説明

注出容器

【課題】中栓BとカバーキャップCの両方を一遍に容器体Aへ、中栓は嵌着固定でき、カバーキャップは螺脱可能に装着することができ、組立工程の簡素化を図ることができるとともに、一旦装着した中栓は容器体に対してズレる等の不都合がない注出容器を提案する。
【解決手段】容器体口頸部3外周下部に形成した大外径の肉厚部3aの上方に係止突条5を形成し、係止突条5を縦断して肉厚部3aの一部に到る部分に形成した位置決め凹部6に、中栓B内周所定位置に突設した位置決め突部20を嵌着し、その際、中栓周壁内周に周設した係合突条18を係止突条5下面に乗り越え係合させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は注出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
注出容器として、注出口を備えた中栓と、該中栓を被覆して装着するカバーキャップとを容器体に被着し、装着する中栓の位置合わせを行うことにより容器体の向きと容器体内容物の注出方向との位置決めを行う如く工夫したものが知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記注出容器は、容器本体と、中栓と、カバーキャップとを備えている。容器本体は、口部の外周下部に螺条を備え、外周上部に外方に凸に形成した第2係止部を設けている。中栓は、注出口を備えた注出筒と、周壁筒とを底壁から立設し、周壁筒上端から外方に広がる鍔部を延設し、更に、鍔部外周縁から周状の外壁を垂設し、鍔部上面に筒状の中栓衝合部を立設し、鍔部下面からは周状の内壁が垂設されている。また、外壁の一部から前記第2係止部と係合する第1係止部を垂設している。カバーキャップは、頂壁周縁部から内周下部に螺条を設けたスカート壁を垂設し、スカート壁内の頂壁中央から、スカート壁より長く、中栓の周壁筒内に嵌合する第1内周壁を垂設し、更に、その外側に間隔をあけて第2内周壁,第3内周壁を順次垂設している。また、上記カバーキャップは中栓の保持手段を有する。保持手段は、スカート壁内の周状の突起を、中栓の外壁から外方に広がる突片に、アンダーカット係合して係合部を形成することにより、カバーキャップ内に中栓が保持される形態を採っている。
【0004】
そして、中栓を保持したカバーキャップを、その螺条を容器本体の螺条に螺合させて螺動下降させると、前記第1係止部と容器本体の第2係止部とが各々の端面で当接することによって、中栓の回転は阻止され、容器本体に対する中栓の位置決めが行われる。次いで更に螺動下降させると、第3内周壁下端が鍔部を押圧して中栓は更に下降するが、第1係止部と第2係止部とは当接により回転しないで下降し、容器本体の口部上端が鍔部下面の外壁と内壁との間に嵌着し、中栓が容器体に所定の向きで嵌着固定される。
【特許文献1】特開2000-255609 号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記注出容器は、中栓とカバーキャップの両方の容器本体への装着が、カバーキャップの巻き締めのみによって一度で行われ、同時に容器本体に対する中栓の位置合わせが行われるので、容器本体への装着工程が一度で済み、組立工程の簡素化を図ることができるとともに、容器本体に対して中栓を所定方向に装着できるという特有の効果を発揮するものであるが、第1係止部と第2係止部との当接で回転防止を図っているため、中栓に逆方向に回転する力が掛かった場合には中栓が容器体に対して回転してしまい、不都合な向きに回転してしまう虞がある。特に、上記特許文献1の発明では周壁筒と第1内周壁、第2内周壁部分の中栓衝合部が摺動可能に係合しているため、カバーキャップを螺脱する際に中栓も回転してしまう虞がある。
【0006】
本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、中栓とカバーキャップの両方を一遍に容器体へ、中栓は嵌着固定でき、カバーキャップは螺脱可能に装着することができ、組立工程の簡素化を図ることができるとともに、一旦嵌着した中栓は容器体に対してズレる等の不都合がなく、また、中栓の位置決め突部を容器体の位置決め凹部に容易に嵌着することができて組立も容易な注出容器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の注出容器は容器体と、中栓と、カバーキャップとを備えており、中栓とカバーキャップとを一遍に容器体に装着することが可能であり、また、容器体に対する中栓の向きが所定の向きに位置合わせできる如く構成したものである。
【0008】
