説明

注入器具

【課題】ばねの圧縮状態で一旦停止させるための係止片を係止させにくく、係止に失敗したり、係止させる前に誤操作させると、係止片がキャップに激しく衝突して該キャップが破損する点を解消する。
【解決手段】本発明の注入器具1は、キャップ5の挿通孔5aの周縁部に、係止片3aをシリンダ2外内に出入可能とする出入部5bを形成し、該挿通孔5aのシリンダ外側に、係止片3aを係止させるための係止部5cを形成し、さらに、係止部5cと出入部5bとに亘って、ピストンロッド3Aの回動により係止片3aを該出入部5bと該係止部5cに案内する案内部5Aを形成することとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物などの亀裂を埋める補修剤を注入する器具を使いやすくすると共に破損しにくくする構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート構築物などに生じた亀裂(以下、クラックという)を埋める補修には、クラック内にエポキシ樹脂などの補修剤を加圧注入する工法が採用されている。この工法では、通常、構築物の表面上で目視できるクラックに沿って所要の間隔で補修剤を注入する。
【0003】
補修剤の注入器具としては、例えば、加圧注入用の器具を取り付ける方式が広く採用されている。注入器具は、例えば特許文献1,2に示すように、圧縮状態のばねの自然長へ復元する反発力を用いて補修剤を所定時間をかけて押し出す(注出)する構成のものが普及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−212811号公報
【特許文献2】特公平7−13417号公報
【0005】
特許文献1,2に示す注入器具は、図8に示すように、シリンダ50とピストン51及びピストンロッド51Aとを主要構成としている。シリンダ50の軸方向両端には、補修剤Pが注出される側に注出口50aとピストン51を操作する側に操作口50bが各々形成されている。
【0006】
注出口50aの外周縁部にはクラックへ挿入されるノズル50cが設けられたノズルキャップ50Aが螺着される。一方、操作口50bの外周縁部には後述するばね52を封入するキャップ50Bが螺着される。キャップ50Bには、後述するピストンロッド51Aが摺動可能で係止片51bの係止を可能とする孔50dが形成されている。
【0007】
ピストン51の操作口50b側には、ピストンロッド51Aが設けられている。ピストンロッド51Aはキャップ50Bの孔50dに挿通され、一方端が前記ピストン51に接続し、他方端が該キャップ50Bの外側に露出している。ピストンロッド51Aにおける露出した側の端部には操作杆51aが設けられている。
【0008】
また、ピストンロッド51Aは、軸方向における、ピストン51に近い位置と、操作杆51aに近い位置の、2箇所に係止片51bが設けられている。この係止片51b,51bは、ピストンロッド51Aを摺動させた際に当該位置でキャップ50Bの孔50dの周縁部と係合する。
【0009】
ピストンロッド51Aにおける、ピストン51の後面とキャップ50Bの前面との間にはばね52が挿嵌されている。このばね52は、自然長で伸張した状態とされ、圧縮した状態からピストン51を注出口50aへと押し出すように付勢する。
【0010】
上記構成の上記特許文献1,2に示す従来の注入器具は、次のように操作する。操作杆51aを、キャップ50Bから離間するように引くとばね52が圧縮し、同時にピストン51が後退(キャップ50B側へ移動)する。
【0011】
そして、ピストン51側の係止片51bをキャップ50Bの孔50dから引き出した状態まで操作杆51aを引いた後、若干軸回転させると、該係止片51bが孔50dの周縁部と係止状態となる。係止片51bを孔50dの周縁部に係止させることで、ピストンロッド51Aがばね52の復元によりピストン51を押し出さずに停止した状態にすることができる。
【0012】
ピストン51が後退した状態で、ノズルキャップ50Aを外して、ノズル50cと接続した補修剤Pを注出口50aからシリンダ50内に装填し、ノズルキャップ50Aを注出口50aの外周縁部に螺着する。
【0013】
補修剤Pをシリンダ50内に装填した後、ノズル50cをクラックに沿った適所に固定配置する。この後、操作杆51aを上記とは逆に軸回転させて、係止片51bと孔50dの周縁部との係止状態を解除する。
