説明

注出キャップ

【課題】キャップ本体に対する蓋体の着脱操作性を維持しながら、開封に先立って注出口が解放されたことがあるか否かを容易に判別することができる注出キャップを提供すること。
【解決手段】容器の口部に装着されるキャップ本体2と、キャップ本体2に着脱可能に装着される蓋体3と、キャップ本体2と蓋体3とを連結するヒンジ体4と、蓋体3に装着されると共に、キャップ本体2に設けられた第1係合部と係合する第2係合部を有するロックリング体5と、ロックリング体5に破断部51を介して接続された規制体6と、を備え、ロックリング体5は、第1係合部に第2係合部をキャップ軸O方向に係合させる係合位置と、この係合が解除される解除位置と、の間でキャップ軸O回りに回転可能であり、ヒンジ体4は、係合位置に位置するロックリング体5の時計回り方向の移動を規制し、規制体6は、係合位置にあるロックリング体5の反時計回り方向の移動を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の注出キャップとして、容器の口部に装着されると共に内容物を注出する注出口が形成されたキャップ本体と、ヒンジを介してキャップ本体に連結された蓋体と、蓋体の外周面に沿ってスライドするノブと、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この注出キャップでは、ノブが、ノブに形成された第1係合部を蓋体に形成された第2係合部と上下方向で係合させる係合位置と第2係合部との係合を解除する解除位置との間でスライド可能となっており、ノブを係合位置とすることによりキャップ本体に対する蓋体の開動作が規制され、ノブを解除位置とすることによりこの規制が解除される。このように、キャップ本体に対して蓋体を離脱させるためにノブを操作する必要があるため、注出キャップには、幼児などが蓋体を容易に離脱させないようにするチャイルドプルーフ機能が付与される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−063553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような注出キャップでは、開封に先立って注出口が解放されたことがあるか否かを判別することができなかった。
【0005】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、キャップ本体に対する蓋体の着脱操作性を維持しながら、開封に先立って注出口が解放されたことがあるか否かを容易に判別することができる注出キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明の注出キャップは、内容物が収容される容器の口部に装着され、前記内容物が注出される注出口が形成されたキャップ本体と、前記キャップ本体に着脱可能に装着され、前記注出口を開閉する蓋体と、前記キャップ本体と前記蓋体とを連結するヒンジ体と、前記キャップ本体及び前記蓋体のうちのいずれか一方に装着されると共に、他方に設けられた第1係合部と係合する第2係合部を有するロックリング体と、前記キャップ本体、前記蓋体、前記ヒンジ体及び前記ロックリング体の少なくとも1つに破断可能な破断部を介して接続された規制体と、を備え、前記ロックリング体は、前記第1係合部に前記第2係合部をキャップ軸方向に係合させることで前記キャップ本体に対する前記蓋体の開動作を規制する係合位置と、前記第1係合部と前記第2係合部との係合が解除される解除位置と、の間で前記キャップ軸回りに回転可能に配設されており、前記キャップ本体、前記蓋体及び前記ヒンジ体のうちのいずれか1つは、前記係合位置に位置する前記ロックリング体が前記解除位置に向かう方向と反対側に向かう移動を規制する係止部を有し、前記規制体は、前記係合位置にある前記ロックリング体の前記解除位置に向かう移動を規制することを特徴とする。
【0007】
この発明では、規制体の破断部を破断していない状態では、係止部によって係合位置から解除位置とは反対方向への移動が規制され、さらに規制体によって係合位置から解除位置に向かう移動が規制されている。そのため、係合位置にあるロックリング体の回転移動が規制され、キャップ本体に対する蓋体の開動作が規制される。これにより、規制体の破断部が破断されていないことを視認することによって、注出口が解放されたことがあるか否かを判別できる。
また、規制体の破断部を破断して規制体を離脱させた状態では、ロックリング体を係合位置から解除位置までキャップ軸回りに回転移動させると、第1及び第2係合部の係合が解除され、キャップ本体に対する蓋体の開動作が可能となり、蓋体をキャップ本体から着脱して注出口を開閉できるようになる。
