説明

注文飲食物搬送装置

【課題】飲食物容器を走行体から取り出したことを検出する構造を容易にするとともに、飲食物容器を取り出したことを確実に出力できる注文飲食物搬送装置を提供すること。
【解決手段】飲食物を調理するための厨房と飲食を行うための客席とに亘って設けられた搬送路12と、注文された飲食物を載置した飲食物容器を載置可能であり搬送路12に沿って注文した客席近傍に移動して停止する走行体11と、走行体11の移動を制御する制御手段と、を備え、走行体11は、飲食物容器を載置することで上面が遮蔽される載置部11aと、載置部11aの上面に設けられた太陽電池37と、太陽電池37による発電に基づき載置部11aに載置された飲食物容器が取られたことを出力する出力部38と、を少なくとも備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食物を調理するための厨房と該飲食物の飲食を行うための客席とに亘って設けられた搬送路と、注文された飲食物を載置可能であって搬送路に沿って注文した客席近傍に移動して停止する走行体と、この走行体の移動を制御する制御手段とを備え、飲食物を搬送する注文飲食物搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の注文飲食物搬送装置は、注文客が飲食物容器を走行体から取り出したことを、検出センサにより検出することで、または飲食客により操作ボタンを操作することで、走行体の制御手段に対し出力して、飲食物容器が取り出された空の走行体を再び駆動し、厨房に戻している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−12890号公報(第7頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にあっては、検出センサを配設する場合、検出センサを作動させるための電源装置を別段に配設する必要があり、注文飲食物搬送装置の構造が複雑になるという問題がある。また、飲食客により操作ボタンを操作する場合、操作の煩わしさや操作の確実性に問題がある
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、飲食物容器を走行体から取り出したことを検出する構造を容易にするとともに、飲食物容器を取り出したことを確実に出力できる注文飲食物搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の注文飲食物搬送装置は、
飲食物を調理するための厨房と該飲食物の飲食を行うための客席とに亘って設けられた搬送路と、注文された飲食物を載置した飲食物容器を載置可能であり前記搬送路に沿って注文した客席近傍に移動して停止する走行体と、該走行体の移動を制御する制御手段と、を備え、飲食物を搬送する注文飲食物搬送装置であって、
前記走行体は、前記飲食物容器を載置することで上面が遮蔽される載置部と、該載置部の上面に設けられた太陽電池と、該太陽電池による発電に基づき前記載置部に載置された飲食物容器が取られたことを出力する出力部と、を少なくとも備えることを特徴としている。
この特徴によれば、走行体の載置部に載置された飲食物容器を取るだけで、それまで飲食物容器により遮蔽されていた載置部が開放されて太陽電池が発電することに成るため、別段の電源を用いずに光エネルギを利用して飲食物容器が取られたことを容易に検知でき、出力部が、太陽電池による発電を即ち飲食物容器が取られたこととして出力できる。
【0007】
本発明の注文飲食物搬送装置は、
前記走行体は前記載置部を複数備えるとともに、複数の前記載置部の各々に前記太陽電池が設けられ、前記出力部は、全ての前記太陽電池による発電に基づき前記載置部に載置された飲食物容器が取られたことを出力することを特徴としている。
この特徴によれば、複数の載置部に載置された飲食物容器の全てが取られたことを出力することができ、走行体を誤作動なく正確に制御できる。
【0008】
本発明の注文飲食物搬送装置は、
前記出力部は、前記太陽電池による発電に基づき前記制御手段に無線発信する発信部であることを特徴としている。
この特徴によれば、搬送路に沿って移動する走行体の出力部が、制御手段に無線発信する発信部であることで、制御手段との間に配線を要することなく自由に移動できる。
【0009】
本発明の注文飲食物搬送装置は、
