説明

油中油型エマルション

連続する第2の油相中に液滴として分散した第1の油相を含有する、安定な油中油型エマルションが開示されており、液滴が、10nmから1000nmという粒径の個数中央値を有し、前記第1の油相が、前記第2の油相中で実質的に不混和性であり、前記第1の油相が、液体有機リン酸塩化合物を含んでいる。1つの好ましい実施形態において、前記第1の油相は、エマルションの特定の用途に応じて、着色剤、重合体、及び/又は、他の添加剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、種々の用途における油中油型の組成物に関し、特に、分散相中の種々の物質を効果的に可溶化する能力がある非極性油に分散した非極性油に関する。
【背景技術】
【0002】
エマルション等のコロイド分散系は、2種類以上の互いに不溶性又は控えめに可溶性の液体からなる分散系である。その液体の1つは通常余分に存在し、連続相又は外相と呼ばれるが、その中に分散される液体は、分散相、不連続相、又は内相と呼ばれている。連続相が水からなり、分散相が、鉱物油等の有機液体からなる場合、水中油(O/W)型エマルションという用語が使用される。水が、有機液体又は非水性液体に微細に分散される場合、油中水(W/O)型エマルションが生成される。2種類の有機液体が互いに乳化される場合、油中油(O/O)型エマルション又は分散という用語が使用される。
【0003】
シリコーン等の非極性油を含有しているO/W型及びW/O型エマルションが一般的であり、どちらの相も本質的に非極性であるO/O型エマルションは比較的まれである。The Journal of Colloid and Interface Science, Volume 195,Pages 101〜113,Article No.CS975158,Jan.1,1997は、特定のシリコーン油中パラフィン油のO/O型エマルション、並びに、特定のパラフィン油中シリコーン油のO/O型エマルションを記載している。同様に、シリコーン油中ヒマシ油のエマルションが、薬物送達のための製剤として、the Journal of Drug Deliver Science and Technology(2004), 14(2), 113〜117に記載されている。
【0004】
米国公開特許出願第2004/0002429号は、低い粘度の、比較的非極性な炭化水素の分散媒、及び、少量の不混和性又はいくぶん混和性の極性な炭化水素流体を含んだエマルションを含む潤滑油の組成物を記載している。
【0005】
国際公開WO2003/000396 A1号は、化粧用途に有用で、グラフト共重合体及びブロック共重合体により安定した、連続相又は分散相としてシリコーンを含むエマルションを記載している。
【0006】
米国特許第6,080,394 A号は、乳化剤によりシリコーン油連続相に分散した非水性極性溶媒の相を含有している油中非水性極性溶媒型エマルションの組成物を開示している。米国特許第6,238,657 B1号は、油相の1つがシリコーン油であり、もう一方の油相が鉱物油又はヒマシ油等の有機油である、安定したO/O型エマルション、並びに、これらのエマルション由来の三相水性エマルション、及び、個人の健康管理の応用におけるそのようなマルチエマルションの使用を記載している。
【0007】
低い誘電率を有する、ドデカン等の脂肪族炭化水素等におけるO/O型エマルションの形成は、軽視すべきものではない。一般に、エマルションの形成において、液滴又は粒子の安定分散は、2種類の液滴間の引力ポテンシャルが反発ポテンシャルよりも小さい場合に生じる。反発ポテンシャルは、分散媒の誘電率に対して正比例であるため、安定分散は、脂肪族炭化水素等の非常に低い誘電率の媒体では容易に達成できない。
【0008】
議論するべき別の問題は、ドデカン等の低密度の炭化水素溶剤に分散した粒子の場合に、時間と共に生じる分散相の沈降であり、その沈降は、以下の方程式により流体中の粒子の沈降速度を規定するストークスの法則によって決定される:
【0009】
【数1】

ここで、V=沈降の速度、g=重力の加速度、r=粒子又は分散相の半径、d=分散相の密度、d=媒体の密度、及び、μ=連続相の粘度である。沈降又は粒子のクリーミングの問題は、エレクトロフォレティック、エレクトロウェッティング、又はエレクトロクロミックディスプレー装置等の、粒子が液体システム中に分散する電気光学変調ディスプレー装置に特に関連する。そのようなシステムにおける粒子は、クリーミングでも沈降でもなく、中立的に浮揚性のあるままで残ることが重要である。分散相、一般的に固体の粒子、並びに連続相の粘度及び密度のずれが、通常非常に大きいため、高分子の添加剤を用いて連続相の粘度を増加する等の技術が、この影響を克服するために使用される。しかし、そのような解決策は、例えば、粒子の電気移動を弱める等の潜在的な欠点を生じうる。
【0010】
一般的な油中油型エマルションを入手するという難しさ及びまれなことを考慮に入れると、所与の応用に有利であり得る、二相が特定の望ましい性質を有するようなエマルションを入手することは、特に挑戦である。例えば、多数の特定の用途において、シリコーン油を分散相として使用することは、その分散相に効果的に可溶化又は分散できる添加剤を限定してしまう。
【0011】
従って、シリコーン油が相のうちの1つである従来技術のO/O型エマルションでは得ることができない、連続相も分散相も特定の望ましい性質、又は性質の組合せを持つよう設計することができるO/O型エマルションが必要である。エマルション相のうち両方又は1つに望まれる可能性がある性質の中に、用途に応じて、低い誘電率により明示される無極性が含まれる。さらに、分散相が、着色剤、重合体、又は他の添加剤をその分散相に容易に取り込む能力を持つよう所望されることがある。改善された又は有利な性質を有するO/O型エマルションは、一般の油中油型エマルションを必要とする種々の用途に有用であるだろう。さらに、これまで入手可能ではない性質を有するO/O型エマルションは、そのような物質のための新たな用途を開発する機会を提供するであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
