説明

注出口付き包装袋

【課題】保管や輸送においてピンホールやエッジ切れにより破袋を起こすおそれがなく、内容物に対するクリーン度にも優れる、注出口付き包装袋を提供する。
【解決手段】外装容器の内袋として使用される注出口付き包装袋1は、包装袋本体3に合成樹脂製の注出口4が接合されており、注出口係合部41は外装容器の開口部に着脱可能に係合する。注出口4の一部である注出口取付部40が、包装袋本体3の上辺シール面間に熱接合されており、注出口取付部40は、全体として断面形状が凸レンズ状の柱体をなしており、柱体の両側端下方の両隅部が面取りされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装容器内に収容して使用される注出口付き包装袋に関するものであり、さらに詳しくは、工業薬品分野、医薬品や化粧品原料分野等で流動性内容物の保管や輸送に供せられる外装容器内に収容して使用される注出口付き包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、工業薬品分野、医薬品や化粧品原料分野等で、保管や輸送にアルミニウム、スチール、ステンレス、ファイバーボード等で作られた外装容器の内部に流動性内容物を収容する注出口付き包装袋を収容した、いわゆる二重容器が使用されている。
【0003】
このような容器は、使用済みの包装袋を外装容器から取り出し、新たな包装袋を外装容器内にセットするだけで再使用することができるために、例えば、包装袋を使用せずに直にスチール等の外装容器に流動性内容物を充填する場合に比べて、洗浄する手間等が省けるなどの利点があり、工業薬品、医薬品や化粧品原料の容器として広く使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に開示された注出口付き包装袋は、外装容器の内袋として使用されるものであり、包装袋本体に合成樹脂製の注出口が接合されており、包装袋本体は外装容器内に収納可能であると共に、注出口の係合部は、外装容器の開口部に着脱可能に係合する。包装袋本体は、2枚以上のフィルムの外周辺にヒートシール部を形成して袋体とすると共に、このヒートシール部の上部のシール面間に、注出口の取付部が熱融着などで接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−7154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の包装袋本体に熱融着される注出口6は、図8(a)、(b)に示すように、下部の注出口取付部60と、上部の注出口係合部61とからなる一体成型品であり、注出口取付部60は、断面形状が凸レンズ状で中央部に貫通穴601を有する柱体であって、両先端部に板状リブ602を備える。更に、図8(a)に示すように、板状リブ602の両下方の角部Yには、注出口取付部60の高さ方向の幅より狭くなるように段部Tが設けられている。この段部Tにより、注出口4の熱融着後に角部YにPE(ポリエチレン)等の樹脂溜りが出ても、角部Yが鋭利な角にならない様に考慮されており、輸送中に生じる繰り返しの振動などによる、角部Yでのフィルムのエッジ切れを防止できる。
【0007】
しかしながら、このような段部Tを設けた場合においても、包装袋に充填されたレジスト液等の流動性内容物の重量が掛かる場合には、保管や輸送によってピンホールやエッジ切れによる破袋が所定の割合で発生し、破袋防止効果が不充分であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、注出口取付部における角部の形状を更に工夫することにより、液充填状態における落下衝撃や強い振動に対しても、袋の破袋を大幅に低下できることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、包装袋本体に注出口が接合されている注出口付き包装袋であって、前記包装袋本体は、少なくとも2枚以上のフィルムの外周辺にヒートシール部を形成して袋体とすると共に、このヒートシール部の所定位置のシール面間に、前記注出口の一部である注出口取付部の接合面が熱接合されており、前記注出口取付部は、全体として断面形状が凸レンズ状の柱体をなしており、この柱体の両側面が前記接合面であり、前記柱体の両側端下方の両隅部が面取りされている注出口付き包装袋である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の注出口付き包装袋は、液充填状態における落下衝撃や強い振動に対して、袋の破袋を大幅に低下できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の注出口付き包装袋の一実施形態を示す平面図である。
