説明

油体担体、標的療法及び/又は検出におけるその使用、及びそれに含まれる融合タンパク質

【課題】油体担体と、標的療法及び/又は検出におけるその使用と、それに含まれる融合タンパク質とを提供する。
【解決手段】この油体担体はa)油体タンパク質と、リガンドペプチド、抗体ペプチド、細胞透過性ペプチド、又はこれらの組合せとを含む融合タンパク質と、b)脂質とを含む。該融合タンパク質と該脂質との重量/体積(μg/μl)比が約1/25以上であり、該油体担体の平均粒子サイズは約10nm〜約2000nmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油体担体、その使用、及びそれに含まれる融合タンパク質、特に油体担体の標的療法及び/又は検出における使用に関する。
《関連する出願への相互参照》
本出願は、2009年11月25日付で出願した台湾特許出願第098140119号の優先権を主張する特許出願である。
【背景技術】
【0002】
悪性腫瘍としても知られる癌は、体中で異常にかつ多数に分裂する細胞であり、生理的機能の異常を引き起こす。癌は現在治すことができないので人の死の主原因の1つである。
【0003】
従来、癌を治療する主な方法は、悪性腫瘍を体から手術で除去するか、癌細胞を化学薬品又は放射線で殺すことである。不幸にも、手術はしばしば危険で、実行するのが困難であり、幾つかの癌性細胞を完全には除去できない可能性がある。その結果、化学薬品及び放射線が使用されるが、この形態の治療は特異性がなく、従って、治療中、生理的機能を維持するために必要な他の正常な細胞も通常殺し、多くの副作用、例えば免疫機能の低下(例えば、白血球の数の減少)、吐き気、吐血、抜け毛、腸と胃の吸収機能の低下、貧血などを引き起こす。
【0004】
癌細胞の表面に幾つかの特別な分子バイオマーカーが通常存在することが発見された。この特徴に基づいて、近年、癌を治療するための標的療法が開発されてきた。標的療法の原理は、バイオマーカーを特異的に認識し、癌細胞の活性化を阻止するか、又は治療のために癌細胞の成長を効率的に防ぐことが出来る薬剤を設計することである。標的療法のために設計された薬剤は標的癌細胞を直接かつ正確に攻撃するので、体内の正常な細胞への薬剤の影響は相対的に少なくなる。このため、従来の方法に比べて、標的療法は低毒性、低副作用、高い効率、投与が容易等の利点を有しており、多くの注目を集めている。
【0005】
多くの種類の標的療法モードが報告されている。それらの1つは、担体により覆われるか、結合されるか、又は埋め込まれ、治療作用を有する薬剤分子を使用し、様々な種類の機構を使用して該担体と該薬剤分子とを標的癌細胞に特異的に送達することである。このモードは一般に「薬剤送達システム(drug delivery system)」と呼ばれ、非特許文献1に記載されている。この文献を本明細書に援用する。一般にこのモードは担体と、癌細胞の表面上のバイオマーカーを特異的に認識し、担体に標的機能を与えることが出来る物質(通常、リガンドと呼ばれる)とを結合させることで構築される。該物質はタンパク質(例えば、抗体)、ステロイド、糖類、化合物などであってよい。
【0006】
現在既知の担体は高分子重合体微粒、ミセル、リポソーム、ヴィルレント担体などを含む(非特許文献2、非特許文献3、及び非特許文献4に記載されている。これらの文献を本明細書に援用する)。しかし、これらの担体は様々な短所を有している。例えば、幾つかの担体は大きな粒子サイズを有し人体によって吸収され難く、幾つかは有毒であり、幾つかは血液中又は体液中で不安定であり、従って、これらの担体の使用は実際には制限されている。
【0007】
また、上記担体と癌細胞を認識できる物質とを結合させる場合、複雑で時間がかかる化学合成手順を通常必要とし、製造コストを増加させるだけでなく、環境汚染を引き起こす。従って、薬剤送達システムの分野では、まだ改善の余地があり、粒子サイズが小さく、無毒で、安定で、及び/又は癌細胞を認識できる物質と結合させるのが容易な担体が必要とされている。
【0008】
本発明は上記の要件を満たす。分子生物学の技法を使用することで、本発明は油体担体を提供し、その調製プロセスは簡単である。それによって引き起こされる環境汚染は、低いか又は無視できる程である。生体内実験及び生体外実験により、本発明の油体担体は標的療法又は検出に効率的に使用でき、優れた生体適合性を有することが分かった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Morgilloら, “Resistance to epidermal growth factor receptor-targeted therapy”, Drug Resist Updat. 2005, 8:298-310
【非特許文献2】Kawanoら, “Enhanced antitumor effect of camptothecin loaded in long-circulating polymeric micelles”, J. Control. Release. 2006, 112: 329-332
【非特許文献3】Koshkinaら, “Distribution of camptothecin after delivery as a liposome aerosol or following intramuscular injection in mice”, Cancer Chemother Pharmacol. 1999, 44(3): 187-192
【非特許文献4】Yangら, “Body distribution in mice of intravenous injected camptothecin solid lipid nanoparticles and targeting effect on brain”, J. Control. Release. 1999, 59: 299-307
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の主の目的は、油体タンパク質と、リガンドペプチド、抗体ペプチド、細胞透過性ペプチド、又はこれらの組合せとを含む融合タンパク質を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、上記融合タンパク質と脂質とを含む油体担体を提供することである。該融合タンパク質と該脂質との重量/体積(μg/μl)比は約1/25以上であり、該油体担体の平均粒子サイズは約10nm〜約2000nmである。
【0012】
本発明の更に別の目的は、上記油体担体と、薬剤、信号分子、又はこれらの組合せとを含む標的療法及び/又は検出のための組成物を提供することである。
【0013】
本発明の詳細な技術と好適な実施形態を、当業者が本発明の特徴を良く理解できるよう下記に添付の図面を参照しながら説明する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
植物種子の油体は大きな表面積を有し、従って、多量の信号分子を覆うか又は埋め込み、生物の体内を移動し病気の源を見つけるリアルタイム信号増幅器として、又は脂溶性薬剤を覆い薬剤送達システムとして働くよう使用できることを発見した。本発明は上記特徴を利用し、分子生物学の技法を組み合わせて簡単な調製手順により人工油体担体(以下、油体担体と呼ぶ)を提供する。
