説明

注射装置

【課題】 2室シリンジ中に収容された薬剤を溶解し複数回に分けた注射を行うための注射装置であって、薬剤の溶解に際して後側可動壁が急激に押し込まれるのを防止して正しい混合を保証する注射装置の提供。
【解決手段】 両頭針を先端に取り付けた2室シリンジを囲んで保持できるように構成された前側ケース31と、保持された2室シリンジをその後端から差し込まれることができ、これが差し込まれた状態で前側ケースを固定して保持するように構成された後側ケース32と、後側可動壁3を押して前進させるための、後側ケース内に配置され後側ケースの後方から前方へと押すことができるピストンロッド35と、ピストンロッドの先端を後退させたとき圧縮されてピストンロッドを前方へと押し戻すように設けられたばね36とを備え、ばねが、復元力により後側可動壁を前側可動壁に当接するまで前方移動させる長さ及び強さを有するものである、注射装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射装置に関し、特に薬剤を区分して収容した2室シリンジを装填して、それらの薬剤の混合及びそれに続く注射を行うための注射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
成長ホルモン等の注射用ペプチド製剤では、安定性を保持するために、凍結乾燥等による乾燥薬剤成分と、これを溶解して注射液とするための液状の薬剤成分(緩衝液等の溶解液)とからなる、2剤形の形態で製剤が供給されている。また患者における扱いを簡便かつ確実にするため、例えばヒト成長ホルモン製剤の場合、1本のシリンジ(注射筒)内にそれらの成分を別々収容した2室シリンジ(多室シリンダーアンプルとも呼ばれる)が広く用いられている(図1参照)。
【0003】
2室シリンジは、図1(図面左方向を上方とする)に側方断面図で示すように、内部が2つの可動壁(前側可動壁2、後側可動壁3)で液密に仕切られて、前側スペース4と後側スペース5とが形成されている。前側スペース4の僅かに前方において2室シリンジの内壁には、前側可動壁2の厚みを跨ぐ長さの(すなわち、前側可動壁2の厚みより幾分長い)、前後方向の1本の細長い溝6が設けられており、それにより、前側可動壁2の全体が溝6の範囲内にあるときには溝6を通るバイパスが形成されるようになっている。前側スペース4には、凍結乾燥粉末等の乾燥薬剤10が封入されており、これを溶解させるための溶解液11が後側スペース5に封入されている。2室シリンジ1の前端には、両頭針を刺入できる隔壁13が液密に嵌められ、これを外側からキャップ15が固定している。
【0004】
2室シリンジ内での乾燥薬剤10と溶解液11との混合は次のように行われる。すなわち、図2を参照して、先ずシリンジ先端側を上にし、示すように先端の隔壁13を貫通して両頭針18が刺入され、固定される。これにより、両頭針の管腔は、前側スペース4をシリンジの外部と連通する。次いで注射装置のピストンロッド20の頭部21が後側可動壁3の背後に当てがわれる。ピストンロッド20が押し込まれると、後側可動壁3と共に後側スペース5内の液剤(及び存在する場合には空気も)及び前側可動壁2も押し込まれる。図3を参照して、前側可動壁2の後縁から溝6の後部が露出したとき溝6を通るバイパスが前側スペース4と後側スペース5の間に形成され、これを通って後側スペース5内の溶解液11が前側スペース4内へと送られ始め、前側可動壁はその位置に止まる。ピストンロッド20が更に押し込まれて後側可動壁3が前側可動壁2に当接することにより、後側スペース5中の溶解液11は全て前側スペース4内に移され、そこで薬剤10と混合してこれを溶解させ、注射液25を構成する(図4)。注射液25の構成後は、ピストンロッド20が更に押し込まれて、後側可動壁3と前側可動壁2とが一緒に前方へ移動し、前側スペース4内の空気が両頭針18を通って除去され、注射準備が完了する(図5)。
【0005】
成長ホルモンのようなペプチドホルモン製剤の場合、長期間にわたる日常的な少量ずつの反復投与が必要である。この投与は、患者自身又はその家族(以下、あわせて「患者等」という。)によって行われており、患者等は、溶解前の薬剤を収容した2室シリンジ及びこれを装填する注射装置(例えば、特許文献1並びに図6及び7を参照)を受け取って、患自らが、2室シリンジ内の薬剤の混合、溶解及び注射の操作を行う。図6は、そのような注射装置による溶解前状態を示し、図7は溶解後の状態を示す(何れも図面左側を上方とする)。図6及び7を参照して、2室シリンジ内の薬剤の混合は、注射装置の前側ケース31’に保持した状態で、2室シリンジを注射装置の後側ケース32’の前端側に差し込むことによって行われる。この混合・溶解の操作はごく単純であり、患者等に難なく行うことのできるものである。
