説明

注文処理装置

【課題】注文を受けてから製造する商品と製造指示が不要な作り置きした商品との注文入力を、設定データを変更することなく行うことができ、操作ミスを減少する注文処理装置を提供する。
【解決手段】店員は、注文された弁当が作り置きされてある場合には、その弁当のバーコードをスキャナ部38で読み取って注文入力する。また、注文された弁当が作り置きされていない場合には、注文処理装置30のタッチパネル式表示器34に表示されるプリセットキーを操作して注文入力する。スキャナ部38で注文入力した場合には、作り置き弁当と釣銭とレシートを顧客に渡す。タッチパネル式表示器34で注文入力した場合には、印字部で、レシート、引換券を発行して顧客に渡し、調理指示伝票を発行して厨房に調理を指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持ち帰り弁当などの販売店で使用され、注文を受け付け、製造部に製造指示を行う注文処理装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、例えば弁当販売店において、売り場の装置から注文を入力すると、商品マスターテーブルにその商品が調理指示対象商品であるか否かが分かる調理指示情報の項目があり、この情報により調理指示対象商品である場合に調理場の装置から調理指示票が発行されること、そして、その調理指示票の発行によって、調理場にて調理を開始し、でき上がった弁当を販売する注文処理システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−149286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、弁当販売店では、昼休みの時間帯に顧客が集中するため、人気商品については、品切れとならない程度の数量の商品を直前に作り置きする場合がある。
【0005】
この場合に、特許文献1記載の技術では、作り置き商品の在庫で間に合う注文に対しては商品マスターテーブルの該当商品について調理指示情報に「なし」を設定し、それ以降の注文に対しては、調理指示情報を「指示する」に設定を変更する作業を行わなければならず、忙しい時間帯などでは実用的でないという問題があった。
【0006】
また、特許文献1記載の技術を発展させて、同一の商品コードであったものを、注文後調理商品のコードと作り置き商品のコードとを異ならせて商品マスターテーブルにそれぞれ設定し(例えば、プリセットキーも異ならせる)、調理指示の有無を使い分ける方法も考えられる。
【0007】
しかし、プリセットキーを異ならせたとしても、店員がキーを探す際に見るキーの名称には共通する文字が多いために、操作ミスのおそれが高い、という問題もある。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、注文を受けてから製造する商品と製造指示が不要な、例えば作り置きした商品との注文入力を、設定データを変更することなく行うことができ、操作ミスを減少することができる注文処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、注文データの入力と商品の製造指示と代金精算とを行うための注文処理装置において、商品毎に設けられたプリセットキーと、商品データを読み取るスキャナとを備え、前記注文データの入力が前記プリセットキーにより行われた場合には、前記製造指示と前記精算のための商品登録を行い、注文データの入力が前記スキャナにより行われた場合には、前記製造指示を行わずに前記商品登録を行う、ことを特徴とする注文処理装置である。
【0010】
本発明は、上記の発明の態様において、前記注文データの入力の際に、該当する商品が、注文の入力がされてから製造を行う商品である場合には、前記プリセットキーが操作され、予め作り置きされた商品である場合には、前記スキャナが操作される、ことを特徴とする。
【0011】
本発明は、上記の発明の態様において、商品は弁当であり、作り置きされた商品に、前記スキャナで読み取り可能に記録した商品データを直接あるいは近傍に設けたことを特徴とする。
【0012】
上記注文処理装置によれば、注文を受けてから製造する商品と製造指示が不要な、例えば作り置きした商品との注文入力を、設定データを変更することなく行うことができる。しかも、製造指示が不要な商品の場合には、現実に存在する商品に対してスキャナを操作することができるため、操作ミスを減少することができる。
【0013】
本発明は、上記の発明の態様において、一顧客の全ての注文入力が終了した後に、製造待ち商品の有無を判断し、有の場合に引換券を発行することを特徴とする。
【0014】
上記注文処理装置によれば、製造完了を待つ必要のある商品の注文が全くない顧客の場合には、引換券の発行をしないことを可能にした。
【0015】
本発明は、上記の発明の態様において、レシートを発行する印字手段が製造指示伝票と商品引換券とを発行することを特徴とする。
【0016】
上記注文処理装置によれば、売り場と製造場所が近い小規模な店舗に適し、かつ、安価で構造が簡単な注文処理装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、注文を受けてから製造する商品と製造指示が不要な、例えば作り置きした商品との注文入力を、設定データを変更することなく行うことができ、しかも、製造指示が不要な商品の場合には、現実に存在する商品に対してスキャナを操作することができるため、操作ミスを減少することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態による持ち帰り弁当店の店舗レイアウトを示す図である。
【図2】本実施形態による注文処理装置の外観斜視図である。
