説明

泥土の固化処理方法

【課題】 河川や湖沼等の浚渫工事で発生する土質性泥土や建設汚泥等の流動性泥土に少量添加するだけで急速に安定化処理でき、団粒状または細粒状の形態に効率よく変換できる泥土の固化方法および、泥土の固化処理材とその方法を提供する。
【解決手段】 泥土100重量%に対し、粒径10μm〜0.5mmのシラスとペーパースラッジ灰とを600〜900℃で1〜5回焼結して得られる無機焼結粉体固化材0.1〜0.5重量%を添加し撹拌する工程を有することを特徴とする泥土の固化処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機材を用いた固化処理材の改良と、これを用いた泥土の固化処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場における排出土のうち、コーン指数200kN/m以下のものは「泥土(建設汚泥)」と呼ばれ、廃棄物処理法に規定する産業廃棄物の中の汚泥として取り扱われ、その大部分は、回収、運搬等に要する割高なコストをかけて産業廃棄物として処理されているのが現状である。
【0003】
一方、産業廃棄物としての処理コスト低減等を目的とする泥土のリサイクル技術が確立しつつある。現在主流となっている泥土のリサイクル法は、フィルタープレス等を用いる物理的脱水法や、高分子、マンナン、古紙等の有機系処理材を用いた吸水・脱水固化処理法である。しかし、これらの固化処理技術は、含水量の極めて高い泥土、湖沼の底土、ヘドロ等には適用困難である。
【0004】
また、セメント、石灰等の固化材を添加することによる安定化処理技術が指示又は指導されている。これらの固化剤は、水中で、水和反応、ポゾラン反応、エトリンガイト反応等の複雑な化学反応を同時に起こし、強固な自硬性を発現することがよく知られている。その時に必要な水分は、最大値で約65%とされている。この内結晶水の取りこみ量は普通ポルトランドセメントの場合で、水和水の量は25%程度また土壌固化用セメント系で35%程度とされている。この事は土壌含水比35%迄はフロー値110mm以下をたもつことはできるが以上は、スラリー状になる事を示している。フロー値110mm以下とは、ダンプトラックで運搬可能値の目安である。
また強度においても35%以上になると強度も低下するので、補正をするために水分調整および添加量の増大を行う必要がある。
【0005】
泥土の水分調整には安価で入手が容易な生石灰が広く用いられている。生石灰を用いる水分調整法では、泥土に含まれる水分と生石灰との反応熱を利用して過剰な水分を急激に蒸発させるため、短時間で処理が完了する利点を有している。その反面、激しい発熱に伴い泥土の核がしばしば200〜300℃の高温に達することが、温度の上昇と供に作業環境の悪化を招く一因となっている。しかし、現場レベルで施工可能な他の固化方法には、数時間の撹拌処理を要するため、作業性に問題がある。以上述べたように、セメント系および石灰系の安定化処理材を用いる従来の高含水泥土の処理には、作業性に大きな問題がある。
【0006】
また、フミン酸やフルボ酸等の有機質を多く含む湖沼底土や含油泥土については、セメントの表面にこれからの有機質が吸着され、セメントの水和反応を阻害するため、セメント系の安定処理材を固化処理に用いるが困難である。そのため、石灰系高炉セメント等との併用や、前処理した泥土と高分子との併用による固化性能の改善が試みられている。しかし、最適な組成比の決定には多くの試行錯誤を必要とすると供に、固化処理に要するコスト上昇を招く要因ともなっている。
【0007】
例えば、特許文献1には、大量に廃棄物として発生するフライアッシュ灰やペーパースラッジ灰などの焼却灰を再利用し、含水量の多い軟弱土やヘドロ状汚泥を植物の植生に好ましい粒状化の土壌に改良するとともに、植物生態系に有害なセメントの使用量を極力抑制して、これまで以上に土壌強度を高めることができる高含水軟弱土壌改良用固化材が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−363560号公報 マッドクリーン工法
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1記載の高含水軟弱土壌改良用団粒状固化剤は、泥土に対して5〜10重量%の割合で添加する必要がある。
