説明

注出口付き包装袋

【課題】注出口の両側において易開封部に沿った切り取りが容易な構成の注出口付き包装袋の提供。
【解決手段】流路となる未シール部15を横断するように設けられたハーフカット溝からなる開封案内線18が設けられ、未シール部15の上方のシール部15bには、流路に沿って斜め上方に延設され、さらに方向を変えて開封案内線18の開封開始側の端部18aに向けて延設された平面形状を有する第1の切り抜き線17が設けられ、未シール部15の側方のシール部15aには、流路に沿って斜め下方に延設され、さらに方向を変えて包装袋の側端14aに向けて延設された平面形状を有する第2の切り抜き線19が設けられ、第2の切り抜き線19は、開封案内線18との交差部18bとの上方において、包装袋の上辺14bに近づくにつれて、包装袋の側端14aからの距離が増大するように延長部20が延長された注出口付き包装袋10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出口の流路となる未シール部が包装袋の上側の隅部に設けられた注出口付き包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
注出口が設けられた包装袋は、例えば詰め替え用の内容物を収納する包装袋などの内容物の注出を容易にするため、広く用いられている。この種の包装袋において、注出時に容器などへの挿入を容易に行うため、注出口の幅を狭く突出させることが好ましい。突出した注出口を開封時に容易に形成可能とするため、注出口の両側にミシン目などの易開封部を設けた包装袋が知られている(特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1には、上部の開口部がヒートシールにより密閉される形式のスタンディングパウチにおいて、壁面フィルムの上縁部では該開口部の全幅をヒートシールでき、その下に一部に細く突出した注出口を形成できるように、首・肩状の非シール部を形成できる形状とすると共に、該首・肩状の非シール部の外側を所定幅のヒートシール部を残して切り取るための、該首・肩状の非シール部の線に沿うミシン目線が設けられているスタンディングパウチが記載されている。
特許文献2には、パウチの上部の注出口に易開封部を設け、上記注出口を形成するシール部境界から間隔を置いて、上記易開封部の両端に連結する易開封案内部を設け、上記易開封案内部の外側を摘み部とした易開封性パウチが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−203567号公報
【特許文献2】特開平11−198949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように注出口の両側に易開封部を設けた包装袋を開封する場合、流路を横断するように開封したときに切れ目が包装袋の側端まで到達してしまい、開封終了側の易開封部に沿った切れ目を形成できないことがある。この場合、注出口の片側に幅の広いシール部が残ってしまうため、注出時に容器などへの挿入が難しくなる。また、流路が開口した後で改めて開封終了側の易開封部に沿って余分なシール部を除去しようとすると、流路がすでに開口しているため、内容物が開口部から意図せずに流出するおそれがある。
ユーザーが易開封部に沿うように意識して力を加えれば確実に開封することは可能であるが、注意深く開封作業をする必要があり、使用性が劣るという問題がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、注出口の両側において易開封部に沿った切り取りが容易な構成の注出口付き包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、包装袋の上側の隅部に注出口の流路となる未シール部が設けられた包装袋であって、前記注出口を含む2枚のフィルムには、前記未シール部を横断するように設けられたハーフカット溝からなる開封案内線が設けられ、前記未シール部の上方のシール部には、開封を開始するための前記2枚のフィルムを貫通してなる切り抜き線として、前記包装袋の上辺から流路へ向けて開始され、流路近傍で方向を変えて前記流路に沿って斜め上方に延設され、さらに方向を変えて開封案内線の開封開始側の端部に向けて延設された平面形状を有する第1の切り抜き線が設けられ、前記未シール部の側方のシール部には、前記未シール部との間に所定幅のシール部を残して切り取るための前記2枚のフィルムを貫通してなる切り抜き線として、前記流路に沿って斜め下方に延設され、さらに方向を変えて包装袋の側端に向けて延設された平面形状を有する第2の切り抜き線が設けられ、さらに、第2の切り抜き線は、前記開封案内線との交差部との上方において、前記包装袋の上辺に近づくにつれて前記包装袋の側端からの距離が増大するように延長された延長部を備えることを特徴とする注出口付き包装袋を提供する。
