説明

油性マーキングペン用インキ

【目的】 本発明は、インキが吸湿した時に染料や樹脂等のインキ中に溶解している成分の析出を抑制することで、ペン先からのインキ吐出性が良好で、且つ、非吸収面への筆記したときの耐水性や耐擦過性等の堅牢性に優れた油性マーキングペン用インキを提供することを目的とするものである。
【構成】 着色剤と、溶剤と、HLBが9〜11である蔗糖脂肪酸エステルを少なくとも含有する油性マーキング用インキ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インキが吸湿した時に染料や樹脂等のインキ中に溶解している成分の析出を抑制することで、ペン先からのインキ吐出性が良好で、且つ、非吸収面への筆記したときの耐水性や耐擦過性等の堅牢性に優れた油性マーキングペン用インキに関する。
【背景技術】
【0002】
油性マーキングペン用インキは、溶剤が比較的低沸点でペン先が乾燥して初筆カスレしやすいことから、これを防止するために、インキ中に蔗糖脂肪酸エステルを添加し、ペン先の表面において蔗糖脂肪酸エステルの薄い被膜を形成して溶剤の揮発を抑制し、筆記時には薄い皮膜が破壊されてペン先を露出することで、円滑な筆記を可能にするもの(特許文献1〜3)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平1−49391号公報
【特許文献2】特公平3−32590号公報
【特許文献3】特許第4344058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
文献1、2に記載の発明に使用されている蔗糖脂肪酸エステルのHLBは13〜15で親水性が高いので、水に浸漬された状態では筆跡表面や筆跡と筆記面の界面に水が徐々に浸透して定着性を低下させ、指で擦ると容易に落ちてしまい、非吸収面の筆跡の耐水性が悪い。
また、文献3に記載の発明に使用されている蔗糖脂肪酸エステルのHLBは1〜8であり、親油性が高くアルコール系溶剤への溶解性が悪いので、低温下で不溶化して析出し、インキ吐出を低下させ、筆跡にカスレを生じる。また、高湿度下で放置されてインキが吸湿した状態になると、染料や樹脂等のインキ中に溶解している成分が水分との接触により不溶化して析出し、ペン先の微細なインキ通路を析出物が塞いでインキ吐出を低下させ、筆跡にカスレを生じ筆記不能となったり、筆跡中の樹脂が少なくなって、非吸収面への筆記したときの耐水性や耐擦過性等の堅牢性が悪くなったりする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、着色剤と、溶剤と、HLBが9〜11の範囲の蔗糖脂肪酸エステルとを含有する油性マーキング用インキを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0006】
HLB9〜11の蔗糖脂肪酸エステルは、油性マーキングペン用インキ中の溶剤に溶解しているが、多価アルコールとエステル結合した化合物の中でも多価アルコール分子量が大きい割に水酸基が多く、この水酸基がインキ中に吸湿した水分を取り込み、環状に大きい構造を持つ蔗糖部分が吸湿した水を取り囲む状態となって、水に溶解しない染料や樹脂等のインキ中に溶解している成分の析出を抑制するので、ペン先からのインキ吐出性が良好で、且つ、非吸収面への筆記したときの耐水性や耐擦過性等の堅牢性が保持できる。
また、このインキが非吸収面、ガラス等の親水面での筆跡となった時、蔗糖脂肪酸エステルの蔗糖部分が非吸収面に吸着してエステル部分が筆跡表面方向に存在するが、蔗糖脂肪酸エステルの脂肪酸エステル基は、主に蔗糖のグルコース側の水酸基に置換されているので、脂肪酸エステルに置換されていないフルクトース部分が非吸収面に吸着し、その上にグルコース部分が存在し、筆跡表面に脂肪酸エステルが存在するという後述の二塩基酸エステルを取り込みやすい三層構造となっている。二塩基酸エステルの両端のエステル基がフルクトース部分と結合し、非吸収面に吸着した蔗糖部分の吸着をより強固なものにすることで非吸収面での筆跡定着性が増し、両端のエステル基の中間のアルキル鎖部分が筆跡表面に存在することで筆跡表面がより親油性を有するので、筆跡の耐水性や耐擦過性等の堅牢性を向上することが可能となる。PPフィルム等の疎水面での筆跡となった時は、二塩基酸エステルと蔗糖脂肪酸エステルが絡み合いながら、二塩基酸エステルのアルキル鎖部分や蔗糖脂肪酸エステルの脂肪酸エステル部分が吸着するので、筆跡の耐水性や耐擦過性等の堅牢性を向上することが可能になる。また、筆跡表面に存在する二塩基酸エステルのアルキル鎖部分は、筆跡中の樹脂が乾固する際生じる体積収縮時の内部応力を減ずることができるため堅牢性が更に高まる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に発明を詳細に説明する。