【0010】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、河川や湖沼等の浚渫工事で発生する土質性泥土や建設汚泥等の流動性泥土に少量添加するだけで急速に安定化処理でき、団粒状または細粒状の形態に効率よく変換できる、安価で仕事効率のよい、環境にやさしい泥土の無機焼結粉体固化材および、それを用いた固化処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、前記目的に沿う本発明の第1の態様は、下記の(1)〜(6)記載の泥土の固化処理方法を提供することにより上記課題を解決するものである。
(1) 泥土100重量部に対し、粒径10μm〜0.5mmの熱処理されたシラスと ペーパースラッジ灰とを、さらに600〜900℃で1〜5回焼結して得られる 無機焼結粉体固化材0.1〜0.5重量%部を添加し撹拌する工程を有する泥土 の固化処理方法。
(2) 前記無機焼結粉体固化材を、前記泥土に添加し撹拌する工程の前に、セメント および石灰の一方または双方を含む安定処理材を、前記泥土100重量%に対し 1.5〜7.5重量%添加する工程をさらに有する(1)記載の泥土の安定固化 処理方法。
(3) 泥土100重量部に対し、セメントおよび石灰の一方または双方を含む安定処 理材と、粒径10μm以上0.5mm以下のシラスとペーパースラッジ灰とを焼 結して得られる焼結粉体固化材とを重量比15:0.5〜2で配合した安定固化 処理材1.6〜8.0重量%を添加し撹拌する工程を有する泥土の安定固化処理 方法。
(4) 前記無機焼結粉体固化材または、前記安定固化処理材を前記泥土に添加し撹拌 する工程の後に、余剰水を抜き取る工程をさらに有する、(1)から(3)のい ずれか1項記載の泥土の固化処理方法。
(5) 前記無機焼結粉体固化材または、前記安定固化処理材を前記泥土に添加し撹拌 する工の後に、固化した前記泥土の団粒化処理または、連続式造粒機による造粒 処理を行う工程をさらに含む、(1)から(4)のいずれか1項記載の泥土の固 化処理方法。
(6) 前記無機焼結粉体固化材または、前記安定固化処理材を河川や湖沼等の浚渫工 事で発生する土質性泥土や建設汚泥等の流動性泥土、表層地盤改良工事現場の泥 土に直接添加する(1)から(4)のいずれか1項記載の泥土の固化方法。
【0012】
また、本発明の第2の態様は、下記の(7)、(8)記載の泥土の固化処理材を提供することにより上記課題を解決するものである。
(7) 粒径10μm以上、0.5mm以下のシラスとペーパースラッジ灰とを600 〜900℃で1〜5回焼結して得られる無機焼結粉体固化材を使用する請求項1 記載の泥土の安定固化処理方法。
(8) 平均粒径10μm以〜0.5mmの鉱石微粉ベントナイト60〜90重量%と 、前記無機焼結粉体固化材10〜40重量%とを配合したことで凝集機能を持つ ことを特徴とする、無機焼結粉体固化材を使用した凝集材にて泥土の前処理をす る安定固化処理方法。
(9) 前記無機焼結粉体固化材単体、または前記安定固化処理材を前記泥土に添加し 撹拌する工程の後に、余剰水を抜き取る工程をさらに有することを特徴とする請 求項1から6のいずれか1項記載の泥土の固化処理方法。
前記無機焼結粉体固化材単体、または前記安定固化処理材を前記泥土に添加し 撹拌する工程の後に、固化した前記泥土の団粒化処理または連続式造粒機による 造粒処理を行う工程をさらに含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか1 項記載の泥土の固化処理方法。
前記無機焼結粉体固化材単体、または前記安定固化処理材を、河川や湖沼等の 浚渫工事で発生する土質性泥土や建設汚泥等の流動性泥土、表層地盤改良工事現 場の泥土に直接添加することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の 泥土の固化処理方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の流動性泥土の固化方法および固化処理材では、粒径10μm以上0.5mm以下のシラスとペーパースラッジ灰とを600〜900℃で1〜5回焼結して得られる無機焼結粉体固化材を用いている。
この無機焼結粉体固化材は、泥土100重量部に対し、わずか0.1〜0.5重量%を添加し撹拌するだけで、泥土に含まれる水分、シリカ、アルミニウム、カルシウム、等と激しい発熱等を伴うことなく速やかに反応して、ほぼ瞬時に流動性のない土砂状に泥土を固化および改質できる。固化および改質後の土砂は、そのまま改良土として盛り土等に使用できると共に、輸送時の振動等により流動性を回復することもない。
また、固形分をほぼ完全に固化できるため、余剰な水が分離した場合にも泥水の浮遊物質が少なく清澄度が高いため、環境を汚染するおそれも低い。さらに、無機焼結粉体固化材は有機質を含まない無機質ため、土中バクテリアによる分解等を受けることなく、長期間にわたって固化処理後の土砂の強度を増強させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明における泥土処理方法の工程図
