説明

沸騰水型原子炉燃料集合体用のウォータロッドおよびこの集合体を通る水流を改善するための方法

【課題】沸騰水型原子炉燃料集合体用のウォータロッドおよびこの集合体を通る水流を改善するための方法を提供すること。
【解決手段】下部タイプレート(16)、上部タイプレート(14)に取り付けられチャンネル(20)の壁に収容される燃料棒(12)の配列を含む燃料バンドル(10、40)と、下方に上部排出端(32、50)を有し、上部タイプレートに取り付けられていないウォータロッド(19、42、44、62、64、66、68、70)であって上部排出端が燃料棒のうちの少なくとも1つの濃縮部分の下方にあるウォータロッドとを含む原子炉燃料バンドル集合体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沸騰水型原子炉(BWR)用の核燃料棒集合体に関し、詳細には、この集合体のウォータロッドに関する。
【背景技術】
【0002】
沸騰水型原子炉の燃料集合体は、通常、スペーサならびに上部タイプレートおよび下部タイプレートによって定位置に保持される平行な燃料棒およびウォータロッドのマトリックスを含む。燃料棒はこの棒の濃縮燃料部分に核分裂性燃料を収容する。燃料棒のうちの多数は、通常、上部タイプレートと下部タイプレートとの間で垂直距離全体にわたって延在し、燃料棒のうちのいくつかは下部タイプレートから集合体の途中まで延在することができる。ウォータロッドは、燃料集合体の内部を通して追加の液水の減速材の流れを与える。スペーサは燃料集合体の垂直長さに沿って様々な位置に配置され、燃料集合体内に一定の位置関係で燃料棒およびウォータロッドを保持する。燃料棒およびウォータロッドの下部端は端栓を有し、この端栓は各棒を支持する下部タイプレートに嵌合する。下部タイプレートは、燃料集合体および減速材に減速材の流れおよび冷却材の流れのための入口を与えるように流孔を含む。上部タイプレートは各棒の上部端を受け入れ、燃料棒およびウォータロッドの横方への運動を抑制し、燃料集合体から冷却材を排出するように流孔を有する。
【特許文献1】米国特許第6226343号
【特許文献2】米国特許出願第20040042580号
【特許文献3】米国特許出願第20070030943号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
下部タイプレート、上部タイプレート、およびチャンネルに取り付けられる燃料棒の配列を含む燃料バンドルと、下方に上部排出端を有し、上部タイプレートに取り付けられていない1つのウォータロッドまたは複数のウォータロッドとを含む、原子炉燃料バンドル集合体が開発されている。
【0004】
他の実施形態では、原子炉燃料バンドル集合体は、上部タイプレートに取り付けられ、チャンネル壁によって収容される燃料棒の配列を含む燃料バンドルと、下方に上部排出端を有し、上部タイプレートに取り付けられていない第1のウォータロッドと、第1のウォータロッドの排出端の高さと異なる集合体の高さにおいて上部排出端を有する第2のウォータロッドとを備える。
【0005】
上部タイプレートに取り付けられ、チャンネルに収容される燃料棒の配列を含む原子炉燃料バンドル集合体内にウォータロッドを含む方法であって、複数のウォータロッドを選択するステップと、集合体にウォータロッドを挿入するステップと、ウォータロッドの他の1つの上部排出端の高さと異なる集合体内の高さにあるように、ウォータロッドのうちの1つの上部排出端を配列するステップとを含む方法が開発されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は、正方形断面を有する垂直コラムとして一般に形成される燃料バンドル集合体10を横断面で示す側面図である。集合体は、上部タイプレート14、下部タイプレート16、および燃料棒の長さに沿ってある位置(複数の位置)のところに配置された少なくとも1つのスペーサ18によって支持される燃料棒12の配列を含む。1つまたは複数のウォータロッド19が燃料棒の配列の中央に配置される。薄肉の金属壁を有する中空のチャンネル20が集合体のための外側ハウジングを形成する。概ねU字形状のホイスティングベール22がチャンネルまたは上部タイプレートに取り付けられる。
