説明

波浪エネルギー変換設備用フロート

波からエネルギーを獲得する際に使用されるフロートは、浮力を与える中央体を備える。フロートは、先導部品及び/又は後曳部品をさらに備える。先導部品は先導面を有する。先導面は、フロートの使用時に先導面の上端が先導面の下端よりもさらに中央体から張り出すように水平から上向きに傾斜している。後曳部品は、フロートの使用時に、中央体から下向きに伸び、後曳面を与える。後曳面は、後曳面の下端よりも後曳面の上端が本体に近くなるように水平から下向きに傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の発明は、波浪エネルギー獲得用フロート及びその構造の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
クリーンエネルギー源は、現状の化石燃料への依存及び気候変動への化石燃料の影響を減少するためにますます重要となっている。現在のところ、風力はクリーンエネルギー源として確立している。しかし、活用可能な再生可能エネルギーの間違いなく最大の源は海である。このエネルギー源を活用する多数の計画が研究中であるが、資本コスト及び生成される電気のコストは依然として多大である。
【0003】
ある種の変換設備は、波浪エネルギーを獲得する手段として、フロート又は浮き舟橋を使用する。海中に配置されたフロートは波とともに動く。フロートにより獲得された機械エネルギーは、何らかの形の機械―電気エネルギー変換機構に付与される。利用可能な波エネルギーの獲得についてフロートの性能が良いほど、より多くの機械エネルギーが変換機構に付与され得ることは自明であろう。言い換えると、電気出力の増加につながる。
【0004】
本発明の背景情報として、典型的な波浪に含まれるエネルギー成分を説明する。これを2つの主要成分に分割できる。これらは、上下揺(heave)とうねり(swell)として知られている。より知られている上下揺成分は、波の中に配置された浮体を上げ下げする成分に関与する。一方、うねりはより隠された成分であり、波自体の中の水流の楕円運動と関連する成分である(泳者が海底に立つときに、その体を前後に揺さぶるものはこの後者の成分である)。利用可能なエネルギーは上下揺とうねりとの間でほぼ2等分される。
【0005】
これまで、理論的にフロートによって獲得され得る最大エネルギーが波の上下揺エネルギーに関連付けられる50%成分に限定されるとの教えが受け入れられている。うねりエネルギーの少なくとも幾分かを獲得することができれば、フロートの性能が向上するであろうことは明らかである。
【0006】
本発明は、波からエネルギーを獲得する際に使用されるフロートを提供する。前記フロートは浮力(buoyancy)を与える中央体を備える。さらに、前記フロートは先導部品及び/又は後曳部品を備える。先導部品は先導面を有し、前記先導面はフロートの使用時に先導面の上端が前記先導面の下端よりもさらに中央体から張り出すように水平から上向きに傾斜している。後曳部品は、フロートの使用時に中央体から下向きに伸び、後曳面を与える。後曳面は、後曳面の下端よりも後曳面の上端が水平方向において本体により近くなるように水平から下向きに傾斜している。
【0007】
本発明によれば、波浪エネルギーを獲得するために波浪の中で使用されるフロートは、第1部品として、a)中央体部自体の重量と、波浪により駆動されるエネルギー変換装置の中央体部に作用するいかなる垂直重量とを支持すること、及びb)前記エネルギー変換装置に駆動力を与えることの双方に十分な浮力を有する中央体部を、第2部品として(接近する波に面するとともに、かみ合う)上向きに傾斜した面の形態をとる前記本体に対する前方伸展部を、第3部品として、下向きに傾斜した面の形態をとる後方伸展部とを備える。(フロートの後部の下方及びフロートの後部に向かう波の動きとかみ合うために)。使用時に、第2部品は、浮揚を増加させるために接近する波とかみ合い、同様に、第3部品は、波により与えられる浮揚を増加させるために、フロートの後部の下方及びフロートの後部に向かう波とかみ合う。
【0008】
好ましくは、前方伸展部は、上向きに傾斜した面を形成するような翼(fin)の形態をとり、フロートの本体に取り付けられるか又は一体化される。後方伸展部は下向きに傾斜した面を形成するような同様の翼である。
【0009】