【図2】本発明の泥土処理工程の装置図
【発明を実施するための形態】
【0015】
続いて、本発明を具体化した実施の形態につき説明する。
本発明の第1の実施の形態に係る泥土の固化方法(以下、「泥土の固化方法」または「固化方法」と略称する。)は、泥土100重量%に対し、粒径10μm〜0.5mmのシラスとペーパースラッジ灰とを600〜900℃で1〜5回焼結して得られる、本発明の第2の実施の形態に係る泥土の固化処理材(以下、「固化処理材」と略称する。)の一例である燃焼粉体固化材0.1〜0.5重量%を添加し撹拌する工程を有する。
【0016】
無機焼結粉体固化材は、粒径10μm〜0.5mmのシラスとペーパースラッジ(PS)灰とを600〜900℃で1〜5回焼結して得られる。無機焼結粉体固化材は、所定の重量比のシラスとペーパースラッジ灰を混合したものを常圧焼結法、あるいは放電プラズマ焼結法等の任意の焼結法により焼結しても得られるが、より好ましくは、シラスを予め200〜850℃で焼結後、得られる焼結体をペーパースラッジ灰およびシラスバルーンと撹拌混合後、600〜900℃で1〜5回焼結することにより製造される。
【0017】
原料となるシラスは、シリカ含量が40%以上のものが好ましく用いられる。シラスとしては、粒径が0.5mm以下のものが用いられる。
各原料の重量比は、無機焼結粉体固化材全体に対し、シラスが40〜60重量%、ペーパースラッジ灰が30〜50重量%、シラスバルーンが5〜10重量%である。
【0018】
製品の特徴に関わる脱水効果について各原料のリキッドリミットを調べた。
リキッドリミットとは、原料が水を含んで柔らかくなり自身の重量で流動しはじめるときのことである。
【表1】

【表2】

上記の表1をもとに、エトリンガイド生成にともなう化合水の脱水効果を実験した。
砂質土200gに対し、水200g、含水比100%の泥土試料を2体作成し比較した。
上記の表2でわかるように、B−2については11倍近い脱水をすることが分かった。
【0019】
その他、活性度を向上させるための添加剤として、硫酸または塩酸等の無機酸類、あるいは水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等の塩基を適量添加して焼結を行ってもよい。
【0020】
焼結粉体固化材を泥土中に投入すると、多孔質構造を有するため速やかに汲水し、加水分解によりオルトケイ酸イオンを生成すると共に、カルシウムイオンやアルミニウムイオン等のカチオンを放出する。これらのカチオンは、泥土粒子表面の負電荷を中和し、泥土粒子間の静電反発を低減させることにより泥土の流動性の低下に寄与する。また、これらのカチオンは、オルトケイ酸イオンと共に、水和反応、ポゾラン反応、エトリンガイト反応等の複雑な反応を経て、泥土を取り囲むように針状のエトリンガイトの結晶を生成する。
【0021】
エトリンガイトは多量の化合水を必要とするため、エトリンガイトの生成により多くの水分が消費される結果、泥土の水分量を効率的に低下させることができると共に、泥土やそれに含まれる重金属等の再溶出も併せて抑制される。さらに、水和反応生成物と泥土に含まれる鉱物の粒子がポゾラン反応を起こし、土の団粒化や細粒化を促進すると共に、泥土を透湿性や保水性に優れた安全な土壌に改良する作用をも併せ持つ。
【0022】
さらに、エトリンガイドの生成により固化した泥土は膨張性を示すため、軟弱地盤等の地盤沈下の防止や固化圧密性の向上に友好的であると共に、改良土壌に求められる耐久性、遮水性及び耐凍害性の向上にも有効に作用する。
【0023】
エトリンガイドやポゾランの生成反応はきわめて迅速に進行するため、泥土に焼結粉体固化材を投入し、短時間撹拌を行うだけで固化処理が完了する。さらに、ペーパースラッジ灰にシラスを組み合わせて用いることにより、ペーパースラッジ灰を単独で用いる場合よりも焼結粉体固化材の添加量を1/10以下に低減できる。
【0024】
固化処理の対象となる泥土は、改良水槽やコンテナ等の容器に採取したものであってもよく、あるいは表層地盤改良工事現場等の現場に存在するものであってもよい。無機焼結粉体固化材の投入および撹拌は、泥土の量等に応じて任意の公知の方法を適宜用いることができ、例えば、バックホーやスタビライザー等の建設機械を用いてもよい。
【0025】
無機焼結粉体固化材と同時に、あるいは無機焼結粉体固化材の投入の前に、セメントおよび石灰の一方または双方を含む安定処理材を、泥土100重量部に対し1.5〜7.5重量%の割合で添加してもよい。このように安定処理材を焼結粉体固化材と組み合わせて用いることにより、両者のうち一方を単独で用いた場合に比べ固化処理の速度を大幅に向上させることができる。
