説明

洗浄のための流体滴ジェットシステム

システムは、流体のための貯蔵部と、前記流体から流体滴のストリームを作り出すための流体滴生成器とを含み、ここで、流体滴の前記ストリームの速度は、20〜200メートル/秒であり、前記流体滴の大きさは、10〜200ミクロンまである。1つ又は複数のノズルが、選択された歯の表面の領域を洗浄するために流体滴のストリームを方向決めする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には、歯を洗浄するのに有用であるが他のアプリケーションにも有用である、流体(液体)ストリームを用いる洗浄システムに関し、より詳細には、流体滴(fluid droplets)のストリームを用いる洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
典型的には水のパルスストリームに関連する、液体ジェット洗浄装置/システムは、よく知られており、幾つかの製造業者から販売されている。このような装置は、特にオーラルケアアプリケーションを含む種々の洗浄アプリケーションにおいて用いられている。しかし、このようなオーラルケア装置は、主に、歯茎のマッサージ及び口のリフレッシュ、並びに、歯の間からの食べ物のかけらの除去のために有用である。しかし、このような装置は、歯垢を歯からおとすのには効果がなく、特に、歯垢を歯肉領域又は歯間領域等の届きにくい領域からおとすのには効果がない。
【0003】
歯表面からの歯垢(即ちバイオフィルム)の除去を含む、臨床的有益性を持ついかなる有意な洗浄を生じさせるにも、使用者に対する大きな不快感及び歯肉への損傷が生じるほどの大きさの流体圧が必要とされる。このため、このような装置は、歯の洗浄(歯垢除去)のためには、又は、必要とされる流体圧が、洗浄されている物又はその周囲に損傷を引き起こし得る、他のアプリケーションのためには、用いられていない。このような既存のオーラルケア装置/システムの他の欠点は、用いられる液体(通常は水)が大量であるということであり、このことは、通常、使用者の口(即ち口腔)において快適でない。
【0004】
場合によっては、流体のストリームは、霧化されて流体滴の形式にされる。これは、米国特許第5,820,373号に説明されている。この特許において説明されている構成は、特に、流体滴の特性は、歯周ポケットの消毒を生じるように設計されている。このシステムは、歯垢の除去のためには有用でない。霧化プロセスを介して発生される流体滴は、工業用の洗浄アプリケーションにおいても用いられる。このようなアプリケーションは、米国特許第6,332,470号、米国特許第4,906,187号及び欧州特許第0726743号において示されており、これらは全て、空気を用いて水滴(添加物を伴う場合も伴わない場合もある)を霧化して加速する流体滴噴霧システムを開示する。しかし、これらの特許は、口腔の組織に不快感及び/又は損傷を引き起こすことの無い洗浄(特に歯垢の除去)に効果的である流体滴構成を教示しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、使用者に不快感及び/又は損傷を引き起こすこと無しに、特に届きにくい表面について、効果的な口腔洗浄(歯垢除去)結果を提供する流体システムを得ることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
流体の供給源と、前記流体から個別の流体滴のストリームを生じさせるための流体滴生成器であって、前記流体滴の速度は、20〜250メートル/秒の範囲にある、流体滴生成器と、選択された口腔面領域を洗浄するために流体滴の前記ストリームを方向決めする部材であって、流体滴の前記ストリームは、更に、使用者の歯又は周りの組織に対する不快感又は損傷無しに前記口腔面領域からバイオフィルムを除去する特性によって特徴付けられる、部材とを有する、歯を洗浄するためのシステム及び対応する方法である。
【0007】
