説明

治療用タンパク質を製造するための多段階方法

タンパク質を発現させるための細胞を培養するための栄養培地を調製するステップと、栄養培地の存在下で細胞を培養してタンパク質を発現させるステップと、タンパク質を単離するためのタンパク質分離溶液を調製するステップと、単離されたタンパク質を配合するステップと、配合されたタンパク質を保存するステップとを含み、これらのステップの少なくとも3つが可撓性フィルムからできた別個の使い捨て容器内で実施され、前記容器の前記表面の少なくとも内部がフルオロポリマーからできている、治療用タンパク質の生成のための方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療用タンパク質の製造、より詳しくは製造が実施される容器に関する。
【背景技術】
【0002】
DNA技術には、遺伝的に改変された細胞系の形成、栄養培地の調製を含むタンパク質を発現させるための細胞系の発酵または培養、タンパク質分離溶液の調製を含むタンパク質の精製、およびタンパク質の配合および保存をはじめとする複数段階が関与する。タンパク質は1つまたは複数の製造段階において、タンパク質を含有するあらゆる溶液中で汚染物質の存在により、望ましくない変化そして変性すら被る。商業運転では、工程中で段階を実施するのに使用される容器は主として、腐蝕抵抗性であるため製造段階中に存在する様々な媒質を汚染しないと考えられるステンレス鋼である。しかしステンレス鋼を使用する場合、定置洗浄操作(製造バッチ間の)および腐蝕改善のために、製造ラインを周期的に停止しなくてはならない。ステンレス鋼容器は、容器内面の「ルージング」または点食などの腐蝕の影響を示し、それは容器が容器内に含有される媒質の汚染に寄与したことを示唆する。掃除工程には費用がかかり、容器の浄化、その内面の電解研磨、得られた表面の滅菌、および磨き直した容器を操作に戻せることの検証などの段階を伴う。製造の損失、そしておそらく操業停止をもたらした治療用タンパク質の損失にもまた費用がかかる。
【0003】
周期的な操業停止および掃除の必要性とその費用を回避して、汚染による治療用タンパク質の損失を防止するために、治療用タンパク質の製造で使用される容器に、どのようにして非汚染性表面を提供するかという問題が残されている。
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,847,462号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0236083号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0242855号明細書
【特許文献4】米国特許第3,624,250号明細書
【特許文献5】米国特許第4,123,602号明細書
【特許文献6】米国特許第4,513,129号明細書
【特許文献7】米国特許第4,677,175号明細書
【特許文献8】米国特許第5,941,635号明細書
【特許文献9】米国特許第6,071,005号明細書
【特許文献10】米国特許第6,287,284号明細書
【特許文献11】米国特許第6,432,698号明細書
【特許文献12】米国特許第6,494,613号明細書
【特許文献13】米国特許第6,453,683号明細書
【特許文献14】米国特許第6,684,646号明細書
【非特許文献1】S.エブネサジャド(Ebnesajjad)著、「フルオロプラスチック(Fluoroplastics)」、第2巻、「溶融加工性フルオロポリマー(Melt Processible Fluoropolymers)」、プラスチックス・デザイン・ライブラリー(Plastics Design Library)刊、2003年、493〜496頁
【非特許文献2】S.エブネサジャド(Ebnesajjad)著、「フルオロプラスチック(Fluoroplastics)」、第2巻、「溶融加工性フルオロポリマー(Melt Processible Fluoropolymers)」、プラスチックス・デザイン・ライブラリー(Plastics Design Library)刊、2003年、461〜493頁
【非特許文献3】Y.ローゼンバーグ(Rosenberg)ら著、「いくつかのフルオロポリマーの低用量γ照射;ポリマー構造の影響(Low Dose γ Irradiation of Some Fluoropolymers; Effect of Polymer Structure)」、J.Applied Science、45、ジョン・ウィリー&サンズ(John Wiley & Sons)、783〜795頁
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、治療用タンパク質製造で使用される非汚染性で浄化を必要としない容器のための新しい構造体材料を提供することでこの問題を解決する。より詳しくは、問題は、(a)タンパク質を発現する細胞を発酵または培養するための栄養培地を調製するステップと、(b)前記栄養培地の存在下で前記細胞を発酵または培養して前記タンパク質を発現させるステップと、(c)前記タンパク質を単離するためのタンパク質分離溶液を調製するステップと、(d)単離されたタンパク質を配合するステップと、(e)配合されたタンパク質を保存するステップとを含み、ステップ(a)〜(e)の少なくとも3つが可撓性フィルムからできた別個の使い捨て容器内で実施され、前記容器の前記表面の少なくとも内部がフルオロポリマーである、治療用タンパク質生成のための本発明の方法によって解決される。フィルムの可撓性は容器に可撓性を与え、それは工程中の特定段階内への設置のために、そして工程段階でのそれらの耐用時間終了時に除去して同一フィルムからできた別の容器で交換するために、容器をパッケージする能力を高める。廃棄可能性は浄化および滅菌検証の必要性をなくして、容器交換のための製造休止時間を短縮する。製造段階における使い捨て容器の追加的利点は、相互汚染、すなわち1つの容器が、製造工程中の後続段階で使用される容器にもたらす汚染の残存がないことである。
【0006】
好ましい実施態様では、前記使い捨て容器内で少なくともステップ(a)、(b)、および(c)が実施され、より好ましくは、前記使い捨て容器内で全ての前記ステップ(a)〜(e)が実施される。別の好ましい実施態様では、各容器は全てフルオロポリマーからできている。
【0007】
本発明に従った、それからタンパク質が発現される細胞系と異なる、治療用タンパク質の発現において行われる細胞培養は、異なる細胞生成物の作成なしにオリジナルの細胞の生育のみを伴う細胞培養とは異なる。後者の細胞培養は、例えば米国特許公報(特許文献1)における使い捨てバッグの免疫療法用途に代表される。対照的に本発明の方法の発現で行われる細胞培養は、生きており生育する細胞培養から無生物タンパク質を生じる。このタンパク質生成物は、宿主細胞培養よりも有機汚染の害を被りやすい。宿主細胞培養は生きている生物であり、したがっていくつかの調節をしてこのような汚染に対抗できる。発現タンパク質は無生物であるためこの調節ができない。したがって有機物(汚染)対有機物(タンパク質)の反応は、タンパク質に悪影響を及ぼす可能性がはるかに大きい。さらに治療用タンパク質は、それからタンパク質が発現される細胞培養の小さな画分である。したがって細胞培養と比べると小さいかもしれない有機汚染の量は、治療用タンパク質の量に比べると大きなものとなる。単なる細胞培養との他の違いは、発現過程が、通常、容積が増大する一連の反応器内で実施され、各容器内で最適密度に達するまで細胞培養が行われることである。このようにして細胞培養/発現治療用タンパク質媒質は、単なる細胞培養、すなわち異なる生成物の発現を伴わない場合のような1つの容器表面のみへの曝露でなく、1つのバイオリアクターから次に進むに従って複数のバイオリアクター表面に曝されるので、各反応器表面による汚染を被る。その中で本発明の発現過程が実施される容器(バイオリアクター)の少なくとも内面を形成するフルオロポリマーからの有機物抽出に対する意外な抵抗性は、治療用タンパク質がその中で生成する生物由来資源から、それを回収段階に供給するために、このタンパク質を形成された状態のまま保存することを可能にする。これは下でさらに詳しく述べるように、バイオリアクターとしての使用より前に容器をγ照射などの崩壊電離放射線への曝露により滅菌する場合に、特に意外なことである。
