説明

注射デバイス

薬剤のリザーバを含む半自動の「固定」用量注射デバイス(1)が開示され、ここで、トリガ(6)は、使い捨て針を通してリザーバから薬剤の事前投与された注射をおこなうために、トーションばね(6)の巻き戻しを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カートリッジから、好ましくは、単針を通して、特に、使用者がトリガを起動させるとき、半自動的に薬剤の事前に決定された用量を送達し得る「固定された」用量注射デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
複数回使用、及び使い捨ての注射デバイスは、注射薬剤の送達のために一般的によく使われている。そのようなデバイスは、使用者が特定の時間間隔で、例えば、速効性の、又は基礎的なインスリン、GLP−1、ヘパリンなどの薬剤の繰り返し用量を取り得るようにすることが必要である。繰り返し注射することは、ある使用者に対して、特に視力が不均等であり、又は認知障害の使用者に対しては、不便であり、混乱を与える。
【0003】
それ故、使用するのに容易であり、そして、使用者に、薬剤の事前に決定された「固定」用量を設定することを可能にする注射デバイスを提供する強い必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、新規な注射デバイスを、好ましくは、改良された注射デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本目的は特許請求範囲の独立項の主題で達成し得る。有利な実施態様及び改善は、特許請求範囲の従属項の主題である。
【0006】
本開示は、例えば、好ましくは、使用者が薬剤の事前に設定された用量をダイヤル設定のみ実施できる半自動の注射デバイスを提供することにより、上記の問題を解決するのに役立つ。これら及びその他の利点は、本発明の次に示すより詳細な記述から明らかになるであろう。
【0007】
特許請求範囲の主題は、とりわけ以下の記述から明らかになるであろう様々な利点を有する。
【0008】
例示的な配置によると、本開示の注射デバイス、例えば、固定用量の注射デバイスは、多くの注射が、容器が空になるまで、同一の薬剤容器又はカートリッジから投与できることを意味する複数回使用のデバイスである。デバイスは、デバイス全体が、薬剤容器が空になったとき捨てられる、使い捨て変形体として作られてもよく、又は使用者が空の薬剤容器を捨て、そして代替し、そして駆動機構を再使用することができる再使用可能変形体として作られてもよい。それぞれの分離した注射に対して、使用者は、手動で新しい殺菌した針を取り付けてもよい。注射の後、この針は手動で除去し、捨ててもよい。
【0009】
本開示の注射デバイスは「半自動」注射デバイスであり得る。これは、液体薬剤が、好ましくは、デバイス内に巻かれた用量スプリングからの貯蔵エネルギの作用で、針を通して自動的に送達されることを意味する。しかしながら、使用者は、注射の前に、針を手動で挿入し、注射後、針を取り除き、及び/又は、注射を完結するためにトリガを起動させる必要があるかもしれない。使用者は、また、投与の間で用量スプリングを「リチャージ」する必要があるかもしれない。これは用量設定手法の一部として実施され得る。エネルギは、用量設定中にエネルギが用量を注射するために解除され得る用量スプリング内に貯蔵され得る。
【0010】
本開示の「固定」投与機構を用いて、固定用量が0.01ml〜約0.30mlの範囲(1インスリンユニットから約30インスリンユニット)であるように構成することは可能である。開示されたデバイスは、事前決定された固定用量のみ送達するので、用量ダイヤルは、単一の事前決定された固定用量に対してのみマーキングを付けてもよい。他の用量マーキングは必要でない。駆動シャフト上のラチェットがギヤ上のギヤ歯と係合するにつれて、用量ダイヤルが音を立てるとすぐに、使用者は、固定用量用のマーキングまで用量ダイヤルを回転し得る。この時点で、用量ダイヤルは、「設定」位置に都合よく留まる。使用者は、用量スプリングの作用、例えば、ねじれ作用により固定用量より少ない用量をダイヤル設定することを阻止し得る。使用者が用量ダイヤルラチェットを係合するのに十分に用量ダイヤルを回転しない場合、その後、使用者が用量ダイヤルを解除するや否や、用量スプリングは、用量ダイヤルをゼロユニット位置まで逆方向に回転させる。使用者が用量ダイヤルの走行を制限する一つ又はそれ以上の機械的停止部により大きい用量をダイヤル設定することを阻止され得る。
【0011】
