説明

波形出力装置

【課題】波形データをメモリへ書き込む際に要する時間を短縮し、かつ、広範な測定対象機器に応じたテスト信号を発生できる装置を実現する。
【解決手段】機器にアナログ波形を入力することを目的とする波形出力装置において、情報処理装置に具備したデジタル信号を生成する波形作成ツール102と、前記任意波形作成手段を用いて使用者が作成したアナログ波形を確認する波形表示部104と、前記任意波形作成手段を用いて作成したデジタル信号を圧縮する波形圧縮部106と、から成る任意波形作成部101と、前記波形圧縮部により圧縮されたデジタル信号を復号する復号器109と、当該復号された波形の周波数と位相を可変とする波形操作部207と、前記波形操作部により決定した波形情報を元に波形信号を生成する信号生成器111と、前記回路部が出力するデジタル信号をアナログ波形にするDAコンバータ部113と、から成ることを特徴とする波形出力装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログ波形信号を生成して機器のデバッグに使用する波形出力装置に関し、特に、デジタル信号によって波形を作成する場合の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信装置や映像・音響装置等さまざまな機器は、テスト信号発生装置から出力されるテスト用の信号を使用して特性を種々に評価していた(特許文献1参照)。近年ではこれら評価を要する機器の多様化・複雑化が進み、必要とするテスト信号も複雑な物になっている。また、評価試験をする環境の自由度の増加のために、テスト信号発生装置の小型化要求も強い。
【0003】
こういった要求に応えるために、あらかじめデジタル値の波形データをメモリに記憶しておき、これをアナログ値に変換して所望の波形を出力するテスト信号発生装置が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−332948
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、デジタル値の波形データはファイルサイズが大きくなるため、従来は、これを長時間かけてメモリに書き込まなければならなかった。また、多様化する測定対象機器に要するテスト信号も多様であるから、実際には、測定のたびに大きなサイズの波形データをメモリに書き込む作業が発生していた。
【0006】
本発明は、波形データをメモリへ書き込む際に要する時間を短縮し、かつ、広範な測定対象機器に応じたテスト信号を発生できる装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は次のような構成をもつものとする。
つまり、機器にアナログ波形を入力することを目的とする波形出力装置において、
情報処理装置に具備したデジタル信号を生成する波形作成ツールと、
前記任意波形作成手段を用いて使用者が作成したアナログ波形を確認する波形表示部と、
前記任意波形作成手段を用いて作成したデジタル信号を圧縮する波形圧縮部と、
から成る任意波形作成部と、
前記波形圧縮部により圧縮されたデジタル信号を復号する復号器と、
前記復号器で復号した波形データの周波数と位相を可変とする波形操作部と、
前記波形操作部により決定した波形情報を元に波形信号を生成する信号生成器と、
前記信号生成器が出力するデジタル信号をアナログ波形にするDAコンバータ部と、
から成ることを特徴とする波形出力装置。
【0008】
また、本発明は、
前記波形操作部は、換装可能な不揮発性メモリを備え、当該不揮発性メモリは、前記波形圧縮部が圧縮する信号や、あるいは、前記復号器及び波形操作部の回路構成を記憶することを特徴とする波形出力装置である。
【0009】
また、本発明は、
前記波形操作部は、スイッチを備え、当該スイッチは、回路部内の回路パラメータを操作し、出力する信号の周波数あるいは位相あるいは振幅を変更することを特徴とする波形出力装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、波形作成部においてデジタル信号から成る波形データを圧縮する機能と、波形再生部において当該圧縮データを解凍する機能を持つことにより、任意の波形データをメモリに書き込む時間を短縮することが出来、その結果としてテスト信号の作成から測定器のテストまでの作業時間を短縮することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】波形出力装置の構成図である。
【図2】波形出力装置の実施例である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0012】
本発明の好適な実施の形態について、図を参照して説明する。図2は本発明にかかる波形出力装置の実施例である。本実施例では、パーソナルコンピュータ(以降PC)206上の波形作成部101を使用して,任意の波形データを作成する。前記波形作成部101内部の波形作成ツール102を使用してデジタル回路データと波形データを作成し,波形表示部104にて波形の確認を行うことが出来る。上記波形作成ツール102で作成した波形データを波形圧縮部106にて圧縮し,I/F103を介してFPGA107に送られる。FPGA内部の復号器109で波形データを解凍(復号)し、信号生成器111からデジタル信号による波形データを出力する。そして当該波形データをDAコンバータ113によってデジタル・アナログ変換を行い、テスト信号として出力する。
【0013】
PC206から任意波形発生器(AWG)105に回路データと波形データを書き込む際には、I/F103として例えばユニバーサル・シリアル・バス(以下USB)を使用する。また、波形操作部207にボタンスイッチあるいはスライドスイッチ205を設け、当該スイッチの指示により波形操作部207内部の各パラメータを変更できる構造にし、これを操作することで容易に波形出力制御、つまり振幅や周波数の制御を行うことを可能としている。