【0007】
図1のチャンネル、および燃料棒のうちの数個のものの一部についての図示は、集合体10の中央でウォータロッドを露出させるように取り除かれている。加えて、図1の燃料集合体10の図示は、図で集合体の最上部、中間部、および底部を示すために最上部の四分の一の部分および底部の四分の一の部分で分割される。燃料バンドル集合体は図1で示されるよりもより長く現れる場合がある。
【0008】
燃料バンドル集合体10は、沸騰水型原子炉(BWR)1の中に垂直に配置される。数百の燃料集合体が通常、BWRの水が充満された炉心にマトリックスに配置される。それぞれの燃料バンドル集合体において、減速材および冷却材(例えば、水)は炉心および燃料バンドル集合体を通して上方へ流れ、炉心の底部へ逆戻りして循環される。
【0009】
冷却材および減速材の液体(例えば、水)はBWR炉心においてそれぞれの個々の燃料バンドル集合体を通して上方に流れる。冷却材および減速材の液体は集合体の底部に入り、下部タイプレート16を通って流れる。下部タイプレートのオープンメッシュ構造により液体がチャンネル20の内部を通しておよび集合体の燃料棒に沿って流れることができる。ウォータロッド19は燃料バンドル集合体内で液水の減速材の量を増加する。
【0010】
冷却材および減速材の液体が各燃料バンドル集合体を通して流れると、この液体は燃料棒から熱を取り出し、燃料棒の過度の加熱を防止する保護手段になる。この液体は特に燃料バンドル集合体の上部の高さにおいて蒸気に変換されることができる。加熱された流体、例えば蒸気が炉心から流れ、熱が取り出されて動力発生のために使用され、冷却された流体は冷却材および減速材として再使用のために炉心の底部に戻される。BWRの炉心を通る冷却材および減速材の流体を循環するための動力は自然循環であることができ、あるいは炉心を通る冷却材水のポンピングによることができる。
【0011】
また、燃料バンドル集合体を通して上方に流れる冷却材および減速材の液体は燃料棒の濃縮部分内で起こる核反応に対して減速材としても働く。液体の減速材機能は液体の冷却材機能に加えてあるものである。液体の減速材機能は、液体が蒸気に変換されると急に小さくされる。燃料棒に沿ってかつ燃料バンドル集合体を通して上方に流れる流体は通常、流体が燃料棒の上部の高さ(例えば、燃料棒の上部の1/3から1/4まで)に到達すると大部分が蒸気に変換されてしまう。
【0012】
ウォータロッド19は液体減速材が燃料集合体の上部の高さへ流れる通路になる。ウォータロッド内の液体は、燃料棒間で上方に移動する平均流体速度よりも大きい速度を有する傾向がある。ウォータロッド内の液体は同時に燃料棒の熱い表面から分離される。ウォータロッド内の液体は、燃料棒間に流れる流体の大部分が蒸気に変換されてしまう燃料バンドル集合体の上部の高さにおいて液体として残こる。ウォータロッド内の液体は、特に蒸気によって取り囲まれる棒の上部に沿って、燃料棒の上部の高さに対する減速材として働く。したがって、燃料棒の濃縮部分の最上部端と少なくとも同じくらい高い高さまでウォータロッドを通して流れる流体に対して減速機能の利益がある。
【0013】
燃料バンドルの上部の高さでの蒸気液は、燃料バンドルの下部の高さを通して主に流れる流体よりも実質的により大きな通路容積を必要とする。蒸気がより大きい容積であるのために、燃料バンドルの上部の高さの範囲内で通路面積を増大する必要がある。燃料バンドルの上部の高さでの通路面積の実質的な増大がなければ、蒸気はチャンネルおよび棒によって狭窄され、燃料バンドル集合体全体を通して冷却材および減速材の通過を妨げる圧力増加を生じるであろう。燃料バンドルの上部の高さでの冷却材の通路面積を増大することにより上部の高さでの蒸気圧力を低下させ、したがって燃料バンドルの下部の高さと上部の高さとの間の圧力差を低減すべきである。
【0014】
