処理方法の一実施の形態の手順を表すフローチャートである。
図8に示したように、本実施の形態の汚染土壌処理方法では、汚染物質を含有する汚染土壌に油分分解能を有する微生物を活性化させる栄養剤を混合するステップ110の工程と、栄養剤と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合するステップ120の工程と、汚染土壌に栄養剤及び改良材を混合して生成した処理土を埋め戻すステップ130の工程とを行う。
【0035】
また、ステップ120において、好ましくは、単一粒子よりも粒径が大きな顆粒状の状態、若しくは単一の微粒子が凝集してなる粒子集合体の状態の改良材を汚染土壌に混合する。
【0036】
このように、本実施の形態においては、改良材を混合する前に汚染土壌に栄養剤を混合しておくことにより、団粒構造の土壌粒子の内部に予め栄養素を豊富に含ませ土壌粒子内部の微生物を活性化させる。そして、その後で栄養剤を混合した汚染土壌に改良材を混合することにより、水和反応熱によって汚染物質の揮発を促進し、土壌中の汚染物質の含有量を大きく低下させる。
【0037】
このとき、本実施の形態においては、団粒構造の土壌粒子の周囲に改良材が付着する前に土壌粒子内部に栄養剤を浸透させてあるので、栄養剤を加える際に土壌粒子内に高pH水を浸入させてしまうことがない。すなわち、改良材を混合した後に栄養剤を加える場合のように、改良材混合後も土壌粒子内部に生存している微生物を死滅させる危険性が低いので、より多くの微生物を土壌中に生存させそれら微生物を活性化させることができる。
【0038】
したがって、施工時には水和反応熱により汚染物質含有量を大きく低減させることができ、施工後においても積極的に生かした微生物によって残存した汚染物質を継続的かつ効率的に分解除去することができる。このように、本実施の形態においては、上記のように積極的に微生物を生かし極力多くの微生物を土壌中に生存させる、施工後の汚染物質の分解効率を向上させることができるので、処理の確実性も向上する。また、施工自体は単に栄養剤を混合した後に改良材を混合して埋め戻すという簡素なものであり、短工期、低コストで実施可能である。
【0039】
以上のように、本実施の形態によれば、短工期で安価に施工完了することができ、しかも土壌中の微生物の活動を極力妨げず、土壌中に残存した汚染物質を施工後も継続的かつ効果的に分解することができる。
【0040】
また、図5を用いて説明したように、顆粒状の改良材は混合しても土壌中に局所的に存在するのが通常である。このことから、本実施の形態において、顆粒状の改良材を汚染土壌に混合すれば、例えば施工後に降雨等があった場合でも、高pH水に晒される領域を局所的な領域に制限することができ、微生物の生息環境が悪化する領域を最小限に止めることができる。したがって、微生物活性化の阻害要因をさらに制限し、施工後の汚染物質分解効果をより向上させることができる。さらに、前述したように粒子集合体の状態の改良材を用いた場合、顆粒状の改良材を用いた場合の効果に加え、発熱速度がより速くなるというメリットが得られる。
【0041】
図9は、本実施の形態の汚染土壌処理方法を実施するための本発明の汚染土壌処理システムの一実施の形態の全体構造を表す側面図である。
図9に示すように、本実施の形態の汚染土壌処理システムは、汚染物質を含有する汚染土壌を掘削し投入する油圧ショベル200と、この油圧ショベル200により投入された汚染土壌に油分分解能を有する微生物を活性化させる栄養剤を混合する自走式混合機械100と、自走式混合機械100にて栄養剤と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合する自走式混合機械500とを備えている。
【0042】
まず油圧ショベル200の構成について説明すると、201は走行体、202は走行体201上に旋回可能に設けた旋回体、203は旋回体202上の後方に設けた原動機、204は旋回体202の後部に設けたカウンタウエイト、205は旋回体202の前部に設けた運転席、206は旋回体202の前部中央に俯仰動可能に設けたブーム、207はブーム206の先端に回動可能に設けたアーム、208はアーム207の先端に回動可能に設けた掘削バケットである。
【0043】