したがって、キャップ本体に対する蓋体の着脱操作性を維持しながら、開封に先立って注出口が解放されたことがあるか否かを容易に判別することができる。
【0008】
また、本発明の注出キャップでは、前記ヒンジ体が、前記係止部を有してもよい。
この場合では、ヒンジ体が係合位置にあるロックリング体の解除方向とは反対方向への回転移動を規制する。
【0009】
また、本発明の注出キャップでは、前記蓋体に、径方向外方に向けて操作部が突設されており、前記ロックリング体に、前記解除位置において前記操作部と周方向で位置合わせされる凹部が形成されもよい。
この発明では、ロックリング体を解除位置まで回転させると、凹部と操作部とが周方向で位置合わせされて操作部が摘みやすくなるので、キャップ本体に対する蓋体の着脱操作性が向上する。また、ロックリング体が係合位置にあるときに操作部及び凹部それぞれの周方向の位置がずれており、この状態では操作部が摘みにくいので、チャイルドプルーフ機能を有効に機能させることができる。
【0010】
また、本発明の注出キャップでは、前記第2係合部が、前記ロックリング体の内周面に形成されており、前記ロックリング体において前記第2係合部が位置する部分に、前記キャップ軸に沿って延びる肉抜穴部が形成されてもよい。
この発明では、肉抜穴部によってロックリング体の内周面における可撓性が向上することで、注出キャップの製造が容易になる。すなわち、注出キャップを組み立てる際には、キャップ本体及び蓋体のうちの一方に装着されたロックリング体を係合位置に位置付けた状態で、キャップ本体に蓋体を装着することとなる。そのため、他方に形成された第1係合部とロックリング体に形成された第2係合部とが互いに乗り越える必要がある。そこで、ロックリング体の内周面がこの乗り越え時に弾性変形することで、キャップ本体に蓋体を装着することが容易になる。このとき、肉抜穴部によって内周面の可撓性を向上させつつロックリング体の外径を大きくして外周面の剛性を維持しやすいので、ロックリング体によるロックリング体の操作性を維持できる。
【発明の効果】
【0011】
この発明にかかる注出キャップによれば、規制体の破断部が破断されていないことを視認でき、また、規制体を離脱させるとロックリング体が解除位置まで回転移動可能となり、解除位置において蓋体をキャップ本体から着脱できるようになるので、キャップ本体に対する蓋体の着脱操作性を維持しながら、開封に先立って注出口が解放されたことがあるか否かを容易に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態における注出キャップを示す側面図である。
【図2】図1の注出キャップを示す他の側面図である。
【図3】図1の注出キャップを示す上面図である。
【図4】図1の注出キャップを示す軸方向断面図である。
【図5】図2の注出キャップを示す軸方向断面図である。
【図6】図1の注出キャップの組み立て方法を説明する上面図である。
【図7】図1のロックリング体及び規制体を示す上面図である。
【図8】図1の注出キャップの開封方法を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明における注出キャップの一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0014】
本実施形態における注出キャップ1は、図1から図5に示すように、内容物が収容される容器(図示略)の口部(図示略)に装着され、内容物を注出する注出口2Aが形成された有頂円筒状のキャップ本体2と、キャップ本体2に着脱可能に装着され、注出口2Aを開閉する有頂円筒状の蓋体3と、キャップ本体2と蓋体3とを連結するヒンジ体4と、蓋体3に装着された有頂円筒状のロックリング体5と、ロックリング体5に連結された規制体6と、を備える。
【0015】
これらキャップ本体2、蓋体3及びロックリング体5は、それぞれの中心軸が共通軸上に位置した状態で配設されている。本実施形態では、この共通軸をキャップ軸Oとし、キャップ軸Oに沿って蓋体3側を上方、その反対側を下方とし、キャップ軸Oに直交する方向を径方向、キャップ軸O回りの方向を周方向とする。また、上面視において周方向で時計回りの方向を単に時計回り方向、逆方向を単に反時計回り方向とする。
【0016】