【0015】
本発明の油体担体は融合タンパク質と脂質とを含み、この融合タンパク質は油体タンパク質と、リガンドペプチド、抗体ペプチド、細胞透過性ペプチド、又はこれらの組合せとを含む。
【0016】
図1に示すように、植物油体の構造は、主に中性脂肪からなる球形の分子であり、この球形分子は細胞膜状のリン脂質(PL)の層に囲まれている。このリン脂質層の全表面は、オレオシン(構造タンパク質として)と、少量のカレオシンとステロレオシンとを含む油体タンパク質を埋め込む。油体の主成分は中性脂肪(主にトリアシルグリセロール、TAG)と、少量のリン脂質と油体タンパク質とである(Chenら, 1998, “Identification of three novel unique proteins in seed oil bodies of sesame”, Plant Cell Physiol. 39: 935-941に記載されている。この文献を本明細書に援用する)。
【0017】
本発明の油体担体の融合タンパク質に含まれる油体タンパク質には限定はない。油体タンパク質は、例えばゴマ、オリーブ、大豆、ピーナッツ、ヒマワリ、カラシ花、アマ、ベニバナ、及びこれらの組合せからなるグループから選択された植物の種子由来であるのが好ましい。より好ましくは、油体タンパク質はゴマの種子由来である。本発明の1つの実施形態では、ゴマ種子由来のオレオシンが融合タンパク質を構成するのに使用され、このオレオシンはSEQ ID NO: 1のアミノ酸配列を含む。或いは、ゴマ種子由来のカレオシンが融合タンパク質を構成するのに使用され、このカレオシンはSEQ ID NO: 2のアミノ酸配列を含む。
【0018】
ある植物種子の場合、カレオシンを使用することで得られる油体担体の平均粒子サイズは、オレオシンを使用することで得られるものより通常小さい。例えば、ゴマ種子のオレオシンを使用する場合、得られる油体担体の平均粒子サイズは、約500〜2000nmであり、一方、ゴマ種子のカレオシンを使用する場合、得られる油体担体の平均粒子サイズは、約50〜200nmである。
【0019】
本発明の油体担体の融合タンパク質は、リガンドペプチド及び/又は抗体ペプチドを更に含みこの油体担体を特異性のある送達担体(即ち、ターゲティング担体)にすることで、活性な標的薬剤送達システムを提供する。リガンドペプチド又は抗体ペプチドは癌細胞の表面上の受容体を正確に認識できるので、受容体がリガンドペプチド又は抗体ペプチドと結合することで、抗癌薬剤を覆う油体担体は癌領域に送達されるか又は癌細胞に直接作用し、正常な細胞に影響することなく局所的薬剤濃度を増加させることが出来る。また、上記の機構により、油体担体への癌細胞の食作用及び融合作用を刺激し、抗癌薬剤が癌細胞に取り込まれるようにし薬剤耐性を防止する。
【0020】
本発明の融合タンパク質に含まれるリガンドペプチド又は抗体ペプチドは、特定の細胞を特異的に認識する機能を提供する限り、限定されない。例えば、乳癌の治療においては、トラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)抗体ペプチドを使用できる。
【0021】
リガンドペプチドに関しては、例えば、乳癌又は卵巣癌の治療においては、HER2/neuタンパク質受容体又はα5β3インテグリン受容体のリガンドペプチドを採用できる。上皮成長因子受容体(EGFR)に属するHER2/neuタンパク質受容体は多くの異なる癌細胞の表面上に存在し、発癌機構において重要な役割を果たし、従って、癌細胞の表面上の特定のバイオマーカーとして働けることが知られている。NordらはHER2/neuタンパク質受容体に特異的に結合可能でこの受容体のリガンドとして働くZHer2ペプチドを開発した(Nordら, “Binding proteins selected from combinatorial libraries of an α-helical bacterial receptor domain”, Nat Biotechnol., 1997, 15: 772-777を参照。この文献を本明細書に援用する)。ZHer2ペプチドは58個のアミノ酸を含み、そのアミノ酸配列はSEQ ID NO: 3として示されている。その分子量(約7〜15キロダルトン)は単クローン抗体の分子量(約150キロダルトン)よりずっと小さく、従って、ZHer2ペプチドは細胞膜を容易に透過することが出来る。また、細胞表面上のα5β3インテグリン受容体も発癌機構に関係し(Giuffridaら, Int J Oncol., “Modulation of integrin expression on mesotheliomas: the role of different histotypes in invasiveness”, 1999, 15(3):437-42を参照。この文献を本明細書に援用する)、従って、α5β3インテグリン受容体のリガンドペプチド(以下、RGDペプチドと呼ぶ)を本発明の融合タンパク質を構成するために使用できる。
【0022】
本発明の1つの実施形態では、ZHer2ペプチド又はRGDペプチドは、ゴマ種子のオレオシン(SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列を含む)又はカレオシン(SEQ ID NO: 2のアミノ酸配列を含む)と一緒に使用され、融合タンパク質を構成し、RGDペプチドはSEQ ID NO: 4のアミノ酸配列を含む。
【0023】
細胞透過性ペプチドは、通常多くの種類の物質を運び、細胞膜を直接透過し、受容体に依存せずに細胞内に入る。従って、油体担体が標的細胞に入るのを助けるか又は促進することが出来る。従って、本発明の融合タンパク質では、リガンドペプチド又は抗体ペプチドは油体担体の細胞透過効率を更に上げるために細胞透過性ペプチドと組み合されてもよい。
【0024】
本発明の融合タンパク質は任意の既知の細胞透過性ペプチド、例えばTAT(ヒト免疫不全ウイルス1(HIV‐1)の転写活性化剤)、VP22(単純ヘルペスウイルス1(HSV‐1)由来のタンパク質)、Antp(ミバエ・アンテナペディア転写ホメオタンパク質)等を含んでもよい(Fawellら, “Tat-mediated delivery of heterologous proteins into cells”, Proc Natl Acad Sci USA., 1994, 18; 91(2): 664-668;Elliottら, “Intercellular trafficking and protein delivery by a herpesvirus structural protein”, Cell., 1997, 24;88(2):223-233;Derossiら, “The third helix of the Antennapedia homeodomain translocates through biological membranes”, J Biol Chem., 1994, 8; 269 (14): 10444-10450を参照。これらの文献を本明細書に援用する)。本発明の1つの実施形態では、RGDペプチドと、SEQ ID NO: 5のアミノ酸配列を含むTATペプチドとを融合タンパク質を構成するために使用する。
