説明

河川における取水装置

【課題】長期間にわたってメンテナンス等を介さずに河川水を飲料水として貯水することが可能な河川における取水装置を提供する。
【解決手段】河川底4に埋設される貯水槽7と、貯水槽7の周囲に設けられるとともに、河川水を浸透させることで河川水から濾物を分離して濾過する濾過部5と、濾過部5で濾過された河川水を貯水槽7に貯水する集水部10,14と、集水部10,14から貯水槽7への河川水の流れの開閉を行う弁体12,16と、弁体12,16の開閉制御を行う制御部と、を備え、制御部が弁体12,16を閉塞することで、濾過部5にて、河川水から分離した濾物を濾過部5から剥離させる逆洗作用を生じさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川底に埋設される貯水槽と、貯水槽の周囲に設けられるとともに、河川水を浸透させることで河川水から濾物を分離して濾過する濾過部と、濾過部で濾過された河川水を貯水槽に貯水する集水部と、集水部の開閉を行う弁体と、弁体の開閉制御を行う制御部と、を備え、河川から工業用水や飲料用水として取水する取水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料水用のダムの湖底に着底される隔壁筒体を有し、この隔壁筒体の内部にて掘削具によりダムの湖底に堆積した土砂を掘削することで、隔壁筒体内にて土砂と水を混合させ、コンプレッサーから送気管を介して隔壁筒体内に気体を送気することで、この気体の浮上力を利用して隔壁筒体内から土砂と水とを回収し、ダム内の水の水質を下げることなくダムの貯水量を回復可能としている土砂回収装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−183206号公報(第4頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の土砂回収装置にあっては、ダムの湖底の土砂を回収するための設備が大掛かりなため、土砂の回収を行う毎に設備の設置及び撤去に多大なコストがかかってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、長期間にわたってメンテナンス等を介さずに河川水を飲料水として貯水することが可能な河川における取水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の河川における取水装置は、
河川底に埋設される貯水槽と、該貯水槽の周囲に設けられるとともに、河川水を浸透させることで河川水から濾物を分離して濾過する濾過部と、該濾過部で濾過された河川水を前記貯水槽に貯水する集水部と、前記集水部から前記貯水槽への河川水の流れの開閉を行う弁体と、該弁体の開閉制御を行う制御部と、を備え、
前記制御部が前記弁体を閉塞することで、前記濾過部にて、河川水から分離した濾物を前記濾過部から剥離させる逆洗作用を生じさせることを特徴としている。
この特徴によれば、河川水を濾過部にて濾過することで濾過部に濾物が残留しても、制御部が弁体を閉塞させて貯水槽への河川水の貯水を停止することで、逆洗作用として濾過部から河川水を濾物とともに噴出させ、噴出した濾物を河川の水流によって河川の下流に流すことができるので、濾過部における河川水の濾過能力をメンテナンス等によらず回復させ、貯水槽を長期間にわたってメンテナンス等を介さずに使用することができる。
【0007】
本発明の河川における取水装置は、
前記河川における前記貯水槽よりも上流側に河川水の水質を検知する検知部を備え、前記制御部は、前記検知部で検知されている河川水の水質が許容基準値を超えると前記弁体を閉塞することを特徴としている。
この特徴によれば、制御部は、河川の上流から流れてくる河川水の水質が許容基準値を越えていることを検知部から検知することで貯水槽内に水質が許容基準値を超えた河川水が侵入しないよう弁体を閉塞し、河川の水流によってこれら水質が許容基準値を超えた河川水を下流に流すことで、貯水槽に集水される河川水の水質を一定基準に保つことができる。
【0008】
本発明の河川における取水装置は、