【0008】
前記第2の切り抜き線の延長部は、包装袋の上辺までの最短距離が、包装袋の側端までの最短距離より長いことが好ましい。
前記第2の切り抜き線の延長部は、少なくとも前記包装袋の側端からの距離が最小となる位置から上方にある範囲内で、前記2枚のフィルムを貫通してなる切り抜き線が連続していることが好ましい。
前記開封案内線は、開封開始側の端部から前記第1の切り抜き線の終端部に向かってハの字状に開いた開き部を有して、前記第1の切り抜き線から離間していることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の注出口付き包装袋によれば、開封終了側の第2の切り抜き線から延長した延長部が2枚のフィルムを貫通してなる切り抜き線として形成され、かつ包装袋の側端からの距離が増大する方向に延長されているので、流路を横断する開封案内線を開封して開封の切れ目が第2の切り抜き線と開封案内線との交差部に到達すると、ただちに延長部の両側が分離して、開封案内線の先に包装袋の側端へ向かう切れ目が成長することを抑制することができる。
これにより、開封案内線に引き続いて第2の切り抜き線を開封するときに、ユーザーが意識して力を加える方向を変化させなくても、開封案内線から第2の切り抜き線に沿って切れ目の向きを円滑に変更することが可能であり、第2の切り抜き線と包装袋の側端との間の余分なシール部をより確実に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の注出口付き包装袋の一形態例を示す平面図である。
【図2】図1に示す注出口付近を示す部分拡大平面図である。
【図3】改変例の注出口付き包装袋の注出口付近を示す部分拡大平面図である。
【図4】図1に示す注出口付き包装袋において開封案内線の開封直後の状態の一例を示す説明図である。
【図5】図4に示す状態の後、延長部の両側が分離した状態の一例を示す説明図である。
【図6】図1に示す注出口付き包装袋の開封が完了した状態の一例を示す説明図である。
【図7】比較例の注出口付き包装袋の一形態例を示す平面図である。
【図8】図7に示す注出口付き包装袋を開封して第2の切り抜き線の開封に失敗した状態の一例を示す説明図である。
【図9】第1の切り抜き線と包装袋の上辺との間に形成されるプルタブ(つまみ)を上方に引っ張ったときの引っ張り強度を測定する方法の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1および図2に示すように、本形態例の包装袋10は、互いに平面形状が同一である2枚の胴部フィルム11,11と、折り線12aを中心線にして2つ折りにされた底部フィルム12とから構成されたスタンディングパウチである。図1に示すように、底部フィルム12は、折り線12aが内向きとなるように折り重ねられて一対の胴部フィルム11,11の下部同士の間に介装されている。
包装袋10は、左右両側の側端に沿ってそれぞれ側端シール部11a,11bが形成されているとともに、包装袋10の下部には、各胴部フィルム11,11と底部フィルム12とが互いに対向する対向面の下端縁部同士でヒートシールされることにより底シール部12bが形成されている。
【0012】
胴部フィルム11および底部フィルム12として使用するフィルムとしては、従来より使用されているもの、例えば二軸延伸ポリプロピレン、二軸延伸ポリアミド、二軸延伸ポリエステル等からなるフィルムを基材フィルムとし、これらの基材フィルムに、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をシーラント層として積層した積層体が用いられる。積層フィルムを製造する方法としては、ドライラミネート法、押出ラミネート法、共押出法などが挙げられる。基材フィルム層とシーラント層との間には接着強度の向上のため、接着剤やアンカー剤等を設けることができる。この場合、包装袋の強度を高めるために基材フィルムを複数枚積層してもよい。あるいは気体や紫外線のバリア性を高めるため、アルミニウム箔等の金属箔、金属蒸着層、セラミック等の無機質蒸着層、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムなどを積層してもよい。
