説明

洗浄パッド及び洗浄器具

本発明は、洗浄器具に取り外し可能に取り付けるための使い捨て洗浄パッドに関し、洗浄パッドは吸収性構造体と、吸収性構造体において画定され、吸収性構造体の厚さ全体にわたって固着させるか又はエンボス加工することによって形成される複数のリザーバとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬い表面、特に床を洗浄するための洗浄パッド及び洗浄器具に関する。より具体的には、本発明は予め湿らせた洗浄パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
タイルの床、リノリウムの床、堅木の床、カウンタートップなど、硬い表面を洗浄するために、多くの器具が既知である。床の洗浄に関しては、適した器具は一般に、ハンドルと、液体洗浄組成物を塗布するための手段とを備える。器具には再利用可能なものがあり、綿糸、セルロースストリップ及び/又は合成ストリップ並びにスポンジなどを含有するモップが挙げられる。これらのモップは、硬い表面から多くの汚れを除去する際にはうまくいくものの、一般に、使用中にモップが、ごみ、汚れ、及び他の残留物で飽和状態になるのを回避するために、1回以上のすすぎ工程を行う不便さを伴う。これには、別個の容器を使用してすすぎ工程を行う必要があり、また一般に、これらのすすぎ工程ではごみの残留物が充分に除去されない。その結果として、モップの次の通過中に有意な量の汚れが再堆積することがある。更に、再利用可能なモップは長期にわたり使用されるので、ますます汚れて悪臭がするようになる。これが次の洗浄性能に負の影響を与える。
【0003】
再利用可能な洗浄器具に関連する負の特性をいくらか軽減するために、使い捨て洗浄パッドを有するモップが提供される。例えば、PCT国際公開特許WO−A−0027271は、ハンドルと該ハンドルに旋回可能に取り付けられた先端部分とを備える洗浄器具、及び先端部分に取り付けるための取り外し可能な洗浄パッドを記載し、洗浄パッドは、少なくとも1つの吸収層と、他の様々な任意機構とを備える。吸収層は、洗浄パッドの製造によって又は消費者によって、洗浄器具の先端部分に取り付けられる前に液体洗浄組成物で予め湿らせてもよく、又は同組成物で含浸されてもよい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このタイプの予め湿らせた洗浄パッドは、登録商標スウィッファーウェット(Swiffer Wet)(登録商標)で出願人から市販されている。一般に、複数の予め湿らせたパッドは、洗浄器具の先端部を容器に挿入することにより、洗浄器具の先端部に容易に取り付けることができるようなやり方で、容器で提供され、その結果、洗浄パッドと消費者の手が過度に接触するのを回避する。適した説明書もまた、提供される。しかし、これらの説明書にもかかわらず、消費者の約75%は、モップを自分の脚の間で逆さに保持しつつ、予め湿らせた洗浄パッドをモップヘッドに取り付けると考えられる。これは、乾燥した洗浄パッドの使用から来る習慣であると考えられる。これに関係なく、洗浄パッドの取り付けには数秒かかる傾向があり、パッドがほぼ直立に保持される間に滴下が発生する。この滴下を低減することが望ましい。
【0005】
EP0112654(ネバダ州のユニレバー社(Unilever)に譲渡された)は、2つの不織布外側層の間に挟まれた吸収性コアを有する洗浄基材を記載する。様々な層を合わせて固着させて単一構造体を形成するために、吸収性コアが規則的な間隔で穿孔され、それを通して外側層が合わせて点固着される。不織布層を合わせて固着させるための他の方法は、米国特許第5,964,742号及び米国特許第3,855,046号(どちらもキンバリー・クラークワールドワイド社(Kimberly-Clark Worldwide,Inc.)に譲渡された)に記載される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様により、様々なタイプの洗浄パッドが請求項1及び請求項15で定義される。上述の洗浄パッド中に形成される別個の流体リザーバは、パッドの縁部まで流体の流れを拘束し、その結果、洗浄パッドを洗浄器具に取り付ける際に消費者の脚の間で逆さに保持される間に起こる滴下を低減する。
本発明の第2の態様により、洗浄器具は、ハンドルと;ハンドルに取り付けられた先端部分と;取り外し可能に先端部分に取り付けられた、上記のいずれかのタイプの洗浄パッドとを備える。
本発明の第3態様により、洗浄キットは、ハンドルと、該ハンドルに取り付けられた先端部分と、上記のいずれかのタイプの洗浄パッドとを備える洗浄器具を含む。
本発明の第4態様により、硬い表面(例えば床)を洗浄する方法は、ハンドルと、該ハンドルに取り付けられた先端部分とを備える洗浄器具を用意すること;上記のいずれかのタイプの洗浄パッドを先端部分に取り外し可能に取り付けること;洗浄される表面を洗浄パッドで拭くこと;及び状況に応じて、洗浄パッドを取り外すことを含む。
【0007】
(定義)
本明細書で使用する「x−y寸法」という用語は、洗浄パッド又はその構成要素の厚さに直交する平面を指す。x寸法及びy寸法は、洗浄パッド又はパッド構成要素の長さ及び幅にそれぞれ相当する。このような関係では、パッドの長さはパッドの最長寸法であり、幅は最短寸法である。一般に、使用中に洗浄器具は、パッドのy寸法(又は幅)に平行な方向に動かされる。もちろん、本発明は、4辺を有する洗浄パッドの使用に限定されない。円形、楕円形など、他の形状も使用することができる。z寸法の任意の点でパッドの幅を決定するとき、パッドはその所期の用途に従って評価されることが理解される。
【0008】
本明細書で使用する「z寸法」という用語は、本発明の洗浄パッド又はその構成要素の長さ及び幅に直交する寸法を指す。したがって、Z寸法は、洗浄パッド又はパッド構成要素の厚さに相当する。
【0009】
本明細書で使用するとき、洗浄パッドの「上側」シート又は層は、洗浄される表面から相対的により離れた(すなわち、器具との関連では、使用中の器具のハンドルに相対的により近い)シート又は層である。「下側」シート又は層という用語は、逆に、洗浄される表面に相対的により近い(すなわち、器具との関連では、使用中、器具のハンドルから相対的により離れている)洗浄パッドのシート又は層を意味する。
【0010】
本明細書で使用する洗浄パッドの「前」又は「前側」縁部は、前向きの拭く運動で、洗浄パッドの対向する「後」又は「後側」縁部に先立って、洗浄される表面を横切る縁部である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
洗浄パッドは、単層構造体でも多層構造体でもよい吸収性構造体を備える。好ましい実施形態では、吸収性構造体は、上側シートと下側シートとの間に挟まれた吸収性コアを備える。この場合、別個の各々のリザーバが、吸収性コアの別個の部分を備える。しかし、2層だけを備える吸収性構造体もまた考えられる。更に、洗浄パッドは、その吸収性構造体の他に層を備えてもよい。