【図3】本実施形態による注文処理装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態による商品ファイル331のデータ構成を示す図である。
【図5】本実施形態による注文テーブル332のデータ構成を示す図である。
【図6】本実施形態による注文処理装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】本実施形態による商品(弁当)の外観を示す斜視図である。
【図8】本実施形態による、レシートの一例を示す模式図である。
【図9】本実施形態による、引換券の一例を示す模式図である。
【図10】本実施形態による、調理指示伝票の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態による持ち帰り弁当店(店舗)の店舗レイアウトを示す図である。図1において、店舗1は、売り場10と厨房20とからなる。売り場10には、注文処理装置(レジスタ)30がカウンタ台12に配置され、厨房20寄りには、調整指示伝票や、注文によりでき上がった弁当や、混雑時間帯以前(例えば、直前)に予め人気商品を必要最小量分作り置きした弁当(バーコードラベル付)を保存可能に載置するテーブル13がある。厨房20には、売り場10の奥に位置して冷蔵庫21、調理器具22、作業台23などが配置されている。また、厨房20は、品名と商品識別用バーコードとが印刷されたラベルを多数保管している。
【0021】
図2は、本実施形態による注文処理装置30の外観斜視図である。注文処理装置30は、上部側に、タッチパネル式表示器34およびキー操作部35を備え、下部側にレシートなどを発行する発行口40を備えている。また、注文処理装置30は、スキャナ部(ハンドスキャナ)38を備えている。スキャナ部38は、図1に示すテーブル13まで移動可能である。タッチパネル式表示器34には、各種弁当毎のプリセットキーが設けられている。キー操作部35には、テンキーや、各種ファンクションキーなどが設けられている。
【0022】
図3は、本実施形態による注文処理装置30の電気的な構成を示すブロック図である。CPU31は、フラッシュメモリ32に記憶された制御プログラムを読み出して実行し、注文処理装置30の動作を統括する中央演算処理装置である。フラッシュメモリ32は、注文処理装置30の制御プログラムや、制御用データ等を記憶するメモリである。RAM33は、後述する、商品ファイル331や、注文テーブル332などを保持している。
【0023】
タッチパネル式表示器34は、各種のメニュー画面や、データを表示する液晶ディスプレイからなる表示部と一体に構成されたタッチパネルになっており、上述したように、各種弁当毎のプリセットキーが設けられている。キー操作部35は、テンキーや、各種ファンクションキーなどを備えている。通信部36は、例えば、店舗本部のホストコンピュータとの間での通信を行う。印字部37は、CPU10からの指令に基づいて、用紙に伝票などを印字する。スキャナ部38は、例えばハンドスキャナであり、商品に添付、貼付など関係付けられたバーコードを読み込む。ドロアー部39は、紙幣、硬貨、金券などを収納する引き出しを備えたものであり、例えば、図1のカウンタ台12の中に置いてある。
【0024】
図4は、本実施形態による商品ファイル331のデータ構成を示す図である。
商品ファイル331は、RAM33に記憶され、商品毎に、その商品を識別するための商品コード、品名、単価などの項目が予め設定されている。
【0025】
図5は、本実施形態による注文テーブル332のデータ構成を示す図である。
注文テーブル332は、RAM33に記憶され、取引番号、商品コード、数、スキャナ入力の区別などの項目からなる。新たな注文毎(取引毎)に、取引番号、商品コード、数、スキャナ入力の区別などが注文テーブル332に登録される。
【0026】
図6は、本実施形態による注文処理装置30の動作を説明するためのフローチャートである。また、図7は、本実施形態による商品(弁当)の外観を示す斜視図である。また、図8は、本実施形態による、レシートの一例を示す模式図である。図9は、本実施形態による、引換券の一例を示す模式図である。さらに、図10は、本実施形態による、調理指示伝票の一例を示す模式図である。
【0027】
まず、売り場10の店員C1は、顧客CUSからの注文を聞いて、その注文品である弁当が作り置きされている場合には、その弁当(図7参照)45のバーコードBARをスキャナ部38で読み取って注文入力するか、あるいは、作り置きされていない場合には、注文処理装置30のタッチパネル式表示器34に品名とともに表示されている該当するプリセットキーを操作して注文入力する(ステップS1)。そして、読み取り済みの弁当は、区別可能なように離して置かれる。
【0028】
次に、最初の注文では、新たな取引番号を生成し、注文テーブル332に商品コードと数とを書き込む。また、不図示の売り上げ合計額に加算する(ステップS2)。
【0029】
次に、注文入力がスキャナ部38からの入力であるか否かを判断し(ステップS3)、スキャナ部38からの注文入力である場合には(ステップS3:YES)、注文テーブル332の該当商品のスキャナ入力の項目に例えば「1」を書き込む(ステップS4)。一方、スキャナ部38からの注文入力でない場合には(ステップS3:NO)、スキャナ入力の項目に「0」を書き込んでステップS5の処理へ進む。
【0030】
次に、全ての注文入力を終えたときに操作される締めキーである預かり現金キーが操作されたか否かを判断し(ステップS5)、締めキーである預かり現金キーが操作されていない場合には(ステップS5:NO)、ステップS1の処理に戻り、上述した処理(ステップS1〜ステップS4)を繰り返す。一方、締めキーである預かり現金キーが操作された場合には(ステップS5:YES)、預り金と売り上げ合計額とから釣銭を算出して表示し、ドロアー部39を開放し、精算処理を行う(ステップS6)。