燃料バンドルの上部の高さでの冷却材の通路は、上部タイプレートの下方の高さ(複数の高さ)のところで1つまたは複数のウォータロッドを終端することによって増大され得る。ウォータロッドを終端することはウォータロッドの端部の上を上方に流れかつ燃料バンドルを通り抜けて連続する冷却材(例えば蒸気など)に利用できる面積を拡張する。蒸気通路のための面積は終端されるウォータロッド(複数のウォータロッド)の断面積だけ増大する。加えて、ウォータロッドから排出される液体は、特に蒸気に変換される前に液体が燃料バンドル集合体内で上方に流れる際に減速材として引き続き働く。さらに、ウォータロッドの上部端から排出される液体は、特に液体が燃料棒の表面に流れる場合には冷却材として働き得る。
【0015】
燃料バンドルを通る圧力降下は、上部タイプレートの下方のウォータロッド(複数のウォータロッド)の上部端(複数の上部端)を終端することによって得られる追加の冷却材通路面積の故に低減される。圧力降下を低減することにより、冷却材および減速材の流体のより大きな容積が燃料バンドルを通して上方に通過することができる。
【0016】
十分な減速液が燃料棒の濃縮部分の上部の高さに到達することを確保することと、燃料バンドルを通る圧力降下が最小限に抑えられることを確保することとの間で、釣合いが実現されるべきである。他方では、ウォータロッドの上部端を終端するとバンドルの上部の高さに到達する減速材液体の容積を減少することができる。他方では、燃料バンドル集合体の流体通路での過度の圧力降下はバンドル集合体を通過する冷却材および減速材の流体の容積を制限することがある。この圧力降下は、冷却材の大部分が蒸気に変換されている燃料バンドル集合体の特に上部の高さにおいて燃料棒の間で利用できる冷却材の通路面積を増大することによって低減され得る。燃料棒が濃縮される高さにおいてウォータロッドを終端すると燃料棒の上部部分において減速材液体の容積を減少するが、冷却材通路面積を増大し、集合体を通る圧力降下を低減し、それによって集合体を通過する流体の速度を増大する。冷却材通路面積と減速材の流れとの間の釣合いの必要は自然循環式原子炉にとっては最も重要であり、この自然循環式原子炉では冷却材および減速材の流体の集合体を通る循環を促進するように燃料バンドル集合体を通る冷却材の流れの圧力損失が小さいことが必要である。
【0017】
燃料バンドル集合体の設計者は、燃料棒の濃縮部分の上部の高さにおける減速材液体の必要を、燃料バンドルの濃縮部分でおよびその上方で上部の高さにおけるより大きな流体通路面積の必要と釣り合わせることができる。この釣合わせの過程では一般に使用される燃料バンドル成形プログラムおよび/または試行錯誤を利用することができる。釣合いを実現するのに利用できる取組みには、燃料バンドルの異なる高さにおいて液体を排出する上部端をそれぞれ有する多数のウォータロッドと、燃料棒の濃縮部分の上方で終端する少なくとも1つのウォータロッドとがある。少なくとも1つのウォータロッドは、減速材液体が燃料バンドル集合体の濃縮部分のすべての高さを通過することを確実にするように燃料バンドル集合体の濃縮部分の上方に液体を排出することが好ましい。
【0018】
ウォータロッドの下端部24は下部タイプレート16に取り付けられ、冷却材入口ポートを含むことができる。下端部24の底部は下部タイプレートのねじ付き開口に係合するようにねじ切りされ、または他の係合方法を用いることができる。さらに、下部タイプレートは、ウォータロッド(複数のウォータロッド)の中に上方への冷却材の流れのための冷却材流路(複数の流路)を含むことができる。下端部24は、複数の側面冷却材入口ポートを含む細径円筒部分を備えることができる。ウォータロッドの遷移部分28は下端部24から上部部分30にまでロッドの内径を拡張する。
【0019】