【0012】
吸収性構造体は、使用中に流体を吸収及び保持できるいかなる材料も備える。典型的には、吸収性構造体は繊維性材料、好ましくは不織布の繊維性材料を備える。本発明で有用な繊維には、天然由来のもの(改質された又は改質されない)もの、並びに合成的に作製された繊維が挙げられる。改質されない/改質された適した天然由来の繊維の例には、綿、エスパルト草、バガス、ケンプ、亜麻、絹、羊毛、木材パルプ、化学的に改質された木材パルプ、黄麻、エチルセルロース、及び酢酸セルロースが挙げられる。適した合成繊維は、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニリデン、オーロン(ORLON)(登録商標)のようなポリアクリル酸類、ポリビニルアセテート、レーヨン(登録商標)、ポリエチルビニルアセテート、不溶性又は可溶性ポリビニルアルコール、ポリエチレン(例えば、パルペックス(PULPEX)(登録商標))及びポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ナイロンなどのポリアミド類、ダクロン(DACRON)(登録商標)又はコデル(KODEL)(登録商標)などのポリエステル類、ポリウレタン類、ポリスチレン類などから作製できる。吸収性コアは、天然由来の繊維だけを含んでもよく、合成繊維だけを含んでもよく、又は天然由来の繊維と合成繊維との適合性のあるいかなる組み合わせを含んでもよい。
【0013】
本明細書で有用な繊維は、親水性でも、疎水性でもよく、又は親水性繊維と疎水性繊維両方の組み合わせでもよい。本明細書で使用する「親水性」という用語は、上に置かれた水性流体によって湿潤性になる表面を指すために使用される。親水性及び湿潤性は、通常、関わる流体及び固体表面の接触角及び表面張力により定義される。この点については、アメリカ化学会(American Chemical Society)の出版物(1964年版権)、名称「接触角、湿潤性、及び接着(Contact Angle,Wettability and Adhesion)」(ロバート・F・グールド(Robert F.Gould)編)に詳細に説明されている。ある表面は、流体とその表面との間の接触角が90度未満のとき、又は流体が表面全体に自然に広がる傾向があるときのいずれかのときに、流体によって湿潤される(すなわち、親水性)といい、通常は両方の状態が共存する。逆に、ある表面は、接触角が90度より大きい場合及び流体が表面全体に自然に広がらない場合に、「疎水性」であるとされる。
【0014】
親水性繊維又は疎水性繊維の特定の選択は、洗浄パッド、例えば様々な吸収層に含まれる他の材料に依存する。すなわち、繊維の性質が、洗浄パッドが、必要な流体の遅滞及び全体的な流体の吸収性を表すようなものである。本発明で使用するのに適した親水性繊維には、セルロース繊維、改質されたセルロース繊維、レーヨン、親水性ナイロン(ハイドロフィル(HYDROFIL)(登録商標))のようなポリエステル繊維が挙げられる。適した親水性繊維は、疎水性繊維を親水性化して、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリアクリル酸類、ポリアミド類、ポリスチレン類及びポリウレタン類などから誘導された熱可塑性繊維を界面活性剤処理又はシリカ処理などして得ることもできる。
【0015】
適した木材パルプ繊維は、クラフト法及び亜硫酸法など、周知の化学的方法から得ることができる。針葉樹の吸収特性は上質であるので、これらの木材パルプ繊維を南部の針葉樹から誘導することが特に好ましい。これらの木材パルプ繊維はまた、砕木、リファイナーメカニカルプロセス、サーモメカニカルプロセス、ケミメカニカルプロセス、及びケミ・サーモメカニカルパルププロセスなど、機械的方法から得ることもできる。リサイクルした木材パルプ繊維又は二次木材パルプ繊維、並びに漂白した木材パルプ繊維及び無漂白木材パルプ繊維が使用されてもよい。
【0016】
本発明で使用するための別のタイプの親水性繊維は、化学的に剛化されたセルロース繊維である。本明細書で使用する「化学的に剛化したセルロース繊維」という用語は、乾燥状態及び湿潤状態の両方で繊維の剛性を高めるために、化学的手段により剛化されたセルロース繊維を意味する。そのような手段には、例えば、繊維をコーティングする及び/又は繊維に含浸させる化学的剛化剤を添加することを挙げることができる。そのような手段にはまた、化学構造を変えることによる、例えば、ポリマー鎖を架橋することによる繊維の剛化も挙げることができる。
【0017】
繊維が吸収性構造体(又はその構成要素)として使用される場合、繊維は、状況に応じて熱可塑性材料と組み合わされてもよい。融解すると、この熱可塑性材料の少なくとも一部分が、典型的には繊維間の毛管勾配により、繊維の交差点まで移動する。これらの交差点は、熱可塑性材料の固着箇所になる。冷却されるとき、これらの交差点の熱可塑性材料は固結して、各層の各々で繊維のマトリックス又はウェブを合わせて保持する固着箇所を形成する。これは、洗浄パッドに更なる全体的な一体性を提供する際に有益なことがある。
【0018】
その様々な効果の中でも、繊維の交差点での固着は、得られる熱固着した部材の全体的な圧縮弾性率及び強度を高める。化学的に剛化されたセルロース繊維の場合、熱可塑性材料の融解及び移動はまた、得られるウェブの平均孔径を増大する効果を有する一方、最初に形成されたウェブの密度及び坪量を維持する効果も有する。これによって、流体への最初の曝露では、改善された流体浸透性のために、また次の曝露では、濡れたときにその剛性を保持する剛化された繊維の能力と、濡れたとき及び湿り圧縮したとき、繊維の交差点で固着したままである熱可塑性材料の能力とが組み合わされるために、熱固着したウェブの流体獲得特性を改善できる。最終的に、剛化された繊維の熱固着したウェブは、その最初の全体的な体積を保持するが、熱可塑性材料で先に占有された体積領域が開放され、その結果、繊維間の平均毛管孔径を増大させる。
【0019】
本発明で有用な熱可塑性材料は、粒子状、繊維、又は粒子状と繊維との組み合わせを含む様々な形態のいずれであってもよい。熱可塑性繊維は、その多数の繊維間固着箇所を形成する能力のために、特に好ましい形態である。適した熱可塑性材料は、各層の主要ウェブ又はマトリックスを含む繊維をひどく損傷しない温度で融解できるいかなる熱可塑性ポリマーから作製されてもよい。好ましくは、この熱可塑性材料の融点は約90℃未満、好ましくは約75℃〜約175℃である。いかなる場合も、この熱可塑性材料の融点は、洗浄パッドにおいて使用されるとき、熱固着した吸収性構造体が保管されるような温度以上であるべきである。熱可塑性材料の融点は、典型的には約50℃以上である。
【0020】
