説明

波長分波光学素子およびカプラー

【課題】複数の波長を有する入射光から任意の単一波長の光を反射させることができ、意図しないサイドバンドの波長の光の反射をほぼ完全に防止した波長分波分光素子を提供する。
【解決手段】波長分波光学素子は、導波層20と、トップ層10とが積層されてなり、トップ層の表面に複数の凸条を備えた波長分波光学素子であって、上記複数の凸条が、条幅の異なる二種類の凸条パターンAおよび凸条パターンBからなり、凸条の離間距離である距離PAと距離PBとの和が、上記周期Pを形成しており、凸状パターンAの条幅A1と凸状パターンBの条幅B1が、次式(I)を満たし、B1=K1×A1・・・(I)(0.3<K1<0.90);かつ上記距離PAおよび距離PBが、次式PA=K2a×P・・・(II)およびPB=K2b×P・・・(III)を満たす(0.35<K2a<0.65かつ0.35<K2b<0.65であって、K2a≠K2b)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は入射光角度を変更することで種々の波長の光を単一波長で反射することができ、容易に製造可能な波長分波光学素子およびこの波長分波光学素子を用いたカプラーに関する。
【背景技術】
【0002】
通信技術の発達に伴って、情報の伝達媒体が電気から光に変わりつつある。例えばインターネットなどにおいては、ISDNのように電話回線を用いた電気信号の代わりに、光ファイバーを用いたネットワークが構築されており、この光ファイバーを通して波長の異なる複数の光からなる光の束として情報を送信することができる。例えば、このような光の束を構成する特定波長の光を画像情報の伝達媒体として使用し、他の特定波長の光を音響情報の伝達媒体とするなど、光通信技術では複数の情報を一本の光ファイバーを用いて同時に送信することができる。
【0003】
具体的な例を示すと、インターネットの通信に用いられている光ファイバー通信網では、近赤外から中赤外線領域の波長光(波長:760nm〜2.5μm、2.5〜4μm)を使用して情報の伝達が行われている。この近赤外から中赤外線領域の波長光は、肉眼では見えないが、光としての性質は勿論、可視光に近い性質を有しており、通信伝達媒体としての光として可視光より極めて便利な波長光であることから、近年、急速に普及した携帯電話の光通信網、インタ-ネットの光ファイバー通信網で使用されている。そして、今
後その情報伝送量はますます増大すると予測されている。
【0004】
このように光通信では、例えば、波長分割多重化WDM(Wavelength Division Multiplexing)方式が採用されている。
ここで採用されているWDM方式とは、波長の異なる複数の光を用いて、例えば、音声、画像、映像などの独立情報を、それぞれの波長の光に割り当て独立情報の数に対応した波長の数の光を多重化して光信号として光束伝送させる光通信システムである。
【0005】
従って、WDM方式で送られた情報を受ける側では、光の束に含まれる特定波長の光を光の束から個別独立に分離する必要がある。このようなWDM方式の通信システムで多重化伝送された光信号を分離(又は分波)させるために、波長分波性(又は波長選択性)を有する波長に対して選択のあるフィルターが必要であり、このようなフィルターは、例えば図13に示すように、表面に凹凸を有する透明部材で形成された構造を有しており、通常は、波長分波光学素子とよばれている。
【0006】
このような波長分波光学素子は、例えば、図13に示すように、反射型の回折格子1は基板100上に周期Dの格子溝110が規則的に配列された光学素子である。この回折格子に対し、格子溝110の法線Pとの成す角度θ1で以て入射した光が法線Pとの成す角度θ2で以て回折したとき、隣り合う格子溝110における光束の光路差ΔL10は次の(A)式で与えられる。
【0007】
【数2】

この光路差ΔL10が波長λの1/2の偶数倍、即ち、
【0008】
【数3】

但し、M=1、2、3の整数を表す。
と等しくなるとき出射光は強め合うことになる。したがって、次の(B)式を満足する特定の波長λを持つ光が回折格子から出射(回折)する。
【0009】
【数4】