前記搬送路の延長方向に沿う近傍箇所に、前記制御手段との間に配線された配線部を備え前記発信部からの信号を受信する受信部が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、無線通信の通信距離を、走行体の発信部と搬送路に設けられた受信部との間で短くし、受信部を介して配線部により制御手段に出力することで、無線通信に要する電力量を抑制できる。
【0010】
本発明の注文飲食物搬送装置は、
前記発信部と前記受信部とは、光通信により通信するように成っていることを特徴としている。
この特徴によれば、発信部から受信部に発せられる光を、出力部が出力していることを表示するインジケータとしても利用できる。
【0011】
本発明の注文飲食物搬送装置は、
前記太陽電池による発電に基づき前記載置部に載置された飲食物容器が取られたことを報知する報知部を、更に備えることを特徴としている。
この特徴によれば、載置部に載置された飲食物容器が取られたことを、報知部により報知することで、飲食物容器が取られた後の走行体の移動に際し注意喚起できるばかりか、出力部による出力を確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1における飲食店に設置された注文飲食物搬送装置を示す平面図である。
【図2】実施例1における注文飲食物搬送装置の要部を示す斜視図である。
【図3】実施例1における基台を客席側から視た状態を示す正面図である。
【図4】図3におけるA−A断面図である。
【図5】(a)は、実施例1における搬送トレーの一部破断正面図であり、(b)は、搬送トレーの一部平面図である。
【図6】実施例1における搬送トレー内の電気回路を示す回路図である。
【図7】実施例1における注文飲食物搬送装置の構成を示すブロック図である。
【図8】実施例2における注文飲食物搬送装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る注文飲食物搬送装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0014】
実施例1に係る注文飲食物搬送装置につき、図1から図7を参照して説明する。
【0015】
先ず図1には、本発明の実施例としての注文飲食物搬送装置10及び循環型飲食物搬送装置4が設けられた基台7の飲食店内における配置状況が示されている。飲食店内は、仕切り用の隔壁1により厨房エリア2と飲食客エリア3とに区画されている。基台7は、平面視略E型に形成され、3本の直線搬送路部7aが厨房エリア2内から飲食客エリア3内に向けて延設されており、該直線搬送路部7aの周囲には、テーブル8が搬送路に沿って複数配置されるとともに、テーブル8の周囲には客席9が配置されている。
【0016】
基台7の上面には、平面視略半月上をなす複数の搬送板がチェーンにより連結されてなる無端状のクレセントチェーンコンベア5(図2参照)が、厨房エリア2と飲食客エリア3とを循環走行自在に配設されており、このクレセントチェーンコンベア5により、平面視略E型の循環搬送路が構成されている。
【0017】
また、直線搬送路部7aにおけるクレセントチェーンコンベア5の上方には、本発明の実施例としての注文飲食物搬送装置10の注文搬送路が配設されている。詳しくは、クレセントチェーンコンベア5は、直線搬送路部7aの先端部にて折り返されることで、直線搬送路部7aには往路と復路とが並設されており、これら往路及び復路それぞれの上方に、直線状に構成された一対の注文搬送路がそれぞれ配設されている。つまり本実施例では、3本の直線搬送路部7aそれぞれに一対の注文搬送路が設けられている。
【0018】
これら循環型飲食物搬送装置4の循環搬送路及び注文飲食物搬送装置10の注文搬送路には、主に厨房エリア2内において飲食物が投入され、それぞれの搬送路に沿って搬送されて飲食客エリア3内の飲食客に提供されるようになっている。図3に示されるように、循環型飲食物搬送装置4には、厨房エリア2内において飲食物F1が適宜投入されるとともに、注文飲食物搬送装置10には、主に適宜客席9の飲食客から注文を受けて調理した注文飲食物F2が、該注文客に対応する注文飲食物搬送装置10にて搬送路12に沿って注文飲食客まで搬送されるようになっている。
【0019】
次に、注文飲食物搬送装置10の詳細な構造について説明する。尚、該注文飲食物搬送装置10は、往路及び復路双方の上方位置にそれぞれ一対に配設されているが、構造は同一のため、ここでは一方の装置のみ説明し、他方の詳細な説明は省略することとする。