【0013】
包装袋10の寸法は特に限定されるものではないが、詰め替え用容器として好適な範囲としては、包装袋10の高さとしては100〜500mm程度、包装袋10の幅(両側端間の最大幅)は70〜300mm程度、内容物の充填量は100〜5000cm程度である。
内容物は、特に限定されるものではないが、粉体や顆粒体等の固体、あるいは粘稠体、液体等、あるいはこれらの混合物などが挙げられる。
【0014】
図1および図2に示すように、包装袋10の上側の隅部すなわち側端14aと上辺14bとの間には、注出口14の流路となる未シール部15が包装袋10の斜め上方を向くように設けられている。
本形態例の場合、注出口14は、開封後(図6参照)の流路15の両側を構成する流路形成シール部15a,15bと、開封前(図2参照)の流路15を封止する流路封止シール部15cと、開封中(図4〜5参照)につまみとなるプルタブ16が、一方の側端シール部11aの上部から連続して胴部フィルム11,11同士をヒートシールすることにより形成されている。
【0015】
流路形成シール部15a,15bは、図6に示すように、注出口14を開封したときに、それぞれ流路15の両側部を区画している。すなわち、一方の流路形成シール部15aと他方の流路形成シール部15bとの間の未シール部が流路15となる。
また、流路15の先端部は、流路封止シール部15cによって閉鎖されている。流路形成シール部15bと側端シール部11bとの間は充填口13として開口されており、この充填口13を通して包装袋10内に内容物を充填することが可能である。なお、内容物の充填後は、充填口13の周縁において胴部フィルム11,11同士をヒートシールすることにより上部シール部13A(図6参照)を形成し、充填口13を閉鎖する。
【0016】
注出口14には、開封を容易にするため、流路となる未シール部15を横断するように例えばレーザーによって形成されたハーフカット溝などからなる開封案内線18や、開封案内線18の一端側に第1の切り抜き線17によって形成されたプルタブ(つまみ)16が設けられている。開封案内線18は、注出口14を含む2枚の胴部フィルム11,11のそれぞれに設けることが好ましい。
【0017】
流路となる未シール部15の上方(上辺14bとの間)のシール部には、開封を開始するための第1の切り抜き線17が設けられている。
この第1の切り抜き線17は、上辺14bから流路へ向けて開始され、上辺14bに対して垂直に延在した後、流路近傍で方向を変えて流路15に沿って斜め上方に延設され、さらに方向を変えて開封案内線18の開封開始側の端部18aに向けて延設された平面形状を有する。
また、前記未シール部15の上方のシール部は、第1の切り抜き線17により、未シール部15との間に所定幅の流路形成シール部15bを残して切り取ることができる。第1の切り抜き線17が流路15に沿って延設された部分は、流路15と第1の切り抜き線17との間に流路形成シール部15bのシール幅を確保しつつ、開封後に突出した注出口(図6参照)が形成されるように、流路15の近傍に設けられる。
【0018】
第1の切り抜き線17には、1箇所または複数個所のジョイント(未切断部)17b,17cを設けることが好ましい。ジョイント17b,17cの幅(隣接する切り抜き線の端部同士の間隙長さ)としては、胴部フィルム11の材質にもよるが、開封時には人手で容易に引き離すことができるよう、例えば0.5〜1.5mm程度が挙げられる。
本形態例の場合、第1の切り抜き線17のうち上辺14bに対して垂直に延在する部分にジョイント17b,17cが設けられ、方向を変えて流路15に沿って斜め上方に延設された部分には、ジョイントがなく、切り抜き線が連続している。
また、第1の切り抜き線17が上辺14bで開始する位置には、例えばV字状の切欠などからなるノッチ17aが設けられている。
【0019】
第1の切り抜き線17は、ジョイント17b,17c以外の部分では、2枚の胴部フィルム11を貫通してなる切り抜き線(貫通傷痕)として形成されている。このため、開封時には、ジョイント17b,17cを引き離すだけでプルタブ16を形成することができる。ジョイント17b,17cを設けることにより、未使用時にプルタブ16の引っ掛かりによって開封案内線18が不用意に引き裂かれることが防止できる。開封時にプルタブ16を引き出してつまむことにより、開封案内線18に沿った注出口14の引き裂きを開始するときに、手の引き裂き力を胴部フィルム11に十分に良く伝えることができる。