例えば、θ1+θ2=αを一定にする条件の下で入射角θ1及び出射角θ2を変化させることにより、回折光の波長λを任意に変化させることができる。また、入射光が白色光である場合にも、出射角θ2を変化させることにより特定波長を持つ光を回折光として取り出すことができるとされている。
【0010】
しかしながら、上記のような従来の回折格子には、所望の波長の光とともに必要としない高次光も同じ方向に出射してくるという原理的な問題がある。即ち、(B)式は、波長がλである1次光、波長がλ/2である2次光、波長がλ/3である3次光、・・・が強め合って出て来ることを意味するから、いま入射角θ1、出射角(回折角)θ2の配置で取り出したい1次光の波長をλAとすると、同時に不要であるλA/2、λA/3、・・・の
光も同じ方向に出射する。一般に次数が高くなるに伴って回折光の強度は低下するものの、2次光は無視できない程度に大きな強度を有していることが多い。
【0011】
こうした従来の回折格子(波長分波分光素子)において、必要とされるλA以外の波長の光が分波して、所望の波長λAを高い選択率で分波するために、たとえば特開2006-91204号公報(特許文献1)には、「溝周期がDである第1の格子溝の上に、該格子溝と同一
方向に延伸し溝周期がD/4である第2の格子溝を重ねて刻して成ることを特徴とする回折格子。」の発明(図14参照)が記載されており、第1の格子溝110における回折条件は上記と同様であるが、第2の格子溝12の回折条件を考えると、第1の格子溝110と同様に、法線Pとの成す角度θ1で以て入射した光が法線Pとの成す角度θ2で以て回折したとき、隣り合う格子溝12における光束の光路差ΔL2は次の(C)式で与えられる。
【0012】
【数5】

この第2の格子溝120によって強め合う条件は、(B)式と同様に次の(D)式となる。
【0013】
【数6】

但し、N=1、2、3、などの整数である。
第1の格子溝110で取り出したい1次光の波長をλAとすると、(B)式より、
【0014】
【数7】

であるから、溝周期がD/4である第2の格子溝12では、波長がλA/4である1次
光、波長がλA/8である2次光、波長がλA/12である3次光、・・・を強め合うことが分かる。他方、逆に弱め合う条件は、次の(E)式を満足するときである。
【0015】
【数8】

即ち、波長がλA/2である1次光、波長がλA/6である2次光、波長がλA/10で
ある3次光、…が弱め合うことになる。因みに、λA/2よりも長い波長では強め合うこ
とも弱め合うこともない。
【0016】
即ち、溝周期Dである第1の格子溝110では波長λA/2である2次光が不所望の回
折光として出て来る筈であるが、溝周期D/4である第2の格子溝120では この波長
λA/2の光は1次光として弱め合うことになるから、結果として、この回折格子からの
波長λA/2の回折光の出射は抑制されることになる。このようにして、所望の波長λAの1次回折光の2次光を軽減することができるとされている。
【0017】
しかしながら、特許文献1および2はともに、目的とする反射波長を得るために、パターン形状をその都度変更する必要があり、複数の波長を含む光を分波するためには、波長に対応する素子をそれぞれ製造する必要があった。
【特許文献1】特開2006-91204号公報
【特許文献2】特開2002-22918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、複数の波長を有する入射光から任意の単一波長の光を反射させることができ、意図しないサイドバンドの波長の光の反射をほぼ完全に防止した波長分波分光素子を提供することを目的としている。
【0019】
さらに、本発明は、回折素子の設計が容易であり、低コストで供給可能な波長分波分光素子を提供することを目的としている。また、本発明は、種々の光を選択的に反射可能なカプラーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の波長分波光学素子は、少なくとも、導波層と、該導波層の屈折率よりも0.03以上高い屈折率を有するトップ層とが積層されてなり、該トップ層の表面にその一辺から対辺に至る平行に形成された複数の凸条を備えた波長分波光学素子であって、
上記複数の凸条が、条幅の異なる二種類の凸条パターンAおよび凸条パターンBからなり、上記凸条パターンAと上記凸条パターンBとは、交互に隣接するとともに、それぞれ独立に周期Pをもって繰り返し配置されており、
上記凸条パターンAおよび凸条パターンBが、該凸条パターンAの縦断面の中心を通って凸条上面から導波層に向かって直角に垂下する仮想中心線aと、これに隣接する該凸条
パターンBの縦断面の中心を通って凸条上面から導波層に向かって直角に垂下する仮想中心線bとが、相互に異なる距離PAおよび距離PBの幅で離間して繰り返すように形成されているとともに、該凸条の離間距離である距離PAと距離PBとの和が、上記周期Pを形成しており、
そして、
上記凸状パターンAの条幅A1と上記凸状パターンBの条幅B1が、下記式(I)を満たし、
【0021】
【数9】

(ただし式(I)において、0.30<K1<0.90である。);
かつ上記距離PAおよび距離PBが、下記式(II)および(III)を満たすことを特徴としている。
【0022】
【数10】

