説明

油絶縁された変圧器、チョーキングコイルならびにタップ切換装置のための除湿方法及び空気除湿機

本発明は、空気除湿方法ならびに空気除湿機に関する。この場合加熱により再生可能な粒状物質が充填されているフィルタカートリッジが設けられている。加熱するために、湿度センサーが湿度限界値を超えた場合と同様に、相対湿度センサーあるいは比較可能な技術手段が油膨張タンクに向かう流れが全く許容できないことを信号で伝えた場合にだけ作動する加熱装置が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油膨張タンク内に吸引された空気の除湿用の油絶縁された変圧器、チョーキングコイルならびにタップ切換装置のための空気を除湿するための方法に関する。さらに本発明はこれに合った除湿機に関する。
【背景技術】
【0002】
油が充填された変圧器、チョーキングコイルならびにタップ切換装置にあっては、温度変化により引起される絶縁油の容積変化を補正するために通常油膨張タンクが設けられている。従って吸引された空気は容認できない湿気含有量を備えており、吸引された空気は空気除湿機により乾燥させられる。このような空気除湿機は特許文献1から公知である。
【0003】
この公知の空気除湿機はケーシングを備え、このケーシング内には湿気を吸収する吸収手段すなわち、吸入される空気により貫流される粒状物質が設けられている。粒状物質は再生可能である。すなわち飽和状態の加熱により湿気を吸収する状態で繰り返し元の状態に戻すことが可能である。粒状物質を加熱するために湿度センサーにより制御可能なケーシング内の加熱装置がケーシングの上方に設けられており、従って粒状物質をすでに通って案内された空気は温度センサーの周囲を流れる。湿度センサーが容認されない吸入された空気の湿気含有量と同時に粒状物質の飽和を信号で伝えると、加熱装置は操作され、粒状物質は加熱され、従って再度湿気を吸収する状態に戻される。湿気を吸収する粒状物質を備えたケーシングとそれを介して設けられた油受容器との間にはさらに磁気弁が配置されている。この磁気弁は記載した加熱の間閉じており、加熱装置が作動停止になった後再度開く。
【0004】
この公知の解決手段の場合の短所は、記載された磁気弁が加熱中に、磁気弁が閉じていることにより、一方においては油膨張タンクの空気室と他方においては周囲空気の間の空気交換を妨げることである。それによりこの加熱時間中の油膨張タンク内において過圧あるいはさらに負圧が生じ、この過圧あるいは負圧により磁気弁が開いた後空気除湿機の貫流が強くなる。この強い貫流、言い換えれば空気流量が増大することにより貫流の十分な除湿が危うくなることがある。しかしながらどんな場合でも湿った空気が油膨張タンク内に達することは回避しなけれならない。
【特許文献1】欧州特許公開公報第1313112号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明の課題は、十分除湿されていない空気が油膨張タンク内に不都合に入るのを安全性をもって回避する方法を提供することである。さらに本発明の課題は、このことを確実に行なう相応する空気除湿機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の特徴を備えた方法により、あるいは並列した請求項2の特徴を備えた方法により、あるいは請求項3の特徴を備えた空気除湿機により解決される。従属請求項4は本発明による空気除湿機の特に有利な他の形態に関する。
【0007】
空気の除湿をする方法と同様に空気除湿機の根底をなす共通の創意に富んだ着想は、従来技術による磁気弁を不要にし、その代わりに除湿機内の空気流の存在、場合によっては流れ方向を検知し、そして従来技術による湿度センサーにより生じる加熱装置のための信号にあっては、空気流が全く存在しないかあるいは空気が油膨張タンクから漏れるかのどちらかであるが、どんな場合であっても空気が油包丁タンク内に吸引される間はそうはならない場合にだけ、加熱装置の作動を実際に可能にすることである。流れ場合によっては流れ方向を検知するために、商業的に有効な空気流センサーが使用可能である。
【0008】
さらに記載された流れとその方向は相対圧力を直接測定することにより算出することも可能である。この場合除湿機前での、すなわち油膨張タンクに至るパイプライン内の圧力は、周囲空気の圧力と比較される。除湿機のケーシング内における粒状物質の充填は、両方向での空気に関する一定の流れ抵抗を示すのでこのことが可能である。このような測定にとって、相対圧力センサーが同様に商業的に使用可能である。フーバコントロール商会の会社刊行物にある“401:OEM圧力トランスミッタ、真空トランスミッタ、差圧トランスミッタ0〜3/0〜5mbar”からこのような相対圧力センサーが知られている。同社の別の刊行物にある“604:差圧制御器、真空制御器、過圧制御器0.2〜50mbar”からは、別の変形として流れ方向、すなわち相対圧力の符号に従いスイッチング信号を出すセンサーが知られている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明を以下に図に基づき詳しく説明する。
【実施例】
【0010】
まず図1に示した第一方法を詳細に説明する。
【0011】