【0008】
本発明の別の実施態様に従って、ステップ(b)、(c)、および(d)は、下位組み合わせであり、すなわち互いに独立して実施できる。一例として治療用タンパク質生成のための方法は、栄養素の存在下で細胞を発酵または培養して前記タンパク質を発現させるステップを含み、前記発酵または培養は可撓性フィルムからできた使い捨て容器内で実施され、少なくとも容器の内面はフルオロポリマーである。同一説明の容器内で、(i)通常は異なるタンパク質である汚染物質からタンパク質を単離するためのタンパク質分離溶液の調製工程が実施され、または(ii)任意選択的に同一容器内または同一構造の別個の容器内における前記タンパク質の引き続く保存と組み合わせて、タンパク質を配合する工程が実施される。
【0009】
本発明の別の実施態様は、上のステップ(b)、すなわち細胞系から細胞生成物を発現させる工程よりも広義の発現方法であり、可撓性フィルムからできている容器内で前記方法を実施するステップを含み、少なくともその容器の内面はフルオロポリマーである。発現される細胞生成物の例としては、治療用タンパク質、非治療用タンパク質、毒素、および多糖類が挙げられる。
【0010】
なおも別の好ましい実施態様では、上の方法は、各前記容器を、前記容器を収容する密封上包を含むパッケージとして提供し、前記容器が密封上包内で滅菌され、それによって、前記上包の開封までその滅菌条件を維持するステップを含む。滅菌は、好ましくは各容器をそれらの各密封上包を通して電離放射線に曝露して実施される。
【0011】
上述の工程段階(a)〜(d)の少なくとも1つにおいて、工程段階で使用される水性媒質を形成するのに使用される水は、好ましくは高度精製水である。より好ましくは少なくともステップ(a)および(c)、そして場合によりステップ(b)および(d)で高度精製水が使用される。典型的にこの水は、タンパク質製造工程で必要時に利用できるようにステンレス鋼容器内に保存されている。不都合なことにステンレス鋼は、高度精製水にいくらかの汚染をもたらし、次にそれはその中で水が使用される工程段階に持ち込まれる。この問題は、水を少なくとも容器内面がフルオロポリマーである可撓性フィルム容器内に保存することで解決される。好ましくはこの容器はまた、使い捨てでもある。この保存工程は、上述のタンパク質製造工程と組み合わせて使用でき、またはそれと独立して使用できる。前述の高度精製水は、一般に注射用水(WFI)として知られている。WFIは、米国薬局方(USP)で1231製薬用水(Water for Pharmaceutical Purposes)の下に定義されている。実質上、WFIは高度精製水であり、その純度は微生物汚染および微生物内毒素形成を防止するようにデザインされている。WFIはまた、高度に腐食性の物資であることもよく知られており、あらゆるポリマー容器からの有機物(有機化合物)抽出性の過酷な試験を提供する。抽出抵抗性は、250mLのWFIを含有する試験されるコポリマー容器を40℃に63日間保持し、それに続いて(抽出により)容器コポリマーだけがもたらすことができる有機物についてWFIを分析して判定される。上述の容器について。上の条件下で、容器内に存在するWFI中に有機物は見いだされなかった。分析の検出限界は50ppbであった。抽出試験の一部としての分析について、そしてその他の試験液体およびその他のポリマーへのこの試験の応用についてさらに詳しくは、以下で開示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
タンパク質治療薬は、発酵ブロスからの細胞培養、または細胞系から採取される細胞培養からの発現によって作られ、この発現は、細胞系とは異なる治療用タンパク質またはその他の細胞生成物を生じる。治療用タンパク質の例としては、組み換えワクチン、TPAなどの治療的に価値のある酵素、抗原、および抗体が挙げられる。非治療用タンパク質の例としては、RNA分解酵素、DNAse、リガーゼ、および制限エンドヌクレアーゼをはじめとする酵素などの組み換え技術、すなわちクローニングで使用される酵素が挙げられる。「発現」という用語は、本明細書における用法では、細胞内生成物、すなわち細胞培養を溶解して所望の細胞生成物を回収して得ることができる、細胞中に含有される発現細胞生成物もまた含む。典型的に細胞系は組み換え体であり、すなわち1つまたは複数の細胞が異なる生物からのDNAとの組み合わせによって遺伝的に改変され、これらの組み換え細胞をクローンして細胞バンクが形成される。組み換えDNAによって生成される細胞のクローニングは、当該技術分野でよく知られている。発酵または培養のためにこの細胞バンクからアリコートを取り、発酵または細胞培養工程において細胞の生育(増殖)中に、治療用タンパク質またはその他の細胞生成物を発現させる。組み換え体である細胞系の場合、得られた発現された細胞生成物もまた組み換え体である。タンパク質またはその他の細胞生成物の発現(工程のステップ(b))は、典型的に発酵ブロスまたは細胞培養液に栄養培地中の細胞系のアリコートを接種し、その中に酸素と窒素を吹き込んで、媒質中の細胞培養条件が相同的で恒温になるように混合しながら実施される。その中でこの生物反応が行われる容器は、バイオリアクターと称される。典型的にステップ(b)における反応は、少なくとも2つの容積が増大していくバイオリアクターの連続中で再現され、この連続は接種材料系列と称され、容積の増大は、各バイオリアクター内において、ひいては全体的製造工程において、タンパク質治療薬またはその他の細胞生成物発現のための最良条件を確立するようにデザインされる。細胞生育(細胞密度)の最適量が1つのバイオリアクター内で得られると、発酵ブロスまたは細胞培養液をより大きな容積のバイオリアクターに移し、そこで最適条件を確立して治療用タンパク質またはその他の細胞生成物の発現(製造)が増大される。各バイオリアクター内で、発現過程中に形成される栄養培地からの二酸化炭素を窒素でパージし、栄養培地、酸素、および二酸化炭素の最適量を維持して、最適の細胞生育と治療用タンパク質またはその他の細胞生成物の生成を提供する。最適pHもまた確立され、モニターされ、維持される。これらの条件については当該技術分野でよく知られており、発酵または培養される特定の細胞系、および形成される特定の治療用タンパク質またはその他の細胞生成物について個別化されている。
【0013】
栄養培地の調製についてもまた、当該技術分野でよく知られており、直前に記載したように個別化されている。栄養培地の機能は、バイオリアクター内の特定細胞系の細胞を生育させ、生育過程において所望のタンパク質またはその他の細胞生成物を発現させることである。栄養培地は水溶液であり、典型的に、通常1つまたは複数の糖であるエネルギー源を含んで細胞生育を刺激し、典型的に、ミネラル、アミノ酸、およびビタミンなどの追加的成分を含んで、特定の細胞系の細胞生育を刺激する天然生体液を模倣する。栄養培地はまた、強い酸または塩基と緩衝液も含んで栄養培地のpHを確定して制御し、栄養培地中のこれらのいくつかまたは全ての成分、およびその他の成分は、調製と発酵および細胞培養工程の双方において、媒質と接するステンレス鋼バイオリアクター表面を腐蝕し、または別なやり方でそれから汚染物質を抽出する。栄養培地中の成分の例としては、塩化カルシウム溶液、グルコース、ラクトアルブミン加水分解産物、ダイズ加水分解産物、グルタミン、ピルビン酸ナトリウム、およびトリプトースホスフェートブロスが挙げられる。栄養培地は場合によっては栄養培地製造業者から購入され、また別の場合にはタンパク質製造業者が容器内で栄養培地成分と水とを混合して調製される。どちらの場合も栄養培地の調製および保存のためにこの容器が使用でき、または別個の容器が使用できる。典型的に栄養培地は、発現過程を実施するために、滅菌フィルター(微生物サイズ排除フィルター)を通してバイオリアクター内に汲み出される。
