説明

油性懸濁液濃縮物

本発明は、少なくとも1種類の、室温で固体である式(I’)


の化合物と、少なくとも1種類の浸透促進剤と、少なくとも1種類の植物油と、少なくとも1種類の非イオン界面活性剤及び/又は少なくとも1種類の陰イオン界面活性剤と、乳化剤、抑泡剤、防腐剤、酸化防止剤、色素及び/又は不活性充填剤材料からなる群から選択される少なくとも1種類の必須でない添加剤とからなる、新規油性懸濁液濃縮物に関する。本発明は、前記懸濁液濃縮物を製造する方法及び含有活性成分を適用するためのその使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環式ケトエノールの新規油性懸濁液濃縮物、この調合物を製造する方法及び含まれる環式ケトエノールを適用するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
活性な農薬物質の無水懸濁液濃縮物はすでに多数開示されている。例えば、欧州特許出願公開第0 789 999号は、活性物質及び油に加えて、浸透剤として役立ついくつかを含めた異なる界面活性剤の混合物と疎水性アルミノフィロシリカート増粘剤とを含む、このタイプの調合物を記載している。これらの調製物の安定性は良好である。しかし、欠点は、増粘剤が必ず存在することであり、これが製造をより複雑にしている。さらに、増粘剤は、各場合において浸透剤の添加量の一部を吸収し、したがってその適正な機能が利用できない。
【0003】
さらに、US−A 6 165 940から、活性農薬物質、浸透剤及び界面活性剤又は界面活性剤混合物に加えて、有機溶媒、すなわち、流動パラフィン又は植物油エステルを含めてこのタイプの適切な溶媒が存在する、非水系懸濁液濃縮物がすでに公知である。しかし、この調合物から水で希釈することによって調製可能な噴霧液の作物耐薬性(crop tolerance)及び/又は生物活性及び/又は安定性は、必ずしも十分ではない。
【発明の開示】
【0004】
− 少なくとも1種類の式(I’)の室温固体化合物と、
【0005】
【化7】

(式中、
Vは酸素又はN−Dであり、
Xはハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ又はシアノであり、
W、Y及びZは互いに独立に水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ又はシアノであり、
Aは水素、各場合においてハロゲンで置換されていてもよい、アルキル、アルコキシアルキル、置換されていてもよい飽和シクロアルキルであり、該飽和シクロアルキルの少なくとも1個の環原子はヘテロ原子で置換されていてもよく、
Bは水素又はアルキルであり、
AとBはこれらが結合している炭素原子と一緒に、少なくとも1個のヘテロ原子を含んでいてもよい、飽和又は不飽和の非置換又は置換環であり、
Dは、水素であり、又はアルキル、アルケニル、アルコキシアルキル、飽和シクロアルキルのシリーズから選択される、置換されていてもよい基であり、該飽和シクロアルキルの1個以上の環メンバーはヘテロ原子で置換されていてもよく、
AとDはこれらが結合している原子と一緒に飽和環又は不飽和環であり、該飽和環又は不飽和環は、少なくとも1個のヘテロ原子を含んでいてもよく、A、D部分において非置換又は置換であり、
Gは水素(a)であり、又は群
【0006】
【化8】

の1個である
(式中、
Eは金属イオン又はアンモニウムイオンであり、
Lは酸素又は硫黄であり、
Mは酸素又は硫黄であり、
は、各場合においてハロゲンで置換されていてもよい、アルキル、アルケニル、アルコキシアルキル、アルキルチオアルキル、ポリアルコキシアルキルであり、又はハロゲンで、アルキルで、若しくはアルコキシで置換されていてもよい、少なくとも1個のヘテロ原子で分断されていてもよいシクロアルキルであり、又は各場合において置換されていてもよい、フェニル、フェニルアルキル、ヘタリール、フェノキシアルキル若しくはヘタリールオキシアルキルであり、
は、各場合においてハロゲンで置換されていてもよい、アルキル、アルケニル、アルコキシアルキル、ポリアルコキシアルキルであり、又は各場合において置換されていてもよい、シクロアルキル、フェニル若しくはベンジルであり、
は、ハロゲンで置換されていてもよいアルキル又は置換されていてもよいフェニルであり、
及びRは互いに独立に、各場合においてハロゲンで置換されていてもよい、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アルケニルチオ、シクロアルキルチオであり、又は各場合において置換されていてもよい、フェニル、ベンジル、フェノキシ若しくはフェニルチオであり、
及びRは互いに独立に、水素、各場合においてハロゲンで置換されていてもよい、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキルであり、置換されていてもよいフェニルであり、置換されていてもよいベンジルであり、又はR及びRが結合している窒素原子と一緒に、酸素若しくは硫黄で分断されていてもよい、置換されていてもよい環である。)。)
− 少なくとも1種類の浸透剤と、
− 少なくとも1種類の植物油と、
− 少なくとも1種類の非イオン界面活性剤及び/又は少なくとも1種類の陰イオン界面活性剤と、
− 乳化剤、抑泡剤、防腐剤、酸化防止剤、着色剤及び/又は不活性充填剤材料からなる群から選択される1種類以上の必須でない添加剤と
から構成される、新規油性懸濁液濃縮物が今回見出された。
【0007】
さらに、本発明の油性懸濁液濃縮物は、
− 少なくとも1種類の式(I’)の室温固体化合物と、
− 少なくとも1種類の浸透剤と、
− 少なくとも1種類の植物油と、
− 少なくとも1種類の非イオン界面活性剤及び/又は少なくとも1種類の陰イオン界面活性剤と、
− 乳化剤、抑泡剤、防腐剤、酸化防止剤、着色剤及び/又は不活性充填剤材料からなる群から選択される1種類以上の必須でない添加剤と
を混合することによって、さらに場合によっては、得られた懸濁液を続いてすりつぶすことによって、製造可能であることが見出された。
【0008】
最後に、本発明の油性懸濁液濃縮物は、含まれる式(I’)の化合物を植物及び/又はその生育地に適用するのにきわめて適切であることが見出された。
【0009】
植物組織における異物の生物学的作用/摂取が、組成の最も類似した既存調合物よりも明らかに高いという事実にもかかわらず、本発明の油性懸濁液濃縮物がきわめて良好な作物耐薬性を示すことはきわめて驚くべきことと考えられる。この効果は、すでに記載された従来技術に基づいて予見することはできなかった。
【0010】
本発明の油性懸濁液濃縮物は、一連の利点でも注目に値する。例えば、その製造は、増粘剤が存在する、対応する調合物の調製よりも複雑でない。さらなる利点は、本発明の濃縮物を水で希釈したときに、さほどクリーム分離せず、破壊的な凝集もないことである。これは、この種の既存調製物では頻繁に起こる。最後に、本発明の調合物は、含まれる有効成分の作物耐薬性及び/又は生物活性を高め、その結果、従来の調製物よりも活性が高く、又は活性物質が少量で済む。
【0011】
各基が以下の定義を有する式(I’)の化合物を含む油性油懸濁液濃縮物が好ましい。
【0012】
Vは、好ましくは、酸素又はN−Dであり、
Wは、好ましくは、水素、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、塩素、臭素又はフッ素であり、
Xは、好ましくは、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルキル、フッ素、塩素又は臭素であり、
Y及びZは互いに独立に、好ましくは、水素、C−C−アルキル、ハロゲン、C−C−アルコキシ又はC−C−ハロアルキルであり、
Aは、好ましくは、水素であり、又は各場合においてハロゲンで置換されていてもよい、C−C−アルキル若しくはC−C−シクロアルキルであり、
Bは、好ましくは、水素、メチル又はエチルであり、
A、B及びこれらが結合している炭素原子は、好ましくは、飽和C−C−シクロアルキルであり、該飽和C−C−シクロアルキルの環メンバーは酸素又は硫黄で置換されていてもよく、該飽和C−C−シクロアルキルはC−C−アルキル、トリフルオロメチル又はC−C−アルコキシで一置換又は二置換されていてもよく、
Dは、好ましくは、水素、各場合においてフッ素で、又は塩素で置換されていてもよい、C−C−アルキル、C−C−アルケニル又はC−C−シクロアルキルであり、
AとDは一緒に、好ましくは、各場合においてメチルで置換されていてもよいC−C−アルカンジイルであり、該C−C−アルカンジイルのメチレン基は硫黄で置換されていてもよく、
Gは、好ましくは水素(a)であり、又は群
【0013】
【化9】