固定された事前に決定された用量の設定は、好ましくは、恒久的に用量ダイヤルに連結され得る、ギヤ、トリガ、及び駆動シャフトの相互作用により制御され得る。用量の設定中、ギヤはトリガによる回転を阻止し得る。トリガは、ギヤの外側上の補助歯を係合する内面上の一セットの歯を有してもよい。ドライブシャフトは、好ましくは、互いに角度αで、等しい空間で配置される一つ又はそれ以上の限定数の歯と係合するラッチェトアームを有する。歯はギヤの近位側で、及び/又は、内面上で提供され得る。好ましくは、この角度αは、少なくとも約20度であり、最も好ましくは、約30度〜約180度の範囲である。好ましい範囲の最小端は、使用者により容易に識別できる最小の回転により決定され得て、それで、用量が設定されたか否かが明確になる。好ましい範囲の最大端は、使用者が用量の設定中にグリップを著しく変化させないで、一つの単独運動を快適に実施できる最大回転により決定され得る。例えば、120度の回転は、使用者にとってより快適であるかも知れないが、180度も、また、可能である。更にその上、角度αは、歯がギヤの内面の周囲に均一な空間を以って配置できるために、好ましくは、360度の除数である。変更可能な用量の注射器において、ギヤの内面上で各々の歯は、通常、用量ダイヤルの1インデクッスに、例えば、21ユニット構成に対して、0.01ml(1インスリンユニット)、又は42ユニット版に対して、0.02ml(2インスリンユニット)に対応する。これらの非固定用量デバイスにおいて、歯の間の角度は、常に16度より小さい。これは、角度αが、好ましくは、常に約20度より大きくなる本開示に対して対照的である。これら先行技術のデバイスにおいて、用量をダイヤル設定するとき、使用者は用量ダイヤルを回転し、そして駆動シャフトラチェットが歯の希望の数をクリックする。この方式においては、多くの異なった用量数は、デバイスが使用される度に設定できる。これは、好ましくは、デバイスが使用される各回毎に同一の「固定された」事前決定用量を設定するために一つの歯のみに打ち勝つために回転を必要とする本開示の固定用量デバイスにおいては可能ではない。好ましくは、一つより多くの歯に打ち勝つかもしれない回転は阻止される。
【0012】
用量ダイヤルを回転することは、また、エネルギ、例えば、ねじれエネルギを用量スプリング内に貯蔵し得る。トリガを起動し、例えば、押すと、トリガ及びギヤは、係合を解除し得る。特に、ギヤ上の歯、好ましくは、ギヤ上の外部の歯は、トリガ上の対応する歯から係合が解除され、そしてギヤは、回転が自由になる。用量スプリングは、駆動シャフトを回転駆動させ、それは好ましくは、順番に、特に、ギヤを回転させる。何故ならばラチェットアームは、ギヤの歯と、好ましくは、ギヤの内部歯と係合する。ギヤは、プランジャの一つ又はそれ以上の外部ねじ山と係合する一つ又はそれ以上の内部ねじ山を有し得る。個々のねじ山、好ましくは、プランジャ、及び/又は、ギヤのねじ山のピッチβは、都合よく軸方向に拘束されたギヤの回転が非回転のプランジャを軸方向に動かせるように選択し、及び適合し得る。好ましくは、角度α、及びピッチβは、プランジャの軸方向の前進が希望する固定用量に対応した特定値に設定するように選択される。プランジャの軸方向の前進は、計算式:
前進=(α/360)×β
で決定し得る:
【0013】
より具体的には、角度αは、好ましくは、約30度〜約180度の範囲内である。プランジャ、及び/又は、ギヤ上のねじ山のピッチβは、好ましくは、約1.5mm〜約12mmである。別の表現で、α/βの比は、約10〜約20度/mmの範囲内にあることが好ましい。
【0014】
好ましくは、「固定された」事前決定用量を規定し(dictate)、又は用量に貢献するギヤ上の限定された数の歯は、ギヤの円周上に均一な空間を以って配置される。歯の間の角度αは、好ましくは、固定用量が送達されるとき、駆動シャフトが回転する角度に対応する。例えば、ギヤが4つの歯を含む場合、その結果、それらの間の角度αは、90°になるであろう。駆動プランジャのねじ山のピッチβが6mmの場合、その結果、90°の回転は、プランジャを、1.5mmの「固定」増分で前進させることになろう。ギヤ歯の数、及びプランジャ間のねじ山ピッチβを適切に設計することにより、固定用量の名目的な体積は変更できる。本明細書に開示されたデバイスの先行技術のデバイスに対する特別の利点は、小容量(例えば、用量<0.05ml又は5インスリンユニット)が、改良された用量精度で送達できることである。これは、大きい角度α及び小さいねじ山ピッチβの組合せで実施し得る。大きい角度αは、いかなる角度誤差(例えば、ギヤ又はラチェットアームの製造上の許容誤差に起因する変動性)も、角度αの小さいパーセントを表すのみであること意味する。ねじ山のピッチβの小さい値とこれを組み合わせることが、小容量の送達のために必要なプランジャの小さい前進を生成するであろう。大きい角度αの更なる利点は、好ましくは、自動的な用量送達のために必要なエネルギを提供するトーションばねがより長い運動を負荷することである。これは、使用者が所定量のエネルギをスプリングに充填しなければならいダイヤル設定したトルクが、より小さい値αを有するデバイスと比較して低下することを意味する。
【0015】
既に述べた通り、使用者が駆動シャフトのラチェットアームを係合するために十分な角度で用量ダイヤルを回転することに失敗した場合、その結果、用量は設定されないであろう。用量スプリングは、用量ダイヤル及び駆動シャフトを用量ダイヤルのゼロユニット位置へ逆方向に回転させるであろう。従って、使用者にとってギヤ歯の空間により決定される「固定用量」以下のいかなる用量も設定することは不可能である。用量ダイヤルは固定用量用のマーキングにおいて残存するよりむしろ、直ちにゼロユニットへ逆回転するという事実は、使用者に用量が適切に設定されなかったという事実を警告するであろう。これは、使用者がゼロ用量を送達しようとする試みを阻止することになる。これは、使用者が一つの動きで用量ダイヤルをどこまで回転することが期待できるかの人間工学的限界を設定する。従って、二つのギヤ歯が最小であるべきことが好ましい。これは、使用者が適用しなければならない最大の角度は180°であることを意味するであろう。