【0020】
本形態例の場合、図2に示すように、開封案内線18の開封開始側の端部18aは、第1の切り抜き線17の終端部に向かってハの字状に開いた開き部18aを有する。特に限定されるものではないが、開き部18aの開き角は例えば60〜120°程度、開き幅は3〜7mm程度が好ましい。開封案内線18は、第1の切り抜き線17から離間しており、直接接したり交差したりした箇所はない。第1の切り抜き線17の終端部と開封案内線18の開き部18aとの最短距離は、例えば0.2〜7mm程度とすることができる。
【0021】
また、流路となる未シール部15の側方(側端14aとの間)のシール部には、未シール部15との間に所定幅の流路形成シール部15aを残して切り取るための第2の切り抜き線19が設けられている。第2の切り抜き線19は、2枚の胴部フィルム11を貫通してなる切り抜き線(貫通傷痕)として形成されている。
第2の切り抜き線19が流路15に沿って延設された部分は、流路15と第2の切り抜き線19との間に流路形成シール部15aのシール幅を確保しつつ、開封後に突出した注出口(図6参照)が形成されるように、流路15の近傍に設けられる。
【0022】
第2の切り抜き線19は、開封案内線18との交差部18bから流路15に沿って斜め下方に延設され、さらに方向を変えて側端14aに向けて延設された平面形状を有する。
開封案内線18は、第2の切り抜き線19を超えて設けられてもよく、また1mm程度であれば離間していてもよい。開封案内線18の開封終了側の端部(終端部)18bが第2の切り抜き線19と交差しない場合、後述する延長部20は、開封案内線18をその終端部18bから(例えば直線的に)延長して、第2の切り抜き線19と交差する位置の上方に設けることが好ましい。
【0023】
第2の切り抜き線19には、1箇所または複数個所のジョイント(未切断部)19a,19b,19cを設けることが好ましい。ジョイント19a,19b,19cの幅(隣接する切り抜き線の端部同士の間隙長さ)としては、胴部フィルム11の材質にもよるが、開封時には人手で容易に引き離すことができるよう、例えば0.5〜1.5mm程度が挙げられる。
【0024】
本形態例の場合、第2の切り抜き線19のうち、流路15に沿って斜め下方に延設された部分にはジョイント19aが、また、方向を変えて側端14aに向けて延設された部分には、ジョイント19b,19cが設けられている。
本形態例の開封案内線18は、第2の切り抜き線19との交差部18bに向かう終端部が、側端14aとほぼ平行な下向きであるが、これに限定されるものではなく、開封後の流路形状に合わせて適宜設計される。
【0025】
さらに、図2および図3に示すように、第2の切り抜き線19は、開封案内線18との交差部18bとの上方において、上辺14bに近づくにつれて側端14aからの距離が増大するように延長された延長部20を備える。延長部20は、少なくとも側端14aからの距離が最小となる位置(図2の最短距離dの位置)から上方にある範囲内で、2枚のフィルム11,11を貫通してなる切り抜き線が連続している。
【0026】
図2に示す包装袋10では、延長部20は、開封案内線18との交差部18bから上方に向かう全体が連続した切り抜き線(貫通傷痕)として形成されている。
また、図3に示す包装袋10Aでは、延長部20にジョイント(未切断部)20aを有するが、このジョイント20aは、側端14aからの距離が最小となる位置より下方、すなわち、上辺14bに近づくにつれて側端14aからの距離が減少する部分に設けられている。
【0027】
延長部20の末端(上辺14bに最も近い端部)における側端14aに対する傾斜角は、例えば20〜90°が好ましく、30〜60°がより好ましい。
延長部20の長さは、注出口14の寸法にもよるが、例えば5〜20mm程度とすることができる。
延長部20から上辺14bまでの最短距離(延長部20の末端から上辺14bまでの距離)は、延長部20から側端14aまでの最短距離dより長いことが好ましく、例えば5〜10mm程度とすることができる。
【0028】
次に、本形態例の包装袋10の使用方法について説明する。