209はブーム駆動用の油圧シリンダで、その基端は旋回体202に、ピストンロッド210の先端はブーム206の側面中間部にそれぞれ連結されている。211はアーム駆動用の油圧シリンダで、その基端はブーム206の上面中間部に、ピストンロッド212の先端はアーム207の基部にそれぞれ連結されている。213はバケット駆動用の油圧シリンダで、その基端はアーム207の上面基部側に、ピストンロッド214の先端はリンク215,216の一方にそれぞれ連結されている。リンク215の他方はアーム207の先端側に連結され、またリンク216の他方はピン217によってバケット208の背部に連結されている。上記ブーム206、アーム207及び駆動用油圧シリンダ210,211は、多関節型作業アームを構成する。
【0044】
自走式混合機械100の構成について説明すると、101はその走行体で、この走行体101は、走行体フレーム102と、この走行体フレーム102の両側にそれぞれ設けたトラックフレーム103と、このトラックフレーム103の一方側(図9中の左側)に設けた従動輪104と、トラックフレーム103の他方側(図9中の右側)に設けた駆動輪105と、従動輪104と駆動輪105とに掛け回した履帯106とで構成されている。
【0045】
107は走行体フレーム102上に設けた本体フレーム、108は本体フレーム107の他方側(図9中の右側)に支持部材109を介して設けた動力装置で、この動力装置108はエンジンと、このエンジンによって駆動されるポンプと、このポンプからの圧油を前記走行体及び後述する機器に切換え供給する弁等とを備えている。
【0046】
110は本体フレーム107のほぼ中央に設けた栄養剤混合手段としての混合装置で、この混合装置110の内部には、攪拌移送手段として少なくとも1本のパドルミキサが備えられている。特に図示していないが、この混合装置110は一方側(図9中の左側)の上部に入口を、他方側(図9中の右側)の下部に出口を備えている。111は混合装置110の駆動装置である。
【0047】
112は本体フレーム7の一方側(図9中の左側)に設けた支持架台、113はこの支持架台112上にばね114を介して設けた篩装置、115は篩装置113に設けた偏心体駆動軸、116は加振用油圧モータ、117は加振用油圧モータ116と偏心体駆動軸115とを連結するベルトである。
【0048】
118は篩装置113の下方に位置するように支持架台112に設けた搬送コンベアで、この搬送コンベア118の放出側(図9中の右側)は混合装置110の入口に臨んでいる。119は篩装置113を通過した土砂を受け入れるホッパで、このホッパ119は、篩装置113と搬送コンベア118との間に位置するように支持架台112に設けたホッパである。
【0049】
120は支柱121によって支持された貯留タンクで、この貯留タンク120の上部はその高さを調整するために蛇腹状に構成されている。122は貯留タンク120の下部に設けた供給口で、この供給口122は搬送コンベア118の他方側(図9中の右側)の上方に位置している。
【0050】
なお、本自走式混合機械100において、栄養剤を溶液の状態で土砂(汚染土壌)に混合する場合、貯留タンク120及びその供給口122は使用しない場合がある。特に図示していないが、混合装置110の入口部には、溶液の状態の栄養剤を散布するための配管が設置されており、図示しないタンク内に貯留した栄養剤が適宜ポンプ等により吐出され、混合装置110の入口付近に設けた上記配管を介して混合装置110内に供給されるようになっている。
【0051】
123は混合装置110の出口から排出された栄養剤と汚染土壌の混合土を搬送し排出する排出コンベアであり、この排出コンベア123の一方側(図9中の左側)は混合装置110の出口の下方に位置し、他方側(図9中の右側)は動力装置108の下方から上り傾斜を持つように本体フレーム107等に支持されている。
【0052】
自走式混合機械500の構成は、自走式混合機械100とほぼ同様である。すなわち、501は走行体で、走行体501は、走行体フレーム502と、走行体フレーム502の両側にそれぞれ設けたトラックフレーム503と、トラックフレーム503の一方側(図9中の左側)に設けた従動輪504と、トラックフレーム503の他方側(図9中の右側)に設けた駆動輪505と、従動輪504と駆動輪505とに掛け回した履帯506とで構成されている。
【0053】
507は走行体フレーム502上に設けた本体フレーム、508は本体フレーム507の他方側(図9中の右側)に支持部材509を介して設けた動力装置である。510は本体フレーム507のほぼ中央に設けた改良材混合手段としての混合装置で、この混合装置510の内部にはパドルミキサが備えられている。511は混合装置510の駆動装置である。
