説明

汚物処理装置

【課題】臭いの遮断性に優れた使用済み幼児用おむつのような汚物を廃棄するための汚物処理装置を提供する。
【解決手段】汚物処理装置11は、フィルム収納部14と汚物収納本体13との間でフィルム15を挟み込んで上下の空間を遮断する開閉式の密閉機構28とを備える。かかる密閉機構28は、開閉可能な密閉用扉33と、密閉用扉受部35とを有し、密閉用扉33および密閉用扉受部35のフィルム15のフィルム挟み込み部分が、挟み込まれるフィルム部分の上下方向中間部を、挟み込まれるフィルム部分の上端と下端とを結ぶ仮想直線に対し側方へ屈曲させる凹凸形状を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は使用済みの幼児用おむつのような汚物を廃棄するための汚物処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使用済み幼児用おむつのような不快な臭いを発する汚物を廃棄するための汚物処理装置に関する、臭いの遮断性に優れた連続的に汚物を廃棄できる汚物処理装置の技術として、特開平1−226601号公報(特許文献1)、特開2009−96642号公報(特許文献2)、および特開平7−330103号公報(特許文献3)が開示されている。
【0003】
特許文献1および特許文献2に記載の汚物処理装置を図23に示す。特許文献1および特許文献2に記載の汚物処理装置は、一端が閉鎖された円筒状のフィルム101と、フィルムを挿通して収容する管状ガイド102と、フィルム101および管状ガイド102を手動で捩るための捩り手段103とを備える。
【0004】
この汚物処理装置は、管状ガイド102に挿通されたフィルム101の閉鎖端を引き出して、管状ガイド102の同軸下方側へと押し込み汚物収納空間を形成する。汚物収納空間に汚物を廃棄した後に捩り手段103によって管状ガイド102を回転させて、汚物と管状ガイド102との間のフィルム上に捩りによる閉鎖部104を設ける。
【0005】
このフィルムの捩り閉鎖部が、次の汚物廃棄のための汚物収納空間底部を形成するともに、汚物から外界へと漏洩する臭いの伝達を遮断する。このような構造によってフィルム内に連続的に汚物を廃棄することができ、且つ汚物の臭いの遮断性にも効果があるというものである。
【0006】
また、特許文献3に記載の汚物処理装置を図24に示す。特許文献3に記載の汚物処理装置は、上方に開口を有する汚物収納本体105と、当該開口を閉鎖する蓋体106と、汚物収納本体内に配置される汚物110を収容する可撓性フィルム107と、汚物収納本体105と開口との間でフィルム107を挟み込む閉鎖機構108を有する。
【0007】
当該閉鎖機構108は一対の棒状挟み込み部材109を有し、汚物を廃棄する場合には閉鎖機構108を開いて汚物を汚物収納本体105内に廃棄し、廃棄後は棒状挟み込み部材109がフィルム107を挟み込んで廃棄された汚物110と外界とを遮断する。この閉鎖機構108が汚物から外界へと漏洩する臭いの伝達を遮断するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平1−226601号公報
【特許文献2】特開2009−96642号公報
【特許文献3】特開平7−330103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の汚物処理装置は汚物の臭いの遮断性に関して不充分であった。すなわち特許文献1および特許文献2に記載の汚物処理装置においては、汚物の臭いを遮断する大きな要素はフィルム101の捩りによる閉鎖部104であり、この捩りの中心軸には必ず直線的な微小通気経路が残留する。このような残留通気経路が臭いの漏洩の原因となっていた。
【0010】
また、フィルムの捩りは、捩りに対するフィルムの復元力等により時間の経過とともに次第に緩んでしまう。このことが残留通気経路の拡大に繋って、臭いの遮断性をさらに低下させる要因ともなっていた。さらに、フィルムの捩りの閉鎖部104が汚物の廃棄ごとに生じるために、汚物処理装置内に収納できる最大汚物量が減少する要因ともなっていた。
【0011】
特許文献3に記載の汚物処理装置に関しても汚物の臭いの遮断性に関して不充分であった。すなわち特許文献3に記載の汚物処理装置においては、汚物の臭いを遮断するための手段が、閉鎖機構108の一対の棒状部材109によるフィルム107の挟み込みである。よって、一対の棒状部材109によってフィルム107が挟み込まれてできる棒状部材109とフィルム107との当接形状は、面ではなく線を形成していた。このことが閉鎖機構108の下方に収納されている汚物110と、閉鎖機構108の上方の開口との間の臭いの遮断性を不充分とする要因となっていた。
【0012】
本発明は上記課題を解決し、臭いの遮断性に優れた使用済み幼児用おむつのような汚物を廃棄するための汚物処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の汚物処理装置は、上端に汚物投入口を形成する管状芯部を有し、この管状芯部を取り囲むように円筒状に圧縮したフィルムを収容するフィルム収納部と、フィルム収納部を上部に配し、汚物投入口内に繰り出されたフィルム内に投入された汚物をフィルムとともに受け入れる汚物収納本体を備える。また、フィルム収納部と汚物収納本体との間でフィルムを挟み込んで上下の空間を遮断する開閉式の密閉機構とを備える。さらに、密閉機構は、開閉可能な密閉用扉と、閉扉位置の密閉用扉とともにフィルムを挟み込む密閉用扉受部とを有し、密閉用扉および密閉用扉受部のフィルム挟み込み部分が、挟み込まれるフィルム部分の上下方向中間部を、挟み込まれるフィルム部分の上端と下端とを結ぶ仮想直線に対し側方へ屈曲させる凹凸形状を含む。
【0014】
かかる本発明によれば、フィルムの内部に投入された汚物と汚物投入口との遮断を、密閉用扉および密閉用扉受部によるフィルムの挟み込みによって実現している。さらに、密閉用扉および密閉用扉受部に設けられた凹凸形状によってフィルムが挟み込まれるため、フィルムが、直線的ではなく仮想直線に対して側方に屈曲される。したがって、屈曲部においてフィルムに大きなテンションがかかる。このテンションによって、残留通気経路が狭められ、臭い伝達の遮断性を向上させることが可能である。また、汚物の廃棄ごとにフィルムを捩る必要性がないため、捩り部分による最大汚物収納量の低下を防ぐこともできる。
【0015】
好ましい実施形態として、閉扉して互いに係合する密閉用扉および密閉用扉受部の凹凸形状は、それぞれ複数の面から構成されている。
【0016】
かかる実施形態によれば、フィルム挟み込み部分の屈曲部がより増えることによって、フィルムへテンションがかかるポイントが増加する。このことが臭いの遮断性をより向上させることとなる。なお、凹凸形状は、背面または曲面によって構成されてもよい。
【0017】
好ましい実施形態として、凹凸形状を構成する複数の面のうち、少なくとも二つの面が、略直角に接続し角部を形成している。
【0018】
かかる実施形態によれば、密閉用扉および密閉用扉受部に挟み込まれることによってフィルムが略直角に屈曲される箇所が、少なくとも一箇所形成される。この略直角の屈曲部においてフィルムに大きなテンションが掛かり、残留通気経路を狭めて臭いの遮断性をより向上させることができる。また、密閉用扉および密閉用扉受部を金型成型によって量産する場合、略直角に屈曲するL字形状は特に複雑な形状ではないため、成型が容易である。したがって、製品の量産化に関して利点を有する。
【0019】
好ましい実施形態として、密閉用扉は、密閉用扉の前端部にフィルム挟み込み部分が形成され、後端部において汚物収納本体または密閉用扉受部に枢支されている。
【0020】
かかる実施形態によれば、密閉用扉の開閉動作が、密閉用扉の回動によって実現される。したがって、使用者が汚物を汚物収納本体の内部へ押し込む場合に、より容易に密閉用扉を開扉させることができる。
【0021】
好ましい実施形態として、密閉機構は、密閉用扉を閉方向へ向けて付勢する弾性部材をさらに有してもよい。
【0022】
かかる実施形態によれば、フィルムを挟み込む力を大きくさせることが可能となり、臭いの遮断性をより向上させることができる。
【0023】
好ましい実施形態として、弾性部材は、延在方向に伸縮可能な一本の弾性材料であり、弾性部材の両端が、密閉用扉受部の左右両側縁にそれぞれ連結され、弾性部材の中央領域が、密閉用扉の下面に張り渡される。
【0024】
かかる実施形態によれば、密閉用扉を閉方向へ付勢するための弾性部材を、一本の弾性材料のみで実現することができる。さらに、一本の弾性材料によって、密閉用扉の下面に弾性力を加えて閉方向へ付勢するため、密閉用扉を左右略均等の力で付勢することができる。
【0025】
好ましい実施形態として、密閉用扉は、密閉用扉の下面に、弾性部材の中央領域を保持する弾性部材ガイドを含む。
【0026】
かかる実施形態によれば、密閉用扉の下面に張り渡された弾性部材が、弾性部材ガイドによって、密閉用扉の下面における所定の位置に安定して固定される。したがって、密閉用扉が、弾性部材によって閉方向に向けて安定して付勢される。
【0027】
好ましい実施形態として、密閉機構は、上端側が密閉用扉受部の左側縁に係止するとともに下端側が密閉用扉の左側縁に係止して弾性部材の左側端部を収容する左側弾性部材カバーと、上端側が密閉用扉受部の右側縁に係止するとともに下端側が密閉用扉の右側縁に係止して弾性部材の右側端部を収容する右側弾性部材カバーとをさらに有する。そして、これら弾性部材カバーは、密閉用扉の左右側縁に係止したまま密閉用扉の開閉に追従する。
【0028】