本発明に使用する着色材は、従来油性マーキングペン用インキに用いられている染料及び/又は顔料が使用可能である。着色剤として使用する染料は、溶剤に可溶であればよく、ニグロシン系染料、油溶性染料、造塩タイプ油溶性染料、含金属錯塩染料、酸性染料、直接染料などが挙げられる。例えば、ソルベントイエロー2、同6、同14、同15、同16、同19、同21、同33、同56、同61、同62、同79、同80、同82、同83:1、同151、ソルベントオレンジ1、同2、同5、同6、同14、同37、同40、同41、同44、同45、同62、ソルベントレッド1、同3、同8、同23、同24、同25、同27、同30、同49、同81、同82、同83、同84、同89、同91、同100、同109、同121、同122、同127、同132、同218、ディスパースレッド9、ソルベントバイオレット8、同13、同14、同21、同21:1、同27、ディスパースバイオレット1、ソルベントブルー2、同4、同5、同11、同12、同25、同35、同36、同38、同44、同45、同55、同67、同70、同73、ソルベントグリーン3、ソルベントブラウン3、同5、同20、同28、同37、ソルベントブラック3、同5、同7、同22、同22:1、同23、同27、同29、同34、同43、同123、ベーシックブルー7、ジャパノールファストブラックDコンク(C.I.ダイレクトブラック17)、ウォーターブラック100L(C.I.ダイレクトブラック19)、ウォーターブラックL−200(C.I.ダイレクトブラック19)、ダイレクトファストブラックB(C.I.ダイレクトブラック22)、ダイレクトファストブラックAB(C.I.ダイレクトブラック32)、ダイレクトディープブラックEX(C.I.ダイレクトブラック38)、ダイレクトファストブラックコンク(C.I.ダイレクトブラック51)、カヤラススプラグレイVGN(C.I.ダイレクトブラック71)、カヤラスダイレクトブリリアントエローG(C.I.ダイレクトエロー4)、ダイレクトファストエロー5GL(C.I.ダイレクトエロー26)、アイゼンプリムラエローGCLH(C.I.ダイレクトエロー44)、ダイレクトファストエローR(C.I.ダイレクトエロー50)、アイゼンダイレクトファストレッドFH(C.I.ダイレクトレッド1)、ニッポンファストスカーレットGSX(C.I.ダイレクトレッド4)、ダイレクトファストスカーレット4BS(C.I.ダイレクトレッド23)、アイゼンダイレクトローデュリンBH(C.I.ダイレクトレッド31)、ダイレクトスカーレットB(C.I.ダイレクトレッド37)、カヤクダイレクトスカーレット3B(C.I.ダイレクトレッド39)、アイゼンプリムラピンク2BLH(C.I.ダイレクトレッド75)、スミライトレッドF3B(C.I.ダイレクトレッド80)、アイゼンプリムラレッド4BH(C.I.ダイレクトレッド81)、カヤラススプラルビンBL(C.I.ダイレクトレッド83)、カヤラスライトレッドF5G(C.I.ダイレクトレッド225)、カヤラスライトレッドF5B(C.I.ダイレクトレッド226)、カヤラスライトローズFR(C.I.ダイレクトレッド227)、ダイレクトスカイブルー6B(C.I.ダイレクトブルー1)、ダイレクトスカイブルー5B(C.I.ダイレクトブルー15)、スミライトスプラブルーBRRコンク(C.I.ダイレクトブルー71)、ダイボーゲンターコイズブルーS(C.I.ダイレクトブルー86)、ウォーターブルー#3(C.I.ダイレクトブルー86)、カヤラスターコイズブルーGL(C.I.ダイレクトブルー86)、カヤラススプラブルーFF2GL(C.I.ダイレクトブルー106)、カヤラススプラターコイズブルーFBL(C.I.ダイレクトブルー199)、アシッドブルーブラック10B(C.I.アシッドブラック1)、ニグロシン(C.I.アシッドブラック2)、スミノールミリングブラック8BX(C.I.アシッドブラック24)、カヤノールミリングブラックVLG(C.I.アシッドブラック26)、スミノールファストブラックBRコンク(C.I.アシッドブラック31)、ミツイナイロンブラックGL(C.I.アシッドブラック52)、アイゼンオパールブラックWHエクストラコンク(C.I.アシッドブラック52)、スミランブラックWA(C.I.アシッドブラック52)、ラニルブラックBGエクストラコンク(C.I.アシッドブラック107)、カヤノールミリングブラックTLB(C.I.アシッドブラック109)、スミノールミリングブラックB(C.I.アシッドブラック109)、カヤノールミリングブラックTLR(C.I.アシッドブラック110)、アイゼンオパールブラックニューコンク(C.I.アシッドブラック119)、ウォーターブラック187−L(C.I.アシッドブラック154)、カヤクアシッドブリリアントフラビンFF(C.I.アシッドエロー7:1)、カヤシルエローGG(C.I.アシッドエロー17)、キシレンライトエロー2G140%(C.I.アシッドエロー17)、スミノールレベリングエローNR(C.I.アシッドエロー19)、ダイワタートラジン(C.I.アシッドエロー23)、カヤクタートラジン(C.I.アシッドエロー23)、スミノールファストエローR(C.I.アシッドエロー25)、ダイアシッドライトエロー2GP(C.I.アシッドエロー29)、スミノールミリングエローO(C.I.アシッドエロー38)、スミノールミリングエローMR(C.I.