【0054】
512は本体フレーム7の一方側(図9中の左側)に設けた支持架台、513は支持架台512上にばね514を介して設けた篩装置、515は篩装置513に設けた偏心体駆動軸、516は加振用油圧モータ、517は加振用油圧モータ516と偏心体駆動軸515とを連結するベルトである。
【0055】
518は篩装置513の下方に位置するように支持架台512に設けた搬送コンベアで、この搬送コンベア518の放出側(図9中の右側)は混合装置510の入口に臨んでいる。519は篩装置513と搬送コンベア518との間に位置するように支持架台512に設けたホッパである。
【0056】
520は支柱521によって支持された改良材貯留用タンクで、この改良材貯留用タンク520の上部はその高さを調整するために蛇腹状に構成されている。522は改良材貯留用タンク520の下部に設けた供給口で、この供給口522は搬送コンベア518の他方側(図9中の右側)の上方に位置し、搬送コンベア518によって搬送されてくる混合土上に改良材を供給する。
【0057】
523は混合装置510の出口から排出された処理土を搬送し排出する排出コンベアで、この排出コンベア523の一方側(図9中の左側)は混合装置510の出口の下方に位置し、他方側(図9中の右側)は動力装置508の下方から上り傾斜を持つように本体フレーム507に支持されている。
【0058】
次に、上記構成の本実施の形態の汚染土壌処理システムの動作を説明する。
図8におけるステップ110の工程について説明すると、まず、油圧ショベル200の多関節型作業アームを操作し、バケット208によって処理すべき汚染土壌aを掘削し、自走式混合機械100に供給する。
【0059】
こうして自走式混合機械100の篩装置113に投入された汚染土壌は、篩装置113によって大きな石等の異物を除去されて下方のホッパ119へと導入される。ホッパ119で受け入れられた汚染土壌は、さらに下方の搬送コンベア118の搬送ベルト上に載置され、混合装置110に向かって搬送され、図示しないタンクから供給される栄養剤とともに混合装置110に導入される。混合装置110に導入された汚染土壌及び栄養剤は、パドルミキサによって均一に攪拌混合され、排出コンベア123上に排出される。そして、汚染土壌及び栄養剤の混合土は、排出コンベア123によって搬送され機外に排出される。
【0060】
ステップ120の工程について説明すると、自走式混合機械100から排出された混合土は、一旦所定の箇所に仮置きしても良いが、本例においては直接自走式混合機械500の篩装置513に供給される。篩装置513を経てホッパ519に受け入れられた混合土は、搬送コンベア518の搬送ベルト上に載置され、混合装置510に向かって搬送される。そして、この搬送の途中で改良材貯留用タンク520内の改良材が供給口522を介して供給され、改良材とともに混合土が混合装置510に導入される。混合装置510に導入された混合土及び改良材は、パドルミキサによって均一に攪拌混合され、排出コンベア523上に排出される。そして、混合土及び改良材を混合して生成された処理土は、排出コンベア523によってさらに搬送され機外に排出される。
【0061】
ステップ130の工程では、例えば油圧ショベル200等を用いて自走式混合機械500から排出された処理土bを目的の埋め戻し場所d(例えば、掘削場所等)に掘削箇所に埋め戻す。
【0062】
以上の工程を施工し終えたら、その後特別な施工はないので、例えば建設用地として土地を利用する場合には、処理土bを埋め戻した埋め戻し場所dには、処理後直ちに施設eを建設可能である。勿論、建設用地の例に限られず、例えば駐車場やグランド等に土地を利用する場合でも、施工後は、目的に応じて土地を即時的に再利用することが可能である。
【0063】
本実施の形態の汚染土壌処理方法においては、単に汚染土壌に栄養剤を混合した後に改良材を混合して埋め戻すだけなので、このように汚染土壌処理システムを簡素に構成することができる。また、油圧ショベル200、自走式混合機械100,500はいずれも自走機能を備えているので、汚染現場においてレイアウトの自由度が大きく、また汚染現場内での移動も容易である。また、トレーラ等の荷台に自力で昇り降りできるので、現場間の輸送性にも優れている。
【0064】
図10は、本発明の汚染土壌処理方法の他の実施の形態の手順を表すフローチャートである。