ただし、式(II)および式(III)において、0.35<K2a<0.65かつ0
.35<K2b<0.65であって、K2aとK2bとは同一ではない。
【0023】
さらに上記凸条の高さが、トップ層表面から100〜600nmの範囲内にあることが好ましい。
またさらに、上記波長分波光学素子を構成するトップ層の屈折率が、導波層の屈折率よりも0.03〜0.25高いことが好ましい。
【0024】
このような凸条パターンAの条幅A1は、40nm〜600nmであることが好ましい。
さらに、上記凸条パターンBの条幅B1は、20nm〜400nmであることが好ましい。
また、上記の周期Pは、250nm〜1200nmであることが好ましい。
【0025】
また、本発明のカプラーは、上記のような波長分波光学素子と、該波長分波光学素子への入射光の入射角度を変更自在にする入射光角度変更手段とを備えてなることを特徴としている。
【0026】
このカプラーにおいて、入射光角度変更手段として、光の入射角を変更する可動性鏡体、波長分波光学素子の入射光に対する角度を変更する可動性ステージよりなる群から選ばれる少なくとも一種類の入射光角度変更手段が組み込まれていることが好ましい。
【0027】
本発明のカプラーにおける出力される反射光の波長が、400〜1700nmであることが好ましい。
本発明の波長分波光学素子は、概略トップ層の表面に周期が同一であって位相の異なる二条の凸条が形成されている。すなわち、本発明の波長分波光学素子の表面には、位相の異なる二条の凸条が、それぞれ独立に、周期Pで繰り返し形成されている。換言すれば、周期Pの一条の凸条ピークの間に、もう一つの凸条ピークが同一の周期Pで立設されており、しかもこの二条の凸条ピークは、近接して形成されている。しかも、これらの凸条ピークは等間隔に設けられているのではなく、所定の規則性をもってトップ層表面に配置されているので、入射光角度を変えることでより高い精度で入射光から任意の光を分波することができ、特に本発明の波長分波光学素子によれば、サイドバンドの発生が少なくなる。また共鳴に起因する意図しない波長の分波も極めて少なくすることができる。
【0028】
本発明の波長分波光学素子は、見方を変えてみると、隣接するパターンAとパターンBとを一つの突起対としてみることができ、この突起対はこのトップ層の表面に一定の間隙を形成して形成されていることになる。
【0029】
このように波長分波光学素子を一定の周期を持つ二条の凸条パターンにより形成し、この二条のパターンの間隙を所定の範囲内にすることにより、入射される光の角度を変えることで、種々の波長の光を選択的に反射することができ、さらに、反射される波長以外の光の出射を抑制でき、入射した光の束から、サイドバンドのない単独波長光を効率的に出射させることができる。
【0030】
また、本発明の波長分波光学素子は、トップ層表面の形状が複雑ではないので、製造が容易であり、安価に高性能の波長分波光学素子を提供することができる。また、本発明の波長分波光学素子と入射光角度変更手段を有するカプラーは、一種類の光学素子で種々の波長を分波可能であり汎用性が高い。
【発明の効果】
【0031】
本発明の波長分波光学素子は、二条の凸条パターン(パターンA、パターンB)を有し、これらを一対の凸条として作用させることにより、入射光角度を変えることで所望の波長の光を独立して出射(反射)させることができ、このときの出射光の波長は単一であり、サイドバンドはほとんど観察されない。
【0032】
本発明の波長分波光学素子は、モールドを用いたインプリント法等により容易に製造することができ、しかもここで使用するモールドは、通常のモールドと同様に製造することができるので、高性能な波長分波光学素子を安価に供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
次に本発明の波長分波光学素子について、図面を用いて具体的に説明する。
図1は、図2に示す本発明の波長分波光学素子の一例におけるY-Y断面を示す断面図
である。図2は、本発明の波長分波光学素子のトップ層の平面を示す平面図である。
【0034】
本発明の波長分波分光素子は、表面に複数の凸条40が形成されたトップ層10と、このトップ層10の下層である導波層20とを有しており、この導波層20は、通常は基板30の上に形成されている。
【0035】
本発明の波長分波分光素子において、凸条40の高さを含めたトップ層10の厚さは、通常は、0.20〜6.00μm、好ましくは0.6〜1.5μmの範囲内にあり、このトップ層10を形成する素材の屈折率は、通常は1.40〜1.80の範囲内、好ましくは1.56〜1.63の範囲内にある。
【0036】
本発明において、導波層20の厚さは、通常は0.5〜20μm、好ましくは0.7〜
2.0μmの範囲内にある。基板30の厚さは、通常は80〜1200μm、好ましくは500〜1000μmの範囲内にある。
【0037】
この導波層20を形成する素材の屈折率は、通常は1.40〜1.77の範囲内、好ましくは1.45〜1.55の範囲内にある樹脂であり、トップ層10を形成する素材よりも低い屈折率の素材を使用して形成されている。
【0038】
本発明の波長分波光学素子を形成する導波層20、トップ層10およびトップ層10の表面に形成された凸条40は、いずれも光透過性の素材で形成されている。ここで使用するトップ層10を形成する素材の例としては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、環状オレフィン系樹脂、(チオ)フェノール誘導体系樹脂、フッ素変性アクリル系樹脂、ナフタレン系樹脂、無機ナノ粒子添加系樹脂および有機−無機ハイブリット系樹脂などの透明性の高い熱可塑性樹脂あるいはUV硬化樹脂が挙げられる。また、導波層20を形成する素材の例としても上記と同様の熱可塑性樹脂を挙げることができる。また、基板30を形成する素材の例としては、上記と同様の熱可塑性樹脂およびUV硬化樹脂に加えて、ガラスなどの無機透明材料を挙げることができる。