【0014】
発現ステップ、およびその他の発現過程のステップ(a)〜(d)で使用するために注射用水を保存するのに加えて、このような工程で使用されるかもしれないその他の薬剤もまた、好ましくは可撓性フィルムからできた別個の容器内で調製および/または保存され、少なくとも各前記容器の内面はフルオロポリマーである。このようなその他の薬剤としては、ステップ(b)で使用される活性化剤(誘導化剤)、ステップ(b)、(c)、および(d)で使用される酸、塩基、および緩衝液が挙げられ、前記水、活性化剤、酸、塩基、および/または緩衝液をそれぞれ可撓性フィルムからできた別個の容器内に保存するステップを含み、少なくとも前記容器の内面はフルオロポリマーである。
【0015】
おそらくは組み換え細胞系からの細胞培養の発現によって、治療用タンパク質またはその他の細胞生成物を作る工程の下流では、治療用または非治療用に関わらずタンパク質を精製して、その中で治療用タンパク質が作られる発酵ブロスまたは細胞培養液中に存在する望ましくないタンパク質(タンパク質汚染物質)をはじめとする望ましくない物質から、それを分離しなくてはならない。遠心分離して過剰な水を除去した後、精製は典型的に濾過および/またはクロマトグラフィーを伴い、クロマトグラフィー分離工程中への1つまたは複数のタンパク質分離溶液の添加によって補助される。タンパク質分離溶液は、実施されるタンパク質分離工程で使用される吸着マトリックスに応じて、様々なpHの緩衝水溶液または高度に濃縮された塩水溶液、またはそれらの組み合わせを含む。タンパク質分離工程としては、ゲル/濾過/サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、親和クロマトグラフィーが挙げられる。サイズ排除クロマトグラフィーでは、タンパク質溶液がマトリックスを通過する際に、マトリックスの吸着が異なる水力学的半径の分子を実質的に分割する。リン酸緩衝生理食塩水などの緩衝液が典型的にタンパク質溶液に添加されて、分割工程を助ける。イオン交換クロマトグラフィーでは、吸着マトリックス上の電荷が、場合によって反対に荷電した治療用タンパク質または汚染物質を引きつけ、それによって引きつけられなかったタンパク質または汚染物質がマトリックスを通過することで、タンパク質と汚染物質を互いに分離する。タンパク質が引きつけられる(結合する)物質であり、マトリックスが陰イオン交換である場合、pH7〜10を有する緩衝液が使用され、それに塩化ナトリウムが添加されてマトリックス(溶出)から結合タンパク質が放出される。マトリックスが陽イオン交換である場合、溶出緩衝液は典型的にpH4〜7を有し、塩化ナトリウムが緩衝液に添加されて吸着タンパク質の溶出が得られる。疎水性相互作用クロマトグラフィーでは、分離は治療用タンパク質溶液中の成分の選択的疎水性相互作用に基づく。例えばマトリックスに対する所望のタンパク質の選択的親和性は、マトリックスを2M硫酸アンモニウムで予備洗浄して得ることができ、結合タンパク質の溶出は、マトリックスを低イオン強度緩衝液で洗浄して得ることができる。親和クロマトグラフィーではマトリックス中でリガンドが使用され、所望の特異的成分に結合する。結合は中性pH緩衝溶液を使用して実施でき、溶出はpH3を有する緩衝溶液を使用して実施できる。溶出緩衝液の例としては、pH10の0.1Mグリシン−NaOH、pH3の0.1Mグリシン−HCl、および高塩濃度緩衝液などの少なくとも3モルのMgCl、KCl、またはKIを有するものが挙げられる。これら全ての分離工程のための緩衝溶液は、様々な供給元から入手できる。これらの水溶液の調製が本発明の方法のステップ(c)である。これらの溶液は、通常それらの調製に使用されるステンレス鋼混合および保存タンクに対して、高度に腐食性である。必要な際に利用できるようにする溶液の長期保存によって、腐蝕問題は悪化する。この時点では汚染を除去する追加的精製ステップがなく、またこのような汚染はタンパク質に変化を引き起し、それを変性することさえできるので、タンパク質汚染の回避は極めて重要である。
【0016】
米国特許公報(特許文献2)および米国特許公報(特許文献3)は、溶液と吸着性マトリックスとを接触させて、溶液から治療用タンパク質または汚染物質のどちらかを吸着させることによりこれらのタンパク質を互いに分離する、典型的にタンパク質汚染物質である汚染物質を含有するタンパク質溶液からの所望のタンパク質のクロマトグラフ的分離を開示する。これらの公報は、分離工程の実施より前に、低pHの濃縮塩溶液を使用して吸着性マトリックス物質に接触させることを開示し、この予備接触は吸着性マトリックスによって達成される分離を助ける役割をする。これらの公報はまた、分離工程を実施した後に高pHの濃縮塩溶液を使用して、吸着性マトリックスから吸着タンパク質を溶出することも開示する。これらは治療用または非治療用に関わらず、所望のタンパク質の精製の一部として実施されるタンパク質分離工程で使用するために、ステップ(c)で調製される腐食性タンパク質分離溶液の例である。これらの公報は、クロマトグラフィーカラムなどのフルオロポリマー容器の使用を開示し、容器は全てフルオロポリマーからできているか、またはその中で分離が実施される容器またはカラムにライナーが接着してフルオロポリマーで裏打ちされている。通常の構造体材料であるステンレス鋼に代わる、このフルオロポリマー使用の利点は、ステンレス鋼容器が所望のタンパク質を金属汚染するように、フルオロポリマーがタンパク質溶液を汚染しないことである。これらの公報はまた、腐食性溶液での洗浄による容器の周期的浄化についても開示する。米国特許公報(特許文献2)および米国特許公報(特許文献3)は、クロマトグラフィー分離工程における金属汚染回避の問題に対処しているが、特にこのような溶液の調製、そして特に溶液がかなりの時間容器内面との接触を保つこのような溶液の保存から、クロマトグラフ分離工程に汚染を持ち込まないタンパク質分離溶液という問題が残されている。調製および保存は同一容器内で実施してもよく、その場合、ステップ(c)は調製された溶液を保存するステップを含むことができる。ステップ(c)ならびにその他の工程段階で使用される容器の廃棄可能性は、上の特許公報で開示される腐食性浄化などの浄化の必要性を解消する。このような浄化には、通常、容器表面が清潔なだけでなく、微生物フリーである、すなわち無菌であることの検証の追加的ステップが続かなくてはならない。検証の必要性もまた本発明によって解消される。
【0017】
工程のステップ(c)からのタンパク質分離溶液を使用したタンパク質分離工程の下流では、次に精製された治療用タンパク質が送達可能であり所望の治療的な結果が得られるように、配合しなくてはならない。治療用タンパク質は、典型的にクロマトグラフィーの分離工程で選択的に吸着された治療用タンパク質を溶出するのに使用される水溶液などの水溶液として、精製工程から入手される。タンパク質の貯蔵安定性にpHの維持が重要であるかもしれないので、配合(ステップ(d))は、典型的にタンパク質溶液への水性緩衝液の添加を伴う。塩もまた添加して、水溶液中のタンパク質溶解性を改善してもよい。添加してもよいその他の賦形剤としては、安定剤、抗菌剤、保存料、界面活性剤、抗酸化剤、および等張剤が挙げられ、室温、冷蔵または冷凍保存に関わらず、保存(ステップ(e))中のタンパク質の有効性が維持される。したがって配合工程は、タンパク質溶液と緩衝液、おそらくは塩および賦形剤を共に混合するステップを伴う。その中で配合工程が実施される容器が配合物を汚染することなく、精製タンパク質が配合できることが極めて重要である。このような汚染はタンパク質の有効性を低下でき、バッチ間の有効性のばらつきをもたらし、タンパク質を変性すらさせる。