の1個であり、特に(a)、(b)、(c)若しくは(g)であり、
Eは金属イオン又はアンモニウムイオンであり、
Lは酸素又は硫黄であり、
Mは酸素又は硫黄であり、
は、好ましくは、各場合においてハロゲンで置換されていてもよい、C−C10−アルキル、C−C10−アルケニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルキルチオ−C−C−アルキルであり、又はフッ素で、塩素で、C−C−アルキルで、若しくはC−C−アルコキシで置換されていてもよいC−C−シクロアルキルであり、
フッ素で、塩素で、臭素で、シアノで、ニトロで、C−C−アルキルで、C−C−アルコキシで、トリフルオロメチルで、若しくはトリフルオロメトキシで置換されていてもよいフェニルであり、
各場合において塩素で、若しくはメチルで置換されていてもよい、ピリジル若しくはチエニルであり、
は、好ましくは、各場合においてフッ素で、若しくは塩素で置換されていてもよい、C−C10−アルキル、C−C10−アルケニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルであり、
メチルで、若しくはメトキシで置換されていてもよいC−C−シクロアルキルであり、又は
各場合においてフッ素で、塩素で、臭素で、シアノで、ニトロで、C−C−アルキルで、C−C−アルコキシで、トリフルオロメチルで、若しくはトリフルオロメトキシで置換されていてもよい、フェニル若しくはベンジルであり、
は、好ましくは、フッ素で置換されていてもよいC−C−アルキルであり、又はフッ素で、塩素で、臭素で、C−C−アルキルで、C−C−アルコキシで、トリフルオロメチルで、トリフルオロメトキシで、シアノで、若しくはニトロで置換されていてもよいフェニルであり、
は、好ましくは、各場合においてフッ素で、若しくは塩素で置換されていてもよい、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルチオであり、又は各場合においてフッ素で、塩素で、臭素で、ニトロで、シアノで、C−C−アルコキシで、トリフルオロメトキシで、C−C−アルキルチオで、C−C−ハロアルキルチオで、C−C−アルキルで、若しくはトリフルオロメチルで置換されていてもよい、フェニル、フェノキシ若しくはフェニルチオであり、
は、好ましくは、C−C−アルコキシ又はC−C−チオアルキルであり、
は、好ましくは、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニル、C−Cアルコキシ−C−C−アルキルであり、
は、好ましくは、C−C−アルキル、C−C−アルケニル又はC−C−アルコキシ−C−C−アルキルであり、
とRは一緒に、好ましくは、メチルで、又はエチルで置換されていてもよいC−C−アルキレン基であり、該C−C−アルキレン基の炭素原子は酸素又は硫黄で置換されていてもよい。
【0014】
Vは、より好ましくは、酸素又はN−Dであり、
Wは、より好ましくは、水素、メチル、エチル、塩素、臭素又はメトキシであり、
Xは、より好ましくは、塩素、臭素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ又はトリフルオロメチルであり、
Y及びZは、より好ましくは、互いに独立に水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、トリフルオロメチル又はメトキシであり、
Aは、より好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロペンチル又はシクロヘキシルであり、
Bは、より好ましくは、水素、メチル又はエチルであり、
A、B及びこれらが結合している炭素原子は、より好ましくは飽和C−シクロアルキルであって、該飽和C−シクロアルキルの環メンバーは酸素で置換されていてもよく、該飽和C−シクロアルキルはメチル、エチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はブトキシで一置換されていてもよく、
Dは、より好ましくは水素であり、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、アリル、シクロプロピル、シクロペンチル又はシクロヘキシルであり、
AとDは一緒に、より好ましくは、メチルで置換されていてもよいC−C−アルカンジイルであり、
Gは、より好ましくは水素(a)であり、又は群
【0015】
【化10】