【0039】
ここで、導波層20と基板30との間に波長分波に影響を及ぼさない範囲でプライマー層(図示なし)を設けてもよい。このプライマー層の厚さは目的とする分波波長よりも充
分に小さい厚みであり、通常は数十nm以下、好ましくは25nm以下である。
【0040】
本発明の波長分波光学素子において、導波層20の屈折率を(n1)、トップ層10の
屈折率を(n2)としたときに、トップ層10の屈折率(n2)と導波層20の屈折率(n1)との差(n2−n1)が、0.03以上になり、好ましくは0.06〜0.25の範囲
内になるように形成素材を選定する。このようにトップ層10と導波層20との屈折率に差を設けることにより、より効率よく波長分波を行うことができる。
【0041】
本発明の波長分波光学素子が導波層20の下に基板30を有する三層構造を有する場合に、基板30と導波層20との屈折率差を0〜0.3の範囲内にすることにより、より分波性能の良い波長分波光学素子とすることができる。
【0042】
なお、本発明の波長分波光学素子において、トップ層10の表面に形成される凸条40は、トップ層10を形成する素材と同一の素材で一体に形成されていることから、その屈折率もトップ層10を形成する素材の屈折率と同一である。
【0043】
本発明の波長分波光学素子を形成する素材としては、透明性の高い素材を使用することができ、全光線透過率が、通常は70%以上、好ましくは80%以上である透明性を有する素材を使用する。
【0044】
本発明の波長分波光学素子のトップ層の表面には、凸条パターンAと凸条パターンBとは交互に隣接し、それぞれの凸条パターンは、それぞれ独立に、周期Pで繰り返し形成されている。各凸条はトップ表面の1辺から対辺に至り、互いに平行である。
【0045】
上記のようにしてトップ層10の平坦な表面に立設されている凸条40の上面からトップ層10表面までの高さは、通常は100〜600nm、好ましくは300〜450nmである。
【0046】
上述のように、本発明において、このようなトップ層10の表面に形成される凸条40には、条幅の異なる2種の凸条パターンAと凸条パターンBとがある。
本発明の波長分波光学素子のトップ層10の表面に立設されている凸条パターンAの条幅A1は、通常は40〜600nm、好ましくは45〜500nmの範囲内にある。また、もう一方の凸条パターンBの条幅B1は、通常は20〜400nm、好ましくは20〜330nmの範囲内にある。本発明において、凸条パターンAの条幅A1と凸条パターンBの条幅B1との比((B1/A1=K1))が、0.3より大きく、0.90未満の範囲内にあ
り、さらに0.35〜0.65の範囲内にあることが好ましい。凸条パターンAの条幅A1と、凸条パターンBの条幅B1との比率を上記のように設定することにより、サイドバンドが形成されにくくなる。つまり、本発明においてはこれらの条幅は、同一でなく、図1に示すように、凸条パターンAの条幅A1が凸条パターンBの条幅B1よりも太く形成されている。
【0047】
本発明の波長分波光学素子においては、上記のように条幅の異なる二条の凸条パターンAおよびBを隣接して配置するとともに、凸条パターンAをPの周期で形成し、凸条パターンBをPの周期で形成する。
【0048】
さらに、トップ層10の表面には、凸条パターンAと凸条パターンBとが交互に配置されている。
このときの凸条パターンAおよび凸条パターンBの配置位置を表すために、本発明では、図2に示されるような波長分波分光素子におけるY−Y線における縦断面を切り出し、この縦断面における仮想線を想定して凸条パターンAおよび凸条パターンBの位置を特定
する。
【0049】
図1に示すように、本発明の波長分波光学素子の縦断面には、導波層20の上面にはトップ層10が配置されており、このトップ層10の表面から太く形成された凸条パターンAと、細く形成された凸条パターンBとが配置されている。
【0050】
この凸条パターンAの上面から導波層20方向に、この凸条パターンAの縦断面の中心を通る仮想線を仮想線aとし、凸条パターンBの上面から導波層20方向に、凸条パター
ンBの縦断面の中心を通る仮想線を仮想線bとする。
【0051】
本発明の波長分波光学素子において、図1において、左側から表すと、凸条パターンAと凸条パターンBとは隣接しており、仮想線aと仮想線bとの距離で表わすと、凸条パタ
ーンAと凸条パターンBとの距離は、距離PAである。また、この凸条パターンBの右側
には上記距離PAと異なる間隙を形成して凸条パターンAが配置されている。この凸条パ
ターンBと凸条パターンAとの距離は、仮想線bと仮想線aとの距離として、距離PB
表わされている。このように、凸条パターンAと凸条パターンBとは、距離PA、距離PBの間隔を形成して繰り返し配置されている。
【0052】
他方、凸条パターンAに着目してみると、本発明の波長分波光学素子において、凸条パターンAの形成周期は、周期Pで表わされている。さらに、凸条パターンBに着目してみても、本発明の波長分波光学素子において、凸条パターンBの形成周期は、周期Pであり、凸条パターンAの形成周期と、凸条パターンBの形成周期とは同一周期Pである。ここで、周期Pは、凸条パターンにおける上記仮想中心線aと仮想中心線bとの距離PAと、仮想中心線bと仮想中心線aとの距離PBとの和であるから、本発明の波長分波光学素子に
おいては、周期Pで形成された多数の凸条パターンAに対して、位相をPAだけずらして
周期Pで多数の凸条パターンBが形成されているとみることができる。ここで、周期Pは、通常は250nm〜1200nmである。
【0053】
本発明においては、上記のような関係にある凸状パターンAの条幅A1と凸状パターンBの条幅B1は、下記式(I)を満たす。
【0054】
【数11】

