説明

油揚げ即席麺及びその製造方法

【課題】油揚げ即席麺の油臭をマスキングし、良好な食味を保持した油揚げ即席麺及びその製造方法を提供する。
【解決手段】酒粕を含有することを特徴とする油揚げ即席麺。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油揚げ麺に酒粕を含有していることを特徴とする油揚げ即席麺及びその製造方法、並びに酒粕を含有すること特徴とする油揚げ即席麺のスープ用添加組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
即席麺類は、熱湯により数分間加熱調理するだけで簡単に喫食できる即席性、良好な保存性等から、消費者に幅広い支持を得ている。
即席麺には、製法により4つのタイプに区分される。(a)長期間常温での保存を可能ならしめるために水素イオン濃度指数(pH)を酸性下(pH4.6以下)に調整した上で、加熱による殺菌処理(麺の中心温度93℃以上、数分間)を実施し、さらに完全密封状態に保持した生麺タイプ、(b)通常水分30〜50%含有している蒸熱処理した麺をマイナス30〜50℃で急速凍結後、真空乾燥機において0.1〜0.5mmHgの真空状態で水分が5%以下となるよう凍結乾燥した凍結乾燥タイプ、(c)通常水分30〜50%含有している蒸熱処理した麺を温度140〜160℃の熱油の中を1〜2分間通過させることにより、短時間で水分2〜5%、油脂含量15〜20%に脱水乾燥した油揚げ麺タイプ、及び(d)通常水分30〜50%含有している蒸熱処理した麺を一般には70〜90℃の熱風により30〜45分処理し水分を8〜12%程度に乾燥したノンフライ麺タイプがある。
中でも上記(c)の油揚げ即席麺は、作業性、生産性及び復元性が高く、即席中華麺類の生産量のうち8割以上はこの油揚げ即席麺からなる即席中華麺である。しかし、油揚げ即席麺は、油脂が使用されるため、油脂酸化によって品質が劣化したり、油臭を有する。このため、原料油脂には、酸化防止効果のあるトコフェロール(ビタミンE)を添加して、油揚げ即席麺の保存性を高めている。
さらに、油揚げ即席麺を製造する際に揚げ終えた麺は、可能な限り急速に常温まで冷却し、湿度、光線又は空気等に対して遮断性の高い容器包装材で包装することで、油脂の酸化を防止し、油臭の発生を抑制してきた(非特許文献1参照)。
また、植物性硬化油で揚げられた油揚げ麺において、油揚げ麺固有の風味の減少を防止するため、還元糖、加水分解され還元糖化できる糖、酸性アミノ酸、又は酸性アミノ酸塩等の食用有機化合物が添加されることを特徴とする植物性硬化油で揚げられた油揚げ麺及びその製造方法が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
一方、酒粕を使用した麺として、酒粕、酒粕の糖化物、あるいは該糖化物の再醗酵物を配合した生麺が知られている(特許文献2参照)。しかし、前記生麺は、麺類、特に中華麺及びそば麺に独特の風味を付与し、併せてこしが強くかつ保存性にも優れた生麺を提供するものであり、油揚げ即席麺の油臭をマスキングするものではない。
【0004】
さらに、デュラム小麦粉砕物を60〜90重量%含有し、且つ目開き500μmの篩を通過し目開き250μmの篩上に残留するデュラム小麦粉砕物の含有割合が25重量%以上である穀粉原料から成る油揚げ即席麺類は、吸油量が低いため、低カロリーで且つ油臭及び油っぽさが少なく、短時間で喫食状態に復元可能で、復元された麺は歯ごたえや滑らか等の食感及び食味に優れている提案もされている(特許文献3参照)。
【0005】
しかしながら、油揚げ即席麺に使用する油脂の酸化が進みこれが油臭の要因となり、喫食時には油臭が残存する。そして、油臭を完全にマスキングすることができない。そのため、消費者は油臭のない油揚げ即席麺の開発を切望している。
【特許文献1】特表2002−536972
【特許文献2】特開平2−215358
【特許文献3】特開平8−140609