【0014】
また、FPGA107は揮発性メモリで構成されている為、電源を切ると書き込んだデータも消える。そこで、本発明にかかる構成においては、波形操作部207に不揮発性メモリ203を実装する。つまり、回路データ・波形データを当該不揮発性メモリ203に書き込むことで、電源を切ってもデータを保存することが出来る。
【0015】
FPGA107は電源がオンになったときに不揮発性メモリ203のデータを読み、動作をする。この不揮発性メモリ203を実装する際、ソケットを使用してメモリの付け替えを可能にすることで、PC206が無くても予め波形データを設定されたメモリを付け替えることで、簡単に回路データ・波形データを変更することが可能となり、出力波形の変更時間を短縮することが出来る。
【0016】
以下において,上記波形出力装置の波形出力方法を説明する。まず、PC206上にてテキスト形式で作成した2進数の波形データを可逆圧縮する。圧縮には例えばハフマン符号化を使用する。この圧縮方法は出現率の高い値に符号長の短い符号を割り当てていく方法である。これにより圧縮したデータを、I/F103として例えばUSB接続を使用してFPGA107に伝送し、不揮発性メモリ203に書き込む。あるいは、I/F103を介してPC101から不揮発性メモリ203に直接アクセスする経路を装備することにより、当該経路を用いて不揮発性メモリ203に直接書き込むことが出来る。
【0017】
次に、FPGA107は不揮発性メモリ203から前記の回路・波形データを読み込む。ここで、当該回路データ内に、圧縮された波形データを復号することを目的とする復号器109を組み込むことで、圧縮された基本データに復元(解凍)し、信号生成器111に送出される。信号生成器111においては,波形操作部207により入力された情報により,基本データのパラメータを制御し,所望のデジタルデータを生成してDAコンバータ113に送出する。次に、当該出力されたデジタルデータをDAコンバータ113でアナログ信号に変換することで波形を出力する。
【0018】
波形操作部207は波形の出力開始,出力停止を制御するボタンスイッチ,周波数を可変する第一のスライドスイッチ及び基本データの出力アドレスを制御するスライドスイッチを有する。前記スライドスイッチの情報は信号生成器111に入力され,前述の基本データに作用し所望のデジタルデータを生成し,D/Aコンバータに送出する。
【0019】
このように、FPGA107が有する回路ブロックに、外部から回路のパラメータを制御できる装置を具備することによって、測定器に入力するテストパターンを様々な態様に変化させることができ、本発明では上記に説明を行ったパラメータを制御する装置の種類について、これをなんら限定するものではない。
【0020】
FPGA107の動作はCLOCK生成部201から受け取ったCLOCKに同期してなされる。従って、出力周波数はこのCLOCKの周期に依存するが、周波数は前記のようなスライドスイッチなどによって制御される。
【0021】
以上説明したように、本発明の構成は、前記のように、FPGA107に含まれる各ブロックと、入力される回路データ及び波形データ、さらに、CLOCKによってデジタル信号の出力波形を生成し、DAコンバータ113にてアナログ波形に変換し波形を出力するものである。
【0022】
そして、FPGAに圧縮したデジタル波形信号を復元するブロックを備えることによって、PCなど情報処理装置で作成した信号パターンを圧縮して転送することが可能となり、このことによって当該信号パターンのFPGAへの転送及び書き込みを高速化することが可能になるのである。
【符号の説明】
【0023】
101…波形作成部、 102…任意波形作成ツール、 103…I/F、
104…波形表示部、 105…任意波形発生器(AWG)、 106…波形圧縮部、
107…FPGA、 109…復号器、 111…信号生成器、
113…DAコンバータ、
201…CLOCK、 203…不揮発性メモリ、
205…スライドスイッチ、 206…PC、 207…波形操作部。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器にアナログ波形を入力することを目的とする波形出力装置において、
情報処理装置に具備したデジタル信号を生成する波形作成ツールと、
前記任意波形作成手段を用いて使用者が作成したアナログ波形を確認する波形表示部と、
前記任意波形作成手段を用いて作成したデジタル信号を圧縮する波形圧縮部と、
から成る任意波形作成部と、
前記波形圧縮部により圧縮されたデジタル信号を復号する復号器と、
前記復号器で復号した波形データの周波数と位相を可変とする波形操作部と、
前記波形操作部により決定した波形情報を元に波形信号を生成する信号生成器と、
前記信号生成器が出力するデジタル信号をアナログ波形にするDAコンバータ部と、
から成ることを特徴とする波形出力装置。
【請求項2】
前記波形操作部は、換装可能な不揮発性メモリを備え、当該不揮発性メモリは、前記波形圧縮部が出力する信号や、あるいは、前記波形復号器及び波形操作部の回路構成を記憶することを特徴とする請求項1に記載の波形出力装置。
【請求項3】
前記波形操作部は、スイッチを備え、当該スイッチは、回路部内の回路パラメータを操作し、出力する信号の周波数あるいは位相あるいは振幅を変更することを特徴とする請求項1に記載の波形出力装置。



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−215516(P2012−215516A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82016(P2011−82016)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】