かかる実施形態によれば、密閉用扉および密閉用扉受部の両側縁に位置する弾性部材が、弾性部材カバーによって、密閉用扉の開閉動作に関わらず常に覆われることとなる。したがって、汚物を収容するフィルムが弾性部材に巻き込まれて破れることを防ぐことができる。また、これら弾性部材カバーによって、弾性部材の両側部を保護することが可能となる。これにより、密閉用扉に上記弾性部材ガイドを設けない場合においても、弾性部材が密閉用扉から脱落することを防ぐことができる。
【0029】
好ましい実施形態として、フィルム収納部は、管状芯部の軸線が所定の角度で傾斜するように、汚物収納本体に支持されている。
【0030】
かかる実施形態によれば、母親が座りながらおむつを交換した後に、座ったまま汚物を汚物投入口へ廃棄することが容易となる。
【0031】
好ましい実施形態として、管状芯部の下端を取り囲むフィルム収納部の下端部は、所定の角度で傾斜して支持されて前端側で鉛直方向の低い位置に、且つ後端側で鉛直方向の高い位置にされ、密閉用扉受部の凹凸形状は、フィルム収納部の下端部の最も低い位置の近傍に配置される。
【0032】
かかる実施形態によれば、フィルム収納部に汚物投入口から繰り出し可能に収納されているフィルムは、傾斜して支持されている管状芯部の内部を鉛直下方へと通過して、汚物と共に汚物収納本体内部に収納される。ここで、当該フィルムは、フィルムの内部に廃棄された汚物の重量がかかるため鉛直下方へとひかれる。汚物投入口の直径をLとし水平方向からの傾斜角をθとすると、フィルムは少なくとも距離としてL(1−cosθ)だけ、重力と管状芯部の傾斜によって、傾斜している管状芯部の下端部の最も低い位置側へ向けて自然と寄せられることとなる。さらに、このように自然に寄せられた管状芯部の下端部における最も低い位置の近傍においてフィルムが挟み込まれるように、前述の密閉機構が配設されている。このことが、密閉機構によるフィルムの挟み込みをより容易とし、遮断の効率性を上げる効果が期待できる。
【0033】
好ましい実施形態として、密閉用扉は、閉扉位置で所定の角度で傾斜して支持されて前端側で鉛直方向の低い位置に、後端側で鉛直方向の高い位置にされる。
【0034】
かかる実施形態によれば、母親が座りながらおむつを交換した後に、座ったまま密閉用扉を押し開き易くなるため、汚物を汚物投入口へ廃棄する作業が容易となる。
【0035】
好ましい実施形態として、密閉用扉および密閉用扉受部のフィルム挟み込み部分は、汚物収納本体の前方側に形成される。また、汚物収納本体は、内側底面の前方領域において、前方側から後方側に向けて鉛直方向高さが降下する傾斜面を有する。
【0036】
かかる実施形態によれば、汚物収納本体の内部に廃棄された汚物が、底部に設けられた斜面によって汚物収納本体の後方側に向けて滑り落ちていくため、汚物が効率よく内部に蓄積される。
【0037】
好ましい実施形態として、フィルム収納部は、フィルム収納カセットであって、管状芯部と、管状芯部の下端部から外径方向へ延出する管状芯部フランジと、管状芯部の上端部から外径方向へ延出し、管状芯部フランジとの間にフィルムを圧縮した状態で収容するとともに、当該フィルムがその外縁部を乗り越えて管状芯部へ繰り出すことを許容するフィルム抑えフランジとを有する。そして、汚物収納本体上部に着脱可能に取り付けられる。
【0038】
かかる実施形態によれば、消耗品であるフィルムが全て使用された場合に、使用者は、簡単な操作によってフィルム収納カセットを交換し、セットすることが可能となる。
【発明の効果】
【0039】
本発明の汚物処理装置によれば、フィルムの内部に投入された汚物と汚物投入口との遮断を、密閉用扉および密閉用扉受部によるフィルムの挟み込みによって実現している。さらに、密閉用扉および密閉用扉受部に設けられた凹凸形状によってフィルムが挟み込まれるため、フィルムが、直線的ではなく仮想直線に対して側方に屈曲される。したがって、屈曲部においてフィルムに大きなテンションがかかる。このテンションによって、残留通気経路が狭められ、臭い伝達の遮断性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態になる汚物処理装置を示す全体斜視図である。
【図2】同実施形態になる汚物処理装置の側方断面図である。
【図3】同実施形態になる汚物処理装置の側方断面図である。
【図4】同実施形態の密閉機構の閉扉時を拡大して示す側方断面拡大図である。
【図5】同実施形態の密閉機構の開扉時を拡大して示す側方断面拡大図である。
【図6】(a)本実施形態にかかる密閉用扉および密閉用扉受部の開扉時のフィルム挟み込み部分を拡大して模式的に示す側方断面拡大図である。(b)同実施形態の密閉用扉および密閉用扉受部の閉扉時のフィルム挟み込み部分を拡大して模式的に示す側方断面拡大図である。
【図7】(a)本発明の他の実施形態になる凸字型密閉用扉および凹字型密閉用扉受部の開扉時のフィルム挟み込み部分を拡大して示す側方断面拡大図である。(b)本発明の他の実施形態になる凸字型密閉用扉および凹字型密閉用扉受部の閉扉時のフィルム挟み込み部分を拡大して示す側方断面拡大図である。
【図8】フィルム収納部を取り出して示す分解斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態になる汚物処理装置を示す全体斜視図である。
【図10】同実施形態の汚物処理装置を背面斜め方向からみた斜視図である。
【図11】同実施形態の本体ロック機構および蓋体ロック機構を拡大して示す側方断面拡大図である。
【図12】同実施形態の本体ロック解除操作を示した斜視図である。
【図13】同実施形態の収納本体上部を回動した状態を示す側方断面図である。
【図14】同実施形態の蓋体ロック解除操作を示した斜視図である。
【図15】本発明の他の実施形態になる汚物処理装置において、密閉用扉の閉扉時の側方断面図を示す。
【図16】図15に示す汚物処理装置において、密閉用扉の開扉時の側方断面図を示す。
【図17】図16に示す密閉機構を下方斜め方向から見た斜視図を示す。
【図18】本発明にかかるフィルム収納カセットを示す斜視図である。
【図19】図18に示すフィルム収納カセットからフィルムを除いた状態を示す斜視図である。
【図20】図19に示した状態のフィルム収納カセットを側方から見た側方図である。
【図21】図19に示した状態のフィルム収納カセットを管状芯部の軸線Oの上方向から見た上面図を示す。
【図22】図15に示す汚物処理装置からフィルム収納カセットを取り外した状態を軸線Oの上方向から見た外観図である。
【図23】従来の汚物処理装置のフィルム捩り機構を示す断面図である。
【図24】従来の汚物処理装置のフィルム挟み込み機構を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態になる汚物処理装置を示す全体斜視図である。図2および図3は、同実施形態になる汚物処理装置を示す側方断面図であり、図2は密閉用扉の閉扉状態を、図3は密閉用扉の開扉状態を示す。
【0042】
汚物処理装置11は、使用済みのおむつ等の汚物Dが投入される環状の汚物投入口16と、汚物投入口16から下方へ延び下端が結び目26によって閉じた円筒型のフィルム15と、汚物投入口16から投入された汚物Dをフィルム15とともに受け入れる汚物収納本体13と、上方から汚物投入口16に被さる蓋体23とを備える。
【0043】
汚物投入口16には長尺なフィルム15が、取り付けられている。フィルム15は、汚物投入口16の口元を覆うようにして下方へ延びている。
【0044】
汚物収納本体13は、フィルム15内部に廃棄される汚物Dを貯蔵する中空の容器であり、収納本体下部17と収納本体上部19とに分割されている。収納本体下部17は、下端側に底部17bを有し、上端側に開口部を有する。収納本体上部19は、下端側で収納本体下部17の上端の開口部を覆い、上端部に汚物投入口16を有する。
【0045】
また、収納本体上部19の内部には、汚物投入口16と貯蔵された汚物との間でフィルム15を挟み込んで遮断する開閉式の密閉機構28が、設けられている。密閉機構28は、密閉用扉33と密閉用扉受部35とを有する。密閉機構28については後述する。
【0046】
汚物を廃棄する場合、使用者は、まず蓋体23を開き、次に汚物投入口16からフィルム15の内部に汚物Dを投入する。次に使用者は、汚物投入口16に手を入れ、フィルム15を汚物Dとともに押し下げて密閉用扉33を押し開く。下方へ押し込まれた汚物Dは、フィルム15とともに開扉した密閉用扉33と密閉用扉受部35との間を通過する。密閉用扉33および密閉用扉受部35を通過した汚物Dは、フィルム15を伝って下方へ進み、汚物収納本体13の内部に蓄積される。使用者が密閉用扉33および密閉用扉受部35よりも下方に汚物を落として汚物投入口16から手を抜くと、密閉用扉33が、直ちに閉扉してフィルム15を挟み込む。また、新しいフィルム15が汚物投入口16から繰り出されるため、汚物投入口16には常に新しいフィルム15が供給される。
【0047】
図4は、図2に示す密閉機構28の断面形状を拡大して示す閉扉時の断面拡大図であり、図5は、図3に示す密閉機構28の断面形状を拡大して示す開扉時の断面拡大図である。なお、図4中の線Oは、汚物投入口16および後述する管状芯部の中心軸線を示す。
【0048】
汚物処理装置11は、前述のように、汚物投入口16と、汚物収納本体13内に廃棄された汚物Dとの間でフィルム15を挟み込んで遮断する開閉式の密閉機構28とを備える。密閉機構28は、密閉用扉33と、密閉用扉受部35とを有し、密閉用扉33および密閉用扉受部35には、密閉用扉33が閉扉したときに互いが係合してフィルムを挟み込む凹凸形状が、設けられている。この構成については、後述する。
【0049】
密閉用扉33と密閉用扉受部35とが閉扉した状態において、密閉用扉33が汚物投入口16を下方から覆って閉塞するように、密閉用扉受部35が、収納本体上部19の内部に設けられている。また、収納本体上部19の内壁には、密閉用扉33が開方向および閉方向に動作するように案内するガイドレール37が、取り付けられている。ガイドレール37は、密閉用扉受部35の下方に向けて延在するように配置されており、密閉用扉33は、ガイドレール37に沿って摺動する。
