説明

洗浄タンク装置及び玉鎖への固定部材の固定方法

【課題】玉鎖に対してフロート等の固定部材を固定するに際し、その固定位置に対する指示が容易で尚且つ固定作業も容易であり、工場生産段階での生産性及び現場での作業性を良好となし得る洗浄タンク装置を提供する。
【解決手段】洗浄タンクと、排水弁14及び排水弁14を開操作する操作部材20と、それらを連結する玉鎖22とを有する洗浄タンク装置において、玉鎖22には一定の複数個間隔ごとに球形の他の正常ボール28Aとは異形の異種ボール28Bを玉鎖22へのフロート24の固定位置を定める際の基準のボールとして配置しておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はトイレにおける洗浄タンク装置、特に洗浄タンク内部に配される玉鎖に特徴を有する洗浄タンク装置及び玉鎖への固定部材の固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、便器の洗浄用として、便器の洗浄水を貯える洗浄タンクと、洗浄タンクの底部に設けられた排水弁及び排水弁を開操作する操作部材とを有し、それら排水弁と操作部材とを玉鎖で連結した形態の洗浄タンク装置が広く用いられている。
この洗浄タンク装置では、操作部材からの操作力を玉鎖を介して排水弁に伝え、これを開弁させることで洗浄タンク内に貯えた洗浄水を便器に向けて勢い良く放出し、便器洗浄を行う。
【0003】
従来において、この玉鎖としては図4に示しているように同一形状,外観の球形の金属製のボール200を、同じく金属製の細い繋ぎ材202で繋いだ形態の玉鎖が用いられていた。
この種洗浄タンク装置では、従来、排水弁と操作部材との間の位置でフロートを玉鎖に固定し、そして玉鎖へのフロートの固定位置即ちその高さを変えることで、排水時の排水量即ち洗浄水量を設定若しくは設定変更することが行われている。
【0004】
フロートの固定位置が低く、排水弁とフロートとの間の距離が短いときには、排水時においてフロートの下降の開始時期が遅くなり、洗浄タンクから排出される洗浄水量が多くなる。
逆にフロートの固定位置が高く、排水弁とフロートとの間の距離が長くなれば、排水時におけるフロートの下降の開始時期が早くなり、その結果排水弁が開弁後に早い段階で閉弁して、洗浄水量は少なくなる。
【0005】
従来、洗浄タンク装置に用いられている玉鎖は、上記のように各ボールが何れも同一形状で且つ同一ピッチで設けられており、フロートを玉鎖の所定位置に固定するに際して、どの位置が目的とする所定位置であるのかが分りづらい問題があった。
【0006】
そこで従来ではフロートの固定位置を、例えば上から10個目のボールと11個目のボールとの間の位置とか、或いは上から○○mmの高さ位置といった定め方をして、そのように作業者への指示を行うようにしているが、この場合、実際にフロートを玉鎖に固定するに当って、いちいちボールの数を数えたり、物差しを用いて長さを測ったりすることが必要で、作業に非常に手間取るといった問題が生じていた。
【0007】
また玉鎖にフロートを固定した後において、その固定位置が正しい位置であるか否かの判定が困難で、確認のために残りの玉鎖のボール数を数えたり、また高さを測定する等の作業が必要で、確認に際しても手間を要する問題があった。
【0008】
以上のような工場での生産段階での問題の他、洗浄タンク装置を設置した現場において、フロートの高さを変える必要が生じたときにも同様の問題が生ずる。
例えば現在のフロートの位置が洗浄水量を6リットルとする位置であったとして、これを洗浄水量8リットルに変更する必要が生じたとき、フロートの玉鎖への固定位置を現在の位置から下側に位置変更する必要があるが、このような場合にもフロートの固定位置の変更先の位置が分りづらく、またフロートが本来の正しい変更位置に変更されているか否か等を確認するための作業に手間取るといった問題が生じる。
【0009】
以上はフロートを玉鎖に固定する際の問題であるが、排水弁や操作部材等を玉鎖に固定するに際しても適正な固定位置というのがあり、この場合においてもそれらを玉鎖に固定するに当って同様の問題が生ずる(これら排水弁,操作部材もまた玉鎖に固定される固定部材である)。
【0010】
尚、下記特許文献1にはn個おきに色,形状の異なるボールを配置したボールチェーン(玉鎖)が開示されているが、この特許文献1に開示のものは身飾用のボールチェーン、即ちアクセサリーとしてのもので、n個おきに色,形状の異なるボールを配置しているのは装飾性を高めることを目的としたものであり、機能的に見て色や形状の異なったボールが何等かの働きをするといったものではなく、この点において本願発明とは別異のものである。