前記集水部は、前記貯水槽の上部に配置された第1集水部と、前記貯水槽の側部に配置された第2集水部と、から構成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、第1集水部による貯水槽の上方で濾過された河川水のみならず、第2集水部による貯水槽の側方で濾過された河川水も集水することで、貯水槽に効率的に河川水を貯水することができる。
【0009】
本発明の河川における取水装置は、
前記濾過部は、上部の砂層及び下部の砂利層とから構成され、河川水は、前記濾過部の下部に配置された多数の細孔を介して前記貯水槽に貯水されることを特徴としている。
この特徴によれば、濾過部の砂層及び砂利層、そして集水部における細孔の3段階の濾過により水質のよい河川水を貯水槽に貯水することができる。
【0010】
本発明の河川における取水装置は、
前記貯水槽は、河川に設けられたダムよりも上流側で埋設されていることを特徴としている。
この特徴によれば、土砂等が混じった状態でダムに貯水されている河川水を貯水槽に貯水することが無いので、より確実に水質のよい河川水を貯水槽に貯水することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例において河川における貯水槽とダムとの位置関係を示す側面概略図である。
【図2】河川における貯水槽とダムとの位置関係を示す平面概略図である。
【図3】貯水槽及び濾過部を示す側面断面図である。
【図4】図3における貯水槽及び濾過部のA−A断面図である。
【図5】取水装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る河川における取水装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0013】
実施例に係る河川における取水装置につき、図1から図5を参照して説明する。以下、図1及び図2の紙面左側を河川の上流側として説明する。図1の符号1は、河川2の所定箇所に設けられたダム1である。このダム1は、河川2を堰き止めることでダム湖3を形成しており、ダム湖3には河川水が貯水されている。このダム湖3に貯水されている河川水は、長年に亘って湖底に流木や泥等が堆積し、クリプト藻等の藻類が繁殖しているため、飲料水として用いるには問題のある水質となっている。
【0014】
一方、図1及び図2に示すように、河川2におけるダム湖3よりも上流側の河川底4(図3参照)には、ダム湖3よりも上流側を流れる水質の良い河川水を浸透させて濾過するための濾過部5が設けられている。具体的には、この濾過部5は、粒の細かい砂で構成された洗砂層5bと、この洗砂層5bの砂粒が河川2の水流によって流されないように砂粒を自然石によって抑えつける自然石層5aと、洗砂層5bの下方に設けられ、洗砂層5bよりも粒の大きい砂粒によって構成された荒砂層5cと、荒砂層5cの下方に設けられ、荒砂層5cよりも粒の大きい砂粒及び小石が混合した豆砂利層5dと、更に豆砂利層5dの下方に設けられ、豆砂利層5dよりも粒の大きい砂粒及び小石が混合した玉砂利層5eと、から構成されている。
【0015】
このため、河川2を流れる河川水に混ざっている藻類や土砂等は、河川水が濾過部5に浸透することで洗砂層5b、荒砂層5c、豆砂利層5d及び玉砂利層5eにて濾物として河川水と分離されるようになっている。そして、玉砂利層5e内には、前述のように構成された濾過部5にて濾過された河川水を貯水するとともに、河川2の下流側に設けられた浄水場6まで河川水を送水するための貯水槽7が埋設されている。
【0016】
濾過部5の上方には、河川2を流れる河川水の濁度、色度、臭気等の検知及び雨量の検知を行う第1水質計8が配置されている。尚、河川2における貯水槽7よりも更に上流には、河川2における貯水槽7よりも上流側を流れる河川水の濁度、色度、臭気等の検知及び雨量の検知を行う、本発明における検知部としての第2水質計9(図5参照)が配置されている。
【0017】