キャップ本体2は、図3から図5に示すように、円板状の天板部11と、天板部11の外縁部から下方に向けて突設された円筒状の内筒部12と、内筒部12の下端部から径方向外方に向けて延設された円環板状のフランジ部13と、フランジ部13の外縁部から下方に向けて突設された円筒状の外筒部14と、を有する。これら天板部11、内筒部12、フランジ部13及び外筒部14は、キャップ軸Oと同軸上に配設されている。
【0017】
天板部11の中央部には、上記注出口2Aが形成されており、天板部11の内縁部には、環状突出部15が上方に向けて突設されている。また、天板部11には、円筒状の装着筒部16と、装着筒部16よりも径方向内方に位置する円筒状の嵌合筒部17と、が下方に向けて突設されている。これら装着筒部16及び嵌合筒部17は、キャップ軸Oと同軸上に配設されており、共に上記容器の口部を径方向で挟み込む。
【0018】
内筒部12の外周面には、図5に示すように、径方向外方に向けて突出する一対の第1係合部18が形成されている。第1係合部18は、ヒンジ体4を介したキャップ本体2と蓋体3との連結部分からキャップ軸Oを中心に90度ずつ両側にずらした各位置において、キャップ軸Oを径方向で挟む両側に形成されている。また、第1係合部18の下面は、例えば図8(C)に示すように、反時計回り方向に向かうにしたがって上方に向かうように傾斜している。
また、内筒部12のうち周方向でヒンジ体4に対応する部分12Aは、図4及び図6に示すように、ロックリング体5が装着された蓋体3をキャップ本体2に対して着脱させるときにロックリング体5が内筒部12に引っ掛かることを防止するために、上方に向かうにしたがって径方向内方に向かうように傾斜している。
【0019】
蓋体3は、図3から図5に示すように、円板状の天壁部21と、天壁部21の外縁部から下方に向けて突設された円筒状の周壁部22と、を有する。これら天壁部21及び周壁部22は、キャップ軸Oと同軸上に配設されている。
天壁部21には、円筒状の取付筒部23と、取付筒部23よりも径方向内方に位置する円筒状の挿入筒部24と、が下方に向けて突設されている。これら取付筒部23及び挿入筒部24は、キャップ軸Oと同軸上に配設されている。取付筒部23は、環状突出部15を径方向外方から全周にわたって囲んでおり、下端部が天板部11に当接または近接している。挿入筒部24は、環状突出部15内に嵌合されている。
また、天壁部21の外周縁部うち周方向で上記連結部分に対応する部分には、図3及び図6に示すように、天壁部21を貫通する第1貫通孔21Aが形成されている。
【0020】
周壁部22の下端部のうちヒンジ体4とはキャップ軸Oを径方向で挟んで反対側にある部分には、図3及び図4に示すように、操作部25が径方向外方に向けて突設されている。また、周壁部22のうち周方向で上記連結部分に対応する部分には、図6に示すように、周壁部22を貫通すると共に第1貫通孔21Aに連なる第2貫通孔22Aが上下方向にわたって形成されている。
【0021】
ヒンジ体4は、図1から図6に示すように、一方の第1係合部18に対して周方向で90度ずらした位置に配設されており、板状の中央連結片31と、中央連結片31を周方向で挟む両側に配設された一対の側方連結片32、33と、を備える。なお、一対の側方連結片32、33のうちロックリング体5を時計回りに回転させた際に当接し、側端縁が反時計回り側を向く側方連結片32は、係止部を構成する。
【0022】
中央連結片31は、図4に示すように、蓋体3の天壁部21及び周壁部22に沿ってキャップ本体2の外筒部14の上端部まで延びるようにL字状に屈曲している。そして、中央連結片31の長手方向の一端部は、第1ヒンジ部34を介して天壁部21に連結されており、中央連結片31の長手方向の他端部は、第2ヒンジ部35を介して外筒部14に連結されている。また、中央連結片31のうち天壁部21及び周壁部22に沿って延びる部分は、蓋体3が注出口2Aを覆う閉状態で、蓋体3に形成された第1及び第2貫通孔21A、22A内に収容されている。
【0023】
側方連結片32、33は、図3から図6に示すように、周壁部22から径方向外方に向けて突設された第1突起部36と、フランジ部13から上方に向けて突設された第2突起部37と、第1及び第2突起部36、37を連結する第3ヒンジ部38と、を有する。
一対の第2突起部37は、フランジ部13から上方に向けて突設されると共に周方向に沿って延びる連結壁部39によって連結されている。そして、一対の第2突起部37と連結壁部39とは、蓋体3の閉状態において中央連結片31のうち周壁部22から外筒部14の上端部まで延びる部分を収容する収容凹部39Aを画成している。なお、側方連結片33の第2突起部37の径方向内周面には、規制体6の後述する周方向突出部53を収納する収納凹部37Aが形成されている。