【0050】
密閉用扉33は、密閉用扉受部35に向かって付勢されており、常態では互いに係合して閉じている。また常態では、図2に示すように、フィルム15が、密閉用扉33および密閉用扉受部35によって挟み込まれている。これに対し、使用者が密閉用扉33を押し下げると、密閉用扉33が、密閉用扉受部35から離れる開方向へガイドレール37に沿って摺動する。密閉用扉33が開かれると、図3に示すように、フィルム15の挟み込みが解除されて、汚物Dを汚物収納本体13の内部へと投入することができる。
【0051】
本実施形態においては、図2〜図5に示したように、密閉用扉33および密閉用扉受部35には、閉扉時に互いに係合する一対の凹凸形状が、設けられている。そして、フィルム15は、密閉用扉33および密閉用扉受部35に設けられた凹凸形状によって挟み込まれている。密閉用扉33に設けられた凹凸形状は、閉扉時にフィルム15と当接する挟み込み面33cによって構成されている。また、密閉用扉受部35に設けられた凹凸形状は、閉扉時にフィルム15と当接する挟み込み面35cによって構成されている。
【0052】
ここで、挟み込み面33c、35cについて、図6を用いて以下に詳細に説明する。図6(a)は、本実施形態にかかる密閉用扉33および密閉用扉受部35の開扉時のフィルム挟み込み部分を拡大して模式的に示す側方断面拡大図である。図6(b)は、本実施形態にかかる密閉用扉33および密閉用扉受部35の閉扉時のフィルム挟み込み部分を拡大して模式的に示す側方断面拡大図である。なお、図6は、理解の容易のために、密閉用扉33および密閉用扉受部35のフィルム挟み込み部分を模式的に示しているため、実際の実施形態とは詳細な構成が異なっている。
【0053】
図6(a)および図6(b)に示すように、密閉用扉33のフィルム挟み込み部分に相当する挟み込み面33cは、密閉用扉33の上面の前端領域に相当する面33cと、面33cの前端において面33cと略直角に接続して下方へと延び、面33cと略直角の角部を形成する面33cと、面33cの下端において面33cと略直角に接続して前方側へと延び、面33cと略直角の角部を形成する面33cとから構成される。
【0054】
また、密閉用扉受部35のフィルム挟み込み部分に相当する挟み込み面35cは、フィルム挟み込み部分の上端において汚物投入口16の軸線Oと略直交するように設けられ、閉扉時に面33cと略平行となる面35cと、面35cの前端において面35cと略直角に接続して下方へと延び、閉扉時に面33cと略平行となる面35cと、面35cの下端において面35cと略直角に接続して前方側へと延び、閉扉時に面33cと略平行となる面35cとから構成される。
【0055】
密閉用扉33が、図6(a)に示す開扉状態から、図6(a)中の矢印の方向に向けて摺動してフィルム15を挟み込み、図6(b)に示す閉扉状態となると、フィルム15が、αおよびαの二箇所の角部において略直角に屈曲される。すなわち、密閉用扉33および密閉用扉受部35の挟み込みによって、挟み込まれたフィルム15の挟み込み部分における上下方向中間点α、αを、図6(b)中に一点鎖線で示したフィルムの挟み込み部分の上端βと下端γとを結ぶ仮想直線に対して側方に屈曲させている。また、面35cの後端に形成された角部によって、フィルム挟み込み部分の上端βにおいてもフィルム15が屈曲される。同様に、面33cの前端に形成された角部によって、フィルム挟み込み部分の下端γにおいてもフィルム15が屈曲される。
【0056】
ここで、フィルム15の内部に廃棄された汚物Dは自重によって下方へと重力が掛かっている。すなわち、フィルム15には、汚物Dによって、常に鉛直下方へ向けたテンションが働くこととなる。このようなテンションが働いた状態のフィルム15を図6(b)に示すように挟み込み、フィルム15をα、α、β、γの四箇所の角部で屈曲させると、この角部においてフィルム15にさらに大きなテンションが掛かる。これにより、前述した従来技術において臭いの伝達する要因となる残留通気経路が、効果的に遮断される。したがって、臭いの遮断性を大きく向上させることができる。また、汚物の廃棄ごとにフィルムを捩る必要性がないため、捩り部分による最大汚物収納量の低下を防ぐこともできる。さらに、密閉用扉33および密閉用扉受部35を金型成型にて量産する場合、略直角の角部を有する凹凸形状は、階段状の形状であって、特に複雑な形状ではない。したがって、成型が容易である。したがって、製品の量産化に関して利点を有する。
【0057】
密閉用扉33および密閉用扉受部35の他の実施形態を、図7の(a)および(b)に模式的に示す。図7(a)は他の実施形態になる凸字型密閉用扉および凹字型密閉用扉受部の開扉時のフィルム挟み込み部分を拡大して示す側方断面拡大図である。図7(b)は当該実施形態の凸字型密閉用扉および凹字型密閉用扉受部の閉扉時のフィルム挟み込み部分を拡大して示す側方断面拡大図である。なお、図7は、理解の容易のために、密閉用扉33および密閉用扉受部35のフィルム挟み込み部分を模式的に示しているため、実際の実施形態とは詳細な構成が異なっている。
【0058】
この実施形態においては、密閉用扉33と密閉用扉受部35とによるフォルム15の挟み込みが、凸字状の側方断面を有するフィルム挟み込み部分が設けられた密閉用扉33と、密閉用扉33に設けられた凸字形状を受ける凹字形状の側方断面を有するフィルム挟み込み部分が設けられた密密閉用扉受部35との係合によって実現されている。
【0059】
具体的には、挟み込み面33cに、断面凸字形状の突条133が、形成されている。また、挟み込み面35cに、断面凹字形状の条溝135が、形成されている。突条133は、密閉用扉33の摺動方向と略平行となるように突出している。したがって、密閉用扉33が閉方向へ向かって摺動して密閉用扉受部35と係合する場合、その摺動を阻害することなく密閉用扉33および密閉用扉受部35に設けられた凹凸形状が係合する。
【0060】
図7に示したように、密閉用扉33に形成される挟み込み面33cを構成する面は、それぞれ33c〜33cである。また、密閉用扉受部35に形成される挟み込み面35cを構成する面は、それぞれ35c〜35cである。これらの構成面のうち、33cと33cおよび35cと35cは、図7(b)に示したフィルム挟み込み部分の上端βから下端γまでを結ぶ仮想直線と略直交する面である。したがって、密閉用扉33が、図7(a)に示す開扉状態から図7(a)中の矢印の方向に向けて摺動してフィルム15を挟み込み、図7(b)に示す閉扉状態となると、フィルム15が、α〜αの四箇所の角部において略直角に屈曲される。すなわち、α〜α間とα〜α間おいて、フィルム15は、略水平方向へ屈曲される。
【0061】
前述の図6と同様に、フィルム15には、汚物Dの自重によって鉛直下方への重力が作用する。したがって、この四箇所の略直角の角部において、フィルム15に大きなテンションが掛かる。これにより、フィルム15の内側に沿って形成される残留通気経路が直角に屈曲され、臭いをより効果的に遮断することができる。また、汚物の廃棄ごとにフィルム15を捩る必要性がないため、捩り部分による最大汚物収納量の低下を防ぐこともできる。さらに、密閉用扉33および密閉用扉受部35を金型成型にて量産する場合、凹凸形状は成型が容易であるため、製品の量産化においても利点を有する。
【0062】
また、汚物処理装置11は、密閉用扉33を常に密閉用扉受部35の方向へ付勢するためのスプリング39をさらに備える。スプリング39の付勢力が大きいほど、フィルム15を挟み込む力を大きくさせることが可能となり、臭いの遮断性をより向上させることができる。
【0063】
図8は、フィルム収納部14を取り出して示す分解斜視図である。汚物処理装置11は、汚物投入口16を形成するとともにフィルム15を収納するフィルム収納部14を備える。このフィルム収納部14は、収納本体上部19の上方に設けられたフィルム取り付け部12に着脱可能に取り付けられ、汚物投入口16の外郭を形成する。フィルム収納部14は、汚物投入口16から下方へ延びる円筒形状の管状芯部27と、管状芯部27の下端部に設けられた管状芯部フランジ27fと、管状芯部27の上端側に嵌め込み固定されるフランジ形状のフィルム抑えフランジ29とを有する。
【0064】
フィルム15は、管状芯部27の軸方向に蛇腹状に折りたたまれて管状芯部27の外径側に同軸に配置されるように挿通される。そして、フィルム抑えフランジ29が、フィルム15の飛び出しを抑えるように管状芯部27に嵌め込み接続されている。すなわち、管状芯部27の上端に位置しているフィルム抑えフランジ29と、管状芯部27の下端に位置している管状芯部フランジ27fによって、フィルム15は、管状芯部27の軸線O方向の上端と、軸線O方向の下端との間の空間に、蛇腹状に折りたたまれて圧縮され収納されている。
【0065】
フィルム15はフィルム収納部14の消耗部品であり、収納された当該フィルムが全て使用されると、使用者は、使い済みのフィルム収納部14を取り外し、新しいフィルム収納部14をフィルム取り付け部12にセットする。あるいは、フィルム収納部14は、フィルム収納部14に収納されたフィルム15が全て使用された場合に、フィルムのみが交換される構成であってもよい。すなわち、管状芯部フランジ27fが、フィルム取り付け部12に固着され、フィルム抑えフランジ29が、管状芯部27に着脱可能に取り付けられている構成であってもよい。この構成によれば、フィルム交換時において、使用者は、フィルム抑えフランジ29を取り外し、フィルムのみを交換することができる。
【0066】