アシッドエロー42)、ウォーターエロー#6(C.I.アシッドエロー42)、カヤノールエローNFG(C.I.アシッドエロー49)、スミノールミリングエロー3G(C.I.アシッドエロー72)、スミノールファストエローG(C.I.アシッドエロー61)、スミノールミリングエローG(C.I.アシッドエロー78)、カヤノールエローN5G(C.I.アシッドエロー110)、スミノールミリングエロー4G200%(C.I.アシッドエロー141)、カヤノールエローNG(C.I.アシッドエロー135)、カヤノールミリングエロー5GW(C.I.アシッドエロー127)、カヤノールミリングエロー6GW(C.I.アシッドエロー142)、スミトモファストスカーレットA(C.I.アシッドレッド8)、カヤクシルクスカーレット(C.I.アシッドレッド9)、ソーラールビンエクストラ(C.I.アシッドレッド14)、ダイワニューコクシン(C.I.アシッドレッド18)、アイゼンボンソーRH(C.I.アシッドレッド26)、ダイワ赤色2号(C.I.アシッドレッド27)、スミノールレベリングブリリアントレッドS3B(C.I.アシッドレッド35)、カヤシルルビノール3GS(C.I.アシッドレッド37)、アイゼンエリスロシン(C.I.アシッドレッド51)、カヤクアシッドローダミンFB(C.I.アシッドレッド52)、スミノールレベリングルビノール3GP(C.I.アシッドレッド57)、ダイアシッドアリザリンルビノールF3G200%(C.I.アシッドレッド82)、アイゼンエオシンGH(C.I.アシッドレッド87)、ウォーターピンク#2(C.I.アシッドレッド92)、アイゼンアシッドフロキシンPB(C.I.アシッドレッド92)、ローズベンガル(C.I.アシッドレッド94)、カヤノールミリングスカーレットFGW(C.I.アシッドレッド111)、カヤノールミリングルビン3BW(C.I.アシッドレッド129)、スミノオールミリングブリリアントレッド3BNコンク(C.I.アシッドレッド131)、スミノールミリングブリリアントレッドBS(C.I.アシッドレッド138)、アイゼンオパールピンクBH(C.I.アシッドレッド186)、スミノールミリングブリリアントレッドBコンク(C.I.アシッドレッド249)、カヤクアシッドブリリアントレッド3BL(C.I.アシッドレッド254)、カヤクアシッドブリリドブリリアントレッドBL(C.I.アシッドレッド265)、カヤノールミリングレッドGW(C.I.アシッドレッド276)、ミツイアシッドバイオレット6BN(C.I.アシッドバイオレット15)、ミツイアシッドバイオレットBN(C.I.アシッドバイオレット17)、スミトモパテントピュアブルーVX(C.I.アシッドブルー1)、ウォーターブルー#106(C.I.アシッドブルー1)、パテントブルーAF(C.I.アシッドブルー7)、ウォーターブルー#9(C.I.アシッドブルー9)、ダイワ青色1号(C.I.アシッドブルー9)、スプラノールブルーB(C.I.アシッドブルー15)、オリエントソルブルブルーOBC(C.I.アシッドブルー22)、スミノールレベリングブルー4GL(C.I.アシッドブルー23)、ミツイナイロンファストブルーG(C.I.アシッドブルー25)、カヤシルブルーAGG(C.I.アシッドブルー40)、カヤシルブルーBR(C.I.アシッドブルー41)、ミツイアリザリンサフィロールSE(C.I.アシッドブルー43)、スミノールレベリングスカイブルーRエクストラコンク(C.I.アシッドブルー62)、ミツイナイロンファストスカイブルーB(C.I.アシッドブルー78)、スミトモブリリアントインドシアニン6Bh/c(C.I.アシッドブルー83)、サンドランシアニンN−6B350%(C.I.アシッドブルー90)、ウォーターブルー#115(C.I.アシッドブルー90)、オリエントソルブルブルーOBB(C.I.アシッドブルー93)、スミトモブリリアントブルー5G(C.I.アシッドブルー103)、カヤノールミリングウルトラスカイSE(C.I.アシッドブルー112)、カヤノールミリングシアニン5R(C.I.アシッドブルー113)、アイゼンオパールブルー2GLH(C.I.アシッドブルー158)、ダイワギニアグリーンB(C.I.アシッドグリーン3)、アシッドブリリアントミリンググリーンB(C.I.アシッドグリーン9)、ダイワグリーン#70(C.I.アシッドグリーン16)、カヤノールシアニングリーンG(C.I.アシッドグリーン25)、スミノールミリンググリーンG(C.I.アシッドグリーン27)、マキシロンブルーGRL(C.I.アシッドグリーン41)、アイゼンカチロンブルーBRLH(C.I.アシッドグリーン54)、アイゼンダイヤモンドグリーンGH(C.I.ベーシックグリーン1)、アイゼンマラカイトグリーン(C.I.ベーシックグリーン4)、ビスマルクブラウンG(C.I.ベーシックブラウン1)等を用いることができる。