熱可塑性材料、及び特に熱可塑性繊維は、ポリエチレン(例えば、パルペックス(PULPEX)(登録商標))及びポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリエステル類、コポリエステル類、ポリビニルアセテート、ポリエチルビニルアセテート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸類、ポリアミド類、コポリアミド類、ポリスチレン類、ポリウレタン類並びに塩化ビニル/ビニルアセテートなど前述の任意のコポリマー類などが挙げられる、様々な熱可塑性ポリマー類から作製できる。所望の特性によって、適した熱可塑性材料には、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリアクリル酸類、ポリアミド類、ポリスチレン類及びポリウレタン類などから誘導された、界面活性剤で処理した熱可塑性繊維又はシリカで処理した熱可塑性繊維など、親水性にされた疎水性繊維が挙げられる。疎水性の熱可塑性繊維の表面は、例えば、繊維に界面活性剤をスプレーすることにより、繊維を界面活性剤に浸すことにより、又は熱可塑性繊維を製造する際にポリマー融解物の一部分として界面活性剤を含むことにより、非イオン性界面活性剤又は陰イオン性界面活性剤などの界面活性剤で処理することにより親水性にしてもよい。融解して再凝固すると、界面活性剤は熱可塑性繊維の表面に留まる傾向がある。適した界面活性剤には、デラウェア州ウィルミントンのICIアメリカズ社(ICI Americas,Inc.)により製造されたブリジ(Brij)(登録商標)76などの非イオン性界面活性剤、及びコネチカット州グリニッチ(Greenwich)のグリコケミカル社(Glyco Chemical,Inc.)により、ペゴスパース(Pegosperse)(登録商標)の商標で販売される様々な界面活性剤が挙げられる。非イオン性界面活性剤の他に、陰イオン性界面活性剤もまた使用できる。これらの界面活性剤は、例えば、熱可塑性繊維1平方センチメートル当たり約0.2〜約1gのレベルで熱可塑性繊維に塗布されてもよい。
【0021】
適した熱可塑性繊維は、単一のポリマーで作製してもよく(単一成分繊維)、又は2つ以上のポリマーで作製してもよい(例えば、2成分繊維)。本明細書で使用する「2成分繊維」は、1つのポリマーから作製された熱可塑性シースに入った、別のポリマーから作製されたコア繊維を含む熱可塑性繊維を指す。シースを構成するポリマーは、コアを構成するポリマーと異なる、典型的にはそれより低い温度で融解することが多い。その結果、これらの2成分繊維は、シースのポリマーの融解により熱固着をもたらす一方、コアのポリマーの望ましい強度特性を保持する。
【0022】
本発明で使用するのに適した2成分繊維には、次のポリマーの組み合わせを有するシース/コア繊維が挙げられる:ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリエチルビニルアセテート/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエステル、ポリプロピレン/ポリエステル、コポリエステル/ポリエステルなど。本明細書で使用するのに特に適した2成分熱可塑性繊維は、ポリプロピレン又はポリエステルのコアと、より低い温度で融解するコポリエステル、ポリエチルビニルアセテート、又はポリエチレンのシースとを有するもの(例えば、ダナクロン(Danaklon a/s)及びチッソ社(Chisso Corp.)から入手可能なもの)である。これらの2成分繊維は同心であってもよく、又は偏心であってもよい。本明細書で使用する「同心」及び「偏心」という用語は、シースが、2成分繊維の断面領域を通して等しい厚さを有するか又は等しくない厚さを有するかを指す。より薄い繊維の厚さでより強い圧縮強度をもたらすには、偏心の2成分繊維が望ましいことがある。好ましい2成分繊維は、約81%未満のポリエチレンテレフタレートのコアと、約51%未満のコポリオレフィンのシースとを含むコポリオレフィンの2成分繊維を含む。そのような好ましい2成分繊維は、商標名セルボンド(CELBOND)(登録商標)T−255で、ニュージャージー州のヘキストセラニーズ社(Hoechst Celanese Corporation)から市販されている。2成分繊維の量は、好ましくは、それが使用される材料の密度により変化する。
【0023】
熱固着した繊維材料を調製する方法は、米国特許第5,607,414号(リチャ−ズ(Richards)ら、1997年3月4日発行)、及び米国特許第5,549,589号(ホーニー(Horney)ら、1996年8月27日発行)(特に9段〜10段参照)に記載される。
【0024】
比較的高い吸収力(吸収性材料1グラム当たりの流体のグラム数)を有する材料を吸収性構造体に含むのが望ましいことがある。本明細書で使用する「超吸収性材料」という用語は、2068Pa(0.3psi)の制限圧力で測定されるとき、少なくとも約15g/gの、水に対するg/gの吸収力を有するいかなる吸収性材料も意味する。本発明と共に有用な洗浄流体の大部分は水性系であるので、超吸収性材料は、水又は水系流体に対して比較的高いg/g吸収力を有することが好ましい。
【0025】
本発明で有用な超吸収性ゲル化ポリマーには、様々な非水溶性ポリマーが挙げられるが、水膨潤性(ゲル化)ポリマーは、大量の流体を吸収できる。そのような高分子材料はまた、一般に「ヒドロコロイド」とも呼ばれ、カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースなどの多糖類;ポリビニルアルコール及びポリビニルエーテル類などの非イオンタイプ;ポリビニルピリジン、ポリビニルモルホリニオン(polyvinyl morpholinione)、並びにN,N−ジメチルアミノエチルアクリレート類及びメタクリレート類又はN,N−ジエチルアミノプロピルアクリレート類及びメタクリレート類などの陽イオンタイプ、並びにそれら各々の四級塩が挙げられる。周知の材料が、例えば、米国特許第4,076,663号(マスダ(Masuda)ら、1978年2月28日発行)、及び米国特許第4,062,817号(ウェスターマン(Westerman)、1977年12月13日発行)に更に詳細に記載される。
【0026】
好ましい超吸収性ゲル化ポリマーは、カルボキシ基を含有する。これらのポリマー類には、加水分解されたデンプン−アクリロニトリルグラフトコポリマー類、部分的に中和され加水分解されたデンプン−アクリロニトリルグラフトコポリマー類、デンプン−アクリル酸グラフトコポリマー類、部分的に中和されたデンプン−アクリル酸グラフトコポリマー類、鹸化された酢酸ビニル−アクリルエステルコポリマー類、加水分解されたアクリロニトリルコポリマー類又はアクリルアミドコポリマー類、前述のコポリマー類の任意の、僅かに網状架橋したポリマー類、部分的に中和されたポリアクリル酸、及び部分的に中和されたポリアクリル酸の、僅かに網状架橋したポリマー類が挙げられる。これらのポリマー類は、単独で使用してもよく、又は2つ以上の異なるポリマーの混合物の形態で使用してもよい。これらのポリマー材料の例は、米国特許第3661,875号、米国特許第4,076,663号、米国特許第4,093,776号、米国特許第4,666,983号、及び米国特許第4,734,478号に開示される。