【0016】
デバイスの最大用量は、用量ダイヤル(そしてそれ故、駆動シャフト)の回転を制限するであろう機能を加えることにより制限され得る。この回転の制限は、使用者が、常に、ラッチェトアームを一つのギヤ歯を超えて(いかなる製造上の許容誤差に関係なく)、そして第二の歯を超えずにダイヤル設定することが可能であることを確実にするために設計されるであろう。実際に、このことは、製造上の変動性の影響がこの範囲外では回転の停止をおこさせないことを確実にするために、回転の停止は、領域α〜2αにおいて、十分なクリアランスを備えて設定し得ることを意味する。好ましくは、回転の停止は、使用者が第一のギヤ歯を超えて有意にダイヤル設定しないように、範囲の下限に向かって設定されるであろう。過剰回転のわずかな量は、ラッチェットアームが係合することを保証するために必要である。従って、用量ダイヤルの回転の制限は、ギヤ歯の間の角度αより若干大きい角度に設定してもよい。しかしながら、この過剰な走行は、ペン形注射器のいかなる用量精度の誤差にも貢献しない。何故ならば、使用者が用量ダイヤルを解除するとき、用量スプリングは、直ちに、ラチェットアームがギヤ歯に接触するまで、用量ダイヤル及び駆動シャフトを逆に回転させるであろう。トリガがこの点において押されなければ、その結果、駆動シャフトの回転がギヤを回転させず、それ故、いかなる薬剤も投与されない。多くの選択肢は機能を制限する回転を付加するために存在し、例えば、機能は用量ダイヤル及び本体、又は駆動シャフト及び本体に加えることができる。
【0017】
プランジャは、リセットダイヤルにおける機能により、好ましくは、プランジャの軸に沿った平坦部を係合する指により回転が阻止され得る。従って、ギヤの回転は、プランジャをギヤへのそのねじ連結に沿って前進させ、そしてこれが、遠位方向にピストン又は栓を動かすとき、液体を薬剤容器から投与させる。トリガが用量送達の間いかなる点において解除されても、トリガスプリングは、トリガ上の歯をギヤと、好ましくは、ギヤ上の外側の歯と強制的に再係合し、そして送達を停止させる。トリガを再度押すことは、用量が送達されるまで送達を継続させるであろう。
【0018】
本明細書に開示されたデバイスの先行技術に対する更なる利点は、トリガ及びギヤが起動位置においてトリガを保持するために使用者を必要としないで、完全な「固定」用量を送達するために、トリガのみが、単独の起動を必要とするように構成され得ることである。変動可能な用量デバイスは、普通は、使用者がダイヤル設定し、送達できる複数の最小用量に対応するいかなるポイントにおいてもギヤを再係合できるトリガを有し、即ち、ギヤ(ラチェットアームと係合する)の内面が、24個のギヤ有する場合、その結果、ギヤ(トリガと係合する)の外面は、また、24個のギヤ歯を有しなければならない。従って、用量の送達が開始されると、使用者は、用量の送達中いかなるときにおいてもトリガボタンを解除してもよく、そして送達が停止するであろう。用量送達が停止される可能性は、使用者が間違って、又は故意に不完全な用量を送達する投与誤差に導くかもしれない。
【0019】
提案された固定用量デバイスの更なる実施態様は、完全な用量が、トリガが保持されているかどうかに関係なく、トリガ、例えば、トリガボタンの一押しで送達されるようにデバイスの使用可能性を改良することを求める。これは、トリガ機構を改良することにより達成される。ギヤ及びトリガの歯は、一セットのオス型及びメス型機能、例えば、ギヤ及びトリガ上の歯及びねじ溝により代替され得る。機能はギヤの円周上で等しい空間を以って配置され、そして、機能の数は、ギヤ/駆動シャフトインタフェースの用量設定の歯の数と合致するであろう。提案された機能は、ギヤがその固定回転を完結するまで、トリガがギヤを再係合させることを不可能にするであろう。従って、使用者は、送達を開始するときトリガを押し、そしてその後、完全な用量は、使用者がトリガを保持しているか否かに関係なく、自動的に送達されるであろう。トリガが自動的に投与の終了場所に、例えば、トリガスプリングの駆動で、摺動するので、使用者は、用量が完全に送達されたことを視覚的に確認するであろう。加えて、トリガは、ギヤを再係合するとき、クリックして、聴覚的確認を同様に提供する
【0020】
薬剤容器が空になった後、使用者はプランジャをその初期位置にリセットすることができ、そして薬剤容器は、その後、デバイス内に積載し、デバイスは再使用可能となる。
【0021】
本開示の固定用量デバイスの調節(titration)ペン形変形体も、また、可能である。この変形体において、用量の最大回転は、ラチェットアームを一つのギヤ歯のみを超えて回転することを可能とすることに制限されない。代わりに、最大の回転は、ラチェットアームを複数のギヤ歯を超えて回転することを可能にするように設計される。ラチェトアームが回転し得るこれまでの歯の数は、使用者が設定を希望した「調節」用量数に対応するであろう。調節デバイスは、使用者により設定されるべき調節用量を5又はそれ以下、例えば、3又はそれ以下を可能とするように構成でき得る。例えば、デバイスは、プランジャの90°の回転が5ユニットの用量を送達ように設計され、そしてギヤが4ギヤ歯で設計されると、その結果、ラチェットアームが90°毎にギヤ歯と係合することになるであろう。用量ダイヤルを270°に設定することは、使用者により3つの異なった用量:5ユニット、10ユニット、15ユニットを設定することを可能にする。