【0011】
また特許文献2には「装飾用ボールチェーン」についての発明が示され、そこにおいて一定間隔でボールを連結子(繋ぎ材)によって連結し、隣接するボール間に熱可塑性樹脂等を充填し、装飾部を成形する点が開示されている。
しかしながらこの特許文献2においても、熱可塑性樹脂等にて隣接するボール間を埋めた部分はあくまで装飾性のためであって、特定の機能を果たすといったものではなく、従ってこれもまた本願発明とは別異のものである。
【0012】
本発明に関連する先行技術としては、他に下記特許文献3に開示されたものがある。この特許文献3には、ボールチェーン(玉鎖)を樹脂ボールチェーンとなした点が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平8−10018号公報
【特許文献2】特開平9−234106号公報
【特許文献3】特開平6−81258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は以上のような事情を背景とし、玉鎖に対してフロート等の固定部材を固定するに際し、その固定位置に対する指示が容易で尚且つ固定作業も容易であり、工場生産段階での生産性及び現場での作業性を良好となし得る洗浄タンク装置及び玉鎖への固定部材の固定方法を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
而して請求項1は洗浄タンク装置に関するもので、便器の洗浄水を貯える洗浄タンクと、該洗浄タンクの底部に設けられた排水弁及び該排水弁を開操作する操作部材と、それら排水弁と操作部材とを連結する、複数のボールを繋ぎ材で繋いだ形態の玉鎖と、を有する洗浄タンク装置において、前記玉鎖には複数個間隔で他の正常ボールとは異なった外観を有する異種ボールが、該玉鎖への固定部材の固定位置を定める際の基準のボールとして配置してあることを特徴とする。
【0016】
請求項2のものは、請求項1において、前記異種ボールは同一の複数個間隔ごとに配置されており、且つ該異種ボールは、他の前記通常ボールと繋ぎの方向の高さが同じ高さとされていることを特徴とする。
【0017】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記玉鎖が紐材を繋ぎ材として樹脂ボールを繋いで成る樹脂玉鎖であることを特徴とする。
【0018】
請求項4は洗浄タンク装置における玉鎖への固定部材の固定方法に関するもので、便器の洗浄水を貯える洗浄タンクと、該洗浄タンクの底部に設けられた排水弁及び該排水弁を開操作する操作部材と、それら排水弁と操作部材とを連結する、複数のボールを繋ぎ材で繋いだ形態の玉鎖と、を有する洗浄タンク装置における該玉鎖への固定部材の固定方法であって、前記玉鎖には複数個間隔で他の正常ボールとは異なった外観を有する異種ボールを配置しておき、該異種ボールを基準として前記玉鎖に対する前記固定部材の固定位置を定めることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0019】
以上のように本発明は、洗浄タンクの内部に配される玉鎖に、複数個間隔で他の正常ボールとは異なった外観を有する異種ボールを、玉鎖への固定部材の固定位置を定める際の基準のボールとして配置したものである。
本発明によれば、玉鎖に配置した異種ボールを基準としてフロート等の固定部材の玉鎖への固定位置を定めることができる。
【0020】
例えばフロートを玉鎖に固定するに際して、上から3つ目の異種ボールの上に取り付けるといった定め方をすることができ、従って作業者に対するフロート等の固定部材の固定位置の指示が容易となり、また作業者が実際にフロートを玉鎖に固定するに際しても固定作業が容易となる。
更に固定部材が定められた位置に正しく固定されているか否かを、その異種ボールを基準として容易に判定し確認作業することができる。
尚本発明は、フロートのみならず排水弁や操作部材等他の固定部材を玉鎖に固定するに際しても適用可能である。
【0021】
本発明において、外観の異なった異種ボールは、他の正常ボールに対して大きさを異ならせたものであっても良いし、また形状を異ならせたものであっても良く、更には形状,大きさは他の正常ボールと同一で、色だけを異ならせたものであっても良い。