包装袋10を開封するときには、まず第1の切り抜き線17のジョイント17b,17cを破断してプルタブ16を流路形成シール部15bから分離する。そして、このプルタブ16をつまんで第1の切り抜き線17の終端部から引き裂きを開始する。これにより、第1の切り抜き線17の終端部から開封案内線18の開封開始側の端部18aに向かって切れ目が伸長する。この切れ目を開封案内線18に沿って進行させると、図4に示すように、流路封止シール部15cが分離し、流路15に開口21が形成される。
【0029】
ところで、図7に示す包装袋100のように、第2の切り抜き線19に延長部20が設けられていないか、あるいは開封案内線18との交差部18bから短い端部23が延長されているに過ぎない場合、図4と同様に開封案内線18を開封した後、さらにプルタブ16を横向きに引っ張り続けると、交差部18bや端部23から切れ目が伸長して、そのまま破断部24が側端14aに達することがある。このように、第2の切り抜き線19のジョイント19a,19b,19cが破断されないと、図8に示すように、第2の切り抜き線19と流路形成シール部15aとの間で余分なシール部25が残留する場合がある。この場合、開口21が横向きあるいは下向きとなるように傾けても、プルタブ残り25が邪魔になって、突出した流路とならないので容器の口部に挿入しづらく、内容物を注出しにくいと言う問題がある。
【0030】
このようなシール部25の残留を防ぐためには、例えば開封案内線18を開封した後にユーザーが意識して第2の切り抜き線19のジョイント19a,19b,19cが破断されるように力の向きを変える(例えば図7において、開封案内線18を開封する際には、力を開封案内線18の延在方向に直交する左上向きに加え、第2の切り抜き線19を開封する際には、ジョイント19aに対する直交方向として力を左下向きに加えるなど)こともできる。しかしながら、従来の包装袋では易開封部が単純な直線状であることが多いという現状では、ユーザーは、必ずしも、開封案内線18と第2の切り抜き線19の延在方向を意識しながら力の向きを調節することができない場合がある。
【0031】
これに対して本形態例の包装袋10の場合、延長部20が切り抜き線(貫通傷痕)として形成されているため、図5に示すように、プルタブ16を横向きに引っ張りながら開封案内線18を開封して生じた切れ目が第2の切り抜き線19に到達すると、直ちに延長部20の両側が分離する。図2に示すように、延長部20の末端(図の左上側の端部)は上辺14bに近づくにつれて側端14aからの距離が増大する方向であるので、プルタブ16を横向きに引っ張りながらでも、ジョイント19a,19b,19cを順次破断して、第2の切り抜き線19を確実に開封することができる。
【0032】
すなわち、図6に示すような突出した開口21を得るために、開封案内線18から第2の切り抜き線19が屈曲する、複雑な形状の易開封部が形成された包装袋を開封するに際し、ユーザーが開封案内線18の開封のみを意識して単純に横向きにひねって開ける動作をした場合であっても、開封案内線18の切れ目が第2の切り抜き線19に到達すると直ちに延長部20が開くことにより、図5に示すように、第2の切り抜き線19を開封し易い方向にプルタブ16が引っ張られて移動するので、図8に示すようなプルタブ残り25が発生することがなく、図6に示すように、開口21が突出した流路15を確実に形成することができる。
そして、開口21が横向きあるいは下向きとなるように包装袋10を傾けると、開口21から内容物を注出することができ、また、突出した流路が形成されるので容器の口部への挿入も容易となる。
【0033】
図3に示すように、延長部20にジョイント20aを有する包装袋10Aの場合も同様である。プルタブ16を横向きに引っ張りながら開封案内線18を開封して生じた切れ目が第2の切り抜き線19に到達した後、ジョイント19aより先にジョイント20aが破断しても、直ちに延長部20の両側が分離して、図5と同様の状態になることができるので、図6に示すように、開口21が突出した流路15を確実に形成することができる。
【0034】
なお、本形態例の包装袋10,10Aにおいては、流路15にチューブなどの保形材15dを設けることにより、胴部フィルム11,11の間が離隔され、注出時に流路15の広がり状態を保つことができる。また、特に図示はしないが、胴部フィルム11,11は、保形材15dの周囲で外側に膨出する膨らみ部を設けることも好ましい。この膨らみ部は、包装袋を製造する工程において真空成形や圧空成形により胴部フィルム11,11に予め(保形材15dを入れる前に)形成しておくことが好ましい。