【図2】本発明に用いる注出口の一実施形態を示す斜視図である。
【図3】本発明に用いる注出口の一実施形態を示す正面図である。
【図4】本発明に用いる注出口の一実施形態を示す側面図である。
【図5】本発明に用いる注出口の一実施形態を示す平面図である。
【図6】本発明に用いる注出口の一実施形態を示す底面図である。
【図7】注出口付き包装袋の外装容器への収容状態を示す図であり、(a)は注出口付き包装袋を外装容器に挿入する状態を示す部分斜視図、(b)は外装容器に注出口付き包装袋が収容された後の状態を示す部分斜視図である。
【図8】従来技術における注出口を示す図であって、(a)は注出口のC−C縦断面図、(b)は注出口の注出口取付部側から見た底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<全体構成>
図1は本発明に係る注出口付き包装袋の一実施形態を示す平面図であり、図2から図6は、それぞれ注出口の斜視図、正面図(背面図も同形状)、側面図(左右側面図が同形状)、平面図、底面図である。
【0013】
本発明に係る注出口付き包装袋1は、外層フィルム20と内層フィルム21とを少なくとも重ね合わせた多重フィルム2を、内層フィルム21同士が対向するように再度重ねあわせて合計4枚とし、その四辺をヒートシールしてヒートシール部10を形成した包装袋本体3と、この包装袋本体3の一辺のヒートシール部10(図1中の上辺)の前記内層フィルム21間に予め熱融着された注出口4とを備えている。これにより、通常のヒートシール部10においては、外層フィルム20/内層フィルム21/内層フィルム21/外層フィルム20の構成となっており、注出口4が熱融着された部分においては、外層フィルム20/内層フィルム21/注出口4/内層フィルム21/外層フィルム20の構成となっている。
【0014】
尚、本実施形態では、包装袋本体3は多重フィルム2を内層フィルム21同士が対向するようにして積層し、四辺をヒートシールしてヒートシール部10を形成しているが、これに限定されるものではなく、例えば、多重フィルム2を内層フィルム21同士が対向するようにして折り曲げた後、重なり合った外周辺の三辺をヒートシールして形成してもよい。また、ヒートシール部10の内縁角部はその内縁が弧状に形成してもよい。これによって、角部に流動性内容物が残存し難い構造となる。また、必ずしも多重フィルムでなくてもよく、包装袋本体のフィルム構成は内容物や量に応じて適宜選定できる。
【0015】
<包装袋本体>
次に、包装袋本体3を構成する多重フィルム2について説明する。この実施形態においては、多重フィルム2は外層フィルム20と内層フィルム21とで少なくとも構成されるがこれに限らず、単層であってもよい。
【0016】
外層フィルム20は、単層構成、多層構成のいずれであってもよいが、機械的強靭性、耐屈曲性、耐突き刺し性、耐衝撃性、耐寒性、耐熱性、耐薬品性等において優れた性能と、内層フィルム21に対するヒートシール性とが求められるため、材質の選定やコスト面等から多層構成とするのが好ましい。一例として、基材層/熱接着性樹脂層(ヒートシール層)の複層構成が挙げられ、基材層としては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系、ポリエチレン系、ポリアセタール系等の樹脂からなるフィルムを用いることができ、一軸方向ないし特に二軸方向に延伸した延伸フィルムが適当であるが、本発明の注出口付き包装袋1は、外装容器内に収容されて保管、輸送され、特に、輸送においては流動性内容物が袋内で激しく揺動するために、この揺動によって発生するピンホールやクラックを防止する必要があり、二軸延伸ポリアミドフィルムであるのが好ましい。フィルムの厚さとしては基材としての強度、剛性などについて必要最低限に保持され得る厚さであればよく、コストなどを勘案して決めればよい。
【0017】
また、外層フィルム20を構成する熱接着性樹脂層としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等の樹脂の一種ないしそれ以上からなる樹脂を挙げることができ、流動性内容物の種類により適宜選択して用いることができるが、一般的には、低温シール性に優れることからポリエチレンが好ましく、さらには分子量分布が狭く、ヒートシール強度において優れると共に流動性内容物への影響が少ないメタロセン触媒を用いて重合された直鎖状(線状)低密度ポリエチレンが好ましい。
【0018】
内層フィルムは単層構成であってもよいし、また、ピンホールやクラックを外層フィルム20と協働して防止する意味から、あるいは、多重フィルム2からなる注出口付き包装袋1自体の抗張力強度やヒートシール強度等の強度を向上させる意味から多層構成としてもよい。
【0019】