【0014】
これにより、ばね52が復元してピストン51を押し出し、このピストン51の押し出しに伴ってシリンダ50内の補修剤Pの溶剤がノズル50cより注出される。ノズル50cから注出された補修剤Pの溶剤はクラック内に充填される。
【0015】
しかしながら、上記の特許文献1,2に示す従来の注入器具は次の不具合があった。引き続き図8を用いて説明すると、すなわち、注入器具は、補修剤Pをシリンダ50内に装填する際に、ばね52を圧縮した状態で係止片51bが孔50dの周縁部と係止しているが、後の作業において若干でもピストンロッド51Aが軸回転すると、係止状態が解除され、意図せず、ばね52が復元してしまうことがあった。
【0016】
例えば補修剤Pをシリンダ50内に装填する前に、上記のように意図せず係止状態が解除されると、補修剤Pを押し出すための抵抗が無いままでばね52が復元するので、操作杆51a側の係止片51bがキャップ50Bの孔50d周縁部に激しく衝突して該キャップ50Bを破損することがあった。
【0017】
さらに、キャップ50Bが破損する要因としては、係止箇所に該係止片51bを位置させることができず、あるいは孔50dから係止片51bを引き出すことができず、つまり係止片51bと孔50dの周縁部とを確実に係止させることができず、つまり前記のような誤操作により、ばね52を意図せず復元させてしまうことにもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
解決しようとする問題は、従来の特許文献1,2に示す従来の注入器具は、ばねの圧縮状態で一旦停止させるための係止片を係止させにくく、係止に失敗したり、係止させる前に誤操作させると、係止片がキャップに激しく衝突して該キャップが破損するという点である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記問題を解決するために、本発明の注入器具では、キャップの挿通孔の周縁部に、係止片をシリンダ外内に出入可能とする出入部を形成し、この挿通孔のシリンダ外側に、係止片を係止させるための係止部を形成し、さらに、この係止部と出入部とに亘って、ピストンロッドの回動により係止片を該出入部と該係止部とに案内する案内部を形成することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
従来の課題である、ばねの圧縮状態で一旦停止させるために係止片を係止させにくい点と、操作杆側の係止片とキャップとが激しく衝突して該キャップが破損する点は、いずれも、係止片をキャップの係止部に位置させる操作を簡便かつ確実にすることで、キャップの破損を抑制できると共に、操作全体を容易にできることを知見した。
【0021】
すなわち本発明は、上記構成とすることで、ピストンロッドをシリンダ内から引き出し、係止片がキャップの外側まで引き出されれば、案内部により係止部まで案内され、該係止部で確実に係止されるから、操作が簡便かつ確実となると共に、該操作が容易であるために誤操作が抑制され、結果、係止片がキャップに衝突して損傷することも防止できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の注入器具の概略構成を示し、(a)は補修剤を充填前、(b)は補修剤を充填後、の斜視図である。(実施例1)
【図2】図2は、本発明の注入器具の概略構成を示し、(a)は全体の分解斜視、(b)は(a)におけるB部の要部断面、(c)は(a)におけるc部の要部断面、を示す、図である。(実施例1)
【図3】図3は、本発明の注入器具のキャップを示し、(a)は平面方向の斜視図、(b)は平面図、(c)は(b)のD−D線断面図、(d)は(b)のE−E線断面図、(e)は直線展開図、である。(実施例1)
【図4】図4は、本発明の注入器具のキャップを示し、(a)は底面方向の斜視図、(b)は底面図、(c)は(b)のF−F線断面図、(d)は(b)のG−G線断面図、(e)は直線展開図、である。(実施例2)
【図5】図5は、本発明の注入器具のピストンロッドを示す斜視図である。(実施例3)
【図6】図6は、本発明の注入器具のキャップの他の構成を示し、(a)は平面方向の斜視図、(b)は直線展開図である。(実施例4)