【0027】
超吸収性ゲル化ポリマーを作製する際に使用するのに最も好ましいポリマー材料は、部分的に中和されたポリアクリル酸の、僅かに網状架橋したポリマー類及びそれらのデンプン誘導体である。最も好ましくは、ヒドロゲル形成吸収性ポリマー類は、約50〜約95%、好ましくは約75%中和され、僅かに網状架橋したポリアクリル酸(すなわち、ポリ(アクリル酸ナトリウム/アクリル酸))を含む。網状架橋はポリマーを実質的に非水溶性にして、部分的に、超吸収性ゲル化ポリマーの吸収能力と、抽出可能ポリマー含有物の特性とを決定する。これらポリマーを網状架橋する方法と典型的な網状架橋剤は、米国特許第4,076,663号に更に詳細に記載される。
【0028】
超吸収性材料が吸収性構造体に含まれる場合、吸収性構造体は好ましくは、吸収性構造体の少なくとも約15重量%、より好ましくは少なくとも約20重量%、更により好ましくは少なくとも約25重量%の超吸収性材料を備える。
【0029】
洗浄パッドが吸収性コアを備える場合、コアは上記材料のいずれを含んでもよい。同様に、洗浄パッドが上側シート及び下側シートを備える場合、それらのシートもまた、上記の吸収性材料のいずれを含んでもよく、又は性質において、非吸収性であるが流体透過性であってもよい。上側シート及び/又は下側シートが吸収性である場合、シートは、典型的には吸収性コアより低い吸収性を有する。上側シート及び下側シートは、別個のシート材料を備えてもよく、又は例えば吸収性コアの周囲に巻かれる同じシート材料の一部分であってもよい。更に、上側シート及び下側シートは、各々独立して単層構造体又は多層構造体を備えてもよく、また上側シート及び/又は下側シートと吸収性コアとの間に追加の構成要素が含まれてもよい。
【0030】
洗浄パッドは、吸収性構造体に加えて、層の形態をとることがある構成要素を含んでもよい。
洗浄パッドは、複数の別個の流体リザーバを含む。本明細書で使用する「別個の」流体リザーバは、流体、特に液体洗浄組成物を収容するためのリザーバであり、これらリザーバは、リザーバが互いに隣接している場合は単に個々のリザーバの壁により、又はリザーバの間に間隔があいている場合は洗浄パッドの一部分により、互いに分離されている。
【0031】
一般にリザーバは、吸収性構造体の厚さ全体にわたって固着させるか又はエンボス加工することにより形成される。単層の吸収性構造体に関しては、これは一般に吸収性構造体の対向する表面が、選択された位置で合わされることを意味する。多層の吸収性構造体に関しては、これは一般に、選択された位置で、好ましくはこれらの層を合わせて固着させることにより、多層構造体の外側層が合わされていることを意味する。例えば、吸収性構造体が上側シート、下側シート、及びそれらの間に位置する吸収性コアを備える場合、好ましくは上側シートは、選択された位置で下側シートに固着されて別個の流体リザーバを画定し、その結果、各リザーバは吸収性コアの別個の部分を含む。
固着は、熱及び/若しくは圧力の適用で、又は超音波によって行われてもよい。一般に、洗浄パッドを貫通する固着によりリザーバが形成されるとき、固着強度は、接着剤を使用することなく30g力より大きい。
【0032】
実質的に非限定的な数の形状及び大きさの流体リザーバが考えられ得る。リザーバは、例えば円形、正方形、矩形、ダイヤモンド形、楕円形、三角形、六角形及びそれらの組み合わせから選択される形状を有し得る。
他の形状もまた考えられてもよい。後者の場合、リザーバは、好ましくは洗浄パッドの異なる側縁部間で伸びる固着線を交差させることにより形成されてもよい。例えば、固着線は洗浄パッドの側縁部と鋭角をなしてもよく、又はこれらの側縁部にほぼ平行に伸びてもよい。
【0033】
好ましくは、隣接する流体リザーバにおいて、互いに流体が行き来している。これにより、流体が隣接するリザーバ間を通過できることを意味する。しかし、洗浄パッドの側縁部への流体の流れに所望の拘束を加えて、洗浄器具に取り付ける間の滴下を低減するか又は回避するために、流体の行き来は多少、制限されるべきである。流体の行き来は、リザーバ間に狭いチャネルを設けることにより達成されてもよく、それは、以下で更に詳細に説明されるように、リザーバを形成するために使用される方法から得られてもよい。そのようなチャネルは、一般に、0.064〜0.3cm2(0.01〜0.05平方インチ)、典型的には0.09〜0.29cm2(0.015〜0.045平方インチ)の範囲の断面積を有する。
【0034】
リザーバを形成するのに好ましい固着方法は、米国特許出願10/456288(マックフォール(McFall)ら、2003年6月6日出願)に記載される。次にこの方法は、上側シート、下側シート、及びそれらの間に挟まれた吸収性コアを備える洗浄パッドに関して説明されるが、他の吸収性構造体にも適用できる。本質的に、本方法は、コア材料を破壊及び分離(すなわち、圧点から移動)させるものの、上側シート及び下側シートは原形を保つ、洗浄パッドの局部的圧縮を含む。結果として、上側シートと下側シートとを合わせて固着させる明確な通路があり、また好ましくは(もしあれば)極く少量のコア材料が実際に固着箇所に残される。むしろ、コア材料の別個の部分が、得られる流体リザーバ内で囲まれる。
【0035】
この方法では、上側シート及び下側シートは、熱及び/若しくは圧力、接着剤、又は超音波を適用することにより合わせて固着できるいかなる材料も備える。適した材料には、織布材及び不織布材;孔あき成形熱可塑性フィルム、孔あきプラスチックフィルム又は孔なしプラスチックフィルム、及びハイドロフォーミングされた熱可塑性フィルムなどの高分子材料;多孔質発泡体、網状発泡体;網状熱可塑性フィルム;並びに熱可塑性スクリムが挙げられる。適した織布材料及び不織布材料は、上述したような天然繊維若しくは合成繊維から成ってもよく、又は天然繊維と合成繊維との組み合わせから成ってもよい。好ましい材料は熱可塑性材料である。しかし、特に、接着剤又は他のタイプの固着が使用される場合、熱可塑性材料以外の材料が好ましいことがある。例えば、トップシート及び裏張りシートは各々、水素結合によりそれ自体に固着できるセルロース材料を備えてもよい。
【0036】
固着方法は一般に、例えば、上側シート、吸収性コア及び下側シートを備える積層体を、ロールの少なくとも一方が、ロールの表面から外側に伸びる複数の突出部又は模様要素によって形成されるその表面上のレリーフ模様を有する、少なくとも一対の円筒形のロールに通すことを含む。
【0037】