好ましくは、前翼はフロートが動作する場所で局所的に優勢な波の状態を考慮して、この状態に対してエネルギー獲得を最適とするように、フロートの中央体に対してその翼の高さが位置決められる。一例を挙げれば、翼は凪いだ状態のときに、典型的な波浪の種類又は形状について、翼の全て又はほぼ全ての作用面が水面よりも上であるように位置決められてもよい。別の例を挙げれば、別の波浪の種類又は形状について、翼は、中央体の最下位置から伸びていてもよい。好ましくは、後翼は、フロートの後部底面から下向きにぶら下がるように位置決められる。
【0010】
フロートの作動方法は次の通りである。周知の通り、フロートの中央体部は、その浮力により、作用する波の中の上下揺成分のエネルギーを獲得する働きをする。つまり、フロートは、それに作用する上昇する水の塊とともに上昇しようとする。波の進行する前スロープを構成している多量の水は、前翼の傾斜した底面に対して前掛かりに作用する。スラストの垂直成分が生じる結果となり、フロートの自然に得られる浮力から付与されるスラストを増大させる。うねった波は、後方伸展部の存在により、フロートの底面を妨げられることなく通過できない。この場合もうねり成分により、上向き成分のスラストがさらに生じる結果となる。前方伸展部と後方伸展部とを組み合わせることの測定された効果は、フロートにより付与される垂直に作用するスラストを、フロート単独の浮力から生じるであろうものに対して50%程度さらには70%増加させることができている。
【0011】
実験は、エネルギー獲得について前及び後面の望ましい角度が、ある程度波の周波数に依存することを示してきた。しかし実際のところ、最適な角度は、前面について水平から10〜50°、好ましくは20〜40°の間であり、後面について50〜85°、好ましくは60〜80°の間であることがわかってきた。
【0012】
波の前方部分が前翼の底面に打ち付ける結果、トルクがある程度フロートの本体に付与されるようになり、フロート前縁がフロート中心に対して上昇しようとする傾向を示すことが好ましい。同様に、後方伸展部に作用する波の作用の結果、ある程度のトルクを受け取ることにもなる。この場合、これらのトルクは逆向きとなる。
【0013】
本発明の好適実施形態において、波の進行方向についての寸法を意味するフロート長さが、フロートに作用する全体的なトルクが最少となるように、前及び後翼のそれぞれの表面積及び角度の組み合わせの中から選択される。
【0014】
さらに好適実施形態において、フロートの前及び後翼並びに中央体部は一体構造で製造され、おそらく例えば一体型等から得られる。
【0015】
荒天において波浪から付与され得る力は並外れて大きくなることがある。好適形態のフロート構造において、内部強化部材がフロート内部に包含され、上方かつ前方伸展部内に並び同様に下方かつ後方伸展部内に伸びている。この部材は、フロートにより受け止められた上向きのスラストをフロートの上又は下にマウントされたエネルギー変換機構に伝えるためのフロート内部に垂直に伸びた支柱に強固に取り付けられていてもよい。
【0016】
波エネルギー変換施設の据え付けの間、接近する波の優勢な方向について入念慎重に考慮されることが好ましい。自明なことであるが、この考慮は、進行する波とその波が作用するフロートとの間に最適な反発力が得られることを保証するためである。特に本明細書に記載されたフロートの場合、この向きは、前及び後面に対して波が最も効果的に反発することを保証するためのものである。この場合に、波がフロートの横から進むようであれば、これらの面による上向きのスラストへの寄与がないことは明らかであろう。
【0017】
大洋には波の優勢な向きが常に一定である場所があるけれども、このような場合はほとんどなく、平均から±30°となることが通常である。
【0018】
本発明の特徴によれば、波の優勢な方向にフロートを転回させることを可能とする旋回手段が提供される。この手段は、フロートの本体内に組み込まれたボールレース配列を備えていてもよい。ボールレース配列はフロートの本体が支柱に対して旋回可能とし、フロートの本体のスラストをエネルギー変換手段に伝達する。あるいは、旋回手段がエネルギー変換機構の支柱自体の中に設けられてもよい。実験は、いずれの場合でも、フロートが波の優勢な向きに都合よく転回し、エネルギー獲得及び変換を自己最適化することを示した。
【0019】
いかなる過大な反発を克服するために、機械的減衰手段が旋回機構に内蔵されてもよい。
【0020】
前面が平らなフロートの不利な点は、進行する波によりそれに加わるほぼ横方向の圧力である。この圧力は破壊的であり、フロートが取り付けられている支柱に多大な曲げモーメントを生じさせることがある。
【0021】