【0024】
ロックリング体5は、図4から図7に示すように、円環板状の頂壁部41と、頂壁部41の外縁部から下方に向けて突設された円筒状の外壁部42と、を有する。これら頂壁部41及び外壁部42は、キャップ軸Oと同軸上に配設されている。
頂壁部41の中央部には、頂壁部41を取付筒部23に外側から嵌合してロックリング体5を蓋体3に装着するための取付開口部41Aが形成されている。また、頂壁部41の外縁部におけるキャップ軸Oを径方向で挟む両側には、一対の外縁開口部41Bが形成されている。
【0025】
外壁部42は、図4及び図5に示すように、頂壁部41の外縁部から下方に向けて突設された円筒状の小径筒部43と、小径筒部43の下端部から下方に向けて連設された円筒状の大径筒部44と、を有する。
小径筒部43の外径は、キャップ本体2のフランジ部13の外径よりも小径となっている。
大径筒部44は、内径が小径筒部43と同等とされると共に、外径が小径筒部43及び蓋体3の周壁部22よりも大径とされており、小径筒部43よりも厚肉となっている。
【0026】
また、大径筒部44の内周面のうち一対の外縁開口部41Bと周方向で対応する部分には、図5に示すように、径方向内方に向けて突出する一対の第2係合部45が形成されている。第2係合部45の上面は、第1係合部18の下面と同様に、反時計回り方向に向かうにしたがって上方に向かうように傾斜している。
さらに、大径筒部44には、下端側で開口する肉抜穴部44Aが上方に向けて形成されており、図6に示すように、肉抜穴部44Aによって形成された二重壁部分間を連結するブリッジ部46が周方向に間隔をあけて複数形成されている。なお、ブリッジ部46は、周方向において第2係合部45からずらした位置に形成されている。
【0027】
大径筒部44には、図7に示すように、外径が小径筒部43と同等とする案内凹部44Bが周方向で係合位置におけるヒンジ体4に対応する部分から時計回り方向に延在するように形成されている。これにより、大径筒部44のうち小径筒部43よりも厚肉となっている部分は、上面視でC字状をなしている。
案内凹部44Bは、第1及び第2係合部18、45が互いに上下方向で係合する係合位置と、第1及び第2係合部18、45が係合解除される解除位置と、の間でロックリング体5のキャップ軸O回りの回転移動を案内する。
【0028】
また、大径筒部44のうちこの厚肉部分の外周面には、大径筒部44を操作する指などが大径筒部44の外周面を安定して把持して大径筒部44の操作を容易にするための縦溝部が周方向に間隔をあけて複数形成されている。また、この厚肉部分における時計回り方向の周端部は、ヒンジ体4の側方連結片32における反時計回り方向の周端部に当接している。これにより、ヒンジ体4の側方連結片32は、ロックリング体5に対して反時計回り方向で係合し、ロックリング体5が時計回り方向に回転移動することを規制する。
【0029】
さらに、大径筒部44には、径方向内方に向けて陥没する指掛凹部(凹部)44Cが形成されている。指掛凹部44Cは、ロックリング体5が解除位置にあるときに蓋体3の操作部25と周方向で位置合わせされるように形成されている。そのため、指掛凹部44Cは、ロックリング体5が係合位置にあるときに蓋体3の操作部25とは周方向の位置がずらされている。
【0030】
規制体6は、図1、図3、図6及び図7に示すように、大径筒部44の上記厚肉部分における反時計回り方向の周端部とヒンジ体4の側方連結片33における時計回り方向の周端部との間に配設されている。そして、規制体6は、破断可能な破断部51を介して大径筒部44の上記厚肉部分に連結された規制本体部52と、規制本体部52から周方向に突出した周方向突出部53と、を有する。
【0031】
規制本体部52は、蓋体3の周壁部22の外周面形状に沿う板状をなしており、反時計回り方向の周端部は、ヒンジ体4の側方連結片33における時計回り方向の周端部に当接している。また、規制本体部52は、図1に示すように、周壁部22の外周面に沿って周壁部22の上端に向けて延在している。
周方向突出部53は、図3、図6及び図7に示すように、規制本体部52のうち反時計回り方向の周端部から反時計回り方向に突設されており、側方連結片33の第2突起部37に形成された収納凹部37A内に収納されている。
これにより、規制体6は、ロックリング体5の解除位置への回転移動を規制する。
【0032】
次に、以上のような構成の注出キャップ1の組み立て方法について説明する。
まず、図6に示すように、キャップ本体2から蓋体3が離脱している状態で蓋体3にロックリング体5を装着する。具体的には、蓋体3の取付筒部23にロックリング体5の頂壁部41を外嵌する。このとき、ロックリング体5は、蓋体3に対して係合位置に対応する周方向位置に装着される。