【0006】
しかしながら、患者等の自宅での混合、溶解操作において、両頭針を装着した2室シリンジ後部からの液漏れが、ある頻度で発生していることが報告された。詳細な調査と種々の試行の結果、本発明者は、この液漏れが次のようにして起こることを見出した。すなわち、患者等により後側可動壁3が無理やり急激に押し込まれたとき、図3に示した状態での溝6を通じた溶解液の前方への送りが間に合わず、前側可動壁2と後側可動壁3との間に溶解液を残して前側可動壁2が溝6よりも前方へ押し出されてしまう(図8)。こうして前後の可動壁2、3間に溶解液の一部が閉じ込められたままピストンロッドが更に押し込まれたとき、後側可動壁3及び前側可動壁2は、閉じ込められた溶解液を間に挟んだまま前進し、後側可動壁3が溝6の範囲に入ったときに、溶解液が溝6を通って後方へ漏れ出す(図9)。
【0007】
上記のような液漏れが発生している場合には、薬剤が適正に混合できておらず、射出可能な液量も薬剤成分の濃度も共に、所定の規格とは異なっており、2室シリンジはもはや注射に適さない。注射装置の取り扱いに患者等が慣れてくると、注射装置のこのような大雑把な取り扱いが却って起こり易くなることも判明し、使用上の注意喚起のみによってこのようなトラブルを根絶することは困難であった。
【0008】
一方、2室シリンジ内の薬剤の溶解に、ネジ機構を用いてピストンロッドを押し込むものが知られている(特許文献2参照)。しかしながら、薬剤溶解時のピストンロッドの押し込みを手でネジを回して行うようにするのは、取り扱いが幾分複雑化し、溶解操作に要する時間も長くなるため不便であり、様々な患者の存在を想定すると好ましくない。
【0009】
また、2部分カプセル内の成分の混合及び注射をばねで行う注射装置が報告されている(特許文献3参照)。この注射装置は、装填した2部分カプセル後端に位置するプランジャーを装置内のばねで前方へ移動させて成分を混合し、次いで引き金を引きカプセルの固定を開放してばねにより前方に付勢し、それによりカプセルの前端部に位置する薄膜に両頭針を貫通させるとともに針を装置から突出させて注射液を噴出させるものである。この装置では、1回使用すればばねが圧縮から開放された状態になり、混合と注射とが一気に行われるため、均一な混合を確保する時間的余裕はなく、しかも、途中で複数段階に分けて停止させることはできないから、投与は1回しか行えない。
【特許文献1】特開平11−267205号公報
【特許文献2】特公平6−61361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の背景において、本発明は、2室シリンジを装填して、中に収容された薬剤を溶解しその後の複数回に分けた注射を行うための注射装置であって、薬剤の溶解に際して、後側可動壁が急激に押し込まれるのを防止して正しい混合を保証することを可能にする、取り扱いが簡単で且つ構造も単純な注射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的に沿って検討を重ねた結果、本発明者は、ピストンロッドを後方へスライド可能に設け、これをばねにより前方へ支持しておき、2室シリンジを装填したとき後方へ一旦押し戻されるピストンロッドを介して圧縮されるばねの反発力を利用して、ピストンロッドを前進させて薬剤の溶解に必要な後側可動壁の押し込みを行わせるようにすると共に、それ以上の後側可動壁の押し込みのために、外部からのピストンロッドの操作を可能にすることによって、液漏れ問題が解決し薬剤の適正な混合・溶解が確保でき、且つ複数回に分けた注射も可能になることを見出し、更に検討して本発明を完成させた。すなわち本発明は以下を提供するものである。
【0012】
1.両頭針を刺入できる隔壁を備えた前端及び筒状の側壁と、該側壁内に液密にスライド可能にはめ込まれた前側可動壁及び後側可動壁と、該前端と前側可動壁との間において該側壁の内面に該前側可動壁の厚みを跨ぐ前後長のバイパスを備えた2室シリンジの、該前端と該前側可動壁との間に規定される前側スペース内に第1の薬剤成分を収容し、該前側可動壁と該後側可動壁との間に規定される後側スペースに液状の第2の薬剤成分を収容したものを装填して、該2室シリンジ内において第1の薬剤成分及び第2の薬剤成分の混合及び得られた注射液の注射を行うための注射装置であって、
両頭針を該2室シリンジの先端に取り付けた状態で該2室シリンジを囲んで保持できるように構成された前側ケースと、
該前側ケースに保持された該2室シリンジをその後端から差し込まれることができ、該2室シリンジが差し込まれた状態で該前側ケースを固定して保持するように構成された後側ケースと、