本発明は、歯を洗浄するための流体滴システムにおいて、流体の供給源と、前記流体から個別の流体滴のストリームを生じさせ、選択された口腔面領域を洗浄するために流体滴の前記ストリームを方向決めするための、流体滴生成器及び方向決め部材であって、効果を持つ(effective)流体滴は、5ミクロンを超える直径を持つとともに20メートル/秒の速度を持ち、前記効果を持つ流体滴は、使用者の歯又は周りの組織に対する不快感又は損傷無しに前記口腔面領域からバイオフィルムを除去するのに十分な洗浄効果を発生させる、少なくとも約3×10ニュートン・メートル−2の合成の特定運動量(combined specific momentum)を持つ、流体滴生成器及び方向決め部材とを有するシステムも含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、洗浄が口腔について特に効果的であり、使用者への不快感又は口腔内の組織への損傷無しに、歯(歯肉線の下の領域又は歯間領域等の届きにくい領域を含む)からバイオフィルム(即ち歯垢)を除去する、一連の流体滴(スプレー)を用いる洗浄システムに関する。流体滴は、選択された特性を持ち、システム自体が、不快感及び/又は損傷無しに効果的な洗浄(歯垢除去を含む)の有利な結果を発生させるための、流体滴に対する特定の動作パラメータを持つ。本発明において、流体滴の小さい大きさは、食べ物の残りかす及び細菌によって生じるステインが蓄積しがちである、歯の非常に小さい間隙(crevices)の効果的な洗浄を生じる。効果的なステインの除去が、本発明の他の有利な結果である。
【0009】
これらの特性及び動作パラメータは、特に、流体滴の速度、流体滴の大きさ、及び、流体滴の周波数(即ち選択された時間内における選択された表面領域への流体滴衝突の数)を含む。他の特性/パラメータは、中でも、衝撃の角度、流体の粘性及び流体の表面張力を含む。現在知られていない他の重要な特性もある可能性がある。
【0010】
本発明の流体滴スプレーは、比較的大きい領域にエネルギーを分散させ、少数の高エネルギー流体滴が、より大きい領域の所与の小さいスポットに適用されることを許可する。同量の液体が、続けざまに流体滴が適用される流体滴の集中されたジェットの形式で適用されたら、流体滴のエネルギーは、より小さい領域(即ちスポット又は線)に集中することになる。大きすぎるエネルギーが所与のスポットに適用されると、損傷が生じる。液体を多くの小さい流体滴に分解する(分散させる)ことによって、流体滴の高エネルギーが、歯垢を除去するのに十分であるが、損傷を引き起こすほどには高くないように、エネルギー全体を比較的大きい領域にわたって適用することが可能である。のみ(chisel)のように、結果を得るためには十分なエネルギーが所与のスポットに加えられなければならないが、所望しない損傷を回避するために、必要な打撃回数だけを伴わなければならない。
【0011】
一般に、本システムは、スプレー又は広いストリームの形で分散された流体滴の作製と、所望の速度への流体滴の加速とを伴う。本発明の1つの実施例は、図1中に示される。図1において、流体11が、管12を通じて移動する、速く流れる空気のストリームに導入される。流体11は、入口部材14を通じて管12に導入される。流体11(例えば水)は、ポンプ16によって入口14を通じて移動させられる。代替的に、管12は、水入口管14が管12に合流する位置の前で、物理的に狭くなることができ、これは、空気管12におけるより低い圧力の領域を生じ、これは、流体11を空気管の中に引き入れる。
【0012】
流れる空気ストリームへの流体の添加を伴うこのような装置は、in vivoで歯から歯垢を除去することについて効果的であると示されている。
【0013】
動作中、液体(水)11は、高速移動している空気流と接触すると、流体滴に分解する。次に、流体滴は、連続的な空気流によって加速され、一般的に、空気流とほぼ同じ速度に到達し、そして、ノズル18を通じて管12から外方向に向けられる。一例では、空気流は2barの圧力下にあるが、これは、これよりも小さくてもよく(即ち1bar)、又は、大きくてもよい(3bar又はそれより大きくてもよい)。示される特定の実施例における管12は、直径3mmであり、直径約0.7mmで長さ1.5mmの円形のノズルを持つ。1つの実施例では、ピストン型ポンプ16が、流体を毎分60mLの速度でポンプ移動するのに用いられる。代替的に、速度は30mLか又はそれより低くてもよく、2分間の間に最大60mLの流体を提供する。上記のノズルは、ノズルから3mmの場所で幅2mmのスプレーを結果として生じる。他の大きさのノズルが用いられることもできる。例えば、0.4mmのノズルが、首尾よく用いられた。
【0014】