着色材として使用する顔料としては、従来公知のピグメントブラック6、同7等のカーボンブラック、ピグメントブルー27、同9、ピグメントバイオレット15、ピグメントレッド259等の金属錯塩系顔料、ピグメントホワイト6、ピグメントイエロー42、ピグメントブラック11、ピグメントレッド101等の金属酸化物系顔料、ピグメントイエロー53、ピグメントブラウン24等の複合酸化物系顔料等、ピグメントホワイト21、同22、同27、同28、同19、同24、カオリンクレー、焼成クレー、タルク、ベントナイト、マイカ、白雲母、金雲母、ネフェリンシナイト等の体質顔料、アルミニウムペースト、アルミニウムフレークパウダー、ブロンズ粉等の金属粉系顔料、ピグメントホワイト1、同14、二酸化チタン、被覆雲母等の真珠光沢顔料等の無機顔料、ピグメントレッド81、同81:1、同81:2、同81:3、同81:4、同82、同83、同84、同90、同90:1、同151、同169、同172、同173、同174、同191、ピグメントオレンジ39、ピグメントイエロー18、同100、同104、同115、同117、ピグメントブルー1、同1:2、同2、同3、同8、同9、同10、同11、同12、同14、同53、同62、同63、ピグメントバイオレット1、同2、同2:2、同3、同3:1、同3:3、同4、同5、同5:1、同6:1、同7:1、同9、同12、同20、同26、同27、同39、ピグメントグリーン1、同2、同3、同4、同8、同9、同10、同12、同45、ピグメントブラウン3等のレーキ系顔料、ピグメントレッド1、同3、同21、同112、同114、同146、同170、同187、同150、同185、同38、同41、ピグメントオレンジ5、同38、同36、同16、同13、同34、ピグメントイエロー1、同3、同97、同167、同154、同12、同13、同14、同17、同55、同83、同81、同10、ピグメントブラウン25等の不溶性アゾ顔料、ピグメントレッド144、同166等の縮合アゾ顔料、ピグメントレッド53、同53:1、同53:3、同50、同50:1、同49、同49:1、同49:2、同49:3、同57:1、同48:1、同48:2、同48:3、同48:4、同52:1、同63:1、同63:2、同58:2、同58:4、同51、同60:1、同64:1、ピグメントオレンジ17、同18、同19、ピグメントイエロー61、同62等のアゾレーキ系顔料、ピグメントブルー15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:5、同15:6、同16、同17:1、ピグメントグリーン7、同36、同37等のフタロシアニン系顔料、ピグメントレッド122、同202、同206、同207、同209、ピグメントオレンジ48、ピグメントバイオレット19等のキナクリドン系顔料、ピグメントレッド168、同177、ピグメントオレンジ51、ピグメントイエロー24、同108、ピグメントブルー60等のアントラキノン系顔料、ピグメントレッド123、同149、同178、同179、同190、同224、ピグメントバイオレット29、ピグメントブラック31、同32等のペリレン系顔料、ピグメントレッド194、ピグメントオレンジ43等のペリノン系顔料、ピグメントレッド88、同181、ピグメントブラウン27、ピグメントブルー66、同63等のインジゴ系顔料、ピグメントバイオレット23、同37等のジオキサジン系顔料、ピグメントイエロー138等のキノフタロン系顔料、ピグメントオレンジ61、ピグメントイエロー109、同110、同173等のイソインドリノン系顔料、ピグメントレッド260、ピグメントオレンジ66、同69、ピグメントイエロー139、同185等のイソインドリン系顔料、ピグメントイエロー150、ピグメントグリーン8、ピグメントグリーン10等のアゾ金属錯体顔料、ピグメントレッド257、ピグメントオレンジ68、ピグメントイエロー129、同153、同65等のアゾメチン金属錯体顔料、ピグメントレッド254、同255、同264、同270、同272、ピグメントオレンジ71、同73等のジケトピロロピロール系顔料、ピグメントブルー18、同19、同56、同57、同61、同56:1、同61:1等のアルカリブルー顔料、ピグメントブラック1等のアニリンブラック、ベーシックイエロー40、ベーシックレッド1、ベーシックバイオレット10、アシドイエロー7、アシドレッド92、アシドブルー9、ディスパーズイエロー121、ディスパーズブルー7、ダイレクトイエロー85、フルオロセントブライティングホワイテックスWS52、ソルベントイエロー44、ソルベントブルー5等の蛍光染料を合成樹脂中で固溶体とした蛍光顔料等の有機顔料等の中から、油性マーキングペン用インキに微粒子として安定に分散し得るものを1種または2種以上を適宣選択して用いることができる。
上記した着色剤は単独或いは複数混合して使用することが出来、使用量はインキ全量に対して1〜30重量%が好ましい。1重量%未満では濃度が低すぎて筆跡が確認しにくく、30重量%を超えるとインキ粘度が高くなり筆記具からのインキ吐出が不十分になる不具合が発生する恐れがある。
【0008】