ただし、上記式(I)において、0.30<K1<0.90であり、好ましくは0.35<K1<0.65である。
【0055】
上記凸条パターンAの条幅A1と凸条パターンBの条幅B1との関係を上記式(I)で表わされるように調整することにより、サイドバンドが発生しにくい波長分波光学素子とすることができる。
【0056】
さらに、図1に示すように、本発明の波長分波光学素子において、上記の凸条パターンAの縦断面の縦方向の中心に仮想される仮想中心線aと、凸条パターンBの縦断面の縦方
向の中心に仮想される仮想中心線bとしたときの、仮想中心線aから仮想中心線bまでの
距離PAおよび仮想中心線bから仮想中心線aまでの距離PBが、下記式(II)および(III)を満たす。
【0057】
【数12】

ただし、上記式において、K2aおよびK2bは定数であり、0.35<K2a<0.65かつ0.35<K2b<0.65であり、好ましくは0.4<K2a<0.6かつ0.4<K2b<0.6である。そしてK2aとK2bは同一でない。上記式において(PA+PB)=周期Pであるから、上記式(II)および(III)におけるK2aおよびK2bは、周期P内において、凸条パターンAおよび凸条パターンBの配置位置を示すものであり、上記に示すように凸条パターンAと凸条パターンBとを形成することにより、種々の波長の光を選択的に反射可能で、サイドバンドのない波長分波分光を行うことができる。
【0058】
また、図1に示すように、周期Pは、凸条パターンAの条幅A1と凸条パターンBの条幅B1を用いて表すと、下記のように表される。ここで、E1およびE2は、凸条パターンAと凸条パターンB間の2種の異なる間隙を示す。
【0059】
【数13】