該後側可動壁を後方から押して前進させるための、後側ケース内に前後に可動に配置されたピストンロッドであって、該後側ケースの後方から前方へと押すことができるものであるピストンロッドと、
該ピストンロッドの先端を後退させたとき圧縮されて該ピストンロッドを前方へと押し戻すように、該ピストンロッドに関して該ピストンロッドの先端と該後側ケースの後部との間の領域に設けられたばねとを備え、
該ばねが、該隔壁が両頭針により刺入されて前側スペースが外部と連通した状態で該前側ケースに保持された該2室シリンジを該後側ケースに差し込み該後側ケースに該前側ケースを固定したとき、該2室シリンジの該後側可動壁に押されて後退する該ピストンロッドによって一旦圧縮され次いで復元力により該後側可動壁を第2の薬剤成分及び該前側可動壁と共に前方へ移動させ、且つ該前側可動壁の後ろに該バイパスの後端が露出した後、該後側可動壁を該前側可動壁に当接するまで押しそれよって第2の薬剤成分を該前側スペース内へと注入するに足る長さ及び強さを有するものである、
注射装置。
2.該ピストンロッドの後退を阻止する逆止手段であって、該2室シリンジ装填前の該ピストンロッドの位置より前方において、該ピストンロッドを押して前進させることは許容するが該ピストンロッドが後退することは阻止するものである逆止手段を備えるものである、上記1の注射装置。
3.該逆止手段が、該ピストンロッドに形成されたラックと、該後側ケースに形成され該ラックと係合してその後退を阻止する逆止爪とから構成されるものである、上記2の注射装置。
4.該ラックが、2室シリンジの差込み前の自然長の該ばねに支持された状態のピストンロッドにおいて、逆止爪に対向するピストンロッド上の位置よりも後方のピストンロッド上に形成されているものである、上記3の注射装置。
5.該ピストンロッドが、該後側ケースと相互に回転不能に係合しており、該後側ケースの後方に、該ピストンロッドを中に通した雌ねじを有する射出液量調節部材が該後側ケースに対して回転可能に備えられており、該ピストンロッドには該雌ねじと螺合する雄ねじが形成されているものである、上記4の注射装置。
6.該ピストンロッドと該後側ケースとが、非円形の断面形状を有して相互に係合することによって相互に回転不能にされているものである上記5の注射装置。
7.該ピストンロッドと該後側ケースの逆止爪との係合によって相互に回転不能にされているものである、上記6の注射装置。
8.該雄ねじが該ラックを両側から挟んで形成された部分ねじである、上記5ないし7の何れかの注射装置。
9.該ラックの両側における該雄ねじのねじ山が該ラックの歯先よりも突出しているものである、上記8の注射装置。
【発明の効果】
【0013】
上記構成になる本発明によれば、2室シリンジを注射装置の後側ケースに差し込んで薬剤の混合を行う際に、たとえ急激に2室シリンジを差し込んでも、一旦ばねが後退し、それによるばねの反発力を利用して後側可動壁を押し込むため、後側可動壁が急激に押し込まれるおそれがない。従って、後側可動壁の急激な押し込みが防止され、薬剤混合の適正が保証される。また、ピストンロッドを設け、外部からこれを操作できるため、2室シリンジ内での薬剤の自動混合の後の多数回に分けた注射が可能となる。また、本発明によれば、単純な構造で且つ比較的安価な材料を用いて2室シリンジ用の注射装置を実現できるため、2室シリンジ内の全薬剤の注射完了後に使い捨てるタイプの安価な注射装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
2室シリンジは周知のものであり、複数の製品が販売されているから、それらのうち、混合し調製すべき注射液の量に応じて、適当なサイズのものを選択して使用し、注射装置の各寸法をこれに適合させればよい。
【0015】
前側ケースの形態は、両頭針を2室シリンジの先端に取り付けた状態で2室シリンジを囲んで保持できるものである限り、特に制限はない。後側ケースの形態は、前側ケースに保持された2室シリンジをその後端から差し込まれることができ、2室シリンジが差し込まれた状態で前側ケースを固定して保持できるものである限り、特に制限はない。2室シリンジの少なくとも後部を収容した状態で前側ケースと後側ケースとを離れないように固定する手段は任意であり、前側ケースと後側ケースの全体的な具体的構造に適した手段を適宜採用すればよい。そのような手段の一例として、前側ケースと後側ケースとが嵌合した位置において相互にかみ合うようにそれぞれの対応する位置に設けられた、突起と窪み若しくは段差面との組み合わせを挙げることができる。突起の一例として、対応する窪み内にスナップ式に嵌り込むように弾性的に支持された突起が挙げられる。前側又は後側ケースの壁に設けられる突起をそのように弾性的に支持する簡便な方法は、突起を支持するケースの壁に突起を囲んで例えばU字形の切り込みを入れる等により、突起をケースの壁の一部より構成される片持ち梁によって支持するようにすることである。そのような突起は好ましくは1対が、前側(又は後側)ケースの両側に対称に設けられる。後側(又は前側)ケースの壁面に設けられた段差面に突起の側面を係合させることによって両ケースを固定する場合には、前側ケースに保持された2室シリンジを後側ケースに差し込む際に、前側(又は後側)ケースに設けられた突起の通過を許容するための、段差面に至る通路(例えば溝)を、後側(又は前側)ケースの壁面に形成しておけばよい。