本発明に使用する溶剤は、従来油性マーキングペン用インキに使用できる揮発性の溶剤であれば限定なく使用できるが、来公知のメチルアルコール、エチルアルコール、ノルマル−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマル−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、第2ブチルアルコール、第3ブチルアルコール等の炭素数4以下の低級アルコールの中から、1種または2種以上混合して使用するのが好ましい。また、その使用量は、使用する他の成分との混和性を考慮して種々の混合比が決定されるが、インキ全量に対して30〜90重量%が好ましい。
また、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素や、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の低級脂肪族ケトンや、酢酸エチル、酢酸ブチル等の低級脂肪酸の低級アルコールエステルや、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素や、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素や、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールアルキルエーテルやこれらのエステル等の有機溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル、プロピレングリコールモノノルマルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノノルマルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤や、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等のグリコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロプル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−n−アミル、酢酸−2−エチルヘキシル、イソ酪酸イソブチル、乳酸エチル、乳酸−n−ブチル等のエステル系溶剤や、アルコールやそのエチレンオキサイド及び/またはプロピレンオキサイド付加誘導体や、β−フェニルエチルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、イソドデシルアルコール、イソトリデシルアルコール等のアルコール系溶剤や、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテルやそのエチレンオキサイド及び/またはプロピレンオキサイド付加誘導体等の芳香環を持つグリコールエーテル系溶剤等を単独もしくは複数混合して使用可能である。さらに必要に応じて、揮発性でない溶剤を前記揮発性溶剤と併用することも可能である。
【0009】
非吸収面での耐水性付与、皮膜形成付与、被筆記面への付着性付与およびインキの粘度調整等の目的で、天然樹脂、合成樹脂が使用でき、具体的には、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性グリセリンエステル、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性フェノールグリセリンエステル等のロジン系樹脂、エチルセルロース、アセチルセルロース等のセルロース樹脂、石油系樹脂、ケトン系樹脂、ポリビニルブチラール、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合物、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合物、セラック、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン等の水溶性合成高分子、グァーガム、ローカストビーンガム及びそれらの誘導体などの種子多糖類、キサンタンガム、ウェランガム及びそれらの誘導体などの微生物系多糖類、カラギーナン、アルギン酸及びそれらの誘導体などの海藻多糖類、タラガントガム等の樹脂多糖類、セルロース系樹脂等が挙げられる。具体的には、フェノール樹脂として、タマノル100S、同510(以上、荒川化学工業(株)製)、ヒタノール1501、同2501(以上、日立化成工業(株)製)、YP−90、YP−90L、YSポリスターS145、同#2100、同#2115、同#2130、同T80、同T100、同T115、同T130、同T145、マイティエースG125、同150(以上、ヤスハラケミカル(株)製)などが、ケトン樹脂として、ケトンレジンK−90(荒川化学工業(株)製)、ハロン80、同110H(以上、本州化学(株)製)、シンセティックレジンAP、同SK、同1201(以上、ヒュルス社製、独国)などが、ロジン樹脂として、ハーコリンD、ペンタリン255、同261(以上、理化ハーキュレス(株)製)、ハリマックT80、ハリエスターNL、ネオトールC、ガムロジンX(以上、ハリマ化成(株)製)、ガムロジンWW(中国産)、エステルガムH(荒川化学工業(株)製)などが、ブチラール樹脂として、デンカブチラール#2000−L、同#3000−1、同#3000−2、同#3000−4、同#3000−K(以上、電気化学工業(株)製)、エスレックBL−1、同4BL−3、同BL−S、同BX−10(以上、積水化学工業(株)製)などが、セラックとして、セラックNSC、セラックCS、セラックB.D.S.(以上、日本シェラック工業(株)製)、セラックGBN−D、セラックPEARL−N811、セラックGBN−DF(以上、(株)岐阜セラック製造所製)などが挙げられる。