15ユニット用量に到達するために、使用者は270°に対応して、駆動シャフトの3つの爪を通して用量ダイヤルを回転するであろう。しかし、単独の固定デバイスとは異なり、これは多くの工程において使用者により実施できる。しかしながら、合計回転を180°(それぞれのダイヤル設定された副用量は、180°以下にすべきであるが)に制限する必要はない。調節実施態様において、固定調節用量の間における用量の送達は、固定用量デバイス用の過少用量を阻止するのと同様の方法で阻止される。使用者が固定調節用量の間で用量をダイヤル設定する場合、用量スプリングは、用量ダイヤル及び駆動シャフトを、ラチェットアームが次の最低の調節用量に対応して、次のギヤ歯で係合するまで逆方向に回転させるであろう。設定用量は、用量ダイヤルにより使用者に明確に表示され、それでより高い用量が設定されなかったことが明確になるであろう。
【0022】
本明細書に開示されたデバイスの半自動機能は、注射デバイスを指導者が手動で押すことに依存する公知の送達デバイスに対してある種の利点を有する。これは、年長の使用者又は手先の器用性が低下した使用者にとって困難性を、又は苦痛をもたらす。また、用量ボタンを押している間、手で握ることは、デバイスと針の動きを発生させ、注射を苦痛なものにする。半自動デバイスはこの問題を取り除く。使用者は、用量の設定段階の間、注射を提供するためのエネルギを供給する。これは、指又は親指の力より、筋肉、腕、及び手首のより大きい組合せを使用してもよく、そして、患者にとってより容易になるべきである。また、エネルギは、針が体内へ注射される前に適用される。従って、それは、デバイスに何らかの動き又は揺れがあるかどうかの問題ではない。
【0023】
公知の手動で駆動するデバイスにおいて、使用者が用量ダイヤルを完全に内側に押さず、その結果、過少用量を送達するかもしれないことは可能性がある。本開示の半自動デバイスにより、完全な用量はより一貫して達成される。同様に、手動で用量ボタンを押すことを必要とする先行デバイスにおける用量精度は、時間を変えるためにボタンを押し、保持するところでは、使用者に一貫して行動しないようにさせるかもしれない。異なったボタンの保持時間は、薬物容器又はカートリッジ内で、栓又はピストン、例えば、ゴム栓又はゴムピストンの異なった膨張を可能にし、そしてこれは、用量間の変動性を作り出す可能性を有する。本明細書に開示されたデバイスの半自動機能は、この変動性を除去する。何故ならば、用量スプリングは、使用者に独立して働き、特に注射中はそうである。従って、用量の送達中、薬剤容器の栓又はピストンに適用される力は、トリガボタンに適用される力に関係なく、デバイスのデザインで決定され得る。
【0024】
次のテキストにおいて、一連の注射デバイスの特に有利な態様は、個々の態様を参照することを支援するための数字の使用により提供される。
【0025】
1.次の組合せを含む固定用量の注射デバイス:
a.ハウジング;並びに
b.以下を含む用量設定/注射アセンブリ;
i.薬剤の事前決定された固定用量に対応する角度αで互いにオフセットされる少なくとも二つの歯を有し、ハウジング内において軸方向に固定される、回転可能ギヤ;
ii.用量の送達中、遠位方向に事前決定された用量に等しい距離を動くように、角度αに適合するピッチβを有する回転可能ギヤにねじ係合されるプランジャ;
iii.トーションばね及び駆動シャフト;及び
iv.トリガが起動したとき、トーションばねが巻き戻され、そしてギヤ歯車を、角度α回転させ、そしてプランジャを遠位方向に動かして事前決定された固定用量を送達させる、回転可能ギヤに連結されるトリガ。
【0026】
2.態様1の注射デバイス、ここで、薬剤ハウジングがハウジングに連結され、そして薬剤のカートリッジを保持する。
【0027】
3.態様1の注射デバイス、ここで、角度αは、約20度〜約180度である。
【0028】
4.態様1の注射デバイス、ここで、α/βの比は、約10〜約20度/mmの範囲内である。
【0029】
5.次の組合せを含む固定用量の調節注射デバイス:
c.ハウジング;並びに
d.以下を含む用量設定/注射アセンブリ;
i.薬物の事前決定された固定用量に対応する角度αで互いにオフセットする少なくとも第一、第二、及び第三の歯を有し、ハウジング内において軸方向に固定される、回転可能ギヤ、;
ii.用量の設定中、第一、第二、又は第三のいずれかの歯と係合するように構成されたラチェットアームを有する駆動シャフト;
iii.プランジャが、用量の送達中、一つ又はそれ以上の複数の事前決定された用量に等しい距離を遠位方向に動くように、角度αに適合するピッチβを有する回転可能ギヤとねじ係合されるプランジャ;
iv.トーションばね;及び
v.トリガが起動したとき、トーションばねが巻き戻され、そしてギヤ歯車を、角度α回転させ、そしてプランジャを遠位方向に動かして事前決定された固定用量を送達するように、回転可能ギヤを連結されたトリガ。
【発明を実施するための形態】
【0030】
異なった態様、実施態様などと関連した上記又は下記の機能は、勿論、他の態様、実施態様などと関連して記載された機能と、又はそのような機能が本明細書に明確に記述されていない場合でも、そのような機能の組合せとも組み合わせられる。
【0031】
本開示の様々な態様の上記の利点並びに他の利点は、添付の図面を適切に参照し、次の詳細な記載を読むことにより明確になるであろう。