尚、玉鎖は隣接するボールとボールとで固定部材を上下に挟むことでこれを玉鎖に固定せしめるものであり、この場合上記の異種ボールもまたそのような固定用のボールとして用いることが可能である。
【0022】
本発明では、異種ボールを同一の複数個間隔ごとに配置しておくとともに、異種ボールの高さ(繋ぎ方向の高さ)を他の正常ボールと同じ高さとなしておくことができる(請求項2)。
【0023】
ボールが全て同じ高さで尚且つ同一ピッチで配置されている従来の玉鎖の場合、玉鎖の長手方向のどの範囲を取ってみても、その範囲内にあるボールの数が等しければ、これに対応して距離も等しくなる。
【0024】
これに対して高さの異なる異種のボールを配置すると、その異種のボールを含んだ所定範囲内のものと、異種のボールを含んでいない範囲内とで、それら範囲内にあるボールの数がたとえ同じであっても、対応した距離が異なったものとなってしまう。
【0025】
更に、例えば正常ボール1個分だけフロートの固定位置を変えたときに変化する洗浄水量が100ccであったとすると、異種ボールの個所ではボール1個分固定位置を変えたときに洗浄水量が200cc変化してしまうといった不都合が生じる。
【0026】
しかるにこの請求項2に従って異種ボールの高さを、他の正常ボールと同じ高さとしておくことで、そうした不具合の生ずるのを防ぐことができる。
【0027】
本発明においては、上記玉鎖を紐材を繋ぎ材として樹脂ボールを繋いで成る樹脂玉鎖となしておくことができる(請求項3)。
このようにすれば、金属製の玉鎖と異なって玉鎖が錆ないので、その錆によって玉鎖が切れてしまうといった問題を解消でき、また玉鎖のための所要コストを安価となすことができる。
【0028】
次に請求項4は、洗浄タンク装置における玉鎖への固定部材の固定方法に関するもので、この固定方法は異種ボールを基準として玉鎖に対する固定部材の固定位置を定めるものであり、この請求項4によれば、玉鎖への固定部材の固定位置を分り易い形で作業者に指示することができ、また作業者も定められた固定位置を容易に認識でき、更に固定後において玉鎖に対し固定部材が正しい位置に固定されているか否かを容易に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態である洗浄タンク装置を示した図である。
【図2】図1の要部を拡大して示した図である。
【図3】同実施形態に用いられる玉鎖の図である。
【図4】従来の玉鎖の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は洗浄タンク装置で、便器の洗浄水を貯える洗浄タンク12と、洗浄タンク12の底部に開閉可能に設けられた排水弁(ここではフラッパー弁)14と、排水弁14を開操作する操作部材16とを有している。
【0031】
操作部材16は、入力部となる回転式のハンドル18と、これからタンク内に延び出したL字状のレバー20とを有しており、このレバー20の先端が、上記排水弁14に対して玉鎖22を介して連結されている。
また玉鎖22には、排水弁14とレバー20との間の位置でフロート24が固定されている。
【0032】
この洗浄タンク装置10では、ハンドル18によってレバー20を回転させると玉鎖22が引き上げられ、これにより排水弁14が開弁して、洗浄タンク12内部の洗浄水が、排水口26から便器に向けて勢い良く放出される。そしてその洗浄水によって便器が洗浄される。
このときフロート24は、これに働く浮力によって浮上し、そして洗浄水の水位の低下とともに下降する。
そしてフロート24が所定位置まで下降したところで、フラッパー弁から成る排水弁14が閉弁し、ここにおいて洗浄水の放出が停止する。
【0033】
而して排水弁14の開弁からフロート24の下降により排水弁14が閉弁するまでの間に放出される洗浄水の量(洗浄水量)は、フロート24の高さ(玉鎖22に対するフロート24の固定位置の高さ)によって定まる。
【0034】
具体的には、玉鎖22に対するフロート24の固定位置を低くすれば洗浄水の放出量が大となり、また玉鎖22に対するフロート24の固定位置を高くすると、排水弁14が早い段階で閉弁するようになって洗浄水の放出量が少なくなる。
【0035】
玉鎖22は、一定ピッチで配列された多数のボール28を繋ぎ材30で繋いだ形態のもので、図2に示しているようにその上端側に対しレバー20の先端部が固定され、また下端側に対し排水弁14が固定されている。
32は、レバー20を玉鎖22の上端側に固定するための固定具で、レバー20の先端部に取り付けられている。