上記のような特性を有する本発明の波長分波光学素子は、種々の方法により製造することができるが、特にモールドを用いて熱インプリント法により製造するのが有利である。
【0060】
この方法は、金属、ガラス、シリコンなどの硬質部材で形成されたモールドを用いて、加熱下にトップ層10の表面にこのモールドを押圧してモールドに形成されたパターンをトップ層の表面に転写する方法である。
【0061】
この方法では、トップ層10としてガラス転移温度(Tg)が好ましくは60〜190℃、特に好ましくは90〜150℃の熱可塑性透明樹脂、たとえば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、あるいは、ポリカーボネート樹脂などから選択される樹脂をトップ層形成樹脂として用いて60〜220℃、好ましくは70〜200℃に加熱されたモールドと、このトップ層10とを圧接して、トップ層形成樹脂のガラス転移温度(Tg)以下の温度にまで冷却した後、モールドから樹脂を脱型して、積層樹脂のトップ層の表面にモールドの表面に形成されたパターンと逆のパターンを積層樹脂のトップ層10の表面に形成する。
【0062】
なお、ここで使用するモールドには、樹脂のトップ層とモールドとが接触した際に空気が抜け出し易いように空気排気手段を形成することもできる。
本発明の波長分波光学素子には、上記のように分光手段である凸条パターンが二個対になって規則的に配置された複数の突起対が形成している。
【0063】
そして、このように本発明の波長分波光学素子が、二つの凸条パターンを有することにより、取り出そうとする波長の光以外の波長の光を抑制して所望の波長の光を高い選択率で取り出すことができる。しかも、本発明の波長分波光学素子によれば、取り出される光が単波長であり、サイドバンドが極めて少ないとの特性を有する。
【0064】
従って、本発明の波長分波光学素子は、光通信などにおいて特定の波長の光を取り出すための分光素子として極めて重要性が高い。
例えば、本発明の波長分波光学素子は、所望の波長の光を高い選択率で取り出すことができるため、カプラーとして使用することができる。本発明のカプラーは、上記のような波長分波光学素子と、該波長分波光学素子への入射光の入射角度を変更自在にする入射光
角度変更手段とを備えている。このカプラーにおいて、入射光角度変更手段として、光の入射角を変更する可動性鏡体、波長分波光学素子の入射光に対する角度を変更する可動性ステージよりなる群から選ばれるいずれかの入射光角度変更手段を単独であるいは組み合わせて組み込まれていることが好ましい。
【0065】
反射光の波長は、通常は400〜1700nmの範囲内である。
本発明の波長分波光学素子を有するカプラーは、本発明の波長分波光学素子が入射光の角度を変更することにより異なる波長の光を選択的に取り出すことができ、しかもこの取り出された光がサイドバンドを伴うことがないことから、より高い精度で単独波長の光を取り出すことができる。汎用性の高い光学部材となる。
【実施例】
【0066】
次に本発明の波長分波分光素子について実施例を示して詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0067】
〔実施例1〕
<トップ層の製造方法>
温度計と窒素導入管とを装着した容量1リットルの四つ口フラスコに、スチレン(St
)100重量部と、ブチルパーオキサイド0.45重量部と、水130重量部と、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム0.004重量部と、第三リン酸カルシウム10重量部とを添加し、1000rpm攪拌下に乳化させた後、充分に窒素パージさせて、77〜80℃で3.5時間反応させ、次いで89〜91℃で1.5時間反応させ、さらに96〜97℃で1時間反応させた。
【0068】
重合したエマルジョンを35%塩酸および水で洗浄し、乾燥させ粉体とした。
このようにして調製されたエマルジョンの重合率は約100%であり、GPC法で用いて測定したポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は20万で、分子量分布係数は2.3であった。また、このように調製されたPSt樹脂(L1−1)の1540nmにおける屈折率(n2)は1.565であった。
【0069】
<導波層の製造方法>
温度計と窒素導入管とを装着した、容量1リットルの四つ口フラスコに、t−ブチルメチルメタクリレート(tBMA)100重量部、ブチルパーオキサイド0.5重量部、ポリビニルアルコール(PVA)1重量部、水道水200重量部を添加し、回転3000rpmで3分間よく乳化したのち、窒素パージを30分間行った。その後72℃まで昇温し1.5時間保持したのち、90℃で1時間保持し、エマルションを調製した。
【0070】
このようにして調製したエマルションの重合率は約100%であり、GPC測定の結果
、重量平均分子量は108万であった。その後、重合したエマルションをイソプロピルアルコール(IPA)で洗浄し、90℃乾燥させ、粉体化した。
【0071】
その後、トルエンに溶解させ固形分15%の液状樹脂とし、ミカサ工業製スピンコーター1H-DX2用いて、回転数1000rpmで5秒、回転数2000rpmで10秒スピンコートし、次いで、130℃で15分乾燥し、膜厚約4.5〜5.0μmのポリブチルメチ
ルメタクリレート(PBMA)層を成膜した。膜厚計測は、FILMETRICS製薄膜測定装置 F20を用いて行った。
【0072】
なお、この樹脂の屈折率(n1)は、1.457であり、トップ層30の屈折率(n2)と導波層20の屈折率(n1)との差(n2−n1)は、0.108であった。
上記のようにして塗工したPSt樹脂(L1-1)の表面に、予め矩形の2種類の凸条を形
成可能なモールドを形成して加熱下に押し当ててトップ層表面に表1に記載の凸条パターンAおよび凸条パターンBの凸条対を転写した。ここで、表に示す通り、凸条パターンAの条幅A1は、360nm、凸条パターンBの条幅B1は、180nmであり、次式(I)で表わされるK1は0.5である。
【0073】
【数14】

矩形間の距離は、PA=430nm,PB=450nmである。従って、この波長分波分光素子に形成されている凸条パターンAおよび凸条パターンBのピッチは、880nmであり、次式(II)および(III)で表わされるK2aは0.489、K2bは0.511である。
【0074】
【数15】