図10に示すように、本実施の形態の汚染土壌処理方法は、汚染物質を含有する汚染土壌に表土又は油分分解能を有する微生物を担持した微生物担体を含む微生物材料を混合するステップ210の工程と、微生物材料と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合するステップ220の工程と、汚染土壌に微生物材料及び改良材を混合して生成した処理土を埋め戻すステップ230の工程とを行う。
【0065】
ステップ220,230の工程は、図8のステップ120,130の工程と同様であり、本例においても、ステップ220において、好ましくは、単一粒子よりも粒径が大きな顆粒状の状態、若しくは単一の微粒子が凝集してなる粒子集合体の状態の改良材を汚染土壌に混合する。
【0066】
前述した本発明の汚染土壌処理方法の一実施の形態は、土壌中の微生物を活性化させるために、改良土を混合する前に栄養剤を汚染土壌に混合した例であったのに対し、本実施の形態は、土壌に生息する微生物そのものの数を増加させる例である。
【0067】
一般に、微生物数の分布は土壌の深度方向に変化し、微生物数は表層の土壌ほど多く深くなるにつれて減少する。このような微生物数の多い表土を汚染土壌に混合することで、最終的に埋め戻される処理土全体の微生物数も増加する。この意味では、必ずしも表土に限らず、土砂やおがくず等の媒体に微生物を担持させた微生物担体をステップ210の工程で混合しても良い。
【0068】
本例においては、このようにして微生物数を予め増加させておくことにより、改良材を混合した後の微生物の生存数を増加させることができる。また、微生物数を増加させることによって、団粒構造の土壌粒子内部に生息する微生物も増加する。したがって、前述した本発明の汚染土壌処理方法の一実施の形態と同様、施工時には水和反応熱により汚染物質含有量を大きく低減させることができ、施工後においても増加させた微生物によって汚染物質を継続的かつ効果的に分解除去することができる。また、単に微生物材料を混合した後に改良材を混合して埋め戻すという簡素な施工であるため、短工期、低コストで実施可能である。
【0069】
また、本実施の形態においても、顆粒状の改良材を汚染土壌に混合すれば、例えば施工後に降雨等があった場合でも、高pH水に晒される領域を局所的な領域に制限することができ、微生物の生息環境が悪化する領域を最小限に止めることができる。したがって、微生物活性化の阻害要因をさらに制限し、施工後の汚染物質分解効果をより向上させることができる。また、粒子集合体の状態の改良材を汚染土壌に混合すれば、顆粒状の改良材を用いた場合の効果に加え、発熱速度をより速くすることができる。
【0070】
また、本実施の形態の汚染土壌処理方法も、先に図9に示した汚染土壌処理システムにより施工可能である。
すなわち、図10におけるステップ210の工程について説明すると、まず、油圧ショベル200の多関節型作業アームを操作し、バケット208によって処理すべき汚染土壌aを掘削し、自走式混合機械100に供給する。
【0071】
こうして自走式混合機械100の篩装置113に投入された汚染土壌は、篩装置113によって大きな石等の異物を除去されて下方のホッパ119へと導入される。ホッパ119で受け入れられた汚染土壌は、さらに下方の搬送コンベア118の搬送ベルト上に載置され、混合装置110に向かって搬送される。そしてこの搬送の途中で貯留タンク120内に貯留した微生物材料が供給口122を介して供給され、微生物材料とともに汚染土壌が混合装置110に導入される。混合装置110に導入された汚染土壌及び微生物材料は、パドルミキサによって均一に攪拌混合され、排出コンベア123上に排出される。そして、汚染土壌及び微生物材料の混合土は、排出コンベア123によって搬送されて機外に排出される。
【0072】
ステップ220の工程について説明すると、自走式混合機械100から排出された混合土は、一旦所定の箇所に仮置きしても良いが、本例においては直接自走式混合機械500の篩装置513に供給される。篩装置513を経てホッパ519に受け入れられた混合土は、搬送コンベア518の搬送ベルト上に載置され、混合装置510に向かって搬送される。そして、この搬送の途中で改良材貯留用タンク520内の改良材が供給口522を介して供給され、改良材とともに混合土が混合装置510に導入される。混合装置510に導入された混合土及び改良材は、パドルミキサによって均一に攪拌混合され、排出コンベア523上に排出される。そして、混合土及び改良材を混合して生成された処理土は、排出コンベア523によってさらに搬送され機外に排出される。
【0073】
