説明

注型製品およびそれを形成するための方法

【課題】 注型製品およびそれを形成する方法を提供する。
【解決手段】 物体のまわりに硬質の構造体を形成するための注型製品は、流体活性化樹脂が含浸された可撓性の繊維基質と、この含浸された基質を囲む可撓性の保護ケーシングとを有している。ケーシングは、大気とケーシングの内部との間に規定されたシール可能な通路を有しており、そして流体の注入と、真空によるケーシングからの蒸気および残存流体の除去とを許容するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には、整形外科薬剤用の注型製品の分野に関し、より詳細には、身体部分のまわりに硬質の構造体を形成するための改良された注型方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
添え木および医療ギプスは、身体部分を支持し且つ不動化するために損傷の治療に使用するための整形外科目的に利用可能である。代表的には、医療包帯は、身体部分のまわりに巻かれた後に剛性構造体の中へ硬化する物質で含浸された布または織物で形成されている。
【0003】
慣例的に、損傷身体部分にギプスまたは添え木を作成する際に、硬化物質としてパリス石膏が使用されてきた。ギプスは、初めに綿布の保護被覆体を付け、次いで、付ける直前に水に浸すことにより湿潤されたパリス石膏で含浸された織布で身体部分を包むことによって形成される。パリス石膏は、これの低コストおよび身体部分の外形に合致するそれらの能力のために広く利用されている。
【0004】
しかしながら、パリス石膏のギプスは、嵩張って重いギプスを生じる低い強度対重量比を含めて、多くの付随の欠点を有している。また、パリス石膏のギプスは、長時間かかって強度を生じさせ、しばしば、充分な強度を生じさせるのに24時間ないし72時間の期間を必要とし、従って、この期間、ギプスの強度として重量支持状況の回避を必要とする。また、パリス石膏のギプスは、代表的には水中で崩壊し、従って水との接触を伴う活動を回避することを必要とする。水との接触を伴う活動が回避されても、長時間にわたる発汗が、パリス石膏を破壊し、そして臭いおよびかゆみについての局部的問題を生じる。
【0005】
また、パリス石膏のギプスは、それらの作成の方法に関する多くの欠点を有している。詳細には、パリス石膏のギプスを作成する方法は、しばしば、面倒であって、時間がかかり、そして多数の在庫およびかなりの熟練を必要とする。湿った注型材料が、手、布、患者、床、家具などから注型環境において使用される何にでも着いてしまう。
【0006】
在来のパリス石膏のギプスの欠点を解消するために、パリス石膏含浸布の複数の層を有する注型製品を提供する試みが行なわれてきた。このような注型装置およびその適用方法は、注型材料との直接接触が必要でないように種々の材料にスリーブまたはカバー内に注型材料を包囲し得る。(例えば、米国特許第4,235,228号、第4,442,833号、第4,454,874号および第4,628,917号)。幾つかの装置は、皮膚の隣の湿分不透過性層の形態の皮膚からの湿分を防ぐ手段を提供することを試みた(米国特許第4,454,874号)。他の装置は、注型材料が湿潤された後に身体部分に付けられることができる別体の乾燥パッドまたは層を有している(米国特許第4,628,917号)。前記試みにもかかわらず、パリス石膏のギプスは、乏しい強度対重量比を生じ、十分な強度まで硬化するのに長時間を要する。更に、ギプスの作成中に湿潤が回避されても、時間にわたる発汗が、パリス石膏における破壊を引起こし、逆に、湿分不透過性層が使用されるなら、これらの層が発汗を制限してしまう。
【0007】
パリス石膏のギプスの代案は、添え木すべき肢または身体部分が布で包まれた後に患者に硬化される硬化性樹脂が含浸された可撓性布を有する剛性ギプスである。剛性添え木は、一般には、石膏添え木より軽く、耐久性であり、且つ耐水性である。しかしながら、剛性添え木に使用される樹脂は、通常、わずかな量の湿分に非常に敏感であり、この樹脂は、或る時間にわたる大気中の湿分への露出により簡単に活性化されてしまう。
【0008】
代表的には、剛性添え木は、コイル状にロール巻きされていて、分配ボックスから分配される板樹脂含浸布または基質から作成される。しばしば、含浸基質は、織製ガラス繊維層を備えており、使用に先立って湿分不透過性スリーブ内に収容されている。使用にあたり、樹脂含浸基質の一部がコイルから分離され、そして水に露出される。次いで、湿った含浸基質は、特定の身体部分に付けられる。しかしながら、樹脂含浸基質を付ける前に、一般に、クッション保護層が、患者の皮膚と基質との間に配置される。