すなわち、130℃に加熱下にPSt樹脂(L1-1)の表面に、上記のようにして形成されたモールドを圧接して、モールドに形成されたパターンをPSt樹脂(L1-1)の表面
に転写し、60℃まで冷却した後、脱型を行って、本発明の波長分波光学素子を得た。
【0075】
得られた波長分波光学素子の凸条の高さは300nm、凸条も含めたトップ層の厚さは1000nmである。
上記のようにして製造した波長分波光学素子を用いて、入射光角度変更手段を有するカプラーを作成した。アジレント株式会社製86143B−002を用いて、波長1000〜1600nmのレーザー光をトップ層表面に対し、入射光の角度が11.53°および15.72°となるようにカプラーをそれぞれ調整し、光を照射し、反射される光をアジレント株式会社製86143B上の光パワーセンサーユニットにより検出した。
【0076】
結果を表1に示す。また反射光の強度を図3および図4に示す。
反射光は、角度11.53°の入射光に対し1490nmおよび角度15.72°の入射光に対し1550nmの2種類の波長で、それぞれの反射率がいずれも99%で検出され、それぞれの反射光のサイドバンド反射率がいずれも5%未満だった。
【0077】
〔実施例2〕
実施例1において、周期Pを870nm、凸状パターンAの条幅を300nm、凸状パターンBの条幅を150nmに変え、K2a=0.483、K2b=0.517となるように凸条の間隔を変えた以外は実施例1と同様にして波長分波光学素子を製造した。
【0078】
得られた波長分波光学素子について、実施例1と同様に光学的特性を測定した。
結果を表1に示す。また反射光の強度を図5および図6に示す。
反射光は、角度12.78°の入射光に対し1490nmおよび角度17.04°の入射光に対し1550nmの2種類の波長で、それぞれの反射率がいすれも99%で検出され、それぞれの反射光のサイドバンド反射率がいずれも5%未満だった。
【0079】
〔比較例1〕
実施例1において、周期Pを970nm、K1=0.92となるように凸状パターンBの条幅を330nmに変え、K2a=0.443、K2b=0.556となるように凸条の間隔を変えた以外は、実施例1と同様にして波長分波光学素子を製造した。
【0080】
得られた波長分波光学素子について、実施例1と同様に光学的特性を測定した。
結果を表1に示す。また反射光の強度を図7および図8に示す。
反射光は、角度11.53°の入射光に対し1490nmおよび角度15.72°の入射光に対し1550nmの2種類の波長で、1490nmの反射光の反射率は55%、1550nmの反射光の反射率は25%で検出され、それぞれの反射光のサイドバンド反射率はいずれも7%だった。
【0081】
〔比較例2〕
実施例1において、周期Pを790nmに変え、K2a=0.545、K2b=0.455となるように凸条の間隔を変えた以外は、さらに凸条Bの条幅を90nmに変えた以外は、実施例1と同様にして波長分波光学素子を製造した。
【0082】
得られた波長分波光学素子について、実施例1と同様に光学的特性を測定した。
結果を表1に示す。また反射光の強度を図9および図10に示す。
反射光は、角度11.53°の入射光に対し1490nmおよび角度15.72°の入射光に対し1550nmの2種類の波長で、それぞれ反射率がいずれも99%で検出され、1490nmの反射光のサイドバンド反射率は15%、1550nmの反射光のサイドバンド反射率は25%だった。
【0083】
〔比較例3〕
実施例1において、Ka=0.682、Kb=0.318となるように凸条の間隔を変えた以外は実施例1と同様にして波長分波光学素子を製造した。
【0084】
得られた波長分波光学素子について、実施例1と同様に光学的特性を測定した。
結果を表1に示す。また反射光の強度を図11および図12に示す。
反射光は、角度11.53°の入射光に対し1490nmおよび角度15.72°の入射光に対し1550nmの2種類の波長で、それぞれ反射率99%で検出され、1490nmの反射光のサイドバンド反射率は30%、1550nmの反射光のサイドバンド反射率は45%だった。
【0085】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の波長分波分光素子は、トップ層表面に二種類の凸条パターンが、一定のピッチ
で形成されていることにより、サイドバンドの発生がなく、反射率の高い、非常に高性能の波長分波分光素子である。また、本発明の波長分波分光素子は、たとえば、形成しようとするパターンとは逆のパターンをモールドに形成し、このモールドを用いて、トップ層の表面にパターンを転写することにより製造することができ、その製造が極めて容易である大量生産に適していることから、高性能の波長分波分光素子を安価に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】図1は、本発明の波長分波光学素子の断面の一例を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の波長分波光学素子をトップ層の上方から見た図である。
【図3】図3は、本発明の実施例1で製造した波長分波光学素子における波長1490nm、入射角11.53°の光に対する光学特性を示すグラフである。
【図4】図4は、本発明の実施例1で製造した波長分波光学素子における波長1550nm、入射角15.72°の光に対する光学特性を示すグラフである。
【図5】図5は、本発明の実施例2で製造した波長分波光学素子における波長1490nm、入射角12.78°の光に対する光学特性を示すグラフである。
【図6】図6は、本発明の実施例2で製造した波長分波光学素子における波長1550nm、入射角17.04°の光に対する光学特性を示すグラフである。
【図7】図7は、本発明の比較例1で製造した波長分波光学素子における波長1490nm、入射角11.53°の光に対する光学特性を示すグラフである。
【図8】図8は、本発明の比較例1で製造した波長分波光学素子における波長1550nm、入射角15.72°の光に対する光学特性を示すグラフである。
【図9】図9は、本発明の比較例2で製造した波長分波光学素子における波長1490nm、入射角11.53°の光に対する光学特性を示すグラフである。
【図10】図10は、本発明の比較例2で製造した波長分波光学素子における波長1550nm、入射角15.72°の光に対する光学特性を示すグラフである。
【図11】図11は、本発明の比較例3で製造した波長分波光学素子における波長1490nm、入射角11.53°の光に対する光学特性を示すグラフである。
【図12】図12は、本発明の比較例3で製造した波長分波光学素子における波長1550nm、入射角15.72°の光に対する光学特性を示すグラフである。
【図13】図13は、従来の回折素子の断面を示す断面図である。
【図14】図14は、従来技術で採用されている回折素子の断面図である。
【図15】図15は、カプラーの模式図である。
【図16】図16は、カプラーに用いられる入射光角度変更手段の例である。
【符号の説明】
【0088】
10・・・トップ層
20・・・導波層
30・・・基板
40・・・面矩形角柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、導波層と、該導波層の屈折率よりも0.03以上高い屈折率を有するトップ層とが積層されてなり、該トップ層の表面にその一辺から対辺に至る平行に形成された複数の凸条を備えた波長分波光学素子であって、
上記複数の凸条が、条幅の異なる二種類の凸条パターンAおよび凸条パターンBからなり、上記凸条パターンAと上記凸条パターンBとは、交互に隣接するとともに、それぞれ独立に周期Pをもって繰り返し配置されており、
上記凸条パターンAおよび凸条パターンBが、該凸条パターンAの縦断面の中心を通って凸条上面から導波層に向かって直角に垂下する仮想中心線aと、これに隣接する該凸条
パターンBの縦断面の中心を通って凸条上面から導波層に向かって直角に垂下する仮想中心線bとが、相互に異なる距離PAおよび距離PBの幅で離間して繰り返すように形成されているとともに、該凸条の離間距離である距離PAと距離PBとの和が、上記周期Pを形成しており、
そして、
上記凸状パターンAの条幅A1と上記凸状パターンBの条幅B1が、下記式(I)を満たし、
【数1】