【0032】
例示的な実施態様は、図面を参照して本明細書に記載される:
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本開示の「固定」用量の注射デバイスの可能な一つの実施態様を示す。
【図2】固定用量静止ギヤ、駆動シャフト、及びギヤの内面上の4つの歯の1つに係合するラッチェットアームを示す本開示の「固定」用量注射デバイスを通した横断面図を示す。
【図3】本開示の用量設定アセンブリの駆動シャフト、ギヤ、及びトリガの可能な実施態様を示す。
【0034】
本開示の「固定」用量の注射デバイス1の概略の断面図は、図1に示される。デバイスは二つの主アセンブリ:用量設定/注射アセンブリ;及びカートリッジホルダ4を含む。デバイスは、本体3を含む。用量設定/注射アセンブリは、少なくとも部分的に本体3内に保持され、収納されてもよい。用量設定及びカートリッジホルダのアセンブリは、有意差を有する米国特許第5104380号で記載されたものと設計及び操作上においても同様である。一つの有意差は、開示されたデバイスは、多くの異なった用量とは対照的に、使用者に固定された事前決定された用量のみを設定することを可能とするように構成されることである。操作におけるこの差異は、ギヤ10の新規なデザインをもたらす。ギヤのこの新規なデザインは、図2によく示されている。
【0035】
カートリッジ23は、カートリッジホルダ内に保持される。ピストン17は、カートリッジ23内に配置され、可動的に保持されてもよい。カートリッジ23は、デバイス1から投与される薬剤を都合よく保持する。ピストン17はカートリッジ23内に薬剤をシールし得る。
【0036】
本明細書で使用する用語「薬剤」は、好ましくは、少なくとも一つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで一実施態様において、薬学的に活性な化合物は、最大で1500Daまでの分子量を有し、及び/又は、ペプチド、蛋白質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体、ホルモン又はオリゴヌクレオチド、若しくは上記の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈又は肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症、及び/又は、関節リウマチの処置、及び/又は、予防に有用であり、
ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置、及び/又は、予防のための、少なくとも一つのペプチドを含み、
ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも一つのヒトインスリン又はヒトインスリン類似体若しくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、又はその類似体若しくは誘導体、又はエキセンジン−3又はエキセンジン−4、若しくはエキセンジン−3又はエキセンジン−4の類似体若しくは誘導体を含む。
【0037】
インスリン類似体は、例えば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;ヒトインスリンであり、ここで、B28位におけるプロリンは、Asp、Lys、Leu、Val又はAlaで代替され、そして、B29位において、Lysは、Proで代替されてもよく;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、及びDes(B30)ヒトインスリンである。
【0038】
インスリン誘導体は、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイル ヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0039】
エキセンジン−4は、例えば、エキセンジン−4(1−39)、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドを意味する。
【0040】
エキセンジン−4誘導体は、例えば、以下の化合物リスト:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);又は
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
ここで、基−Lys6−NH2は、エキセンジン−4誘導体のC−末端と結合してもよく;
【0041】
又は以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desMet(O)14,Asp28,Pro36,Pro37,Pro38 エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5,desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25, Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)
6−NH2