本発明の別の特徴によれば、フロートの前面は、それに作用する波の圧力を減少させるが、フロートの上向きに傾斜した前面に対して作用して浮揚を増加させる部分の波の重大な損失とはならないような外形をしている。また、この外形は、前面の上向きの浮揚に有意な寄与をしない波の部分のフロートの下の通過流れを助けるようにされている。これにより、後者の部分は後部の下向きに傾斜した面に導かれ、それにより付与される浮揚を増強させる。実際には、この平面に加わる横向きのスラストを減少させることと、結果として浮揚を実質的に減少させるいかなる効果との間で妥協を探らなければならない。フロートの前及び後面の作用は、まさしく、進行する波面のストールの程度によって決まる。
ここで、本発明を図面を参照して説明する。
【0022】
図1を参照し、紙面を横切って左から右に進行する波浪が10に示される。波の上下揺成分は11にベクトル矢印で示され、波の中に配置された浮体を浮揚することに関与している。隠されたうねり成分は矢印12で示される。波の中に蓄えられた機械的エネルギーは、これら2成分の間でほぼ50/50に分けられる。
【0023】
波から利用可能な浮力は、波の上に配置された浮体の上がり下がりに関与すると一般に理解されている。うねり力から利用可能なエネルギーは、その経路における固定物に対する波の機械的応答を考慮すると最もよく理解される。この力はかなりのものであり、長時間にわたった海岸、防波堤等の損傷の原因となる。
【0024】
図2は、本発明のフロートの側面図を13に示す。フロートは中央体部14を備える。中央体部14は、平面図で14aで示されるように直角の断面である。本体は、適合する発泡フォーム等から形成され、ガラス繊維ハウジング内に収められることがある。フロートは支柱15に取り付けられ、支柱15は、フロートの上又は下に位置するエネルギー変換機構を駆動するために使用される。支柱はローラ(図示なし)により案内され、フロートを垂直の動きのみに制約する。
【0025】
傾斜した前側伸展翼17が、フロートの前面16すなわち接近する波に面する面から張り出している。なお、翼はフロート前面の下端に近い位置から伸び、そこは一般にエネルギー獲得に最適な位置である。さらに、傾斜した後方伸展翼18が、フロートの後部から下向きに張り出している。フロートから翼が伸びる厳密な最適位置は、その表面積と同様に、フロートがその中で動作すべき波の優勢な特性に応じて決定される。水平からの典型的な角度は、前翼について上側に+30°、後翼について下側に60°である。図3を参照してフロートの動作を説明する。
【0026】
フロートに作用する接近する波が単一の場合を考える。図3aは、フロートの前面16に衝突する波の前側スロープ19及び上向きに傾斜した翼17を示す。翼はこの波面を捉え、この動作から上向き成分のスラストがベクトル図に21で示されるように結果として生じる。波の主要部分が図3bに示されるようにフロートを取り囲むとき、フロートの自然に得られる浮力がフロートを上昇させ、進行する波面が翼17により捕捉され続けることを保証する。こうして、波の前方部分から、できるだけ多くの垂直スラスト成分が引き出されることを保証する。
【0027】
フロートは上昇し続け、その浮力から図3bに示されるように垂直なスラストが付与され、ついにはほとんど水に取り囲まれる。しかし、(図1に12で示されるように)波の内部うねり成分は、下向きに傾斜した翼18によって与えられるブロック作用のために、フロートの底面をさっと通過することができない。これが、フロートの底面に作用する下向き成分のスラストをベクトル図で21aと示されるように結果として生じる。(なお、このうねりの下の水の塊に働く、同様の下向き成分のスラストがある。)
【0028】
この結果、フロートは、前側及び後側の伸展部の両方から得られる追加のリフト力を享受する。したがって、フロートに機械的に結合されたエネルギー変換装置を駆動することに利用可能な全体的な力に実質的に寄与する。この効果がこれらの翼の存在によることは、浮力が実質的にゼロである平面が使用された初期実験で確認できるように、確実である。
【0029】
上向きのスラストが50%程度さらには70%改善され、したがって、ほぼ同じ変位を示す単純なフロートから利用可能であろうスラストをかなり増加させ得ることがわかってきた。
【0030】
図3a〜3cに示すベクトル図から、フロートの本体を仮想中心線25の回りで転回させようとするトルク力が生じることが明らかである。しかし、図からわかるようにトルク力の各々は逆向きに働き、前トルク力は時計回りにフロートを回転させようとし、後の力は反時計回りにフロートを回転させようとする。翼17及び18の表面積及びフロートの中央体に対するそれらの角度の賢明な選択により、これらのトルクが相互にほぼ釣り合うように設定され得る。