の1個であり、
Mは酸素又は硫黄であり、
は、より好ましくは、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、メトキシメチル、エトキシメチル、エチルチオメチル、シクロプロピル、シクロペンチル又はシクロヘキシルであり、
フッ素で、塩素で、臭素で、シアノで、ニトロで、メチルで、エチルで、メトキシで、トリフルオロメチルで、又はトリフルオロメトキシで置換されていてもよいフェニルであり、
各場合において塩素で、若しくはメチルで置換されていてもよい、ピリジル若しくはチエニルであり、
は、より好ましくは、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、メトキシエチル、エトキシエチルであり、又はフェニル若しくはベンジルであり、
及びRは互いに独立に、より好ましくは、メチル、エチルであり、又は一緒にC−アルキレン基であって、該C−アルキレン基中のC−メチレン基は酸素で置換されている。
【0016】
Vは、きわめて好ましくはN−Dであり、
Wは、きわめて好ましくは、水素又はメチルであり、
Xは、きわめて好ましくは、塩素、臭素又はメチルであり、
Y及びZは、きわめて好ましくは、互いに独立に水素、塩素、臭素又はメチルであり、
A、B及びこれらが結合している炭素原子は、きわめて好ましくは飽和C−シクロアルキルであり、該飽和C−シクロアルキルの環メンバーは酸素で置換されていてもよく、該飽和C−シクロアルキルはメチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はブトキシで一置換されていてもよく、
Dは、きわめて好ましくは水素であり、
Gは、きわめて好ましくは水素(a)であり、又は群
【0017】
【化11】

の1個であり、
Mは酸素又は硫黄であり、
は、きわめて好ましくは、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、メトキシメチル、エトキシメチル、エチルメチルチオ、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルであり、又は
フッ素で、塩素で、臭素で、メチルで、メトキシで、トリフルオロメチルで、トリフルオロメトキシで、シアノで、若しくはニトロで置換されていてもよいフェニルであり、
各場合において塩素で、若しくはメチルで置換されていてもよい、ピリジル若しくはチエニルであり、
は、きわめて好ましくは、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、メトキシエチル、エトキシエチル、フェニル又はベンジルであり、
及びRは互いに独立に、きわめて好ましくは、メチル、エチルであり、又は一緒にC−アルキレン基であり、該C−アルキレン基中のC−メチレン基は酸素で置換されている。
【0018】
式(I”)の化合物を含む油性懸濁液濃縮物が特に好ましい。
【0019】
【化12】