【非特許文献1】「日本が生んだ世界食 インスタントラーメンのすべて」(社)日本即席食品工業協会監修、株式会社日本食糧新聞社発行、p59、70〜72、79〜82、157〜159
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、油揚げ即席麺の油臭を抑制し、良好な食味を保持した油揚げ即席麺及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成すべく本発明者らは鋭意研究の結果、油揚げ麺に酒粕を含有させることにより、又は油揚げ即席麺のスープに酒粕を添加することにより調理後に喫食する即席油揚げ麺の油臭を抑制させ得ることを見出し、本発明者らは、さらに研究を進め、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の構成からなる。
【0008】
[1] 酒粕を含有することを特徴とする油揚げ即席麺。
[2] 油揚げ即席麺に含まれる穀粉類100質量部に対して、酒粕を酒粕の乾燥物換算で0.5〜5.0質量部含有することを特徴とする上記[1]記載の油揚げ即席麺。
[3] 麺生地に酒粕を含有させる工程、麺生地を製麺する工程及び麺を油揚げする工程を含むことを特徴とする上記[1]記載の油揚げ即席麺の製造方法。
[4] 麺生地の穀粉類100質量部に対して、酒粕を酒粕の乾燥物換算で0.5〜5.0質量部含有させることを特徴とする上記[3]記載の油揚げ即席麺の製造方法。
[5] 酒粕を含有することを特徴とする油揚げ即席麺のスープ用添加組成物。
[6] 油揚げ即席麺100質量部に対する酒粕の使用割合が酒粕の乾燥物換算で0.03〜0.10質量部となるよう酒粕を含有することを特徴とする上記[5]記載の添加組成物。
[7] 上記[1]記載の油揚げ即席麺と、上記[5]記載のスープ用添加組成物と、熱湯から調理して喫食される即席麺。
【発明の効果】
【0009】
本発明に従えば、麺生地に酒粕を含有させ製麺した油揚げ即席麺、又は油揚げ即席麺のスープ用添加組成物に酒粕を含有させることにより、喫食時における油揚げ麺に用いられた油脂に由来する油臭をマスキングする優れた効果がもたらされ、長期間にわたり原料である穀粉類本来の優れた風味を有する油揚げ即席麺の提供が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、油揚げ麺に酒粕を含有させることを特徴とする油揚げ即席麺及びその製造方法を提供する。
【0011】
本発明でいう酒粕は、清酒の製造工程で酒もろみを搾った後の副産物としての酒粕であれば制限はなく、例えば酒粕をそのまま、又は乾燥して使用しても良いが、乾燥させた酒粕(以下、乾燥酒粕という。)が好ましい。乾燥酒粕としては、例えば真空度約10〜30トールの真空容器内に格納されたダブルドラムドライヤーに、水又は回収された清酒香気成分含有アルコール水溶液を添加することによりペースト化した酒粕を連続供給し、ドラム表面上に薄膜を形成させドラム減圧下蒸気温度約75〜85℃、ドラム回転数約1.5〜3.0RPM(rounds per minutes;回転毎分)、ドラム間隙約0.1mm以下の条件で連続的に乾燥された酒粕が挙げられる。乾燥された酒粕は、公知の方法、例えば粉砕機等で粉砕して粉末にされ得る。
【0012】
本発明に係る油揚げ即席麺は、以下の工程を含む方法により製造される。
製造工程:
(1)麺生地に酒粕を含有させる工程、
(2)麺生地を製麺する工程、及び
(3)麺を油揚げする工程。
以下、各工程につき説明する。
【0013】
(1)麺生地に酒粕を含有させる工程:
酒粕を麺生地に含有させる方法に制限はないが、例えば、(a)原料粉と水を主原料として、所望によりその他の原材料を混捏して、該混捏物に酒粕を添加し、混捏して酒粕を麺生地に含有させる方法、(b)原材粉と酒粕を先に混合し、そこに水と所望によりその他の原材料を添加し混捏して酒粕を麺生地に含有させる方法、又は(c)原料粉と水に溶解又は懸濁した酒粕とを混捏し、所望によりその他の原材料を添加し混捏して酒粕を麺生地に含有させる方法などが挙げられる。