コロイド的に安定なO/O型エマルションを提供することが本発明の目的であり、そのエマルションは、任意選択で、着色剤又は他の添加剤を分散油の液滴に含有し、連続相にも分散相にも使用されるどちらの油も比較的低い誘電率を示している。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記の問題のうち1又は複数の問題を克服することに向けられている。簡潔に要約すると、本発明の一態様に従い、組成物は、連続している第2の油相中に液滴として分散した第1の油相を含有する油中油型エマルションを含み、液滴は、10ナノメートル(nm)から1000nmという粒径の個数中央値を有し、前記第1の油相は前記第2の油相中で実質的に不混和性であり、さらに、第1の油は液体有機リン酸塩化合物を含む。好ましい実施形態において、前記第1の油相は、着色剤、重合体、及び/又は他の添加剤を含む。
【0014】
O/O型エマルションは、コロイド的に安定であり、極度に低い沈殿速度のため沈殿せず、中立的に浮揚性があるままで残り、及び、狭い粒径分布を有していることが好ましい。1つの好ましい実施形態において、2つの相、連続相と分散相は、一致した屈折率を有し、分散相は連続相とは別に着色されている。そのようなO/O型エマルションは、分散油相中の油による効果的な着色剤の封入のため、種々の異なる着色剤に対して実質的に共通の分散相の表面を提供し、それによって、電動ディスプレー、液体調色システム、静電印刷インク等の画像システムを含めた用途に応じて、所与のカラーシリーズに渡りより予測可能な作用を提供するのに有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
「油」という用語は、水と混和できず、一般的に可燃性で、不揮発性であることが好ましいけれども、エーテルに溶けやすい液体化合物として定義される。「油成分」という用語は、油の混合液又は単一の油を含めた、1又は複数の油を意味する。
【0016】
「誘電率」という用語は、物質の磁場を支持する能力の程度を意味し、物質の極性の程度である。媒体の誘電率「ε」は、真空中の場合と比較して、距離rで隔てられた荷電粒子qとqの引力Fを減少する能力である。誘電率「ε」は、方程式F=q/(εr)によりここでは定義される。一部のよく知られた物質の誘電率は、以下の通りである:水、80.4;メタノール、33.6;及び、ベンゼン、2.3。水等の高誘電率溶媒は、通常極性の官能基を有しており、さらに、高い双極子モーメントを有している場合が多い。
【0017】
「相」という用語は、その相の全体の組成物に言及すると意味し、その中で溶解又は分散した液体の油成分もいかなる添加物も含んでいる。「油成分」、「液体担体」、又は「流体」という用語は、油相に含まれる、全体の有機溶剤、又は、液体有機溶剤の混合液を意味し、その溶剤は、室温での純粋な形状では本質的に液体であり、液体に溶解又は分散される固体物質は本質的に含んでいない。状況に応じて、種々の性質は、相の組成物全体又はその相における油成分のみを意味することができる。
【0018】
本発明は、低誘電性の、本質的には不発揮性の有機リン酸塩の液体を含有する不連続油相の液滴を含む油中油(O/O)型エマルションに関し、その有機リン酸塩の液体は、本質的に不発揮性の炭化水素等、別の低誘電性の有機液体の連続相に分散している。好ましくは、これらのエマルションは、着色剤、及び、コロイドの安定性を促進するための分散剤を少なくとも1つさらに含む。1000nmを超えない粒径の個数中央値を有するエマルションは、コロイド的に安定であり、狭い粒径分布を有していることが好ましい。エマルションは、比較的簡単で安価な処理により配合することができる。
【0019】
連続油相のための液体担体は、用途に応じて、誘電率、沸点、及び溶解度等の所望の性質に基づいて選択することができる。一実施形態において、好ましい液体担体は、低い誘電率(10未満)、高い沸点(大気圧で100℃を超える)、及び、25℃で50cP未満の粘度を有している。不連続相の流体は、連続相の流体において、室温で1重量パーセント未満の溶解度を有していることが好ましい。さらに、O/O型エマルションにおける分散相の沈降速度を最小化し、エマルションの液滴の中立の浮揚性を維持するために、ストークスの法則によると、不連続相と連続相との密度の差は小さくあるべきであり、分散相の液滴における中央粒径は十分に小さくあるべきである。
【0020】
連続相のための油の選択は、化学的不活性、及び、分散油相との化学的適合性にさらに基づく場合がある。電気工学的に変調された磁場等、分散した液滴の移動が所望されている場合、流体の粘度は低くあるべきである。O/O型エマルションを通る光の透過率を最適化することが望まれる用途では、連続相の液体の屈折率を液滴の屈折率に実質的に一致させることにより、散乱を最小化することが所望される場合がある。本明細書に使用されているように、連続相の屈折率は、分散相の屈折率に、それぞれの屈折率間の差がゼロから0.3、好ましくは0.05から0.2である場合、「実質的に一致する」。さらに、重合体及び着色剤の分散を生じるのに有用な高分子物質の範囲を広げるために、連続相の液体は、分散油相に取り込まれる一部の重合体及び着色剤に対して不良溶剤であるよう選択することができ、その条件は液滴の製造において有利である。
【0021】
