説明

汚泥消化装置

【課題】従来品と比較して設備コストが低い間接加熱式の汚泥消化装置を提供する。
【解決手段】ドラフトチューブ2の外側に外管28を配置することで、ドラフトチューブ2と外管28との間に外側流路を形成する。外管28に熱媒体導入管41と熱媒体導出管42を接続する。外管28が配置された部分で、ドラフトチューブ2内に汚泥が通り、外側流路に熱媒体が通る。これにより、ドラフトチューブ2内の汚泥が加熱される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、下水処理等の過程で発生する汚泥の消化(有機物の嫌気性分解)工程で使用される汚泥消化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
汚泥消化槽で汚泥を消化する工程を行う際には、槽内の汚泥を底部に堆積させないように撹拌するとともに、槽内の汚泥を適温に加熱する必要がある。
消化槽内の汚泥の撹拌方法に関しては、例えば、消化槽内の中心に鉛直方向に延びるドラフトチューブ(縦管)を設け、ドラフトチューブ内に設置した攪拌機で槽内の汚泥をドラフトチューブ内に導いて循環させることが行われている。
特許文献1に記載されている例では、スクリューポンプのスクリュー羽根をドラフトチューブ内の上端部に配置し、その回転軸を作動させるモータを槽外に配置している。そして、モータの作動により、槽内の汚泥を、下端開口(または上端開口)からドラフトチューブ内に導入し、上端開口(または下端開口)から導出して循環させている。
【0003】
消化槽内の汚泥の加熱方法としては、例えば、特許文献2に記載されているように、槽内に熱源を入れて加熱する直接法と、槽内の汚泥を外部に出して槽内に戻す循環管を設けて、この循環管内の汚泥を熱交換器で加熱する間接法がある。
直接法は、例えば図3に示すように、汚泥5を入れた槽1の上部に吹き込み管6を設けて、ボイラ設備等から発生した蒸気を槽1内の汚泥5に吹き込む方法である。この方法には、蒸気を入れることで消化槽内の汚泥が水で薄められて、汚泥濃度が低下するという問題点がある。
【0004】
なお、図3において、符号2はドラフトチューブを、符号31はスクリューポンプの回転軸を、符号32はスクリューポンプのモータ部を、それぞれ示す。
間接法では、例えば図4に示すように、撹拌のために設けたドラフトチューブ2とは別に、加熱のための循環経路7を設けている。この例では、槽1の壁部11を貫通して槽内から槽外まで配置された一対の横管71,72と、両横管を槽外で接続する縦管73とを配置し、出側の横管72と縦管73との間にポンプ74を設け、縦管73のポンプ74と入側の横管71との間の部分に熱交換器4を設けている。
【0005】
図4の方法では、槽外に配置された配管内の汚泥を熱交換器で加熱しているため、熱交換器の熱源としてボイラ設備等から発生した蒸気を利用した場合でも、蒸気そのものは汚泥に入らないことから、消化槽内の汚泥濃度は低下しない。しかし、この方法には、直接法と比較して設備コストが高くなるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭59−46654号公報
【特許文献2】特開平5−269496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明の課題は、消化槽内の汚泥を、槽内に設置されたドラフトチューブ内に導いて循環させることで撹拌が行われ、消化槽内の汚泥の加熱が間接法で行われる汚泥消化装置であって、従来の間接加熱式汚泥消化装置と比較して設備コストが低いものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明の汚泥消化装置は、汚泥を入れる槽と、槽内に配置されたドラフトチューブと、を備え、前記槽内の汚泥を前記ドラフトチューブ内に導いて循環させることで、槽内の汚泥を撹拌する汚泥消化装置であって、前記ドラフトチューブに、内側に汚泥を通し、外側に熱媒体を通す二重管構造部を設けたことを特徴とする。
この発明の汚泥消化装置では、汚泥を撹拌するために設けたドラフトチューブの前記二重管構造部で、熱媒体により汚泥が加熱されるため、撹拌のための循環経路とは別に加熱のための循環経路を設けている従来の間接加熱式汚泥消化装置と比較して、設備コストが低く抑えられる。また、加熱された汚泥が槽内に戻されて撹拌流を形成するため、槽内全体の加熱が効率よく行われる。
