説明

油中水滴型エマルジョン燃料

【課題】均一分散の安定した乳化状態により長期間、油と水が再分離しない油中水滴型エマルジョン燃料用乳化剤を提供すること。
【解決手段】
以下の(1)から(7)の成分からなる油中水滴型エマルジョン燃料用乳化剤。
(1)A重油・・・・・・50ml以上100ml
(2)B重油・・・・・100ml以上200ml
(3)C重油・・・・・300ml以上450ml
(4)メタノール・・・100ml以上150ml
(5)エタノール・・・100ml以上200ml
(6)パーム油・・・・100ml以上150ml
(7)水・・・・・・・100ml以上200ml

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石油燃料(軽質油及び重質油)と水との極めて安定した乳化状態の長期間(2カ年以上)、油と水が再分離しない油中水滴(W/O)型エマルジョン燃料を作るための乳化剤の製造方法に関するものである。
【0002】
また、本発明は石油燃料(軽質油及び重質油共)の燃焼時に発生する大量の有毒ガスやばいじんの発生を大幅に減少させて公害を防止すると共に完全燃焼による燃料効率の改善で省エネルギー効果をはかることを目的とするものである。
【背景技術】
【0003】
従来のエマルジョン燃料は、乳化剤としてモノエタノールアミン、トリエタノールアミン、オレイン酸、脂肪族スルホン酸塩、アルコール脂肪酸エステル等その他の薬剤が使用されているが、これらの薬剤は高価なため製造コストが高く、またこれらの薬剤を添加混合して製造したエマルジョン燃料は乳化状態が不安定で生成後短時間に油と水が再分離をおこすため、乳化装置を燃焼機器に付設して乳化と同時に燃焼を行わなければならず燃料自体としての貯蔵管理は不可能であり、乳化装置についての燃焼技術や高価な乳化装置等一般中小企業の消費者には経済的なメリットが少ないものが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記のような欠点を抜本的に解決し、均一分散の安定した乳化状態により長期間(2カ年以上)、油と水が再分離しないので純石油燃料と同様に貯蔵管理が出来、油タンクに入れたままで在来の燃焼機器で使用するため、高価な乳化装置や特別な燃焼技術を必要としない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の油中水滴型エマルジョン燃料用乳化剤は以下の(1)から(7)の成分からなる。
(1)A重油・・・・・・50ml以上100ml
(2)B重油・・・・・100ml以上200ml
(3)C重油・・・・・300ml以上450ml
(4)メタノール・・・100ml以上150ml
(5)エタノール・・・100ml以上200ml
(6)パーム油・・・・100ml以上150ml
(7)水・・・・・・・100ml以上200ml
【発明を実施するための形態】
【0006】
即ち、本発明の乳化剤を作るのに
(1)A重油・・・・・・50ml以上100ml
(2)B重油・・・・・100ml以上200ml
(3)C重油・・・・・300ml以上450ml
(4)メタノール・・・100ml以上150ml
(5)エタノール・・・100ml以上200ml
(6)パーム油・・・・100ml以上150ml
(7)水・・・・・・・100ml以上200ml
上記各成分のうち、先に、(1)、(2)、(3)、(4)、の成分を攪拌混合した全容量に、(5)、(6)、(7)の成分を混合溶解させた溶液を加え、高速攪拌機(毎同3000回転以上)で10分間攪拌混合して、本発明の乳化剤を製造する。
【0007】
このようにして製造した乳化剤は超微粒化(0.5ミクロン〜1ミクロン)し、均一分散した乳化状態にあり、この乳化剤を石油燃料と水に添加して攪拌混合すると乳化剤は四散し二次微粒化現象をおこし極微粒子の均一分散の安定したエマルジョン燃料が得られる。
【0008】
本発明を詳しく述べると、軽質石油燃料(軽油、灯油、A重油)と水の容量比を油90%〜65%、水10〜35%の比率からなる合計量に本発明の乳化剤を1000分の10以上1000分の30を添加混合して均一分散の安定した乳化状態の軽質石油エマルジョン燃料を製造し、また重質石油燃料(B重油、C重油)と水との容量比を90%〜60%、熱水(70℃以上90℃)10%〜40%の比率からなる合計量に本発明の乳化剤を1000分の2以上1000分の10を添加混合して長期間再分離しない均一分散の乳化状態の安定した重質石油エマルジョン燃料を製造する。
【0009】
本発明の乳化剤を使用して製造した石油燃料(軽質油及び重質油共)エマルジョン燃料は油中に極微粒子の水が均一に分散し安定した乳化状態であるため燃焼安定性が良く、完全燃焼するので未燃焼分の燃焼や排気ガスのススの消失等燃焼効率の改善向上による省エネルギーがはかれるばかりでなく窒素酸化物やばいじん等有害排気物の発生を大幅に減少させ公害防止の効果が大きい。
【0010】
また従来の乳化剤に比べて著しく安価であることも経済的に大きなメリットである。
【実施例1】
【0011】
最後に本発明の乳化剤により製造したA重油エマルジョン燃料、B重油エマルジョン燃料及びC重油エマルジョン燃料の燃焼実験を実施したところ、次のような結果を得た。
【0012】
1 A重油エマルジョン燃料
A重油8l(80%)水2l(20%)乳化剤1000分の50(A重油+水の合計量に対して)
乳化剤の成分
A重油 100ml
B重油 150ml
C重油 300ml
メタノール 150ml
エタノール 100ml
パーム油 100ml
水 100ml