単層構成の場合、外層フィルム20の熱接着性樹脂層と熱接着可能な樹脂である必要があり、熱接着性樹脂層に用いる樹脂の種類により、適宜選択して用いればよいものであるが、外層フィルム20の熱接着性樹脂層で説明した理由により、ポリエチレン、さらには、メタロセン触媒を用いて重合された直鎖状(線状)低密度ポリエチレンが好ましい。
【0020】
多層構成の例としては、ポリエチレン/ポリアミド/ポリエチレンのような構成が挙げられ、実施例のようなLLDPE層/接着層/ポリアミド層/接着層/LLDPE層からなる5層共押出しフィルムを好適に用いることができる。
【0021】
上記のように、注出口4は、通常は高温時でも剛性があり、低温時において脆化し難い高密度ポリエチレンが好適であり、そういう意味からしても内層フィルム21の内面を構成する熱接着性樹脂層としてはポリエチレン、さらにはメタロセン触媒を用いて重合された直鎖状(線状)低密度ポリエチレンが好ましい。
【0022】
なお、本発明における包装袋本体を構成するフィルムは、最内面同士がヒートシール可能な構成であれば、必ずしも多重フィルムである必要はなく、例えば1対の外層フィルム20のみを用いた通常の構成であってもよい。
【0023】
<注出口>
次に、図1から図6を参照しながら、注出口4について説明する。注出口4は、下部の注出口取付部40と、該注出口取付部40の一方に連接する上部の注出口係合部41とが一体成型されており、図1に示すように、注出口取付部40で多重フィルム2の内層フィルム21間に熱融着により熱接合されている。
【0024】
注出口係合部41は、図2から図4に示すように、断面形状が略U字形状の筒状部411と、その上端周縁にフランジ部412を備えている。筒状部411の底部には、開口413が複数個、この実施形態では4個の開口413が形成されている。これによって、注出口付き包装袋1と外装容器内との間に通気を確保することができる。すなわち、使用時に流体を汲み出す際には、この開口413を通じて注出口付き包装袋1と外装容器内との間に気体を封入することで、包装袋本体3の外部から圧力をかけて内部の流体の汲み出しをスムースに行うことができる。
【0025】
フランジ部412は、注出口4の注出口係合部41を収容する外装容器に形成された注出口係合部41の高さ方向の寸法より短い略円筒の突出した開口部の上周端に当接、係止することにより注出口付き包装袋1が外装容器内で支持される構造となっている(図7参照)。
【0026】
注出口4の注出口取付部40は、図2、図6に示すように、断面形状が凸レンズ状で中央部に貫通穴401を有する柱体であって、図2、図3、6両先端部に板状リブ402を備える。この注出口取付部40は、全体として断面形状が凸レンズ状の柱体をなしており、この柱体の両側面が熱融着による接合面となっている。通常、注出口4を注出口取付部40で多重フィルム2の内層フィルム21間に熱融着する際に、内層フィルム21間と注出口取付部40の端部で囲まれる2つの領域に隙間ができて密封不良となり易い。これを防止するために両端に板状リブ402を設け、熱融着時にこの板状リブ402を溶融することにより隙間ができないように構成している。
【0027】
このような注出口4は、好ましくは射出成形法にて製造される。これに用いる樹脂としては射出成形可能な樹脂であれば特に限定するものではないが、多重フィルム2の内層フィルム21の内面を構成する樹脂と熱接着により接合されて注出口付き包装袋1となるために、内層フィルム21の内面を構成する樹脂により適宜選択する必要があるが、通常は高温時でも剛性があり、低温時において脆化し難い高密度ポリエチレンが好適である。
【0028】
図1に戻り、注出口取付部40を含むヒートシール部10においては、注出口取付部40のシール部Aのシール幅に比べて、シール部A以外の左右のシール部Aのシール幅が全体的に広くなるように、テーパー(又は段差でもよい)Tが形成されている。このテーパーTにより、図1の矢印方向にかかる袋の内圧を、シール部Aのシール側辺A21で受け止めることができる。これにより、注出口取付部40にかかる圧、特にシール側辺A11の両端部X付近にかかる圧を軽減し、輸送中に生じる繰り返しの振動などによる、エッジ切れ等を防止することができる。
【0029】
<面取り部>
そして、本発明においては、図3に示すように、柱体の両側端下方である、板状リブ402の両下方の両隅にある2箇所の角部Zには、面取り部Rが設けられている。この面取り部Rにより、落下衝撃や輸送中に生じる繰り返しの振動などによる、角部Zのエッジ切れを従来より格段に向上することができる。
【0030】
この面取り部Rは、図3の正面図に示すように、前記柱体の側面側からみた正面視において、両隅部が直線的なテーパーとなるように面取りされていることが好ましく、前記柱体の側面側からみた正面視において、このテーパーの長さであるRが5mm以上10mm以下であることが好ましい。テーパー角度は45度±20度が好ましく、45度±10度がより好ましい。