もう一方の円筒形のロールはアンビル部材として役立ち、また模様付きロール及びアンビルロールは合わせて、それらの間に圧力で偏倚したニップを画定する。好ましくは、アンビルロールは平滑な表面であるが、両方のロールが上にレリーフ模様を有してもよい。模様付きロール及びアンビルロールは、好ましくは、約140MPa(約20,000psi)〜約1400MPa(約200,000psi)の荷重で互いに向かって偏倚する。
【0038】
模様付きロール及びアンビルロールは、好ましくは同一方向に異なる速度で駆動して、それらの間に表面速度差がある。表面速度差は、好ましくはより低い表面速度を有するロールの約2〜約40%、より好ましくは約2〜約20%の大きさである。アンビルロールは、好ましくは模様付きロールの表面速度より速い表面速度で作動する。しかし、固着のための速いライン速度が速度差ゼロで起こることもまた可能である。
【0039】
レリーフ模様は様々な形態をとってもよく、また形成されることが所望される流体リザーバの性質により、連続しても、又は断続的であってもよい。レリーフ模様が連続している場合、結果として連続した固着になる。レリーフ模様が断続的である場合、結果として、開口、すなわち間隙が固着に存在し、それが、上述されるように、隣接するリザーバ間の流体の行き来を可能にすることができる。この場合、固着は、複数の固着箇所を含むと考えられてもよく、その寸法は、レリーフ模様を作り上げる突出部の大きさ、形状、及び分離の距離による。好ましくは、突出部、及びそれ故に得られる固着箇所は、0.10未満の、より好ましくは0.02〜0.085の範囲の、最も好ましくは0.03〜0.083の範囲の縦横比を有する。この状況において、縦横比は短軸:長軸として定義される。更に、隣接する固着箇所間の分離、すなわち距離は、好ましくは0.038〜0.127cm(0.015〜0.05インチ)である。
【0040】
突出部又は模様要素もまた、様々な形態をとってもよく、突出部のランド(land)の表面(すなわち、最も外側の表面)も同様である。突出部は一般に、円筒形ロールそれぞれの表面に対して垂直でない側壁を有する。好ましくは、側壁は例えば、円筒形ロールの表面と45°を超過した角度、90°を超過した角度、好ましくは約70°〜90°の角度を形成する。
【0041】
ランド表面に適した形状には、楕円形、円形、矩形、正方形、及び三角形が挙げられるが、これらに限定されない。ランド表面はまた、様々な大きさ、例えば、0.00064cm2(0.0001平方インチ)〜0.0019cm2(0.003平方インチ)の範囲の面積も有し、ほぼ同面積の固着箇所が得られる。
【0042】
状況に応じて、固着前に吸収性コアは、所望の固着模様と一致する模様で切り離されるか又は切断されて粒子状物質を形成してもよい。しかし、上側シート及び下側シートの材料は、それらのシートがこの任意の切断工程の間原形を保つように選択されることが重要である。切断は、吸収性コア、上側シート及び下側シートの積層体を、各々が複数の三角形の歯を画定する好ましくは複数の隆起部及び谷部分によって形成される模様付き表面を上に有する一対の円筒形ロールに通過させることにより行われる。円筒形ロールは積層体を機械的引っ張りプロセスにかけて、吸収性コアの破断降伏点を超過するが上側シート及び下側シートの破断降伏点より小さい力を加える。このようにして吸収性コアは、上側シート又は下側シートを切り離すことなく、少なくとも部分的に切り離される。
【0043】
リザーバを形成するための別の固着方法は、超音波結合を含み、またこの目的に適した装置には、ブランソン超音波ユニット(Branson Ultrasonic Unit)モデル900BCAが挙げられる。例えば、固着される洗浄パッドの構成要素は、所望のリザーバと一致する模様の付いたプレート上に配置され、例えば約207MPa(30psig)の圧力を使用して圧縮される一方、洗浄パッドは超音波によって溶接される。
【0044】
固着面積の選択は、吸収性の性能の低減を最小化するために重要である。予期されるように、固着面積が大きい程、パッドの吸収性、故にパッドの利点の低減は大きくなる。好ましくは、洗浄パッド全体にわたる総固着面積(x−y平面で)は、10%未満、より好ましくは5%未満、最も好ましくは3%未満である。固着面積は、例えば次の方法によるオートキャド(Auto Cad)LT98ソフトウェアを使用して測定される:
1.模様を描く。
2.模様上で、右から左及び上から下に移動して繰り返しを見つける。
3.上から下及び左から右で、1つの繰り返しを取り囲むボックスを描く。
4.今描いたボックスの中の要素数を数える(例えば45)。
5.要素の占有面積を計算する(例えば、0.025cm(0.254cm=0.0064cm2(0.010インチ(0.1インチ=0.001平方インチ))。
6.占有面積にボックス内の要素数を掛ける。
(例えば、0.0025cm(114.3cm=0.29cm2(0.001インチ(45インチ=0.045平方インチ))。
7.オートキャド(AutoCad)LT98で、先に描いたボックスの長さ及び幅を測定する。
8.長さに幅を掛ける(例えば、2.54cm(5.08cm=12.9cm2(1インチ(2インチ=2平方インチ))。
9.要素の面積をボックスの面積で割る(例えば、0.29cm2/12.9cm2=0.0225(0.045平方インチ/2平方インチ=0.0225))。
10.その数に100を掛けて、固着面積の割合を求める
(例えば、0.0225(100=2.25%)。
【0045】
洗浄パッドの非固着(すなわち、いかなる固着よりも前の)領域に関する固着の深さもまた、こすり落とし能力及び実際のこすり落とし性能を消費者が認知するために重要である。好ましくは、洗浄パッドは、0.15の、好ましくは0.10未満の固着深さ率(BDI)を有し、吸収性能、滴下及び美的問題との良好なバランスが得られる。BDIは、固着領域の平均厚さを非固着領域、すなわち、いかなる固着よりも前の領域の平均厚さで割ることによって計算される。典型的には、洗浄パッドは、少なくとも2mmまでの、好ましくは4mmまでの非固着厚さを有する。
【0046】
洗浄パッドは、様々な任意の機構を備えてもよい。例えば、洗浄パッドは、通常の洗浄作業中、好ましくは洗浄される表面と接触しないパッドの部分の上に位置するこすり落としストリップを備えてもよい。換言すれば、こすり落としストリップは、好ましくは洗浄パッド上に位置し、洗浄器具の先端部分への取り付けで、こすり落としストリップは先端部分の側縁部に沿って伸びる。あるいは、こすり落としストリップは、洗浄パッドの、床に接触する下表面上に位置してもよい。
【0047】
こすり落としストリップは必ず、頑固な染みを除去するための研磨材料を備える。適した材料には、研磨パッドを作製するために使用されることが多いもの、典型的には、特定の研磨材を有する又は研磨材のないポリマー又はポリマーブレンドが挙げられる。適したポリマーの例には、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリエステル類(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ナイロン、ポリスチレン、並びにそれらのブレンド及びコポリマー類などの、熱可塑性ポリマー類が挙げられる。