【0009】
剛性材料を使用するギプスの作成中、樹脂は、患者の皮膚への樹脂蒸気および樹脂粒子の移動のために炎症を引起こしてしまう。また、硬化性樹脂からのヒュームが、患者およびギプスを用意する個人に対して炎症を引起こすこともある。従って、パリス石膏ギプスでは示されない合成ギプスの作成に関する環境問題および健康問題がある。基質を形成するために織製ガラス繊維層を利用する際の他の欠点は、幾つかの繊維が他の繊維より湿潤されるように、硬化された添え木が、あらゆる方向にわたって一定の強度を有していないことがあると言う点である。更に他の欠点は、添え木を注型する時点で厚さを定めなければならなく、厚さが予め定められないと言う点である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上の論述から、慣例的なパリス石膏注型方法および湿分硬化性樹脂注型方法の両方とも、利点および欠点を有していることは容易に明らかである。一方では、パリス石膏ギプスは、必要な強度を達成するためには嵩張っていて、重く、そして付けるのに困難で、面倒である。他方では、湿分硬化性樹脂は、湿分の存在に非常に敏感であり、樹脂は、患者および医療業務提供者に感覚的刺激を引起こしてしまい、ガラス繊維は、樹脂の一貫していない湿潤に因り一貫した強度を有していない。
【0011】
本発明の目的は、付けられたときに乾燥表面をもたらす注型製品を提供することである。
【0012】
更に、本発明の目的は、患者に露出することなしに硬化性樹脂からの蒸気の除去を許容する無蒸気注型製品を提供することである。
【0013】
本発明の更に他の目的は、内部への液体の注入を許容するように構成されている注型製品を提供することである。
【0014】
本発明の更に他の目的は、真空による含有された湿分の除去を許容するように構成されている注型製品を提供することである。
【0015】
本発明の更に他の目的は、流体の外部源を必要としない注型製品を提供することである。
【0016】
本発明のこれらの目的および利点および他の目的および利点は、本発明の1つの実施の形態で達成される。
【課題を解決するための手段】
【0017】
1つの実施の形態では、身体部分のまわりに硬質の構造体を形成するための注型製品は、流体活性化樹脂が含浸された可撓性の繊維基質と、可撓性の保護ケーシングとを有している。ケーシングは、これに真空を引けるように十分に構成されており、そして大気とケーシングの内部との間に規定されたシール可能な通路を有している。この通路は、含浸された基質を物体に合致させるとき、樹脂を活性化し、且つ樹脂の活性化のときの含浸繊維基質の成形を許容するために、ケーシングに対する流体の注入および除去を許容するように配置されている。このようにして、患者を樹脂またはこの樹脂からの蒸気にさらすことなしに、基質の硬化が達成され、基質は、活性化樹脂の一様な分布を確保するように圧縮される。
【0018】
1つの実施の形態では、注型製品は、ケーシングに配置されていて、ほぼ積層関係で繊維基質の少なくとも一方の表面に沿って位置決めされた浸透性ブリーザを有している。
【0019】
他の実施の形態では、通路は、ケーシングから延びている注入管を有しており、その端部は、流体注入装置および真空に連結するように構成されている。管は、その遠位部分に沿って規定された複数の穴を有している。
【0020】
他の実施の形態では、注型製品は、ケーシングに配置されていて、ブリーザおよび基質とほぼ積層関係でブリーザの表面に沿って位置決めされた液体収容ポーチを有している。
【0021】
他の実施の形態では、シールされた孔が、シール可能な通路を規定しており、このシールされた孔は、流体注入装置で容易な刺しあけを可能にするようにあけられている。
【0022】
本発明のこれらおよび他の重要な目標および目的は、添付された図面、説明および請求項を参照して更にされている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図面を詳細に参照すると、注型製品60が、図1に示されている。注型製品60は、身体部分の不動化における好適な用途では、操作可能な注型製品の適用を許容する適切な規模の構造部材であろうと、任意の他の種類の物体であろうと、物体のまわりに硬質の構造体を形成するのに適した任意の特定の大きさまたは形状で販売されることができる。
【0024】