連続相は、1又は複数の実質的に非極性の油を含む。nは6から20であり得る、一般的な式、C2n+2の置換又は非置換の飽和した線状又は分枝炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化有機溶剤、及びシリコーン油等の有機液体は、連続相のためのいくつか適切な種類の液体状の流体であり、流体は、その化学的及び物理的性質を調整するために、単一の油、又は、1を超える油の混合物を含むことができる。有用な炭化水素は、それだけに限らないが、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、キシレン、トルエン、ナフタレン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、ISOPARシリーズ(Exxon社)、NORPAR(Exxon社からの直鎖パラフィンの液体のシリーズ)、SHELL−SOL(Shell社)、及びSOL−TROL(Shell社)における脂肪族炭化水素、ナフサ、STENCIL CLEAN(Qtek社)、並びに、灯油(superior kerosene)、パラフィンの液体、白色鉱油、又は、その適切な混合物等、他の石油溶剤を含む。これらの物質は、通常、低い密度を有している。シリコーン油の有用な例は、それだけに限らないが、オクタメチルシクロシロキサン、並びに、より高い分子量の環状シロキサンである、ポリ(メチルフェニルシロキサン)、ヘキサメチルジシロキサン、及び、ポリジメチルシロキサンを含む。これらの物質は、通常、低い密度を有している。他の有用な有機液体は、それだけに限らないが、例えばデカンエポキシド及びドデカンエポキシド等の有機エポキシド;並びに、例えばシクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテルを含む。
【0022】
さらに、連続油相は、分散油滴の表面エネルギー又は表面電荷を修飾するために表面修飾剤を含むことができる。ここで再び、上記のように本発明により禁止されているわけではないが、好ましくは、連続相の流体は透明であり、それ自体はいかなる色も示さない。連続相は、低い誘電率を示し、実質的にイオンを含んでいないことが好ましい。
【0023】
本発明による分散油相又は不連続油相は、有機リン酸塩の液体を含む。好ましい有機リン酸塩の液体は、例えば、分枝又は非分枝のアルキル、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリール、並びに、リン酸ジアルキル、リン酸ジアリール、リン酸トリアルキル、及び、リン酸トリアリール等のリン酸アルキルアリールベースの溶剤を含み、有機基は、置換又は非置換することができ、好ましい置換基は、ハロゲン及びエーテル等の非極性基を含んでいる。好ましい実施形態において、有機リン酸塩の液体は、リン酸ジアルキル又はリン酸トリアルキルであり、リン酸ジアルキル又はリン酸トリアルキルの各アルキル基は、1から10個の炭素原子、より好ましくは2から8個の炭素原子を有している。別の好ましい実施形態において、アリール基は、例えばリン酸トリクレシル等の置換された環であり得る。リン酸ジアルキル又はリン酸トリアルキル、及び、リン酸アリールのアルキル基又はアリール基は、全て同じであるか、又は、全て違いうる。特に好ましいリン酸トリアルキルは、リン酸トリエチルである。異なるリン酸ジアルキル及びトリアルキル、並びに、リン酸ジアリール及びトリアリールの混合物も使用することができる。好ましくは、これらのリン酸塩は、大気圧で100℃を超える沸点、25未満の誘電率、及び、25℃で100cP未満の粘度を有し、さらに、連続相中で実質的に不溶解性である。さらに、分散油相の液体中に重合体及び任意選択で着色剤が取り込まれた後、分散油相の最終的な粘度は、連続相における分散性を容易に得るために、25℃で200cP未満、より好ましくは100cP未満であることが好ましい。
【0024】
分散相のための油の流体は、連続相において、エマルションが形成される温度で小滴になる能力があるべきである。小滴を形成するための処理は、流動のジェット、膜、ノズル、又はオリフィス、並びに、高剪断の乳化剤及び高圧のホモジナイザーを含む。小滴の形成は、電場又は音場の使用により促進することができる。
【0025】
1又は複数の分散剤(界面活性剤を含む)を使用して、連続相における液滴の安定化及び乳化に寄与することができる。分散剤は、連続相に溶解でき、分散相では控えめに溶解でき、さらに、粒子の凝結を防ぐために添加できる化合物(重合体を含む)である。本発明のエマルションを形成するのに有用な分散剤は、種々のイオン及び非イオン乳化剤を含む。一般に、液滴の壁に対して複数のアンカー部位を有する分散剤は、液滴を効果的に安定化することにおいて利点を有している。分散剤の混合物を使用して、液滴の乳化及び安定化に対する必要条件、並びに、必要なエマルション性質を得ることができる。
【0026】
本発明のO/O型エマルションを形成するのに使用される好ましい分散剤を表しているリストの一部として、ポリ(スチレン−co−メタクリル酸ラウリル−co−メタクリル酸スルホエチル)、ポリ(ビニルトルエン−co−メタクリル酸ラウリル−co−メタクリル酸リチウム)、ポリ(ビニルトルエン−co−メタクリル酸ラウリル−co−メタクリル酸リチウム)、ポリ(スチレン−co−メタクリル酸ラウリル−co−メタクリル酸リチウム)、ポリ(t−ブチルスチレン−co−スチレン−co−メタクリル酸スルホエチルリチウム)、ポリ(t−ブチルスチレン−co−メタクリル酸ラウリル−co−メタクリル酸リチウム)、ポリ(t−ブチルスチレン−co−メタクリル酸リチウム)、ポリ(t−ブチルスチレン−co−メタクリル酸ラウリル−co−メタクリル酸リチウム−co−メタクリル酸)、及び、ポリ(ビニルトルエン−co−メタクリル酸ラウリル−co−p−トルエンスルホン酸メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム)が挙げられる。有用なブロック又は櫛型共重合体の分散剤は、それだけに限らないが、(A)p−トルエンスルホン酸メチルで四級化されたメタクリル酸2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルからなる重合体と(B)ポリ(メタクリル酸2−エチルヘキシル)とのABジブロック共重合体、及び、ポリ(12−ヒドロキシステアリン酸)からなる油溶性のテールを有し、ポリ(メタクリル酸メチル−メタクリル酸)からなる油溶性のアンカー基上に分子量1800の付属物を有する櫛型グラフト共重合体を含む。