【0031】
また、この面取り部Rは、図4の側面図や図6の底面図に示すように、略二等辺三角形の平面をなしている。この略二等辺三角形の高さが上記のテーパーの長さRに相当する。面取り部Rをこのような略二等辺三角形の平面とすることで、上記のように熱落下衝撃や輸送中に生じる繰り返しの振動などによる、角部Zのエッジ切れを従来より格段に向上することができるとともに、注出口取付部40の射出成型の精度も出しやすいので生産性にも優れるものになっている。
【0032】
なお、面取り部Rは成形後に形成して面取りしてもよいが、上記のようにあらかじめ面取り部Rを有する金型を用いることで射出成型でき、面取り工程は不要となる。
【0033】
<使用方法>
本発明の注出口付き包装袋1は、図7(a)に示すように、金属製などの外装容器5の開口部51から外装容器5の内部に挿入され、図7(b)に示すように、注出口4が外装容器5の開口部51に装着される。この際、外装容器5の開口部51は、注出口係合部41の高さ方向の寸法より短い略円筒の突出した形状になっていて、図2のフランジ部412が、開口部51の上周端に当接することにより、注出口付き包装袋1が外装容器内で支持される。なお、外装容器5としては、例えば金属製、合成樹脂製、段ボール等の紙製の剛性容器が例示できるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0034】
その後、この状態で、所定の方法で内容物である流体を注出口4から導入し、その後、最終的には、例えば開口部51を密封すると共に、注出口4も封止、固定可能な蓋材(図示せず)で覆うことにより、外装容器5は流通、移送が可能な状態となる。
【0035】
そして、流体の使用時、すなわち流体を汲み出す際には、注出口4から汲み出すことができる。
【0036】
このように、本発明の注出口付き包装袋は、外装容器に収容されて、工業薬品分野、医薬品や化粧品原料分野等で流動性内容物の保管や輸送に供せられる。なかでも、レジストメーカーと半導体などのデバイスメーカーとの間を繰り返し移送されるレジスト収容容器は、高い強度と衛生性が要求されるものである。この点、本発明の注出口付き包装袋は、外装容器への着脱も容易であるから、作業性、衛生性にも優れるものである。
【0037】
外装容器と内層容器を適宜選択することにより、種々の容量のバリエーションに適宜対応でき、体積容量1Lから250L程度まで種々の容量への対応が必要であるが、本発明は、なかでも特に体積収容量1L以上30L以下であることが好ましく、10L以上25L以下であることがより好ましい。1Lから30Lというのは、外装容器を含めても人間が持ち運べる程度の容量である。このことは逆に外装容器のハンドリングが自在であり、トラックからの上げ下ろし、現場での移動などが人手で可能であることを意味し、その分、容器が激しく扱われて振動や落下の頻度が高く、包装袋が破れやすいという問題がある。本発明の注出口付き包装袋は、このように最も激しい振動や落下があった場合にも破袋率を大幅に低下することができる。
【0038】
また、破袋の起こり易さは、包装体本体における、注出口側の辺から対向する辺までの包装体本体の高さHに対する、Hに直交する方向の包装体本体の幅Wの比である、H/Wによっても異なる。本発明においては、この比が0.9以上1.5以下であることが好ましく、より好ましくは1.0以上1.4以下、特に好ましくは1.1以上1.3以下である。比が1.5を超える縦長形状においては注出口付近に力がかかりやすく、たとえ本発明の面取り部Rを用いても破袋を完全に防止できず、フィルムの強度アップなどの他の手段を併用する必要がある。比が0.9未満では扁平になり過ぎて運搬効率が低下する。
【実施例】
【0039】
次に、本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0040】
下記する実施例、比較例に用いる包装袋の構成としては、外層フィルムとして、ON(二軸延伸ポリアミド)フィルム25μm/ウレタン系接着剤3μm/LLDPEフィルム40μmからなる2層積層体を用い、内層フィルムとして、LLDPE層25μm/接着層10μm/ナイロン層15μm/接着層10μm/LLDPE層20μmからなる5層共押出しフィルムを用いた。
【0041】
[実施例]
内層フィルムの25μm厚さのLLDPE層が内容物側となるようにして、高密度ポリエチレン製注出口を一方の短辺にヒートシールすることにより取り付けた2重フィルムからなる包装袋本体の幅(W)480mm×高さ(H)570mm(H/W=1.2)