【0035】
保形材15dを構成する材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)などのポリオレフィン系樹脂のほか、ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート等の合成樹脂が挙げられる。なかでも、胴部フィルム11の内面のシーラント層とヒートシールで熱接着する観点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、EVAなどのポリオレフィン系樹脂が好適である。
保形材15dの形状としては、円筒体、楕円筒体、断面が四角形等の多角形である角筒体などの両端が開口したチューブに限定されるものではなく、このほか、断面が円形、楕円形、三角形や四角形等の多角形等である棒状体、断面コ字状、H字状、T字状の部材など、種々の形態が採用可能である。保形材15dは、流路15を閉塞しないように断面が長手方向にわたって一定である形状(筒状体や棒状体など)が好ましく、フィルムに固定する作業が容易で、内容物の流動を妨げないので筒状体がより好ましく、中でも円筒体は固定される面が自在であり、フィルムに固定する際の位置決めが容易なので、さらに好ましい。そして、固定に際しては、保形材15dの長手方向を流路15の方向に揃えることが望ましい。
保形材15dの寸法は、包装袋全体や流路の寸法等に応じて適宜設計が可能である。その具体例としては、例えば、チューブの場合には、長さ:10〜30mm程度、外径(長手方向に直交する方向の最大幅):約5〜20mm程度、肉厚:約0.3〜2mm程度である。
なお、本発明において、保形材15dやその周囲の膨らみ部は必須のものではなく、保形材15dを省略した構成とすることもできる。保形材15dを設ける場合は、図1に示すように、開封案内線18が保形材15dと交差しない位置に設けられていることが好ましい。これにより、開封が容易になる上、図6に示すように、開口21から保形材15dが露出されることがない。
保形材15dの位置は、開封案内線18から少なくとも0.3mm以上離れていることが好ましく、保形材15dと開封案内線18との間の最も近い距離が0.3〜10mmの範囲内であることが好ましい。
【0036】
以上、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば、包装袋の注出口は、その先端部が包装袋の上辺から突出している形状であってもよい。この場合の注出口は、上記形態例の包装袋10,10Aの側端14aおよび上辺14bと同様に、注出口の両側を略垂直な辺で囲む形状が好ましい。
底部フィルムは必須のものではなく、包装袋は三方シール袋や四方シール袋などの平袋から構成されるものであってもよい。あるいは、底部フィルム12のような2つ折りのフィルムを包装袋の側部、例えば注出口14とは反対側(図1の右側)に介装してもよい。
【実施例】
【0037】
以下、実施例と比較例との対比をもって本発明を具体的に説明する。
図1に示すように、第2の切り抜き線19に延長部20を設けた実施例1の包装袋10(ジョイント19aのつながり長さは0.7mm)と、図7に示すように、延長部20を設けない比較例1の包装袋100(ジョイント19aのつながり長さを0.5mm)とを作製した。延長部20の有無およびジョイント19aのつながり長さ以外は、同様の材料および寸法とした。
【0038】
(プルタブ残りの発生数)
表1の「斜め上」は、プルタブ16を引き出した後、ひねらずに開封案内線18に直交する斜め上(図2や図7の左上方向)に開封する場合である。
また、表1の「真横」は、プルタブ16を引き出した後、図4に示すように、プルタブ16をひねって真横に引っ張って開封する場合である。
実施例1と比較例1につき、「斜め上」と「真横」のそれぞれを100袋ずつモニターが開封して、図8に示すようにプルタブ残り25が発生した数を表1に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
表1に示すように、第2の切り抜き線19に延長部20を設けた実施例1の包装袋10によれば、100袋を開封してもプルタブ残り25は発生しなかった。これに対して、延長部20を設けない比較例1の包装袋100では、ジョイント19aを0.5mmと短くして破断しやすくしたにもかかわらずプルタブ残り25は発生した。特に、プルタブ16をひねって真横に引っ張って開封する方法では、100袋中90袋と、大多数の場合でプルタブ残り25が発生した。