【0031】
フロートを使用する任意の波エネルギー変換器の実現可能性に影響を与える主要な課題は、その耐久性能である。図5を参照し、その内部に内部強化部材27が包含された本発明のフロートを26で示す。この部材は炭素繊維材又は鋼板から作られている。部材は、図示されているように、上向きに中央体28を通って前側翼17の内部に、下向きに後側翼18の内部に伸びている。支柱29は、フロートからフロートの上又は下にマウントされた波エネルギー変換機構にスラストを伝達し、30で示されるように、強化部材に堅く取り付けられている。このようにして、強化部材は、フロート構造を強固に保つだけでなく、フロートにより受け止められる上向きのスラストを支柱29に付与する支援をする。
【0032】
図6を参照し、ボス33によってスラスト支柱32に取り付けられる本発明のフロート31が示される。軸受ジャーナル34はボス内部に配置される。軸受ジャーナルの内側部分は剛性部材35によりフロートの中央体に固定され、その外側部分はボス33に固定される。配置操作は以下の通りである。一連の波がフロートの中心線36からずれて届くとき、上向き及び下向き傾斜面に対する波の反発が、フロートを波の優勢な方向に直に旋回及び転回させるように、配置される。このようにして、これらの面に対する波の最適な反発が維持される。フロートの応答速度を制限するために、図示されていない減衰手段が旋回機構内部に組み込まれていてもよく、これにより機械的損耗及び振動を最小にすることができる。旋回点は、図示されているように、ボス自体内に組み込まれる必要はなく、むしろ、支柱自体又はエネルギー変換機構に内蔵される必要がある。
【0033】
図7を参照し、フロートに対する波の前側圧力を減少させる方法を示す。海中に配置された物体にかかる衝撃圧力が巨大となり得ることは一般に知られている。図7に示すように、このフロートは、波を2つの成分、フロートの前面38に対して反発する上側成分37と、下側面40に対して反発する下側成分39と、に分割するような外形をしている。この外形の効果は、波の下側成分がフロートの下を容易に通過することを可能とする等であり、したがって単なる平面に対する波の破壊的な衝突効果を最小とする。しかし、この成分のエネルギーは前面に対して散逸していないので、下側面との反発に有利に利用される。この外形の入念な選択は、フロートへの全体としてより少ない衝撃力と、素材の広がりについて妥協することなく外形によって受ける全体としての浮き上がりとを保証する。
【0034】
エネルギー獲得を最適化するために、主本体に対する前面の傾きと開始位置とについて、及び後面に対して同様に、この外形は、局所的な波浪状態に応じて予め選択されていてもよい。
当業者には種々の変形が明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、波浪に含まれる主要エネルギー成分を示す。
【図2】図2は、本発明のフロートを示す。
【図3a】図3aは、フロートの種々の面に作用する波の動きを示す。
【図3b】図3bは、フロートの種々の面に作用する波の動きを示す。
【図3c】図3cは、フロートの種々の面に作用する波の動きを示す。
【図4】図4は、前部及び後部のフロート伸展部に作用するトルク力を示す。
【図5】図5は、内部補強部材を組み込んだフロートを示す。
【図6】図6は、旋回手段を組み込んだフロートを示す。
【図7】図7は、前側波衝突力を減少させるように設計されたフロートを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波からエネルギーを獲得する際に使用されるフロートにおいて、
前記フロートは浮力を与える中央体を備え、
前記フロートは先導部品及び/又は後曳部品をさらに備え、
前記先導部品は先導面を有し、前記先導面は、前記フロートの使用時に、前記先導面の上端が前記先導面の下端よりもさらに前記中央体から張り出すように水平から上向きに傾斜し、
前記後曳部品は、前記フロートの使用時に、前記中央体から下向きに伸び、後曳面を与え、前記後曳面は、前記後曳面の下端よりも前記後曳面の上端が水平方向において前記本体により近くなるように水平から下向きに傾斜していることを特徴とするフロート。
【請求項2】
前記先導面が水平から上向きに10〜50°、好ましくは水平から20〜40°の間の平均角度で傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のフロート。