の四方シールタイプの注出口付き包装袋を作製した。尚、高密度ポリエチレン製注出口の注出口係合部のフランジ部外周直径は53.9mm、フランジ部の厚さは2.5mm、注出口係合部のフランジ部直下の外周直径は50.8mm、注出口係合部の高さは32mmである。
【0042】
注出口取付部40の高さは15mmであり、角度45度のC(chamfer)面取り表示でC5.5mm、すなわち図3における隅部を両辺5.5mm、Rが7.7mmとなるように面取り形状の金型を作成し、射出成型で一体成型した。
【0043】
[比較例]
図8に示すように、注出口取付部60の隅部に段部Tを形成した注出口を用いた以外は、実施例と同様の注出口付き包装袋を作製した。
【0044】
[試験例]
【0045】
上記で作製した実施例、比較例の注出口付き包装袋を直径が301.6mm、高さが400mmの略円筒形状の底面を有すると共に天面の中央部に内径が50.8mm、突出長さが15.0mmの筒状開口部を有するステンレス製容器の筒状開口部から挿入して、筒状開口部の上周面にフランジ部を当接させた状態にセットし、その後に注出口から水を20L注入し、筒状開口部を適宜に封止手段で封止して落下試験に供するサンプルを作製した。
【0046】
上記で作製した容器を、人手で左右交互に横に転倒させて、図1における注出口取付部40の特にシール側辺A11の両端部X付近の破れによる破袋箇所を目視にて確認した。その結果、n=10の平均で、比較例1では転倒5回目で破れが発生したのに対し、実施例1では30回まで破れが発生しなかった。また、1.2mからの落下テストを行ったところ、比較例では破れが発生したのに対し、実施例1では30回まで破れが発生しなかった。
【0047】
[参考例]
包装袋本体の幅(W)385mm×高さ(H)725mm(H/W=1.9)とした以外は実施例1と同様にして注出口付き包装袋を作製し、これを、直径が227.6mm、高さが500mmの略円筒形状の底面を有すると共に天面の中央部に内径が50.8mm、突出長さが15.0mmの筒状開口部を有するステンレス製容器の筒状開口部から挿入して、筒状開口部の上周面にフランジ部を当接させた状態にセットし、その後に注出口から水を18L注入し、筒状開口部を適宜に封止手段で封止して落下試験に供するサンプルを作製した。
【0048】
[参考試験例]
【0049】
上記参考例の容器を、試験例と同様の試験を行った結果、20回で破れが発生した。この結果から、袋のH/Wが破れに影響することが解かる。
【符号の説明】
【0050】
1 注出口付き包装袋
2 多重フィルム
3 包装袋本体
4 注出口
10 ヒートシール部
20 外層フィルム
21 内層フィルム
40 注出口取付部
41 注出口係合部
401 貫通穴
402 板状リブ
411 筒状部
412 フランジ部
R 面取り部
Z 隅部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装袋本体に注出口が接合されている注出口付き包装袋であって、
前記包装袋本体は、少なくとも2枚以上のフィルムの外周辺にヒートシール部を形成して袋体とすると共に、このヒートシール部の所定位置のシール面間に、前記注出口の一部である注出口取付部の接合面が熱接合されており、
前記注出口取付部は、全体として断面形状が凸レンズ状の柱体をなしており、この柱体の両側面が前記接合面であり、
前記柱体の両側端下方の両隅部が面取りされている注出口付き包装袋。
【請求項2】
前記柱体の側面側からみた正面視において、前記両隅部が直線的なテーパーとなるように面取りされている請求項1記載の注出口付き包装袋。
【請求項3】
前記柱体の側面側からみた正面視において、前記テーパーの長さが5mm以上10mm以下である請求項2記載の注出口付き包装袋。
【請求項4】
外装容器の内袋として使用され、前記注出口は、前記外装容器の開口部に係止して前記包装袋本体を支持可能に構成されている請求項1から3いずれかに記載の注出口付き包装袋。
【請求項5】
液体を収容するために用いられ、体積収容量が1L以上30L以下である請求項1から4いずれか記載の注出口付き包装袋。
【請求項6】
前記包装体本体における、前記注出口側の辺から対向する辺までの包装体本体の高さHに対する、Hに直交する方向の包装体本体の幅Wの比である、H/Wが0.9以上1.5以下である請求項1から5いずれか記載の注出口付き包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−107655(P2013−107655A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252482(P2011−252482)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】