粒状物質が充填された空気除湿機のケーシングと油膨張タンクとの間で三次元的に配設された、従来技術から公知の湿度センサーにより、空気湿度Fを測定し、続いて予め決められた限界値Fmaxと比較する。この限界値に達するかあるいは限界値を超えると、従来技術によれば、磁気弁を閉鎖し、加熱装置を制御し、粒状物質を加熱する。これに反して本発明による方法においては、まずこのような場合には、空気除湿機内に空気流が存在するのかどうかを点検し、もし「はい」であれば、どの方向に空気流が流れているのかを点検する。空気流が存在しなないかあるいは存在する空気流が外側に向かって、すなわち戸外へ出る場合にだけ加熱装置を作動させる。従って加熱装置を作動させるための(公知の)湿度センサーの情報は、空気流を介した他の情報と関連する。
【0012】
図2には本発明による他の方法が概略的に示してあり、測定された空気湿度Fを限界値Fmaxと比較した結果において、この限界値に達しているかあるいはこの限界値を超えていることが確認された場合、付加的に空気除湿機手前の配管内の圧力Pと外部圧力Pの比較を行なう。空気湿度が過度に高いことに加えて圧力Pが外部圧力Pと同じか大きい場合にのみ、加熱装置を作動させ、粒状物質を加熱しかつ再度湿気を収容している状態で元の場所に戻す。
【0013】
本発明の範囲において、情報の把握の順序を一方では空気湿度を介して、他方では流れ方向あるいは相対圧力を介して図中の図表に対して取り違えるかあるいは比較を平行して行なうことは当然あり得る。湿度限界値を超過したことに関する情報と同様に、付加的に空気量が不足していることに関する情報かあるいは空気流が油膨張タンクから外側に向けて整向されていることに関する情報がある場合にだけ、加熱装置にスイッチを入れることが重要である。
【0014】
図3と4には、この後詳しく説明される本発明による空気除湿機が示してある。本発明による空気除湿機は、上側フランジ1と下側閉鎖キャップ2とを備え、その間にケーシング5が設けられており、これに関してはデュランガラスでできたシリンダが特に適している。下側閉鎖キャップ2は良好で特有の熱伝導率を有する金属もしくは他の材料から製造されているのが特に有利であり、かつ漏斗状に形成された内部輪郭を備えている。良好で特有の熱伝導率を有する下側閉鎖キャップ2をこのように形成することにより、加熱された液体の局所的に区画された一定の凝縮が達せられる。このように形成するのは特にデュランガラス製のシリンダ5が実質的に十分でない熱伝導率を有しているからである。下側閉鎖キャップ2の最深箇所の中央において、焼結銅製のフィルタ3は真鍮の脚部を備えており、この脚部を通って凝縮した液体は下方に向かって流出する。側方には接続ケーシング4が設けられている。この接続ケーシング4はスプリングワッシャ7と六角穴付き頭ネジ15を用いて固定されている。ケーシング5は上側及び下側シールリング8によりフランジ1に抗して、ならびに下側閉鎖キャップ2によりシールされている。ケーシング5の内部には粒状物質ケーシング20が配置されており、この粒状物質ケーシングは粒状物質23により充填され、かつ内部に加熱装置10を備えている。接続ケーシング4の下側にはネジタイプの導管継ぎ手11が設けられている。フランジ1内の上側には六角穴付き頭ネジ12を用いたスペーサ21とのネジ接続部が設けられている。加熱装置10を備えた粒状物質ケーシング20は、下方から下側閉鎖キャップ2により垂直に案内されているネジ付きロッド14により保持される。水平方向位置の固定はナット16により行なわれる。この際スプリングワッシャ24が各々挿入されている。閉鎖キャップ2の下側の固定は、ネジ付きロッド14にネジ止めされるローレット付きナット18により行なわれる。上側領域において、フランジ1の下方にはさらに絶縁ワッシャ19が設けられている。参照符号22はただ表示した差込ブッシュ(Buchsenstecker)だけを図示している。ケーシング5の外側上方には、フランジ1の接続部と協働する双ネジ部25が設けられており、その中には、ネジ止めされるネジ接続部26が、ネジ接続部により固定される接続フランジ27と共に設けられている。このフランジは一方の側において−これはここには図示していないが−油膨張タンクに接続している。フランジ1の上側領域において、各々中空内部に達するように、従来技術から公知の湿度センサ28ならびに本発明により付加的に相対圧力センサ29がネジ止めされている。電気的接続配線が示してあるにすぎない。湿度センサ28は従来技術から公知のように、環流する空気の湿度状態を検知する。検知された湿度値が予め調節された限界値を超えた場合、これは粒状物質ケーシング20内部の粒状物質23が少なくとも行き着く所まで飽和しており、それ以上の湿気をもはや全く収容するはずもなくかつ乾燥するはずもないことを意味する。本発明により付加的に設けられた相対湿度センサー29は空気除湿機内部の圧力Pが外部圧力Pと同等かもしくは大きいか、あるいはそうではないかどうかに関して付加的な情報を送る。前者の場合、加熱装置10を起動するための付加的な必要不可欠な条件が満たされており、粒状物質23は加熱される。さらに湿度センサー28と相対圧力センサー29が協働することにより、湿度センサー28が湿度限界値の超過を信号で伝えた場合に加熱装置10のスイッチが入ること、及び空気除湿機内においては、空気流が全く存在しない−これはPがPと等しい場合−か、あるいは膨張タンクから外部に向かって整向された空気流が存在する−これはPがPよりも大きい場合−かのどちらかであることが保障されている。付加的な条件が、相対湿度センサー29により検知された状態で満たされていない場合、内部空気の湿度がたとえどんなに高くても一般的には加熱されない。