上記のように、流体滴の速度は重要な特性である。適切な範囲の速度は、典型的には、20m/s〜250又は300m/sであり、流体滴の大きさ(直径)に応じて、1つの実施例では、10ミクロンの流体滴については好適な範囲は70〜100m/s、100ミクロンの流体液については好適な範囲は20〜60m/sである。別の実施例では、速度は、20m/sより少しだけ大きい。流体滴の大きさは、上記のように重要な特性である。一般的に、流体滴は5ミクロンより大きく、(幾つかの実施例では)好適には10ミクロンより大きく、最大約200ミクロンである。1つの実施例では、好適な範囲は、10〜30ミクロンである。別の実施例では、好適な範囲は5〜100ミクロンである。口への流体の流量も、ユーザの快適さについて重要であり得る。1つの実施例では、流量は、1回の洗浄につき20mLを超えることはない。なぜなら、これは、所与の洗浄の最中に口に快適に収容可能な流体のおよその量だからである。しかし、流量は1回の洗浄につき最高100mLであることができ、又は、20mLより幾分大きくともよい(例えば40mL)。別の実施例では、1回の洗浄の最中の口の中の流体の全量は、約60mLである。更に、流体滴の衝撃の周波数又は速度は、毎秒10〜10個の流体滴の範囲にあってよい。一般的に、このような構成では、歯とノズルの先端(端)との間の少なくとも3mm(最大10mmであり得る)の距離の場所で効果的な洗浄が発生される。
【0015】
流体の流体滴への分散は、所望の領域の衝撃を保証するのに重要である。例えば、歯垢除去のための1つの実施例において、カバーされる領域は、少なくとも1mmであるが、1cmよりは大きくない。より小さい領域は、使用者の不快感を生じる可能性がある一方で、より大きい領域は、より低い効果の結果を生じる。
【0016】
一般的に、図1の構成において、洗浄は、空気圧を向上させ、これは、種々の流体滴を加速させる。流体の流れは、ノズル構成を修正することによっても洗浄のために最適化されることができる。
【0017】
図1の実施例は、高速でのガス(空気)の使用を目的とし、空気ストリームに加えられる流体を加速させる。図2は、本発明の流体滴洗浄システムの他の実施例を示す。この実施例は、特に歯ブラシの形で一般に40で示される。図示した実施例において、複数の小さいノズル42(説明の簡単のため、1つしか示されない)は、圧力下で流体がこれらノズルを通じて移動させられると、流体滴を発生させる。歯ブラシのための流体貯蔵部は、43で示されて、長さ約10cmである。バネ44はピストン46を駆動させ、示される実施例においては2cmの表面面積を持つ。バネは、一般的な範囲30〜70bar(最大100barでさえもよい)の圧力を提供するように構成される。貯蔵部43からの流体は、歯ブラシのネックにある中空のステム部48に導かれ、ブラシヘッド52の複数のノズルから出される。
【0018】
示された実施例において、ブラシヘッドには10個の別個のノズルがあり、各ノズルは、10〜50ミクロン(好適には約26ミクロン)の範囲の直径を持つ。しかし、ノズルはこれよりも少なくてもよく(これより多くてもよい)、ノズルは1つであってもよい。ノズルは、長さ約200ミクロンである。ノズル42は、ブラシヘッドと一体化されており、詰まるのを防止するために、ゴム等の可撓性材料でできている。ノズルから出ている流体は、ノズル自体から近い距離の場所で流体滴のスプレーに分解する。適当な圧力(上記参照)、26ミクロンのノズルサイズ及び200ミクロンのノズル長さで、流体滴は、30メートル/秒で(又は別の実施例では少なくとも20メートル/秒)、2.5Mhzの(周波数)レートで(全10個のノズルについての合計)ノズルから出る。この実施例では、(10個のノズルでの)水量は、約10mL/分である。この装置は、ユーザに痛み又は不快感を引き起こすことの無い効果的な洗浄を提供する。一般的に、摂動(perturbation)無しで、流体は、ノズルから短い距離の場所で流体滴に分解する。
【0019】
他の実施例が、ここでも歯ブラシの形で、図3において、一般に60で示される。本実施例において、圧電トランスデューサ素子62(1つの周波数の例は1.5MHzであるが、他の周波数も可能である)が、歯ブラシのヘッド部64に配置される。圧電素子の動作は、流体への高速ポンピング効果を発生させ、圧電素子の前に位置したノズル66の組を通じる流体を大きく加速させる。特定の実施例では、1つのノズルしかなくてもよい。
【0020】
流体が小さいノズル66を通じて移動するにつれて、流体は、ノズルプレート68において均一な大きさの小さい流体滴に分解する。