容器体は合成樹脂等により形成されたもので、胴部より口頸部を起立した形態のものが採用され、胴部が一定の方向性を備えたものが採用される。胴部が一定の方向性を備える場合には、例えば中栓のノズルの向きを容器体の前方に向ける如く、中栓の方向を容器体の向きと調整する必要がある。本発明では容器体の方向性に対して所定の方向性をもって中栓を嵌着固定できる如く構成している。一定の方向性を備えた胴部としては、逆にどの方向からみても変化のない形状以外のものであり、真円形以外が該当する。例えば横断面形状が楕円状,台形状をなすもの,或いは一側面に凹部を設けた形状等が対象となり、また、容器体胴部の形状自体は一定の方向性がなくても、その胴部に表示等を施す等により方向性を付与した場合も該当する。
【0009】
中栓は、口頸部外周に周壁を嵌着固定したもので、注出口を備えている。例えば、口頸部外周に嵌合させた周壁の上端より、容器体口頸部上端開口を閉塞する閉塞壁部を延設し、その部分に注出筒等で構成する注出口を開口した形態のものが挙げられる。また、周壁内周に周設した係合突条を容器体の口頸部外周に設けた係止突条下面に乗り越え係合させて上方への抜け出し防止を図っている。本発明の場合、容器体口頸部の下部を大外径の肉厚部に形成し、この肉厚部の上方に係止突条を突設している。係止突条を設ける場合に、肉厚部の外面より外方へ突出した形態に係止突条を設けても良いし、肉厚部と同一高さ或いは肉厚部より低い高さとなるように形成しても良く、肉厚部の突出幅等に照らして適宜選択すると良い。
【0010】
容器体口頸部と中栓との間には、容器体に対して中栓が所定の方向を向いて嵌着するための位置決め手段を備えている。位置決め手段は、容器体口頸部外周所定位置に設けた位置決め凹部と、中栓の周壁内周所定位置に設けた位置決め突部とで構成する。
【0011】
位置決め凹部は口頸部外周の前記係止突条を縦断して肉厚部の一部に至る部分に設けた上面及び外面を開口した形態のもので、位置決め突部が嵌合可能であれば、その具体的形状は種々採用でき、例えば、正面視矩形状や下向き台形状などが挙げられ、これらの角部をアール状に形成したものが挙げられる。
【0012】
位置決め凹部及び位置決め突部を設ける所定位置は、両者が嵌合した際に容器体に対して中栓が必要な向きにある如くそれぞれ設定するが、位置決め凹部に位置決め突部が完全に嵌合した際には中栓の係合突条が口頸部の係止突条下面に乗り越え係合している必要がある。また、位置決め凹部と位置決め突部の数はそれぞれ単数であっても複数であっても良いが、それぞれ単数の場合でも、例えば各凹部及び突部の幅などを充分大きくとることができるため、充分な嵌合安定性を図れるものである。
【0013】
また、位置決め凹部に位置決め突部を導入する導入部を連設すると良い。この導入部は、例えば、中栓を嵌着したカバーキャップを回転下降させて容器体に装着する際に、中栓及びカバーキャップの回転方向手前側の位置決め凹部上端部に連設した凹部形態のもので、回転方向手前側の壁部上面を手前から漸次下降する如き傾斜面や湾曲面とする形態が好ましく採用される。
【0014】
カバーキャップは、中栓を被覆して着脱可能に嵌合係止したもので、組み付けに当たり中栓を固定した状態で一緒に容器体に装着することができる如く構成すると良い。係止状態としては中栓に対して螺着したものが好ましいが、その場合、螺着最終状態でそれ以上の螺合が進まない様に、例えば、カバーキャップ頂壁と中栓頂壁とが当接係止する如く構成すると良い。
【0015】
本発明の第1の手段として、口頸部3外周に係止突条5を周設した容器体Aと、係止突条5下面に乗り越え係合させた係合突条18を内周に周設した周壁10を口頸部3外周に嵌着して固定するとともに、注出口を備えた中栓Bと、中栓Bを被覆して嵌着したカバーキャップCとを備え、口頸部3外周下部に大外径の肉厚部3aを形成するとともに、肉厚部3aの上方に係止突条5を形成し、係止突条5を縦断して肉厚部3aの一部に至る部分に形成した位置決め凹部6に、中栓周壁10内周所定位置に突設した位置決め突部20を嵌着した。
【0016】
第2の手段として、前記第1の手段に於いて、前記位置決め凹部6の上端部に連続する導入部7を設けた。
【発明の効果】
【0017】
本発明の注出容器は、内部に中栓を嵌着した状態のカバーキャップを容器体に対して巻き締めすることにより、中栓を容器体口頸部に嵌着固定することができ、同時にカバーキャップを中栓に螺着等の嵌合状態のまま装着することができるため、組み付け工程が簡略化され、しかも中栓を容器体に対して所定の向きで嵌着固定することができる。また、嵌着した中栓が容器体に対してズレる等の虞もない。
【0018】
また、口頸部3外周下部に大外径の肉厚部3aを形成するとともに、肉厚部3aの上方に係止突条5を形成し、係止突条5を縦断して肉厚部3aの一部に至る部分に形成した位置決め凹部6に、中栓周壁10内周所定位置に突設した位置決め突部20を嵌着したので、位置決め凹部6を充分な凹み幅に形成することができて、位置決め突部20の嵌合がより安定したものとなり、位置決め突部20が外れる等の不都合を生じる虞はない。
【0019】
また、位置決め凹部6の上端部に連続する導入部7を設けた場合には、位置決め突部20の位置決め凹部6への嵌合がより円滑に行える利点を兼ね備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施例の形態を図面を参照して説明する。