【0018】
治療用タンパク質の配合および配合タンパク質の保存については、組み換えDNAによって作られた細胞系に由来するものを含めて、治療用タンパク質製造の当業者によく知られている。治療用タンパク質は配合工程に到達するより前に既に精製されているため、配合および/または保存容器によって導入されるあらゆる汚染物質は除去されず、したがって治療用タンパク質中に留まり、その中でタンパク質が患者への送達のために準備される充填および仕上げ工程中にさえ留まる。配合タンパク質は一般に水溶液中で非常に希釈されており、少量の汚染物質でさえ配合物中に存在するタンパク質の量と比べると大きな量に相当する。量の相対性を別にしても、少量の汚染物質はタンパク質にかなりの有害効果を及ぼすおそれがあり、その有効性を低下させてバッチ間の有効性のばらつきを引き起こし、タンパク質の有効性を無効化すらさせる。
【0019】
前述の工程段階で使用される水性媒体を形成するのに使用される水は、好ましくは注射用水(WFI)である。この高度精製水は、精製水USPまたは注射用水USPのためのUSP(米国薬局方)モノグラフによって確立された、公定書基準水のための要件を満たす。好ましくはそれらの配合工程でタンパク質溶液に添加される賦形剤および/またはアジュバントもまた、可撓性フィルムからできた別個の容器内で調製および/または保存され、少なくともそれぞれの前記容器の内面はフルオロポリマーである。
【0020】
本発明は、上述のタンパク質製造工程ステップ(a)〜(e)のいずれかまたは全てにおける使用と、高度精製水、および製造工程の異なるステップで使用される活性化剤、酸、塩基、緩衝液、アジュバント、賦形剤などのその他の薬剤の保存とに適用可能な容器を提供し、このような容器は、その中で工程段階が実施される容器内に存在する特定の媒質の汚染に対して大いに改善された抵抗性を提供するので、治療用タンパク質に対して非汚染性であり、上述のように経済性および操作を改善する。本発明はまた、毒素または多糖類などの発現細胞生成物がそれから発現される細胞培養から、これらの存在物を抽出するための容器も提供する。典型的にこのような抽出は灌流反応器内で実施され、本発明で使用される容器はその反応器であることができる。次に毒素をホルムアルデヒドとの反応などによって抽出後に処理し、治療用類毒素に転換する。好ましくは、容器の内面がフルオロポリマーである可撓性フィルム容器は、これらの操作のいずれかまたは全てを実施した後に使い捨てである。
【0021】
本発明で使用される容器は、可撓性フィルムからできており、容器の内面を形成するその表面はフルオロポリマーである。本発明で使用されるフルオロポリマーは溶融加工性であり、それはそれらが(その融解温度を超えて加熱される)溶融状態で十分に流動性を有し、好ましくは押出しである溶融加工によって、それらが光学的に透明なフィルムを形成するように加工できることを意味する。典型的にフルオロポリマーそれ自体が溶融加工性であり、ポリフッ化ビニルの場合、フルオロポリマーは押出し、すなわち溶剤補助押出しのために溶剤と混合される。得られたフィルムは有用であるように十分な強度を有する。フルオロポリマーの溶融流動性については、ASTM D−1238に従って測定される溶融流速に関して述べることができ、本発明のフルオロポリマーは、特定のフルオロポリマーの標準である温度で測定すると、好ましくは少なくとも1g/10分の溶融流速を有する。例えばASTM D 2116aおよびASTM D 3159−91aを参照されたい。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は一般に溶融加工可能でなく、すなわちそれは融解温度を超える温度で流れないのでこのポリマーは溶融加工性でない。PTFEフィルムはまた、光学的に透明でもない。フィルムを容器に加工したとき容器のフィルム壁を通して容器内部が観察でき、観察者が可視汚染物質や、または濁度外観などの汚染の証拠が存在しないことを確認できるようにするために、光学的透明度が所望される。低分子量PTFEが入手でき、PTFEマイクロ粉末と称され、分子量はこのポリマーが溶融時に流動性を有するように十分低いが、低分子量のために得られた成形品には強度がない。強度の不在は、物品の脆性によって示唆される。マイクロ粉末からフィルムが形成できる場合、曲げると破断する。対照的に本発明で使用される溶融加工性フルオロポリマーは、破断なしに繰り返し屈曲できるフィルムに形成できる。この可撓性は、ASTM D−2176Fで述べられる標準MIT耐折強さ試験機を使用して、冷水中でクエンチされる8ミル(0.2mm)厚の圧縮成形フィルム上で測定される、少なくとも500サイクル、好ましくは少なくとも1000サイクル、およびより好ましくは少なくとも2000サイクルのMIT屈曲寿命によってさらに特徴づけることができる。容器の可撓性によって、それは平板形状に折りたためるようになる。可撓性はまた、例えばASTM F1342の手順に従って、それから容器が作られるフィルムを穿刺する試みによっても確認でき、その結果、穿刺試験で使用される針は穿刺より前に、フィルムを試験中の平面配置から、試験されるフィルム厚の少なくとも約5倍程度、好ましくはフィルム厚の少なくとも10倍撓ませる。
【0022】
本発明で使用するための好ましい溶融加工性フルオロポリマーは、−CF−CF−、−CF−CF(CF)−、−CF−CH−、−CH−CHF−、および−CH−CH−からなる群から選択される1つまたは複数の反復単位を含み、これらの反復単位およびそれらの組み合わせは、前記フルオロポリマーが少なくとも35重量%のフッ素、好ましくは少なくとも50重量%のフッ素を含有するという条件で選択される。したがってポリマーを形成する炭素原子鎖中に炭化水素単位が存在してもよいが、ポリマー鎖中に十分なフッ素置換炭素原子が存在して、フルオロポリマーが化学的不活性を示すようにフッ素存在の所望の最小量を提供する。フルオロポリマーは、好ましくはまた、少なくとも150℃、好ましくは少なくとも200℃、およびより好ましくは少なくとも240℃の融解温度も有する。
【0023】
ペルフルオロポリマー、すなわちポリマー鎖の末端基中にその他の原子が存在する可能性を除いて、ポリマーを構成する炭素原子に結合する一価の原子が全てフッ素である例としては、3〜8個の炭素原子を有する1つまたは複数のペルフルオロオレフィン、好ましくはヘキサフルオロプロピレン(HFP)と、テトラフルオロエチレン(TFE)とのコポリマーが挙げられる。TFE/HFPコポリマーは、アルキル基が1〜5個の炭素原子を含有するペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)などの追加的共重合ペルフルオロモノマーを含有できる。このような好ましいアルキル基は、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)、ペルフルオロ(エチルビニルエーテル)およびペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)である。典型的にコポリマーのHFP含量は、約7〜17重量%、より典型的には約9〜17重量%(計算:HFPI×3.2)であり、存在する場合追加的コモノマーは、コポリマー総重量を基準にして約0.2〜3重量%を構成する。追加的共重合モノマーがある、またはないTFE/HFPコポリマーは、一般にFEPとして知られている。炭化水素/フルオロカーボンポリマー(以下「ヒドロフルオロポリマー」)の例としては、典型的にPVDFと称されるフッ化ビニリデンポリマー(ホモポリマーおよびコポリマー)、典型的に40〜60モル%の各モノマーを計100モル%含有し、好ましくはペルフルオロアルキルエチレン、好ましくはペルフルオロブチルエチレンなどの追加的共重合モノマーを含有するエチレン(E)とTFEのコポリマーが挙げられる。これらのコポリマーは一般にETFEと称される。