【0031】
次に、印字部37で、図8に示すようなレシート50を印字して発行する(ステップS7)。ここで、「毎度有難うございます。○×弁当 △△店」は、印字内容のヘッダー部であり、カッター位置と印字ヘッドとの間に位置する用紙の部分であり、前記の印字での用紙カット直前に印字されるものである。
【0032】
次に、この取引中に調理待ち商品があるか否か、すなわち、注文テーブル332の該当商品でスキャナ入力の項目が「1」でないものが少なくとも一つあるか否かを判断する(ステップS8)。そして、注文テーブル332の該当商品でスキャナ入力の項目が「1」でないものが一つもない場合(全て「1」である場合)には(ステップS8:NO)、当該処理を終了する。終了の場合には、店員C1は、作り置き弁当と釣銭とレシート50を顧客CUSに渡す。
【0033】
一方、注文テーブル332の該当商品でスキャナ入力の項目が「1」でないものが少なくとも一つある場合には(ステップS8:YES)、注文テーブル332の該当する商品コードに基づいて、印字部37で、図9に示すような引換券60を用紙に印字して発行し、注文テーブル332の該当するスキャナ入力が「1」でない商品コードに基づいて、図10に示すような調理指示伝票70を印字して発行する(ステップS9)。
【0034】
売り場10の店員C1は、調理指示伝票70を厨房20の店員C2に渡すべく、テーブル13の所定位置に置き、また、釣銭、レシート50、引換券60を顧客CUSに渡す。そして、調理が終了してテーブル13に弁当が置かれると、売り場10の店員C1は、カウンタ台12に持っていき、顧客CUSから引換券60を受け取り、引換券60に記載され、また、区別された作り置き弁当とともに顧客CUSに渡す。
【0035】
本実施形態によれば、注文を受けてから製造する商品と製造指示が不要な、例えば作り置きした商品との注文入力を、設定データを変更することなく行うことができ、しかも、製造指示が不要な商品の場合には、現実に存在する商品に対してスキャナ部38を操作することができるため、操作ミスを減少することができる。
【0036】
なお、調理指示は、売り場10の注文処理装置30から伝票を発行することに限らず、厨房20に表示器、または、印字装置を設けて、注文処理装置30から送信して出力するものでもよい。さらに、管理サーバーを設けて、注文入力装置、厨房端末をネットワーク接続したシステムとしてもよい。
【0037】
また、各種商品毎のバーコードを印刷したシートを作り置き商品の近傍に設けておき、注文入力時に商品の存在を確認しながらスキャナ入力できるようにしてもよい。
【0038】
また、スキャナ部38は、バーコードを読み取るものに限らず、二次元コード、3Dコードなど、機械読み取り可能な記録方式のものであればよい。
【0039】
また、スキャナ入力した際には、商品コード毎にスキャナ入力の有無を記憶することに限らず、引換券や、調理指示伝票の印字データを作成しておくようにしてもよい。この場合、精算後の調理待ち商品の有無判断は、上記印字データの有無で判断すればよい。
【0040】
また、一取引中の最後の印字物である場合には、次の取引のレシートのヘッダー部を印字してから用紙をカットし、最後の印字物でない場合には、次の印字物の印字を開始して用紙がカット位置になった所でカットすると、引換券や、伝票には、ヘッダー部を印字しないで済む。
【0041】
また、弁当の販売店に限らず、調理指示が必要な商品と、不要な商品とが混在する店舗であれば、本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0042】
30 注文処理装置
31 CPU
32 フラッシュメモリ
33 RAM
331 商品テーブル
332 注文テーブル
34 タッチパネル式表示器
35 キー操作部
36 通信部
37 印字部
38 スキャナ部
39 ドロアー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注文データの入力と商品の製造指示と代金精算とを行うための注文処理装置において、
商品毎に設けられたプリセットキーと、
商品データを読み取るスキャナと
を備え、
前記注文データの入力が前記プリセットキーにより行われた場合には、前記製造指示と前記精算のための商品登録を行い、
注文データの入力が前記スキャナにより行われた場合には、前記製造指示を行わずに前記商品登録を行う、
ことを特徴とする注文処理装置。
【請求項2】
前記注文データの入力の際に、該当する商品が、注文の入力がされてから製造を行う商品である場合には、前記プリセットキーが操作され、予め作り置きされた商品である場合には、前記スキャナが操作される、
ことを特徴とする請求項1に記載の注文処理装置。
【請求項3】
商品は弁当であり、作り置きされた商品に、前記スキャナで読み取り可能に記録した商品データを直接あるいは近傍に設けたことを特徴とする請求項1または2記載の注文処理装置。
【請求項4】
一顧客の全ての注文入力が終了した後に、製造待ち商品の有無を判断し、有の場合に引換券を発行すること
を特徴とする請求項1から3いずれか一項に記載の注文処理装置。
【請求項5】
レシートを発行する印字手段が製造指示伝票と商品引換券とを発行することを特徴とする請求項1から4いずれか一項に記載の注文処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−185532(P2012−185532A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46251(P2011−46251)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000145068)株式会社寺岡精工 (317)
【Fターム(参考)】