【0048】
典型的な研磨パッドで見出される材料の使用の代案は、こすり落としを行うための剛毛を含むブラシを使用することである。そのような剛毛は、典型的には、研磨材を有する又は研磨材のないポリマー又はポリマーブレンドから構成される。ブラシに関しては、やはりナイロンから作製した剛毛は、剛性、硬さ、及び/又は耐久性のために好ましい。好ましいナイロンの剛毛は、商標名タイネックス(Tynex)(登録商標)612ナイロンで、3M社(3M Corp.)から市販されている。これらの剛毛は、市販のナイロン66と比べて吸水率が低いことが示されている。吸水率は剛毛の剛性及び回複性を低減する一方、こすり落とす能力に影響を与えるので、本発明の接着性こすり落としストリップの、水を吸収する能力を下げることが重要である。
【0049】
別の方法は、こすり落としストリップを形成するために網目材料又はスクリム材料を使用することである。やはりこの場合も、網目又はスクリムは、典型的には、研磨材を有する又は研磨材のないポリマー又はポリマーブレンドから構成される。網目又はスクリムは、典型的には、嵩をもたらすために二次構造体の周囲に巻かれる。網目の孔の形状には、正方形、矩形、ダイヤモンド形、六角形、又はそれらの混合など、様々な形状が挙げられるが、これらに限定されない。典型的には、網目の孔によって構成される面積が小さい程、こすり落とす能力は高い。これは主に、床に接触するのが交差箇所であるので、スクリム材料が交差する、より多くの箇所があるという事実のためである。網目又はスクリムで巻くことの代案は、融解して押出し成形したポリマーを、不織布などの二次構造体上に直接塗布することである。ポリマーを硬化すると、二次不織布と比較して尖頭の高い、より硬い材料を作り、その結果、こすり落とす能力をもたらす。
【0050】
更に別の代案は、こすり落としストリップが研磨材又は粗い粒子状物質を含むことである。適した粒子状物質は、ポリテックス(Polytex)(登録商標)から市販される粗いインク、又はアクリルABX−30のような、ヴィナマル(Vinamul)からの粗いポリマー類を含む。
【0051】
こすり落としストリップは、単層構造体でも、又は多層構造体でもよい。好ましいこすり落とし層は、フィルムが繰り返されるこすり落とし行動に耐えるのに必要な曲げ剛性を有する場合、フィルム材料の形態をとる。適したフィルム材料は一般に、川端曲げテスター(Kawabata bending tester)を使用して測定される、少なくとも0.05mm(2ミル)の厚さと、少なくとも0.10gcm2/cmの曲げ剛性を有する。
【0052】
好ましいフィルム材料は、液体、特に、汚れを含有する液体に対して透過性であるにもかかわらず、非吸収性であり、また液体をその構造体へ戻して、洗浄される表面を再湿潤させる傾向を軽減する。故に、洗浄作業中フィルムの表面は乾燥したままである傾向があり、その結果、洗浄される表面に薄膜を生じたり、すじ状になるのを軽減し、拭かれる表面を実質的に乾燥した状態にさせる。
好ましくは、フィルム材料は、フィルム表面から外側に伸びて洗浄パッドの本体から離れる複数の突出部を備える。別の方法としては、又は追加的に、フィルムは複数の開口を備えてもよい。上述のフィルム材料において形成される突出部及び/又は開口は、様々な形状及び/又は大きさであってもよい。
【0053】
洗浄パッドは、洗浄器具に取り付けられるとき、その洗浄器具の先端部分の下表面の上に広がるこすり落とし層を備えてもよい。洗浄パッドの下側シートが、こすり落とし層の形態をとってもよい。典型的には、こすり落とし層は洗浄パッド上の最も外側にあり、その結果、洗浄作業の通常の過程の間、洗浄される表面に接触する。この場合、こすり落とし層は、洗浄される表面を損傷しないように、必ずこすり落としストリップより低い研磨性でなければならない。
【0054】
こすり落とし層は、単層構造体でも、又は多層構造体でもよい。例えば、PCT国際公開特許WO−A−0027271に開示されるように、多種多様の材料がこすり落とし層で使用されるのに適している。特に、こすり落とし層は、織布材及び不織布材;孔あき成形熱可塑性フィルム、孔あきプラスチックフィルム及びハイドロフォーミングされた熱可塑性フィルムなどの高分子材料;多孔質発泡体;網状発泡体;網状熱可塑性フィルム;並びに熱可塑性スクリムを含んでもよい。
【0055】
洗浄パッドはまた、典型的には、同パッドを洗浄器具に取り付けるための取り付け手段も備える。あるいは、洗浄器具自体が、適した取り付け手段を含んでもよい。例えば、洗浄パッドは、同パッドを器具のハンドルか又は先端部分に接続するのを可能にする取り付け層を有してもよい。吸収層が、パッドを洗浄器具に取り付けるのに適さない実施形態では、取り付け層が必要なことがある。取り付け層はまた、洗浄パッドの上表面(すなわち、ハンドルに接触する表面)を通る流体の流れを防ぐための手段としても機能でき、またパッドの一体性を更に強化できる。こすり落とし層及び吸収層でのように、取り付け層は、上記の要件を満たす限り、単層構造体から成っても、又は多層構造体から成ってもよい。
【0056】
本発明の好ましい実施形態では、取り付け層は、既知のフックアンドループ技術を使用して洗浄器具の先端部分に機械的に取り付けられることができる表面を備える。そのような実施形態では、取り付け層は、先端部分の底面に永久に付着されるフックに機械的に取り付け可能である少なくとも1つの表面を備える。
【0057】
別の実施形態では、取り付け層は、洗浄器具のハンドルの先端部分上に位置する取り付け構造体と係合できるように、洗浄パッドの他の要素のy寸法より長いy寸法(幅)を有してもよい。
【0058】
洗浄パッドは、多数の洗浄面又は縁部を有するように設計されてもよく、それらの各々が洗浄作業中に、汚れた表面に接触する。モップなどの洗浄器具に関しては、これらの表面又は縁部は、典型的な洗浄作業中に(すなわち、器具がパッドのy寸法又は幅にほぼ平行な方向で前後に移動する場合)、洗浄パッドの「ロッキング(rocking)」の結果として、これら表面又は縁部の各々が、洗浄される表面に接触するように設けられる。多数の縁部の効果は、パッドがその寸法にわたって多数の幅を有するようにパッドを構成することにより達成される。すなわち、これら多数の幅は、パッドの前側及び後側に沿う複数の表面又は縁部を形成する。この態様は、PCT国際公開特許WO−A−0027271で更に詳細に論じられる。
【0059】