ステップ230の工程では、例えば油圧ショベル200等を用いて自走式混合機械500から排出された処理土bを目的の埋め戻し場所d(例えば、掘削場所等)に掘削箇所に埋め戻す。
【0074】
以上の工程を施工し終えたら、その後特別な施工はないので、例えば建設用地として土地を利用する場合には、処理土bを埋め戻した埋め戻し場所dには、処理後直ちに施設eを建設可能である。勿論、建設用地の例に限られず、例えば駐車場やグランド等に土地を利用する場合でも、施工後は、目的に応じて土地を即時的に再利用することが可能である。
【0075】
本実施の形態の汚染土壌処理方法においても、単に汚染土壌に微生物材料を混合した後に改良材を混合して埋め戻すだけなので、このように汚染土壌処理システムを簡素に構成することができる。また、油圧ショベル200、自走式混合機械100,500はいずれも自走機能を備えているので、汚染現場においてレイアウトの自由度が大きく、また汚染現場内での移動も容易である。また、トレーラ等の荷台に自力で昇り降りできるので、現場間の輸送性にも優れている。
【0076】
図11は、本発明の汚染土壌処理方法のさらに他の実施の形態の手順を表すフローチャートである。
図11に示すように、本実施の形態の汚染土壌処理方法では、汚染物質を含有する汚染土壌に油分分解能を有する微生物を活性化させる栄養剤を混合するステップ310の工程と、汚染土壌に表土又は油分分解能を有する微生物を担持した微生物担体を含む微生物材料を混合するステップ320の工程と、栄養剤及び微生物材料と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合するステップ330の工程と、汚染土壌に栄養剤・微生物材料・改良材を混合して生成した処理土を埋め戻すステップ340の工程とを行う。
【0077】
ステップ310〜340の各工程は、図8のステップ110、図10のステップ210〜230の工程とそれぞれ同様であり、本例においても、ステップ330において、好ましくは、単一粒子よりも粒径が大きな顆粒状、若しくは単一の微粒子が凝集してなる粒子集合体の状態の改良材を汚染土壌に混合する。また、本実施の形態において、ステップ310,320の工程の施工順序は限定されない。すなわち、ステップ310の工程とステップ320の工程とを順不同又は同時に行った後、ステップ330の工程を行えば良い。
【0078】
本例においては、前述した本発明の汚染土壌処理方法の各実施の形態を組み合わせることにより、改良材を混合した後の微生物の生存数をより増加させることができるので、施工時には水和反応熱により汚染物質含有量を大きく低減させることができ、施工後においても汚染物質を継続的かつより効果的に分解除去することができる。また、栄養剤・微生物材料を混合した後に改良材を混合して埋め戻すという簡素な施工であるため、短工期、低コストで実施可能である。
【0079】
また、本実施の形態においても、顆粒状の改良材を汚染土壌に混合すれば、例えば施工後に降雨等があった場合でも、高pH水に晒される領域を局所的に制限することができ、微生物の生息環境の悪化を最小限に止めることができる。したがって、微生物活性化の阻害要因をさらに制限し、施工後の汚染物質分解効果をより向上させることができる。また、粒子集合体の状態の改良材を汚染土壌に混合すれば、顆粒状の改良材を用いた場合の効果に加え、発熱速度をより早くすることができるというメリットが得られる。
【0080】
また、本実施の形態の汚染土壌処理方法も、先に図9に示した汚染土壌処理システムにより施工可能である。
例えば、自走式混合機械100において、図示しないタンクに栄養剤を貯留して汚染土壌に栄養剤を供給し、貯留タンク120に微生物材料を貯留して汚染土壌に微生物材料を供給するようにする。これにより、自走式混合機械100において、混合装置110に栄養剤・微生物材料とともに汚染土壌が導入され、汚染土壌が栄養剤・微生物材料とともに混合される。また、その混合土は後段の自走式混合機械500に導入され改良材とともに混合される。すなわち、この場合はステップ310,320の工程が、自走式混合機械100によって同時に行われる。
【0081】
ステップ310,320の工程を分けて行う場合、例えば図12に模式的に図示したようにステップ310,320をそれぞれ行う2台の自走式混合機械100を配置し、前段の自走式混合機械100で汚染土壌に栄養剤を混合した後、その混合土に後段の自走式混合機械100で微生物材料を混合するようにすれば良い。勿論、前段の自走式混合機械100で汚染土壌に微生物材料を混合した後、後段の自走式混合機械100で栄養剤を混合するようにしても良い。後段の自走式混合機械100から排出された混合土は、自走式混合機械500に供給されて改良材と混合され、その後埋め戻される。