【0020】
【表2】

【0021】
本明細書における適切な浸透剤は、式(I’)の化合物の植物への浸透を改善するために通常使用されるすべての物質である。次式のアルカノールアルコキシラートが好ましい。
【0022】
CH−(CH−CH−O−(−CH−CH−O−)−H (Id)
式中、
tは9から10.5の数値であり、
uは7から9の数値である。
【0023】
アルカノールアルコキシラートの一般的定義は上式で与えられる。これらの物質は、異なる鎖長を有する、示されたタイプの物質の混合物を構成する。したがって、これらの添字に対して、整数からずれていてもよい平均値が計算される。
【0024】
例として、式(Id−1)のアルカノールアルコキシラートを挙げることができる。ここで、
tは平均値10.5であり、
uは平均値8.4である。
【0025】
示した式のアルカノールアルコキシラートは公知であり、Genapol、Marlipal、Lutensol、Renexの商品名で商業的に入手可能である。
【0026】
式(I’)の化合物は、以下のとおり公知である。
【0027】
3−アシル−ピロリジン−2,4−ジオンの場合には、薬剤特性がすでに記述されている(S.Suzuki et al. Chem.Pharm.Bull.15 1120(1967))。また、N−フェニルピロリジン−2,4−ジオンは、R.Schmierer及びH.Mildenberger(Liebigs Ann.Chem.1985,1095)によって合成された。
【0028】
欧州特許出願公開第0 262 399号及び英国特許出願公開第2 266 888号は、類似構造の化合物(3−アリール−ピロリジン−2,4−ジオン)を開示している。公知化合物としては、非置換二環式3−アリール−ピロリジン−2,4−ジオン誘導体(欧州特許出願公開第355 599号、同415 211号及び日本国特許出願公開第12−053 670号)、置換単環式3−アリール−ピロリジン−2,4−ジオン誘導体(欧州特許出願公開第377 893号及び同442 077号)などが挙げられる。
【0029】
多環式3−アリールピロリジン−2,4−ジオン誘導体(欧州特許出願公開第442 073号)、1H−アリールピロリジン−ジオン誘導体(欧州特許出願公開第456 063号、同521 334号、同596 298号、同613 884号、同613 885号、国際公開第94/01 997号、同95/26 954号、同95/20 572号、欧州特許出願公開第0 668 267号、国際公開第96/25 395号、同96/35 664号、同97/01 535号、同97/02 243号、同97/36 868号、同97/43275号、同98/05638号、同98/06721号、同98/25928号、同99/16748号、同99/24437号、同99/43649号、同99/48869号及び同99/55673号、同01/17972号、同01/23354号、同01/74770号、同04/024688号、同04/007448号、同04/080962号及び同04/065366号)も公知である。
【0030】
さらに、Δ−ジヒドロフラン−2−オン誘導体も公知である(独国特許出願公開第4 014 420号参照)。(例えば3−(2−メチルフェニル)−4−ヒドロキシ−5−(4−フルオロフェニル)−Δ−ジヒドロフラン−2−オンなどの)出発化合物として使用されるテトロン酸誘導体の合成は、独国特許出願公開第4 014 420号に同様に記載されている。類似構造の化合物は、刊行物Campbell et al, J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1, 1985,(8)1567−76によって公知である。さらに、3−アリール−Δ−ジヒドロフラノン誘導体は、欧州特許出願公開第528 156号、同0 647 637号、国際公開第95/26 345号、同96/20 196号、同96/25 395号、同96/35 664号、同97/01 535号、同97/02 243号、同97/36 868号、同98/05638号、同98/25928号、同99/16748号、同99/43649号、同99/48869号、同99/55673号、同01/17972号、同01/23354号、同01/74770号、同04/024688号及び同04/080962号によって公知である。
【0031】
適切な植物油としては、農薬組成物に通常使用することができ、植物から得ることができる、すべての油などが挙げられる。例としては、ヒマワリ油、菜種油、トウモロコシ油、オリーブ油及びダイズ油が挙げられる。
【0032】
本発明の油性懸濁液濃縮物は、少なくとも1種類の非イオン界面活性剤及び/又は少なくとも1種類の陰イオン界面活性剤を含む。
【0033】
適切な非イオン界面活性剤としては、農薬組成物に通常使用することができるこのタイプのすべての物質などが挙げられる。好ましくは、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロック共重合体、線状アルコールのポリエチレングリコールエーテル、脂肪酸とエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとの反応生成物並びにポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンのコポリマー並びに(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルのコポリマー並びにリン酸処理されていてもよく、塩基で中和されていてもよい、アルキルエトキシラート及びアルキルアリールエトキシラートなどが挙げられる。例として、ソルビトールエトキシラートを挙げることができる。
【0034】
適切な陰イオン界面活性剤としては、農薬組成物に通常使用することができるこのタイプのすべての物質などが挙げられる。アルキルスルホン酸又はアルキルアリールスルホン酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩が好ましい。
【0035】
本発明の調合物に含めることができる適切な添加剤は、乳化剤、展着剤、抑泡剤、防腐剤、酸化防止剤、着色剤及び不活性充填剤材料である。適切な展着剤としては、農薬組成物にこの目的で通常使用することができるすべての物質などが挙げられる。アルキルシロキサンが好ましい。
【0036】
好ましい乳化剤は、エトキシル化ノニルフェノール、アルキルフェノールとエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとの反応生成物、エトキシル化アリールアルキルフェノール並びにエトキシル化及びプロポキシル化アリールアルキルフェノール並びに硫酸化又はリン酸化アリールアルキルエトキシラート及び/又はアリールアルキルエトキシ−プロポキシラートである。例として、ソルビタン誘導体、ポリエチレンオキシド−ソルビタン脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルを挙げることができる。
【0037】
適切な抑泡剤としては、農薬組成物にこの目的で通常使用することができるすべての物質などが挙げられる。シリコーンオイル及びステアリン酸マグネシウムが好ましい。
【0038】
適切な防腐剤としては、このタイプの農薬組成物にこの目的で通常使用することができるすべての物質などが挙げられる。例としては、プリベントール(登録商標)(Bayer AG)及びプロキセル(登録商標)が挙げられる。
【0039】
適切な酸化防止剤としては、農薬組成物にこの目的で通常使用することができるすべての物質などが挙げられる。2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールが好ましい。
【0040】
適切な着色剤としては、農薬組成物にこの目的で通常使用することができるすべての物質などが挙げられる。例として、二酸化チタン、カーボンブラック顔料、酸化亜鉛及び青色顔料並びにパーマネントレッドFGRが挙げられる。
【0041】
適切な不活性充填剤材料としては、農薬組成物にこの目的で通常使用することができるが、増粘剤として機能しない、すべての物質などが挙げられる。カルボナート、シリカート、酸化物などの無機粒子及び尿素−ホルムアルデヒド縮合物などの有機物質が好ましい。例として、カオリン、ルチル、二酸化ケイ素、いわゆる高分散性シリカ、シリカゲル並びに天然及び合成シリカート、さらにタルクが挙げられる。
【0042】
本発明の油性懸濁液濃縮物中の個々の成分の量は、比較的広い範囲内で変わり得る。すなわち、
− 式(I’)の化合物の濃度は、一般に5重量%から30重量%、好ましくは10重量%から25重量%であり、
− 浸透剤の濃度は、一般に5重量%から30重量%、好ましくは15重量%から25重量%であり、
− 植物油の濃度は、一般に20重量%から55重量%、好ましくは25重量%から50重量%であり、
− 界面活性剤の濃度は、一般に2.5重量%から30重量%、好ましくは5.0重量%から25重量%であり、
− 添加剤の濃度は、一般に0重量%から25重量%、好ましくは0重量%から20重量%である。
【0043】
本発明の油性懸濁液濃縮物は、各成分をそれぞれ所望の比率で混合することによって製造される。各構成要素を混合する順序は任意である。適切には、固体成分は微粉砕状態で使用される。しかし、構成要素を混合した後に得られる懸濁液を、まず粗粉砕に、次いで微粉砕に供することもできる。この結果、平均粒径は20μm未満になる。好ましい懸濁液濃縮物は、固体粒子の平均サイズが1から10μmである懸濁液濃縮物である。
【0044】
本発明の方法を実施するときの温度は、ある範囲内で変わり得る。作業は、一般に温度10℃から60℃、好ましくは15℃から40℃で実施される。本発明の方法を実施するのに適切な装置としては、農薬調合物を製造するのに使用される通例の混合及び粉砕装置などが挙げられる。
【0045】
本発明の油性懸濁液濃縮物は、高温又は低温で長期間貯蔵した後でも、結晶成長が認められないので安定なままである、調合物を構成する。本発明の油性懸濁液濃縮物は、水で希釈することによって均一な噴霧液体にすることができる。これらの噴霧液体を、通例の方法、すなわち、例えば、噴霧、注入又は注射によって適用する。
【0046】
本発明の油性懸濁液濃縮物の散布量は、比較的広い範囲内で変わり得る。散布量は、個々の活性農薬物質によって、また、調合物中のそれらの量によって左右される。
【0047】
本発明の油性懸濁液濃縮物によって、植物及び/又はその生育地に活性農薬物質を特に有利な方法で送達することができる。含まれる活性農薬物質は、対応する従来の調合物の形で適用される場合よりも良好な生物活性(特に、より良好な殺虫作用及び/又はより良好な作物耐薬性)を示す。
【0048】
本発明によれば、すべての植物及び植物部分を処理することができる。本明細書における植物とは、望ましい野草及び望ましくない野草、(天然の作物を含めた)作物などすべての植物及び植物集団を意味する。作物は、トランスジェニック植物を含めて、また、変種の財産権によって保護され得る若しくは保護され得ない植物品種を含めて、従来の品種改良と最適化法によって、生物工学的方法及び遺伝子工学的方法によって、又はこれらの方法の組み合わせによって、取得できる植物とすることができる。植物部分とは、植物の芽、葉、花、根など地上及び地下にあるあらゆる部分及び器官を意味するものであって、例としては、葉、針葉、茎、幹、花、子実体、果実及び種並びに根、塊茎、地下茎を包含する。植物部分は、採取された材料、栄養繁殖材料及び生殖材料も含み、例としては、実生、塊茎、地下茎、切り枝及び種が挙げられる。
【0049】
懸濁液濃縮物を用いた本発明による植物及び植物部分の処理は、通例の処理方法に従って、例えば浸漬、噴霧、噴出、蒸発、霧化又はブラシ塗布によって、繁殖材料、特に種の場合には、さらに単回又は複数回コーティングによって、直接的に又はその環境、生育地若しくは貯蔵域に対する作用によって行われる。
【0050】
上述したように、すべての植物及びその部分を本発明によって処理することができる。好ましい一実施形態においては、野草種及び植物変種又は異種交配、原形質体融合など従来の生物学的育種法によって得られたもの並びにそれらの部分が処理される。さらに好ましい実施形態においては、必要に応じて従来の方法と組み合わせて遺伝子工学的方法によって得られた、トランスジェニック植物及び植物変種(遺伝子改変生物)並びにそれらの部分が処理される。「部分」又は「植物の部分」又は「植物部分」という用語は上で説明されている。
【0051】
各場合において市販され又は使用されている植物変種の植物を本発明によって処理することが特に好ましい。植物変種とは、従来の品種改良、突然変異誘発又は組換えDNA技術によって育種された、新規な性質(形質)を有する植物を意味する。植物変種は、生物型及び遺伝子型の変種とすることができる。
【0052】
本発明による処理は、植物種又は植物変種、その場所及び栽培条件(土壌、天候、生育期、栄養)に応じて、超加法的(相乗)効果をもたらすこともできる。したがって、例えば、実際に予想された効果を上回って、散布量の減少及び/又は作用スペクトルの拡大及び/又は本発明に従って使用することができる物質及び組成物の効果の増大、植物のより良好な成長、高温又は低温に対する耐性の増大、渇水、含水量又は土壌塩分に対する耐性の増大、開花能の向上、採取の簡易化、成熟の加速、収穫高の増加、収穫産物の品質の向上及び/又は栄養価の増加、収穫産物の貯蔵能力及び/又は加工性の向上が可能である。
【0053】
本発明による処理に好ましいトランスジェニック(すなわち、遺伝子工学によって得られる)植物又は植物変種としては、特に有利で貴重な形質をこれらの植物に付与する遺伝物質を遺伝子工学的改変によって受け取ったすべての植物などが挙げられる。かかる形質の例は、植物のより良好な成長、高温又は低温に対する耐性の増大、渇水、含水量又は土壌塩分に対する耐性の増大、開花能の向上、採取の簡易化、成熟の加速、収穫高の増加、収穫産物の品質の向上及び/又は栄養価の増加、収穫産物の貯蔵能力及び/又は加工性の向上である。かかる形質のさらに特に強調される例は、昆虫、ダニ、植物病原性真菌、細菌及び/又はウイルスなどの有害動物や有害微生物に対する植物の防御力の増大であり、特定の活性除草物質に対する植物の耐性の増大でもある。トランスジェニック植物の例としては、穀物(コムギ、イネ)、トウモロコシ、ダイズ、ジャガイモ、ワタ、アブラナ、ビート、サトウキビ、(リンゴ、セイヨウナシ、かんきつ類の果物、ブドウがなる)果実植物などの重要な作物を挙げることができ、特に、トウモロコシ、ダイズ、ジャガイモ、ワタ及びアブラナが挙げられる。特に重視される形質は、植物中で形成される毒素、特に、バチルス チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)由来の遺伝物質によって(例えば、遺伝子CryIA(a)、CryIA(b)、CryIA(c)、CryIIA、CryIIIA、CryIIIB2、Cry9c、Cry2Ab、Cry3Bb及びCryIF並びにこれらの組み合わせによって)植物中で産生される毒素による昆虫に対する植物の防御力の増大である(以下、「Bt植物」)。特に重視されるさらなる形質は、全身獲得抵抗性(SAR)、システミン、フィトアレキシン、誘発物及び耐性遺伝子並びにこれに応じて発現されるタンパク質及び毒素の結果としての、真菌、細菌及びウイルスに対する植物の防御力の増大である。特に重視されるさらなる形質としては、ある種の活性除草物質、例えば、イミダゾリノン、スルホニルウレア、グリホサート又はホスフィノトリシンに対する植物の耐性の増大などが挙げられる(例えば、「PAT」遺伝子)。各場合において所望の形質を付与する遺伝子をトランスジェニック植物中で組み合わせることもできる。「Bt植物」の例としては、YIELD GARD(登録商標)(例えばトウモロコシ、ワタ、ダイズ)、KnockOut(登録商標)(例えばトウモロコシ)、StarLink(登録商標)(例えばトウモロコシ)、Bollgard(登録商標)(ワタ)、Nucotn(登録商標)(ワタ)及びNewLeaf(登録商標)(ジャガイモ)の商品名で販売されているトウモロコシの変種、ワタの変種、ダイズの変種及びジャガイモの変種を挙げることができる。除草剤耐性植物としては、Roundup Ready(登録商標)(グリホサートに対する耐性、例えばトウモロコシ、ワタ、ダイズ)、Liberty Link(登録商標)(ホスフィノトリシンに対する耐性、例えばアブラナ)、IMI(登録商標)(イミダゾリノンに対する耐性)及びSTS(登録商標)(スルホニル尿素に対する耐性、例えばトウモロコシ)の商品名で販売されているトウモロコシの変種、ワタの変種及びダイズの変種を挙げることができる。(除草剤耐性用に従来育種された)除草剤抵抗性植物としては、Clearfield(登録商標)の名称で販売されている変種(例えばトウモロコシ)なども挙げられる。これらの言及は、将来開発され、又は将来市場に出現し、これらの遺伝形質又は将来開発される遺伝形質を有する植物変種にも適用されることを理解されたい。
【0054】
引用した植物は、本発明の懸濁液濃縮物を用いて、特定の利点を有して、処理することができる。懸濁液濃縮物に対して上で示した優先の範囲は、これらの植物の処理にも当てはまる。本明細書に具体的に引用した懸濁液濃縮物を用いた植物の処理は特に重視することができる。
【実施例】
【0055】
本発明を以下の実施例によって説明する。
実施例
調製実施例
(実施例1)
懸濁液濃縮物を調製するために、
式(I”−4)の化合物100.0g
ポリオキシエチレン−ソルビトールオレアート100.0g
ポリアルコキシル化アルコールの混合物(Atlox 4894)70.0g
リグニンスルホナート(Borresperse NA)30.0g
ポリジメチルシロキサン0.5g
無水クエン酸2.0g
2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール2.0g
を、
式(I−d−1)の化合物250.0gと
ヒマワリ油450.0gと
の混合物中に撹拌しながら室温で導入する。
【0056】
添加終了後、混合物を室温でさらに10分間撹拌する。得られた均一な懸濁液をまず粗粉砕、次いで微粉砕に供し、粒子固体の90%が6μm未満の粒径を有する懸濁液を得る。
【0057】
(比較例I)
懸濁液濃縮物を調製するために、
化合物(I”−4)100g
ポリオキシエチレン−ソルビトールオレアート100g
ポリアルコキシル化アルコールの混合物(Atlox 4894)80g
リグニンスルホナート(Borresperse NA)20g
ポリジメチルシロキサン0.5g
無水クエン酸2.0g
2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール2.0g
を、
化合物RO(EO)(PO)−H 250gと
(式中、
Rは、12から15個の炭素原子を有する直鎖又は分枝アルキルであり、
EOはCH−CH−Oであり、
POは
【0058】
【化13】