フィルム収納部14を汚物処理装置11にセットした後、使用者は、蓋体23を開いたまま管状芯部27に圧縮収納されているフィルム15の先端を、フィルム抑えフランジ29の外周縁を越えるように上方へ引き出す。次いで、その引き出された先端を結び目26により閉鎖する。そして、この結び目26を管状芯部27内に挿通して下方へ押し込み、フィルム収納部14からフィルム15を繰り出しつつ結び目26を底部17bまで押し込む。フィルム15の内部に使用済みおむつ等の汚物を廃棄していくと、フィルム15に汚物が蓄積されていき、管状芯部27の外径側に蛇腹状に折りたたまれたフィルム15が、次々と繰り出されて下方に伸びていく。したがって、使用者は、汚物を連続的に汚物収納本体13内へ廃棄することができる。
【0067】
図4に示すように、本実施形態の汚物処理装置11においては、管状芯部27の軸線Oの方向、すなわち汚物投入口16の開口方向が所定の角度で傾斜するように、フィルム収納部14が、収納本体上部19に支持されている。汚物投入口16が、鉛直方向から前方側へ向けて所定の角度θ16で傾斜している。これにより、母親が幼児のおむつを廃棄する作業を容易とすることができる。これについて、以下に簡単に説明する。母親が幼児のおむつを交換する作業は、一般的に、幼児を床に寝かせ、母親が座った状態で行われる場合が多い。したがって、本実施形態によれば、汚物投入口16が所定の角度θ16で傾斜しているため、母親が座って幼児のおむつを交換し、そのまま座った状態で使用済みのおむつ(汚物)を汚物投入口16へ廃棄する作業が、容易となる。
【0068】
なお、図には示さなかったが、汚物投入口16の開口方向が水平となるように、フィルム収納部14が、収納本体上部19に支持されていてもよい。この場合、管状芯部27の軸線Oが、水平に延在する。かかる場合であっても、挟み込まれたフィルム部分にテンションを掛けることができるからである。
【0069】
また、図4および図5に示すように、密閉用扉33は、略平坦な密閉用扉上面34を有する。密閉用扉上面34の詳細な形状については後述する。本実施形態の汚物処理装置11においては、密閉用扉33は、密閉用扉上面34が管状芯部27の傾斜した軸線方向に対応した所定の角度で傾斜するように、収納本体上部19に支持されている。すなわち、密閉用扉33は、閉扉した状態において、前端側が鉛直方向の低い位置となり、後端側が鉛直方向の高い位置となるように所定の角度で傾斜して収納本体上部19に支持されている。そして密閉用扉33は、密閉用扉受部35に向かって所定の角度で進退動する。密閉用扉33の進退動方向Sは、管状芯部27の軸線Oと異なる角度で傾斜している。
【0070】
具体的には、図4に示すように、鉛直方向に対する汚物投入口16(管状芯部27)の傾斜角度をθ16とし、鉛直方向に対する密閉用扉33の進退動方向Sの傾斜角度をθ33として、以下の(1)式を満足する。
【0071】
0°<θ16<θ33 ・・・・(1)
かかる本実施形態によれば、密閉用扉33の進退動方向Sの傾斜角度θ33が、汚物投入口16の傾斜角度θ16よりも大きい。これにより、密閉用扉33が開方向へ退動するに従って、密閉用扉33が、下方且つ後方へ向けて平行移動し、管状芯部27の軸線Oから遠ざかることとなる。すなわち、開扉時に密閉用扉33をフィルム15から充分に離隔させることができる。したがって、開扉時にはフィルム15が大きく開放されるため、使用者は、座った状態で汚物収納本体13に向かって汚物を容易に廃棄することができる。
【0072】
なお、図には示さなかったが、密閉用扉上面34が垂直になるように、密閉用扉33が、収納本体上部19に支持されていてもよい(θ33=90°)。この場合、密閉用扉33は、水平方向に進退動する。かかる場合であれば、開扉時に密閉用扉33をフィルム15から効果的に離隔させることができるからである。
【0073】
また、本実施形態によれば、管状芯部27の下端を取り囲むように配置されたフィルム収納部14の下端部に相当する管状芯部フランジ27fは、所定の角度で傾斜するように汚物収納本体13に支持されている。すなわち、図2〜図5に示すように、管状芯部フランジ27fの前端側が、鉛直方向の低い位置となっており、且つ後端側が、鉛直方向の高い位置となっている。そして、密閉用扉受部35の挟み込み面35cが、管状芯部フランジ27fの最も低い位置の近傍に配置されている。これにより、密閉用扉33によるフィルム15の挟み込みが、より容易となる。これについて、以下に説明する。
【0074】
フィルム収納部14に汚物投入口16から繰り出し可能に収納されているフィルム15は、管状芯部27の内部を鉛直下方へと通過して、汚物Dと共に収納本体下部17に収納されている。したがって、密閉用扉33が開扉している場合、フィルム15は、フィルム15の内部に廃棄された汚物Dの重量によって鉛直下方へと引張られるため、汚物投入口16から下方へとほぼ真直ぐに延在する。ここで、管状芯部27は、前述のように、所定の角度θ16で傾斜している。したがって、汚物投入口16の直径をLとし、汚物投入口16の水平方向に対する傾斜角をθ(=θ16)とすると、フィルム15は、汚物投入口16から下方へ真直ぐに延びている場合、少なくとも水平距離としてL(1−cosθ)だけ、前方の傾斜下方側へと自然と寄せられることとなる。このように自然と寄せられた傾斜下方側において、フィルム15が、密閉用扉33と密閉用扉受部35とによって挟み込まれている。これにより、密閉用扉33によるフィルム15の挟み込みをより容易とすることができるため、臭い遮断のための密閉をより効率的に行うことができる。
【0075】
また、本実施形態においては、前述のように、密閉用扉上面34は、略平坦となるように形成されているが、厳密には、密閉用扉上面34は、略平坦な面である上面前方部34fと、上面前方部34fに対し傾斜するよう緩やかに湾曲している上面後方部34rとから構成されている。これについて図4を用いて説明する。フィルム収納部14は、前述のように、前方において傾斜下方側となるように収納本体上部19に支持されている。さらに、密閉用扉33は、前方側すなわち傾斜下方側において密閉用扉受部35と係合してフィルムを挟み込んでいる。ここで、密閉用扉33の閉扉時においては、フィルム収納部14と上面前方部34fとの間に密閉用扉受部35の挟み込み面35cが、介在している。対して、フィルム収納部14と上面後方部34rとの間には、密閉用扉受部35の挟み込み面35cが、介在していない。このことから、密閉用扉上面34は、密閉用扉受部35と当接して汚物投入口を下方から閉塞するために、2つの異なる面(平坦面の上面前方部34fおよび傾斜面の上面後方部34r)から構成されている。
【0076】
ここで、本実施形態においては、図4に示すように、上面前方部34fと水平面との角度をθ34fとし、上面後方部34rと水平面との角度をθ34rとして、以下の(2)式を満足するように密閉用扉上面34が、形成されている。
【0077】
0°≦θ34f<θ34r ・・・・(2)
これにより、使用者が汚物を廃棄するために密閉用扉33を押し開くときに、上面後方部34rに手を掛けて押すことによって、効率的に密閉用扉33に押力を伝達させることができる。したがって、使用者は、密閉用扉33をより少ない力で開扉することができる。
【0078】
なお、本実施形態の変形例として、上面後方部34rと進退動方向Sが略直交していてもよい。かかる変形例によれば、密閉用扉33が使用者の手から受ける押力を何ら減殺することなくスプリング39へ入力することができる。したがって、使用者は、より少ない力で密閉用扉33を押し開くことができる。
【0079】
次に汚物収納本体13の開放操作について説明する。
【0080】
図9は本実施形態の本体ロック機構25および蓋体ロック機構24を示す全体斜視図であり、図10は本実施形態の汚物処理装置11を背面斜め方向からみた全体斜視図である。また図11は本体ロック機構25および蓋体ロック機構24を拡大して示す側方断面拡大図である。
【0081】
汚物処理装置11は通常の使用状態において収納本体上部19が下端側で収納本体下部17の上端の本体開口部17hを覆うようにして収納本体上部19と収納本体下部17が閉じている。収納本体上部19の上部にはフィルム取り付け部12が設けられ、フィルム収納部14が取り付けられている。
【0082】
汚物収納本体13の背面には、本体ヒンジ31が配設されている。本体ヒンジ31は、汚物処理装置11の鉛直高さの略中央に配設されている。収納本体上部19は収納本体下部17に本体ヒンジ31で枢着されており、収納本体上部19は本体ヒンジ31を支点として自由に回動することができる。収納本体上部19が回動すると収納本体下部17の上端の本体開口部17hが外界に向けて開口する。
【0083】
また、汚物収納本体13の前面には、収納本体上部19が収納本体下部17を覆った状態すなわち収納本体上部19が収納本体下部17を閉じた状態において、収納本体上部19の回動をロックする本体ロック機構25と、ロックを解除するための本体ロック解除機構とが配設されている。
【0084】
本体ロック機構25は、円柱型の本体押ボタン21と、本体押ボタン21を係止してロックするために収納本体上部19に設けられた貫通孔である押ボタン受孔32とを有する。
【0085】
本体押ボタン21は、上下方向に延びる可撓性の柱部21pの上端に形成されている。また柱部21pの下端は、収納本体下部17の上端と接続する。
【0086】
本体押ボタン21は収納本体上部19の回動の外径方向へ突き出た円柱であり、その円柱の外周縁部である押ボタン外周縁21gが、収納本体上部19の下端側に形成されている押ボタン受孔32に係合することによって、収納本体上部19の回動を防止している。
【0087】
本体ロック解除機構はロックを解除するための操作部である本体押ボタン21と、ロックを解除したのち収納本体上部19を回動して開けるために手を掛ける開放操作部とを含む。
【0088】
開放操作部として、収納本体上部19は、本体ヒンジ31が取り付けられている当該収納本体上部19の背面から離隔した反対側の前面下端部に収納本体上部把手22を有する。収納本体上部把手22は本体押ボタン21の近接下方に配設されている。