注型製品60は、空気または水のような所定の流体により活性化された樹脂が含浸された可撓性の繊維基質10を有している。ここで論述する実施の形態では、水が所定の流体として使用される。基質10は、好ましくは、織製または編製の比較的開放した布またはメッシュの適当数のオーバーレイド層で構成されている。基質10には、ほぼ無湿分状態に維持されると、安定のままであるが、十分な湿分にさらされると、硬貨して剛性の自己支持性構造体を形成する樹脂、一般には、反応系が含浸されている。
【0025】
1つの実施の形態では、樹脂は、ポリウレタン樹脂であるが、硬化または活性化を制御することができるかぎり、他の種類の樹脂を使用することが可能である。
【0026】
1つの実施の形態では、基質10として織製ガラス繊維が使用されてもよいが、
織製ポリエステル、スパンデックス、炭素繊維およびケブラーのような他の材料が基質として適当であることもある。変更例として、基質10は、多数の交差部を間に形成して異なる方向に及ぼされる力に対する硬化注型製品の耐性を増大するランダム配置された繊維を含めて、前述の材料に限定されない不織材の単一層で形成されてもよい。
【0027】
基質10は、ケーシング12により包囲されており、このケーシング12は、基質10を包囲し、樹脂と反応するためにしようされる液状の水の注入を許容し、硬化樹脂からの蒸気を収容し、そして残存する蒸気を除去するのに使用される真空引きに絶えるために使用されるポーチを規定している。ケーシング12は、基質10を大気中の湿分への過剰の露出から保護し、可撓性である材料から形成されている。好適な実施の形態では、ケーシングは、湿分不透過性である。注型中、ケーシングが身体部分の皮膚に接触するので、このケーシング12は、皮膚の炎症を引起こさず、身体部分の輪郭に合致する材料から形成されるべきである。
【0028】
ケーシング12は、シリコーン、ポリウレタンまたはポリエステルを含む可撓性のポリマーフィルムまたはこれらの適当な材料のいずれかで被覆された織物を含めて、様々な異なる材料から形成されてもよい。ケーシングは、図1にシーム30により示されるように選択された材料のシームに沿って溶着されるか或いは付着されてもよい。
【0029】
ケーシングは好適な実施の形態では湿分不透過性であるとのべているが、変更例としてケーシングが湿分透過性であってもよいことは理解されるであろう。この変更の実施の形態では、ケーシングが、注型製品を通って蒸発する発汗を許容するように湿分透過性であることが好ましい。この変更例のケーシングは、湿分透過性であってもよいが、注型製品を形勢するときに、適当な後方の真空環境を引き込むために、十分に織られているか、或いは十分に密な多孔性を有するべきである。更に、ケーシングは、基質を活性化するのに使用される液体を十分に保持するように構成されるべきである。
【0030】
好適な実施の形態では、ケーシング12は、未シール時に大気とケーシング12の内部との間を連通する気密にシール可能な通路14を規定している。この実施の形態では、通路14は、ケーシング12により規定されるシール可能な管である。基質10における樹脂の活性化に先立って、ケーシング12の内部が、管14の端部に位置決めされたキャップ16で大気からシールされる。
【0031】
通路14は管として図1に示されているが、この通路14は、ケーシングへの水の導入および真空での除去を許容するように構成された任意の適当な手段よりなってもよい。より詳細には、通路14の例としては、ケーシング12に沿って規定され、あけられているが、それでもケーシング12を気密にシールし、流体注入装置または真空により容易な穴あけを許容するシールされた孔と、ケーシングに沿って配置され、ケーシングの内部を気密にシールし得るジッパーとが挙げられる。変更例として、通路14は、基質10の樹脂を活性化することを望むときにケーシングを穴あけして孔を形成することにより構成されてもよい。
【0032】
図1および図2には、ブリーザ20が、ほぼ積層の関係で基質の表面に沿って配置されているものとして示されている。このブリーザ20は、水蒸気および液状の水が自由に通る複数の穴または通路を有している。好ましくは、ブリーザ20は、基質10に含浸された樹脂を活性化する際に使用しようとする液状の水を吸収しないように疎水性の布で形成されている。ブリーザ20は、水を基質10を横切って分配するように液状の水の通過を許容する任意の多孔性材料で形成されることができる。
【0033】
図3に示されるように、剥離フィルム66の層が、基質10とブリーザ20との間に配置されている。この剥離フィルム66は、ケーシング12が取外しを必要とするときに、基質10からのブリーザ20の取外しを容易にする。
【0034】