【0033】
そして、ロックリング体5が装着された蓋体3をキャップ本体2に装着する。このとき、ロックリング体5が蓋体3に対して係合位置に対応する位置にあるため、装着時にロックリング体5の第2係合部45がキャップ本体2の第1係合部18を乗り越える必要がある。
ここで、ロックリング体5の大径筒部44に肉抜穴部44Aが形成されているので、肉抜穴部44Aを形成しない場合と比較して、大径筒部44のうち第2係合部45が形成されている内周面の可撓性が増大している。そのため、大径筒部44の内周面は、第2係合部45が第1係合部18を上方から乗り越えようとすると、径方向外方に向けて弾性変形し、第2係合部45が第1係合部18を乗り越えると、復元変形する。これにより、第2係合部45は、第1係合部18を上方から乗り越えやすくなる。
そして、第2係合部45が第1係合部18を上方から乗り越えると、第1係合部18及び第2係合部45は、上下方向で互いに係合する。
【0034】
ロックリング体5が装着された蓋体3をキャップ本体2に装着すると、ロックリング体5の上記厚肉部分における時計回り方向の周端部は、ヒンジ体4の側方連結片32における反時計回り方向の周端部に当接する。これにより、係合位置にあるロックリング体5の時計回り方向の回転移動は、ヒンジ体4の側方連結片32によって規制される。
また、規制体6の規制本体部52における反時計回り方向の周端部は、ヒンジ体4の側方連結片33における時計回り方向の周端部に当接する。さらに、規制体6の周方向突出部53は、ヒンジ体4の側方連結片33に形成された収納凹部37A内に収納される。これにより、係合位置にあるロックリング体5の反時計回り方向の回転移動は、規制体6によって規制される。
したがって、ロックリング体5は、係合位置から回転移動不能となっている。
以上のようにして、注出キャップ1を組み立てる。このように組み立てられた注出キャップ1は、上述のように容器の口部に装着される。
【0035】
続いて、以上のような構成の注出キャップ1を用いた内容物の注出方法について説明する。
まず、図8(A)に示すように、規制本体部52を指で摘むなどして破断部51を破断することによって規制体6をロックリング体5から離脱させる。これにより、ロックリング体5は、ヒンジ体4及び規制体6による回転移動の規制から解除される。そして、図8(B)に示すように、ロックリング体5を係合位置から解除位置に向けて反時計回り方向に回転移動させる。
【0036】
なお、ロックリング体5が係合位置にあるときには、蓋体3をキャップ本体2から離脱させようとしても、第2係合部45が第1係合部18に対して下方から係合するため、蓋体3をキャップ本体2から離脱させることができない。また、係合位置においてロックリング体5の指掛凹部44Cが蓋体3の操作部25とは周方向の位置がずらされているので、この状態において操作部25が指などで摘みにくくなっている。
【0037】
このとき、ロックリング体5のうちキャップ本体2及び蓋体3から外部に露出している大径筒部44を指などで把持して操作するが、大径筒部44に肉抜穴部44Aが形成されているので、肉抜穴部44Aを形成しない場合と比較して、大径筒部44の内周面の可撓性を向上させつつ大径筒部44の外径を大きくすることができる。また、大径筒部44が二重筒状となっているため、内周面の可撓性を維持したまま、外周面の剛性を確保することもできる。そのため、大径筒部44によるロックリング体5の操作性が良好に維持される。
【0038】
ロックリング体5を解除位置まで回転移動させ、第1及び第2係合部18、45の上下方向の係合が解除した後、図8(C)に示すように、蓋体3をキャップ本体2から引き上げる。これにより、キャップ本体2の注出口2Aが解放される。このとき、ロックリング体5の指掛凹部44Cが蓋体3の操作部25と周方向で位置合わせされるので、操作部25を指などで摘みやすくなっている。
その後、上記容器を傾けるなどすることで、内容物を注出口2Aから注出する。内容物を注出した後は、蓋体3をキャップ本体2に再度装着し、ロックリング体5を解除位置から係合位置まで回転移動させる。これにより、第1及び第2係合部18、45が再度係合する。
以上のようにして、注出キャップ1を用いて内容物を注出する。
【0039】
以上のような構成の注出キャップ1によれば、規制体6の破断部51が破断されていないことを視認でき、また、規制体6を離脱させることによってロックリング体5が解除位置まで回転移動可能となり、キャップ本体2に対する蓋体3の開閉動作が可能となるので、キャップ本体2に対する蓋体3の着脱操作性を維持しながら、開封に先立って注出口2Aが解放されたことがあるか否かを容易に判別することができる。