【0089】
本体ロック機構25は、本体押ボタン21が押し込まれている間のみ押ボタン受孔32との係合が外れてロックが解除される。使用者が本体押ボタン21から手を離せば、柱部21pが原位置に復帰して本体ロック機構25は再びロック状態となる。
【0090】
汚物収納本体13の内部が汚物Dで満たされると、本体ロック機構25を解除して収納本体上部19を開き、内部の汚物Dを取り出す。
【0091】
図12は本体ロック機構25の解除操作を示した斜視図である。使用者が図12に示すように片手によって親指以外の四本の指を下方から収納本体上部把手22に掛け、同時に親指によってその近接上方にある本体押ボタン21を押し込み、ロックを解除しつつ、収納本体上部把手22を持ち上げる。これにより、収納本体上部19は背面側へ回動し、汚物収納本体13が開かれる。
【0092】
図13は本実施形態の収納本体上部19が完全に回動した状態を示す側方断面図である。汚物収納本体13の内部に貯蔵されて一杯となった汚物Dを取り出して廃棄する場合には、使用者はまず図13に示したように収納本体上部19を完全に開いてフィルムカッター38によってフィルム15をカットする。次いでフィルム15のカット面を結んで閉鎖し、汚物収納本体13から取り出して汚物を廃棄する。汚物Dを取り出した後、使用者は収納本体上部19を収納本体下部17に被せる。押しボタン21は押ボタン受孔32に係合し、収納本体上部19は再びロックされる。
【0093】
本実施形態による汚物処理装置11は、収納本体上部19を開くためにロックを解除して収納本体上部19を回動させるにあたり、成人の片手のいずれかの指で収納本体上部把手22を支持しつつ、当該片手の他の指にて本体押ボタン21を押してロックを解除できるように、本体押ボタン21が収納本体上部把手22の近接上方に位置している。
【0094】
より詳細に説明すれば、四本の指を下方から収納本体上部把手22に掛けてその四本の指を支点にして手を握った時に、残る親指が人間工学的に最も自然にたどる軌道上に本体押ボタン21が位置している。
【0095】
このことが、ロックを解除して収納本体上部19を回動させて開く作業をより容易且つ快適にする。すなわち使用者が自然に手を握る動作に従ってロックを片手で解除することが可能となる。
【0096】
また、本体ロック機構25を解除して収納本体上部19を開くためには、本体押ボタン21を収納本体上部19の回動方向と略直交する内径方向へと押し込み、且つ収納本体上部把手22を持ち上げて収納本体上部19を回動させることが必要となる。
【0097】
このように、二つの異なる方向への動作を必要とすることが、開けようとする意思と知恵を持たない幼児が収納本体上部19を開くことを極めて困難とする。したがって、幼児が誤って収納本体上部19を開き、フィルム15をカットするためのフィルムカッター38に触れて怪我をする事故を防止することができる。
【0098】
これに対し、成人が開けようとする意思を持ち操作をすれば、片手にて簡単にロックを解除し収納本体上部19を開くことが可能であり、汚物収納本体13の内部に貯蔵された汚物を廃棄する場合において扱いが容易である。
【0099】
次に蓋体23の開蓋操作について説明する。
【0100】
蓋体23は、その背面側端部が収納本体上部19の上端部に蓋体ヒンジ30で枢着されており、蓋体23は蓋体ヒンジ30を支点として自由に回動することができる。蓋体23が回動して開蓋すると図1に示したように汚物投入口16が外界にむかって開放される。
【0101】
図9および図11に示すように、汚物処理装置11は、蓋体23が汚物投入口16を覆った状態、すなわち蓋体23が閉蓋した状態において、蓋体23の回動をロックする蓋体ロック機構24と、ロックを解除するための蓋体ロック解除機構を備える。
【0102】
蓋体ロック機構24は、蓋体押ボタン20と、収納本体上部19に設けられた蓋体押ボタン受部36とを有する。蓋体押ボタン20は蓋体23の前面下部に設けられている。蓋体押ボタン20の下端には、蓋体押ボタンフック20hが形成されている。蓋体押ボタンフック20hは蓋体押ボタン20と一体となって動く。
【0103】
蓋体押ボタン受部36は収納本体上部19の上端部に形成される。蓋体23が閉蓋した状態において、蓋体押ボタン受部36は蓋体押ボタンフック20hと係合する。
【0104】
蓋体ロック解除機構は、ロックを解除するための操作部である蓋体押ボタン20と、ロックを解除したのち蓋体23を回動して開蓋するために手を掛ける開放操作部とを含む。
【0105】
開放操作部として、蓋体23は当該蓋体23の前面側に蓋体把手18を有する。蓋体把手18は蓋体押ボタン20の近接上方に配置されている。
【0106】
汚物投入口16に汚物を投入する際、使用者は蓋体ロック機構24を解除して蓋体23を開く。図14は蓋体ロック機構24の解除操作を示した斜視図である。
【0107】
使用者が図14に示すように片手によって、親指以外の四本の指を上方から蓋体把手18に掛け、蓋体押ボタン20を親指によって押し込むと、蓋体押ボタンフック20hがともに押し方向へと移動して蓋体押ボタン受部36との係合が外れて、蓋体ロック機構24のロックが解除される。使用者は当該親指以外の四本の指を蓋体把手18に掛けて、当該親指にて蓋体押ボタン20を押してロックを解除しつつ、蓋体把手18を持ち上げる。これにより、蓋体23は背面側へ回動し、汚物投入口16が開かれる。
【0108】
汚物投入口16に汚物を投入した後、使用者は蓋体23を閉蓋する。蓋体押ボタンフック20hは原位置へ復帰して蓋体押ボタン受部36と再び係合し、蓋体ロック機構24はロックされる。
【0109】
蓋体ロック機構24は、蓋体押ボタン20が押し込まれている間のみ、蓋体押ボタンフック20hと蓋体押ボタン受部36との係合が解除される。つまり、使用者が蓋体押ボタン20から親指を離せば、蓋体ロック機構24は再びロック状態となる。
【0110】
したがって、蓋体ロック機構24を解除して蓋体23を開蓋するためには、蓋体押ボタン20を蓋体23の回動方向と略直交する内径方向へと押し込み、且つ蓋体把手18を持ち上げて蓋体23を回動させることが必要となる。このことが、開けようとする意思と知恵を持たない幼児が蓋体23を開蓋することを極めて困難とする。これにより、幼児が誤って蓋体23を開蓋し、中に手を入れることを防止することができる。
【0111】
しかしながら成人が開けようとする意思を持ち操作をすれば、片手にて簡単にロックを解除し蓋体23を開蓋することが可能であり、汚物投入口16に汚物を廃棄する場合において扱いが容易である。
【0112】
さらに、本実施形態によれば、使用者が図14に示すように片手によって親指以外の四本の指を上方から蓋体把手18に掛け、同時に親指によって蓋体把手18の近接下方にある蓋体押ボタン20を押し込むことができる。すなわち操作する人が自然に手を握る動作に従ってロックを解除することが可能となる。
【0113】
より詳細に説明すれば、四本の指を上方から蓋体把手18に掛けてその四本の指を支点にして手を握った時に、残る親指が人間工学的に最も自然にたどる軌道上に蓋体押ボタン20が位置している。このことが、ロックを解除して蓋体23を回動させて開蓋する作業をより容易且つ快適にする。
【0114】
次に、本発明の他の実施形態にかかる汚物処理装置41について図15〜図17を用いて説明する。図15は、本発明の他の実施形態にかかる汚物処理装置41において、密閉用扉53の閉扉時の側方断面図を示す。図16は、本発明の他の実施形態にかかる汚物処理装置41において、密閉用扉53の開扉時の側方断面図を示す。図17は、図16に示す密閉機構48を下方斜め方向から見た斜視図を示す。なお、以下の説明において、図1〜図14を用いて説明した実施形態と同様の構成部材に関しては、図1〜図14と同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0115】
図15〜図17を参照して、汚物処理装置41は、汚物Dが投入される汚物投入口16と、汚物投入口16から下方へ延び下端が結び目26によって閉じられている円筒型のフィルム15と、汚物投入口16から投入された汚物Dをフィルム15とともに受け入れる汚物収納本体43と、上方から汚物投入口16に被さる蓋体23とを備える。
【0116】
汚物収納本体43は、フィルム15の内部に廃棄される汚物Dを貯蔵する中空の容器であり、収納本体下部47と収納本体上部49とに分割されている。収納本体下部47は、下端側に底部47bを有する。そして、底部47bの前方側において、斜面部42が、設けられている。斜面部42は、前方側から後方側に向けて鉛直方向高さが降下する傾斜面を形成するように、底部47bに設けられている。収納本体下部47の上端側には、開口部が形成されている。収納本体上部49は、下端側で収納本体下部47の上端の開口部を覆っている。そして、収納本体上部49の上端部に、汚物投入口16が形成されている。
【0117】
収納本体上部49の上端後方部において、筒状柱部44が設けられている。筒状柱部44は、収納本体上部49の上端部から鉛直下方へ延びる中空の柱部である。そして、筒状柱部44の下端部に、前述のフィルムカッター38が取り付けられている。ここで、図15〜図16に示すように、筒状柱部44の下端部に取り付けられているフィルムカッター38の鉛直方向高さの位置が、本体ヒンジ31と同等または本体ヒンジ31より下方となるように、筒状柱部44の鉛直方向長さが設定される。この構成について以下に簡単に説明する。
【0118】