【0020】
図1及び図2に示されるように、注文飲食物搬送装置10は、例えば注文された寿司等の注文飲食物F2を調理するための厨房エリア2と飲食物の飲食を行うための客席9とに亘って設けられた搬送路12と、注文飲食物F2を載置した寿司皿D(飲食物容器)を載置可能であり搬送路12に沿って注文した客席9近傍に移動して停止する走行体としての搬送トレー11と、搬送トレー11の移動を制御する制御手段35(図7参照)と、を主に備えた装置である。
【0021】
図2及び図4に示されるように、注文飲食物搬送装置10は、搬送トレー11が走行する搬送路12の長手方向に延設される搬送駆動部としての駆動ユニット13と、一端が該駆動ユニット13に設けられて駆動搬送ユニット13の駆動により移動する移動体50と、などから構成されている。
【0022】
駆動ユニット13は、図示しない搬送モータと、該搬送モータに連結された駆動回転体としての駆動ローラ(図示略)と、前記搬送モータに連係しない従動回転体としての従動ローラ(図示略)と、これら駆動ローラと従動ローラとの外周に掛け渡された環状部材としてのコンベアベルト15(図4参照)とを少なくとも含む駆動部品と、これら複数の駆動部品が一体的に組み付けられるケース部材16と、から構成されるコンベアユニットである。尚、この駆動ユニット13の搬送モータ(図示略)は、図7で示す制御手段35に接続されて駆動制御されるようになっている。
【0023】
図3及び図4に示されるように、各駆動部品が一体的に組み付けられて内部に収容されてなる長手方向に延びるケース部材16は、クレセントチェーンコンベア5の上方所定高さ位置に、搬送方向に向けて延設されている。具体的には図4に示されるように、、基台7の上面における直線搬送路部7aにおける往路と復路との間には、略L字形をなすブラケット22が上部に固定された支柱21が、搬送方向に向けて所定間隔おきに複数立設されており、これら所定間隔おきに配置された各ブラケット22における屈曲部側に、ケース部材16が、支持台19を上方から載置した状態でそれぞれ図示しないネジ等にて固設されている。
【0024】
また、各ブラケット22の上面には、透明なアクリル板等にて構成される落下防止板33(図4参照)が、搬送路12の長手方向にわたって配設されており、この落下防止板33の上面を搬送トレー11が走行するようになっている。このように落下防止板33が設けられることで、下方の循環型飲食物搬送装置4の循環搬送路上を移動する飲食物F1上や循環搬送路上への飲食物等の落下を防止できる。
【0025】
また、落下防止板33における外側方には、図2及び図4に示されるように、上下方向を向くガイド壁32が立設されており、このガイド壁32により、搬送トレー11の搬送路12からの落下が防止されている。ガイド壁32の内側面には、後述する受信部としての受光部39が、搬送路12の長手方向に沿って設けられた客席9毎に対応付けて複数設けられている。これ等受光部39は、店内を固定に配線された図示しない配線部を介して制御手段35(図7参照)に接続している。
【0026】
尚、各支柱21,21間には目隠し板23が配設されており、反対側の客席9との間が区画されているとともに、注文飲食物搬送装置10にて搬送されてきた注文飲食物F2を反対側の飲食客が誤って取り出すことが防止されている。また、支柱21の上部には、搬送方向に対して直交する方向を向く横フレーム24が設けられており、各横フレーム24の上部には、湯呑み等の食器類や調味料品等を載置可能な棚板25等や、搬送路を照らす照明装置26が搬送路12に沿って配設されている。
【0027】
搬送トレー11は、図4に示されるように、金属板からなる基材40と、基材40の上面を覆うように固着されるトレーカバー41と、を有している。基材40は、平面視略長方形状に形成されており、その下面四隅には、搬送路12の上面を転動する走行ローラ42がそれぞれ設けられ、搬送トレー11の荷重を支持している。駆動ユニット13側に配置された前後一対の走行ローラ42,42間には、移動体側磁石51に吸引されるトレー側磁石52が設けられている。
【0028】
図5(a)、(b)に示されるように、トレーカバー41の上面には、寿司皿Dを載置可能な載置部としての平面視円形の載置凹部11aが、走行方向に向けて所定間隔おきに計4つ凹設されている。各載置凹部11の径は、寿司皿Dの糸底の外径よりも大径であって、且つ寿司皿Dの載置面の外径よりも小径であるため、載置凹部11に載置した寿司皿Dを搬送トレーから脱落しないように安定的に保持できるとともに、寿司皿Dを載置した載置凹部11の上面には光が進入せず遮蔽されることになる。