【0016】
後側可動壁を後方から押して前進させるための、後側ケースに前後に可動に配置されたピストンロッドは、後側ケースの後方から前方へと押すことのできるものである限り、その具体的形態は任意である。ピストンロッドは、例えば、その後方部分が後側ケースの後端から突出していてもよく、又は、後側ケースの内部に配置されており、後側ケースの後方から後側ケース内へ延びる別個の部材によって前方へと押すことができるものであってもよい。
【0017】
ピストンロッドに関して設けられたばねは、好ましくは、後側ケース内においてピストンロッドの周りに備えられたつる巻きばねである。この場合、つる巻きばねの後端は、例えば、ピストンロッドの周囲において後側ケースの内面に支持されるようにしておけばよい。また、ピストンロッドには、一部(例えば頭部付近)に、つる巻きばねの先端の内径よりも突出した突起を設けておくか、又は、ピストンロッドの頭部をつる巻きばねの内径より大径としておくことによって、つる巻きばねとピストンロッドとの間での力の伝達を行わせることができる。
【0018】
ピストンロッドの周りに取り付けられるばねの強さ及び長さは、前側ケースに保持された2室シリンジを後側ケースに差し込む際に、ばねが、ピストンロッドの頭部を介して2室シリンジの後側可動壁に押されて一旦後退し圧縮されて生ずる復元力によって、2室シリンジの後側可動壁を押して、これを前側可動壁に当接させる十分なように設定すればよい。差し込まれている2室シリンジにおいて、後側可動壁が前側可動壁に当接することとなる位置、及びその位置において後側可動壁を当接させるに必要な力の強さとから、そのような範囲は容易に算出できる。バイパスによって前側スペースと後側スペースが連通した状態では、ばねは後側可動壁のみをこれと2室シリンジ内面との摩擦力に抗して前進させればよいが、後側可動壁が前側可動壁に当接した後は、後側可動壁の前進には両可動壁と2室シリンジ内面との摩擦力がばねの復元力に対抗する。従って、その位置で両可動壁を前進させない程度の強さにばねを設定すればよい。なお、前側スペースと後側スペースが連通する迄の段階では、後側可動壁の前進は前側可動壁の前進も伴うが、この段階では、ばねがより圧縮状態にあるため、ばねは両可動壁を一緒に押し込むに十分な力で後側可動壁を押すことができる。
【0019】
上記の構成により、前側ケースに保持され両頭針を取り付けられた2室シリンジを後側ケースに差し込んで前側ケースを後側ケースに固定することで、2室シリンジの後側可動壁は、一旦圧縮されたばねの復元力によって、前側可動壁に当接すまで前進させられる。このとき、後側可動壁(又は更に前側可動壁)と2室シリンジの内壁面との摩擦力のため、後側可動壁の急激な前進が防止されるから、2室シリンジ内における薬剤の正しい混合プロセスが、確実に達成できる。
【0020】
本発明の注射装置は、より好ましくは、2室シリンジ差し込み前の、自然長にあるばねの支持されているピストンロッドの位置より前方において、ピストンロッドを押して更に前進させることは許容するがピストンロッドが後退することは阻止するものである逆止手段を更に備える。そのような逆止手段の具体的形態は任意であり適宜設計すればよい。逆止手段の典型例としては、ピストンロッドに形成されたラックとこれにかみ合う逆止爪との組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。そのようなラックと逆止爪との組み合わせを採用する場合には、ラックは、2室シリンジ差し込み前の、自然長にあるばねに支持されているピストンロッドの位置での、係止爪に対向するピストンロッド上の位置よりも後方のピストンロッド上に形成される。そうすることにより、2室シリンジ差し込み時においてはピストンロッドの後退及びばねの圧縮が許容されるが、ばねが復元して2室シリンジ内の薬剤の混合が行われ、空気の除去が完了するまでにピストンロッドが更に押し込まれた後には、ピストンロッドはもはや後退できず、従って前後両可動壁も後退できないため、針先からの空気の吸い込みが防止される。ラックの歯及び逆止爪の形状は、ラックが後退しようとするとき逆止爪の先端が係合してこれを阻止し、ラックが前へと押されたたときは前進を許容するものである限り、特に限定されない。好ましいラックの歯の断面形状は、相対的に傾斜の急な後面と相対的に傾斜の緩やかな前面を備えるものであり、好ましい係止爪の一例は、その断面形状を全体として前方へ傾斜させたものである。