【0021】
図1乃至図3は本発明注出容器の一例を示し、該注出容器1は、容器体Aと、中栓Bと、カバーキャップCとを備えている。
【0022】
容器体Aは、筒状の胴部2より縮径した円筒状の口頸部3を起立して構成しており、合成樹脂を用いてブロー成形により形成している。また、容器体Aの胴部2は前後に長い楕円筒状をなしている。口頸部3の下部は大外径の肉厚部3aとし、上部を小外径の肉薄部3bに形成しており、肉厚部3aの上部に連続して環状凹溝4及び係止突条5を周設している。係止突条5の上面は外方に下る傾斜面として構成している。また、前記係止突条5及び環状凹溝4を縦断し、肉厚部3aの一部に至る部分に位置決め凹部6を縦設している。位置決め凹部6の上端部の係合突部の導入側には導入部7としての傾斜面7aを設けている。また、環状凹溝4の深さは位置決め凹部6の深さと等しくしても良い。
【0023】
中栓Bは合成樹脂を用いて射出成形により形成したもので、容器体口頸部3の外周に嵌合させる周壁10の上端よりフランジ状の頂板11を内方へ延設し、頂板11の内周縁より下方へ内周壁12を垂下している。周壁10の上部と内周壁12の上部との間は、容器体口頸部3の形状に合わせて狭く形成している。また、内周壁12の下端縁より底壁13を延設し、底壁13の中央部から注出筒14を立設している。底壁13は前方より後方に傾斜下降する如く構成しており、注出筒14部分の底壁13には注出口としての注出孔15を穿設し、底壁13後部の低レベル位置には外気導入孔16を開口している。また、周壁10の外周には螺条17を周設するとともに、その内周所定位置には係合突条18を周設し、頂板11裏面には環状のシール突条19を突設している。更に、周壁10内周面の所定位置に、縦長矩形状の位置決め突部20を突設している。
【0024】
カバーキャップCは合成樹脂を用いて射出成形により形成したもので、中栓Bの周壁10外周に嵌合させる周壁30の上端縁より頂壁31を延設している。頂壁31の中央部は、中栓Bの頂板11より上方へ突出した注出筒14を収納するために、上方へ隆起した隆起部32に形成している。そして、周壁30の内周に周設した螺条33を中栓B外周の螺条17と螺合させ、頂壁31の下面から垂設したシール筒34を内周壁12の上端部に密嵌させ、更に、頂壁31裏面に突設した環状のシール突条35を頂板11上面に圧接して中栓Bに対し着脱可能に装着している。
【0025】
容器体Aに中栓B及びカバーキャップCを装着する場合に付いて説明する。まず、図2に示す如く予め中栓BをカバーキャップCに螺着しておく。次いで、容器体Aの上方から中栓Bを螺着したカバーキャップCを、キャッパー等の器具により掴んで回転させながら下降させ、係止突条5下面に係合突条18を強制的に乗り越え係合させる。この際、カバーキャップCの回転に伴い位置決め突部20も回転下降し、位置決め凹部6と係合し、容器体Aに対する中栓Bの所定の向きでの嵌着固定が終了する。注出容器1を使用する場合には、図1の状態からカバーキャップCを螺脱し、容器体Aを傾ければ、収納腋が注出筒14より注出される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明注出容器の要部縦断面図である。(実施例1)
【図2】本発明注出容器の組立前の状態を示す要部縦断面図である。(実施例1)
【図3】本発明注出容器の容器体と中栓の係合部分の要部縦断面図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0027】
3…口頸部,5…係止突条,6…位置決め凹部,10…中栓周壁,18…係合突条,
20…位置決め突部,A…容器体,B…中栓,C…カバーキャップ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
口頸部3外周に係止突条5を周設した容器体Aと、係止突条5下面に乗り越え係合させた係合突条18を内周に周設した周壁10を口頸部3外周に嵌着して固定するとともに、注出口を備えた中栓Bと、中栓Bを被覆して嵌着したカバーキャップCとを備え、口頸部3外周下部に大外径の肉厚部3aを形成するとともに、肉厚部3a上方に係止突条5を形成し、係止突条5を縦断して肉厚部3aの一部に至る部分に形成した位置決め凹部6に、中栓周壁10内周所定位置に突設した位置決め突部20を嵌着してなることを特徴とする注出容器。
【請求項2】
前記位置決め凹部6の上端部に連続する導入部7を設けてなる請求項1に記載の注出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−137504(P2007−137504A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−337031(P2005−337031)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】