【0025】
従って、本発明の油体担体は受動的な標的薬剤送達システム、即ち、受容体に依存せず特異性のない薬剤送達システムとしても働くことが出来る。油体タンパク質と上記細胞透過性ペプチドとを組み合わせて融合タンパク質を提供し、細胞透過性ペプチドの特性(即ち、多くの種類の物質を運び、細胞膜を直接透過し、受容体に依存せずに細胞内に入る)を利用することで、油体担体は受容体を介さずに細胞に入り受動的な薬剤送達効果を達成することが出来る。
【0026】
本発明の油体担体に含まれる脂質には限定はない。例えば、脂質はトリアシルグリセロール、オリーブ油、ゴマ油、大豆油、ピーナッツ油、鉱油、アマ油、ベニバナ油、及びこれらの組合せからなるグループから選択されてよい。脂質はトリアシルグリセロール、ゴマ油、又はこれらの組合せであるのが好ましい。より好ましくは、脂質はゴマ油である。
【0027】
融合タンパク質と脂質との比率を調整することで、異なる平均粒子サイズの油体担体を調製できる。一般に、油体担体の平均粒子サイズは融合タンパク質と脂質との比率(即ち、融合タンパク質/脂質)に反比例し、脂質が少なくなると、油体担体の平均粒子サイズは小さくなる。本発明の油体担体において、融合タンパク質と脂質との重量/体積(μg/μl)比は通常約1/25以上、好ましくは約1/1以上、より好ましくは約2/1〜約30/1である。
【0028】
図2に示すように、本発明の油体担体は下記の方法(これに限定されないが)で調製できる。先ず、遺伝子組換え技術を用いて、油体タンパク質の核酸分子をリガンドペプチド、抗体ペプチド、細胞透過性ペプチド、又はこれらの組合せの核酸分子と結合させ発現ベクターを構築し、この発現ベクターを宿主細胞(例えば大腸菌)に導入して発現させ、油体タンパク質とリガンドペプチド、抗体ペプチド、又は細胞透過性ペプチドとを含む融合タンパク質を調製する。次に、この融合タンパク質と脂質とを緩衝液に混合し、この混合物を超音波装置で振動させて、本発明の油体担体を調製する。
【0029】
上記調製プロセス中、緩衝液のpH値は得られた油体担体の平均粒子サイズと安定性に影響する可能性があることが分かった。一般に、緩衝液のpH値は好ましくは約7.0以上、より好ましくは約7.0〜約9.0である。
【0030】
本発明の好適な実施形態では、油体担体を調製するために次の条件を採用する。(1)ゴマ種子のオレオシン、RGDペプチド、及びTATペプチドを使用して融合タンパク質を構成する、(2)オリーブ油を脂質として使用する、(3)融合タンパク質と脂質との重量/体積(μg/μl)比は約20/1である、及び(4)緩衝液のpH値は約7.5である。上記条件で、平均粒子サイズが約20〜約60nmの油体担体を調製することが出来る。
【0031】
従来技術に比べて、本発明は油体担体の粒子サイズをより好都合に制御でき、従って、任意の投与形態に適切な油体担体を提供できる。また、本発明の油体担体の平均粒子サイズは数十nm〜サブミクロンにすることが出来、人体により容易に吸収されうる。注射投与する油体担体の調製では、平均粒子サイズは約10nm〜約300nmの範囲に制御することが出来る。
【0032】
本発明は、優れた送達特性を有する標的療法及び/又は検出のための組成物も提供する。この組成物は上記で説明した本発明の油体担体と、薬剤、信号分子、又はこれらの組合せとを含む。
【0033】
抗癌剤に加えて、本発明の組成物は任意の他の薬剤、好ましくは脂溶性薬剤も含んでよい。例えば、本発明の組成物はリコピン、クルクミン、カンプトセシン、脂溶性抗生物質、ククルビタシン、ビノレルビン(商品名:ナベルビン)、及びこれらの組合せからなるグループから選択される薬剤を含んでもよい。
【0034】
本発明の組成物は、所望の検出目的を達成するために任意の既知の信号分子を含んでもよい。例えば、信号分子はカドミウム・セシウム量子ドット、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、アリザリンイエローR(5‐[(p‐ニトロフェニル)アゾ]サリチル酸ナトリウム)、ナイルレッド(9‐ジエチルアミノ‐5H‐ベンゾ[α]フェノキサジン‐5‐オン)、及びこれらの組合せからなるグループから選択されてもよい。カドミウム・セシウム量子ドットを適用することを考えると、異なるサイズのカドミウム・セシウム量子ドットが異なる波長の光で励起される時、それらの量子ドットは異なる波長で蛍光を発する。この特性を異なる色の蛍光を発する油体担体を調製するために使用することが出来る。ここで、本発明の組成物に含まれる融合タンパク質を構成するためにリガンドペプチド又は抗体ペプチドを使用する場合、本発明の組成物は癌細胞又は病気の源の位置にマーク又はタグ付けする標的検出機能を有する。
【0035】
下記の実施例に示すように、本発明の組成物は癌細胞に効率的にマーク付けする可能性があり、癌のリアルタイム生体内画像観察に適用することが出来る。また、この組成物は薬剤を正確に送達する可能性があり、癌細胞を精度よく殺し正常な細胞を殺す副作用を低減することが出来る。従って、本発明の組成物はリアルタイム監視及び治療効果を有する。
【0036】
上述したように、信号分子を運び、薬剤を覆い、ターゲティングペプチドを変形又は改造する点において、従来の担体に比べて、本発明の油体担体は簡単な操作性とより良好な担体特性を有し、従って、西洋医学、医学検査、バイオ医薬品材料、動物ワクチン、生物工学等の産業に広く適用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】植物種子の油体の構造を示す図である。
【図2】本発明の油体担体の調製のフローチャートを例示する。
【図3】本発明の融合タンパク質の電気泳動の写真を示す。
【図4】オレオシン‐ZHer2ペプチド融合タンパク質又はカレオシン‐ZHer2ペプチド融合タンパク質を含む本発明の油体担体の光学顕微鏡画像を示す。
【図5】オレオシン‐ZHer2ペプチド融合タンパク質又はカレオシン‐ZHer2ペプチド融合タンパク質を含む本発明の油体担体の蛍光顕微鏡画像を示す。
【図6】本発明の油体担体の濁り度を例示するカーブグラフである。
【図7】本発明の油体担体の粒子サイズの分布を示すグラフである。
【図8】本発明の油体担体中の融合タンパク質と脂質との比及び埋め込み比率を例示するカーブグラフである。
【図9】本発明の油体担体を含む腫瘍細胞の蛍光顕微鏡画像を示す。
【図10】本発明の油体担体を含む腫瘍細胞の蛍光顕微鏡画像を示す。
【図11】オレオシン‐ZHer2ペプチド融合タンパク質を含む様々なMOI値の油体担体を含むMCF7/Her18細胞又はSKOV3細胞の蛍光顕微鏡画像を示す。
【図12】カレオシン‐ZHer2ペプチド融合タンパク質を含む様々なMOI値の油体担体を含むMCF7/Her18細胞又はSKOV3細胞の蛍光顕微鏡画像を示す。
【図13】オレオシン‐TRペプチド融合タンパク質を含む様々なMOI値の油体担体を含むMCF7/Her18細胞又はSKOV3細胞の蛍光顕微鏡画像を示す。