【0036】
固定具32は、金属線材を曲げて構成したものでボール28よりも孔径の小さな係合孔34を有し、その上側の位置に開口36を有している。
この固定具32に対し、玉鎖22の繋ぎ材30を開口36から係合孔34まで図中下向きに嵌め込むと、隣接する一対のボール28と28とが係合孔34の両側(紙面と直角方向の両側)に位置した状態となり、ここにおいてレバー20の先端が固定具32を介して玉鎖22の上端側に固定状態となる。
【0037】
38は排水弁14側に設けられた固定具で、中心の係合孔40と、これに繋がるスリット42とを有している。
この固定具38に対し、繋ぎ材30をスリット42の開口から図中右向きに係合孔40まで嵌め込むと、ここにおいて隣接するボール28と28とが係合孔40の上下両側に位置した状態となり、ここにおいて排水弁14が固定具38を介し玉鎖22の下端側に固定状態となる。
【0038】
一方フロート24は、上下一対の止め輪から成る固定具44,46にて玉鎖22に固定されている。
これら一対の固定具44,46は中心に係合孔48を有し、更に係合孔48から径方向に延び、外周端で開口するスリット50をそれぞれ有している。
【0039】
これら止め輪から成る固定具44,46にてフロート24を玉鎖22に固定するには、フロート24に対して玉鎖22を上下に挿通しておき(フロート24には中心部に玉鎖22を挿通させる挿通孔が備えられている)、そして固定具44,46をフロート24の上面に接する位置と下面に接する位置とで玉鎖22に嵌め込むことでフロート24を玉鎖22に固定することができる。
【0040】
この実施形態では、玉鎖22として、長尺の連続した1本の紐材を繋ぎ材30として、その繋ぎ材30に対し樹脂製のボール28を一定ピッチで配列状態で固着し一体化して成る樹脂玉鎖が用いられている。
この樹脂玉鎖は、紐材を金型にインサートとしてセットし、その状態で金型に形成されたキャビティに溶融した樹脂材料を射出し、ボール状に成形すると同時に紐材に固着し、一体化することで容易に得られる。
ここでボール28はポリエステル,ポリアミド,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリアセタール,ポリカーボネイトその他の樹脂材料を用いることができる。
【0041】
この実施形態では、多数のボール28全体の大部分が球形(真球形)の正常ボール28Aから成っており、そしてその一部が、これとは形状の異なった異形状の異種ボール28Bから成っている。
具体的には異種ボール28Bが、複数個(ここでは4個)の正常ボール28Aを間にして5個ごとの間隔で配置されている。
尚、正常ボール28Aの配置ピッチは何れも同一のピッチであり、また異種ボール28Bと正常ボール28Aとの間のピッチも同じピッチである。
また正常ボール28Aの図中上下方向、即ち繋ぎ材30による繋ぎ方向の各高さは何れも同一高さであり、また異種ボール28Bの高さも、正常ボール28Aの高さと同一高さである。
【0042】
異種ボール28Bは、ここでは円柱の上下両端のコーナー部を全周に亘り面取りした形態の俵形をなしており、その外径については球形の正常ボール28Aの外径よりも僅かに大径となしてある。
具体的には、ここでは球形の正常ボール28Aの外径がφ4.5mmをなしているのに対し、俵形をなす異種ボール28Bの外径がφ5.0mmとなしてある。
尚、図3中上下方向における各ボール28の配置ピッチは、ここでは6mmである。
【0043】
本実施形態では、フロート24を玉鎖22に固定する際、或いは固定位置を変化させるに際に、異種ボール28Bをフロート24の玉鎖22への固定位置を定める際の基準のボールとして用いることができる。
但し異種ボール28Bは、フロート24を玉鎖22に固定する際の固定用として用いることも可能である。
【0044】
以上のような本実施形態によれば、フロート24を玉鎖22に固定するに際して、例えばフロート24の上端又は下端を上から3つ目の異種ボール28Bの上に位置させるように取り付けるといった定め方をすることができ、従って作業者に対するフロート24の固定位置の指示が容易となり、また作業者が実際にフロート24を玉鎖22に固定するに際しても固定作業が容易となる。
更にフロート24が定められた位置に正しく固定されているか否かを、その異種ボール28Bを基準として容易に判定し確認作業することができる。
【0045】