【0082】
本実施の形態の汚染土壌処理方法においても、単に汚染土壌に微生物材料を混合した後に改良材を混合して埋め戻すだけなので、このように汚染土壌処理システムを簡素に構成することができる。また、油圧ショベル200、自走式混合機械100,500はいずれも自走機能を備えているので、汚染現場においてレイアウトの自由度が大きく、また汚染現場内での移動も容易である。また、トレーラ等の荷台に自力で昇り降りできるので、現場間の輸送性にも優れている。
【0083】
なお、図9や図12に示した汚染土壌処理システムは、走行体や篩装置、コンベア、改良材や微生物の供給装置等と一体にユニット化した自走式混合機械を用いているが、本発明の汚染土壌処理方法は、栄養剤や微生物材料を汚染土壌と混合処理する少なくとも1つの混合装置、及び改良材等と汚染土壌とを混合処理する混合装置の少なくとも2つの混合装置があれば施工可能である。混合装置は、パドルミキサによるものでなくとも、例えば高速回転する回転打撃子によって土砂を解砕混合するものや、ロータリミキサ、スクリュミキサ、リボンスクリュを用いたミキサ、パン型ミキサ等、他の混合方式の混合装置でも代替可能である。また、処理対象となる汚染土量が少ない場合には、必ずしもシステムを構築する必要はなく、人手により混合することも可能である。これらの場合も同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の背景の説明図であり、水道が形成された土壌のモデル図である。
【図2】本発明の背景の説明図であり、水道が形成された土壌の高pH領域を表すモデル図である。
【図3】本発明の背景の説明図であり、土壌粒子の団粒構造を表したモデル図である。
【図4】本発明の背景の説明図であり、団粒構造の土壌粒子の高pH領域を表すモデル図である。
【図5】本発明の背景の説明図であり、土壌に対する顆粒状の改良材の混合状態を表すモデル図である。
【図6】汚染土壌に微粒子状の改良材を混合した後の団粒構造の土壌粒子のモデル図である。
【図7】汚染土壌に微粒子状の改良材を混合した後の団粒構造の土壌粒子に栄養素を溶解した水が浸透する状態を模式化したモデル図である。
【図8】本発明の汚染土壌処理方法の一実施の形態の手順を表すフローチャートである。
【図9】本実施の形態の汚染土壌処理方法を実施するための本発明の汚染土壌処理システムの一実施の形態の全体構造を表す側面図である。
【図10】本発明の汚染土壌処理方法の他の実施の形態の手順を表すフローチャートである。
【図11】本発明の汚染土壌処理方法のさらに他の実施の形態の手順を表すフローチャートである。
【図12】本実施の形態の汚染土壌処理方法を実施するための本発明の汚染土壌処理システムの他の実施の形態の全体構造を表す側面図である。
【符号の説明】
【0085】
100 自走式混合機械
110 混合装置
500 自走式混合機械
510 混合装置
a 汚染土壌
b 処理土
C 土壌微粒子
D 土壌粒子
E 改良材
F 改良材
G 微生物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染物質を含有する汚染土壌に油分分解能を有する微生物を活性化させる栄養剤を混合する工程と、
前記栄養剤と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合する工程と
を行うことを特徴とする汚染土壌処理方法。
【請求項2】
汚染物質を含有する汚染土壌に表土又は油分分解能を有する微生物を担持した微生物担体を含む微生物材料を混合する工程と、
前記微生物材料と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合する工程と
を行うことを特徴とする汚染土壌処理方法。
【請求項3】
汚染物質を含有する汚染土壌に油分分解能を有する微生物を活性化させる栄養剤を混合する工程と、前記汚染土壌に表土又は油分分解能を有する微生物を担持した微生物担体を含む微生物材料を混合する工程とを順不同又は同時に行った後、
前記栄養剤及び前記微生物材料と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合する工程を行うことを特徴とする汚染土壌処理方法。