また、指掛凹部44Cと操作部25とがロックリング体5の係合位置において周方向で位置がずれると共に解除位置において周方向で位置合わせされるので、チャイルドプルーフ機能を有効に機能させつつキャップ本体2に対する蓋体3の着脱操作性を向上させることができる。
さらに、大径筒部44に肉抜穴部44Aを形成することで、大径筒部44によるロックリング体5の操作性を維持しながら注出キャップ1の組み立てが容易になる。
【0040】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、ロックリング体は、蓋体に装着されているが、キャップ本体に装着されてもよい。このとき、第1係合部は、蓋体に形成されることになる。
第1係合部は、一対形成されているが、少なくとも1つ形成されていれば、一対に限定されない。第2係合部についても同様である。
規制体は、ロックリング体に破断部を介して連結されているが、キャップ本体、蓋体及びヒンジ体のうちのいずれか1つに連結されてもよい。
係止部は、ヒンジ体の一方の側方連結片で構成されているが、他の部分で形成されてもよい。
大径筒部には、肉抜穴部が形成されているが、肉抜穴部を形成しなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
この発明によれば、キャップ本体に対する蓋体の着脱操作性を維持しながら、開封に先立って注出口が解放されたことがあるか否かを容易に判別することができる注出キャップに関して、産業上の利用可能性が認められる。
【符号の説明】
【0042】
1 注出キャップ、2 キャップ本体、2A 注出口、3 蓋体、4 ヒンジ体、5 ロックリング体、6 規制体、18 第1係合部、25 操作部、32 側方連結片(係止部)、44A 肉抜穴部、44C 指掛凹部(凹部)、45 第2係合部、51 破断部、O キャップ軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器の口部に装着され、前記内容物が注出される注出口が形成されたキャップ本体と、
前記キャップ本体に着脱可能に装着され、前記注出口を開閉する蓋体と、
前記キャップ本体と前記蓋体とを連結するヒンジ体と、
前記キャップ本体及び前記蓋体のうちのいずれか一方に装着されると共に、他方に設けられた第1係合部と係合する第2係合部を有するロックリング体と、
前記キャップ本体、前記蓋体、前記ヒンジ体及び前記ロックリング体の少なくとも1つに破断可能な破断部を介して接続された規制体と、を備え、
前記ロックリング体は、前記第1係合部に前記第2係合部をキャップ軸方向に係合させることで前記キャップ本体に対する前記蓋体の開動作を規制する係合位置と、前記第1係合部と前記第2係合部との係合が解除される解除位置と、の間で前記キャップ軸回りに回転可能に配設されており、
前記キャップ本体、前記蓋体及び前記ヒンジ体のうちのいずれか1つは、前記係合位置に位置する前記ロックリング体が前記解除位置に向かう方向と反対側に向かう移動を規制する係止部を有し、
前記規制体は、前記係合位置にある前記ロックリング体の前記解除位置に向かう移動を規制することを特徴とする注出キャップ。
【請求項2】
前記ヒンジ体は、前記係止部を有することを特徴とする請求項1に記載の注出キャップ。
【請求項3】
前記蓋体には、径方向外方に向けて操作部が突設されており、
前記ロックリング体には、前記解除位置において前記操作部と周方向で位置合わせされる凹部が形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の注出キャップ。
【請求項4】
前記第2係合部は、前記ロックリング体の内周面に形成されており、
前記ロックリング体において前記第2係合部が位置する部分には、前記キャップ軸に沿って延びる肉抜穴部が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の注出キャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−158355(P2012−158355A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18767(P2011−18767)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】