貯水槽7の内部は、濾過された河川水を貯水するための第1貯水部7aと第2貯水部7bとに仕切られている。以下、第1貯水部7aと第2貯水部7bとは同一構成につき、第1貯水部7aについて主に説明する。
【0018】
図3及び図4に示すように、貯水槽7の上面には、濾過部5にて濾過した河川水を集水する、本発明における第1集水部としての第1集水管10が複数配置されている。これら第1集水管10は、周面に複数の細孔10aが形成された円筒状に形成されているとともに、送水管11を介して第1貯水部7a内の上部に接続されている。この送水管11には、送水管11の開閉を選択可能な本発明における弁体としての第1水中電磁弁12と、送水管11の開度を調整可能な調整弁13が設けられている。
【0019】
このため、貯水槽7は、第1水中電磁弁12が送水管11を開放した状態で、貯水槽7の上方から濾過部5に浸透した河川水を第1集水管10で集水することで、第1貯水部7a内に濾過された河川水を貯水することが可能となっている。
【0020】
更に、貯水槽7の下部における外側方には、貯水槽7の外側面の全周に亘って、濾過部5にて濾過した河川水を集水する、本発明における第2集水部としての第2集水管14が複数配置されている。これら第2集水管14は、周面に複数の細孔14aが形成された円筒状に形成されているとともに、送水管15を介して第1貯水部7a内の下部に接続されている。この送水管15には、送水管15の開閉を選択可能な本発明における弁体としての第2水中電磁弁16と、送水管15の開度を調整可能な調整弁17が設けられている。
【0021】
このため、貯水槽7は、第2水中電磁弁16が送水管15を開放した状態で、貯水槽7の側方から濾過部5に浸透した河川水を第2集水管14で集水することで、第1貯水部7a内に濾過された河川水を貯水することが可能となっている。尚、本実施例における送水管15には、第1貯水部7a内に貯水された河川水が送水管15を逆流して第2集水管14から濾過部5内に放出されないよう逆止弁18が設けられている。
【0022】
また、第1貯水部7a内には、給水管19の一端が接続されている。第1貯水部7a内に配置された給水管19の一端側には、給水管19の開閉を選択可能な第3水中電磁弁20と、給水管19の開度を調整可能な調整弁21が設けられている。この給水管19の他端は、図2に示すように、貯水槽7よりも下流側に設けられた浄水場6に接続されている。給水管19における第3水中電磁弁20と調整弁21よりも下流側には、空気抜き管32の一端が接続されている。この空気抜き管32の他端は、後述するマンホール25を介して河川2の上方まで延設されている。
【0023】
図3及び図4に示すように、第1貯水部7a内の最下部には、第1貯水部7a内から河川水を排出するためのドレン管22の一端が接続されている。貯水槽7の外部であるこのドレン管22の所定箇所には、作業員等が操作することでドレン管22を開閉可能な排水弁23が設けられている。この排水弁23が操作されることで、第1貯水部7a内に貯水されている河川水は、ドレン管22の図示しない他端から河川等に排水されるようになっている。
【0024】
更に、第1貯水部7aには、第1貯水部7a内の水位を常時測定している水位計24が取り付けられているとともに、第1貯水部7aの上部には、河川の水面よりも上方まで突出するマンホール25が設けられている。このマンホール25は、平常時は上端部が図示しない蓋体によって閉塞されており、作業員等が第1貯水部7a内を清掃及び保守作業等を行う際には、ドレン管22に設けられた排水弁23を開放して第1貯水部7a内の河川水を排水した後、前記蓋体を取り外すことでマンホール25を介して第1貯水部7a内に立ち入ることが可能となっている。
【0025】
尚、第1貯水部7a内に侵入した作業員は、各調整弁13,17,21の開度を調整することで、各第1集水管10及び第2集水管14から第1貯水部7a内に送水される河川水の送水量と、第1貯水部7aから浄水場6に給水される河川水の給水量とを適宜調整可能となっている。
【0026】
次に、浄水場6について説明する。図2に示すように、浄水場6は、前述した給水管19の他端が接続された浄水槽26と、貯水槽7における河川水の貯水を制御するための制御部28(図5参照)を備える管理棟27と、を備えている。