【0041】
(プルタブの引っ張り強度)
図9に示すように、治具Cが第1の切り抜き線17および開封案内線18に近接しつつ、これらを挟み込まない位置にセットして、プルタブ16部分を治具Cで挟み込み、治具Cの下方で第2の切り抜き線19を挟み込まない位置を治具(図示せず)で固定し、治具Cを垂直方向へ速度300mm/分で引っ張り、第1の切り抜き線17か開封案内線18が破断するまでの引っ張り強度(単位:ニュートン)を測定した。実施例1と比較例1につき、各20袋で測定して平均した結果を表2に示す。
【0042】
【表2】

【0043】
表2に示すように、第2の切り抜き線19に延長部20を設けてもプルタブ16の引っ張り強度が弱くなることはなかった。
以上の結果から、第2の切り抜き線19に延長部20を設けることにより、開封性を大幅に向上できることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、液状物、粉体、粒体、あるいはこれらの混合物などの流動性を有する内容物が充填される包装袋に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
10,10A,100…包装袋、11…胴部フィルム、11a,11b…側端シール部、12…底部フィルム、12a…折り線、12b…底シール部、13…充填口、13A…上部シール部、14…注出口、14a…側端、14b…上辺、15…流路となる未シール部、15a,15b…流路形成シール部、15c…流路封止シール部、15d…保形材(チューブ)、16…プルタブ(つまみ)、17…第1の切り抜き線、17a…ノッチ、17b,17c,19a,19b,19c,20a…ジョイント(未切断部)、18…開封案内線、18a…開封開始側の端部(開き部)、18b…交差部、19…第2の切り抜き線、20…延長部、21…開口、22…ねじれてつながったシール部、23…切り抜き線の端部、24…破断部、25…残留した余分なシール部(プルタブ残り)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装袋の上側の隅部に注出口の流路となる未シール部が設けられた包装袋であって、
前記注出口を含む2枚のフィルムには、前記未シール部を横断するように設けられたハーフカット溝からなる開封案内線が設けられ、
前記未シール部の上方のシール部には、開封を開始するための前記2枚のフィルムを貫通してなる切り抜き線として、前記包装袋の上辺から流路へ向けて開始され、流路近傍で方向を変えて前記流路に沿って斜め上方に延設され、さらに方向を変えて開封案内線の開封開始側の端部に向けて延設された平面形状を有する第1の切り抜き線が設けられ、
前記未シール部の側方のシール部には、前記未シール部との間に所定幅のシール部を残して切り取るための前記2枚のフィルムを貫通してなる切り抜き線として、前記流路に沿って斜め下方に延設され、さらに方向を変えて包装袋の側端に向けて延設された平面形状を有する第2の切り抜き線が設けられ、
さらに、第2の切り抜き線は、前記開封案内線との交差部との上方において、前記包装袋の上辺に近づくにつれて前記包装袋の側端からの距離が増大するように延長された延長部を備えることを特徴とする注出口付き包装袋。
【請求項2】
前記第2の切り抜き線の延長部は、包装袋の上辺までの最短距離が、包装袋の側端までの最短距離より長いことを特徴とする請求項1に記載の注出口付き包装袋。
【請求項3】
前記第2の切り抜き線の延長部は、少なくとも前記包装袋の側端からの距離が最小となる位置から上方にある範囲内で、前記2枚のフィルムを貫通してなる切り抜き線が連続していることを特徴とする請求項1または2に記載の注出口付き包装袋。
【請求項4】
前記開封案内線は、開封開始側の端部から前記第1の切り抜き線の終端部に向かってハの字状に開いた開き部を有して、前記第1の切り抜き線から離間していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の注出口付き包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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