前述の図13を用いて説明したように、汚物収納本体43の内部に貯蔵されて一杯となった汚物Dを廃棄する場合、使用者は、まず収納本体上部49を完全に開き、汚物処理装置41を図13に示すような状態とする。そして、フィルムカッター38によってフィルム15をカットする。ここで、筒状柱部44の鉛直方向長さが上記した長さに満たない場合、収納本体上部49を開いた状態において、フィルムカッター38が、収納本体上部49の内部の空間内に収まってしまうこととなる。これにより、使用者は、フィルム15をカットする作業が困難となる。したがって、収納本体上部49を開いた状態において、フィルムカッター38の位置が収納本体上部49の外部に突出するように、筒状柱部44の鉛直方向長さが上記のように設定される。なお、収納本体下部47および収納本体上部49に関して、斜面部42および筒状柱部44以外の構成については、前述の実施形態と同様である。
【0119】
収納本体上部49の内部には、前述の実施形態と同様に、汚物投入口16と貯蔵された汚物Dとの間でフィルム15を挟み込んで遮断する開閉式の密閉機構48が設けられている。密閉機構48は、収納本体上部49の上方に設けられたフィルム取り付け部12の下方に連結する密閉用扉受部55と、密閉用扉受部55の下方に位置し、密閉用扉受部55と係合することによってフィルム挟み込み部分を形成する密閉用扉53とを有する。密閉用扉受部55は、フィルム取り付け部12の下方において管状芯部27の内径面に沿うように設けられた環状部材である。また、密閉用扉53は、密閉用扉受部55の中心孔よりも大きな板状部材であって、密閉用扉受部55の中心孔を下方から覆っている。
【0120】
本実施形態においては、密閉用扉53は、前端部に密閉用扉受部55とのフィルム挟み込み部分が形成され、後端部において密閉機構ヒンジ45を支点として密閉用扉受部55に枢支されている。すなわち、密閉用扉53の開閉動作が、回動によって実現されている。図15に示すように、密閉用扉53は、閉扉した状態において密閉用扉受部55と係合してフィルム15を挟み込む。前述の実施形態と同様に、これにより臭いが伝達する要因となる残留通気経路が、遮断される。密閉用扉53と密閉用扉受部55とによって形成されるフィルム挟み込み部分について、以下に説明する。
【0121】
密閉用扉53および密閉用扉受部55のフィルム挟み込み部分は、階段状の凹凸形状を含み、密閉用扉53は、閉扉位置で密閉用扉受部55と係合する。具体的には、密閉用扉53のフィルム挟み込み部分に、フィルム15と当接する挟み込み面53cが、形成される。対する密閉用扉受部55のフィルム挟み込み部分には、フィルム15と当接する挟み込み面55cが、形成される。
【0122】
密閉用扉53に形成される挟み込み面53cは、密閉用扉53の上面の前端領域に相当する面53cと、面53cの前端において面53cと略直角に接続して下方へと延び、密閉用扉53の前端部全幅に亘って円弧面を形成する面53cと、面53cの下端において面53cと略直角に接続して前方側へと延び、面53cと略直角の角部を形成する面53cとから構成される。
【0123】
また、密閉用扉受部55に形成される挟み込み面55cは、フィルム挟み込み部分の上端において軸線Oと略直交するように設けられ、閉扉時に面53cと略平行となる面55cと、面55cの前端において面55cと略直角に接続して下方へと延び、閉扉時に面53cと略平行となるような円弧面を形成する面55cと、面55cの下端において面55cと略直角に接続して前方側へと延び、閉扉時に面53cと略平行となる面55cとから構成される。
【0124】
密閉機構48は、密閉用扉53を閉方向へ向けて付勢するスプリング69と、スプリング69を覆うスプリングカバー46をさらに有する。スプリング69は、延在方向に伸縮可能である一本の引張コイルばねであり、スプリング69の両端が、密閉用扉受部55の左右両側縁にそれぞれ連結されている。そして、スプリング69の中央領域が、密閉用扉53の下面に設けられたスプリングガイド63に収容されている。スプリングガイド63は、密閉用扉53の下面に形成された溝である。また、スプリングガイド63は、密閉用扉53の下面の前後方向中央部において、左右方向に沿って密閉用扉53の下面の全幅に亘って連なるように設けられている。
【0125】
このように、本実施形態においては、スプリング69が、一本の引張コイルばねによって構成されており、且つスプリング69の中央領域が、密閉用扉53の下面に設けられたスプリングガイド63に収容されるように密閉用扉53の下面に張り渡されている。これにより、密閉用扉53は、スプリング69によって左右略均等に安定して付勢される。これについて以下に説明する。
【0126】
スプリング69は、常態において、スプリング69の両端が連結している密閉用扉受部55の左右両側縁を支点とし、密閉用扉53の下面中央部の左右方向に沿った全幅に亘る領域を力点として密閉用扉53を閉方向へ向けて付勢する。ここで、スプリング69は、一本の引張コイルばねによって構成されている。したがって、スプリング69は、密閉用扉53の下面に、左右対称となる略均等な弾性力を負荷することとなる。さらに、スプリング69は、スプリングガイド63に係止されているため、密閉用扉53の下面の所定の位置に安定して固定されている。これらの構成によって、密閉用扉53は、密閉用扉受部55へ向けて左右略均等に安定して付勢される。すなわち、密閉用扉53および密閉用扉受部55のフィルム挟み込み部分における圧接力の分布は、略均等となる。
【0127】
密閉機構48には、左右二つのスプリングカバー46が、取り付けられている。スプリングカバー46は、密閉用扉53から密閉用扉受部55まで延びる断面C字状部材であり、スプリング69の両側部を収容する。スプリングカバー46の上端は、スプリング69と密閉用扉受部55との連結部付近に設けられたヒンジ50を支点として、密閉用扉受部55に枢支されている。スプリングカバー46には、密閉用扉53と対向する側面に、当該側面からスプリングカバー46の内方へ窪んだ溝状凹部51が設けられている。溝状凹部51は、スプリングカバー46の上端部から下端部に亘って延在する溝である。溝状凹部51は、密閉用扉53の側縁に向かって開口する。溝の両側壁には、レール状の爪部56が設けられている。爪部56は、スプリングカバー46の上端部から下端部まで延在する。爪部56は、密閉用扉53の側縁中央部から外側に向けて突出するように設けられた鉤部(図示せず)と係合している。
【0128】
ここで、爪部56と密閉用扉53の鉤部とは、互いにスプリングカバー46の延在方向に沿って相対摺動可能に係合している。これにより、密閉用扉53が開閉動作をした場合、密閉用扉53がスプリングカバー46の延在方向に沿って摺動する。また、前述のようにスプリングカバー46は、密閉用扉受部55に枢支されている。したがって、スプリングカバー46は、密閉用扉53の開閉動作に伴って密閉用扉53とスプリングカバー46との係合部が辿る円弧状の軌跡に追従するように円滑に回動することができる。さらに、スプリングカバー46は、スプリングカバー46に設けられた溝状凹部51にスプリング69を内包するように、密閉用扉53および密閉用扉受部55の左右側縁にそれぞれ配置されている。これらの構成によって、スプリング69は、密閉用扉53の開閉動作に関わらず、常に溝状凹部51に収容されることとなる。
【0129】
次に、図15〜図17を用いて、本発明の他の実施形態にかかる汚物処理装置41の内部に汚物Dを廃棄する方法について説明する。汚物を廃棄する場合、使用者は、まず蓋体23を開き、汚物投入口16からフィルム15の内部に汚物Dを投入する。そして、汚物投入口16内に手を入れ、フィルム15を汚物Dとともに押し下げて密閉用扉53を下方へ向けて押し開く。すると、密閉用扉53が、密閉機構ヒンジ45を支点として図16中の矢印Aに示す円弧軌道を辿るように回動し、密閉用扉53が開扉する。使用者によって下方へ押し込まれた汚物Dは、フィルム15とともに開扉した密閉用扉53と密閉用扉受部55との間を通過する。密閉用扉53および密閉用扉受部55を通過した汚物Dは、図16中の矢印Bに示すようにフィルム15を伝って下方へ落下し、収納本体下部47の内部に蓄積される。
【0130】
ここで、前述のように、収納本体下部47の底部47bの前方側において、斜面部42が設けられている。したがって、図16に示すように収納本体下部47の内部に汚物Dが廃棄されると、廃棄された汚物Dの落下位置に相当する領域に設けられた斜面部42によって、図16中の矢印Cに示すように、汚物Dが、収納本体下部47の後方側に向けて滑り落ちる。これにより、廃棄された汚物Dが、収納本体下部47の前方領域に集中することを防ぎ、汚物Dを収納本体下部47の内部に万遍なく蓄積させることができる。
【0131】
汚物Dを収納本体下部47の内部に廃棄した後、使用者は、汚物投入口16から手を抜く。すると、密閉用扉53が直ちに閉扉してフィルム15を挟み込む。密閉用扉53および密閉用扉受部55によって挟み込まれたフィルム15は、前述の図6と同様に、フィルム挟み込み部分に形成された二箇所の角部において略直角に屈曲される。すなわち、フィルム挟み込み部分の上端から下端までを結ぶ仮想直線が、フィルム挟み込み部分において略水平方向に屈曲される。これにより、臭いの伝達する要因となる残留通気経路が直角に遮断され、臭いの伝達を効果的に遮断することができる。
【0132】
また、本実施形態にかかる汚物処理装置41においては、密閉用扉53の開閉動作が、密閉機構ヒンジ45を支点とした回動によって実現されている。したがって、使用者が汚物Dを汚物収納本体43の内部へ押し込む場合に、容易に密閉用扉53を開扉させることができるため、廃棄作業がより容易となる。
【0133】
また、本実施形態にかかる汚物処理装置41に備えられている密閉機構48は、前述のように、スプリング69を覆うスプリングカバー46をさらに有する。そして、スプリング69は、密閉用扉53の開閉動作に関わらず、スプリングカバー46に設けられた溝状凹部51に常に収容されている。この構成によって、使用者が汚物廃棄のために密閉用扉53を開閉させた場合において、フィルム15が密閉用扉53の左右両側面に配置されたスプリング69に巻き込まれて破損することを防ぐことができる。また、スプリングカバー46によって、収容されているスプリング69の両側部が、溝状凹部51の内部に常に位置するようにガイドされる。これにより、密閉用扉53の下面に前述のスプリングガイド63を設けない場合においても、スプリング69が密閉用扉53から脱落することを防ぐことができる。