又は前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物;
から選択される。
【0042】
ホルモンは、例えば、ゴナドトロピン(ホリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロパイン(ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレッシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどのRote Liste、2008年版、50章に表示されている脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は規制活性ペプチド及びそれらの拮抗剤である。
【0043】
多糖類としては、例えば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、又は超低分子量ヘパリン、若しくはその誘導体、又はスルホン化された、例えば、上記多糖類のポリスルホン化形体、及び/又は、薬学的に許容可能なその塩がある。ポリスルホン化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例としては、エノキサパリンナトリウム塩がある。
【0044】
薬学的に許容可能な塩は、例えば、酸付加塩、及び塩基塩がある。酸付加塩としては、例えば、HCl又はHBr塩がある。塩基塩は、例えば、アルカリ又はアルカリ土類金属、例えば、Na+、又は、K+、又は、Ca2+から選択されるカチオン、又は、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)を有する塩であり、ここで、R1〜R4は互いに独立に、水素;場合により置換されるC1〜C6アルキル基;場合により置換されるC2〜C6アルケニル基;場合により置換されるC6〜C10アリール基、又は場合により置換されるC6〜C10ヘテロアリール基を意味する。薬学的に許容される塩の別の例は、“Remington's Pharmaceutical Sciences” 17編、Alfonso R.Gennaro(編集),Mark Publishing社,Easton, Pa., U.S.A.,1985 及び Encyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0045】
薬学的に許容可能な溶媒和物としては、例えば、水和物がある。
【0046】
使い捨て注射ニードルアセンブリ(図示されていない)は、ハブ2に取り付けられ、それは、好ましくは、使い捨てニードルアセンブリ上のメス型ハブの内側に同様のピッチねじ山を係合する外部ねじ山を有する。固定用量を注射デバイス1内に設定することは、駆動シャフト9の相互作用により制御され、それは好ましくは、用量ダイヤル5、及びトリガ6に、都合よく、摺動可能に係合するギヤ10と恒久的に連結する。用量の設定中、ギヤ10は、ギヤ及びトリガに関する構成部品の相互作用により回転を阻止される。駆動シャフト9は、歯11をギヤ10の内面14上に係合するラッチェトアーム12を特徴付ける(図2参照)。それぞれの歯11は、図2において90°で示す通り、次の歯から角度αで分離している。ギヤの各々の歯は、一つの事前に決定された固定用量に対応する。上記の通り、ギヤ歯の数、及びギヤとプランジャ間のねじ山のピッチの適切な設計により、固定用量の名目的な体積は変更することができる。
【0047】
プランジャ7の動きは、カートリッジ23から注射されるべき薬剤の用量が用量ダイヤル5の回転で設定されるときねじれる、らせん状のトーションばね18に貯蔵されたエネルギにより実施できる。用量ダイヤルは、目盛の付いたスリーブ又は駆動シャフトの周りを回転でき、そして固定用量に対応する印刷された目盛り含んでもよい。本体3は、スリーブ又はシャフト上の目盛りは、固定用量が設定されたことを示すために読むことができるレンズ、又は一つ若しくはそれ以上の窓(明確に図示されていない)を有することができる。
【0048】
用量をダイヤル設定するとき、使用者が用量ダイル5を回転させ、それは連結された駆動シャフト9及びラチェットアーム12を回転させ、そしてギヤ10における歯11の一つをクリックする。使用者は角度αで用量ダイヤルを回転してもよく、又はαより若干大きい角度で回転してもよい。使用者は、例えば、本体内に提供されてもよい回転停止部(明確に図示されていない)により、2αで用量ダイヤル5を回転することを阻止される得る。それ故、固定用量を超えた用量を設定することは、阻止され得る。あるいは、一用量のみダイヤル設定し得る固定用量デバイスを提供する代わりに、調節デバイスが、上記で更に記載した通り、提供され得て、それは、限定された数、例えば、5又はそれ以下、好ましくは、3又はそれ以下の数の調節用量が、使用者によりダイヤル設定され得るように設計され得る。用量ダイヤルを回転することは、また、用量ダイヤルに締結された対応する用量スプリング18内に、ねじれエネルギを蓄える。この貯蔵されたねじれエネルギは、トリガ6が押され、あるいはまた別の方法で、スプリング18を巻き戻し、そして初期のゼロ位置に用量ダイヤル5及び駆動シャフト9を戻すことを起動させるとき、薬物用量を自動的に送達するために使用される。トリガ6が起動するとき、歯16はギヤ10上の歯15から係合を解除し、そしてギヤは駆動シャフト9と共に回転することが自由になる(図3参照)。