【請求項3】
前記後曳面が水平から下向きに50〜85°、好ましくは水平から60〜80°の間で傾斜していることを特徴とする請求項1又は2に記載のフロート。
【請求項4】
前記先導面が前記中央体の一部として一体に形成されていることを特徴とする請求項1、2、3のいずれか1つに記載のフロート。
【請求項5】
前記先導部品が、張り出しにより形成され
前記張り出しが前記本体から伸び、前記本体に前記先導面の前記下端で取り付けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のフロート。
【請求項6】
前記先導縁の前記上端が前記中央体の上端よりも上に伸びていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のフロート。
【請求項7】
前記後曳部品が前記中央体と一体に形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のフロート。
【請求項8】
前記後曳面の前記上端が前記中央体の下端よりも下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のフロート。
【請求項9】
前記中央体内で前記先導部品内及び/又は前記後曳部品内に伸びる内部強化部材をさらに備える請求項1〜8のいずれか1つに記載のフロート。
【請求項10】
前記強化部材は、前記フロートの上/下動をエネルギー変換装置の部品に伝達するための部材を前記中央体に取り付けるための前記中央体にある取付手段と一体化又は直接固定されることを特徴とする請求項9に記載のフロート。
【請求項11】
その波面が前記フロートの水平対称軸に垂直となる接近する波に対して平面が存在しないように、前記先導面が曲げられていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載のフロート。
【請求項12】
前記先導面が前記中央体の中ほど又はそれより下から下方に伸び、及び/又は、
前記後曳面が、ほぼ前記中央体の下端、好ましくは前記制御体の下端から伸びていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載のフロート。
【請求項13】
前記先導縁の下端から前記後曳縁の上端までの前記フロートの隔たり、前記先導及び後曳面の長さ、前記中央体と先導面と後曳面の幅、並びに前記先導面及び後曳面の水平からの傾斜角は、典型的な波が通過する際における先導及び後曳面に作用する前記中央体の取り付け位置回りの力のモーメントがほぼ逆向き、かつ互いの25%以内の大きさであるように構成されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載のフロート。
【請求項14】
前記フロートの水平長に対する前記前面の水平長の比率が、フロートに作用する波の進行方向において、約1/2であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つに記載のフロート。
【請求項15】
前記後面の水平長の前記フロートの水平長に対する比率が、フロートに作用する波の進行方向において、約1/3であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1つに記載のフロート。
【請求項16】
前記フロートは、前記フロートの上/下動をエネルギー変換装置の部品に伝達するための部材をフロートに取り付けるための取付手段を有することを特徴とする請求項1〜15のいずれか1つに記載のフロート。
【請求項17】
前記取付手段は、前記フロートが前記部材の回りを回転可能であり、これによって接近する波に対する前記フロートの受動的自己位置合わせを許容する配置を含むことを特徴とする請求項16に記載のフロート。
【請求項18】
前記取付手段は、前記部材に対する前記フロートの回転を弱める緩衝器を備えることを特徴とする請求項17に記載のフロート。
【請求項19】
請求項1〜15のいずれか1つに記載のフロート、及び、
前記フロートにその一端が取り付けられ、前記フロートの上/下運動をエネルギー変換装置の部品に伝達するための部材。
【請求項20】
前記フロート及び部材が回転可能に取り付けられ、これにより接近する波に対する前記フロートの受動的位置合わせを許容することを特徴とする請求項19に記載のフロート及び部材。
【請求項21】
前記部材は、前記フロートが取り付けられた一部品の他部品に対する回転を許容する回転可能手段を備え、これにより接近する波に対する前記フロートの受動位置合わせを許容することを特徴とする請求項19に記載のフロート及び部材。