【0021】
歯ブラシ60は、ハンドル部分69に流体のための貯蔵部70を含み、該貯蔵部70は、圧力下にあり、この圧力は、小さいが、流体を貯蔵部70から流体滴ヘッドに移動させるのに充分である。圧電素子の動作は、ノズル66を通じて流体を加速する。流体がノズル66を通過させられると、流体は、一般的にノズルの大きさに依存して50〜700ミクロンの範囲内の流体滴に分解する。別の実施例では、例えば、異なった大きさのノズルで、流体滴の直径の下端は5ミクロンであってよい。
【0022】
1つの実施例における流体のための貯蔵部70は、約20mLの容量を持ち、これは、マウスウォッシュ又は洗浄(一般的に2分間)において使用者によって用いられる平均の量である。他の実施例では、この容量はより大きくともよく、例えば1つの特定の実施例では60mLである。上記のように、貯蔵部70は、流体にノズル66を通過させるような圧力下にある。流体滴の速度及び他の特性は、他の実施例についてのものと実質的に同じである。しかし、流体滴の生成は、他の実施例とは異なっている。図2の実施例におけるように、貯蔵部70は、圧力下にあり、流体を圧電素子に送る。
【0023】
ここで具体的に説明された実施例及びこれらの変形例以外にも、流体滴を生じさせるための他の実施例が可能であることを理解されたい。例えば、インクジェット技術(従来型の及び将来のもの)が用いられることができ、流体滴は、周りの圧電素子の収縮によって毛細管型素子から押し出される。更に、流体は、超音波ソノトロードと接触するように移動させられることができ、この超音波ソノトロードは、流体を分解して霧にする。
【0024】
上記のように、流体滴システムの種々の側面は、洗浄に対する効果、中でも、流体滴の速度、流体滴の大きさ及び全体的な水流(即ち流体フラックス)に対する効果を持つ。
【0025】
図4は、速度が20〜200メートル/秒(及びそれを超える)で流体滴の大きさが5〜300ミクロンのときの速度対流体滴の大きさについて、システム動作の効果を示す図である。低速では、流体滴の大きさの比較的広い範囲にわたって歯茎のマッサージ効果が発生する。低速では、ゆるく結合したバクテリア、バクテリア生成物及びゆるく結合した食べ物粒子が、(歯周ポケット及び歯間領域を含む)歯領域から除去される。速度が増加するとともに、口内の洗浄効果(歯垢除去及びステイン除去を含む)は向上し、更に増加すると損傷が起こり、その後、ユーザにとって大きな不快感が起こる。流体滴の大きさも、速度ほどではないが、洗浄に対する効果を持つ。ここでも、上記のように、他の因子(角度、距離、流量及び全体的な流体滴レート(周波数)を含む)も、洗浄への大きな効果を持つ可能性がある。
【0026】
流体滴システム構成において用いられる流体は、異なるものであってよく、水、又は、種々の化学溶液(種々のマウスウォッシュ溶液、抗菌溶液、フッ化物、減感剤、ホワイトニング溶液及び他の流体(例えば他の有益なオーラルケア合成物又は化合物)を含む)と組み合わせた水を含む。気泡/固体粒子も流体滴に含まれうる。システムは、届きにくい口腔領域並びに歯列矯正及びデンタルインプラントの洗浄に用いられることができる。更に、本システムは歯ブラシに関連して具体的に開示され、特に、使用者への不快感無しに、届きにくい領域における歯垢の除去の結果に至る(これは既知のウォータージェット又は流体滴の装置ではこれまで達成されていないことである)が、本発明は、他の洗浄アプリケーションのためにも用いられることができる。これらは、ホームケア、皿洗い、洗濯及びステイン除去における種々の表面を含む。これらの装置において、活性な洗浄化合物又は研磨剤が、異なった洗浄効果のために水に追加されることができる。
【0027】
流体滴のスプレー中の「効果を持つ」流体滴(「効果を持つ」流体滴は、直径5ミクロンより大きく、20メートル/秒を超える速度で移動する流体滴として定義される)の「特定運動量」(下で定義される)は、使用者の歯又は周りの口内組織に対する不快感又は損傷を生じさせることのない歯の洗浄(歯間及び歯肉縁下の洗浄を含む)に関する重要な因子であることが分かった。「効果を持つ」流体滴は、安全で効果的な洗浄を生じる、スプレー中の全ての流体滴のサブセットである。ここで、「特定運動量」は、口腔(口又は歯)表面に接触するスプレー(ここでこのスプレーは口腔面に対して移動しない)について、単位時間あたりの単位表面積あたりの全ての効果を持つ流体滴の運動量の合計の時間平均として定義され、ニュートン・メートル−2で表される。口腔面と接触するスプレーの面積は、スプレーの合計の時間平均の衝突(衝撃)面積として定義される。上記の特別な定義は、流体滴システムのパルスモード動作の場合について一般化されるように理解されるべきである。