これらは単独あるいは複数混合して使用でき、その使用量は油性インキ全量に対して1〜20重量%が好ましい。1重量%未満では非吸収面に対する筆跡の定着性が不十分であり、20重量%を超えるとインキの粘度が高くなり筆記具ペン先からのインキ吐出が悪く
なるからである。
【0010】
本発明に使用される蔗糖脂肪酸エステルは、インキが吸湿した時に染料や樹脂等のインキ中に溶解している成分の析出抑制剤としてHLBが9以上11未満のものを使用する。HLB9未満の蔗糖脂肪酸エステルは非水溶性で吸湿した水分を取り込めず、インキ成分の析出を抑制できないのでペン先からのインキ吐出性を低下させ、筆跡にカスレを生じ、明瞭な筆跡を得ることができない。また、HLB11がより大きい蔗糖脂肪酸エステルは水を取り込むことはできるが、非吸収面での筆跡耐水性が維持できない。
蔗糖脂肪酸エステルは、蔗糖と脂肪酸とのエステルであり、前期脂肪酸は、炭素数が4〜24の飽和又は不飽和脂肪酸であり、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、エイコサン酸、オレイン酸等が挙げられる。HLBが9以上11未満の蔗糖脂肪酸エステルとしては、三菱化学フーズ(株)社製リョートーシュガーエステルS−970(HLB9)、S−1170(HLB11)、S−1170F(HLB11)、第一工業製薬(株)社製の、DKエステルF110(HLB11)、F90(HLB9.5)、F70(HLB9)等が挙げられる。
これらは単独あるいは複数混合して使用でき、その使用量は油性インキ全量に対して0.5〜10重量%が好ましい。0.5重量%未満ではインキが吸湿したときの溶解しているインキ成分の析出抑制効果が不十分であり、10重量%を超えるとインキの粘度が高くなり筆記具ペン先からのインキ吐出が悪くなるからである。
【0011】
本発明に使用される二塩基酸エステルは、蔗糖脂肪酸エステルと併用することで、非吸収面への筆記したときの耐水性や耐擦過性等の堅牢性付与剤として使用するものである。
二塩基酸エステルとしては、DMA(アジピン酸ジメチル)、DBA(アジピン酸ジブチル)、DIBA(アジピン酸イソブチル)、DOA(アジピン酸ジ−2エチルヘキシル)、DINA(アジピン酸ジイソノニル)、DIDA(アジピン酸ジイソデシル)、DOZ(アゼライン酸ジ−2エチルヘキシル)、DMS(セバシン酸ジメチル)、DBS(セバシン酸ジブチル)、DOS(セバシン酸ジ2−エチルヘキシル)、BXA(アジピン酸ジブチルジグリコール)、BXA−R(アジピン酸ジブチルジグリコール)(以上、大八化学工業(株)製)、NIKKOL DES−SP(セバシン酸ジエチル)、同DID(アジピン酸ジイソプロピル)、同DIS(セバシン酸ジイソプロピル)、同DISM(リンゴ酸ジイソステアリル)、(以上、日光ケミカルズ(株)製)、DS−1220(セバシン酸ジブチル2−エチルヘキシル、豊国精油(株)製)等が挙げられる。
その中でも両端のエステル基の中間のメチレン鎖部分の炭素数20以下がより好ましい。これは、両端のエステル基が非吸収面に吸着しているフルクトースの脱落を防止するのに、二塩基酸エステルのメチレン鎖の炭素数が20より大きいと、メチレン鎖が長くなり脱落抑制力が弱くなるからである。
【0012】
また、必要に応じて、湿潤剤として、例えば炭素数4超のアルコール系溶剤、グリコール類やグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル等、粘度調整剤としてヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース類など、種々の添加剤を適宣選択して使用することができる。
【0013】
更に、必要に応じて、非イオン界面活性剤、アニオン系界面活性剤、防錆剤、筆跡の滲み止め剤、筆跡の平滑付与材、水等の添加剤が用いられてもよい。
【0014】
本発明の油性マーキングペン用インキを製造するに際しては、従来知られている種々の方法が採用できる。例えば、上記各成分を配合し、ホモミキサー、ラボミキサー等の高速撹拌機や、ボールミル、サンドミルまたはビーズミル等の分散機にて混合・分散することにより容易に得ることができる。
【実施例】
【0015】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
【0016】
実施例1
ニグロシンベースEX(染料、オリエント(株)製) 10.0重量部
エタノール 65.0重量部
ノルマルプロパノール 10.0重量部
ベンジルアルコール 5.0重量部
SILWET FZ−2203(日本ユニカー(株)製) 1.0重量部