図3は、基質10およびブリーザ20に対してほぼ積層の関係でケーシング12内に配置されている液体収容ポーチ32を横断面で示している。この液体収容ポーチ32は、プラスチックのような流体不透過性材料で製造されていて、樹脂を活性化するために、収容された水のような液体をブリーザ20の上方および基質の上に分配するために圧力により破裂されても、或は他の方法で開口されてもよい、
図4は、基質10およびブリーザ20に対してほぼ積層の関係でケーシング12内に配置されている断熱層34を横断面で示している。この断熱層34は、ブリーザ20と反対側で基質10の表面に沿って配置されているものとして示されている。断熱層34は、基質10の硬化樹脂から発生される熱に対して身体部分を断熱するように配置されている。また、断熱層34は、身体部分に合致するパッド層として役立つことができる。
【0035】
図5は、図1に示される通路14に挿入されるように構成された注入管22を示している。この注入管22は、その遠位部分に沿って規定された複数の孔24を有している。図7に示されるように、注入管22は、孔24を有する遠位部分64が水を基質10を横切って分配するようにケーシング12の中へ十分に延びるように寸法決めされ、構成されている。また、管22は、孔24を有していない近位部分が通路14から外方に延びるように配置されている。管22の近位部分62は、流体注入装置26または真空装置28を受けるように構成されている。
【0036】
図6は、保護囲い体36内のケーシング12を示している。囲い体36は、好ましくは、アルミニウム箔または任意の他の適当な湿分不透過性材料で形成されている。保護囲い体36は、樹脂の早期硬化を防ぎ、従って注型製品の保存を長くするために注型製品60を保護するのに役立つ。囲い体36は、好ましくは、その周縁部をシールするか、或いは単一のシームに沿って箔の縁部を連結することによって形成されている。従って、シール作用が湿分の進入を防ぐかぎり、アルミニウム箔囲い体36のいずれの種類のシール構造も、適している。
【0037】
注型製品を作成する方法に移ると、本発明の注型製品は、繊維基質10に樹脂を含浸させることによって製造される。水活性化樹脂の含浸前に、基質10はいずれの湿分も無いものでなければならなく、従って、含浸に先立って、基質10が乾燥室またはデシケータ内に保持されるのが好ましい。更に、基質10への樹脂の含浸が湿分の無い環境で行なわれることが必要である。
【0038】
基質10には、自由流動性の未硬化の半粘性液体が含浸される。1つの実施の形態では、樹脂は、ポリウレタン樹脂であるが、硬化または活性化を制御することができるかぎり、他の種類の樹脂を使用することが可能である。基質10に樹脂が含浸された後、ブリーザ20が、含浸された基質10への水の流入を容易にするように、また注型中、空気の排気を助けるように位置決めされる。
【0039】
含浸された基質10およびブリーザ20は、それらの挿入を許容するように構成された開口部66と、ケーシングの内部と大気との間に通路を規定する気密シール可能な通路14とを有する湿分不透過性の保護ケーシング12の内側に設置される。ケーシングの開口部66は、湿分への基質10の露出を防ぐためにその周囲に沿ってシールされる。シールされたケーシング内に過剰の空気がある場合、空気をケーシングの内部から引き出すために真空が使用される。図6に示されるように、ケーシング12は、湿分からの追加の保護をもたらし、注型製品60の長期保存を許容するように保護囲い体内に位置決めされる。
【0040】
図1に示されるように、この方法は、更に、ブリーザ20が液状に水の通過を許容して水を基質10を横切って分配するようにするように、ブリーザ20を基質10の表面に沿って位置決めする工程を有してもよい。
【0041】
変更例として、基質10は、樹脂の含浸に先立ってケーシング12内に設置される。この場合、樹脂は、ケーシング12に注入されてその中の基質10に侵入する。更に、基質10内の樹脂の侵入をより効果的に強制したり、注型製品中の残存するヒュームおよび湿分を処分したりするために、いずれの残留湿分またはヒュームをもケーシング12内に存在する樹脂から引き出するのに、真空装置が使用されることができる。
【0042】
前述の変更例として、樹脂は、UV光を基質10に差し向けることによって活性化される。UV光を基質10に差し向ける工程は、樹脂を活性化するために水を注入する工程に取って代わるのに役立つ。しかしながら、樹脂が基質10全体にわたって一様に分配されてその結果生じる製品の最適な強さを確保するために、UV光で樹脂を活性化した後に真空装置を用いることもできることは気づくべきである。