本実施形態では異種ボール28Bを同一の複数間隔ごとに配置し且つ異種ボール28Bの高さを他の正常ボール28Aと同じ高さとなしてあることから、異種ボール28Bを含んだ所定範囲内と、異種ボール28Bを含んでいない所定範囲内とで、それら範囲内にあるボール28の数が同じであるにも拘らず、その範囲の距離が互いに異なってしまうといった不具合を生じない。
【0046】
また例えば正常ボール28A1個分だけフロート24の固定位置を変えたときに変化する洗浄水量が100ccであるのに対し、異種ボール28Bの個所ではボール1個分固定位置を変えると洗浄水量の変化量が200ccとなってしまうといった不都合も生じない。
【0047】
更に玉鎖22を樹脂玉鎖としておくことで、金属製の玉鎖のように錆によって玉鎖22が切れてしまうといった問題を生じず、また玉鎖22のための所要コストを安価となすことができる。
【0048】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば上記例示した固定具は上例以外の様々な固定方式,固定構造のものとなしておくことができるし、また本発明は上例以外の他の様々な排水弁や操作部材を有する洗浄タンク装置に適用することも可能である。
【0049】
更に上例ではフロート24を玉鎖22に固定する際の固定位置の基準として異種ボール28Bを用いるようになしているが、排水弁や操作部材、その他玉鎖に固定される他の固定部材の固定に際して異種ボールを固定位置の基準として用いるようになすことも可能である。
【0050】
また上例では異種ボール28Bを、球形をなす正常ボール28Aと異なった俵形状に形成しているが、異種ボール28Bを俵形状以外の他の形状に形成し、或いはまた形状的には正常ボール28Aと同一とし、色や大きさを異ならせることによって視覚的に判別できるようになしたり、或いは異種ボールを複数種類設けるといったことも可能である。
【0051】
また場合によって異種ボールの配置を必ずしも同一の複数個間隔ごとに配置しないで、異種ボールの間に位置する正常ボールの数が異なるような配置の仕方で異種ボールを配置するといったことも可能であるし、更には図4に示す従来の金属製の玉鎖を用いることも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0052】
10 洗浄タンク装置
12 洗浄タンク
14 排水弁
16 操作部材
22 玉鎖
28 ボール
28A 正常ボール
28B 異種ボール
30 繋ぎ材
32,38,44,46 固定具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器の洗浄水を貯える洗浄タンクと、該洗浄タンクの底部に設けられた排水弁及び該排水弁を開操作する操作部材と、それら排水弁と操作部材とを連結する、複数のボールを繋ぎ材で繋いだ形態の玉鎖と、を有する洗浄タンク装置において、
前記玉鎖には複数個間隔で他の正常ボールとは異なった外観を有する異種ボールが、該玉鎖への固定部材の固定位置を定める際の基準のボールとして配置してあることを特徴とする洗浄タンク装置。
【請求項2】
請求項1において、前記異種ボールは同一の複数個間隔ごとに配置されており、且つ該異種ボールは、他の前記通常ボールと繋ぎの方向の高さが同じ高さとされていることを特徴とする洗浄タンク装置。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記玉鎖が紐材を繋ぎ材として樹脂ボールを繋いで成る樹脂玉鎖であることを特徴とする洗浄タンク装置。
【請求項4】
便器の洗浄水を貯える洗浄タンクと、該洗浄タンクの底部に設けられた排水弁及び該排水弁を開操作する操作部材と、それら排水弁と操作部材とを連結する、複数のボールを繋ぎ材で繋いだ形態の玉鎖と、を有する洗浄タンク装置における該玉鎖への固定部材の固定方法であって、
前記玉鎖には複数個間隔で他の正常ボールとは異なった外観を有する異種ボールを配置しておき、該異種ボールを基準として前記玉鎖に対する前記固定部材の固定位置を定めることを特徴とする洗浄タンク装置における玉鎖への固定部材の固定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−31578(P2012−31578A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169817(P2010−169817)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】