である。)
ヒマワリ油450.0gと
の混合物中に撹拌しながら室温で導入する。
【0059】
添加終了後、混合物を室温でさらに10分間撹拌する。得られた均一な懸濁液をまず粗粉砕、次いで微粉砕に供し、粒子固体の90%が6μm未満の粒径を有する懸濁液を得る。
【0060】
(比較例II)
懸濁液濃縮物を調製するために、
化合物(I”−4)100g
ポリオキシエチレン−ソルビトールオレアート100g
ポリアルコキシル化アルコールの混合物(Atlox 4894)80g
リグニンスルホナート(Borresperse NA)20g
ポリジメチルシロキサン0.5g
無水クエン酸2.0g
2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール2.0g
を、
化合物C1327−O−(EO)10−H 250gと
(式中、
EOはCH−CH−Oである。)
ヒマワリ油450.0gと
の混合物中に撹拌しながら室温で導入する。
【0061】
添加終了後、混合物を室温でさらに10分間撹拌する。得られた均一な懸濁液をまず粗粉砕、次いで微粉砕に供し、粒子固体の90%が6μm未満の粒径を有する懸濁液を得る。
【0062】
OD調合物の植物耐性試験
マメ植物(インゲンマメ)、キュウリ植物(キュウリ)及びダイズ植物(ダイズ)を噴霧流出(spraying to runoff)によって1から2葉期で処理する。噴霧液を葉の上面に活性物質濃度400ppmで塗布する。実験を少なくとも2回繰り返す。所望の時間後、植物損傷%を測定する。100%は、植物が完全に死滅したことを意味し、0%は、植物が未処理対照と比較して損傷を受けていないことを意味する。
【0063】
100−OD調合物の植物耐性のガラス温室実験結果
【0064】
【表3】