【0021】
本発明は、さらに好ましくは、ピストンロッドが後側ケースと相互に回転不能に係合しており、更にピストンロッドには雄ねじが形成されており、これに螺合した雌ねじを有する射出液量調節部材が、後側ケースの後方に後側ケースに対して回転可能に備えられている。回転前には射出液量調節部材を後側ケースに当接させておき、その位置から、ピストンロッドに形成された雄ねじの螺旋の巻き方向に対し逆方向に射出液量調節部材を所定角度回転させることにより、雄ねじのピッチと回転角度に対応した所定距離だけ射出液量調節部材を後退させて、後側ケースと射出液量調節部材との間に所定距離の隙間を生じさせることができる。射出液量調節部材を後側ケースに対して前方へ押して前進させ再び後側ケースに当接させることにより、所定距離だけピストンロッドを進めることができ、これにより2室シリンジ内の注射液を所定量だけ針先から射出させることができる。
【0022】
ピストンロッドと後側ケースとを相互に回転不能にするためには、例えば、ピストンロッドの少なくとも一部の断面形状を非円形としておき、ピストンロッドの前後の可動範囲において、当該部分と係合する非円形の断面形状の部位を後側ケースに設けておけばよい。そのような部位は適宜決定すればよい。好ましい一例は、逆止爪とピストンロッドとの係合を用いるものである。その場合、例えば、幅広の逆止爪を、対応する幅のピストンロッド(及びこれに形成されたラック)と係合させればよく、また、ピストンロッドに係止爪が通過しつつ係合する溝を形成しておき、ラックもその溝内に形成して相互に係合させてもよい。
【0023】
ピストンロッドの長手方向に沿って、ラックを形成した領域と雄ねじを形成した領域とが重複する場合、雄ねじは、ねじ山が連続している必要はないから、ピストンロッドのラック部分を両側から挟む形で、部分ねじとして形成することができる。この場合、雄ねじは、単にラックの側面に形成してもよいが、ラックの両側においてねじ山がラックの歯先の高さよりも突出するように形成しておけば、ラックに係合する逆止爪を2列の部分ねじの間に挟んで支持することが可能となるため、ピストンロッドの回転に対する阻止効果が強まり、一層好ましい。
【実施例】
【0024】
以下、典型的な実施例を参照して本発明を更に具体的に説明するが、本発明が実施例に限定されることは意図しない。
【0025】
図10は、両頭針18を取り付けた2室シリンジ1を保持した、注射装置の前側ケース31、図11は、注射装置の後側ケース32及びこれに組み合わせた射出液量調節部材33等の関連する部材の側方断面図である。35はピストンロッドであり、35hはピストンロッド35の頭部である。ピストンロッド35の周りには、ピストンロッドの頭部35hと後側ケース32の後部との間につる巻きばね36が配置されている。またピストンロッド35の後方部分において、ピストンロッド35の両面に1対のラック42が形成されている。ラック42の前方の領域、ピストンロッド35の両面に、ラック42の歯先よりも後退した底面を有する1対の溝44が形成されている。便宜上、前側ケース31は破線で示し、ピストンロッド35は側面図として(断面図としてでなく)示す。34は、1対の突起である。突起34の根本の周りにおいて前側ケースの外壁がU字形に切られて片持ち梁を形成しており、このため突起34は、僅かであるが弾性的に後退させることができる。
【0026】
図12は、前側ケース31に保持された2室シリンジ1の一部を、後側ケース32内に差し込み、ピストンロッド35の頭部35hが2室シリンジ1の後側可動壁3に当接したときの状態を示す、注射装置の側方断面図である。図において、38は1対の突起34が通るために後側ケースの内壁に設けた1対の細長い溝である。
【0027】
図13は、2室シリンジ1が後側ケース32の奥まで差し込まれた状態を示す注射装置の側方断面図である。このとき前側ケース31の1対の突起34は、後側ケースの内壁の1対の溝38から丁度脱した位置にある。図に示されたように、ピストンロッド35は、後側可動壁3に押されて一旦後退しているが、つる巻きばね36の復元力により2室シリンジ1の後側可動壁3を押して2室シリンジ1内を前進させており、その結果、後側可動壁3は、溶解液11と共に前側可動壁を押してバイパス6部分に到達させ、バイパス6を通して溶解液11を前側スペース4に流入させつつある。
【0028】