有用な有機アミドは、それだけに限らないが、OLOA11000、OLOA1200(Chevron社)、及び、N−ビニルピロリドン重合体等のポリイソブチレンスクシンイミドを含み、オレイン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、及びアラキン酸由来のもの等、OLOA11000の脂肪酸塩を含んでいる。有用な有機両性イオンは、それだけに限らないが、レシチンを含む。有用な有機リン酸塩及び有機ホスホン酸塩は、それだけに限らないが、飽和及び不飽和酸の置換基を有するリン酸化モノ及びジグリセリドのナトリウム塩を含む。適切なポリエステルアミンの分散剤の例として、SOLSPERSE13940(Noveon社)、及び、特に、GB−A−2001083に記載されている分散剤が挙げられ、すなわち、遊離のカルボン酸基を有するポリエステルとのポリ(低アルキレン)イミンの反応生成物を含み、少なくとも2つのポリエステル鎖が各ポリ(低アルキレン)イミン鎖に結合している。所望であれば、分散剤の混合物を使用することができる。
【0027】
特に有用な分散剤は、少なくとも2つの異なる区分を含んだ化合物を含み、第1の区分は、分散相への吸収のためにヘテロ原子を含み、第2の区分は、連続相可溶性部分(continuous−phase soluble moieties)を含んでいる。例えば、第1の区分は、結合のためにアミン基を含むことができ、第2の区分は、第2の相との適合性のために、単量体の反復単位を含むことができる。そのような化合物は、商標OLOA11000及びSOLSPERSE13940(ポリエステルアミン(アジリジン−ヒドロキシステアリン酸共重合体))及びポリ(t−ブチルスチレン−co−メタクリル酸リチウム)の下、商業的に売られている。好ましい界面活性剤は、OLOA11000、ポリエチレンイミンで置換されたポリイソブチレンのスクシンイミド誘導体(a polyethyleneimine substituted succinimide derivative of polyisobutylene)である。
【0028】
上記で示されているように、O/O型エマルションの分散相は、例えば、顔料、重合体、レーキ顔料、染料、顔料−重合体の複合材料、染料−重合体の複合材料、又は、上記の一部の組合せ等、有用な組成物を含むことができ、並びに、含んでいることが好ましい。好ましくは、顔料、重合体、及び/又は顔料−重合体の複合材料は、分散相に対して1から50重量パーセントの総量で分散第1油相に存在し、分散相の油の流体は、分散相に対して50から99重量パーセントで存在する。一実施形態において、分散油相は、分散油相に対して1から30、好ましくは1から15重量パーセントで、及び、分散油相に分子的に溶解された1又は複数の重合体に対して0.1から60、好ましくは1から40重量パーセントで着色剤(顔料又は染料を含む)を含む。顔料、レーキ顔料、又は、顔料−重合体の複合材料は、分散油相中に分散するために、分散油相の直径に対して十分小さな平均粒径を有するべきであり、好ましい平均粒径は、平均で10から100nmである。
【0029】
一実施形態において、顔料−重合体の複合材料は、重合体と着色剤の溶解合成、その後、粉砕、摩擦、又はボールミル粉砕による等の物理的な処理によって形成することができる。そのような複合材料は、従来の電子写真トナーを作製するために以前から使用され、当業界においては周知であり、そのようなトナーを作製するために使用される重合体及び着色剤を含み、多くの業者から商業的に入手可能である。顔料−重合体の複合材料は、重合体が油に溶解するまで複合材料を混ぜ入れることにより、分散相のために油の流体内に混合することができる。顔料も、重合体が存在してもしなくても、分散相のために油の流体内で粉砕することができる。顔料−重合体の複合材料中の顔料は、例えば、顔料−重合体の複合材料に対して0.1から80重量パーセントで存在することができる。顔料−重合体の複合材料は、分散相に対して1から50重量パーセント、好ましくは5〜30重量パーセント、及び、最も好ましくは10〜25重量パーセントで使用することができる。
【0030】
本発明の実施において、着色剤を用いた又は用いない油液滴内への取り込みに有用な重合体は、油溶性樹脂であり、それだけに限らないが、ポリエステル、例えばスチレン及びクロロスチレン等のスチレン;例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、及びイソプレン等のモノオレフィン;例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、及び酪酸ビニル等のビニルエステル;例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、及びメタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、及びビニルブチルエーテル等のビニルエーテル;並びに、例えばビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、及びビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン;並びにその混合物等の同種重合体及び共重合体を含むことが好ましい。特に望ましいバインダー樹脂は、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン/アルキルアクリル酸共重合体、スチレン/アルキルメタクリル酸共重合体、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリエチレン樹脂、及び、ポリプロピレン樹脂、並びに、その混合物を含む。バインダー樹脂は、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカプロラクトン系樹脂、変性樹脂、パラフィン、及び、ろう、並びに、その混合物をさらに含む。好ましい実施形態において、O/O型エマルションに最も好ましい樹脂はポリエステルであり、分散油相の油成分に溶解できる。適切なポリエステル樹脂は、ビスフェノールA由来のポリエステルを含む。1つの好ましい重合体は、例えば、ビスフェノールA由来のポリエステル共重合体であるTUFTONE NE−303(Kao社)等のポリエステルである。