従って空気除湿機を本発明に従って形成することにより、洗練された方法で従来技術により必要な磁気弁を削減することが可能である。これに伴い冒頭で挙げた短所は取除かれ、さらにまたコストが削減され、そしてまた次に場所も削減される。尚本発明による空気除湿機を説明する場合およびそれに所属した符号において、接続ケーシング4への電気的接続ラインもその内部における電気的開閉手段もどちらも示しておらず、かつ説明もしていないことがわかる。なぜならそのどちらも従来技術から公知であるかあるいは当業者にとってよく知られているからである。さらに湿度センサー28を相対圧力センサー29として空気除湿機の他の場所に設けることは本発明の範囲内において当然であり可能でもある。この構造群が、空気が粒状物質ケーシング20を貫流した後,油膨張タンクの方向に貫流する場所に配置されていることだけが重要である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による第一方法の概略フローチャートである。
【図2】本発明による第二方法の概略フローチャートである。
【図3】本発明による空気除湿機の概略図である。
【図4】90°だけ水平方向に回転させたこの空気除湿機の別の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油膨張タンク内に吸引された空気除湿用の油絶縁された変圧器、チョーキングコイルならびにタップ切換装置のための空気除湿方法であって、
この場合空気湿度Fが粒状物質が充填された空気除湿機のケーシングとそれと接続している油膨張タンクとの間で空間的に測定され、
後続して、測定された空気湿度Fと予め決められた限界値Fmaxの比較が行なわれ、限界値を超えた場合に、ケーシング内部の湿気を吸収する粒状物質を加熱するための電気的加熱装置が作動する方法において、
ケーシング(5)と油膨張タンクの間に空気流が存在しているかどうかを付加的に検知し、「はい」の場合、この空気流がどの流れ方向を有しているかを検知すること、および
空気流が全く存在しないかあるいは空気流が油膨張タンクから外側に向かって指向している場合にだけ電気的加熱装置のスイッチを接続することを特徴とする方法。
【請求項2】
油膨張タンク内に吸引された空気除湿用の油絶縁された変圧器、チョーキングコイルならびにタップ切換装置のための空気除湿方法であって、
この場合空気湿度Fが粒状物質が充填された空気除湿機のケーシングとそれと接続している油膨張タンクとの間で空間的に測定され、
後続して、測定された空気湿度Fと予め決められた限界値Fmaxの比較が行なわれ、限界値を超えた場合に、ケーシング内部の湿気を吸収する粒状物質を加熱するための電気的加熱装置が作動する方法において、
付加的に圧力Pをケーシング(5)と油膨張タンクの間で検知し、かつ外部圧力Pと比較すること、および、
がPと同じかそれより大きい場合にだけ電気的加熱装置を起動させることを特徴とする方法。
【請求項3】
油膨張タンク内に吸引された空気除湿用の油絶縁された変圧器、チョーキングコイルならびにタップ切換装置のための空気除湿機であって、
上側フランジと、下側閉鎖キャップと、その間に設けられたケーシングとから成り、
この場合、ケーシング内においては、分離しておりかつ透過させる粒状物質ケーシング内で、吸入される空気により貫流させられ、かつ湿気を吸収する粒状物質が設けられており、
粒状物質が飽和状態での加熱により、湿気を吸収する状態で繰り返し元の場所に復帰可能で再生可能な手段であり、
粒状物質ケーシングが電気的加熱装置を備えており、
さらに湿度センサーが設けられており、この湿度センサーがケーシングを介してすでに案内され吸入された空気がセンサーの周囲を流れるように配設されており、
そして湿度センサーが加熱装置を制御する空気除湿機において、
ケーシング(5)を介してすでに案内され吸入された空気が油膨張タンクまでの経路上で相対湿度センサーの周囲を流れるように、付加的に相対湿度センサー(29)が空気除湿機に設けられていること、
相対湿度センサー(29)により空気除湿機の内部の圧力Pと空気除湿機の外部のPの間の圧力差が算出可能であるように構成されていること、および
がPと同じかそれより大きい場合にだけ電気的加熱装置が起動可能であるように構成されていることを特徴とする空気除湿機。
【請求項4】
ケーシング(5)が熱伝導率の小さい材料、特にガラスでできていること、
下側閉鎖キャップ(2)が金属あるいは熱伝導率が好適に固有な他の材料でできていること、および
下側閉鎖キャップ(2)の内部輪郭が漏斗状に形成されていることを特徴とする請求項3記載の空気除湿機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−513508(P2007−513508A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541909(P2006−541909)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013774
【国際公開番号】WO2005/055255
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(390035459)マシイネンフアブリーク・ラインハウゼン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (36)
【Fターム(参考)】