【図14】オレオシン‐ZHer2ペプチド融合タンパク質を含む様々なMOI値の油体担体を含む腫瘍細胞のフローサイトメトリー分析棒グラフを示す。
【図15】カレオシン‐ZHer2ペプチド融合タンパク質を含む様々なMOI値の油体担体を含む腫瘍細胞のフローサイトメトリー分析棒グラフを示す。
【図16】オレオシン‐TRペプチド融合タンパク質を含む様々なMOI値の油体担体を含む腫瘍細胞のフローサイトメトリー分析棒グラフを示す。
【図17】オレオシン‐ZHer2ペプチド融合タンパク質を含む油体担体を含むMCF7/Her18細胞又はSKOV3細胞の様々な時点での蛍光顕微鏡画像を示す。
【図18】カレオシン‐ZHer2ペプチド融合タンパク質を含む油体担体を含むMCF7/Her18細胞又はSKOV3細胞の様々な時点での蛍光顕微鏡画像を示す。
【図19】オレオシン‐TRペプチド融合タンパク質を含む油体担体を含むMCF7/Her18細胞の様々な時点での蛍光顕微鏡画像を示す。
【図20】オレオシン‐TRペプチド融合タンパク質を含む油体担体を含むSKOV3細胞の様々な時点での蛍光顕微鏡画像を示す。
【図21】オレオシン‐ZHer2ペプチド融合タンパク質を含む油体担体を含む腫瘍細胞の様々な時点でのフローサイトメトリー分析棒グラフを示す。
【図22】カレオシン‐ZHer2ペプチド融合タンパク質を含む油体担体を含む腫瘍細胞の様々な時点でのフローサイトメトリー分析棒グラフを示す。
【図23】オレオシン‐TRペプチド融合タンパク質を含む油体担体を含む腫瘍細胞の様々な時点でのフローサイトメトリー分析棒グラフを示す。
【図24】SKOV3細胞との反応後の本発明の油体担体の共焦顕微鏡画像を示す。
【図25】本発明の油体担体又はリコピンを含む組成物の細胞生存率への影響を示す棒グラフである。
【図26】本発明の油体担体又はクルクミンを含む組成物の細胞生存率への影響を示す棒グラフである。
【図27】本発明のリコピン又はクルクミンを含む組成物の細胞生存率への影響を示すカーブグラフである。
【図28A】マウス体内における本発明の油体担体の分布を示す分子画像分析写真である。
【図28B】マウス体内における本発明の油体担体の分布を示す棒グラフである。
【図28C】マウス体内における本発明の油体担体の分布を示す組織薄片の画像を示す。
【図29】腫瘍組織薄片との反応後の本発明の油体担体の蛍光顕微鏡画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明を下記の特定の実施例を用いて更に詳細に例示する。下記の実施例を参照することで、当業者は本発明の基本思想と他の目的と、本発明で採用する技術方法と好適な実施形態とを容易に理解するであろう。しかし、下記の実施例は本発明を例示するためだけに提供され、これによって本発明の範囲は限定されない。
【実施例1】
【0039】
油体担体の調製
本発明の油体担体を図2のフローチャートに従って調製した。
ステップ1.発現ベクターの構築
下記の3つの核酸分子を遺伝子組換え技術を用いて発現ベクターに構築した。
【0040】
(1)オレオシン(N末端)‐ZHer2ペプチド(C末端)融合タンパク質の核酸分子
リンカー(SEQ ID NO: 7のアミノ酸配列を含む)遺伝子(SEQ ID NO: 6の核酸配列を含む)を使用して、ゴマ種子由来のオレオシン遺伝子(SEQ ID NO: 8の核酸配列を含む)とHER2/neuタンパク質のリガンドペプチド(即ち、ZHer2ペプチド)の遺伝子(SEQ ID NO: 9の核酸配列を含む)とを結合した。詳細な手順は次の通りである。先ず、pET-ZHer2ベクターをテンプレートDNAとして働くよう精製し、プライマーを使用してポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によりZHer2遺伝子断片(507個の塩基対)を得た。次に、ZHer2遺伝子をNco I及びHind III制限酵素で切り出し、pBluescript II (SK+)ベクターに連結し、得られた組換えベクターを大腸菌DH5α宿主細胞に導入した。宿主細胞をアンピシリンとX-gal(Sigma社から購入)とを含む固形LB(Luria-Bertani)培地で培養し、選別を行って白色コロニーを取出し、pBluescript II-ZHer2組換えベクターを含む形質転換細胞を得た。最後に、この組換えベクター内のZHer2遺伝子断片をNco I及びHind III制限酵素で切り出し、pJol‐オレオシン遺伝子を含む組換えベクターに連結し、pJol‐オレオシン遺伝子‐ZHer2を含む発現ベクターを得た。
【0041】
(2)カレオシン(N末端)‐ZHer2ペプチド(C末端)融合タンパク質の核酸分子
リンカー(SEQ ID NO: 11のアミノ酸配列を含む)遺伝子(SEQ ID NO: 10の核酸配列を含む)を使用して、ゴマ種子由来のカレオシン遺伝子(SEQ ID NO: 12の核酸配列を含む)とZHer2ペプチドの遺伝子(SEQ ID NO: 9の核酸配列を含む)とを結合した。詳細な手順は次の通りである。先ず、pET-カレオシン遺伝子ベクターをテンプレートDNAとして働くよう精製し、プライマーを使用してPCRによりカレオシン遺伝子断片(748個の塩基対)を得た。次に、この遺伝子断片をNde I制限酵素で切り出し、pET-29a (+)ベクター(Novagene社から購入)に連結し、得られた組換えベクターを大腸菌DH5α宿主細胞に導入した。宿主細胞をカナマイシン(Sigma社から購入)を含む固形LB培地で培養し、選別を行ってpET-29a‐カレオシン遺伝子組換えベクターを含む形質転換細胞を得た。最後に、上記(1)のpBluescript II-ZHer2組換えベクター内のZHer2遺伝子断片をEco RV及びHind III制限酵素で切り出し、pET-29a‐カレオシン遺伝子を含む組換えベクターに連結し、pET-29a‐カレオシン遺伝子‐ZHer2を含む発現ベクターを得た。
【0042】
(3)オレオシン(N末端)‐TATRGD(以下、TRと呼ぶ)ペプチド(C末端)融合タンパク質の核酸分子
リンカー(SEQ ID NO: 14のアミノ酸配列を含む)遺伝子(SEQ ID NO: 13の核酸配列を含む)を使用して、ゴマ種子由来のオレオシン遺伝子(SEQ ID NO: 8の核酸配列を含む)と、α5β3インテグリンのリガンドペプチド(即ち、RGD)の遺伝子(SEQ ID NO: 15の核酸配列を含む)と、TATペプチドの遺伝子(SEQ ID NO: 16の核酸配列を含む)とを結合した。詳細な手順は次の通りである。先ず、オーバーラッププライマーの幾つかの組みを設計し、129個の塩基対を持つTATRGD(TR)遺伝子をPCRにより合成した。次に、TATRGD遺伝子をDpn I制限酵素で処理し、pJol‐オレオシン遺伝子ベクターにリガーゼで連結し、pJol‐オレオシン遺伝子‐TR遺伝子を含む発現ベクターを得た。これは転写を調節するT7促進剤を更に含む。
【0043】
構築後、上記発現ベクターは個々に大腸菌BL21 (DE3)宿主細胞(Novagen社から購入)に導入され、該宿主細胞のプラスミドを抽出し発現ベクターの核酸配列を確認した。