【0026】
また高含水泥土の場合は、先に前記無機焼結粉体固化材10〜40重量%に対し、平均粒径10μm以上0.5mm以下の鉱石微粉ベントナイト60〜90重量%と、石膏微粉体10〜30重量%とを配合することで凝集機能を持つ請求項2に記載する無機焼結粉体固化材を使用した凝集材で凝集したのち、ポンプ等を用いて除去してもよい。この場合において、泥土の粒子は微細なものも含め大部分が、凝集固化されているため、清澄度の高い水が排出される。したがって、河川等を汚濁させることなく排水することができる。
【0027】
固化した泥土について、団粒化処理または連続式造粒機による細粒(粒状化)処理を行ってもよい。また、処理後の土砂をそのまま改良地盤として用いる場合には、十分な強度を発現させるため、必要に応じて乾燥転圧等の処理を行ってもよい。
【0028】
上記の実施の形態では、シラス、ペーパースラッジ灰およびシラスバルーンからなる混合物を焼結した無機焼結粉体固化材を単独で固化処理材として用いたが、ベントナイト平均粒径10μm以上0.5mmの鉱石微粉60〜90重量%と、無機焼結粉体固化材10〜40重量%とを混合したものを無機焼結粉体凝集材として脱水加工処理に用いてもよい。
【実施例】
【0029】
本発明の作用効果を確認するたに行った実施例について、以下に説明する。
【0030】
焼結粉体固化材の製造
シラス(粒径0.5mm以下、シリカ含量40%以上)を200〜850℃で常圧焼結法により焼結した。このようにして得られたシラス焼結体を、微粉末状のペーパースラッジ灰およびシラスバルーンと撹拌混合後、200〜650℃で焼結した。各原料の混合比は、焼結粉体固化材全体に対し、シラスが40〜60重量%、ペーパースラッジ灰が30〜50重重量%、シラスバルーンが5〜10重量%であった。
【0031】
モデル泥土(砂質原土使用)の固化処理(1)
砂質原土100重量%に水100重量%を混合し作製した含水比(土砂の乾燥重量に対する水の含水量の割合をいう。)100%のモデル泥土200重量%に、上記(1)で製造した無機焼結粉体固化材0.3重量%を添加し、撹拌後、泥土の性状、pHについて検討を行った。比較のため市販のセメント系固化処理材10重量%を添加したものと、市販のPS灰入セメント固化材も同様の検討を行った。結果は下記の表1に示すとおりであった。
【表3】

【0032】
無機焼結粉体固化材を単独で、あるいはセメント系固化処理材と共に添加した場合、1分以下の撹拌後に泥土は流動性を失い、フロー値0の団粒状を呈した。また、含有されていた水はエトリンガイドの生成時に化合水として取りこまれ、水が分離してくることはなかった。なお、添加量0.3%の含水率を変化させて同様の検討を行った結果、含水率115%以下では水の分離はみられなかった。含水率115%を超えた場合、分離してくる水は清澄度が高かった。このことから、泥土の処理現場での固化方法の実施時において、泥水処理の問題が生じにくいことが期待される。また、無機焼結粉体固化材を用いた固化泥土は、数日をもってpHが中性付近に保たれていることがわかった。
【0033】
モデル泥土(山マサ土使用)の固化処理(2)
山マサ土に含水率10〜200%となるよう水を混合したモデル泥土を作製し、無機焼結粉体固化材を添加後撹拌し、団粒魂の性状および10時間経過後の処理土上の歩行可能について検討を行った。モデル泥土100重量%に対する無機焼結粉体固化材の添加量は、含水比10〜70%の場合0.2重量%、含水比80〜200%の場合0.5重量%とした。含水比が70%を超えた場合、団粒化した処理土から透明な水が出るようになるが、含水率150%程度までは良好な団粒の形成が認められ、ダンプカーによる運搬を行っても、流動性を回復することはなかった。また、含水率が60%を超えると乾燥に要する時間が長くなり、10時間経過後も処理土の上を歩行することは困難であったが、完全に乾燥させると団粒状に改善されていろことがわかった。
【0034】
比較のため、ポルトランドセメント系固化処理材にペーパースラッジ灰を混合した固化処理材を調製し、上記と同様の検討を行ったところ、含水率が30%を超えると団粒化がみられず、流動性が高すぎるためダンプカーによる運搬は不可能であった。含水率100%の泥土100重量%に対して30重量%以上の固化処理材を添加したが、団粒化は全くみられなかった。この結果から、ペーパースラッジ灰をシラス等と共に無機焼結粉体固化材とすることにより、ペーパースラッジ灰よりも泥土の固化性能が大幅に向上していることが確認された。