【0014】
原料粉としては、例えば小麦粉、大麦粉、ライ麦粉、米粉、そば粉などの穀粉等が挙げられる。原料粉は、単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。原料粉には、澱粉又は加工澱粉を配合してもよい。澱粉としては、例えば馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉、緑豆澱粉、サゴ澱粉等が挙げられる。また、加工澱粉としては、例えば上記澱粉にアセチル化処理、エーテル化処理、架橋処理、酸処理、酸化処理、湿熱処理等の加工処理を単独で、又は2種以上を組み合わせて施した澱粉等が挙げられ、具体的には、例えばアセチル化タピオカ澱粉等が挙げられる。上記澱粉又は加工澱粉は、単独で、又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0015】
酒粕を麺生地に含有させる場合の、麺生地中における酒粕の割合は、穀粉類100質量部に対して酒粕の量は酒粕乾燥物換算で、通常約0.5〜5.0質量部であり、好ましくは約1.0〜5.0質量部である。なお、酒粕が穀粉類100質量部に対して約0.5質量部未満では油揚げ即席麺とした時の油臭マスキング効果が発揮されず、約5.0質量部を超えると油臭マスキング効果は発揮されるが、麺が赤茶に変色して好ましくない。
麺生地における酒粕の混合時間は油揚げ即席麺の種類に応じて適宜決定されるが、通常約8〜20分、好ましくは約10〜15分である。
【0016】
その他の原材料としては、即席麺に一般に用いられるものであれば、特に制限はなく、例えば、食塩、かんすい、酸化防止剤又は食物繊維等が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール(ビタミンE)、L−アスコルビン酸(ビタミンC)、エリソルビン酸、カテキン、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等が挙げられ、好ましくはトコフェロールである。また、食物繊維としてはデキストリン等が挙げられる。
【0017】
(2)麺生地を製麺する工程:
上記酒粕を含有させた麺生地は、所望により熟成させた後、圧延工程により麺帯を作り、該麺帯を麺線に切り出し製麺する。
上記(1)で生成された麺生地は、麺のコシや弾力を増強させるために熟成させることが好ましい。熟成は麺生地を約5分〜60時間、約0〜40℃の温度下に置くことにより実施できる。圧延は、圧力をかけ麺生地を薄く延ばすことをいい、その方法に特に制限はなく、例えば、麺生地を、麺棒を使って手で延ばす方法や麺生地を対の回転ロールのあいだを数回に分けて通して所定の厚みにまで圧延する機械的方法等が挙げられる。
麺帯を麺線に切り出す方法としては、麺帯を包丁で線切りする方法、麺帯を切り刃ロールに通して線切りする方法等が挙げられる。
また、製麺は、上記圧延工程等を経ず、所望により熟成させた麺生地をそのまま引き伸ばして麺線とすることもでき、また麺生地をシリンダー等に押し込んで、シリンダーの先端の金型から圧力をかけて押し出し麺線とすることもできる。
麺線の麺幅及び長さは、目的とする油揚げ即席麺の種類等に応じて適宜設定することができる。例えば、即席中華麺の場合は、通常、厚さ約0.7〜1.3mm、幅約1.1〜3.5mm程度が好ましい。また、麺の長さは通常約25〜70cmになるよう麺線を切断するのがよい。
【0018】
(3)麺を油揚げする工程:
麺を油揚げする工程で用いる油脂としては、食用に供されるものであれば特に限定されず、例えば大豆油、菜種油、パーム油、コーン油、綿実油等の植物性油脂等が挙げられ、好ましくは大豆油、パーム油である。これら油脂は単独で、また2種以上を混合して使用し得る。油揚げの温度としては、約130〜180℃、特に約140〜160℃が好ましい。また油揚げ時間としては、約0.3〜5分、特に約0.5〜3分が好ましい。