【0028】
種々の流体の可能性が上記で議論された。更に、本システムにおける流体滴直径の範囲も上記で議論され、流体滴速度の範囲も議論された。
【0029】
しかし、一般的に、「特定運動量」が考慮されるとき、「効果を持つ」流体滴が直径5ミクロンを超え、このような流体滴の速度が少なくとも20メートル/秒であり、好適には少なくとも30メートル/秒であることが好ましい。効果を持つ流体滴の全ての(単位面積あたり、単位時間当たりの)運動量の合計が、安全で効果的な洗浄のために必要な特定運動量と同じかそれより大きい限り、効果を持つ流体滴の直径及び速度は個々に異なることができる。一般的に、水又は類似した流体等(種々のマウスウォッシュを含む)の流体について、全ての効果的な流体滴の合成特定運動量は、損傷/不快感が起こり始めるまでに、10ニュートン・メートル−2から少なくとも3×10ニュートン・メートル−2より大きく、これより更に大きい可能性もある。より好適には、この範囲は、100ニュートン・メートル−2から少なくとも3×10ニュートン・メートル−2であり、最も好適な(最小)閾値は3×10ニュートン・メートル−2である。流体滴スプレー中の前記効果を持つ流体滴の組についてのこれらの範囲の運動量は、使用者の歯/歯茎への不快感又は損傷のない歯間及び歯肉線(歯肉縁下)洗浄を含む効果的な洗浄を提供する。
【0030】
「効果を持つ」流体滴の「特定運動量」の重要性は、口腔洗浄に対する、個々の効果を持つ流体滴及び効果を持つ流体滴の組全体の、大きさ(体積)及び速度の相互依存性を示す。
【0031】
更に、上述の、効果を持つ流体滴の特定運動量の範囲及び閾値は、低圧及び高圧流体滴システムについて効果的であり、更に、ガス補助(gas-assisted)(及び非ガス補助)システムについても効果的である。ガス補助システムは、本発明の出願人の所有に係る同時係属中の出願において説明されている。
【0032】
上記の効果のある流体滴の特定運動量の閾値は、通常2分間である洗浄中の口中の流体滴スプレーの60mLより少ない全体積によって、効果的で安全な洗浄を生じる。
【0033】
従って、歯垢の洗浄を歯茎のマッサージ及び口腔の全体的なリフレッシュと組み合わせた、完全で総合的なオーラルケア装置及び方法として特に効果的である洗浄システムが開示された。
【0034】
好適な実施例が説明のために開示されたが、請求の範囲によって規定される本発明の精神から逸脱することなく、このような実施例において、種々の変更、修正及び置換がなされることができることは理解される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】高速の空気のストリームを用いて本発明の洗浄システムにおいて流体滴を生じさせるための1つの実施例を示す簡略図を示す。
【図2】複数のノズル装置を用いる本発明の他の実施例を示す立面図であり、流体が圧力下でノズルを通じて押し出されている。
【図3】圧電流体滴生成システムを用いる本発明の他の実施例である。
【図4】一方の軸において流体滴速度を、他方の軸において流体滴の大きさ(直径)を、示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯を洗浄するための流体滴システムにおいて、
流体の供給源と、
前記流体から個別の流体滴のストリームを生じさせるための流体滴生成器であって、前記流体滴の速度は、20〜250メートル/秒の範囲にある、流体滴生成器と、
選択された口腔面領域を洗浄するために流体滴の前記ストリームを方向決めする部材であって、流体滴の前記ストリームは、更に、使用者の歯又は周りの組織に対する不快感又は損傷無しに前記口腔面領域からバイオフィルムを除去する特性によって特徴付けられる、部材と、