YP−90L(定着樹脂、ヤスハラケミカル(株)製) 7.0重量部
リョートーシュガーエステルS970(蔗糖脂肪酸エステル、HLB9、三菱化学フーズ(株)製) 2.0重量部
上記成分を、撹拌混合して溶解させ黒色の油性マーキング用インキを得た。
【0017】
実施例2
バリファストレッド1308(染料、オリエント化学工業(株)製) 6.0重量部
エタノール 72.0重量部
プロピレングリコールモノエチルエーテル 10.0重量部
ベンジルアルコール 5.0重量部
ヒタノール1501(定着樹脂、日立化成工業(株)製) 6.0重量部
DKエステルF90(蔗糖脂肪酸エステル、HLB9.5、第一工業製薬(株)製)
1.0重量部
上記成分を、撹拌混合して溶解させ赤色の油性マーキング用インキを得た。
【0018】
実施例3
フジ AS ブラック 810(ポリビニルブチラールで黒色顔料をコーティングした加工顔料、冨士色素(株)製) 8.0重量部
エタノール 50.0重量部
イソプロピルアルコール 32.0重量部
カルビノール変性シリコーンオイル(滲み防止剤) 1.0重量部
マイティエース G125(定着樹脂、ヤスハラケミカル(株)製) 7.0重量部
リョートーシュガーエステルS1170(蔗糖脂肪酸エステル、HLB11、三菱化学フーズ(株)製) 2.0重量部
上記成分を、撹拌混合して溶解させ黒色の油性マーキング用インキを得た。
【0019】
実施例4
バリファストブラック3806(染料、オリエント(株)製) 16.0重量部
エタノール 40.0重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0重量部
ベンジルアルコール 10.0重量部
ハリマック T80(定着樹脂、ハリマ化成(株)製) 8.5重量部
DKエステルF110(蔗糖脂肪酸エステル、HLB11、第一工業製薬(株)製)
1.0重量部
セバシン酸イソプロピル(二塩基酸エステル) 4.0重量部
アルコキシ変性シリコーンオイル(滲み防止剤) 0.5重量部
上記成分を、撹拌混合して溶解させ黒色の油性マーキング用インキを得た。
【0020】
実施例5
バリファストブラック3806(染料、オリエント(株)製) 12.0重量部
エタノール 40.0重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 15.0重量部
3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール 15.0重量部
ハリマック T80(定着樹脂、ハリマ化成(株)製) 14.0重量部
DKエステルF90(蔗糖脂肪酸エステル、HLB9.5、第一工業製薬(株)製)
1.0重量部
アジピン酸イソプロピル(二塩基酸エステル) 3.0重量部
上記成分を、撹拌混合して溶解させ黒色の油性マーキング用インキを得た。
【0021】
実施例6
バリファストブラック3806(染料、オリエント(株)製) 12.0重量部
エタノール 42.5重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0重量部
ベンジルアルコール 5.0重量部
ハリマック T80(定着樹脂、ハリマ化成(株)製) 16.0重量部
DKエステルF90(蔗糖脂肪酸エステル、HLB9.5、第一工業製薬(株)製)
1.0重量部
セバシン酸イソプロピル(二塩基酸エステル) 3.0重量部
カルビノール変性シリコーンオイル(滲み防止剤) 0.5重量部
上記成分を、撹拌混合して溶解させ黒色の油性マーキング用インキを得た。
【0022】
実施例7
バリファストブラック3806(染料、オリエント(株)製) 16.0重量部
エタノール 40.0重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 15.0重量部
ベンジルアルコール 5.0重量部
ハリマック T80(定着樹脂、ハリマ化成(株)製) 8.5重量部
DKエステルF110(蔗糖脂肪酸エステル、HLB11、第一工業製薬(株)製)
11.0重量部
セバシン酸イソプロピル(二塩基酸エステル) 4.0重量部
アルコキシ変性シリコーンオイル(滲み防止剤) 0.5重量部
上記成分を、撹拌混合して溶解させ黒色の油性マーキング用インキを得た。
【0023】
実施例8
バリファストブラック3806(染料、オリエント(株)製) 12.0重量部
エタノール 40.0重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 15.0重量部
3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール 15.9重量部
ハリマック T80(定着樹脂、ハリマ化成(株)製) 14.0重量部
DKエステルF90(蔗糖脂肪酸エステル、HLB9.5、第一工業製薬(株)製)
0.1重量部
ステアリン酸ブチル(一塩基酸エステル) 3.0重量部
上記成分を、撹拌混合して溶解させ黒色の油性マーキング用インキを得た。
【0024】
実施例9
バリファストブラック3806(染料、オリエント(株)製) 12.0重量部