例示として、下端部24はウォータロッドの比較的短い部分、例えば2フィートから5フィートまで(0.6メートルから1.5メートルまで)であることができ、遷移部分28は、長さが2フィートから1フィート未満まで(0.6メートルから0.3メートル未満まで)であることができ、上部部分30は長さが10フィートから13フィートまで(3メートルから4メートルまで)延在することができる。ウォータロッドの断面形状は、円形、曲線、長方形、十字形の形状、あるいは曲線部分および直線部分の組合せであることができる。ウォータロッドの断面積は、例えば、上部部分30のところで1.55平方インチ(10平方センチメートル)であることができる。ウォータロッドの断面形状は、ウォータロッドを通して層流を促進し、流れの抵抗を低減するように少なくとも上部部分30の長さの沿って変わらないことが好ましい。ウォータロッドは少なくともスペーサ18によって集合体に支持され、下部タイプレート16によって支持され得る。ウォータロッドは、ジルコニウム基合金などの原子炉炉心で使用するのに適した金属材料であることができる。
【0020】
ウォータロッドの上部端34は上部タイプレート14の下方で終端し、上部タイプレートまで延在しない。減速材(例えば、水)は、ウォータロッドの上記端34から排出され、チャンネル20を通しておよび燃料棒12間で中に流れる冷却材(例えば、水および/または蒸気)と混合する。ウォータロッドの上部端34は燃料棒の濃縮部分の上方かまたは下方かであることができる。少なくとも1つのウォータロッドは、実質的な部分(例えば、冷却材の25%から75%まで)が蒸気に変換されている燃料バンドル集合体の高さにおいて終端することができる。
【0021】
ウォータロッドの上部排出端は、円筒形ウォータロッドの円形端のような簡単な開放端構造34であることが好ましい。この排出端の直径はウォータロッドの最大直径と少なくとも同じくらい大きくあるべきである。簡単な開放型排出構造はウォータロッド内の流れの排出抵抗を低減する。ウォータロッドの開放端34は、円錐形またはホーンのような僅かに外側に湾曲した直線的壁面端であることができ、他のこの種の幅広口形状を有し、あるいは内側に湾曲して僅かに制限を生じることもできる。ウォータロッドからの減速材は開放型排出構造34を通して流れ、チャンネル20を通しておよび燃料棒12の間で冷却材の流れと混合する。
【0022】
ウォータロッド19の上部出口の開放型排出構造34は流れ制限を実質的に免れていることが好ましい。例えば、開放型構造34は、ロッドを通る流れを制限しロッドを通して流れる冷却材の圧力降下を増大することになる流れ制限プレート、流れ制限メッシュ、または流れ制限ノズルを有さない。さらに、ウォータロッド19の壁は、ノズルを形成しまたは別様にロッドを通る流れを制限するように開放型構造34において内側に湾曲しない。図2は、正方形断面を有する垂直コラムとして一般に形成される燃料バンドル集合体40を横断面で示す側面図である。図2のチャンネル20、および燃料棒のうちの数個のものについての図示は、集合体40の中央でウォータロッド42、ウォータロッド44を露出させるように取り除かれている。加えて、図2の燃料集合体40の図示は、図で集合体の最上部、中間部、および底部を示すために最上部の四分の一の部分および底部の四分の一の部分で分割される。燃料バンドル集合体は図2で示されるよりもより長く現れる場合がある。
【0023】
ウォータロッド42、ウォータロッド44は燃料バンドル集合体40の範囲内で任意の異なる高さにおいて開放端46を有する。高さの差異はウォータロッド42、ウォータロッド44の開放端46の間で、例えば6インチ、1フィート、または3フィート(15センチメートル、30センチメートル、または0.9メートル)であることができる。ウォータロッドの開放端46の異なる高さ(例えば、3インチ、6インチ、または1フィート(9cm、18cm、または36cm))は、チャンネル20の範囲内で異なる高さのところで排出されている各ウォータロッドからの減速材になる。ウォータロッド42、ウォータロッド44の上記端46は、チャンネル内で異なる高さのところで減速材を排出して選択された高さのところで燃料棒に追加の冷却材を提供するように配置されることができる。液体流体がウォータロッドの上の方へ流れると、液体は主に燃料バンドル集合体のための減速材として働く。ウォータロッドの最上部から排出されると液体はまた、それが燃料棒に当てられ蒸気に変換される限度まで冷却材としても働く。加えて、標準長さの冷却ロッドが集合体40に含まれ得る。異なる標準長さのウォータロッドはチャンネル内の異なる高さで減速材の排出を可能にするように集合体に意図的に含まれ得る。多数のウォータロッドから異なる高さで減速材を排出すると、集合体40内の同じ高さで多数のウォータロッドから排出することに比べて燃料棒の様々な高さまで冷却材の流れを促進することができる。