【請求項4】
前記改良材は、単一粒子よりも粒径が大きな顆粒状の状態、又は単一粒子が凝集してなる粒子集合体の状態で混合することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の汚染土壌処理方法。
【請求項5】
汚染物質を含有する汚染土壌に油分分解能を有する微生物を活性化させる栄養剤を混合する混合手段と、
前記栄養剤と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合する混合手段と
を備えたことを特徴とする汚染土壌処理システム。
【請求項6】
汚染物質を含有する汚染土壌に表土又は油分分解能を有する微生物を担持した微生物担体を含む微生物材料を混合する混合手段と、
前記微生物材料と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合する混合手段と
を備えたことを特徴とする汚染土壌処理システム。
【請求項7】
汚染物質を含有する汚染土壌に油分分解能を有する微生物を活性化させる栄養剤、及び表土又は油分分解能を有する微生物を担持した微生物担体を含む微生物材料を混合する混合手段と、
前記栄養剤及び前記微生物材料と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合する混合手段と
を備えたことを特徴とする汚染土壌処理システム。
【請求項1】
汚染物質を含有する汚染土壌に油分分解能を有する微生物を活性化させる栄養剤を混合する工程と、
前記栄養剤と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合する工程と
を行うことを特徴とする汚染土壌処理方法。
【請求項2】
汚染物質を含有する汚染土壌に表土又は油分分解能を有する微生物を担持した微生物担体を含む微生物材料を混合する工程と、
前記微生物材料と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合する工程と
を行うことを特徴とする汚染土壌処理方法。
【請求項3】
汚染物質を含有する汚染土壌に油分分解能を有する微生物を活性化させる栄養剤を混合する工程と、前記汚染土壌に表土又は油分分解能を有する微生物を担持した微生物担体を含む微生物材料を混合する工程とを順不同又は同時に行った後、
前記栄養剤及び前記微生物材料と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合する工程を行うことを特徴とする汚染土壌処理方法。
【請求項4】
前記改良材は、単一粒子よりも粒径が大きな顆粒状の状態、又は単一粒子が凝集してなる粒子集合体の状態で混合することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の汚染土壌処理方法。
【請求項5】
汚染物質を含有する汚染土壌に油分分解能を有する微生物を活性化させる栄養剤を混合する混合手段と、
前記栄養剤と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合する混合手段と
を備えたことを特徴とする汚染土壌処理システム。
【請求項6】
汚染物質を含有する汚染土壌に表土又は油分分解能を有する微生物を担持した微生物担体を含む微生物材料を混合する混合手段と、
前記微生物材料と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合する混合手段と
を備えたことを特徴とする汚染土壌処理システム。
【請求項7】
汚染物質を含有する汚染土壌に油分分解能を有する微生物を活性化させる栄養剤、及び表土又は油分分解能を有する微生物を担持した微生物担体を含む微生物材料を混合する混合手段と、
前記栄養剤及び前記微生物材料と混合した汚染土壌に生石灰又は石灰系の薬剤を含む改良材を混合する混合手段と
を備えたことを特徴とする汚染土壌処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−702(P2006−702A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−177002(P2004−177002)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】
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