【0049】
用量スプリング18の貯蔵エネルギは、駆動シャフト5の回転を駆動させ、それは、順番にギヤ10を回転させることになる。ギヤ10は、プランジャ7とねじ係合する中央ねじ開口部22を有する。プランジャはリセットダイヤル13における機能により回転を阻止される。好ましくは、リセットダイヤル13は、駆動プランジャ7の長に沿って、向い合った二つの縦ねじ溝を係合する向い合った平坦部より成る二つの突起(図示されていない)を含む。対応するカートリッジホルダ4が本体3に取り付けられるとき、リセットダイヤル13は、本体3に対する回転を阻止する。それ故、カートリッジホルダ4が本体3に連結されるとき、駆動プランジャ7の回転が阻止される。駆動プランジャ7は回転することができず、そしてギヤ10は軸方向に動くことができないので、ギヤ10の回転が、駆動プランジャ7を軸の遠位方向にギヤ10においてねじ山と係合するピッチβを有するそのねじ山に沿って前進させ、カートリッジ23内でピストン17上に力を負荷する。これはカートリッジ内に圧力を上昇させ、そして液体薬剤をカートリッジの遠位端から取り付けられた針内に変位させる。ピッチβは、例えば、6mmであり、ギヤが90°の角度αで回転するとき、1.5mmのプランジャの軸方向の変位をもたらす。トリガ6が設定用量の送達中にいかなる時点で解除されても、歯15及び16は再係合し、ギヤ10の回転を停止し、その結果、薬物の送達を停止する。トリガ6が使用者により起動位置に保持されるとき、トリガスプリング8は、トリガ6を押して、ギヤ10の外側にあるギヤ歯15と再係合するようになるかもしれない。トリガ6が使用者により解除されるとき、トリガスプリング8は、トリガ及びギヤを再係合させるであろう。再度、トリガを押すことは、ダイヤル設定された全てのユニットが送達されるまで、送達を継続することになろう。薬剤の注射は、用量ダイヤル5が本体3に対して回転停止部(明確に図示されていない)に到達するとき、完了する。この停止位置は、用量ダイヤル5の「選択されたゼロ用量」位置に対応する。
【0050】
使用者が駆動シャフト9のラチェットアーム12を係合するために十分な角度で、用量ダイヤルを回転するのに失敗した場合、その結果、用量は設定されないであろう。用量スプリングは、用量ダイヤルのゼロユニット位置まで、用量ダイヤル及び駆動シャフトを逆方向に回転するであろう。従って、ギヤ歯の空間で決定された「固定用量」より低いいかなる用量を設定することも、使用者にとっては不可能であろう。
【0051】
注射時に、開口部22において提供され得るクイックピッチスレッド(quick pitch thread)に沿ったプランジャ7の軸方向の運動は、プランジャ7はリセットダイヤル13では回転できないので、ギヤ10及び駆動シャフト9の回転を伴う。それ故、プランジャは、カートリッジ内に駆動し、薬剤の固定用量をカートリッジから放出する。薬剤の注射は、用量ダイヤル5が本体3に対して回転停止部(明確に図示されていない)に到達するとき、完了する。停止位置は、用量ダイヤル5の「選択されたゼロ用量」位置に対応する。用量ダイヤル5がそのペン本体の回転停止部に到達するとき、プランジャは、カートリッジの内側に沿って途中で留まる。方法は、カートリッジが使い切るまで、繰り返すことができ、その後、用量ダイヤルアセンブリからカートリッジホルダを取り除くことにより、カートリッジが代替できる。
【0052】
ある場合において、注射が完結するまで、トリガを押し下げる必要性は、好ましくないと考えられるかもしれず、従って、代替の実施態様は、使用者がトリガを解除しても、トリガをギヤと再係合することを阻止するような構成を含み得る。これは、例えば、戻り止め機構を含むことにより達成し得、それによりトリガを押すことは、使用者がトリガ、例えば、トリガボタンを解除したときですら、それが前進位置に留まるように戻り止めを超えていく。戻り止めは、駆動シャフト又は用量ダイヤルがその初期のゼロ位置に回帰するときのみ、係合を解除するように設計できる。これはトリガの一回の押しのみで送達する完全な注射を可能にする(トリガを前方に保持する必要なく)。更なる利点は、トリガのその初期位置への回帰は、使用者に用量が完全であることを表示するための追加の視覚的及び聴覚的フィードバックを与えることである。
【0053】
あるいは、又は更に、固定用量デバイスは、トリガが上記の通り、保持されるか、又は戻り止めで止められたかどうかに関係なく、完全な用量がトリガ6、例えば、トリガボタンの一押しで送達されるように構成され得る。これはトリガ機構を改良することにより実施でき得る。ギヤ10の歯15及びトリガ6の歯16は、ギヤ10及びトリガ6上の一連のオス型及びメス型機能(明確に図示されていない)、例えば、歯とねじ溝により代替し得る。機能は、ギヤ10の円周上を等しい空間で以って配置される。機能の数は、好ましくは、ギヤ歯11の数に合致する。これらの機能は、好ましくは、ギヤが固定用量を送達するためにその固定された回転を完結するまで、トリガ6がギヤ10と再係合することは不可能であるように設計される。従って、使用者が送達を開始するために、一度トリガ6を押し、そしてその後、使用者がトリガ6を保持するか、否かに関係なく、完全な用量が自動的に送達され得る。トリガ6が、自動的に、例えば、トリガスプリング8により駆動される用量の終了場所に摺動して戻るので、使用者は、用量が完全に送達されたことを視覚的に確認することができる。