図14は、図13に示したのと同じ時の注射装置の、90°異なった方向からの側方断面図である。図において、40は、ピストンロッド35に対向する1対の係止爪である。図14のピストンロッド35の位置(図13のそれと同じ)では、1対の係止爪40は、ピストンロッドに形成された1対のラック42より前方において1対の溝44内に突出している。
【0029】
図15は、図14の状態から前側ケース31を後側ケース32に対して約45°回転させ、突起34の側面を後側ケース32の内壁面にある段差面に係合させることにより、前側ケース31を後側ケース32から抜けないように固定した状態を示す側方断面図である。また、この間、つる巻きばね36の復元力により、後側可動壁3と前側可動壁2の間に収容されていた溶解液は全て前側可動壁2より前側のスペースに注入され、乾燥薬剤が溶解して注射液25が形成されている。注射液25の先端側に残っているのは、空気である。
【0030】
図16を参照。図16は、図15に示した状態に続いて、後側ケース32に対して射出液量調節部材33が手で押しこまれ、2室シリンジ1の先端の空気が両頭針18を通して排出された直後の状態を示す側方断面図である。射出液量調節部材33は、その雌ねじ50において、ピストンロッド35に形成された雄ねじ52と螺合している。ピストンロッド35は、その溝44内に逆止爪40が突出することにより、又はラック42の両側に形成された雄ねじ52の間に逆止爪40が突出していることにより、後側ケースに対して回転不能に係合している。従って、射出液量調節部材33を反時計回りに回すことにより、ピストンロッド35及び後側ケース32に対して射出量調節部材を所望量だけ後退させることができる。図15に示した状態において射出液量調節部材33が後側ケース32に突き当たっておりそれ以上押し込むことができない場合には、射出液量調節部材33を反時計回りに回して後側ケース32と射出液量調節部材33との間に所望の隙間をあけた上で、押し込めばよい。図では見えないが、図16の状態では、1対の係止爪40は、ピストンロッド35に形成された1対の溝44を通過して、今や1対のラック42に係合している。換言すれば、注射液25が構成され先端側の空気が排除されたときには係止爪と係合しているように、ラック42の先頭位置と係止爪44の位置を決定しておけばよい。
【0031】
図17は、薬剤の混合が完了した状態の注射装置の側面図である。図において、55は後側ケース31の後部に嵌められた円筒状のスリーブである。スリーブ55の表面には、円周を等分する多数の目盛り57が付されると共に、目盛り57と同様に円周を等分するノッチ61が先端部に形成されており、それらのノッチ61は、後側ケース32に設けられた突起(例えば図20において62で示す。)と係合することにより、スリーブ55の回転を阻止するが、スリーブ55を僅かに引き抜いたときは、係合が解除され、スリーブ55は、手で回すことができる。射出液量調節部材33には、外周に複数のフィン59が、長手方向に立ち上がっている。両頭針18から射出される注射液の量は、後側ケース32に当接した射出液量調節部材33の停止位置からの回転(図の装置では反時計回り)角度の大きさによって定まる。患者に注射すべき液量に応じて、射出液量調節部材33の回転角度が決定され、この角度は、スリーブ55に付された目盛りに対応付けられる。射出液量調節部材33が停止位置にある状態で、患者は例えば、スリーブを回して所定のフィン59aにスリーブの目盛り「ゼロ」を合わせ、その位置から、対応付けられた目盛り分だけ、射出液量調節部材33を反時計回りに回すことにより、注射される液量を正しく調節することができる。次いで針を身体に刺入して、後側ケース32に当接するまで射出液量調節部材33を押すことによって、所定の液量が注射される。複数回の注射の各々において、同じ操作が反復され、最終的に図18で示した状態となり、全ての注射液の注射が完了する。注射完了後は、注射装置は廃棄することができる。
【0032】
図19は、後側ケース32の先端側端面図である。図においてピストンロッド35及びつる巻きばねは省略されている。図に見られるとおり、後側ケース32の中央には、ピストンロッド35が通る穴65が設けられており、穴の両側から内方へ向けて1対の逆止爪40が突出している。67は、つる巻きばね36の根元側を収容する管状部の内壁面である。
【0033】