【0134】
なお、本実施形態においては、密閉用扉53および密閉用扉受部55のフィルム挟み込み部分に相当する挟み込み面53cおよび挟み込み面55cが、互いに略直角に交わる平面および円弧面から構成された場合について説明したが、これに限らず、各面が互いに鋭角または鈍角等の所定の角度で交わっていてもよい。また、挟み込み面53cおよび挟み込み面55cを形成する面が、複数の平面または複数の曲面または平面および曲面からなる面を有するように、密閉用扉53および密閉用扉受部55が構成されてもよい。
【0135】
また、本実施形態においては、密閉用扉53を閉方向へ向けて付勢する弾性部材を一本の引張コイルばねであるスプリング69によって構成したが、これに限らず、如何なる種類のばねを用いてもよいし、複数本のばねを用いてもよい。また、弾性部材としてゴム系材料または樹脂系材料またはそれらを混合させたものを用いてもよい。さらに、密閉用扉53および密閉用扉受部55に永久磁石または電磁石を組み込むことによって、磁力を用いて密閉用扉53を閉方向へ向けて付勢してもよい。
【0136】
次に、図18〜図21を用いて、本発明の他の実施形態にかかる汚物処理装置41に用いられるフィルム収納カセット54について説明する。図18は、本発明の他の実施形態にかかるフィルム収納カセット54を示す斜視図である。図19は、図18に示すフィルム収納カセット54からフィルム15を除いた状態を示す斜視図である。図20は、図19に示した状態のフィルム収納カセット54を側方から見た側方図である。図21は、図19に示した状態のフィルム収納カセット54を管状芯部57の軸線Oの上方向から見た上面図を示す。
【0137】
汚物処理装置41は、汚物投入口16を形成するとともにフィルム15を収納するフィルム収納カセット54を備える。フィルム収納部を構成するフィルム収納カセット54は、汚物投入口16を区画する円筒形状の管状芯部57と、管状芯部57の下端部から外径方向へ延出する管状芯部フランジ57fと、管状芯部57の上端部から外径方向へ延出するフランジ形状のフィルム抑えフランジ59とを有する。
【0138】
フィルム15は、図18に示すように、管状芯部57の上端に位置するフィルム抑えフランジ59と、管状芯部57の下端に位置する管状芯部フランジ57fとによって、管状芯部57の軸方向上端と軸方向下端との間の空間に蛇腹状に折りたたまれて収納されている。したがって、長尺なフィルム15をこれら管状芯部フランジ57fおよびフィルム抑えフランジ59の間に圧縮して収納することができる。ここで、フィルム抑えフランジ59の径方向寸法は、管状芯部フランジ57fよりも相対的に小さい。これにより、フィルム15をフィルム抑えフランジ59の外縁部を乗り越えて繰り出すことが可能となり、フィルム15を管状芯部57に形成された汚物投入口16を通過して下方に延伸させることができる。
【0139】
本実施形態においては、管状芯部フランジ57fの外縁部に、管状芯部フランジ57fの軸線O方向に亘って貫通する切り欠き58が、設けられている。図21に示すように、切り欠き58は、軸線Oを基準として、円周方向に略120°の間隔で配列するように管状芯部フランジ57fにそれぞれ設けられている。また、これら3箇所に設けられた切り欠き58は、軸線Oを基準とした略回転対象の形状となるように管状芯部フランジ57fに設けられている。
【0140】
管状芯部フランジ57fの上面60および下面64は、互いに略平行な平面を形成している。そして、上面60側において、リブ61が設けられている。リブ61は、上面60における所定の円径方向位置において、軸線Oを中心として円周方向に連なって延びる周方向リブ61aと、管状芯部57の外周面から周方向リブ61aへ向けて径方向に沿って放射状に延び、且つ円周方向に略等配に配列するように設けられた複数の径方向リブ61bと、周方向リブ61aから管状芯部フランジ57fの外縁へ向けて径方向に沿って放射状に延びる係合用リブ61c、61cとから構成されている。
【0141】
係合用リブ61c、61cは、図21に示すように、軸線Oを基準として、円周方向に略60°の間隔で配列するように、管状芯部フランジ57fの上面60上に略等配に設けられている。ここで、係合用リブ61cは、切り欠き58における円周方向一端側に相当する位置に配置されている。すなわち、本実施形態においては、3個の係合用リブ61cが、軸線Oの上方向から見て、切り欠き58の右回り方向側の端部に設けられている。そして、各3個計6個の係合用リブ61c、61cが、円周方向に略60°の間隔で略等配に配列している。
【0142】
次に、図15〜図22を用いて、本発明の他の実施形態にかかる汚物処理装置41に、フィルム収納カセット54を取り付ける方法について説明する。図22は、本発明の他の実施形態にかかる汚物処理装置41からフィルム収納カセット54を取り外した状態を軸線Oの上方向から見た外観図である。なお、図22中の軸線Oは、フィルム収納カセット54が汚物処理装置41に取り付けられた場合の管状芯部57の中心軸線を表しており、フィルム取り付け部12の内周面12aの中心軸線と略一致する。図22中の軸線Oは、紙面表裏方向に延びる線である。
【0143】
前述のように、収納本体上部49の上方には、フィルム収納カセット54が取り付けられる空間を形成するフィルム取り付け部12が、設けられている。フィルム取り付け部12は、フィルム収納カセット54が取り付けられた場合にフィルム収納カセット54の側部と対向する取り付け部内周面12aと、フィルム収納カセット54が取り付けられた場合に管状芯部フランジ57fの下面64と当接する平面である取り付け部底面12bとを含む。ここで、図15に示すように、フィルム収納カセット54が取り付けられた場合、取り付け部内周面12aの軸線Oは、管状芯部57の軸線Oと略一致する。また、取り付け部底面12bの中心部には、汚物投入口16を形成する管状芯部57の内周面と連通するように、円形の開口部12hが、軸線Oを中心として設けられている。そして、密閉用扉53が、図22に示す閉扉時においては、開口部12hを下方から覆うように閉塞している。
【0144】
取り付け部内周面12aにおける取り付け部底面12bから軸線Oの上方向の所定の高さの位置に、取り付け部内周面12aから内径方向に向けて突出する爪部62が、設けられている。本実施形態においては、3個の爪部62が、軸線Oを基準として、円周方向に略120°の間隔で配列するように、取り付け部内周面12a上に設けられている。また、これら3箇所に設けられた爪部62は、軸線Oを基準とした略回転対称の形状を有する。ここで、爪部62の円周方向の幅が前述の切り欠き58の円周方向の幅より小さくなるように、爪部62が形成される。この構成については、後述する。
【0145】
フィルム収納カセット54を汚物処理装置41に取り付ける場合、使用者は、管状芯部フランジ57fを下方としてフィルム収納カセット54をフィルム取り付け部12の内部へ配置するとともに、取り付け部内周面12aに設けられた爪部62の位置と、管状芯部フランジ57fの外縁部に設けられた切り欠き58の位置とを一致させる。そして、フィルム収納カセット54を取り付け部底面12bへ向けて押し入れる。すると、前述のように、爪部62の円周方向の幅が切り欠き58の円周方向の幅より小さいため、爪部62が切り欠き58を通過し、管状芯部フランジ57fの下面64と、取り付け部底面12bとが当接する。
【0146】
次いで、使用者は、フィルム収納カセット54を、軸線Oの上方向から見て、円周方向の右回り方向へと回転させる。すると、爪部62と取り付け部底面12bとの間の空間に、管状芯部フランジ57fの外縁部が入り込む。そして、爪部62と係合用リブ61cとが当接し、フィルム収納カセット54の回転が規制されるまで、フィルム収納カセット54を回転させる。このようにして、フィルム収納カセット54が、汚物処理装置41に取り付けられる。
【0147】
フィルム収納カセット54が汚物処理装置41に取り付けられている状態においては、汚物処理装置41に設けられた爪部62と、管状芯部フランジ57fの外縁部とが係合する。これにより、フィルム収納カセット54がフィルム取り付け部12内から飛び出ることを防ぐ。すなわち、本実施形態にかかるフィルム収納カセット54は、汚物処理装置41へ取り付けるための連結機構を備えており、当該連結機構が、汚物処理装置41に設けられた爪部62と係合する管状芯部フランジ57fの外縁部と、フィルム収納カセット54の連結/解除を導入するための切り欠き58とによって構成されている。かかる実施形態によれば、図13に示すように収納本体上部49を開いた状態において、フィルム収納カセット54が脱落することを防ぐことができる。
【0148】
フィルム収納カセット54を汚物処理装置41から取り外す場合、使用者は、フィルム収納カセット54を、軸線Oの上方向から見て円周方向の左回り方向へと回転させる。すると、爪部62と係合用リブ61cとが当接し、フィルム収納カセット54の回転が規制される。ここで、前述のように、係合用リブ61cは、切り欠き58の右回り方向側の端部に設けられているため、爪部62と係合用リブ61cとが当接すると同時に、爪部62の位置と切り欠き58の位置とが、略一致する。したがって、フィルム収納カセット54をフィルム取り付け部12内から引き上げて取り外すことが可能となる。
【0149】