【0019】
麺は、油揚げ前に例えば水蒸気式蒸熱処理機等の蒸熱処理設備を用いて蒸熱して、麺生地に含まれる澱粉をα(アルファ)化(糊化)させることが好ましい。この場合、蒸熱温度は、麺生地に含まれる澱粉をα化、すなわち熱により澱粉粒の結合がα化する温度であればよく、通常約60℃以上であれば良いが、効率良くα化を行なうためには、約80℃以上、さらに約90〜110°Cが好ましい。蒸熱時間は、蒸熱する麺の量、太さ等により異なるが、通常約1〜60分程度、好ましくは、約1〜30分程度である。
【0020】
また、油揚げする麺は蒸熱処理後、麺を一食分(約90〜300g)に分け、丸型か角型の金属枠に一食ずつ入れて成型するのが好ましい。また、麺は、前記金属枠にいれたまま油揚げすることが好ましい。
【0021】
また、油揚げ前又は油揚げ後の麺線に調味料やほぐれ剤等を付着させてもよい。油揚げ前に調味料を付着させる方法としては、例えば調味料やほぐれ剤を含む水溶液等を例えば蒸熱後の麺に噴霧する方法等が挙げられる。油揚げ後に調味料を付着させる方法としては、例えば調味料やほぐれ剤を混合した粉末等を噴霧する方法等が挙げられる。調味料としては、例えば食塩、甘味料(例えば蕨糖、白糖等)、醤油、味噌、化学調味料(例えばグルタミン酸ナトリウム等)等が挙げられる。また、上記調味料は、麺生地に混合されていてもよい。ほぐれ剤としては、例えば乳化製剤などが挙げられる。
【0022】
油揚げされた麺は室温にて放冷され、次いで放冷された前記油揚げされた麺は、別途包装されたスープ等と共にビニール袋等で包装され、油揚げ即席麺とされ得る。
【0023】
本発明はまた、酒粕を含有することを特徴とする油揚げ即席麺のスープ用添加組成物を提供する。
【0024】
本発明でいう「油揚げ即席麺のスープ」は、湯戻しした油揚げ即席麺と接触させて喫食されるスープである。本発明に係る「スープ用添加組成物」の形態としては、上記即席麺と組み合わせて調理、喫食されるスープであれば特に制限はなく、例えばそのままで喫食可能なスープの形態でもよく、また湯や水で希釈、溶解する濃縮タイプや粉末、顆粒もしくは固形等であってもよい。
【0025】
本発明のスープ用添加組成物に対する酒粕の使用割合は、油揚げ即席麺100質量部に対して酒粕の乾燥物換算で約0.03〜0.10質量部が好ましい。前記範囲内であると、油揚げ即席麺の油臭のマスキング効果が発揮され、かつ酒粕特有の臭気がスープの風味に影響を与えることがなく好ましい。
【0026】
本発明に係るスープ用添加組成物には、酒粕以外に、通常即席麺のスープに含まれる、油(例えば、ゴマ油、唐辛子油等)、食塩、糖質(例えば蕨糖、白糖等)、調味料(例えば、グルタミン酸ナトリウム等)、香辛料、各種エキス(例えば、チキンエキス、ビーフエキス、ポークエキス等)、色素(例えば、くちなし色素、カラメル色素等)などを適宜配合し得る。濃縮タイプのスープ用添加組成物は、酒粕を含有するスープ等を公知の方法で濃縮して製造できる。粉末、顆粒もしくは固形等の形状とする場合は、液状のスープ用添加組成物をそのまま、又は濃縮して噴霧乾燥、真空乾燥又は凍結真空乾燥等により、乾燥し、公知の方法で、例えば粉砕や造粒または成型することにより製造できる。
【0027】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0028】
[油揚げ即席麺の作成と評価]
(1)油揚げ即席麺の原材料
準強力小麦粉(製品名:(特)飛龍:日清製粉株式会社製)
アセチル化タピオカ澱粉 (製品名:松谷さくら:松谷化学工業株式会社製)
酒粕 (製品名:酒香の華;理研食品社製;粉末酒粕(酒粕100%))
食塩 (製品名:精製塩微粒「Fine Salt」:日本食塩製造株式会社製)