【0029】
各々の載置凹部11の上面には略矩形状の太陽電池37が固設され、すなわちトレーカバー41には計4個の太陽電池37が固設されている。太陽電池37は、寿司皿Dの糸底の内径よりも小型に形成されているため、載置凹部11に寿司皿Dを載置している状態では遮蔽され発電せず、載置凹部11から寿司皿Dを取り出した状態では照明下に開放され発電できるように成っている。尚、トレーカバー41に設けられた太陽電池の数は、載置凹部毎に対応して設けられたものであれば、例えば1個のみであってもよいし、所定複数個であっても構わない。
【0030】
図6に示されるように、搬送トレー11の内部には、各載置凹部11に固設された4つの太陽電池37が互いに直列に電気的に接続され、更に発電電圧を検知する検知手段36及び、出力部(発信部)としてのLED発光体38が電気的に接続された電気回路Cが配設されている。
【0031】
LED発光体38は、その発光面38aが客席側のガイド壁32の受光部39を向くように、搬送トレー11の外側面に固定設置されている。尚、LED発光体38に替えて、例えば図示しないインジケータを利用してもよい。
【0032】
次に図7に示されるように、制御手段35の構成について説明すると、制御手段35は、図示しない注文管理テーブル等が記憶されている記憶部31と、制御手段35内で各制御を行うメイン制御回路32と、から構成されている。メイン制御回路32には、注文端末のディスプレイ及びタッチパネル(図示略)と、厨房端末のディスプレイ及びタッチパネル(図示略)等が接続されている。
【0033】
このように構成された注文飲食物搬送装置10にあっては、搬送トレー11は、基本的に注文飲食物搬送装置10の搬送路12における厨房エリア2側の端部にて待機されている。そして、飲食客から受け付けた注文飲食物が厨房エリア2内で調理され、この注文飲食物F2を載置した寿司皿Dを搬送トレー11に配置し、調理者が制御手段35を介し所定の搬送操作を行うことで、駆動ユニット13が駆動してコンベアベルト15が回転し、このコンベアベルト15の回転により移動体50が搬送路12に沿って移動する。この移動体50の移動により、該移動体50に連結された搬送トレー11が飲食客エリア3に向けて走行する(図2及び図3中実線矢印方向)。
【0034】
駆動ユニット13の搬送モータは、制御手段35に接続されており、前述したように調理者が行う所定の搬送操作により、その駆動量すなわち搬送距離等が制御部により制御されるため、搬送トレー11が注文客の客席9に到達した時点で駆動が停止され、これにより搬送トレー11が注文客の客席9にて停止するようになっている(図3参照)。
【0035】
より詳細には搬送トレー11は、その外側面に設けられたLED発光体38の発光面38aが客席9毎に設けられた受光部39を向く近傍位置にて、停止するようになっている。
【0036】
客席9の注文客が停止した搬送トレー11に載置された寿司皿Dを取り上げると同時に、この寿司皿Dにより遮蔽されていた載置凹部11の太陽電池37が照明下に開放され発電する。各太陽電池37は、照明装置26の照明光若しくは店内天井に設置された図示しない照明灯の照明光等の所定照度に応じて、各太陽電池37ごとに所定発電量を発電するようになっている。
【0037】
図6及び図7に示されるように、太陽電池37による発電について詳述すると、電気回路Cにおける検知手段36は、太陽電池37による発電電圧を検知する検知機能と、全て(本実施例では4個)の太陽電池37による所定の総発電電圧に達したときに電流をLED発光体38に流す制御機能と、を備えている。
【0038】
搬送トレー11に予め複数枚の寿司皿Dが載置凹部11aに載置されていた場合、注文客が寿司皿Dを取り上げても、他の寿司皿Dが1枚でも載置凹部11aに載置されていればLED発光体38は未だ発光せず、注文客が最後の即ち全ての寿司皿Dを取り上げると同時に、即ち図2に示されるように全ての太陽電池37が開放され発電すると同時に、検知手段36が全ての太陽電池37による所定の総発電電圧を検知し、LED発光体38が電圧印加され発光するように成っている。
【0039】