洗浄パッドはまた、1以上の「浮動性」の機能的カフも含んでよい。そのようなカフは、粒子のピックアップを改善することにより、洗浄パッドの洗浄性能を改善する。機能的カフを備える洗浄パッドで、硬い表面全体が前後に拭かれるとき、機能的カフは右に左に「反転(flip)」し、その結果、粒子状物質をピックアップして捕える。機能的カフを有する洗浄パッドは、硬い表面上に通常見出される粒子状物質のピックアップ及び捕獲の改善を示し、そのような粒子状物質が洗浄される表面上に再堆積する傾向が低減される。機能的カフは様々な材料を備えてもよく、毛羽立てられたポリプロピレン、レーヨン若しくはポリエステル、水流交絡したポリエステル、スパンボンドされたポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、綿、ポリプロピレン、又はそれらのブレンドが挙げられるが、これらに限定されない。機能的カフは、洗浄パッドの一体部分として形成されてもよく、又は洗浄パッドに別個に接着されてもよい。機能的カフが洗浄パッドの一体部分である場合、機能的カフは、好ましくは、例えばZ形の折り畳み及び/又はC形の折り畳みで洗浄パッドの下側部分をひだ寄せすることにより形成されるループ状の機能的カフである。あるいは、機能的カフは、当該技術分野において既知の様々な方法により洗浄パッドに別個に接着されてもよく、両面接着テープ、熱接合、接着剤、超音波溶接、縫製及び機械的高圧溶接などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、洗浄パッドは、洗浄パッドの対向する縁部(例えば、y寸法に関して、パッドの前縁部と後縁部)に又は同縁部の近くに位置する2つの機能的カフを備える。好ましくは、機能的カフは、その長さが、消費者によって使用される、前後にモップで掃除する又は拭く方向に垂直であるような位置に配置される。
【0060】
比較的低い密度を有する吸収層の弾力性を増大させるために、熱可塑性材料、好ましくは2成分繊維が吸収層の繊維と組み合わされる。融解すると、この熱可塑性材料の少なくとも一部分が、典型的には繊維間の毛管勾配により、繊維の交差点まで移動する。これらの交差点が、熱可塑性材料の固着箇所になる。冷却されたとき、これらの交差点の熱可塑性材料は固結して、各層の各々で繊維のマトリックス又はウェブを合わせて保持する固着箇所を形成する。これは、洗浄パッドに更なる全体的な一体性を提供する際に有益なことがある。所望の弾力性をもたらすために、約0.05g/cm3未満の密度を有する吸収層は好ましくは、少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約40%の、2成分繊維などの熱可塑性材料を備える。好ましい2成分繊維は、約81%未満のポリエチレンテレフタレートのコアと、約51%未満のコポリオレフィンのシースとを含むコポリオレフィンの2成分繊維を含み、商標名セルボンド(CELBOND)(登録商標)T−255でヘキストセラニーズ社(Hoechst Celanese Corporation)から市販されている。
【0061】
洗浄パッドの大きさは、それが取り付けられる洗浄器具によって決定される。しかし、典型的には、洗浄パッドは100〜300mm(100〜300mm((x寸法)((y寸法)として表される)の範囲の寸法を有する。更に、洗浄パッドの厚さ(z寸法として表される)は、典型的には1mm〜5mm、より好ましくは2mm〜4mmの範囲であるが、やはりこれも洗浄パッドが用いられる用途による。
【0062】
洗浄パッドは他の様々な任意機構を含んでもよく、PCT国際公開特許WO−A−0027271に詳細に開示されるものが挙げられ、これを本明細書に参考として組み込む。
【0063】
本発明は、請求項で定義される洗浄パッドだけでなく、その中で定義される別個の流体リザーバを有する吸収性構造体、及び同様に上述されるような幾つかの任意機構のいずれか1つ又はそれ以上、例えば、こすり落としストリップ;こすり落とし層;1つ又はそれ以上の機能的カフ;異なる程度の吸収性を有する部分;密度勾配;及びそれらの組み合わせを備える洗浄パッドにも及ぶ。
【0064】
洗浄パッドは、典型的には、液体洗浄組成物で予め湿らせて消費者に供給される。適した液体洗浄組成物は当該技術分野において周知であり、例えば、PCT国際公開特許WO−A−0027271及びPCT国際公開特許WO−A−0123510に開示される。洗浄パッドは、流体リザーバの形成前又は形成後に予め湿らせてもよいが、好ましくは、それらの形成後に予め湿らせる。
洗浄パッドは、様々な洗浄器具と共に使用されてもよい。適した洗浄器具の1例は、ハンドルと、例えば自在ジョイントによりハンドルに旋回可能に取り付けられてもよい先端部分(モップヘッド)とを備えるモップの形態である。
【0065】
本発明の洗浄器具は、様々な硬い表面を洗浄するために使用されてもよい。しかし、好ましくは、それらの器具は床を洗浄するために使用される。これらの床は、セラミック、磁器、大理石、フォーマイカ(Formica)7、ワックスのないビニル、リノリウム、木材、クォーリータイル、レンガ、又はセメントなどから成ってもよい。
【0066】
洗浄パッドを洗浄器具に取り付けた後、洗浄は、洗浄される表面全体を洗浄器具の先端部分で拭くことによって行われる。好ましい拭くパターンは重なり合う上下の動作から成り、洗浄される部分の左(又は右)下側で始まり、上下に拭く動作を続けながら床全体を拭くパターンが進行する。その後、洗浄される部分の右(又は左)上側で始まり、左右の動作を使って、拭くパターンの方向を変えて、拭くことが続けられる。別の好ましい拭くパターンは、上下の拭く動作から成り、次に逆方向の上下の拭く動作が続く。これらの徹底的な、好ましい拭くパターンによって、パッドがより多くの溶液、ごみ、及び細菌をばらばらにして吸収することができ、またそのようにする際に、後に残った残留物を最小化することにより、より良好な最終結果をもたらす。上記の拭くパターンの別の効果は、溶液の広がりが改善された結果として、条痕が最小化され、またパッドの縁部によるすじ状の線が除去されることである。
【0067】
典型的には、洗浄後、洗浄パッドは取り外されて処理され、それと共に細菌及びごみが表面から除去され、その結果、より良好な衛生及び悪臭の制御が促進される。しかし、洗浄パッドが液体及び/又はごみで飽和状態になるかどうかによって、洗浄パッドは多様な洗浄に使用されてもよい。これは、消費者により容易に確かめられる。
典型的には、複数の洗浄パッドが、通常は洗浄器具に取り付けるための説明書と共に、消費者に供給するための容器又はフィルム包装内に用意される。洗浄器具及び洗浄パッドを備えるキットもやはり、適した操作説明書を備える。
【0068】
次に、本発明は次の実施例及び添付図面を参照して更に説明される。
【0069】
図1を参照すると、洗浄パッド1は、上側シート、吸収性コア、下側シートを備える、長手方向に伸びる中央パネル2を備える。長手方向に伸びるサイドパネル3は中央パネルに隣接し、またこの実施形態では、中央パネルの多層構造体より吸収性の低い吸収性材料を備える。洗浄パッドは、隣接するダイヤモンド形の流体リザーバ5を画定する複数の固着線4を備える。固着線は、不連続であり(これは図面に示されないが)、また複数の非常に狭い通路を画定し、隣接するリザーバ間の流体の行き来を可能にする。
【0070】