【発明の効果】
【0009】
この発明の汚泥消化装置は、消化槽内の汚泥を、槽内に配置されたドラフトチューブ内に導いて循環させることで撹拌が行われ、消化槽内の汚泥の加熱が間接法で行われる汚泥消化装置であって、従来の間接加熱式汚泥消化装置と比較して設備コストが低く、槽内全体の加熱効率が高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施形態に相当する汚泥消化装置を示す概略構成図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】従来の直接加熱式の汚泥消化装置を示す概略構成図である。
【図4】従来の間接加熱式の汚泥消化装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施形態について説明する。
図1は、この実施形態の汚泥消化装置を示す概略構成図であって、汚泥を入れる槽が奥行き方向中心での断面図となっている。図2は図1のA−A断面図である。
図1に示すように、この汚泥消化装置は、汚泥を入れる槽1と、槽1内に配置されたドラフトチューブ2と、スクリューポンプ3と、を備えている。
【0012】
ドラフトチューブ2は、槽1の中心に鉛直方向に沿って配置され、その下部が支持脚15で槽1の底部12に固定されている。また、ドラフトチューブ2の上部が、支持腕16で槽1の壁部11に固定されている。
スクリューポンプ3は回転軸31とモータ部32とを備え、回転軸31の先端にスクリュー羽根31aが付いている。このスクリュー羽根31aの部分が全て、ドラフトチューブ2の上側開口部21内に配置されている。モータ部32は、槽1の蓋部13に取り付けられて槽1の外部に配置されている。
ドラフトチューブ2の外側には、内部に配置された回転軸31の先端部より下側となる範囲に外管28が配置されている。これにより、図2に示すように、ドラフトチューブ2と外管28との間に外側流路20が形成されている。外側流路20の両端部は閉塞されている。
【0013】
また、外管28の下端部に熱媒体導入管41が接続され、上端部に熱媒体導出管42が接続されている。熱媒体導入管41と熱媒体導出管42は槽1内に水平に配置され、各端部が槽1の壁部11を貫通して外側に至っている。
よって、ドラフトチューブ2の外管28が配置されている部分は、ドラフトチューブ2内に汚泥を通し、外側流路20に熱媒体を通す二重管構造部となっている。
【0014】
この実施形態の汚泥消化装置では、スクリューポンプ3を作動させることで、槽1内の汚泥5が、上端開口からドラフトチューブ2内に導入され、下端開口から導出されて循環する。これにより、槽1内の汚泥5が撹拌される。また、ドラフトチューブ2内に導かれた汚泥は、二重管構造部を通る際に、外側流路20を通る熱媒体で加熱される。
この実施形態の汚泥消化装置によれば、汚泥を撹拌するために設けたドラフトチューブ2の二重管構造部で、熱媒体により汚泥が加熱されるため、図4に示すような、撹拌のためのドラフトチューブ2とは別に加熱のための循環経路7を設けている、従来の間接加熱式汚泥消化装置と比較して、設備コストを低く抑えることができる。また、ドラフトチューブ2の二重管構造部で加熱された汚泥が槽1内に戻されて撹拌流を形成するため、槽1内全体の汚泥5が効率よく加熱される。
【符号の説明】
【0015】
1 槽
11 壁部
12 底部
13 蓋部
15 支持脚
16 支持腕
2 ドラフトチューブ
20 外側流路
28 外管
3 スクリューポンプ
31 回転軸
31a スクリュー羽根
32 モータ部
41 熱媒体導入管
42 熱媒体導出管
5 汚泥
6 吹き込み管
7 加熱のための循環経路
71 横管
72 横管
73 縦管
74 ポンプ
81 枝管
82 枝管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥を入れる槽と、槽内に配置されたドラフトチューブと、を備え、
前記槽内の汚泥を前記ドラフトチューブ内に導いて循環させることで、槽内の汚泥を撹拌する汚泥消化装置であって、
前記ドラフトチューブに、内側に汚泥を通し、外側に熱媒体を通す二重管構造部を設けたことを特徴とする汚泥消化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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