【図7】図7は、本発明の注入器具のキャップの他の構成を示し、(a)底面方向の斜視図、(b)は直線展開図である。(実施例5)
【図8】図8は、従来の注入具を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の注入器具は、シリンダ、ピストン、係止片が形成されたピストンロッドと、シリンダのピストンの後進端部に設けられ、ピストンロッドが挿通される挿通孔が形成されたキャップと、このキャップとピストンの後進面との間でピストンロッドが挿通された状態で設けられたばねと、を備えた注入器具において、挿通孔の周縁部に形成され、係止片をシリンダ外内に出入可能とする出入部と、挿通孔の前記シリンダ外側に形成され、係止片を係止させるための係止部と、この係止部と前記出入部とに亘って形成され、ピストンロッドの回動により係止片を該出入部と該係止部とに案内する案内部と、を有することで実現可能である。
【0024】
また、本発明は、上記において、挿通孔のシリンダ内側に形成され、ピストンロッドの後進移動に伴って係止片を出入部に移動させる移動部を有する構成としてもよい。
【0025】
さらに、本発明は、上記のいずれかの構成において、係止片、キャップの挿通孔の周縁部、のいずれか一方又は両方に、緩衝体を設けた構成としてもよい。
【0026】
また、本発明は、上記のいずれかの構成において、キャップのシリンダ外側における係止部近傍から該キャップの外周縁部に亘って、目視により該係止部の位置を表示する目印部を設ける構成としてもよい。
【実施例1】
【0027】
以下、図1〜図7を参照して本発明の注入器具の実施例について説明する。図1〜図7に示す実施例1〜5において、実施例1で基本となる構成について説明し、実施例2〜5においては重複する構成(参照符号も同じ)についての説明を省略し、実施例1と相違する構成について説明する。
【0028】
図1〜図3に示す実施例1における注入器具1は、次の構成とされている。本発明の注入器具1は、シリンダ2と、このシリンダ2内を摺動するピストン3とを備えている。シリンダ2は両端が開口され、一方側に注出口2a、他方側に操作口2bが、各々形成されている。これら注出口2a、操作口2bの外周面には螺合部2cが形成されている。
【0029】
ピストン3の後進面には、ピストンロッド3A(以下ロッド3Aと記す)が設けられている。ロッド3Aは、断面略十字状とされ、軸方向のピストン3に近い部位と遠い部位の2箇所に、(該十字状からさらに)径方向に突出した係止片3a,3bが形成されている。さらにロッド3Aは、ピストン3の反対端部に該ロッド3Aをシリンダ2から引き出すための操作杆3Bが設けられている。
【0030】
前記シリンダ2の注出口2aには、ノズルキャップ4が螺着される。このノズルキャップ4は、注入口2aとの螺着側には蛇腹容器とされた補修剤Pの注出口Paと螺着接続する接続部4aが形成されている。ノズルキャップ4の接続部4aが形成された側と反対側には、該接続部4aと連通したノズル4bが形成されている。
【0031】
一方、シリンダ2の操作口2bには、キャップ5が螺着される。このキャップ5は、図3に示すように、ロッド3Aが挿通される挿通孔5aが形成されている。挿通孔5aの周縁部には、係止片3a,3bをシリンダ2外内に出入可能とする出入部5bが該挿通孔5aと連続して形成されている。また、挿通孔5aの周縁部におけるシリンダ2外側には、係止片3a,3bを係止させるための係止部5cが形成されている。
【0032】
そして、出入部5bと係止部5cとに亘る挿通孔5aの周囲には、ロッド3Aの回動により係止片3a,3bを該出入部5bと該係止部5cとに案内する案内部5Aが形成されている。さらに、実施例1では、キャップ5の係止部5cが形成された面の外周部から該係止部5cを形成した部位に向けて、目視しやすくするための表示部5dが形成されている。
【0033】
案内部5Aは、実施例1では、例えば図3(a)においてロッド3Aを反時計回りに軸回転させると、周方向に隣接する出入部5b又は係止部5cの部位に向かって係止片3a,3bが案内される上り勾配とされた斜面で構成されている。なお、案内部5Aは、図3(a)においてロッド3Aを時計回りに軸回転させると、周方向に隣接する出入部5b又は係止部5cの部位に向かって係止片3a,3bが案内される下り勾配の斜面で構成されているとも言える。
【0034】