を有するシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記流体滴の前記速度は、50〜200メートル/秒の範囲にある、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記流体滴は、5〜200ミクロンの範囲の大きさを持つ、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記流体の流量は、通常の使用時間である2分間で100mLよりも少ない、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記流体の流量は、通常の使用時間である2分間で40mLよりも少ない、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムにおいて、流体滴の周波数は、流体滴個数10〜10個/秒の範囲にある、システム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記流体滴は、これら流体滴の衝撃が損傷無しに歯垢の除去をもたらすのに充分なエネルギーを持って、選択された領域を通じて分散される、システム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記流体滴は、1mm〜1cmの範囲にある衝撃の領域を持つ、システム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記流体は水を含む、システム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記流体は口腔の処理のための薬物を含む、システム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記流体はフッ化物を含む、システム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記流体はマウスウォッシュを含む、システム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記流体滴生成器は、ガスが高速で通過移動するガス管部材と、流体を前記移動しているガスに導入するための、隣接した流体管部材及びポンプ部材を含むアセンブリとを含む、システム。
【請求項14】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記流体滴生成器は、少なくとも1つの小さいノズルと、流体を、前記供給源から前記ノズルを通じて、前記ノズルからの前記流体が分散して前記流体滴になるような速度で移動させるためのポンプアセンブリとを含む、システム。
【請求項15】
請求項13に記載のシステムにおいて、前記流体滴生成器は複数の小さいノズルを含む、システム。
【請求項16】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記流体滴生成器は、圧電部材と、少なくとも1つの小さいノズルと、流体を前記供給源から前記圧電部材に移動させるためのポンプ部材とを含み、該ポンプ部材は、動作中、前記流体を、前記ノズルからの前記流体が分散して流体滴のストリームになるような速度で、前記ノズルを通じて移動させる、システム。
【請求項17】
請求項6に記載のシステムにおいて、前記流体滴生成器は複数の小さいノズルを含む、システム。
【請求項18】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記流体滴システムは電動歯ブラシの一部を有し、流体の前記供給源は前記歯ブラシのハンドル部分内の貯蔵部である、システム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムにおいて、前記貯蔵部は少なくとも20mLの容量を持つ、システム。
【請求項20】
歯を洗浄するための流体滴方法において、
流体ストリームを提供するステップと、
前記流体ストリームから個別の流体滴のストリームを生じさせるステップであって、流体滴の前記ストリームの速度は、20〜250メートル/秒の範囲にある、ステップと、
選択された口腔面領域で洗浄するために流体滴の前記ストリームを方向決めするステップであって、流体滴の前記ストリームは、使用者の歯又は周りの組織に対する不快感又は損傷無しに前記口腔面領域からバイオフィルムを除去する特性によって特徴付けられる、ステップと、
を有する方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、前記流体滴の前記速度は、50〜200メートル/秒の範囲にある、方法。
【請求項22】