ETFEは主として、ポリマー鎖を作り上げるエチレンおよびテトラフルオロエチレン反復単位から構成されるが、異なるフッ素化モノマーからの追加的単位もまた存在して、コポリマーに所望される溶融、外観、および/または高温脆性回避などの物理特性を提供することも典型的である。追加的モノマーの例としては、ペルフルオロブチルエチレン、ペルフルオロ(エチルまたはプロピルビニルエーテル)、ヘキサフルオロイソブチレン、およびCH=CFR(式中、RはCH=CFC10H、ヘキサフルオロプロピレン、およびフッ化ビニリデンなどのC〜C10フルオロアルキルである)などのペルフルオロアルキルエチレンが挙げられる。典型的に追加的モノマーは、テトラフルオロエチレンおよびエチレンの総モルを基準にして0.1〜10モル%存在する。このようなコポリマーについては、米国特許公報(特許文献4)、米国特許公報(特許文献5)、米国特許公報(特許文献6)、および米国特許公報(特許文献7)でさらに詳しく述べられる。追加的なヒドロフルオロポリマーとしては、EFEPおよび一般にTHVと称されるTFE/HFPとビニリデンフッ化物のコポリマーが挙げられる。これらのコポリマーのフィルムは全て市販される。典型的に容器を構成するフィルムは、約2〜10ミル(0.05〜0.25mm)の厚さを有する。
【0024】
フルオロポリマーは、少なくとも容器の内面を形成し、すなわち容器はその中でフルオロポリマー層が容器内部を向くラミネートであるフィルムから形成されてもよい。しかし好ましくは、フルオロポリマーはフィルムの全厚を形成し、それによって容器は全てフルオロポリマーから作られる。どちらの場合もバッグは上の段落で述べたフィルム厚を有する。単(単一)層フィルムは、ラミネートのフルオロポリマー層をその外層にラミネートまたは別なやり方で結合する必要性を回避する利点を有する。これはフィルムを容器に製作する際の継ぎ目形成時にさらなる利点を有する。継ぎ目は、フルオロポリマーのそれ自体への熱接着を伴い、容器内部の継ぎ目中に存在するフィルムの縁は全てフルオロポリマーである。フルオロポリマー層または単層フィルムは、場合によっては、栄養培地、発酵ブロスおよび細胞培養液、発現された治療用タンパク質、タンパク質分離溶液、およびタンパク質配合物に対して非付着性であり、すなわちこれらの媒体中の成分は、これらの媒体と接するフルオロポリマー表面に付着しない。高度精製水もまたフルオロポリマー表面に付着しない。フィルムはラミネートであるかまたは単層であるかに関わらず、好ましくは以下で説明するように容器がパッケージで提供される際に、フィルムからできた容器内部が容器のフィルム壁を通して観察でき、観察者が可視汚染物質が存在しないことを確認できるように光学的に透明である。
【0025】
容器は、治療用タンパク質製造中の特定段階における適用のため、または精製水の保存のために所望される、あらゆる構造およびサイズを有することができる。例えば容器は、それらの縁に沿って共にヒートシールされてエンベロープを形成する2枚のフィルムシートから形成できる。代案としては、容器はフィルムシート群から形成でき、別個の底と側面がある容器が形成され、側面の丸い容器または角で一体となる別個の面がある容器のどちらかが形成される。いかなる構造でも、容器はその中でタンパク質製造の段階が実施できる容器を形成する。容器は、作られまたは使用される媒質のための入り口ポートを除いて、最上部で(使用中)開けることができ、または閉じることができる。入り口ポートは、単に、容器を形成するフィルムにヒートシールされた一定長さの管材料であることができる。入り口ポートが容器内の他の場所に配置でき、容器からの液体内容物放出、容器への気体供給、または容器がバイオリアクターとして使用される場合の複数気体供給などの処理活動のために容器フィルムにヒートシールした管材料を装着したものなどの追加的開口部を提供でき、そこではバッグ内の発酵ブロス/栄養培地または細胞培養/栄養培地に酸素と窒素の双方が導入され、追加的ポートが提供されて二酸化炭素が容器から排気できるようになる。容器内部への混合羽根導入のために、追加的ポートを提供できる。容器にヒートシールされた管材料もまた、好ましくはフルオロポリマーからできている。このような管材料を使用して、製造工程で液体媒質を1つの容器から別の容器へ連絡でき、それによって製造工程中の主要接触面が全てフルオロポリマーになる。工程で適用可能な場合、1つの容器内容物を別の容器に放出して工程中の容器間の連絡を行えば、同一結果が達成される。バッグ構造の例としては、米国特許公報(特許文献8)、米国特許公報(特許文献9)、米国特許公報(特許文献10)、米国特許公報(特許文献11)、米国特許公報(特許文献12)、米国特許公報(特許文献13)、および米国特許公報(特許文献14)で示されるものが挙げられる。
【0026】
容器の内容積は、タンパク質の研究的製造またはその商業的製造のどちらかに対処できる容積であることができる。典型的に容器の容積は少なくとも500mL、より典型的には少なくとも1Lであるが、少なくとも10L、少なくとも50L、少なくとも100L、少なくとも1000L、なおも少なくとも10,000Lのサイズ(容積)も可能である。フルオロポリマーフィルムは事実上無制限の長さに作ることができるので、この長さを所望の長さに切断してこれらの長さを共に加工し、所望の構造およびサイズの容器を形成することだけが必要である。小さな容器サイズは支持材なしで使用できるのに対し、より大きな容器サイズには硬質支持材が使用できる。硬質支持材は、その上に容器が載る単なる土台、または容器の底と側面の双方が支持されるようにその中にバッグが配置される硬質ハウジングであることができる。硬質支持材がいつ必要かは、容器サイズとそのフィルム厚に左右される。硬質支持材は、治療用タンパク質の製造で使用される既存の容器であることができ、可撓性フィルムからできた容器が、容器のための可撓性使い捨てライナーを形成する。使い捨てライナーは硬質支持材とは別個に形成されるので、本発明の方法を実施するために硬質支持材上または内部に配置でき、工程完了時に支持材から除去できる。これは容器内面に形成されてそれに接着される恒久的ライナーとは、対照的である。
【0027】
容器は、容器のサイズおよび構造に応じて、1つまたは複数のフルオロポリマーフィルムのシートを共にヒートシールして形成できる。ヒートシールは、重複部分を加熱してフィルムの重複部分長さを共に溶着することを伴う。溶着は、加熱バーまたは熱風、衝撃波、誘導、赤外線レーザーまたは超音波加熱などを使用して、通常は圧力下で重複表面を加熱して達成される。重複フィルム表面はフルオロポリマー融解温度を超えて加熱され、重複するフィルム表面の融着が得られる。重複FEPフィルム(融解温度約260℃)ヒートシールの例は、次のようである。一対のホットバーを290℃に加熱して、30psiの圧力下で5ミル(0.125mm)の総フィルム厚を有する重複FEPフィルムに押しつけ、融合シールを0.5秒間で提供する。各4ミル(0.1mm)厚の重複ETFEフィルムでは、60psi(42MPa)の圧力下で約10秒間、衝撃波シーラーのホットバーを230℃に加熱して融合シールを得る。典型的にヒートシールは15秒以下で完了できる。融点がより低いフルオロポリマーでは、より低い温度を使用できる。典型的にヒートシールは5秒以下で完了できる。ヒートシールに関する追加的情報は、(非特許文献1)で提供される。容器への入り口ポートおよび出口ポートは、(非特許文献2)で開示されるように、ヒートシール技術によって、または様々なフルオロポリマーに適用される溶着および封着技術によってフィルムに溶着できる。
【0028】