【0031】
分散相中の任意の重合体は、特定の用途に応じて、その重合体の封入により与えられることになる所望の性質に基づいて選択することができる。例えば、エマルションが電場又は磁場を受けた場合に、連続相中の分散相の移動性を制御するために、荷電基で官能化された重合体を使用することができる。任意の重合体は、例えば、分散相/液滴の粘度に影響する等、他の所望された性質から選択することができる。
【0032】
本発明に有用な染料は、純な化合物、又は、黒を含めた特定の色を得るための染料の混合物であり得る。染料は蛍光性であり得る。染料は、可視光線又は紫外線による照射後に別の色に変わる、又は、無色になるといった感光性であり得る。染料は、例えば、熱、光化学、又は化学拡散処理により重合可能でもありえ、固体の吸収性重合体を液滴の内部に形成する。染料に所望される性質は、耐光堅牢度、懸濁液体における溶解度、及び、色を含む。低コストも好材料である。これらの染料は、一般的に、アゾ、アントラキノン、及びトリフェニルメタン系の染料のクラスから選ばれ、油相におけるその溶解度を増加するように、化学的に変性することができる。有用なアゾ染料は、それだけに限らないが:オイルレッド染料、並びに、スダンレッド及びスダンブラックシリーズの染料を含む。有用なアントラキノン染料は、それだけに限らないが:オイルブルー染料、及び、MACROLEXブルーシリーズの染料を含む。有用なトリフェニルメタン系染料は、それだけに限らないが、ミヒラーハイドロール(Michler’s hydrol)、マラカイトグリーン、クリスタルバイオレット、及び、オーラミンOを含む。
【0033】
適切な顔料はいかなる顔料でもありえ、通常、淡色の粒子には、ルチル(チタニア)、アナターゼ(チタニア)、硫酸バリウム、カオリン、又は、酸化亜鉛等の顔料が有用である。一部の典型的な粒子は、高い屈折率、高い散乱係数、及び、低い吸収係数を有している。ペンキ及びインクに使用されるカーボンブラック又は有色顔料等の他の粒子は、吸収性がある。顔料は、連続相中でも不溶性であるべきである。diarylide yellow、HANSA yellow(Clariant社)、及び、benzidine yellow等の黄色顔料も、類似のディスプレーにおいて使用されている。顔料ではない物質を含めて、いかなる他の反射物質も、金属粒子等の淡色の粒子に使用することができる。
【0034】
有用で適切な顔料は、それだけに限らないが、PbCrO、SUNFAST Blue15:3、SUNFAST Magenta122、Cyan blue GT55−3295(American Cyanamid社、Wayne,N.J.)、CIBACRON Black BG(Ciba社、Newport,Del.)、CIBACRON Turquoise Blue G(Ciba社)、CIBALON Black BGL(Ciba社)、ORASOL Black BRG(Ciba社)、ORASOL Black RBL(Ciba社)、Acetamine Black、CBS(E.I.DuPont de Nemours and Company社、Wilmington,Del.以下に「DuPont社」と省略される)、CROCEIN scarlet NEX(DuPont社)(27290)、FIBER BLACK VF(DuPont社)(30235)、LUXOL FAST BLACK L(DuPont社)(Solv.Black17)、NIROSINE Base No.424(DuPont社)(50415 B)、Oil Black BG(DuPont社)(Solv.Black16)、ROTALIN Black RM(DuPont社)、SEVRON Brilliant Red 3B(DuPont社);Basic Black DSC(Dye Specialties社)、HECTOLENE BLACK(Dye Specialties社)、AZOSOL Brilliant Blue B(GAF社、Dyestuff and Chemical Division、Wayne,N.J.)(Solv.Blue9)、AZOSOL Brilliant Green BA(GAF社)(Solv.Green2)、AZOSOL Fast Brilliant Red B(GAF社)、AZOSOL Fast Orange RA Conc.(GAF社)(Solv.Orange20)、AZOSOL Fast Yellow GRA Conc.(GAF社)(13900 A)、Basic Black KMPA(GAF社)、BENZOFIX Black CW−CF(GAF社)(35435)、CELLITAZOL BNFV Ex Soluble CF(GAF社)(Disp.Black9)、CELLITON Fast Blue AF Ex Conc(GAF社)(Disc.Blue9)、Cyper Black IA(GAF社)(Basic Black3)、Diamine Black CAP Ex Conc(GAF社)(30235)、Diamond Black EAN Hi Con.CF(GAF社)(15710)、Diamond Black PBBA Ex(GAF社)(16505);Direct Deep Black EA Ex CF(GAF社)(30235)、HANSA Yellow G(GAF社)(11680);INDANTHRENE Black BBK Powd.(GAF社)(59850)、INDOCARBON CLGS Conc.CF(GAF社)(53295)、KATIGEN Deep Black NND Hi Conc.CF(GAF社)(15711)、RAPIDOGEN Black 3G(GAF社)(Azoic Black4);SULPHONE Cyanine Black BA−CF(GAF社)(26370)、ZAMBEZI Black VD Ex Conc.(GAF社)(30015);RUBANOX Red CP−1495(The Sherwin−Williams社、Cleveland,OH)(15630);REGALI330(Cabot社)、RAVEN 11(登録商標)(Columbian Carbon社、Atlanta,Ga.)(25μmの粒径を有するカーボンブラックの集合体)、STATEX B−12(Columbian Carbon社)(33μmの平均粒径からなるファーネスブラック)、及び、クロムグリーンを含む。