【0027】
このうち浄水槽26は、特に図示しないが、河川水に薬注や攪拌を行った後に微小な異物を沈殿させることで濾過部5にて濾過しきれなかった異物を河川水除去する沈殿池と、該沈殿池における薬注によって濾過可能な大きさまで成長した異物を濾過膜によって濾過する濾過池と、該濾過池で濾過された河川水を貯水し、この河川水を飲料水として配水管29を介して一般家庭等へ配水を行う配水池と、から構成されている。
【0028】
尚、配水管29には、バイパス管30を介して配水タンク31が接続されている。この配水タンク31は、配水管29を流れる飲料水をバイパス管30を介して貯水可能となっている。このため、浄水槽26及び配水管29のメンテナンス等の際には、一時的に配水タンク31に貯水していた飲料水を一般家庭等に配水することで、一般家庭等における断水が防止されている。
【0029】
管理棟27に設けられた制御部28は、図5に示すように、第1水質計8、第2水質計9、第1貯水部7a及び第2貯水部7bに設けられた各第1水中電磁弁12、第2水中電磁弁16、第3水中電磁弁20、水位計24とにそれぞれ接続されており、水位計24で検知された第1貯水部7aまたは第2貯水部7b内の水位と、第1水質計8及び第2水質計9で検知された河川2を流れる河川水の水質とに応じて第1水中電磁弁12、第2水中電磁弁16及び第3水中電磁弁20の開閉を制御可能となっている。
【0030】
具体的には、制御部28は、第1水中電磁弁12、第2水中電磁弁16及び第3水中電磁弁20を解放することで第1貯水部7aにて河川水の貯水及び浄水場への河川水の給水を行っているとき、第2貯水部7b側の第1水中電磁弁12、第2水中電磁弁16及び第3水中電磁弁20は閉塞しておき、第2貯水部7bに河川水が貯水されないようにしている。尚、本実施例における給水管19は、このように第3水中電磁弁20が閉塞されても、河川2の上方に他端が延設されている空気抜き管32から給水管19内に空気が流入することで、給水管19内に負圧が生じてしまうことが防止されている。このため、給水管19内に負圧が生じることで給水管19が破損してしまうことがない。
【0031】
この状態で第1水質計8と第2水質計9との少なくともいずれか一方で河川を流れている河川水の水質が許容基準値を越えていることを検知すると、制御部28は、第1貯水部7aの第1水中電磁弁12、第2水中電磁弁16及び第3水中電磁弁20を閉塞し、第1貯水部7aでの河川水の貯水を停止する。
【0032】
このとき、一度濾過部5で濾過された河川水は、河川水を濾過した際に濾過部5内に残留した濾物を濾過部5から剥離させ、これら濾物とともに濾過部5の上方に噴出する。そして、これら濾物は、河川2の水流によって下流に流される。つまり、濾過部5には逆洗作用が働くので、濾過部5の濾過能力をメンテナンスによらず回復させることができる。尚、第1水質計8及び第2水質計9で検知される河川水の水質が双方ともに許容基準値以内に低下した場合、制御部28は、再び第1水中電磁弁12、第2水中電磁弁16及び第3水中電磁弁20を解放することで第1貯水部7aでの河川水の貯水及び浄水場6への河川水の給水を再開する。
【0033】
また、第1貯水部7aでの河川水の貯水が停止されている状態で、浄水場6への給水によって水位計24が第1貯水部7a内の水位を一定以上として検知すると、制御部28は、第1貯水部7a内が満水となったと判断して第1水中電磁弁12及び第2水中電磁弁16を閉塞し、第1貯水部7aでの河川水の貯水を停止するとともに、給水管19から浄水場6への河川水の給水を継続する。尚、水位計24が第1貯水部7a内の水位を一定以下として検知すると、制御部28は、第1水中電磁弁12、第2水中電磁弁16を解放することで第1貯水部7aでの河川水の貯水を再開する。
【0034】
更に尚、本実施例では、前述のように水位計24が第1貯水部7a内の水位が一定以上と検知することで、第1貯水部7aにおける第1水中電磁弁12及び第2水中電磁弁16を閉塞し、第1貯水部7aでの河川水の貯水を停止したが、第1貯水部7aにおける第1水中電磁弁12及び第2水中電磁弁16を閉塞すると同時に、第2貯水部7bにおける第1水中電磁弁12及び第2水中電磁弁16を解放することで、河川水の貯水を第2貯水部7bに切り替えるようにしてもよい。