図20は、図19に示した後ろ側ケース32の、スリーブ55を取り除いたA−A’側方断面図、及びこれに組み合わされる射出液量調節部材33の側方断面図を示す。射出液量調節部材33は、後側ケース32の後方の筒状部66(この上にスリーブ55が被せられる)の中に挿入される。後側ケース32において、62はスリーブ55のノッチ61に係合する突起である。射出液量調節部材33において、63は、射出液量調節部材33の外壁に形成された片持ち梁上70に弾性的に支持された横断面三角状の突起であり、後側ケース32の筒状部66の内面に形成された、複数の横断面概略V字形の長手方向溝64(ノッチ61と同様に円周を等分する位置に形成されている)とスナップ式に係合する。射出液量調節部材33を後側ケース32に対して回転させるとき、突起63は、それまで係合していた長手方向溝の1つから弾性的に後退して脱出することができ、後側ケース32に対する射出液量調節部材33の回転位置を、長手方向溝64の位置に応じた角度のうちの任意のものに、暫定的に固定することができる。スリーブ55上の目盛り57及びノッチ61、目盛り合わせに用いられる射出液量調節部材33の特定のフィン59a及び突起63、並びに後側ケース32の筒状部66の内面の長手方向溝64は、突起63が長手方向溝64の何れかに係合しているとき特定のフィン59aが目盛り57の何れかと一致するように、相互の位置関係が設定されている。
【0034】
図21は、後側ケース32の手元側端面図であり、図に筒状部66に形成されている長手方向溝64の概略V字形の横断面形状及び本数(12本)が示されている。40は、係止爪である。図22は、射出液量調節部材33の先端側端面図(a) 及び側面図(b) を示す。端面図(a) に見られるように、突起63は、横断面三角状であり、また側面図(b) に見られるように、射出液量調節部材33の側壁に形成されたコの字形スリット69によって囲まれた、弾性変形し得る片持ち梁70上に形成されている。
【0035】
図23は、ピストンロッド35の後方側の一部分を切り出し拡大して示す斜視図である。図に見られるとおり、雄ねじ52は、ラック42の後部領域を両側から挟むようにして分断して設けられた部分ねじであり、また、雄ねじの形成されている部分より前方では、ピストロッドは、雄ねじ52の外周と同寸の部分円筒面を有している。この構造のため、ピストンロッド35は、後ろ側ケース32の係止爪40と相互に回転不能に係合しつつ、射出液量調節部材33の雌ねじ50と螺合して注射液の射出液量の調節を可能にし、且つ各回の注射においてピストンロッドの偶発的な後退を阻止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、2室シリンジに収容された薬剤の混合操作の適性を保証し、且つ混合により構成された注射液の複数回に分けた注射を可能にする、使い捨て可能な低コストの注射装置の提供に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】2室シリンジの概念的側面図
【図2】混合操作の開始段階を示す2室シリンジの概念的側面図
【図3】バイパスを通じた溶解液の移行段階にある2室シリンジの概念的側面図
【図4】溶解液の移行が完了した状態の2室シリンジの概念的側面図
【図5】注射準備が完了した状態の2室シリンジの概念的側面図
【図6】従来の注射装置の一例における、2室シリンジ内の薬剤混合直前の状態を示す側方断面図
【図7】従来の注射装置の一例における、2室シリンジ内の薬剤混合直後の状態を示す側方断面図
【図8】2室シリンジにおける薬剤混合失敗の状態を示す概念的側面図
【図9】2室シリンジにおける薬剤混合の失敗後の液漏れ状態を示す概念的側面図
【図10】両頭針を取り付けた2室シリンジを保持した、注射装置の前側ケースの側方断面図
【図11】注射装置の後側ケース及び射出液量調節部材の、側方断面図
【図12】前側ケースに保持された2室シリンジの一部を、後側ケース内に差し込み、ピストンロッドの頭部が2室シリンジの後側可動壁に当接したときの状態を示す、注射装置の側方断面図
【図13】2室シリンジが後側ケースの奥まで差し込まれた状態を示す、注射装置の側方断面図
【図14】図13とは90°異なった方向からの注射装置の側方断面図
【図15】前側ケースを後側ケースから抜けないように固定した状態を示す、注射装置の側方断面図
【図16】2室シリンジの先端の空気が両頭針を通して排出された直後の状態を示す、注射装置の側方断面図
【図17】薬剤の混合が完了した状態の注射装置の側面図
【図18】全ての注射液の注射が完了した状態を示す、注射装置の側方断面図
【図19】後側ケースの先端側端面図
【図20】後ろ側ケースと射出液量調節部材の側方断面図
【図21】後側ケースの手元側端面図
【図22】射出液量調節部材の先端側端面図(a) 及び側面図(b)
【図23】ピストンロッドの後方側の一部分を切り出し拡大して示す斜視図
【符号の説明】
【0038】
1=2室シリンジ
2、2’=前側可動壁
3、3’=後側可動壁
4=前側スペース
5=側スペース
6、6’=溝(バイパス)
10、10’=乾燥薬剤
11、11’=溶解液
13、13’=隔壁
15=キャップ
18、18’=両頭針
20=ピストンロッド
21=ピストンロッドの頭部
25、25’、25’’=注射液
31、31’=前側ケース