また、キャップ5のシリンダ2内に臨む面と、ピストン3の操作口2bに臨む面(以下、後進面という)との間、つまりキャップ5とピストン3との互いの対向する面間には、ロッド3Aが挿通されたばね6が設けられている。ばね6は自然長で伸張した状態とされ、ロッド3Aをシリンダ2から引いてピストン3を後進させるとキャップ5との間の距離が小さくなり圧縮される。
【0035】
上記構成の実施例1における注入器具1は、次のように操作する。操作杆3B側の係止片3bと係止部5cとが係止した状態、つまりピストン3が前進した状態から、操作杆3Bをキャップ5から離間するように引くと、ピストン3が後進し、これによりピストン3の後進面とキャップ5との距離が小さくなり、ばね6が圧縮する。
【0036】
このとき、操作杆3Bを離したり、係止片3aが出入部5bから出なかったり、係止部5cに係止できないといった誤動作で、圧縮状態のばね6が復元して係止片3bがキャップ5の挿通孔5a周辺に衝突する。この衝突によりキャップ5が破損することがある。
【0037】
実施例1における注入器具1では、上記の不具合が生じないように、係止片3aが確実に係止部5cに位置するように案内部5Aを設けている。すなわち係止片3aの下端(ピストン3の前進方向の端部)が出入部5bから完全に突出した状態で、例えば反時計回りにロッド3Aを回転させる。
【0038】
ロッド3Aを反時計回りに回転させると、操作杆3Bを引かなくてもロッド3Aを回転させる力だけで、係止片3aが案内部5Aの最低点Lから最高点Hへ斜面に沿って案内される。このロッド3Aの回転に際しては、キャップ5に表示部5dが設けてあるから、操作杆3Bを把持する自分の手で係止部5cの位置が隠れてしまっても、案内部5Aによる案内と該表示部5dの目視により確実に操作することができる。
【0039】
係止片3aが最高点Hを越えるまでロッド3Aを回転させるとと、ばね6の復元力により係止片3aは係止部5cに速やかに位置し、該係止片3aは係止部5cで安定的に停止する。一旦、係止部5cに係止片3aが位置すると、意図せずロッド3Aが回転したとしても、係止片3aは案内部5Aの斜面の途中部位までは移動するかもしれないが、最高点Hを越えて出入部5bにまで移動せず、係止部5cに戻ることとなる。
【0040】
また、案内部5Aは、ロッド3Aを過剰に引いて、つまり係止片3aが出入部5bからかなり突出するまで引いて、操作ミスでばね6の復元により係止片3aがキャップ5に衝突しても、該案内部5Aが連通孔5a周辺の補強リブとして機能するので破損を抑制することができる。
【0041】
係止片3aを係止部5cに位置させておくことで、ピストン3が後退し、シリンダ2内には補修剤Pを装填する空間が現れる。この状態で、シリンダ2の注出口2aからノズルキャップ4を外し、該ノズルキャップ4の接続部4aに補修剤Pの注出口Paを螺着する。そして、補修剤Pをシリンダ2へ挿入して、ノズルキャップ4をシリンダ2の注出口2aに螺着することで、補修剤Pの装填が完了する。
【0042】
続いて、ノズル4bをクラックに沿った適所に固定配置し、係止片3aの下端が案内部5Aの最高点Hを越えるまでロッド3Aを再度反時計回りに回転させると、ばね6の復元により該係止片3aは出入部5bからシリンダ2内へと移動する。この後、ピストン3はばね6の付勢力で前進方向に移動して、この押圧により補修剤Pの溶剤がノズル4b(を介したクラック内へ)注出される。
【実施例2】
【0043】
図4に示す実施例2は、キャップ5における挿通孔5aのシリンダ2が前進する方向の面に、ロッド3Aの後進移動に伴って係止片3aを出入部5bに移動させる移動部5Bを形成している。
【0044】
移動部5Bは、実施例2では、例えばロッド3Aを真っ直ぐ引いて後進移動させ、係止片3aが斜面に接触したときに、該斜面に案内されて該ロッド3Aを反時計回りに回転させつつ該係止片3aを出入部5bまで移動させる。
【0045】
このようにすることで、係止片3aを出入部5bまで移動させることも容易かつ確実に行え、該出入部5bから係止片3aが突出した後には、案内部5Aにより係止部5cに該係止片3aを安定的に位置させるから、操作が実施例1よりもさらに簡便となる。
【実施例3】
【0046】