【請求項22】
請求項19に記載のフロート及び部材、並びに、
前記部材の前記伝達された上/下動を電気に変換するためのエネルギー変換手段。
【請求項23】
前記部材が前記エネルギー変換手段に対して回転可能であることを特徴とする請求項22に記載のフロート及び部材、並びに、エネルギー変換手段。
【請求項24】
前記回転を弱める緩衝器をさらに備えることを特徴とする、請求項20若しくは21に記載のフロート及び部材、又は請求項23に記載のフロート、部材、エネルギー変換手段。
【請求項25】
波浪エネルギーを獲得するために波浪の中で使用されるフロートにおいて、
第1部品として中央体部を、
第2部品として、上向きに傾斜した面の形態をとる、前記本体に対する前方伸展部を、
第3部品として、下向きに傾斜した面の形態をとる後方伸展部を、備え、
前記中央体部は、a)中央体部自体の重量と、波浪により駆動されるエネルギー変換装置の中央体部に作用するいかなる垂直重量とを支持すること、及びb)前記エネルギー変換装置に駆動力を与えることの双方に十分な浮力を有することを特徴とするフロート。
【請求項26】
前記前方伸展部は、上向きに傾斜した面を形成するような翼の形態をとり、前記翼が前記フロートの前記本体に取り付けられるか又は一体化され、
前記後方伸展部が、下向きに傾斜した面を形成するような同様の翼であることを特徴とする請求項25に記載のフロート。
【請求項27】
前記前翼は、前記フロートが動作する場所で局所的に優勢な波の状態を考慮して、この状態に対してエネルギー獲得を最適とするように、前記フロートの前記中央体に対してその翼の高さが位置決められることを特徴とする請求項25又は26に記載のフロート。
【請求項28】
前記後翼が、前記フロートの後部底面から下向きにぶら下がるように位置決められることを特徴とする請求項25、26、27のいずれか1つに記載のフロート。
【請求項29】
波の進行方向についての寸法を意味する前記フロートの長さが、前記フロートに作用する全体的なトルクが最少となるように、前及び後翼のそれぞれの表面積及び角度の組み合わせの中から選択されることを特徴とする請求項25〜28のいずれか1つに記載のフロート。
【請求項30】
前記フロートの前記前及び後翼並びに前記中央体部は一体構造で製造され、おそらく例えば一体型等から得られることを特徴とする請求項25〜29のいずれか1つに記載のフロート。
【請求項31】
内部強化部材が、前記フロート内部に包含され、上方かつ前記前方伸展部内に並び同様に下方かつ前記後方伸展部内に伸びていることを特徴とする請求項25〜30のいずれか1つに記載のフロート。
【請求項32】
前記部材は、フロートにより受け止められた上向きのスラストを前記フロートの上又は下にマウントされたエネルギー変換機構に伝えるための前記フロート内部に伸びた支柱に強固に取り付けられることを特徴とする請求項31に記載のフロート。
【請求項33】
波からエネルギーを生成する方法において、
請求項1〜32のいずれか1つに記載のフロートを波の中に配置することと、
前記フロートの動きを電気に変換する変換器を使用することと、を備える方法。
【請求項34】
前記変換器が1以上のリニア発電機であることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
添付の図面を参照して明細書に実質的に記載され、同図面に示されたフロート。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−511783(P2009−511783A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535090(P2008−535090)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【国際出願番号】PCT/GB2006/003769
【国際公開番号】WO2007/042800
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(508108796)トライデント エナジー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】TRIDENT ENERGY LTD
【住所又は居所原語表記】47 Crowstone Road, Westcliff on Sea, Essex SS0 8BG United Kingdom