【0035】
レーキ顔料は、その上に沈殿する染料を有する粒子であり、容易に溶解できるアニオン染料の金属塩である。これらの顔料は、1又は複数のスルホン酸基又はカルボン酸基を含有するアゾ、トリフェニルメタン系、又は、アントラキノン構造の染料である。レーキ顔料は、通常、カルシウム、バリウム、又は、アルミニウム塩により基板上に沈殿させられる。典型的な例は、Peacock Blue lake(Cl Pigment Blue24)及びPersian orange(lake of Cl Acid Orange7)、並びに、カーボンブラックとカーボンブラックに沈殿した黒色染料との混合物であるBlack M TONER(GAF社)である。
【0036】
顔料−重合体の複合材料は、顔料及び重合体に加えて、第四級アンモニウム及びホスホニウムの化合物を含んだ有機カチオン等の他の添加剤も含有することができる。これらの添加剤の例として、ラウラミドプロピルトリメチルアンモニウム硫酸メチル、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムm−ニトロベンゼンスルホン酸塩、メチルトリフェニルホスホニウム テトラフルオロホウ酸塩、及び、メチルトリフェニルホスホニウム p−トルエンスルホン酸塩が挙げられる。
【0037】
例えば、不連続相が、連続相に対して1〜50重量パーセント、好ましくは5〜40重量パーセントで存在するように、不連続相のための油に分散された顔料−重合体の複合材料を、連続相のための油と混合させることにより、及び、O/O型エマルションが形成されるまで、室温にて、例えばホモジナイザー等の剪断力を用いて組成物を混合することにより、O/O型エマルションを作製するための処理は実行される。バッチミキサー、遊星形ミキサー、一軸若しくは多軸スクリュー押出機、ダイナミック若しくはスタティックミキサー、コロイドミル、高圧ホモジナイザー、ソニケーター、又は、その組合せ等のいかなる種類の混合及び剪断装置を使用しても、これらのステップを行うことができる。いかなる高剪断タイプの撹拌装置も本発明の処理に対して利用可能であるが、好ましいホモジナイズ装置は、Microfluidics Manufacturingにより製造されたModel No.110T等のMICROFLUIDIZERである。この装置では、第1の油相(不連続相)の液滴が、第2の油相(連続相)において、高剪断の撹拌領域で分散され、サイズが減少する。この領域を出た後、分散した油の粒径は、連続相における均一サイズの分散液滴まで減少する。処理温度は、液滴の乳化にとって最適の粘度を得るよう変更することができる。O/O型エマルション液滴における粒径の個数中央値は、1000nm以下、好ましくは500nm未満であるが、少なくとも10nm、より好ましくは少なくとも25nmである。
【0038】
本発明によるO/O型エマルションは、エレクトロフォレティック又はエレクトロウェッティングディスプレー等の電気光学変調ディスプレー装置を含めた、既知又は新たに開発された用途等、種々の用途に使用することができる。画像応用は、例えば、移動画像及び液体調色システムを含み、画像応用は、インク分割及び転移のために静電気学を使用する。工業的応用は、例えば、機械的装置のための塗膜及び潤滑膜を含む。
【0039】
本発明の1つ特定の実施形態において、本発明によるO/O型エマルションは、電気光学変調されたディスプレー装置のディスプレー流体として有用であり、例えばエレクトロフォレティック、エレクトロウェッティング、及び、エレクトロクロミックディスプレー装置等の、画像材料の可視光線の状態が、その画像材料に少なくとも電場又は電子の輸送を受けさせることにより、変調又は変更されるディスプレー装置を意味している。液体システムは、50から95%重量パーセントの連続相、及び、5から50%重量パーセントの着色した分散油の液滴を含有していることが好ましい。
【0040】
以下の例は、本発明の実施を示している。これらの例は、本発明における全ての可能な変形を示す完全なものであるとは意図されていない。
【実施例】
【0041】
以下の例で使用した、ビスフェノールA型ポリエステル樹脂重合体(密度1.16g/cc)のTUFTONE NE−303を、日本の花王株式会社の一部であるKao Specialties Ameicas LLCから入手した。実施例に使用したカーボンブラックの顔料であるREGAL330(密度1.8g/cc)を、Billerica、MAのCabot社から入手した。有色顔料であるSUNFAST BLUE15:3(PB15:3)及びSUNFAST MAGENTA122(PR122)を、Sun Chemicals社から入手した。リン酸トリエチル(TEP)、リン酸トリ−m−クレジル(TmCP)、及び、n−ドデカンを、Milwaukee、WIのAldrich Chemical社から購入した。鉱物油において62%活性である、OLOA11,000ポリイソブチレンスクシンイミドを、カリフォルニアのサンラーモンにあるChevron社から入手した。SOLSPERSE13940を、Noveon社から入手し、3重量パーセントのメタクリル酸リチウムを含有するポリ(t−ブチルスチレン−co−メタクリル酸リチウム)(tBSLM)を、米国特許第3,788,995号に記載の方法に従い作製した。使用した第四級アンモニウム及びホスホニウムの添加剤は、ラウラミドプロピルトリメチルアンモニウム硫酸メチル(A)、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムm−ニトロベンゼンスルホン酸塩(B)、メチルトリフェニルホスホニウム テトラフルオロホウ酸塩(C)、及び、メチルトリフェニルホスホニウム p−トルエンスルホン酸塩(D)であった。これらの添加剤は、米国特許第4,834,920A号及び4,837,391A号に記載のように作製した。