【0024】
ウォータロッドの下部部分46、下部部分48は、適宜、下部タイプレート16まで延在することはない。例えば、ウォータロッド42の下部部分46はウォータロッド42の残部と同様の直径を有する真っ直ぐな面の円筒であることができる。ウォータロッドの真っ直ぐな面の円筒の下部部分46は、下部タイプレートの上方に1フィートまたは複数フィート(例えば1フィートから4フィートまで(0.3メートルから1.2メートルまで))のところで終端することができる。チャンネルを通しておよび燃料棒12の間で上方に流れる冷却材はウォータロッド42の下部部分に入る。
【0025】
ウォータロッド42は低抵抗の流路、および潜在的に僅かにより低温の流路となって、ウォータロッドの排出端46のところで集合体40の上部の高さに冷却材を向ける。ウォータロッド42の下部部分48は開放端入口50または側面入口ポート52を有する細径円筒である(側面入口ポートはまたウォータロッド42の下部部分46の側面に配置されることができる)。冷却材は開放端入口50または側面入口ポート52に入り、細い下部部分46を通しておよびウォータロッド44の広径上部円筒部分54まで上方に流れる。開放端入口50は下部タイプレート16の上方に数インチ(数センチメートル)または1フィートあるいはそれ以上(0.3メートルあるいはそれ以上)であることができる。冷却材はウォータロッド44の入口50、入口52に入り、細い部分から広い部分54まで流れ、排出端46においてウォータロッドから排出する。
【0026】
ウォータロッド19、ウォータロッド42、およびウォータロッド44は上部タイプレートに取り付けられない上部端34、上部端46を有する。したがって、ウォータロッドは上部タイプレートにロッドを連結する上部エンドプラグを必要としない。なぜなら、上部タイプレート(および適宜、下部タイプレート)はウォータロッドのための受けを必要とせず、このタイプレートはこの種の受け(例えば、ウォータロッドのエンドプラグを受け入れるねじ付き開口または円滑な開口)の拘束なしで設計され得るからである。さらに、本明細書において開示されたウォータロッドは、BWR炉心1内で様々な燃料バンドル集合体に必要とされる独特のウォータロッドの数を低減するのに使用され得る(これは図1では一定の尺度に従って示されていない)。例えば、様々な長さを有する標準ウォータロッドのうちの共通の長さ、または少ない選択(例えば3から6まで)を有する標準ウォータロッドは、BWRの炉心においてすべての燃料バンドル集合体のウォータロッドとして使用され得る。1つの共通の長さ、または少数の共通の長さを有する標準ウォータロッドは、このウォータロッドが上部および下部タイプレートに連結するように寸法取りされないので、すべての燃料バンドル集合体用に使用され得る。さらに、高さの許容可能な範囲(例えば、上部タイプレートの2フィートから3フィートまで(0.6メートルから1.0メートルまで)の範囲内)があり、そこでウォータロッドは集合体内に減速材を排出することができる。単一の共通の長さ、または少数の(例えば、3から6まで)共通の長さにウォータロッドを標準化することは、BWRの炉心用の燃料バンドル集合体の製作を簡単化し、部品(例えば、ウォータロッドなど)の標準化を使用して燃料バンドル集合体の製作のための費用および時間を低減する。
【0027】
これと対比して、従来のBWRの炉心は僅かに異なる長さのバンドル(例えば、BWR2/3、BWR4/6等)を有する場合があり、これらのバンドルは、異なる燃料バンドル集合体の長さの変化を受け入れるように様々な特定の長さのウォータロッドを必要とする。なぜなら、本明細書において開示されたウォータロッドは上部タイプレートに取り付けられず、標準長さのウォータロッド(複数のウォータロッド)が、これらの集合体の長さの変化に拘わらず燃料バンドル集合体で使用され得るからである。