上記方法はSambrookら, “The Condensed Protocols From Molecular Cloning: A Laboratory Manual” 2006を参照した。この文献を本明細書に援用する。
【0044】
ステップ2.融合タンパク質の発現
ステップ1で得た宿主細胞を0.05mMのIPTG(イソプロピル‐β‐D‐1‐チオガラクトピラノシド;USB社から購入)で誘導し融合タンパク質を過剰発現させ、培養液を収集した。培養液を6500rpmで10分間遠心分離し、沈澱した宿主細胞を培養液体積の約1/10のTE緩衝液(Tris-EDTA緩衝液;Sigma社から購入)に懸濁させ、SDS-PAGE 4Xサンプル緩衝液(Sigma社から購入)に加え、完全に混合した。この混合物を95℃で約10分間加熱し、タンパク質電気泳動分析を行った。結果を図3に示す。
【0045】
ステップ3.脂質と信号分子の追加
ステップ2で調製した融合タンパク質(50mg)を管に入れ、50mgのトリアシルグリセロール、150mgのリン脂質、及び2.5μgの蛍光色素(アリザリンイエロー;台湾Widetex Biotech社から購入)又はカドミウム・セシウム量子ドット(Feng Chia大学のRong Fuh Louh教授が提供)を加えた。この混合物を5分毎に5回(10秒、振幅:20、パルサー:0.5)超音波装置(Sonics VCX130)で振動させて油体の再結合を行った。再結合後、3つの異なる融合タンパク質(即ち、オレオシン‐ZHer2ペプチド、カレオシン‐ZHer2ペプチド、及びオレオシン‐TRペプチド)を個別に含む油体担体を調製し、この油体担体を蛍光顕微鏡で観察した。
【0046】
通常の生化学分析法を油体担体の3つの重要な成分(即ち、トリアシルグリセロール、タンパク質、及びリン脂質)の含有量を測定するために使用することが出来る。ここで、トリアシルグリセロールの含有量はエステル結合の量を調べ計算することで決定され、タンパク質の含有量はBCAタンパク質定量(BioRad社)により測定した。リン脂質の含有量は無機リン酸塩の量を測定することで得た。
【実施例2】
【0047】
脂質と融合タンパク質との比の影響
リン酸ナトリウム緩衝液(950μl、0.01M、pH7.5)とオリーブ油(50μl)とを100μgの融合タンパク質(即ち、オレオシン‐ZHer2ペプチド、カレオシン‐ZHer2ペプチド、又はオレオシン‐TRペプチド)に加え、150μgのリン脂質を更に加え、融合タンパク質/脂質(即ち、オリーブ油)の重量/体積(μg/μl)比が2/1である混合物を得た。次に、この混合物を氷の上に置き、超音波で3回(効率:15%、時間:20秒、実行:0.5秒、休止:0.5秒)振動させ所望の油体担体を得た。上記作業を繰り返し、400μg、200μg、100μg、又は100μgの融合タンパク質と、対応する20μl、20μl、100μl、又は500μlのオリーブ油とを使用し、融合タンパク質/脂質(即ち、オリーブ油)の重量/体積(μg/μl)比が20/1、10/1、1/1、又は1/5である油体担体を得た。
【0048】
油体担体の配座及び濁り度をニコン104光学顕微鏡で観察した。結果を図4及び図5(配座)と図6(濁り度)とに示す。油体担体の濁り度を下記の実施例5に記載したように計算し、油体担体の粒子サイズを粒子サイズ分析計(Beckman Coulter, N4 Plus)で分析した。イオン強度は0.1に設定し、粒子サイズ及び分布は25℃で動的光走査(DLS、アルゴンレーザービーム:633nm、走査角90°、分析法:Contin)を使用して分析した。結果を図7と表1〜表3の列(a)とに示す。融合タンパク質の埋め込み率はSDS‐PAGEで分析した。結果を図8に示す。
【実施例3】
【0049】
pH値の影響
融合タンパク質(100μgのオレオシン‐ZHer2ペプチド、90μgのカレオシン‐ZHer2ペプチド、又は100μgのオレオシン‐TRペプチド)を様々なpH値(pH6.5、pH7.0、pH7.5、pH8.0、又はpH9.0)を有する950μlのリン酸ナトリウム緩衝液(0.01M)に加え、それに50μlのオリーブ油を加えた。次に、混合物を氷の上に置き、超音波で3回(効率:15%、時間:20秒、実行:0.5秒、休止:0.5秒)振動させ油体担体を調製した。油体担体の配座及び濁り度をニコン104光学顕微鏡で観察した。結果を図4及び図5(配座)と図6(濁り度)とに示す。油体担体の粒子サイズを粒子サイズ分析計で分析した。結果を図7と表1〜表3の列(b)とに示す。
【実施例4】
【0050】
脂質の影響
融合タンパク質(100μgのオレオシン‐ZHer2ペプチド、90μgのカレオシン‐ZHer2ペプチド、又は100μgのオレオシン‐TRペプチド)を950μlのリン酸ナトリウム緩衝液(0.01M、pH7.5)に加え、それに50μlの様々な脂質(オリーブ油、ゴマ油、大豆油、ピーナッツ油、又は鉱油)を個別に加えた。次に、混合物を氷の上に置き、超音波で3回(効率:15%、時間:20秒、実行:0.5秒、休止:0.5秒)振動させ油体担体を調製した。油体担体の配座及び濁り度をニコン104光学顕微鏡で観察した。結果を図4及び図5(配座)と図6(濁り度)とに示す。油体担体の粒子サイズを粒子サイズ分析計で分析した。結果を図7と表1〜表3の列(c)とに示す。
【0051】
【表1】

(a)pH7.5で融合タンパク質と脂質との様々な重量/体積比で、(b)様々なpH値で、又は(c)様々な脂質で、調製されたオレオシン‐ZHer2ペプチドを含む油体担体の粒子サイズ
【0052】
【表2】

(a)pH7.5で融合タンパク質と脂質との様々な重量/体積比で、(b)様々なpH値で、又は(c)様々な脂質で、調製されたカレオシン‐ZHer2ペプチドを含む油体担体の粒子サイズ
【0053】
【表3】

(a)pH7.5で融合タンパク質と脂質との様々な重量/体積比で、(b)様々なpH値で、又は(c)様々な脂質で、調製されたオレオシン‐TRペプチドを含む油体担体の粒子サイズ
【0054】
表1〜表3と図4、図7に示すように、調製された油体担体の平均粒子サイズは10〜2000nmの範囲で、脂質/融合タンパク質比の減少とともに減少した。従って、脂質/融合タンパク質比を調整することで、様々な平均粒子サイズの油体担体を調製できる。また、油体担体の平均粒子サイズはアルカリ性の環境で相対的に小さかった。また、図8は融合タンパク質と脂質との重量/体積(μg/μl)比が約2/1の時、融合タンパク質の埋め込み率は最大になったことを示す。
【実施例5】
【0055】
油体担体の安定性の測定
油体担体の安定性を次の3つの方法で測定した。
A.負電荷の反発力の観察
負電荷の反発力、又は油体担体表面のタンパク質の覆いによって引き起こされる立体障害効果の観察により、油体担体の安定性を測定できる。負電荷の反発力の漸次消失による油体の集合は溶液のpH値を下げることで観察できる。ここで、様々なpH値のリン酸緩衝液に油体担体を入れ、室温で12時間静置し、油体担体の変化を光学顕微鏡で観察した。図2から分かるように、pH7.5で12時間後、オレオシン又はカレオシンを含む油体担体は損なわれず残った。
【0056】
B.濁り度の測定