【0042】
以下の表1は、種々の油相成分及びその性質を列挙している。粘度は、ブルックフィールドコーン/プレート型粘度計を用いて25℃で測定した。他のパラメーターは、種々の公開された文献源から入手し、添加剤を含有する油相の密度は、加重平均から算出した。
【0043】
【表1】

〔実施例1〕
25重量パーセントのRegal330及び75重量パーセントのTUFTONE NE−303重合体を含有する顔料−重合体の樹脂複合材料(4g)を、周囲温度で16グラムのTEPに溶解した。これを、分散剤に対する分散相の比が5:1であるように、Silverson社からのオーバーヘッドSILVERSON L4Rミキサーを1分間最高速度で用いて、4gのOLOA11000(100%活性)を含有するドデカン76gに分散した。結果として生じる分散液を、Microfluidics社からのMICROFLUIDIZER Model#110Tを用いて、微細分散液を得るまで12,000lbs/sqインチの圧力でホモジナイズした。粒径の個数中央値D(n)を、低角度レーザー光散乱法を使用するMALVERN ZETASIZER ZS、及び、波長633nmの4mW He−Neレーザーを用いて測定した。D(n)は、この値を超えて50%が分布し、及び、この値より下に50%が分布するように、母集団を厳密に2つの等しい部分に分ける粒径であり、以下の表2に列挙している。この実施例及び以下の例に記述したエマルションは、最小の沈殿粒径及び無変更粒径により示されているように、周囲温度で数ヶ月間安定であった。ストークスの法則により算出され、以下の例全てに示されているO/O型エマルションの平均沈降速度は、約1×10−8ms−1である。
〔実施例2〜3〕
REGAL330の代わりに有色顔料PR122及びPB15:3を用いたことを除き、上記の実施例1と同じ方法を使用して、以下の例に記述されているO/O型分散液全てを作製した。
〔実施例4〜5〕
実施例4を、分散相のための油をTmCPと取り替えたことを除いて、実施例1のように調製した。実施例5を、実施例1と同じように、しかし、着色剤無しで行った。
【0044】
【表2】

上記の表2は、分散相の油において異なる着色剤を用いて作製したO/O型エマルションを示している。粒子全てが、粒径の個数中央値(Dn)からわかるように小さく、類似の変動係数(CV)値を有した。エマルションは、実施例1に記述されているように、周囲温度で数ヶ月間安定であった。
〔実施例6〜8〕
これらの実施例のためのO/O型エマルションを、表3に示されたように、顔料−重合体複合材料がアンモニウム又はホスホニウムの添加剤を有したことを除いて、実施例1のように作製した。これらの添加剤を、5重量パーセントのTUFTONE重合体を取り替えるために使用した。以下の表3により、中央粒径は小さく、CVは狭い範囲で一貫していることが示されている。
【0045】
【表3】

エマルションは、実施例1に記述されているように、周囲温度で数ヶ月間安定であった。
〔実施例9〜13〕
これらの実施例では、他の分散剤を使用してO/O型エマルションを作製した。顔料−重合体の複合材料は、上記の実施例6〜8に使用したものと同じであった。以下の表4が示しているように、分散剤としてtBSLMを、及び、実施例6〜8において指定した比を用いて行った実施例9〜12により、小さな中央粒径及び狭いCVが与えられた。実施例13を、SOLSPERSE13940をtBSLMの代わりに使用したことを除いて、再び同じ方法で行った。より小さな粒径のエマルションを得た。
【0046】
【表4】

これらの実施例に記述されたエマルションは、実施例1に記述されているように、周囲温度で数ヶ月間安定であった。
〔実施例14〜17〕
これらの実施例において、顔料−重合体の複合材料は、オレイン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、及びアラキン酸由来のOLOA11000の脂肪酸塩を分散剤として使用し、O/O型エマルションを作製したことを除いて、実施例1で使用したものと同じであった。以下の表5が示しているように、分散剤として第四級脂肪酸塩(Quaternary fatty acid salts)を用いて行った実施例14〜17により、一貫して小さい中央粒径及び狭いCVが与えられた。
【0047】
【表5】

これらの実施例に記述されたエマルションは、実施例1に記述されているように、周囲温度で数ヶ月間安定であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続する第2の油相中に液滴として分散した第1の油相を含有する、コロイド的に安定な油中油型エマルションを含む組成物であって、前記液滴が、10nmから1000nmという粒径の個数中央値を有し、前記第1の油相が、前記第2の油相中で実質的に不混和性であり、前記第1の油相が、第1の油成分として1又は複数の油を含み、第2の油相が、第2の油成分として1又は複数の油を含み、前記第1の油成分が、少なくとも1つの液体有機リン酸塩化合物を含み、前記第1の油相が、任意選択で、着色剤及び/又は重合体をさらに含む、組成物。
【請求項2】