かん水(製品名:粉末かんすい 赤:オリエンタル酵母工業株式会社製)
トコフェロール(製品名:理研E乳剤20、トコフェロール含量20質量%:理研ビタミン社製)
(2)油揚げ即席麺の原材料の配合割合
実施例1〜3、比較例1〜3の油揚げ麺の原材料の配合割合を表1に示す。
【表1】

【0029】
(3)油揚げ即席麺の製造方法
表1に示した原材料の配合割合に基づいて各所定の原材料をミキサー一体型製麺機(型式:MODEL−MG−77;株式会社スズキ麺工製)を用いて10分間混合し、ロール圧延により得た厚さ1.0mmの麺帯を幅1.2mmに細断して各麺線を得た。これらの各麺線200gを100〜102℃にて11分間蒸熱し、得られた各蒸し麺90gに対し20gの噴霧液(水940gに食塩40g、上白糖10g及びグルタミン酸ナトリウム10gを溶解した水溶液)及びほぐれ剤(コーン油脂、ジグリセリン脂肪酸、VE、VCを配合した乳化製剤)1gを噴霧後、型詰した。型詰した各蒸し麺を150℃のパーム油の中で55〜60秒間油揚げし、得られた各油揚げ即席麺を室温にて放冷した。室温にて放冷した各油揚げ即席麺をビニール袋に入れた。
(4)油揚げ即席麺の官能評価
上記(3)の方法により得られた油揚げ即席麺70gに対し、熱湯350gを注ぎ、3分間保持した後、油臭の官能評価を行った。以下に示す評価基準にしたがって記号化した。その結果を表2に示した。
◎:極めて良好
○:良好
△:やや悪い
×:悪い
【0030】
【表2】

【0031】
本発明の実施例1〜3は、油脂由来の油臭がマスキングされ、油臭のない油揚げ即席麺を提供できることが分かった。
【0032】
[喫食時に酒粕を添加することによる油揚げ麺油臭の官能評価]
(1)酒粕の添加量
上記油揚げ麺の配合例から、酒粕を除いた配合で同様に油揚げ麺を製造した。酒粕を除いた油揚げ即席麺100gに対し、表3に示す量の酒粕を油揚げ即席麺の上に乗せ、熱湯500gを注ぎ、3分間保持した後、下記する官能評価を行った。
実施例4〜6、比較例4〜6の喫食時に添加する粉末酒粕(酒香の華;理研食品社製)の量を、表3に示す。
【0033】
【表3】

【0034】
(2)官能評価
官能評価は、以下の評価基準にしたがって記号化した。その結果を表4に示した。
◎:極めて良好
○:良好
△:やや悪い
×:悪い
【0035】
【表4】

【0036】
本発明の実施例4〜6は、油揚げ麺特有の油臭がなかった。したがって、油揚げ即席麺のスープに酒粕を、油揚げ即席麺100gに対して酒粕乾燥物換算で0.03〜0.1g含有させることにより、油臭のない油揚げ即席麺が提供されることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、油揚げ即席麺の油臭をマスキングし、良好な食味を保持する油揚げ即席麺又は油揚げ即席麺のスープ用添加組成物として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酒粕を含有することを特徴とする油揚げ即席麺。
【請求項2】
油揚げ即席麺に含まれる穀粉類100質量部に対して、酒粕を酒粕の乾燥物換算で0.5〜5.0質量部含有することを特徴とする請求項1記載の油揚げ即席麺。
【請求項3】
麺生地に酒粕を含有させる工程、麺生地を製麺する工程及び麺を油揚げする工程を含むことを特徴とする請求項1記載の油揚げ即席麺の製造方法。
【請求項4】
麺生地の穀粉類100質量部に対して、酒粕を酒粕の乾燥物換算で0.5〜5.0質量部含有させることを特徴とする請求項3記載の油揚げ即席麺の製造方法。
【請求項5】
酒粕を含有することを特徴とする油揚げ即席麺のスープ用添加組成物。
【請求項6】
油揚げ即席麺100質量部に対する酒粕の使用割合が酒粕の乾燥物換算で0.03〜0.10質量部となるよう酒粕を含有することを特徴とする請求項5記載の添加組成物。
【請求項7】
請求項1記載の油揚げ即席麺と、請求項5記載のスープ用添加組成物と、熱湯から調理して喫食される即席麺。