尚、上述の電気回路Cにおいて、例えば検知手段36を構成しなくても、LED発光体38が、全ての太陽電池37による発電電圧を合計した総発電電圧で発光する仕様の発光体(図示略)であってもよく、前記仕様の発光体であれば、全ての太陽電池37が開放され発電すると同時に、前記発光体が発光するように成る。
【0040】
受光部39は、LED発光体38からの光を受光することで、前述した配線部を介し制御手段35に所定信号を発信する。当該信号を受信した制御手段35の制御に基づき、駆動ユニット13が再び駆動し、コンベアベルト15が逆回転して飲食物が取り出された空の搬送トレー11が搬送路12を逆方向に走行し(図2及び図3中1点鎖線矢印方向)、厨房エリア2に戻るようになっている。つまり搬送トレー11は、搬送路12を往復動自在に設けられている。
【0041】
以上説明したように、本発明の注文飲食物搬送装置10の走行体としての搬送トレー11は、飲食物容器としての寿司皿Dを載置することで上面が遮蔽される載置凹部11aと、載置凹部11aの上面に設けられた太陽電池37と、太陽電池37による発電に基づき載置凹部11aに載置された寿司皿Dが取られたことを出力する出力部としてのLED発光体38と、を備えることで、搬送トレー11の載置凹部11aに載置された寿司皿Dを取るだけで、それまで寿司皿Dにより遮蔽されていた載置凹部11aが開放されて太陽電池37が発電することに成るため、別段の電源を用いずに光エネルギを利用して寿司皿Dが取られたことを容易に検知でき、LED発光体38が、太陽電池37による発電を即ち寿司皿Dが取られたこととして出力できる。
【0042】
また、搬送トレー11は載置凹部11aを複数備えるとともに、複数の載置凹部11aの各々に太陽電池37が設けられ、LED発光体38は、全ての太陽電池37による発電に基づき載置凹部11aに載置された寿司皿Dが取られたことを出力することで、複数の載置凹部11aに載置された寿司皿Dの全てが取られたことを出力することができ、搬送トレー11を誤作動なく正確に制御できる。
【0043】
また搬送路12に沿って移動する搬送トレー11のLED発光体38が、制御手段35に無線発信する発信部であることで、制御手段35との間に配線を要することなく自由に移動できる。
【0044】
搬送路12の延長方向に沿う近傍箇所に、制御手段35との間に配線された配線部を備えLED発光体38からの信号を受信する受信部としての受光部39が設けられていることで、無線通信の通信距離を、搬送トレー11のLED発光体38と搬送路12の延長方向に沿う近傍箇所に設けられた受信部との間で短くし、受光部39を介して配線部により制御手段35に出力することで、無線通信に要する電力量を抑制できる。
【0045】
更に、LED発光体38と受光部39とは、光通信により通信することで、LED発光体38から受信部に発せられる光を、出力部としてのLED発光体38が出力していることを表示するインジケータとしても利用できる。
【0046】
また、図6に示す電気回路Cにおいて、太陽電池37により電圧印加されると所定の音若しくは光等を発し周囲に報知する報知部(図示略)が、LED発光体38と電気的に並列接続されていてもよく、前記した報知部が、太陽電池37の発電に基づき、載置凹部11aに載置された寿司皿Dが取られたことを、LED発光体38の発光とともに周囲に報知することで、寿司皿Dが取られた後の搬送トレー11の移動に際し注意喚起できるばかりか、LED発光体38による出力を確認できる。
【実施例2】
【0047】
次に、実施例2に係る注文飲食物搬送装置20につき、図8を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。
【0048】
図8に示されるように、注文飲食物搬送装置20の搬送トレー11の内部には、各載置凹部11に固設された複数の太陽電池37が電気的に接続され、更に発電電圧を検知する検知手段36及び無線信号を発信可能な出力部としての発信部48が電気的に接続された電気回路が配設されている。
【0049】
また、制御手段45のメイン制御回路32には、前記実施例における構成に加え、発信部48からの無線信号を受信する受信部49が接続されている。
【0050】
注文客が搬送トレー11上の最後の即ち全ての寿司皿Dを取り上げると同時に、検知手段36が全ての太陽電池37による所定の総発電電圧を検知し、発信部48が電圧印加され受信部49に向けて無線信号を発信するように成っている。
【0051】