【0065】
【表4】

【0066】
【表5】

【0067】
【表6】

【0068】
OD調合物の生物活性試験
それぞれワタアブラムシ(Aphis gossypii)(APHIGO)及びモモアカアブラムシ(Myzus persicae)(MYZUPE)に感染した2葉期のワタ及びキャベツ植物を活性物質溶液で処理する(量については表を参照されたい。)。この場合の変換された水散布量は、300l/haに達する。キャベツ植物を20℃の温室でインキュベートし、ワタ植物を25℃の温室でインキュベートする。所望の時間後、未処理対照と比較して活性を評価する。
【0069】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 少なくとも1種類の式(I’)の室温固体化合物と、
【化1】

(式中、
Vは酸素又はN−Dであり、
Xはハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ又はシアノであり、
W、Y及びZは互いに独立に水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ又はシアノであり、
Aは水素、各場合においてハロゲンで置換されていてもよい、アルキル、アルコキシアルキル、置換されていてもよい飽和シクロアルキルであり、該飽和シクロアルキルの少なくとも1個の環原子はヘテロ原子で置換されていてもよく、
Bは水素又はアルキルであり、
AとBはこれらが結合している炭素原子と一緒に、少なくとも1個のヘテロ原子を含んでいてもよい、飽和又は不飽和の非置換又は置換環であり、
Dは、水素であり、又はアルキル、アルケニル、アルコキシアルキル、飽和シクロアルキルのシリーズから選択される、置換されていてもよい基であり、該飽和シクロアルキルの1個以上の環メンバーはヘテロ原子で置換されていてもよく、
AとDはこれらが結合している原子と一緒に飽和環又は不飽和環であり、該飽和環又は不飽和環は、少なくとも1個のヘテロ原子を含んでいてもよく、A、D部分において非置換又は置換であり、
Gは水素(a)であり、又は群
【化2】