【0028】
ウォータロッドの上部部分を取り除くことは、冷却材の流れのためにチャンネル20内で利用できる断面積を増大することによって、在来の設計と比べると燃料バンドル集合体の圧力降下を減少する。燃料バンドル集合体を通る圧力降下および流れの制限を減らすことは、自然循環式BWRにとって特に有益であり得る。
【0029】
図3から図6は、様々な断面形状を有するウォータロッドを示す燃料バンドル集合体10、燃料バンドル集合体40の断面の例示である。図は、各ウォータロッドの排出端の簡単な出口構造を例示するためにウォータロッドのそれぞれの開放型上部排出端を示す。図3は、断面が長方形(例えば、正方形など)であり、燃料棒12の配列の中心に置かれている燃料棒60を示す。単一のウォータロッド60は、その長さを通して一様な断面を有することができ、または長い上部部分よりもより小さな断面積の短い下部部分を有することができる。図4は円筒形ウォータロッド62を含む多数のウォータロッドを示し、この円筒形ウォータロッド62は比較的大きな直径、および少なくとも1つのより小さな直径の円筒形ウォータロッド64を有する。円筒形ウォータロッド62、円筒形ウォータロッド64はそれらの長さを通して一様な断面を有することができ、または短い細径下部部分を含むことができ、この短い細径下部部分は例えば下部タイプレートに取り付ける。ウォータロッド62、ウォータロッド64の排出端の高さは燃料集合体内で変化することができる。図5は、一様な円筒直径、および直円筒状壁のある上部出口を有する一対の円筒形ウォータロッド66および円筒形ウォータロッド68を示す。ウォータロッド68はその長さを通して一様な直径を有し、下部タイプレートまで延在しない。ウォータロッド66は下部タイプレートに取り付ける細径の下部部分を有する。また、図5は燃料棒およびウォータロッド66、ウォータロッド68を支持するスペーサ18も示す。図6は、一様な断面を有し、燃料棒12の配列の中心に置かれている十字形ウォータロッド70である。十字形ウォータロッドは、集合体の燃料棒12を4つの象限にセグメント分割し、集合体を通して上方に流れる減速材のためのさえぎるもののない流路を提供する。十字形ウォータロッド70は上部タイプレートまたは下部タイプレートに連結される必要はなく、燃料棒の長さの大部分、および燃料棒の濃縮部分の長さの全体に延在することができる。
【0030】
本発明を、最も実際的で好ましい実施形態であると現在考えられるものに関連して説明したが、本発明は、開示された実施形態に限定されるべきではなく、それどころか逆に添付の請求の範囲の精神および範囲の内に含まれる様々な改変、および均等な構成への適用が意図されることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】燃料集合体の側面図であり、集合体の一部はウォータロッドを示すように取り除かれた図である。
【図2】燃料集合体の側面図であり、集合体の一部はウォータロッドの他の構成を示すように取り除かれた図である。
【図3】燃料集合体において異なる断面形状を有するウォータロッドを示す図である。
【図4】燃料集合体において異なる断面形状を有するウォータロッドを示す図である。
【図5】燃料集合体において異なる断面形状を有するウォータロッドを示す図である。
【図6】燃料集合体において異なる断面形状を有するウォータロッドを示す図である。
【符号の説明】
【0032】
10 燃料バンドル
11 BWR炉心
12 燃料棒
14 上部タイプレート
16 下部タイプレート
18 燃料棒スペーサブラケット
19 ウォータロッド
20 チャンネル壁
22 U字形状ホイスティングベール
24 ウォータロッドの下部端
26 ウォータロッドの下部部分の側面入口ポート
28 ウォータロッドの遷移部分
30 ウォータロッドの上部部分
32 ウォータロッドの上部端
34 開放端
40 燃料バンドル
42、44 ウォータロッド
46’、48 ウォータロッドの下部部分
50 ウォータロッド48の開放端