請求項20に記載の方法において、前記流体滴は、10〜200ミクロンの範囲の大きさを持つ、方法。
【請求項23】
請求項21に記載の方法において、前記流体の前記流量は、通常の使用時間である2分間で100mLより少ない、方法。
【請求項24】
請求項21に記載の方法において、前記流体の前記流量は、通常の使用時間である2分間で40mLより少ない、方法。
【請求項25】
請求項21に記載の方法において、流体滴の周波数は、流体滴個数10〜10個/秒の範囲にある、方法。
【請求項26】
請求項21に記載の方法において、前記流体は水を含む、方法。
【請求項27】
請求項21に記載の方法において、前記流体は前記口腔の処理のための薬物を含む、方法。
【請求項28】
請求項21に記載の方法において、前記流体はフッ化物を含む、方法。
【請求項29】
請求項21に記載の方法において、前記流体はマウスウォッシュを含む、方法。
【請求項30】
請求項21に記載の方法において、前記流体滴は、これら流体滴の衝撃が損傷無しに歯垢の除去をもたらすのに充分なエネルギーを持って、選択された領域を通じて分散される、方法。
【請求項31】
請求項1に記載の方法において、前記流体滴は、1mm〜1cmの範囲にある衝撃の領域を持つ、方法。
【請求項32】
歯を洗浄するための流体滴システムにおいて、
流体の供給源と、
前記流体から個別の流体滴のストリームを生じさせ、選択された口腔面領域を洗浄するために流体滴の前記ストリームを方向決めするための、流体滴生成器及び方向決め部材であって、効果を持つ流体滴は、5ミクロンを超える直径を持つとともに20メートル/秒の速度を持ち、前記効果を持つ流体滴は、使用者の歯又は周りの組織に対する不快感又は損傷無しに前記口腔面領域からバイオフィルムを除去するのに十分な洗浄効果を発生させるのに効果的である、少なくとも約3×10ニュートン・メートル−2の合成の特定運動量を持つ、流体滴生成器及び方向決め部材と、
を有するシステム。
【請求項33】
請求項32に記載のシステムにおいて、前記効果を持つ流体滴の前記合成の特定運動量は、最大3×10ニュートン・メートル−2までの範囲を持つ、システム。
【請求項34】
請求項32に記載のシステムにおいて、前記洗浄効果は、1回の洗浄について60mLを超さない口中の流体体積により起こる、システム。
【請求項35】
請求項34に記載のシステムにおいて、前記流体体積は20〜60mLの範囲にある、システム。
【請求項36】
歯を洗浄するための流体滴システムであって、
流体の供給源と、
1回のブラッシングについて約60mL以下の体積の前記流体から個別の流体滴のストリームを生じさせるための流体滴生成器であって、前記流体滴は選択された口腔面領域に向けて方向決めされ、流体滴の前記ストリーム内の効果を持つ流体滴は、使用者の歯又は周りの組織に対する不快感又は損傷無しに前記口腔面領域からバイオフィルムを除去するのに効果的である合成の特定運動量を持つ、流体滴生成器と、
を有するシステム。
【請求項37】
請求項36に記載のシステムにおいて、前記特定運動量は、10ニュートン・メートル−2〜3×10ニュートン・メートル−2であり、前記効果を持つ流体滴は、5ミクロンを超える直径を持つとともに20メートル/秒の速度を持つ、システム。
【請求項38】
請求項36に記載のシステムにおいて、前記特定の運動量は、100ニュートン・メートル−2〜3×10ニュートン・メートル−2であり、前記効果を持つ流体滴は、5ミクロンを超える直径を持つとともに20メートル/秒の速度を持つ、システム。
【請求項39】
請求項36に記載のシステムにおいて、前記特定の運動量は、3×10ニュートン・メートル−2より大きく、前記効果を持つ流体滴は、5ミクロンを超える直径を持つとともに20メートル/秒の速度を持つ、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−518487(P2007−518487A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−548569(P2006−548569)
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【国際出願番号】PCT/IB2005/050244
【国際公開番号】WO2005/070324
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】