このような構成を備えるフィルム収納カセット54および汚物処理装置41は、フィルム収納カセット54を交換/セットする作業を容易とすることができる。すなわち、フィルム収納カセット54の連結/解除を行う場合、使用者は、前述のように、フィルム収納カセット54をフィルム取り付け部12内に設置し、回転させるだけでよい。したがって、使用者は、消耗品であるフィルム15が全て使用された場合に、簡単な操作によってフィルム収納カセット54を交換し、且つ新規のフィルム収納カセット54を簡単な操作によって再度セットすることが可能となる。また、このように簡単な構成によってフィルム収納カセット54と汚物処理装置41との連結機構を実現していることから、使用者が、取り扱い説明書等に記載の操作手順を参照することなく、フィルム収納カセット54の取り付け/取り外し方法を容易に理解することができる。
【0150】
なお、本実施形態においては、フィルム収納カセット54を汚物処理装置41へ取り付けるための連結機構を、汚物処理装置41に設けられた爪部62と係合する管状芯部フランジ57fの外縁部と、フィルム収納カセット54の連結/解除を導入するための切り欠き58とによって構成したが、これに限らず、フィルム収納カセット54および/または汚物処理装置41に取り付けられた如何なる種類の連結部材によって連結機構を構成してもよい。または、フィルム収納カセット54を汚物処理装置41へ連結/係合させることなく、フィルム収納カセット54をフィルム取り付け部12内に載置するのみの構成であってもよい。
【0151】
また、本実施形態においては、フィルム収納カセット54を汚物処理装置41に用いる場合についてのみ説明したが、これに限らず、フィルム収納カセット54が、独立した完成部材として、適用可能である他の汚物処理装置に用いられてもよい。
【0152】
また、さらに他の実施形態として、汚物処理装置は、収納本体下部の底部中央部に回転可能に取り付けられた回転板をさらに備え、汚物処理装置に廃棄された汚物がフィルムとともに回転板によって下方から支持される構成であってもよい。この構成によれば、使用者が汚物処理装置内に汚物を廃棄していくと、廃棄された汚物は、フィルムとともに収納本体下部の底部に位置する回転板の上に蓄積していくこととなる。そして、汚物収納本体の内部に貯蔵されて一杯となった汚物を廃棄する場合に、使用者は、回転板を回転させることによって汚物と汚物投入口との間の領域においてフィルムを捩り、捩られて圧縮されているフィルムの捩り部分を上記フィルムカッターを用いてカットし、フィルム内に収容されている汚物をフィルムとともに汚物収納本体から取り出すことができる。これにより、汚物収納本体内に一杯となった汚物を汚物収納本体から取り出す場合において、使用者がフィルムカッターを用いてフィルムをカットする作業を容易とすることができる。さらに、汚物の取り出し作業中にフィルム内に収容された汚物の臭いが、外部へと漏れることを防ぐことができる。
【0153】
また、さらに他の実施形態として、汚物処理装置は、上記フィルムカッターの近傍に取り付けられた粘着テープ収納部をさらに備えていてもよい。この構成によれば、汚物収納本体の内部に貯蔵されて一杯となった汚物を廃棄する場合に、使用者は、フィルムカッターによってフィルムをカットするとともに、カットされたフィルムの開口部をテープ収納部に収納されているテープによって密閉することができる。したがって、使用者が汚物収納本体内に一杯となった汚物を汚物収納本体から取り出す場合において、フィルムに収容された汚物から臭いが漏れることを防ぐことができる。なお、上記粘着テープ収納部およびフィルムカッターは、使用者がフィルムのカットと同時にテープによるフィルム開口部の密閉を行うことができるように、汚物収納本体に一体的に取り付けられている構成であってもよい。この構成によれば、使用者は、フィルムのカットとフィルムの開口部の密閉を同時に行うことができるため、汚物取り出し作業を容易且つ迅速に行うことができる。
【0154】
以上、図面を参照して本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明は密閉性の高い汚物処理装置を提供するものであって、例えば幼児用おむつ処理装置といった工業製品への幅広い応用が期待できる。
【符号の説明】
【0156】
11,41 汚物処理装置、12 フィルム取り付け部、12a 取り付け部内周面、12b 取り付け部底面、12h 開口部、13,43 汚物収納本体、14 フィルム収納部、15 フィルム、16 汚物投入口、17,47 収納本体下部、17b,47b 底部、17h 本体開口部、18 蓋体把手、19,49 収納本体上部、20 蓋体押ボタン、20h 蓋体押ボタンフック、21 本体押ボタン、21g 押ボタン外周縁、21p 柱部、22 収納本体上部把手、23 蓋体、24 蓋体ロック機構、25 本体ロック機構、26 結び目、27,57 管状芯部、27f,57f 管状芯部フランジ、28,48 密閉機構、29 フィルム抑えフランジ、30 蓋体ヒンジ、31 本体ヒンジ、32 押ボタン受孔、33,53 密閉用扉、33c,35c,53c,55c 挟み込み面、34 密閉用扉上面、34f 上面前方部、34r 上面後方部、35,55 密閉用扉受部、36 蓋体押ボタン受部、37 ガイドレール、38 フィルムカッター、39,69 スプリング、42 斜面部、44 筒状柱部、45 密閉機構ヒンジ、46 スプリングカバー、50 ヒンジ、51 溝状凹部、54 フィルム収納カセット、56,62 爪部、58 切り欠き、60 上面、61 リブ、61a 周方向リブ、61b 径方向リブ、61c,61c 係合用リブ、63 スプリングガイド、64 下面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に汚物投入口を形成する管状芯部を有し、この管状芯部を取り囲むように円筒状に圧縮したフィルムを収容するフィルム収納部と、
前記フィルム収納部を上部に配し、前記汚物投入口内に繰り出された前記フィルム内に投入された汚物を前記フィルムとともに受け入れる汚物収納本体と、
前記フィルム収納部と前記汚物収納本体との間で前記フィルムを挟み込んで上下の空間を遮断する開閉式の密閉機構とを備え、
前記密閉機構は、開閉可能な密閉用扉と、閉扉位置の前記密閉用扉とともに前記フィルムを挟み込む密閉用扉受部とを有し、
前記密閉用扉および前記密閉用扉受部のフィルム挟み込み部分が、挟み込まれるフィルム部分の上下方向中間部を、挟み込まれるフィルム部分の上端と下端とを結ぶ仮想直線に対し側方へ屈曲させる凹凸形状を含む、汚物処理装置。
【請求項2】
閉扉して互いに係合する前記密閉用扉および前記密閉用扉受部の凹凸形状は、それぞれ複数の面から構成されている、請求項1に記載の汚物処理装置。
【請求項3】
前記凹凸形状を構成する複数の面のうち、少なくとも二つの面が、略直角に接続し角部を形成している、請求項2に記載の汚物処理装置。
【請求項4】
前記密閉用扉は、前記密閉用扉の前端部に前記凹凸形状が形成され、後端部において前記汚物収納本体または前記密閉用扉受部に枢支されている、請求項1〜3のいずれかに記載の汚物処理装置。
【請求項5】
前記密閉機構は、前記密閉用扉を閉方向へ向けて付勢する弾性部材をさらに有する、請求項1〜4のいずれかに記載の汚物処理装置。
【請求項6】
前記弾性部材は、延在方向に伸縮可能な一本の弾性材料であり、
前記弾性部材の両端が、前記密閉用扉受部の左右両側縁にそれぞれ連結され、前記弾性部材の中央領域が、前記密閉用扉の下面に張り渡される、請求項5に記載の汚物処理装置。
【請求項7】
前記密閉用扉は、前記密閉用扉の下面に、前記弾性部材の中央領域を保持する弾性部材ガイドを含む、請求項6に記載の汚物処理装置。
【請求項8】
前記密閉機構は、上端側が前記密閉用扉受部の左側縁に係止するとともに下端側が前記密閉用扉の左側縁に係止して前記弾性部材の左側端部を収容する左側弾性部材カバーと、
上端側が前記密閉用扉受部の右側縁に係止するとともに下端側が前記密閉用扉の右側縁に係止して前記弾性部材の右側端部を収容する右側弾性部材カバーとをさらに有し、
これら弾性部材カバーは、前記密閉用扉の左右側縁に係止したまま前記密閉用扉の開閉に追従する、請求項6または7に記載の汚物処理装置。
【請求項9】
前記フィルム収納部は、前記管状芯部の軸線が所定の角度で傾斜するように、前記汚物収納本体に支持されている、請求項1〜8のいずれかに記載の汚物処理装置。
【請求項10】
前記管状芯部の下端を取り囲む前記フィルム収納部の下端部は、前記所定の角度で傾斜して支持されて前端側で鉛直方向の低い位置に、且つ後端側で鉛直方向の高い位置にされ、
前記密閉用扉受部の凹凸形状は、前記フィルム収納部の下端部の最も低い位置の近傍に配置される請求項9に記載の汚物処理装置。
【請求項11】
前記密閉用扉は、閉扉位置で所定の角度で傾斜して支持されて前端側で鉛直方向の低い位置に、且つ後端側で鉛直方向の高い位置にされる、請求項1〜10のいずれかに記載の汚物処理装置。
【請求項12】
前記密閉用扉および前記密閉用扉受部の前記フィルム挟み込み部分は、前記汚物収納本体の前方側に形成され、
前記汚物収納本体は、内側底面の前方領域において、前方側から後方側に向けて鉛直方向高さが降下する傾斜面を有する、請求項1〜11のいずれかに記載の汚物処理装置。
【請求項13】
前記フィルム収納部は、
前記管状芯部と、
前記管状芯部の下端部から外径方向へ延出する管状芯部フランジと、
前記管状芯部の上端部から外径方向へ延出し、前記管状芯部フランジとの間に前記フィルムを圧縮した状態で収容するとともに、当該フィルムがその外縁部を乗り越えて前記管状芯部へ繰り出すことを許容するフィルム抑えフランジとを有し、前記汚物収納本体上部に着脱可能に取り付けられるフィルム収納カセットである、請求項1〜12のいずれかに記載の汚物処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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