【0054】
リセットダイヤル13は、その動きの間、プランジャを回転から阻止するだけでなく、駆動プランジャ7を本体3内に後退させ、その結果、デバイスをリセットするための手段として機能する。カートリッジホルダ4が本体3に取り付けられるとき、リセットダイヤル13は、リセットダイヤル13内に嵌合されたロッキング部材(明確に図示されていない)により、本体3内での回転が取り消される。カートリッジホルダ4が取り除かれるとき、ロッキング部材は制限されず、そしてリセットダイヤル13の回転を可能にする。駆動プランジャ7は、リセットダイヤルの突起及び駆動プランジャの縦溝(明確に示されていない)の係合により、リセットダイヤル13に対して回転を阻止され得る。駆動プランジャ7は、ギヤ歯15及びトリガ歯16の係合により本体3に対して回転が固定されるギヤ10とねじ係合される。リセットダイヤル13の回転は、ギヤ10におけるねじ山を巻き上げる駆動プランジャ7を回転させる。その結果、駆動プランジャ7を本体3内に後退させる。
【0055】
本開示の例示的な実施態様は記載された。当業者は、しかし、変化と改良が特許請求の範囲で定義された主題の真の範囲及び精神から外れることなくこれらの実施態様に対して実施され得ることは理解するであろう。
【0056】
参照番号:
1:注射デバイス;
2:ハブ;
3:本体;
4:カートリッジホルダ;
5:用量ダイヤル;
6:トリガ;
7:プランジャ;
8:トリガスプリング;
9:駆動シャフト;
10:ギヤ;
11:歯;
12:ラチェットアーム;
13:リセットダイヤル;
14:内面;
15:歯;
16:歯;
17:ピストン;
18:用量スプリング;
22:開口部;
23:カートリッジ;
α:角度;

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定用量注射デバイス(1)であって:
a.ハウジング(3);並びに
b.i.薬剤の事前決定された固定用量に対応する角度αで互いにオフセットされる少なくとも二つの歯(11)を有し、ハウジング内において軸方向に固定される、回転可能ギヤ(10);
ii.用量の送達中、遠位方向に事前決定された固定用量に対応する距離を動くように、角度αに適合するピッチβを有する回転可能ギヤとねじ係合されるプランジャ(7);
iii.トーションばね(18)及び駆動シャフト(9);及び
iv.トリガが起動したとき、トーションばねが巻き戻り、そして回転可能ギヤを角度α回転させ、そしてプランジャを遠位方向に動かして事前決定された固定用量を送達するように、回転可能なギヤに連結される、該トリガ(6);
を含んでなる用量設定・注射アセンブリ;
の組合せを含んでなる、上記注射デバイス。
【請求項2】
薬剤ハウジング(4)がハウジング(3)に連結され、そして薬剤(23)のカートリッジを保持する、請求項1に記載の注射デバイス。
【請求項3】
角度αが20度〜180度である、請求項1又は2に記載の注射デバイス。
【請求項4】
α/βの比が10〜20度/mmの範囲内である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項5】
プランジャ(7)上のねじ山のピッチβが、1.5mm〜12mmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項6】
駆動シャフトが、用量の設定中、歯(11)の一つと係合するラチェットアーム(12)を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項7】
固定用量調節注射デバイス(1)であって:
a.ハウジング(3);並びに
b.i.薬物の事前決定された固定用量に対応する角度αで互いにオフセットする少なくとも第一、第二、及び第三の歯(11)を有し、ハウジング内において軸方向に固定される、回転可能ギヤ(10)、;
ii.用量の設定中、第一、第二、又は第三の歯のいずれかと係合するように構成されるラチェットアーム(12)を有する駆動シャフト(9);
iii.プランジャが、用量の送達中、一つ又はそれ以上の複数の事前決定された固定用量に対応する距離を遠位方向に動くように、角度αに適合するピッチβを有する回転可能ギヤとねじ係合されるプランジャ(7);
iv.トーションばね(18);及び
v.トリガが起動したとき、トーションばねが巻き戻り、そして回転可能ギヤを一つ又は複数の角度α回転させ、そしてプランジャを遠位方向に動かして一つ又はそれ以上の事前決定された固定用量を送達するように、回転可能ギヤに連結される、該トリガ;
を含んでなる用量設定・注射アセンブリ;
の組合せを含んでなるデバイス(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−519469(P2013−519469A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553291(P2012−553291)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【国際出願番号】PCT/EP2011/052226
【国際公開番号】WO2011/101349
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】