32、32’=後側ケース
33、33’=射出液量調節部材
34=突起
35=ピストンロッド
35h=ピストンロッドの頭部
36=つる巻きばね
38=溝
40=逆止爪
42=ラック
44=溝
50=雌ねじ
52=雄ねじ
55=スリーブ
57=目盛り
59、59a=フィン
61=ノッチ
62=突起
63=突起
64=長手方向溝
65=穴
66=筒状部
67=内壁面
69=コの字形スリット
70=片持ち梁







【特許請求の範囲】
【請求項1】
両頭針を刺入できる隔壁を備えた前端及び筒状の側壁と、該側壁内に液密にスライド可能にはめ込まれた前側可動壁及び後側可動壁と、該前端と前側可動壁との間において該側壁の内面に該前側可動壁の厚みを跨ぐ前後長のバイパスを備えた2室シリンジの、該前端と該前側可動壁との間に規定される前側スペース内に第1の薬剤成分を収容し、該前側可動壁と該後側可動壁との間に規定される後側スペースに液状の第2の薬剤成分を収容したものを装填して、該2室シリンジ内において第1の薬剤成分及び第2の薬剤成分の混合及び得られた注射液の注射を行うための注射装置であって、
両頭針を該2室シリンジの先端に取り付けた状態で該2室シリンジを囲んで保持できるように構成された前側ケースと、
該前側ケースに保持された該2室シリンジをその後端から差し込まれることができ、該2室シリンジが差し込まれた状態で該前側ケースを固定して保持するように構成された後側ケースと、
該後側可動壁を後方から押して前進させるための、後側ケース内に前後に可動に配置されたピストンロッドであって、該後側ケースの後方から前方へと押すことができるものであるピストンロッドと、
該ピストンロッドの先端を後退させたとき圧縮されて該ピストンロッドを前方へと押し戻すように、該ピストンロッドに関して該ピストンロッドの先端と該後側ケースの後部との間の領域に設けられたばねとを備え、
該ばねが、該隔壁が両頭針により刺入されて前側スペースが外部と連通した状態で該前側ケースに保持された該2室シリンジを該後側ケースに差し込み該後側ケースに該前側ケースを固定したとき、該2室シリンジの該後側可動壁に押されて後退する該ピストンロッドによって一旦圧縮され次いで復元力により該後側可動壁を第2の薬剤成分及び該前側可動壁と共に前方へ移動させ、且つ該前側可動壁の後ろに該バイパスの後端が露出した後、該後側可動壁を該前側可動壁に当接するまで押しそれよって第2の薬剤成分を該前側スペース内へと注入するに足る長さ及び強さを有するものである、
注射装置。
【請求項2】
該ピストンロッドの後退を阻止する逆止手段であって、該2室シリンジ装填前の該ピストンロッドの位置より前方において、該ピストンロッドを押して前進させることは許容するが該ピストンロッドが後退することは阻止するものである逆止手段を備えるものである、請求項1の注射装置。
【請求項3】
該逆止手段が、該ピストンロッドに形成されたラックと、該後側ケースに形成され該ラックと係合してその後退を阻止する逆止爪とから構成されるものである、請求項2の注射装置。
【請求項4】
該ラックが、2室シリンジの差込み前の自然長の該ばねに支持された状態のピストンロッドにおいて、逆止爪に対向するピストンロッド上の位置よりも後方のピストンロッド上に形成されているものである、請求項3の注射装置。
【請求項5】
該ピストンロッドが、該後側ケースと相互に回転不能であり、該後側ケースの後方に、該ピストンロッドを中に通した雌ねじを有する射出液量調節部材が該後側ケースに対して回転可能に備えられており、該ピストンロッドには該雌ねじと螺合する雄ねじが形成されているものである、請求項4の注射装置。
【請求項6】
該ピストンロッドと該後側ケースとが、非円形の断面形状を有して相互に係合することによって相互に回転不能にされているものである、請求項5の注射装置。
【請求項7】
該ピストンロッドと該後側ケースの逆止爪との係合によって相互に回転不能にされているものである、請求項6の注射装置。
【請求項8】
該雄ねじが該ラックを両側から挟んで形成された部分ねじである、請求項5ないし7の何れかの注射装置。
【請求項9】
該ラックの両側における該雄ねじのねじ山が該ラックの歯先よりも突出しているものである、請求項8の注射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2007−68630(P2007−68630A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−256403(P2005−256403)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(000228545)日本ケミカルリサーチ株式会社 (27)
【Fターム(参考)】