説明

法面保護材代替マット

【課題】 本発明は、厚みが薄く、耐衝撃性あり、かつ通気性に優れることで、
安全性・延命化・早期安定性に寄与できる法面保護代替マットを提供するすることにある。
【解決手段】 本発明に係わる法面保護代替マットEは、ジオテキスタイルからなり、質量を1500〜4000g/mであり、厚さは10〜20mmとし、貫入抵抗値を1000〜2500N、圧縮率を5〜10%にすることで、衝撃圧力を70%以上緩和できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、法面保護材として使用されている土質材料に代わる代替マットに関するものであり、最終処分場における遮水工の安全性の向上及び延命化(埋め立て容量の増大)及び早期安定性に寄与する法面保護材代替マットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、最終処分場の法面部遮水工保護材として50cm厚程度の土質材料や古畳が使用されてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような土質材料による遮水シート保護材は、厚みを有しており、本来廃棄物の埋立が可能である空間を同土質材料により占有させることで、最終処分場の埋め立て容量の阻害要因となっていた。また、土質材料を遮水シート上に巻き出す際、重機により保護の目的物である遮水シートを損傷する恐れがあった。また、従来の土質材料による法面部遮水工の保護は締め固められると、十分なガス移動ができないばかりか、廃棄物中のガスを排気し、酸素を供給するために、処分場内の法面上設置されているガス抜き管の周囲が同土質材料により占められ、直接廃棄物に触れないことから、埋立てた廃棄物の安定化を阻害するという欠点があった。
【0004】
また古畳を使用した際は、形状が一定であることから、保護されない隙間が生じることや、素材が有機物であることから、時間経過に伴い分解し、処分場から発生する浸出水の水質を悪化させる可能性があるという欠点があった。
【0005】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、最終処分場の遮水工の安全性向上と延命化と早期安定性であり、施工性に優れ、遮水シートに作用する外力を緩和できる法面保護材代替マットを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る法面保護材代替材マットは、最終処分場に敷設するマットであって、マットを構成する不織布の質量が1500g/m〜4000g/mであり、貫入抵抗値が1000N以上かつ圧縮率5%以上10%以下であることを特徴とするものである。また、マットの厚みが10〜20mmであることを特徴とするとしてもよい。さらに、マットの通気性が30〜200cc/secであることを特徴としてもよい。
【0007】
すなわち、本発明に係る法面保護材代替材マットは、最終処分場の法面に敷設するマットであって、高目付にすることで、貫入抵抗と圧縮率を調整することができ、遮水シートに作用する外力を緩和し、遮水工保護効果を十分発揮するとともに、廃棄物の埋め立て可能容量を増加することが可能となる。また、保護材設置時、従来の土質材料で有れば、重機を用いて行うことで、遮水シートを損傷させる恐れが発生する。しかし、代替マットは人力により容易に敷設できるので、敷設時に遮水シートを損傷させる恐れは無い事も特徴とするものである。
【0008】
また、繊維製品からなる法面保護材代替マットにおいては、通気性が良く、最終処分場内に十分な空気を送り込むことが可能であることと、本法面保護材代替マットの使用により、処分場法面上に設置されているガス抜き管に接して廃棄物を埋め立てられることができることから、処分場内の好気性の確保、早期安定化にも寄与させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の法面保護材代替マットによれば、マットを構成する不織布の質量を1500g/m〜4000g/mとし、貫入抵抗値を1000N以上かつ圧縮率5%以上10%以下にしたため、最終処分場における遮水工を保護する目的として、耐衝撃性が土質材料と同等の性能を有する。
【0010】
また、法面保護材代替マットの厚みを10〜20mmにした場合には、土質材料が50cm程度必要であった従来工法における土質材料より薄く施工ができ、埋め立て容量増大による延命化が図れる。
【0011】
さらに、法面保護材代替マットの通気性を30〜200cc/secにした場合には、最終処分場内に空気を送り込み易い性質を持つ。
【0012】
本発明の法面保護材代替マットによれば、最終処分場における安全性、敷設時の遮水シートの損傷を70%以上軽減することによる延命化、早期安定化がはかれる。また、法面保護代替マットの質量を変えることにより、より安全性が大きくなるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
保護マット(不織布)
本発明で用いる法面保護材代替マットの材質としては特に限定はなく、合成樹脂・合成繊維(主としてポリエステル繊維)で、かつ検針器により完全に金属(針等)の混入を無くした不織布で、質量が1500g/m以上であり、貫入抵抗値が1000N以上であり、圧縮率が5〜10%であることが挙げられる。
【0014】
施工性
法面保護材代替マットを用いた法面保護材代替工法は、特殊な技能を必要とはせず、施工が可能であり、小運搬も容易にできるものである。
【0015】
延命化
法面保護材代替マットを用いることで、遮水シートの保護層の厚みが薄くなるので、従来の土質材料の厚さの50分の1程度まで圧縮が可能となる。
【0016】
安全性
本発明で重機転圧荷重を70%以上緩和することが可能となる。
【0017】
以下に本発明の一実施例を図面に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【実施例1】
【0018】
図1は、法面保護材代替マットを法面に敷設した状態を表す概略断面図である。図中のAは、現地盤を示し、Bは下層保護マットを示し、C1は下層遮水シートを示し、Dは中間層を示し、C2は上層遮水シートを示し、Eは法面保護材代替マットを示し、Fは廃棄物層を示す。
【0019】
法面保護材代替マットEは、ジオテキスタイル(例として不織布)からなり、遮水シートC2に作用する応力を緩和する。不織布の厚みは、10〜20mmであり、耐衝撃緩和は、重機転圧荷重の70%以上である。図1に示すように、法面保護に土質材料を使用しないので、厚さが約50cm程度薄くできる。また、図1に示すように、法面保護代替マットEは、直接廃棄物に接しているので、法面保護代替マットが通気層の役目をはたし、廃棄物層Fに直接空気を送り込むことができ、好気性を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例である法面保護材代替マットを法面に敷設した状態を表す概略断面図である。
【符号の説明】
【0021】
A・・・・現地盤
B・・・・下層保護マット
C1・・・下層遮水シート
D・・・・中間層
C2・・・上層遮水シート
E・・・・法面保護材代替マット
F・・・・廃棄物層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最終処分場に敷設するマットであって、マットを構成する不織布の質量が1500g/m〜4000g/mであり、貫入抵抗値が1000N以上かつ圧縮率5%以上10%以下であることを特徴とする法面保護材代替マット。
【請求項2】
最終処分場に敷設するマットであって、マットの厚みが10〜20mmであることを特徴とする法面保護材代替マット。
【請求項3】
最終処分場に敷設するマットであって、マットの通気性が30〜200cc/secであることを特徴とする法面保護材代替マット。

【図1】
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【公開番号】特開2008−264693(P2008−264693A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−111707(P2007−111707)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【出願人】(390039114)株式会社田中 (21)
【Fターム(参考)】