エタノール 42.5重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 13.0重量部
ベンジルアルコール 5.0重量部
ハリマック T80(定着樹脂、ハリマ化成(株)製) 16.0重量部
DKエステルF110(蔗糖脂肪酸エステル、HLB11、第一工業製薬(株)製)
11.0重量部
カルビノール変性シリコーンオイル(滲み防止剤) 0.5重量部
上記成分を、撹拌混合して溶解させ黒色の油性マーキング用インキを得た。
【0025】
比較例1
実施例3において、リョートーシュガーエステルS1170の代わりにエタノールを加えた以外は同様に為して油性マーキング用インキを得た。
【0026】
比較例2
実施例1において、リョートーシュガーエステルS1170の代わりにリョートーシュガーエステルS570(蔗糖脂肪酸エステル、HLB5、三菱化学フーズ(株)製)を加えた以外は同様に為して油性マーキング用インキを得た。
【0027】
比較例3
実施例1において、リョートーシュガーエステルS1170の代わりにDKエステルF140(蔗糖脂肪酸エステル、HLB13、第一工業製薬(株)製)を加えた以外は同様に為して油性マーキング用インキを得た。
【0028】
比較例4
実施例1において、リョートーシュガーエステルS1170の代わりにデカグリセリルジステアレート(HLB9.5)を加えた以外は同様に為して油性マーキング用インキを得た。
【0029】
比較例5
実施例1において、リョートーシュガーエステルS1170の代わりにドデカン二酸 ジメチル(二塩基酸エステル)を加えた以外は同様に為して油性マーキング用インキを得た。
【0030】
上記、実施例1〜9、比較例1〜5で得た油性マーキングペン用インキを、繊維芯のペン先と中綿を使用した筆記具(ぺんてるペン<グリーンラベル>NN50<丸芯>、ぺんてる(株)製)に充填し、油性マーキングペン用インキの試験用筆記具を得た。この試験用筆記具を用いてインキが吸湿したときの筆記性、非吸収面での筆跡耐擦過性、及び筆跡耐水性を評価した。
【0031】
筆記性
キャップを取り、25℃湿度80%下にて5分放置した後、ポリプロピレン(PP)製OHPシート〔薄口〕(リコー教育機器(株)製)に、上記試験用筆記具を用いて荷重150g、筆記速度7.0cm/秒、筆記角度70°で直線を10cm筆記し、その書き始めから正常筆記できた筆跡の位置までの長さを測定した。
判定方法:
10cm:全くかすれず完全に筆記できることを示す。
0cm:全く筆記できないことを示す。
【0032】
非吸収面での筆跡耐擦過性試験
ポリプロピレン(PP)製OHPシート〔薄口〕(リコー教育機器(株)製)に、上記試験用筆記具を用いて横1回均一にインキを面状に塗布し10分間乾燥させ試験サンプルとする。次に試験サンプルの上に上質紙を重ね、底面の直径50mm、質量500gの重りを乗せ、左右10回上質紙を往復移動させた。塗布した面の面積を100%とし、試験後に転写されずに残った面の面積を測定して、転写されずに残った面積の割合を算出した。
判定方法:
100%:筆跡の転写が全く認められず、筆跡が100%残っていることを示す。
0%:インキを塗布した面がすべて転写されていることを示す。
【0033】
非吸収面での筆跡耐水性試験
平滑なガラス板(厚さ2mm)に、上記試験用筆記具を用いて荷重150g、筆記速度7.0cm/秒、筆記角度70°で直線を10cm筆記し、10分間乾燥させ試験サンプルとした。次にステンレス容器に水道水を入れ、その中に試験サンプルを2時間浸漬した後、取り出して指で20回擦り、試験後に残った筆跡の長さを測定した。
判定方法:
10cm:ガラス板上の筆跡が完全に残っている事を示す。
0cm:ガラス板上の筆跡が完全に消えている事を示す。
【0034】
実施例1〜9のインキは、HLBが9〜11の蔗糖脂肪酸エステルを添加することで、インキが吸湿した時に染料や樹脂等のインキ中に溶解している成分の析出を抑制できるので、ペン先からのインキ吐出性が良好で、非吸収面への筆記したときの耐水性や耐擦過性等の堅牢性が良好な結果を得ることができた。
中でも、実施例4〜8のインキは、二塩基酸エステルを添加し、HLBが9〜11の蔗糖脂肪酸エステルと併用することで筆跡表面がより親油性を有することができるので、非吸収面での筆跡堅牢性が実施例1〜3よりも良好な結果を得ることができた。
特に、実施例4〜6のインキは、二塩基酸エステルとHLBが9〜11の脂肪酸エステルを好ましい添加量で併用しているので、より良好な結果を得ることができた。
【0035】
これに対して比較例1〜5は、インキが吸湿した時に染料や樹脂等のインキ中に溶解している成分が析出してしまい、ペン先からのインキ吐出性が悪く、且つ、非吸収面への筆記したときの耐水性や耐擦過性等の堅牢性失われてしまう。
【0036】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤と、溶剤と、HLBが9〜11の範囲の蔗糖脂肪酸エステルとを含有する油性マーキング用インキ。
【請求項2】
更に二塩基酸エステルを含有する請求項1に記載の油性マーキング用インキ。