容器製作後、それを構成するフィルムが可撓性であるために、これもまた可撓性の容器は、あたかもバッグのように折りたためる。フィルムは、好ましくは容器に作られた後、過熱蒸気または乾燥熱風、または過酸化水素または酸化エチレンなどの化学処理、または放射線への曝露などの既知の手段によって滅菌できる。放射線の滅菌有効性、そしてタンパク質製造を化学薬品またはその残留物で汚染しないように、フィルム(容器)の化学処理滅菌からの残留化学薬品が回避されることから、電離放射線が好ましく、γまたは電子ビーム(eビーム)照射が特に好ましい。好ましくは、バッグは密封できる上包内に挿入され、それはバッグが上包内に納まる大きさに作られる。代案としては、バッグはそれ自体の上に折りたたまれてもよく、それによってより小型サイズの上包が使用できるようになる。上包それ自体が好ましくは可撓性であり、したがって厚さ約1〜10ミル(0.025〜0.25mm)などのポリマーフィルムから形成される。上包はタンパク質の製造に使用されないので、それはタンパク質の製造に関してフルオロポリマーバッグの非汚染特性を有する必要はない。ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン、またはポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルのような安価なポリマーフィルムを上包として使用できる。上包を構成するポリマーフィルムは、使用する特定のポリマーに適した条件を使用して、ヒートシールにより所望のサイズおよび形状のバッグに形成できる。ひとたびフルオロポリマーバッグが上包内に挿入されると、同一ヒートシールを使用して上包を密封できる。
【0029】
次に有利なことに、フルオロポリマーバッグの滅菌を達成するのに効果的な用量で、パッケージを好ましくは電離放射線、好ましくはγまたはeビーム照射に曝露して、フルオロポリマーバッグを含有する密封された上包から帰結するパッケージに滅菌が実施できる。典型的にこのような用量は、約25〜40kGyの範囲である。AAMITIR 17−1997は、特定のフルオロポリマーをはじめとする、照射によって滅菌されるポリマー材料の必要条件の指針を開示する。一例として、上述のように3面で共にヒートシールして上面を開けたままにした5Lの容量を有する、各5ミル(0.125mm)厚の2枚のFEPフィルムからできたバッグが形成される。代案としては各4ミル(0.1mm)厚の2枚のETFEフィルムから、上述のようにヒートシールしてバッグが作られる。1.2ミル(0.03mm)厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの同様のサイズのバッグもまた形成され、FEPまたはETFEバッグがポリエチレンテレフタレートバッグ内に入れられる。プログラム2で操作されるオーディオンバック(AudionVac)−VMS103真空シール機を使用して、ポリエチレンテレフタレートバッグをヒートシールし、フィルムを共に金敷台に押しつけるホットバーの保圧時間2.5秒間で、PETバッグの重複フィルムを密封する。機械は最初にPETバッグを膨張させ、続いてバッグ内部を1バールの真空にして、次にヒートシールを実施する。折りたたまれたFEPまたはETFEバッグが中に入った、得られた真空包装PETバッグは、平らなパッケージを形成する。得られたパッケージをC60線源からのγ照射に曝露して、PET上包内のFEPバッグを滅菌するのに十分な用量である26kGy用量を提供する。PET上包の封を切って、本発明の方法で使用するための容器としてバッグを利用できるようにするまで、PET上包はFEPバッグの滅菌条件を維持する。最終滅菌は、パッケージを蒸気に曝露しても実施できる。
【0030】
ガセット容器は、FEPまたはETFEの可撓性フィルムをそれらの縁で共にヒートシールして作成される。この容器を液体媒質で充填すると、一方向から見ると角胴形、垂直方向から見ると直立した楕円形状を有する。したがって容器を充填すると(膨張)、枕の形を有する。この容器はまた、ガセット側壁が上を向くように水平方向に向けることもできる。容器の方向は、ポート(開口部)がどこに配置されるかを定める。次に述べる実施態様では、ガセット側壁が垂直であるように、容器が垂直に方向付けられる。ガセットは別個のフィルム片から形成でき、または側壁と一体的に形成できる。例えば管形状のヒートシールしたフィルムをつまんで内向きに延びるプリーツを形成でき、それはそれらの最上部と底でヒートシールされ、容器を折りたたんだときにプリーツ形状を保持する。管形状の底と最上部はヒートシールされて、容器が形成される。容器が膨張すると、プリーツはそれらの中央部で展開して容器の側面にガセットが形成される。異なる実施態様では、容器の楕円形状ガセット側壁は、この楕円形状に切断されたFEPまたはETFEフィルムから作られる。側壁は衝撃波加熱によって容器の長方形の前後壁にヒートシールされ、それはヒートバーと金敷台の間にクランプ固定された重複フィルム部分に制御された加熱を適用するステップと、クランプ固定されたフィルム部分を共にヒートシールするステップと、なおもクランプ圧力下にあるシールに制御された冷却を適用するステップを伴う。ヒートバーおよび金敷台は、所望のヒートシール形状に必要な構造に成形される。容器がバイオリアクターとして使用される場合、容器内部への成分添加のための1つのポート、気体、とりわけ生物反応中に発生する二酸化炭素を排気するための1つのポート、および混合羽根の差込口を提供する第3のポート3つのポートが、容器最上部に長方形上縁に沿って間隔を開けて提供される。容器の液体内容物排液のための1つ、容器内部への酸素および窒素導入のための別の2つの計3つのポートもまた、容器の長方形縁底に提供される。ポートの存在を除いて、容器は閉鎖容器である。各ポートは、管材料を開閉するためのバルブを有する管材料から形成される。管材料は容器のフィルム壁の衝撃波加熱によってヒートシールされ、すなわち管材料は容器の対向面を形成するフィルムの間に介挿され、管材料周辺に密封される。代案としては、ポートは、先細端を有する土台と一体であることができ、土台は対向するフィルムにヒートシールされる。この容器の内容積は200Lである。液体媒質の添加によって膨張させると、容器を長方形タンク内で支持することができ、容器の底縁は、それを通して3つの底部ポートの管材料が延びることができる開口部を有するタンクの底に載っており、楕円形側壁はタンクの対応する側壁によって支持され、長方形側壁はタンクの対応する側壁に接触して支持が提供される。この容器の製作後、FEPフィルムの可撓性により、容器は平らな形状に折りたためるようになり、それを上包内にヒートシールして、次に得られた密封パッケージを先の段落で述べたようにγ照射に曝露して滅菌できる。γ照射はまた、容器中にヒートシールされたポートも滅菌する。
【0031】
このようなガセット容器はまた、その他の段階で使用される場合、工程段階の要求に応じて異なる数のポートを容器にヒートシールしてもよいことを除いて、タンパク質製造工程中のその他の段階にも応用できる。例えば気体を導入しまたは抜くためのポートは、一般にその他の工程段階では不必要である。いずれにしても容器が交換時に、容器と一体型のポートもまた、滅菌容器の交換と共に交換される。高度精製水の保存に使用される場合、ガセット容器は単に入り口ポートと出口ポートを有しても、または単に双方の目的を果たす単一ポートを有してもよい。
【実施例】
【0032】
40kGyのγ照射を受けたポリマーフィルム容器からの有機物抽出試験の詳細は、次のようである。
【0033】
可撓性フィルムの容器に250mLのWFIまたはその他の試験液体を充填し、得られた充填容器を40℃で63日間加熱する。この間、腐食性WFIまたはその他の試験溶液は、容器を構成するフィルムから有機物(有機化合物)を抽出する機会を有する。この抽出が起きるかどうか、またはその発生程度は、WFIまたは場合によってはその他の試験液体のサンプルをガスクロマトグラフィーによって分離し、続いて検出手段によって分離生成物を分析して判定される。この工程で抽出され、HP 6890 GC(カラム:SPB−1sulfur、内径30m×0.32mm、4.0μm厚フィルム、50〜180℃の範囲で稼働)中で分離された揮発性有機化合物(VOC)を水素炎イオン化検出器(FID)を使用して判定する。試験液体のサンプルを温度270℃のカラム内に注入する。WFIまたはその他の試験液体中に存在する有機物を同定するために、炎光検出パターンを電子的にパターンライブラリーと比較する。個々のVOC分離はカラム中の滞留時間に基づき、VOCの同定はそれらのイオン化サインによって実施される。