油体担体表面は親水性で油体担体は水に非常に溶けやすいので、油体担体は損なわれなければ水中に懸濁状態で留まる。一方、油体担体は損なわれれば、油体担体表面のタンパク質は正しく折りたたまらないので、水表面に浮きその結果、油体担体は集合する。従って、溶液の底の濁り度を測定することで、油体担体の損なわれ度を間接的に調べることが出来る。ここで、1mlの油体担体を使い捨て測定管に入れ、この管を封止し、振動しないようにした。この管を室温で140分間静置し、管内の濁り度を波長600nmで測定した。相対濁り度をT/T0=10A/10A0=10A/102.0として表す。A0は2.0である。図6から分かるように、140分後、油体担体は損なわれず残った。これは本発明の油体担体は優れた安定性を有することを示す。
【0057】
C.ゼータ電位の測定
油体担体を様々な環境(即ち、脂質と融合タンパク質との様々な重量/体積比、pH値、又は脂質)に入れ、油体担体表面のゼータ電位の変化を表面電位分析計(Zetasizer Nano, Malvern #ZS90)で測定した。結果を表4〜表6に示す。
【0058】
【表4】

(a)pH7.5で融合タンパク質と脂質との様々な重量/体積比で、(b)様々なpH値で、又は(c)様々な脂質で、調製されたオレオシン‐ZHer2ペプチドを含む油体担体のゼータ電位
【0059】
【表5】

(a)pH7.5で融合タンパク質と脂質との様々な重量/体積比で、(b)様々なpH値で、又は(c)様々な脂質で、調製されたカレオシン‐ZHer2ペプチドを含む油体担体のゼータ電位
【0060】
【表6】

(a)pH7.5で融合タンパク質と脂質との様々な重量/体積比で、(b)様々なpH値で、又は(c)様々な脂質で、調製されたオレオシン‐TRペプチドを含む油体担体のゼータ電位
【0061】
表4〜表6に示すように、油体担体の安定性は、脂質/融合タンパク質比の減少とともに増加し、油体担体はアルカリ性の環境で相対的に安定していた。
【実施例6】
【0062】
油体担体の標的機能‐固定腫瘍細胞アッセイの生体外試験
ヒト乳癌細胞株、MCF7細胞とMCF7/Her18細胞(即ち、表面にHER2/neu受容体を持つMCF7細胞)とを24ウェルプレートにそれぞれ植え付けた。翌日、これらの細胞をリン酸緩衝液(PBS、pH7.4)で洗浄し、3.7重量/体積%ホルムアルデヒドで室温で20分固定し、pH7.4PBSで再び洗浄した。実施例1で調製した油体担体(2.5μg/ml‐PBSオレオシン‐ZHer2ペプチドを含む)を固定した細胞に加え、pH7.4PBS中で25℃で1時間反応させた。次に、これらの細胞を1/1000 Tween-20(USB社から購入)を含むpH7.4PBSで2回洗浄し、pH7.4PBSで1回洗浄した。ブロッキング溶液(PBSに溶かした3重量/体積%ウシ胎児血清アルブミン)を細胞に加え、室温で1時間反応させた。一次抗体、抗HER2/neu(9G6,米国Santa Cruz Biotechnology社)を1:200の比率で希釈し、細胞に加え、室温で1時間以上反応させた。その後、細胞をPBSで3回洗浄し、1:500の比率で希釈した抗マウスIgG‐TRIAC(米国Jackson ImmunoResearch Laboratories社)と1時間反応させ、PBSで3回洗浄した。細胞核を15,000-fold DAPI(ジアミジノ‐2‐フェニルインドール)で染色し、洗浄して細胞を蛍光顕微鏡(オリンパスIX71)で観察した。結果を図9に示す。
【0063】
図9から分かるように、HER2/neu受容体を標的とする油体担体(即ち、オレオシン‐ZHer2ペプチド又はカレオシン‐ZHer2ペプチド融合タンパク質を含む油体担体)は、HER2/neu受容体を過剰発現した固定MCF7/Her18細胞を特異的にマーク又はタグ付けした。
【実施例7】
【0064】
油体担体の標的機能‐生きた腫瘍細胞アッセイの生体外試験
SKBR3細胞(HER2/neu受容体を過剰発現する乳癌細胞)、MDA‐MV‐231細胞(対照グループ;HER2/neu受容体を過剰発現しない乳癌細胞)、又は5×105細胞(MCF7細胞、MCF7/Her18細胞、SKOV3細胞(HER2/neu受容体を過剰発現する卵巣癌細胞))を24ウェルプレートにそれぞれ植え付け、細胞培養器(5体積%二酸化炭素を含む)で37℃で24時間培養した。翌日、これらの細胞をDMEM/F12培養液(米国GIBCO Invitrogen社)で洗浄し、実施例1で調製した油体担体(0.025μg/ml‐PBSオレオシン‐ZHer2ペプチド又はカレオシン‐ZHer2ペプチドを含む)を洗浄した細胞に加え、細胞培養器(5体積%二酸化炭素を含む)内のDMEM/F12培養液中で37℃で4時間反応させた。次に、これらの細胞をpH7.4PBSで3回洗浄した。2.5重量/体積%ホルムアルデヒドで室温で40分固定し、pH7.4PBSで再び洗浄した。ブロッキング溶液(PBSに溶かした3重量/体積%ウシ胎児血清アルブミン)を細胞に加え、室温で1時間反応させた。一次抗体、抗HER2/neu(9G6,米国Santa Cruz Biotechnology社)を1:200の比率で希釈し、細胞に加え、室温で1時間以上反応させた。その後、細胞をPBSで3回洗浄し、1:500の比率で希釈した抗マウスIgG‐TRIAC(米国Jackson ImmunoResearch Laboratories社)と1時間反応させ、PBSで3回洗浄した。細胞核を15,000-fold DAPIで染色し、洗浄して細胞を蛍光顕微鏡で観察した。結果を図10に示す。
【0065】
図10から分かるように、HER2/neu受容体を標的とする油体担体(即ち、オレオシン‐ZHer2ペプチド又はカレオシン‐ZHer2ペプチド融合タンパク質を含む油体担体)は、HER2/neu受容体を過剰発現した生きたMCF7/Her18細胞とSKOV3細胞とを特異的にマーク又はタグ付けした。オレオシン‐TRペプチド融合タンパク質を含む油体担体は、α5β3インテグリンを過剰発現したMCF7細胞、SKOV3細胞、及びMCF7/Her18細胞に特異的にマーク付けした。
【実施例8】
【0066】
油体担体と腫瘍細胞との最適反応濃度
油体担体と腫瘍細胞との感染多重度(MOI)値(MOI100、MOI200、又はMOI400)を使用して最適反応濃度を決定した。ここで、使用した細胞株はHER2/neu受容体を過剰発現するMCF7/Her18細胞、HER2/neu受容体を過剰発現しないMCF7細胞、及びHER2/neu受容体を過剰発現するSKOV3卵巣癌細胞であった。これらの細胞を蛍光顕微鏡とフローサイトメトリー(BD FACSCanto;アルゴンイオンレーザー488nm、He‐Neレーザー633nm)で観察した。MOI値を油体担体の数と腫瘍細胞の数との比と定義する。下記の公式に従って濃度単位に変換してもよい。結果を図11〜図13に示す。
MOI100=1.25×10-2μg/μl
MOI200=2.5×10-2μg/μl
MOI400=5×10-2μg/μl
【0067】
図11〜図13に示すように、蛍光顕微鏡による観察により、ZHer2ペプチドを含む油体担体はHER2/neu受容体を過剰発現する細胞を特異的に認識し、細胞に入る油体担体の数は、MOI値の増加とともに増加したことが分かった。その数は、MOI値が200の時、最大になった。