(ただし式(I)において、0.30<K1<0.90である。);
かつ上記距離PAおよび距離PBが、下記式(II)および(III)を満たすことを特徴とする波長分波光学素子;
【数2】

(ただし、式(II)および式(III)において、0.35<K2a<0.65かつ0.35<K2b<0.65であって、K2aとK2bとは同一ではない。)。
【請求項2】
上記トップ層表面からの凸条上面までの高さが、100〜600nmの範囲内にあることを特徴とする請求項第1項に記載の波長分波光学素子。
【請求項3】
上記波長分波光学素子を構成するトップ層の屈折率が、導波層の屈折率よりも0.03〜0.25高いことを特徴とする請求項第1項記載の波長分波光学素子。
【請求項4】
上記凸条パターンAの条幅A1が40nm〜600nmであることを特徴とする請求項第1項記載の波長分波光学素子。
【請求項5】
上記凸条パターンBの条幅B1が20nm〜400nmであることを特徴とする請求項第1項記載の波長分波光学素子。
【請求項6】
上記周期Pが250nm〜1200nmであることを特徴とする請求項第1項記載の波長分波光学素子。
【請求項7】
請求項1に記載の波長分波光学素子と、該波長分波光学素子への入射光の入射角度を変更自在にする入射光角度変更手段とを備えてなることを特徴とするカプラー。
【請求項8】
上記入射光角度変更手段が、光の入射角を変更する可動性鏡体、波長分波光学素子の入射光に対する角度を変更する可動性ステージよりなる群から選ばれる少なくとも一種類の
入射光角度変更手段であることを特徴とする請求項7に記載のカプラー。
【請求項9】
出力される反射光の波長が400〜1700nmの範囲内にあることを特徴とする請求項7に記載のカプラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−139621(P2010−139621A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314278(P2008−314278)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(000202350)綜研化学株式会社 (135)
【Fターム(参考)】