発信部48からの無線信号を直接に受信した受信部49は、メイン制御回路32に無線信号の受信を伝達し、当該無線信号の受信を伝達された制御手段35の制御に基づき、駆動ユニット13が再び駆動し、コンベアベルト15が逆回転して飲食物が取り出された空の搬送トレー11が搬送路12を逆方向に走行し、厨房エリア2に戻るようになっている。
【0052】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0053】
例えば、前記実施例に記載の注文飲食物搬送装置10は、循環型飲食物搬送装置4における循環搬送路の上方位置に配設されていたが、循環型飲食物搬送装置4の下方や側方、あるいは該循環型飲食物搬送装置4がない場所に単独で配設されてもよい。
【0054】
また、前記実施例では、搬送駆動部としての駆動ユニット13は、搬送モータ、駆動ローラ、従動ローラ、コンベアベルトにて構成されるベルトコンベアであったが、搬送モータ、駆動スプロケット、従動スプロケット、コンベアチェーンからなるチェーンコンベア等、連結部材を搬送方向に移動可能な搬送駆動部であれば、その形態は種々に変更可能である。
【0055】
また、前記実施例では、搬送路12上を左右前後の走行ローラ42を介して走行し、荷重がこれら走行ローラ42にて支持されていたが、例えば駆動ユニット13側の前後一対の走行ローラ42は特に設けなくてもよいし、あるいは走行ローラ42を全て外し、搬送トレー11を駆動ユニット13にて片持ち支持するようにしてもよい。
【0056】
また、前記実施例では、寿司皿Dに載置される飲食物F1,F2を寿司として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、寿司皿Dに載置される飲食物は、例えばジュースやビール、丼物、漬物等の他の飲食物であってもよい。さらに、走行体はトレー形状に形成されていたが、飲食物を載置可能であれば形状は種々に変更可能である。
【符号の説明】
【0057】
9 客席
10,20 注文飲食物搬送装置
11 搬送トレー(走行体)
11a 載置凹部(載置部)
12 搬送路
26 照明装置
35,45 制御手段
36 検知手段
37 太陽電池
38 LED発光体(出力部、発信部)
39 受光部(受信部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲食物を調理するための厨房と該飲食物の飲食を行うための客席とに亘って設けられた搬送路と、注文された飲食物を載置した飲食物容器を載置可能であり前記搬送路に沿って注文した客席近傍に移動して停止する走行体と、該走行体の移動を制御する制御手段と、を備え、飲食物を搬送する注文飲食物搬送装置であって、
前記走行体は、前記飲食物容器を載置することで上面が遮蔽される載置部と、該載置部の上面に設けられた太陽電池と、該太陽電池による発電に基づき前記載置部に載置された飲食物容器が取られたことを出力する出力部と、を少なくとも備えることを特徴とする注文飲食物搬送装置。
【請求項2】
前記走行体は前記載置部を複数備えるとともに、複数の前記載置部の各々に前記太陽電池が設けられ、前記出力部は、全ての前記太陽電池による発電に基づき前記載置部に載置された飲食物容器が取られたことを出力することを特徴とする請求項1に記載の注文飲食物搬送装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記太陽電池による発電に基づき前記制御手段に無線発信する発信部であることを特徴とする請求項1または2に記載の注文飲食物搬送装置。
【請求項4】
前記搬送路の延長方向に沿う近傍箇所に、前記制御手段との間に配線された配線部を備え前記発信部からの信号を受信する受信部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の注文飲食物搬送装置。
【請求項5】
前記発信部と前記受信部とは、光通信により通信するように成っていることを特徴とする請求項4に記載の注文飲食物搬送装置。
【請求項6】
前記太陽電池による発電に基づき前記載置部に載置された飲食物容器が取られたことを報知する報知部を、更に備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の注文飲食物搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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