52 ウォータロッド48の側面入口
54 ウォータロッド48の上部部分
60 長方形断面を有するウォータロッド
62、64 ウォータロッド
66、68 ウォータロッド
70 十字形ウォータロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部タイプレート(16)、上部タイプレート(14)に取り付けられ、チャンネル(20)の壁に収容される燃料棒(12)の配列を含む燃料バンドル(10、40)と、
下方に上部排出端(32、50)を有し、前記上部タイプレートに取り付けられていないウォータロッド(19、42、44、62、64、66、68、70)であって、前記上部排出端が前記燃料棒のうちの少なくとも1つの濃縮部分の下方にあるようなウォータロッドと
を備える原子炉燃料バンドル集合体。
【請求項2】
前記ウォータロッドの上部排出端が、前記ロッドの最大直径と少なくとも同じくらい大きい内径を有することを特徴とする請求項1記載の原子炉燃料バンドル集合体。
【請求項3】
前記ウォータロッドの前記上部排出端(32、50)が、前記上部タイプレート(14)の底面から2フィート(約0.61m)の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の原子炉燃料バンドル集合体。
【請求項4】
前記ウォータロッド(42、44)が複数のウォータロッドであり、各ウォータロッドが、前記ウォータロッドの他の上部排出端の高さと異なる集合体の高さのところで上部排出端(46)を有することを特徴とする請求項1記載の原子炉燃料バンドル集合体。
【請求項5】
前記ウォータロッドの前記上部排出端(46)の高さの差異が、少なくとも縦方向に6インチ(約15cm)であることを特徴とする請求項4記載の原子炉燃料バンドル集合体。
【請求項6】
前記ウォータロッド(19、42、44、62、64、66、68、70)が前記下部タイプレートに取り付けられておらず、前記ウォータロッドが前記下部タイプレートの上部表面の上方に下部入口を有することを特徴とする請求項1記載の原子炉燃料バンドル集合体。
【請求項7】
上部タイプレート(14)に取り付けられ、チャンネル壁(20)によって収容される燃料棒(12)の配列を含む燃料バンドル(10、40)と、
下方に上部排出端(46)を有し前記上部タイプレートに取り付けられていない第1のウォータロッド(42)であって、前記上部排出端が前記集合体の第1の高さのところにある第1のウォータロッドと、
下方に上部排出端(46)を有し前記上部タイプレートに取り付けられていない第2のウォータロッド(44)であって、前記第2のウォータロッドの前記上部排出端が前記集合体の第2の高さのところにあり、前記第2の高さが前記第1の高さと異なる第2のウォータロッドと
を備える原子炉燃料バンドル集合体。
【請求項8】
前記第1のウォータロッド(42)の上部排出端(46)が、前記第1のウォータロッドの最大直径と少なくとも同じくらい大きい内径を有することを特徴とする請求項7記載の原子炉燃料バンドル集合体。
【請求項9】
前記第1のウォータロッドおよび前記第2のウォータロッドの前記上部排出端(46)の高さの差異が、少なくとも縦方向に6インチ(約15cm)であることを特徴とする請求項7記載の原子炉燃料バンドル集合体。
【請求項10】
前記第1のウォータロッド(42)が前記下部タイプレートに取り付けられておらず、前記第1のウォータロッドが前記下部タイプレートの上部表面の上方に下部入口を有することを特徴とする請求項7記載の原子炉燃料バンドル集合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−31287(P2009−31287A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−190364(P2008−190364)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(301068310)グローバル・ニュークリア・フュエル・アメリカズ・エルエルシー (56)