の1個である
(式中、
Eは金属イオン又はアンモニウムイオンであり、
Lは酸素又は硫黄であり、
Mは酸素又は硫黄であり、
は、各場合においてハロゲンで置換されていてもよい、アルキル、アルケニル、アルコキシアルキル、アルキルチオアルキル、ポリアルコキシアルキルであり、又はハロゲンで、アルキルで、若しくはアルコキシで置換されていてもよい、少なくとも1個のヘテロ原子で分断されていてもよいシクロアルキルであり、又は各場合において置換されていてもよい、フェニル、フェニルアルキル、ヘタリール、フェノキシアルキル若しくはヘタリールオキシアルキルであり、
は、各場合においてハロゲンで置換されていてもよい、アルキル、アルケニル、アルコキシアルキル、ポリアルコキシアルキルであり、又は各場合において置換されていてもよい、シクロアルキル、フェニル若しくはベンジルであり、
は、ハロゲンで置換されていてもよいアルキル又は置換されていてもよいフェニルであり、
及びRは互いに独立に、各場合においてハロゲンで置換されていてもよい、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アルケニルチオ、シクロアルキルチオであり、又は各場合において置換されていてもよい、フェニル、ベンジル、フェノキシ若しくはフェニルチオであり、
及びRは互いに独立に、水素、各場合においてハロゲンで置換されていてもよい、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキルであり、置換されていてもよいフェニルであり、置換されていてもよいベンジルであり、又はR及びRは結合している窒素原子と一緒に、酸素若しくは硫黄で分断されていてもよい、置換されていてもよい環である。)。)
− 少なくとも1種類の浸透剤と、
− 少なくとも1種類の植物油と、
− 少なくとも1種類の非イオン界面活性剤及び/又は少なくとも1種類の陰イオン界面活性剤と、
− 乳化剤、抑泡剤、防腐剤、酸化防止剤、着色剤及び/又は不活性充填剤材料からなる群から選択される1種類以上の必須でない添加剤と
から構成される、油性懸濁液濃縮物。
【請求項2】
Vが酸素又はN−Dであり、
Wが水素、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、塩素、臭素又はフッ素であり、
XがC−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルキル、フッ素、塩素又は臭素であり、
Y及びZが互いに独立に水素、C−C−アルキル、ハロゲン、C−C−アルコキシ又はC−C−ハロアルキルであり、
Aが、水素であり、又は各場合においてハロゲンで置換されていてもよい、C−C−アルキル若しくはC−C−シクロアルキルであり、
Bが水素、メチル又はエチルであり、
A、B及びこれらが結合している炭素原子が飽和C−C−シクロアルキルであり、該飽和C−C−シクロアルキルの環メンバーは酸素又は硫黄で置換されていてもよく、該飽和C−C−シクロアルキルはC−C−アルキル、トリフルオロメチル又はC−C−アルコキシで一置換又は二置換されていてもよく、
Dが水素であり、各場合においてフッ素で、又は塩素で置換されていてもよい、C−C−アルキル、C−C−アルケニル又はC−C−シクロアルキルであり、
AとDが一緒に、各場合においてメチルで置換されていてもよいC−C−アルカンジイルであり、該C−C−アルカンジイルのメチレン基は硫黄で置換されていてもよく、
Gが、水素(a)であり、又は群
【化3】

の1個である、
(式中、
Eは金属イオン又はアンモニウムイオンであり、
Lは酸素又は硫黄であり、
Mは酸素又は硫黄であり、
は、各場合においてハロゲンで置換されていてもよい、C−C10−アルキル、C−C10−アルケニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルキルチオ−C−C−アルキルであり、又はフッ素で、塩素で、C−C−アルキルで、若しくはC−C−アルコキシで置換されていてもよいC−C−シクロアルキルであり、
フッ素で、塩素で、臭素で、シアノで、ニトロで、C−C−アルキルで、C−C−アルコキシで、トリフルオロメチルで、若しくはトリフルオロメトキシで置換されていてもよいフェニルであり、
各場合において塩素で、若しくはメチルで置換されていてもよい、ピリジル若しくはチエニルであり、
は、各場合においてフッ素で、若しくは塩素で置換されていてもよい、C−C10−アルキル、C−C10−アルケニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルであり、
メチルで、若しくはメトキシで置換されていてもよいC−C−シクロアルキルであり、又は
各場合においてフッ素で、塩素で、臭素で、シアノで、ニトロで、C−C−アルキルで、C−C−アルコキシで、トリフルオロメチルで、若しくはトリフルオロメトキシで置換されていてもよい、フェニル若しくはベンジルであり、
は、フッ素で置換されていてもよいC−C−アルキルであり、又はフッ素で、塩素で、臭素で、C−C−アルキルで、C−C−アルコキシで、トリフルオロメチルで、トリフルオロメトキシで、シアノで、若しくはニトロで置換されていてもよいフェニルであり、
は、各場合においてフッ素で、若しくは塩素で置換されていてもよい、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルチオであり、又は各場合においてフッ素で、塩素で、臭素で、ニトロで、シアノで、C−C−アルコキシで、トリフルオロメトキシで、C−C−アルキルチオで、C−C−ハロアルキルチオで、C−C−アルキルで、若しくはトリフルオロメチルで置換されていてもよい、フェニル、フェノキシ若しくはフェニルチオであり、
はC−C−アルコキシ又はC−C−チオアルキルであり、
はC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニル、C−Cアルコキシ−C−C−アルキルであり、
はC−C−アルキル、C−C−アルケニル又はC−C−アルコキシ−C−C−アルキルであり、
とRは一緒に、メチルで、又はエチルで置換されていてもよいC−C−アルキレン基であり、該C−C−アルキレン基の炭素原子は酸素又は硫黄で置換されていてもよい。)
式(I’)の化合物を含む、請求項1に記載の懸濁液濃縮物。
【請求項3】
Vが酸素又はN−Dであり、
Wが水素、メチル、エチル、塩素、臭素又はメトキシであり、
Xが塩素、臭素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ又はトリフルオロメチルであり、
Y及びZが互いに独立に水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、トリフルオロメチル又はメトキシであり、
Aがメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロペンチル又はシクロヘキシルであり、
Bが水素、メチル又はエチルであり、
A、B及びこれらが結合している炭素原子が飽和C−シクロアルキルであり、該飽和C−シクロアルキルの環メンバーは酸素で置換されていてもよく、該飽和C−シクロアルキルはメチル、エチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はブトキシで一置換されていてもよく、
Dが、水素であり、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、アリル、シクロプロピル、シクロペンチル又はシクロヘキシルであり、
AとDが一緒に、メチルで置換されていてもよいC−C−アルカンジイルであり、
Gが、水素(a)であり、又は群
【化4】