【0068】
また、共焦蛍光顕微鏡を使用し、油体担体が細胞に入るか否かとMOI値の影響とを観察した。結果は、油体担体は実際に細胞に入り、細胞に入る油体担体の数は、MOI値の増加とともに増加したことを示す。図14〜図16(細胞と油体担体の結合割合は、油体担体に結合する細胞の数/10000細胞×100と定義される)に示すように、上記の結果はフローサイトメトリーの分析結果と一致する。
【実施例9】
【0069】
油体担体と腫瘍細胞との最適反応時間
油体担体と腫瘍細胞との最適反応時間を実施例8と同じ方法で決定した。MOI値は200に設定した。使用した細胞株はHER2/neu受容体を過剰発現するMCF7/Her18細胞、SKOV3細胞、及びHER2/neu受容体を過剰発現しないMCF7細胞であった。これらの細胞と油体担体とを様々な時間(0〜240分)反応させた。結果を図17〜図20に示す。
【0070】
図17〜図20に示すように、蛍光顕微鏡による観察により、ZHer2ペプチドを含む油体担体はHER2/neu受容体を過剰発現する細胞を特異的に認識し、細胞に入る油体担体の数は、反応時間の増加とともに増加したことが分かった。その数は、反応時間が2時間の時、最大になった。
【0071】
また、共焦蛍光顕微鏡を使用し、油体担体が細胞に入るか否かと反応時間の影響とを観察した。結果は、細胞に入る油体担体の数は、反応時間の増加とともに増加し、その数は、反応時間が2時間の時、最大になったことを示す。図21〜図23(細胞と油体担体の結合割合は、油体担体に結合する細胞の数/10000細胞×100と定義される)に示すように、上記の結果はフローサイトメトリーの分析結果と一致する。
【実施例10】
【0072】
標的療法及び検出アッセイ‐細胞生存率試験
先ず、実施例1の方法に従って、様々な濃度(0mM〜9mM)の抗腫瘍薬(リコピン又はクルクミン)を覆う(又は含む)油体担体を標的療法及び/又は検出のための組成物として調製した。
【0073】
5×103個の細胞(MCF7細胞、MCF7/Her18細胞、SKOV3細胞、SKBR3細胞、又はMDA‐MV‐231細胞)を96ウェルプレートに植え付け、細胞培養器(5体積%二酸化炭素を含む)で37℃で24時間培養した。翌日、上記調製した組成物を細胞に個別に加え、培養器内で2時間反応させた。培地をストローで取り除き、細胞をPBSで2回洗浄し未反応の油体担体を除去した。次に、新しい培地を細胞に加え、24、48、72、96、及び120時間培養した後、細胞を染色し、生きた細胞と死んだ細胞の数を顕微鏡のもとでカウントして該組成物が細胞成長を妨げたか否かを観察し、組成物の生物毒性を比較した。
図24〜図26に示すように、本発明の油体担体は細胞成長を妨げなかった。
【実施例11】
【0074】
標的療法及び検出アッセイ‐生体外細胞試験
5×103個の細胞(MCF7細胞、MCF7/Her18細胞、SKOV3細胞、SKBR3細胞、又はMDA‐MV‐231細胞)を96ウェルプレートに植え付け、細胞培養器(5体積%二酸化炭素を含む)で37℃で24時間培養した。翌日、実施例10で調製した組成物を細胞に個別に加え、培養器内で2時間反応させた。培地をストローで取り除き、細胞をPBSで2回洗浄し未反応の組成物を除去した。次に、新しい培地を細胞に加え、培養器で72時間培養した後、DMFM(細胞カウント・キット8(CCK8);Dojindo社から購入)を細胞に加え、2時間反応させた。波長450nmの吸光度をELISA読取り機(DYNEX Technologies社から購入)で測定し、データを記録した。標準曲線を細胞数の計算に使用した。
図25〜図27に示すように、本発明の組成物は腫瘍細胞成長を効率的に妨げた。
【実施例12】
【0075】
標的療法及び検出アッセイ‐生体内動物試験
乳癌を持つマウスを使用し動物試験を行った。マウス(BALB/c AnN.Cg-Foxn1nu/CrlNarl;台湾国立研究所動物センターから購入)を3〜8週齢まで育て、MDA‐MB‐231又はSKOV3乳癌細胞をマウスの左背部に皮下注射した。乳癌の導入を約2週間行った。乳癌導入によって生成された腫瘍は4週間成長した後、腫瘍のサイズは約1000mm3であった。次に、本発明の油体担体(1.0μg/ml‐PBSオレオシン‐ZHer2ペプチド、カレオシン‐ZHer2ペプチド、又はオレオシン‐TRペプチドを含む)をマウスの腹腔に注射した。マウスの体を1、4、8、及び24時に3D生体分子画像システム(IVIS200システム)で走査し血液循環と、乳癌細胞追跡と、マウスの各臓器の油体担体の分布とを観察した。
【0076】
図28に示すように、対照グループ(MDA‐MB‐231細胞を持つマウス)では、マウス体内の蛍光発光は時間経過とともに徐々に消失した。一方、実験グループ(SKOV3細胞を持つマウス)では明らかな蛍光信号がまだ検出された。
【0077】
次に、マウスを二酸化炭素で麻酔し、ネックブレークで屠殺した。腫瘍と臓器を取り出し、油体担体の分布を観察するために組織をスライスした。図28に示すように、対照グループのマウス体内では、油体担体は主に肝臓(即ち、薬剤代謝が行われる臓器)に蓄積していた。これは油体担体はMDA‐MB‐231腫瘍組織に特異的には侵入しなかったことを示す。一方、実験グループのマウス体内では、油体担体はSKOV3腫瘍組織内に留まっていた。これは油体担体はSKOV3腫瘍組織を特異的にタグ付けし侵入したことを示す。
【0078】
また、図28に示すように、対照グループのマウスのMDA‐MB‐231腫瘍薄片は、油体担体の分布が不明瞭であったことを示す。一方、実験グループのマウスのSKOV3腫瘍薄片は、油体担体が腫瘍組織内に留まったことを示す。
【実施例13】
【0079】
標的療法及び検出アッセイ‐油体担体と腫瘍組織との相互作用
実施例12のマウスの後足のMDA‐MB‐231腫瘍組織とSKOV3腫瘍組織を取出し、OCT(組織冷凍培地;LEICA社から購入)に埋め込んだ。次に、冷凍切開を冷凍ミクロトーム(LEICA、CM3050S)で行った。組織薄片をスライドガラス上に置き、PBSで3回洗浄して組織上のOCTを除去し、組織細胞を2.5%ホルマリン液(0.5gホルマリン粉末、2mlの10×PBS、50μlの5N水酸化ナトリウム)で40分固定した。次に、組織薄片をPBSで3回洗浄して残留ホルマリン液を除去し、油体担体(2.5μg/ml‐PBSオレオシン‐ZHer2ペプチドを含む)を加え組織細胞と120分間反応させた。反応終了後、この組織をPBSで3回洗浄して未反応の油体担体を除去した。次に、細胞核を1:15000の比率のDAPIで5分間染色した。組織薄片をPBSで3回洗浄して残留DAPIを除去し、組織薄片を封止した。油体担体と組織細胞との相互作用を蛍光顕微鏡で観察した。結果を図29に示す。
【0080】
図29に示すように、対照グループのMDA‐MB‐231腫瘍薄片では、油体担体が腫瘍薄片にタグ付け又はこれと反応しなかったことが分かった。一方、実験グループのSKOV3腫瘍薄片では、オレオシン‐ZHer2ペプチド又はカレオシン‐ZHer2ペプチド融合タンパク質を含む油体担体が、細胞がHER2/neu受容体を過剰発現した腫瘍組織薄片にタグ付けした。オレオシン‐TRペプチド融合タンパク質を含む油体担体が、細胞がα5β3インテグリン受容体を過剰発現した腫瘍組織薄片にタグ付けした。