【0043】
変更の実施の形態では、真空は、通路14を覆って設置される吸引カップにより達成される。この場合、通路14は、ケーシング12内の穴または刺し穴を備えている。この実施の形態によれば、吸引カップがケーシングに直接連結してもよいので、配管は、必ずしも必要とされない。しかしながら、穴または刺し穴を吸引カップに連結するために管を使用することができることは気づくべきである。この実施の形態は、樹脂がUV光により活性化されるなら、特に有用である。
【0044】
注型製品を身体部分に付けるための本発明による方法は、遠位部分64に沿って規定された複数の孔を有する注入管22をケーシング12に挿入する工程と、水を流体注入装置26、好ましくは、注射器で通路を通してケーシング12に注入して基質10に含浸された樹脂を活性化する工程と、樹脂が活性化された後、通路14に連結された真空装置28でケーシング12から過剰の水を取出す工程と、含浸された基質10を身体部分の形状に合致させるようにケーシング12を身体部分に付ける工程と、樹脂を硬化して身体部分により規定された注型製品60の形状を保持する工程とを備えている。
【0045】
樹脂の硬化後、形成された基質10からケーシング12を取外すことができる。
【0046】
変更例として、この方法は、基質を圧縮し、同時に蒸気および過剰の樹脂を取出すのに使用される真空装置28で注型製品を身体部分に合致させる工程を有している。この場合、真空装置28は、注型製品60を身体部分に効果的に合致させる。
【0047】
前記方法の変更例として、方法は、樹脂を活性化するに先立って注型製品60を身体部分上に設置し、注型製品が形状硬化されると、注型製品60を身体に残す工程を有している。
【0048】
前記実施の形態について本発明による材料の組合せおよび方法を説明した。本発明の精神を逸脱することなしに、材料の或る交換およびわずかに変更された方法の使用が可能であることは、当業者にはわかるであろう。かくして、本発明の範囲は、本願に述べてある開示製品および方法の工程に限定されるべきではなく、請求項およびそれらの同等の文の言い回しにより述べられ、それに含まれる製品および方法の工程にのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】大気からシールされた注型製品の斜視図である。
【図2】ブリーザを備えた注型製品の横断面図である。
【図3】水ポーチを備えた図2の注型製品の横断面図である。
【図4】追加の水ポーチを備えた図3の注型製品の横断面図である。
【図5】複数の孔を有する管の平面図である。
【図6】流体不透過性ポーチにおける注型製品の平面図である。
【図7】樹脂湿気付与および除去装置に連結された図5の管に連結された注型製品の平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体のまわりに硬質の構造体を形成するための注型製品であって、
流体活性化樹脂が含浸された可撓性の繊維基質と、
この含浸された基質を囲み、内部が真空またはほぼ真空の環境を許容するように構成された可撓性の保護ケーシングとを具備し、
前記ケーシングは、大気と前記ケーシングの内部との間に規定され、シール可能な通路を有しており、この通路は、前記樹脂の活性化を果たさせるために、前記ケーシングに対する流体の注入および排出を可能にしている注型製品。
【請求項2】
前記ケーシングの内部に配置され、前記含浸された基質の少なくとも一方の表面に沿って位置決めされた透過性ブリーザ基質を更に具備している請求項1に記載の注型製品。
【請求項3】
前記通路は、前記ケーシングから延びているシール可能な管部分を有しており、この管部分の開放端部は、流体注入装置または真空と連結するように構成されている請求項1に記載の注型製品。
【請求項4】
これの遠位部分に沿って規定された複数の孔を有する注入管を更に具備しており、この注入管の前記遠位部分は、前記通路を通して前記ケーシングの内部に挿入されるように構成されている、請求項1に記載の注型製品。
【請求項5】
前記含浸された基質の少なくとも一方の側に沿って前記ケーシングにより囲まれた液体を収容する、シールされ、湿分不透過性の破裂可能なポーチを更に具備している請求項1に記載の注型製品。
【請求項6】
前記ケーシングを囲む湿分不透過性箔製の保護囲い体を更に具備している請求項1に記載の注型製品。
【請求項7】
前記ブリーザ基質と含浸された基質との間に配置された剥離フィルムを更に具備している請求項2に記載の注型製品。
【請求項8】