の1個である、
(式中、
Mは酸素又は硫黄であり、
はC−C−アルキル、C−C−アルケニル、メトキシメチル、エトキシメチル、エチルチオメチル、シクロプロピル、シクロペンチル又はシクロヘキシルであり、
フッ素で、塩素で、臭素で、シアノで、ニトロで、メチルで、エチルで、メトキシで、トリフルオロメチルで、又はトリフルオロメトキシで置換されていてもよいフェニルであり、
各場合において塩素で、又はメチルで置換されていてもよい、ピリジル又はチエニルであり、
はC−C−アルキル、C−C−アルケニル、メトキシエチル、エトキシエチルであり、又はフェニル若しくはベンジルであり、
及びRは互いに独立にメチル、エチルであり、又は一緒にC−アルキレン基であり、該C−アルキレン基中のC−メチレン基は酸素で置換されている。)
式(I’)の化合物を含む、請求項1に記載の懸濁液濃縮物。
【請求項4】
VがN−Dであり、
Wが水素又はメチルであり、
Xが塩素、臭素又はメチルであり、
Y及びZが互いに独立に水素、塩素、臭素又はメチルであり、
A、B及びこれらが結合している炭素原子が飽和C−シクロアルキルであり、該飽和C−シクロアルキルの環メンバーは酸素で置換されていてもよく、該飽和C−シクロアルキルはメチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はブトキシで一置換されていてもよく、
Dが水素であり、
Gが、水素(a)であり、又は群
【化5】

の1個である、
(式中、
Mは酸素又は硫黄であり、
はC−C−アルキル、C−C−アルケニル、メトキシメチル、エトキシメチル、エチルメチルチオ、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルであり、又は
フッ素で、塩素で、臭素で、メチルで、メトキシで、トリフルオロメチルで、トリフルオロメトキシで、シアノで、若しくはニトロで置換されていてもよいフェニルであり、
各場合において塩素で、若しくはメチルで置換されていてもよい、ピリジル若しくはチエニルであり、
はC−C−アルキル、C−C−アルケニル、メトキシエチル、エトキシエチル、フェニル又はベンジルであり、
及びRは互いに独立にメチル、エチルであり、又は一緒にC−アルキレン基であり、該C−アルキレン基中のC−メチレン基は酸素で置換されている。)
式(I’)の化合物を含む、請求項1に記載の懸濁液濃縮物。
【請求項5】
VがN−Hであり、
AとBが、これらが結合している炭素原子と一緒に置換6員環であり、
【化6】

置換基W、X、Y、Z、G及びRが、下表に示された定義を有する、
【表1】

式(I’)の化合物を含む、請求項1に記載の懸濁液濃縮物。
【請求項6】
− 少なくとも1種類の式(I’)の室温固体化合物と、
− 少なくとも1種類の浸透剤と、
− 少なくとも1種類の植物油と、
− 少なくとも1種類の非イオン界面活性剤及び/又は少なくとも1種類の陰イオン界面活性剤と、
− 乳化剤、抑泡剤、防腐剤、酸化防止剤、着色剤及び/又は不活性充填剤材料からなる群から選択される1種類以上の必須でない添加剤と
が互いに混合され、場合により得られた懸濁液が続いてすりつぶされることを特徴とする、請求項1に記載の懸濁液濃縮物を製造する方法。
【請求項7】
次式の少なくとも1種類のアルカノールアルコキシラートが浸透剤として存在することを特徴とする、請求項1に記載の懸濁液濃縮物。
CH−(CH−CH−O−(−CH−CH−O−)−H (Id)
(式中、
tは9から10.5の数値を表し、
uは7から9の数値を表す。)
【請求項8】
tが平均値10.5を表し、及び
uが平均値8.4を表す、
少なくとも1種類の式(Id)のアルカノールアルコキシラートが浸透剤として存在することを特徴とする、請求項7に記載の懸濁液濃縮物。
【請求項9】
− 式(I’)の化合物量が5重量%から30重量%であり、
− 浸透剤量が5重量%から30重量%であり、
− 植物油量が20重量%から55重量%であり、
− 界面活性剤量が2.5重量%から30重量%であり、
− 添加剤量が0重量%から25重量%である
ことを特徴とする、請求項1に記載の懸濁液濃縮物。
【請求項10】
含まれている式(I’)の化合物を植物及び/又はその生育地に適用するための、請求項1に記載の懸濁液濃縮物の使用。
【請求項11】
昆虫を駆除するための、請求項1に記載の懸濁液濃縮物の使用。
【請求項12】
請求項1に記載の懸濁液濃縮物と増量剤及び/又は界面活性試薬とがその中に存在することを特徴とする組成物。

【公表番号】特表2007−527426(P2007−527426A)
【公表日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501227(P2007−501227)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002294
【国際公開番号】WO2005/084441
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(302063961)バイエル・クロツプサイエンス・アクチエンゲゼルシヤフト (524)
【Fターム(参考)】