【0081】
上記実施例の結果に基づくと、本発明の油体担体の平均粒子サイズは10〜2000nmの範囲に出来ることが示された。上記で説明したように、このような粒子サイズの油体担体は、より大きな粒子サイズの従来の薬剤担体(リポソーム、ポリマー粒子など)より良好な薬剤送達効果を達成できる。また、本発明の油体担体は様々な脂質中で又は様々なpH値で優れた安定性を有し、従って、標的薬剤送達及び検出又は腫瘍細胞のタグ付けに適用することが出来、様々な産業において高い利用価値を有する。
【0082】
上記の開示は本発明の詳細な技術内容と独創的な特徴に関する。当業者は本発明の上記の開示と示唆に基づいて本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更と置換えを想到する可能性がある。そのような変更と置換えは上記の説明において完全には開示されていないが、下記の請求項に実質的に含まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油体タンパク質と、
リガンドペプチド、抗体ペプチド、細胞透過性ペプチド、及びこれらの組合せからなるグループから選択されたペプチドと
を含む融合タンパク質。
【請求項2】
前記油体タンパク質はゴマ、オリーブ、大豆、ピーナッツ、ヒマワリ、カラシ花、アマ、ベニバナ、及びこれらの組合せからなるグループから選択された植物の種子由来である請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項3】
前記油体タンパク質は、SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列を含むオレオシンまたはSEQ ID NO: 2のアミノ酸配列を含むカレオシンである請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項4】
前記油体タンパク質はゴマの種子由来である請求項3に記載の融合タンパク質。
【請求項5】
前記リガンドペプチドは、HER2/neuタンパク質の、SEQ ID NO: 3のアミノ酸配列を含むリガンドペプチド又はα5β3インテグリンの、SEQ ID NO: 4のアミノ酸配列を含むリガンドペプチドであり、前記細胞透過性ペプチドはSEQ ID NO: 5のアミノ酸配列を含む請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項6】
a1)油体タンパク質と、リガンドペプチド、抗体ペプチド、細胞透過性ペプチド、及びこれらの組合せからなるグループから選択されたペプチドとを含む融合タンパク質と
a2)脂質と
を含む(a)油体担体と、
b)薬剤、信号分子、又はこれらの組合せと
を含み、
該融合タンパク質と該脂質との重量/体積(μg/μl)比が約1/25以上であり、該油体担体の平均粒子サイズは約10nm〜約2000nmである、標的療法及び/又は検出のための組成物。
【請求項7】
約pH7.0以上のpH値を有する緩衝液を更に含む請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記油体タンパク質はゴマ、オリーブ、大豆、ピーナッツ、ヒマワリ、カラシ花、アマ、ベニバナ、及びこれらの組合せからなるグループから選択された植物の種子由来である請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記油体タンパク質は、SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列を含むオレオシンまたはSEQ ID NO: 2のアミノ酸配列を含むカレオシンである請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
前記油体タンパク質はゴマの種子由来である請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記リガンドペプチドは、HER2/neuタンパク質の、SEQ ID NO: 3のアミノ酸配列を含むリガンドペプチド又はα5β3インテグリンの、SEQ ID NO: 4のアミノ酸配列を含むリガンドペプチドであり、前記細胞透過性ペプチドはSEQ ID NO: 5のアミノ酸配列を含む請求項6に記載の組成物。
【請求項12】
前記脂質はトリアシルグリセロール、オリーブ油、ゴマ油、大豆油、ピーナッツ油、鉱油、アマ油、ベニバナ油、及びこれらの組合せからなるグループから選択される請求項6に記載の組成物。
【請求項13】
前記脂質はゴマ油である請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記融合タンパク質と前記脂質との重量/体積比は約1/1〜約30/1である請求項6に記載の組成物。
【請求項15】
前記油体担体の平均粒子サイズは約10nm〜約300nmである請求項6に記載の組成物。
【請求項16】
前記緩衝液は約7.0〜約9.0のpH値を有する請求項7に記載の組成物。
【請求項17】
前記薬剤はリコピン、クルクミン、カンプトセシン、脂溶性抗生物質、ククルビタシン、ビノレルビン、及びこれらの組合せからなるグループから選択される請求項6に記載の組成物。
【請求項18】
前記信号分子はカドミウム・セシウム量子ドット、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、アリザリンイエローR(5‐[(p‐ニトロフェニル)アゾ]サリチル酸ナトリウム)、ナイルレッド(9‐ジエチルアミノ‐5H‐ベンゾ[α]フェノキサジン‐5‐オン)、及びこれらの組合せからなるグループから選択される請求項6に記載の組成物。
【請求項19】
a)油体タンパク質と、リガンドペプチド、抗体ペプチド、細胞透過性ペプチド、及びこれらの組合せからなるグループから選択されたペプチドとを含む融合タンパク質と、
b)脂質と
を含み、
該融合タンパク質と該脂質との重量/体積(μg/μl)比が約1/25以上であり、約10nm〜約2000nmの平均粒子サイズを有する油体担体。
【請求項20】
約7.0以上のpH値を有する緩衝液を更に含む請求項19に記載の油体担体。

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28B】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図24】
image rotate

【図28A】
image rotate

【図28C】
image rotate

【図29】
image rotate


【公開番号】特開2011−111456(P2011−111456A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180239(P2010−180239)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(509075457)中國醫藥大學 (11)
【Fターム(参考)】