【0034】
保管され加熱された容器から抽出されるかもしれないより高分子量の有機物は、半揮発性有機化合物(半VOC)と見なすことができ、これもまたGCカラム内での分離対象であり、それに続いて存在するあらゆる半VOCが検出される。WFIまたはその他の試験液体のサンプル分離のために使用されるカラムは、0.25μm HP−5MSフィルムを使用した内径30m×250μmのGC(HP 6890)カラムであり、カラムを通過する分離サンプルはHP 5973 MSD分析器を使用して質量分光計(MS)分析によって分析される。サンプルを220℃のカラム内に注入する。半VOC分析では、WFIまたはその他の試験液体のサンプルを1000ppbの2−フルオロビフェニル(内検出標準)でスパイクし、塩化メチレンで数回抽出する。VOCおよび半VOCは、試験されたポリマーフィルムの容器から抽出されるかもしれない有機物の沸点連続体を形成する。VOCおよび半VOCの検出限界は50ppbである。表1および2におけるWFIおよびその他の試験液体からの抽出物検出についてゼロ(0)の報告は、抽出物が存在したとすれば、それらが50ppb未満存在したことを意味する。
【0035】
可撓性フィルム容器内のWFIまたはその他の試験液体のための加熱保存条件は、このような容器内での保存後に試験液体のサンプル中に存在するあらゆる有機物のGC分離、およびGC溶出物の分析と共に、ここで単に抽出試験(長期)と称することができる。
【0036】
上述のように、WFIを含有するフルオロポリマー可撓性フィルムの容器について、抽出試験で有機物は検出されなかった。
【0037】
フルオロポリマーフィルムのバッグおよび異なるポリマーフィルムのバッグをWFIおよびその他の抽出剤で抽出した試験結果を表1および2に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
表1および2に示すこれらの抽出剤(チャレンジ溶液)は、治療用タンパク質などの細胞生成物の製造におけるような、生体物質を製造する工程上の理由で生体物質に含まれるかもしれない液体を模倣する。これらの表に示すように、FEPフィルムまたはETFEフィルムのどちらかからできたバッグは、提示した炭化水素ポリマーからできたバッグよりもバッグ内側層としてはるかに優れており、すなわち炭化水素接触層は様々な抽出試験液に対してはるかにより汚染性であった。EVAおよび/またはPEバッグ内の抽出液中に検出された有機物には、エタノール、イソプロパノール、およびジメチルベンゼンジカルボン酸エステルが含まれた。FEPおよびETFEポリマーに対するγ照射の効果は、ポリマー鎖切断により分解を引き起こすことであり、表3および4の物理試験結果で示されるように、この効果はETFEよりもFEPで激しいので、FEPおよびETFEフィルムが抽出物を生じないのは意外なことである。様々なフルオロポリマーに対するγ照射の分解/架橋効果については、(非特許文献3)で考察される。
【0041】
炭化水素ポリマーバッグに関する抽出結果の変動性、すなわち同一バッグについて異なるチャレンジ液体が異なる抽出結果を与えることは、使用において遭遇するかもしれないなおも異なる試薬による抽出結果が予測不可能であるから、使用者にとって懸念の理由である。対照的にフルオロポリマーの一貫して低い抽出値は、これが異なる試薬にも適用されるという確信を与える。
【0042】
上述のバッグサンプルが、パーキン・エルマー(Perkin−Elmer)ADT−400の清潔なステンレス鋼管内で、脱離条件に曝露される別の試験を行った。管を50℃で30分間加熱して、バッグサンプルから揮発物を発生させた。次に得られた気体に、カラム温度40℃〜280℃でn−デカンで較正されたGC分離(HP 6890 GC)、および質量分光計分析(HP 5973 MS検出器)を施した。これはガス放出試験である。検出限界は1ppm(1μg/gm)である。FEPフィルムまたはETFEフィルムのどちらでもガス放出は検出されなかった。PEフィルムでは、イソプロピルアルコール、分枝アルカン炭化水素、オクタン、アルケン炭化水素、デカン、ドデカン、アルキルベンゼン、2,6−ジ−tert−ブチルベンゾキノン、1,4−ベンゼンジカルボン酸、ジメチルエステル、および2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−フェノールを含む67ppmの有機物が検出された。EVAフィルムでは、酢酸、ヘプタン、オクタン、分枝アルカン炭化水素、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、アルキルベンゼンポリシロキサン、アルキルフェノール、および2,6−ジ−tert−ブチルベンゾキノンを含む140ppmの有機物が検出された。
【0043】
テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマーまたはエチレン/テトラフルオロエチレンコポリマーのどちらかのフィルムからできた容器は、抽出およびガス放出条件への曝露下で、はるかに優れた安定性を示す。
【0044】
いくつかのフルオロポリマーの物理特性に対するγ照射の効果を試験した。40kGyのγ照射への曝露前後にASTM D638に従って、4〜5ミル(102〜127μm)厚の押出しフィルムで引張り強さおよび伸びを試験し、結果は表3に報告するとおりである。
【0045】
【表3】

【0046】
これらの結果は、照射がPVDF(フッ化ポリビニリデン)およびFEP(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー)を大きく弱体化させ、FEPでは引張り強さを大きく低下させ、PVDFでは伸びを大きく低下させることを示す。PVDFの伸びの低下は、容器を作るフィルムの可撓性の低下として現れ、屈曲時にひび割れし易くなる。
【0047】
フルオロエチレン(ポリテトラフルオロエチレン)に対する40kGyのγ照射の効果は、PVDFおよびFEPよりもなお激しい。引張り強さおよび伸びのどちらもが、PVDFおよびFEPより低いレベルに劣化する。
【0048】
その結果を表3に示す試験対象を形成するフィルムをまた、ASTM D1004−94aに従って引裂き抵抗についても試験し、そこでは試験標本はASTM試験手順の図1に示すようにその中に型打ちされたノッチを有する。この試験では、試験標本を対のジョーの間で掴み、51mm/分の速度で引き離して試験標本中のノッチにストレスを集中させる。ジョーが引き離されるにつれて、ノッチ領域における試験標本の伸長に対する所用負荷のグラフが形成される。負荷がピークに達して次にピークから25%低下するか、または標本が破断するかのいずれかまで、得られた曲線をプロットする。コンピュータープログラムMathCADによって判定される曲線下の面積が、フィルム破断の所用エネルギーに相当する。この試験は、尖った物との接触、または容器の液体内容物中の内圧の発生によって遭遇するような、フィルムからできた容器にかかるかもしれない局所的ストレスをシミュレートする。引裂き抵抗試験における低い伸びを伴う高い負荷には、フィルムが局所的ストレスを被った際に、伸長せずむしろ穿刺されがちであるという欠点がある。高い伸びに伴う中程度の負荷は、穿刺に対するより大きな抵抗性を提供する。表4は表3のフィルムの破断点エネルギーを示す。
【0049】
【表4】

【0050】
これらの結果は室温(15〜20℃)引裂き抵抗試験で得られた、照射条件あたり5枚の試験フィルムの平均である。破断点エネルギーの値は、試験フィルム厚で正規化したので、分母に「cm」がある。
【0051】