図5に示す実施例3は、例えばピストン3から見て係止片3aよりも遠い位置に設けた係止片3bの該ピストン3に面した端部に緩衝体7を設けている。この緩衝体7は、未だ係止片3aがシリンダ2内にあって、ばね6がある程度圧縮した状態で意図せず操作杆3Bを離したしまった場合に、ばね6の復元で係止片3aとキャップ5(の挿通孔5a周辺)の衝突により該キャップ5が破損することを防止するためのものである。
【0047】
上記観点から、緩衝体7は、挿通孔5aの周辺、すなわち、係止部5cを含めた案内部5Aの斜面に設けてもよいし、係止片3bとの両者に設けてもよい。
【0048】
こうすることで、操作途中で誤って操作杆3Bを離したとしてもキャップ5が破損するといったことが防止され、注入器具1の誤操作による破損が包括的に抑制できる。
【実施例4】
【0049】
図6に示す実施例4は、実施例1の構成の変形例を示す。実施例1では、案内部5Aの斜面が、周方向に隣接する出入部5bと係止部5cとで一方回転方向に最高点Hと最低点Lとが順番に現れるように形成されていた。実施例4では、係止部5cに最低点Lが、出入部5bに最高点Hが、それぞれ現れるように斜面を形成している。
【0050】
こうすることで、出入部5bから突出して最高点Hを越えた係止片3aは、ロッド3Aの回転方向に拘わらず若干だけ引き戻して回転させれば確実に係止部5cに案内させることが可能となる。
【実施例5】
【0051】
図7に示す実施例5は、実施例1及び実施例2の変形例を示す。実施例2では、移動部5Bは案内部5Aのロッド3Aの回転方向に合わせて斜面を形成していたが、実施例4のように係止片3aのより確実な案内・移動を重視した場合は、図7のように構成すればよい。
【0052】
すなわち、実施例5の移動部5Bは、例えば出入部5b間の円弧中心に1つの最高点Hを、出入部5b近傍に2つの最低点L,Lを、設ける構成とする。こうすることで、係止片3aは高い確率で最高点Hから最低点L,Lに至る斜面に接触する(つまり最高点Hで停止しない)から、出入部5bに確実に係止片3aを移動させることが可能となる。
【符号の説明】
【0053】
1 注入器具
2 シリンダ
3 ピストン
3A (ピストン)ロッド
3a 係止片
3b 係止片
4 ノズルキャップ
5 キャップ
5A 案内部
5B 移動部
5a 挿通孔
5b 出入部
5c 係止部
5d 表示部
6 ばね
7 緩衝体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダと、このシリンダ内を摺動するピストンと、ピストンの後進面に設けられ、軸方向所定部位に径方向に突出した係止片が形成されたピストンロッドと、前記シリンダの前記ピストンの後進端部に設けられ、前記ピストンロッドが挿通される挿通孔が形成されたキャップと、このキャップと前記ピストンの後進面との間で前記ピストンロッドが挿通された状態で設けられたばねと、を備えた注入器具において、前記挿通孔の周縁部に形成され、前記係止片を前記シリンダ外内に出入可能とする出入部と、前記挿通孔の前記シリンダ外側に形成され、前記係止片を係止させるための係止部と、この係止部と前記出入部とに亘って形成され、前記ピストンロッドの回動により前記係止片を該出入部と該係止部とに案内する案内部と、を有することを特徴とする注入器具。
【請求項2】
挿通孔のシリンダ内側に形成され、ピストンロッドの後進移動に伴って係止片を出入部に移動させる移動部を有することを特徴とする請求項1記載の注入器具。
【請求項3】
係止片、キャップの挿通孔の周縁部、のいずれか一方又は両方に、緩衝体を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の注入器具。
【請求項4】
キャップのシリンダ外側における係止部近傍から該キャップの外周縁部に亘って、目視により該係止部の位置を表示する目印部を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の注入器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−132739(P2011−132739A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292976(P2009−292976)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(397079856)株式会社ミクロカプセル (1)
【Fターム(参考)】