分散剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記分散剤が、分散相ではなく連続相中に実質的に溶解できる有機重合体である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記2相のそれぞれの屈折率間の差が、ゼロから0.3であるように、前記連続する第2の油相の屈折率が、前記分散した第1の油相の屈折率に実質的に一致する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記それぞれの屈折率間の差が、0.05から0,2である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記第1及び第2の油成分の誘電率が、前記相の油成分にいかなる固体の添加剤も添加する前に、それぞれ、前記2相において、どちらも独立して25未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記連続する第2の油相が、10未満の誘電率を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記第2の油相が、C―C20アルカン、置換又は非置換の芳香族炭化水素、及びその混合物を含んだ、置換または非置換の、実質的に非極性な炭化水素からなる群から選択された溶剤を1又は複数含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記第2の油相が、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、キシレン、トルエン、ナフタレン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、石油溶剤、パラフィンの液体、白色鉱油、シリコーン油、及び、有機エポキシド、並びに、その混合物からなる群から選択された溶剤を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記液体有機リン酸塩化合物が、大気圧で100℃を超える沸点、25未満の誘電率、及び、25℃で100cP未満の粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記第1の油成分、及び、任意の重合体、着色剤、又は他の添加剤を含んだ前記第1の油相が、25℃で200cP未満の粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記第1の油成分としての前記1又は複数の油が、有機基を置換又は非置換することができる、分枝又は非分枝のアルキル、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリール、及び、リン酸アルキルアリール、並びに、その混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記第1の油成分としての1又は複数の油が、リン酸トリアルキル、リン酸トリアリール、及びその混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記分散した第1の油相及び前記連続する第2の油相の沸点が、それぞれ、大気圧で、独立して100℃を超える、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記分散した第1の油相が、分子的に溶解された重合体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記重合体がポリエステルである、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記分散した第1の油相が、着色剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記分散した第1の油相中の前記着色剤が、染料又は顔料ベースの着色剤である、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記着色剤が、10から100nmという平均粒径を有する顔料である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記顔料ベースの着色剤が、顔料が重合体中に分散した顔料−重合体の複合材料を含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
前記顔料−重合体の複合材料が、着色剤と重合体を溶解合成し、溶解物を凝固して、次に、固体の溶解物を粒子に粉砕、さもなければ物理的に分割した生成物である、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記分散した第1の油相が、着色剤も、分子的に溶解した重合体も含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記分散した第1の油相が、当該分散した第1の油相に対して1から30重量パーセントの量の着色剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
顔料、重合体、及び/又は、顔料−重合体の複合材料が、前記分散した第1の油相に対して1から50重量パーセントの総量で前記分散相に存在し、さらに、前記第1の油成分としての1又は複数の油が、前記分散相に対して50から99重量パーセントの量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記分散した第1の油相が、前記連続する第2の油相に対して1から50重量パーセントの量で存在する、請求項1に記載の組成物。

【公表番号】特表2009−526634(P2009−526634A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554269(P2008−554269)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/002543
【国際公開番号】WO2007/094960
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】