2 B重油エマルジョン燃料
B重油10l(75.8%)水3.2l(24.2%)乳化剤1000分の25(B重油+水の合計量に対して)
乳化剤の成分(上記と同じ)

3 C重油エマルジョン燃料
C重油10l(75.8%)水3.2l(24.2%)乳化剤1000分の25(C重油+水の合計量に対して)
乳化剤の成分(上記1と同じ)

【0013】
【表1】

【0014】
【表2】

【0015】
上記の表1は、本発明の乳化剤を使用したA重油、B重油、C重油の各エマルジョン燃料の燃焼時における窒素酸化物及びばいじんの発生量を市販の他のエマルジョン燃料と比較したもので、窒素酸化物はA重油エマルジョン燃料が60%、B重油エマルジョン燃料が44%、C重油エマルジョン燃料が55%発生量が少なく、またばいじん発生量はA重油エマルジョン燃料が52%、B重油エマルジョン燃料が93%、C重油エマルジョン燃料が72%発生量が少なく市販の他のエマルジョン燃料と比較して本発明の乳化剤によるエマルジョン燃料の公害防止の効果が如何に大きいかが確認された。
【0016】
(注)分析方法
(1)窒素酸化物濃度はJISK0104
(2)ばいじん濃度はJISZ8868
【0017】
上記の表2は、B重油エマルジョン燃料、C重油エマルジョン燃料共、風呂屋の温水ボイラーで1週間連続して燃焼して実測した結果であり省エネルギー効果が大きい。
【0018】
従来からエマルジョン燃料によって各種の効果(省エネルギー排ガス清浄化など)があると言われているがトラブルなく最大の効果を発揮するには優れた安定のエマルジョン燃料を作ることである。本発明の乳化剤を使用することにより極微粒化した均一分散の安定した乳化状態の各油種別エマルジョン燃料が得られ、従来のエマルジョン燃料では不可能であった長期間の貯蔵が出来るようになり、そのため燃焼機器に付設して使用する乳化装置も必要がなく純石油燃料同様に従来の燃焼機器で使用することができるようになった。またエマルジョン燃料の本来の目的である省エネルギー効果と公害防止の効果においても本発明の乳化剤を使用することにより十分に満たすことが出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(1)から(7)の成分からなる油中水滴型エマルジョン燃料用乳化剤。
(1)A重油・・・・・・50ml以上100ml
(2)B重油・・・・・100ml以上200ml
(3)C重油・・・・・300ml以上450ml
(4)メタノール・・・100ml以上150ml
(5)エタノール・・・100ml以上200ml
(6)パーム油・・・・100ml以上150ml
(7)水・・・・・・・100ml以上200ml

【公開番号】特開2009−91593(P2009−91593A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2009−19466(P2009−19466)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(509032081)
【出願人】(509031844)
【Fターム(参考)】