前記含浸された基質を囲むパッド層を更に具備している請求項1に記載の注型製品。
【請求項9】
前記ケーシングの内面に沿って位置決めされた断熱体を更に具備している請求項1に記載の注型製品。
【請求項10】
前記ケーシングは、少なくともほぼ湿分不透過性を有する請求項1に記載の注型製品。
【請求項11】
物体のまわりに硬質の構造体を形成するための注型製品を製造する方法であって、
湿分硬化性樹脂を可撓性の繊維基質に、この樹脂が前記基質に一様に分布されるように、含浸させる工程と、
大気と内部との間に規定されたシール可能な通路を有する湿分不透過性の保護ケーシング内に、含浸された基質を設置する工程とを具備している注型製品を製造する方法。
【請求項12】
物体のまわりに硬質の構造体を形成するための注型製品を製造する方法であって、
大気と内部との間に規定されたシール可能な通路を有するケーシング内に可撓性の繊維基質を配置する工程と、
流体硬化性樹脂を繊維基質上に、繊維基質が含浸するように、注入する工程と、
前記ケーシングを大気からシールする工程とを具備している注型製品を製造する方法。
【請求項13】
物体のまわりに硬質の構造体を形成するためのキットであって、
樹脂が含浸された可撓性の繊維基質と、この含浸された基質を囲み、大気と内部との間に規定されたシール可能な通路を有する可撓性の保護ケーシングと、
前記通路により受けられるように構成され、前記ケーシングの内部への流体の注入を可能にし、前記ケーシングに注入された流体により前記樹脂を活性化させる、注入装置と、
前記通路により受けられるように構成されている真空とを具備しており、この真空は、前記通路に連結され、樹脂を活性化するのに使用される流体が前記注入装置により注入された後、前記ケーシング内の過剰の流体の取出しを可能にする、硬質の構造体を形成するためのキット。
【請求項14】
前記注入装置は、注射器を有している請求項13に記載のキット。
【請求項15】
前記注入装置は、これの遠位部分に沿って規定された複数の穴を持つ管を有しており、この管の前記遠位部分は、前記通路を通して前記ケーシングの内部に挿入されるように構成されている請求項13に記載のキット。
【請求項16】
前記ケーシングは、少なくともほぼ湿分不透過性を有する請求項13に記載のキット。
【請求項17】
流体活性化樹脂が含浸された可撓性の繊維基質と、この含浸された基質を囲んでいて、大気と内部との間に規定されたシール可能な通路を有する可撓性の保護ケーシングとを有している注型製品で身体部分を不動化するための方法であって、
流体を前記通路を通して前記ケーシングに注入して前記樹脂を活性化する工程と、
前記樹脂が活性化された後、前記通路に連結された真空で過剰の流体を前記ケーシングから取出す工程と、
含浸された基質を身体部分の形状に合致させるように前記ケーシングを身体部分に付ける工程と、
前記樹脂を硬化して身体部分により規定された形状を保持する工程と、を具備している注型製品で身体部分を不動化するための方法。
【請求項18】
これの遠位部分に沿って規定された複数の孔を持つ注入管を挿入する工程を更に具備しており、この注入管の前記遠位部分は、前記通路を通して前記ケーシングに挿入されるように構成されている請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記注入管の前記遠位部分は、前記基質の表面に沿って配置されたブリーザを横切って位置決めされている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
物体のまわりに硬質の構造体を形成するための注型製品であって、
UV光に露出されると、硬化する樹脂が含浸された可撓性の繊維基質と、
前記含浸された基質を囲む可撓性の保護ケーシングと、を具備している注型製品。
【請求項21】
前記ケーシングを囲むUV光不透過性ポーチを更に具備している請求項20に記載の注型製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−502819(P2006−502819A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−546742(P2004−546742)
【出願日】平成15年10月10日(2003.10.10)
【国際出願番号】PCT/US2003/029120
【国際公開番号】WO2004/037428
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(300002872)オスール・エイチエフ (8)
【Fターム(参考)】