本発明では、40kGyのγ照射曝露後のフィルムの破断点エネルギーが、照射曝露前のフィルムの少なくとも90%であることが好ましく、より好ましくは、照射曝露後に少なくとも曝露前と同程度である。表4はγ照射への曝露時にETFEフィルムの破断点エネルギーに損失がなく、PVDFまたはFEPのどちらよりも破断点エネルギーが実質的に大きいことを示す。
【0052】
これらの物理試験結果は、エチレン/テトラフルオロエチレンコポリマーバッグが、揮発性化合物抽出、またはバッグの用途に大きな意義を有する物理特性のどちらにも感知できる不利益がなくγ照射滅菌可能であることから、エチレン/テトラフルオロエチレンコポリマーフィルムのバッグが、PVDFまたはFEPのどちらかからできたバッグよりも好ましいことを示す。したがって本発明に従った可撓性の容器を作るのに使用されるFEPおよびPVDFフィルムは、好ましくはγ照射以外の方法によって、例えばeビーム照射への曝露によって、または蒸気への曝露によって滅菌されるべきである。γ照射を使用して、FEPなどのペルフルオロポリマーまたは照射劣化するPVDFなどのヒドロフルオロポリマーを滅菌するのならば、これらのフルオロポリマーは、好ましくは滅菌されるバッグ内にラミネートの内面(フィルム)としてあり、その中でラミネート外層は照射によって本質的に劣化しない。外層ポリマーの例は、最終滅菌パッケージの上包としての使用のために上で開示されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)タンパク質を発現させるための細胞を発酵または培養するための栄養培地を調製するステップと、
(b)前記栄養培地の存在下で前記細胞を発酵または培養して前記タンパク質を発現させるステップと、
(c)前記タンパク質を単離するためのタンパク質分離溶液を調製するステップと、
(d)前記単離されたタンパク質を配合するステップと、
(e)前記配合されたタンパク質を保存するステップと
を含み、
ステップ(a)〜(e)の少なくとも3つが可撓性フィルムからできた別個の使い捨て容器中で実施され、前記容器の前記表面の少なくとも内部がフルオロポリマーであることを特徴とする治療用タンパク質の生成のための方法。
【請求項2】
ステップ(a)、(b)、および(c)が前記使い捨て容器内で実施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記全てのステップ(a)〜(e)が前記使い捨て容器内で実施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記容器が全て前記フルオロポリマーからできていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フルオロポリマーがヒドロフルオロポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記フルオロポリマーがペルフルオロポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
各前記容器を、前記容器を収容する密封上包を含むパッケージとして提供し、前記容器が密封上包内で滅菌され、それによって、前記上包の開封までその滅菌条件を維持するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
それぞれの前記密封上包を通して各前記容器を電離放射線に曝露することによってそれらを滅菌するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
注射用水、活性化剤、酸、塩基、および緩衝液の少なくとも1つを可撓性フィルムからできており少なくとも内面がフルオロポリマーである別個の容器中にそれぞれ保存するステップと、前記水をステップ(a)〜(d)の少なくとも1つに供給するステップと、存在する場合は前記活性化剤をステップ(b)に供給するステップと、存在する場合は前記酸、塩基、または緩衝液を前記ステップ(b)〜(d)の少なくとも1つに供給するステップとを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記供給ステップが、少なくともステップ(a)および(c)に向けたものであることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
注射用水(WFI)、活性化剤、酸、塩基、緩衝液、賦形剤、および/またはアジュバントを、可撓性フィルムからできており少なくとも内面がフルオロポリマーである別個の容器内にそれぞれ保存するステップを含むことを特徴とする、注射用水(WFI)、活性化剤、酸、塩基、緩衝液、賦形剤、および/またはアジュバントを保存する方法。
【請求項12】
各前記容器が使い捨てであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(b)に限定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(c)に限定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
任意選択的にステップ(e)と組み合わせたステップ(d)に限定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
細胞系から細胞生成物を発現させる方法であって、可撓性のフィルムからできており少なくとも内面がフルオロポリマーである容器内で前記方法を実施するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
前記細胞生成物が毒素、多糖類、治療用タンパク質または非治療用タンパク質であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
タンパク質および汚染物質を含有する溶液からタンパク質を分離する方法であって、(a)前記溶液と、吸着性マトリックスとを接触させて、前記溶液から前記タンパク質または前記汚染物質のいずれかを吸着させるステップと、(b)前記吸着性マトリックスと、前記吸着されたタンパク質または前記汚染物質を前記吸着性マトリックスから分離するための溶液とを接触させるステップとを含み、前記接触させるステップが、可撓性フィルムからできており少なくとも内面がフルオロポリマーである容器から、前記タンパク質分離溶液を供給するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
ステップ(a)より前に前記吸着性マトリックスとタンパク質分離溶液とを接触させるステップをさらに含み、前記タンパク質分離溶液がステップ(b)で使用される前記タンパク質分離溶液、ステップ(a)で使用される前記タンパク質分離溶液とは異なり、ステップ(a)より前に前記吸着性マトリックスと前記タンパク質分離溶液とを前記接触させるステップが、前記タンパク質分離溶液を可撓性フィルムからできた容器から供給するステップを含み、前記容器の内面を形成する前記フィルムの少なくとも表面がフルオロポリマーであり、前記容器がステップ(b)で使用される前記容器とは別個であることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
細胞培養から発現された細胞生成物を抽出する方法であって、可撓性フィルムからできており少なくとも内面がフルオロポリマーである容器内で前記抽出を実施するステップを含むことを特徴とする方法。

【公表番号】特表2008−538929(P2008−538929A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509188(P2008−509188)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/016334
【国際公開番号】WO2006/119054
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】