【0035】
この場合は、河川水の貯水を第2貯水部7bによる貯水に切り替えた後に、第1貯水部7aにおける第3水中電磁弁20を開放することで、第1貯水部7a内から給水管19を介して浄水槽26に河川水を給水する。更に、第1貯水部7a内がほぼ空になった状態で、前述したようにマンホール25から作業員等が第1貯水部7a内に立ち入り、第1貯水部7a内の清掃及び保守作業等を行うことができる。
【0036】
以上、本実施例における取水装置にあっては、制御部28が第1水中電磁弁12及び第2水中電磁弁16を閉塞することで、濾過部5にて、河川水から分離した濾物を濾過部5から剥離させる逆洗作用を生じさせるので、河川水を濾過部5にて濾過することで濾過部5に濾物が残留しても、制御部28が第1水中電磁弁12及び第2水中電磁弁16を閉塞させて第1貯水部7aまたは第2貯水部7bへの河川水の貯水を停止することで、逆洗作用として濾過部5から河川水を濾物とともに噴出させ、噴出した濾物を河川2の水流によって河川2の下流に流すことができるので、濾過部5における河川水の濾過能力をメンテナンス等によらず回復させ、貯水槽7を長期間にわたってメンテナンス等を介さずに使用することができる。
【0037】
また、河川2における貯水槽7よりも上流側にて河川水の水質を検知する第2水質計9を備え、制御部28は、第2水質計9で検知されている河川水の水質が許容基準値を超えると第1水中電磁弁12及び第2水中電磁弁16を閉塞するので、制御部28は、河川2の上流から流れてくる河川水の水質が許容基準値を越えていることを第2水質計9から検知することで貯水槽7内に水質が許容基準値を超えた河川水が侵入しないよう第1水中電磁弁及び第2水中電磁弁16を閉塞し、河川2の水流によってこれら水質が許容基準値を超えた河川水を下流に流すことで、貯水槽7に集水される河川水の水質を一定基準に保つことができる。
【0038】
また、集水部は、貯水槽7の上部に配置された第1集水管10と、貯水槽7の側部に配置された第2集水管14と、から構成されているので、第1集水管10による貯水槽7の上方で濾過された河川水のみならず、第2集水管14による貯水槽7の側方で濾過された河川水も集水することで、貯水槽7に効率的に河川水を貯水することができる。
【0039】
また、濾過部5は、上部の自然石層5a、洗砂層5b、荒砂層5c及び下部の豆砂利層5d、玉砂利層5eとから構成され、河川水は、濾過部5の下部に配置された多数の細孔10a,14aを介して貯水槽7に貯水されるので、濾過部5の自然石層5a、洗砂層5b、荒砂層5c及び豆砂利層5d、玉砂利層5e、そして第1集水管10及び第2集水管14における細孔10a,14aの3段階の濾過により水質のよい河川水を貯水槽7に貯水することができる。
【0040】
また、貯水槽7は、河川2に設けられたダム1よりも上流側で埋設されているので、土砂等が混じった状態でダム1に貯水されている河川水を貯水槽7に貯水することが無いので、より確実に水質のよい河川水を貯水槽7に貯水することができる。
【0041】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0042】
例えば、前記実施例では、濾過部5を、上部の自然石層5a、洗砂層5b、荒砂層5c及び下部の豆砂利層5d、玉砂利層5eとから構成したが、貯水槽7が埋設される河川2の河川水の濁度、色度、臭気等に応じては、濾過部5を構成するこれら自然石層5a、洗砂層5b、荒砂層5c、豆砂利層5d及び玉砂利層5eをより薄層または厚層として濾過部5の濾過能力を調整してもよい。
【0043】