【0035】
種々の泥土の固化処理
湖底浚渫土(粘性土、含水率50%)、河口底浚渫土(微粉粘性土、含水率80%)について、ポルトランドセメント系固化処理材と無機焼結粉体固化材とを種々の割合で混合した固化処理材を用いて、固化処理材性能の検討を行った。これらの泥土はいずれもポルトランドセメント系固化処理材単独では団粒化させることはできなかったが、焼結粉体固化材と組み合わせることにより団粒化させることができることが確認された。乾燥に要する時間については、セメント系固化材の配合量を増大させることにより短縮できた。
【0036】
高含水泥土の処理
含水率200%の泥土(砂質土)を水槽に貯留し、ベントナイト(平均粒径0.5mm以下)と無機焼結粉体固化材とを重量比6:1で混合した無機焼結粉体凝集固化材を、m3当たり1kg〜3kgを添加後ヘラで撹拌した。砂質土が沈降し清澄な水が分離してくるので、余剰水をポンプで排水し、ポルトランドセメント系固化処理材と無機焼結粉体固化材とを重量比33:1で混合した固化処理材を添加して撹拌したのち、団粒化した泥土を連続造粒機で処理し、細粒状の改良土を得た。また、脱水工程を入れることで、含水率900%の泥土でも再利用できる。
【符号の説明】
1. 建設泥土・浚渫土など
2. 貯泥(固液分離・含水比低減)
3. バックホウにて投入
4. 振動ふるい機(粘度を決定)
5. 投入用バックホウ
6. 泥土供給機
7. 特殊連続ミキサー
8. 排出コンベアー・排出バックホウ
9. 処理土集積
10. 泥土圧送ポンプ
11. 改良材供給機
12. 固化材供給機
13. トトンバック詰め
14. サイロ
15. タンクローリー車
16. 泥土ピット
17. 石・木片など
18. 分級振動機
19. 泥土投入
20. ベルトコンベアー
21. 連続粒状化ミキサー
22. 改良材
23. 固化材
24. ベルトコンベアー
25. 処理土

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒径10μm〜0.5mmの熱処理されたシラスとシラスバルーンとペーパースラッジ灰とを、シラス40〜60重量%、ペーパースラッジ灰30〜50重量%、シラスバルーン5〜10重量%であって、混合系を600〜900℃で1〜5回焼結して得られた無機焼結粉体固化材を使用することを特徴とする泥土の安定固化処理方法。
【請求項2】
熱処理されたシラスとシラスバルーンとペーパースラッジ灰とを焼結して得られた無機焼結粉体固化材に、セメントおよび石灰のから選ばれた安定処理材を重量比15:0.1〜2で配合したものを使用することを特徴とする請求項1に記載の泥土の安定固化処理方法。
【請求項3】
セメントおよび石灰の一方または双方を含む安定処理材と、粒径10μm〜0.5mmのシラスとペーパースラッジ灰とを600〜900℃で1〜5回焼結して得られる焼結粉体固化材を重量比15:0.5〜2で事前に配合した安定固化処理材1.6〜8.0重量%を、泥土100重量部に添加し撹拌する工程を有することを特徴とする請求項2に記載の泥土の固化処理方法。
【請求項4】
泥土の固化処理において、100重量部の泥土に対し、当該無機焼結粉体固化材単体、またはセメントおよび石灰のから選ばれた安定処理材を添加した無機焼結粉体固化材を、0.1〜0.5重量%部添加して撹拌する工程と、濾過機による余剰水を抜き取る工程と、団粒化処理、または連続式造粒機による造粒処理を行う工程とを有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の泥土の固化処理方法。
【請求項5】
安定固化処理方法として固形物の強度を増大するために、無機焼結粉体固化材で処理する前に、セメントおよび石灰の一方または双方を含む安定処理材を、前記泥土100重量部に対し1.5〜7.5重量%を事前に添加する工程と、前記泥土に無機焼結粉体固化材を0.1〜0.5重量%部を添加し撹拌する工程と、濾過機による余剰水を抜き取る工程と、団粒化処理または連続式造粒機による造粒処理を行う工程とを有することを特徴とする請求項4記載の泥土の固化処理方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−121016(P2012−121016A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288698(P2010−288698)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(309016854)株式会社ワールド・リンク (2)
【出願人】(510339511)
【Fターム(参考)】