また、前記実施例では、送水管11に、送水管11の開閉を選択可能な第1水中電磁弁12と送水管11の開度を調整可能な調整弁13とを設け、送水管15に、送水管15の開閉を選択可能な第2水中電磁弁16と送水管15の開度を調整可能な調整弁17を設け、給水管19に、給水管19の開閉を選択可能な第3電磁弁20と給水管19の開度を調整可能な調整弁21を設け、これら第1水中電磁弁12,第2水中電磁弁17,第3水中電磁弁20を制御部28にて開閉制御することで貯水槽7における河川水の貯水と、貯水槽7から浄水槽26への河川水の給水を行ったが、各送水管11,15及び給水管19に、水中電磁弁12,16,20と調整弁13,17,21とに替えて、制御部28が開閉量を自在に調整可能な水中電動弁を取り付け、貯水槽7における河川水の貯水と、貯水槽7から浄水槽26への河川水の給水をより細かく制御するようにしてもよい。
【0044】
また、前記実施例では、第1水質計8と第2水質計9との少なくともいずれか一方で河川を流れている河川水の水質が許容基準値を越えていることを検知すると、制御部28が各貯水部7a,7bの第1水中電磁弁12、第2水中電磁弁16及び第3水中電磁弁20を閉塞し、逆洗作用により濾過部5に残留した濾物を河川2の下流に流したが、配水タンク31に一般家庭等に配水する飲料水が十分に余裕を持って貯水されている場合には、例えば、第1水質計8及び第2水質計9で検知される水質に拘らず、夜間等の水の使用量が少ない時間帯に各貯水部7a,7bの第3水中電磁弁20を閉塞して各貯水部7a,7b内を満水とし、各貯水部7a,7bに貯水しきれなかった濾過部5に浸透している河川水を利用して濾過槽5に逆洗作用を生じさせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 ダム
2 河川
4 河川底
5 濾過部
5a 自然石層
5b 洗砂層
5c 荒砂層
5d 豆砂利層
5e 玉砂利層
7 貯水槽
9 第2水質計(検知部)
10 第1集水管(第1集水部)
10a 細孔
12 第1水中電磁弁(弁体)
14 第2集水管(第2集水部)
14a 細孔
16 第2水中電磁弁(弁体)
19 給水管
20 第3水中電磁弁
26 浄水槽
28 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川底に埋設される貯水槽と、該貯水槽の周囲に設けられるとともに、河川水を浸透させることで河川水から濾物を分離して濾過する濾過部と、該濾過部で濾過された河川水を前記貯水槽に貯水する集水部と、前記集水部から前記貯水槽への河川水の流れの開閉を行う弁体と、該弁体の開閉制御を行う制御部と、を備え、
前記制御部が前記弁体を閉塞することで、前記濾過部にて、河川水から分離した濾物を前記濾過部から剥離させる逆洗作用を生じさせることを特徴とする河川における取水装置。
【請求項2】
前記河川における前記貯水槽よりも上流側に河川水の水質を検知する検知部を備え、前記制御部は、前記検知部で検知されている河川水の水質が許容基準値を超えると前記弁体を閉塞することを特徴とする請求項1に記載の河川における取水装置。
【請求項3】
前記集水部は、前記貯水槽の上部に配置された第1集水部と、前記貯水槽の側部に配置された第2集水部と、から構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の河川における取水装置。
【請求項4】
前記濾過部は、上部の砂層及び下部の砂利層とから構成され、河川水は、前記濾過部の下部に配置された多数の細孔を介して前記貯水槽に貯水されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の河川における取水装置。
【請求項5】
前記貯水槽は、河川に設けられたダムよりも上流側で埋設されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の河川における取水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−188907(P2012−188907A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55761(P2011−55761)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(595077016)山大機電株式会社 (7)