次に図2を参照すると、リザーバ5は、上側シート6と下側シート7とを合わせて固着させることにより形成されて、吸収性コア8の一部分を取り囲むのを見ることができる。
【実施例】
【0071】
2枚の乾燥したスウィッファーウェット(Swiffer Wet)(登録商標)パッドがそれらの厚さ全体にわたって固着され、一方のパッドは、隣接するダイヤモンド形の複数のリザーバを備え(図1に示されるように)、またもう一方のパッドはパッドの長さに沿って伸びる波模様を有し、これは別個の流体リザーバを画定しない。(適用された波模様は、プレッジグラブイットウェット(Pledge Grab-It Wet)パッドを走査することにより得た。)これらのパッドは、以下の超音波方法により固着された。
【0072】
(使用装置)
1.ブランソン(Branson)超音波ユニットモデル900BCA
2.22.86cm(9インチ)のカーバイドホーン
3.マグネシウムで写真製版した模様付きプレート
4.織ったテフロン
【0073】
(作業条件)
1.大きさは、>50%に設定する。
2.ホーン圧力は206kPa(30psig)である。
3.この特定ユニットに関する速度は、ダイヤルで4に設定する。この尺度は特定のfpmを示すものではない。
4.模様とホーンとの間の間隙は、ゼロに設定する。織ったテフロン材料片が、ホーンと模様との間に配置されて、模様がホーンを通過するときのこれら2つの間の摩擦を少なくする。
【0074】
(超音波結合されたパッドを作製する工程)
1.全ての材料を所望の長さ及び幅に切断する。
2.超音波ユニットを上述の条件に設定する。
3.パッドの下側シートを模様付きプレート上の中央に配置する。
4.コア材料を下側シート上の中央に配置する。
5.パッドの上側シートをコア材料上の中央に配置する。
6.模様プレート全体を覆うように、織ったテフロンを配置する。
7.ユニットを作動し、それが完全に引っ込むまで待つ。
8.テフロンシートを持ち上げると、超音波溶接されたパッドが得られる。
【0075】
固着パッド及び非固着パッドの各々の吸収性は、以下の「圧力下の性能」(PUP)試験方法により測定される。次に、エンボス加工されたパッドの吸収性の各々を、非固着パッドの吸収性で割ることで、固着した2つの模様の吸収率が計算される。次に、各パッドに圧搾したスウィッファーウェット(Swiffer Wet)ローションを充填(非固着パッドに、パッド1g当たり6.2gの液体を充填し、固着パッドの各々に、パッド1g当たり6.2gの液体を充填)して、それぞれのパッドの吸収率で掛けて、異なるパッド間の正当な比較を行った。
【0076】
次に、各パッドは、作業面より260mm上の高さで直立に保持されて、最初の滴下までの時間が測定された。
【0077】
結果が、以下の表1に表される。
これらの結果は、本発明による洗浄パッドが、波形固着パッド及び非固着パッドの両方よりも有意に長い平均滴下時間であったことを示す。
【0078】
【表1】

【0079】
(圧力下の性能試験)
この試験は、約0.6kPa(0.06psi)の最初の制限圧力で、漏斗/フリットのアセンブリにおいて横方向に制限される洗浄パッドの脱イオン水のg/gの吸収を測定する。(洗浄パッド試料の組成物によって、試験時間中に試料が水を吸収して膨張すると制限圧力が僅かに低減し得る。)試験の目的は、洗浄パッドが使用条件(水平方向のウィッキング及び圧力)にさらされるとき、実施期間中に洗浄パッドが流体を吸収する能力を評価することである。
【0080】
PUP容量試験の試験流体は、脱イオン水である。この流体は、ほぼゼロの流体静力学的圧力で、要求吸収条件下で洗浄パッドにより吸収される。
【0081】
この試験に適した装置510が図3に示される。この装置の一方の末端部は、カバー514を有する流体リザーバ512(ペトリ皿など)である。リザーバ512は、516として概ね示される化学てんびん上にある。装置510のもう一方の末端部は、518として概ね示されるフリット漏斗と、漏斗518の内側に適合する、558として概ね示されるおもりアセンブリと、漏斗518の上に適合し、また底部が開放し、ピンホールがある最上部が閉鎖した、522として概ね示される円筒形のプラスチックのフリット漏斗カバーである。装置510はどちらの方向にも流体を運ぶシステムを有し、このシステムは、524及び531aとして示されるガラス毛管の部分と、531bとして示される可撓性プラスチック管の部分(例えば、内径0.635cm(1/4インチ)及び外径0.95cm(3/8インチ)のタイゴン(Tygon)管)と、ストップコックアセンブリの部分526及び538と、ガラス管524とガラス管531aを接続するためのテフロンコネクタの部分548、550、及び552と、ストップコックアセンブリの部分526及び538とから成る。ストップコックアセンブリ526は、リザーバ512を補充し、またフリット漏斗518内のフリットディスクを前方に流すために、三方弁528と、主要流体システムにおけるガラス毛管530及び534と、ガラス毛管の一部分532とから成る。ストップコックアセンブリ538も同様に、三方弁540と、主要流体ラインにおけるガラス毛管542及び546と、システムの排水管として作用するガラス毛管の一部分544とから成る。
【0082】
図4を参照すると、アセンブリ558は、漏斗518の内側に適合するおもりから成る。560として概ね示される洗浄パッド試料は漏斗518内にあり、その表面接触層が、518内のガラスフリットと接触する。洗浄パッド試料は、5.4cmの直径を有する円形試料である。試料560は、単層として描かれるものの、実際には試料は、試料が切断されるパッドに含有される全ての層を有する円形試料から成る。円筒形のステンレス鋼のおもり558は、取り除くのを容易にするために、最上部にハンドル(図示せず)が備え付けられている。鋼のおもり558の重量は63.2gであり、これは、16.0cm2の面積に対する413Pa(0.06psi)の圧力と一致する。
【0083】
装置510の構成要素は、10cmの静水頭部下で、通過する脱イオン水の流量が少なくとも0.01g/cm2/秒であるような大きさであり、流量は、フリット漏斗518の面積で正規化される。流量に特に影響を及ぼす要因は、フリット漏斗518内のフリットディスクの透過性、並びにガラス管524、530、534、542、546、及び531aと、ストップコック弁528及び540の内径である。
【0084】
リザーバ512は、0.1g/時間未満のずれで少なくとも0.01gまで正確である化学てんびん516上に位置する。てんびんは、好ましくは、(i)PUP試験の開始から、予め設定された時間間隔でてんびんの重量の変化を観測でき、また(ii)てんびんの感度によって、0.01〜0.05gの重量の変化で自動的に開始するように設定できるソフトウェアを有するコンピューターに接続される。リザーバ512に入る毛管524は、リザーバの底面又はカバー514のどちらにも接触するべきではない。リザーバ512内の流体(図示せず)の量は、測定中に空気が毛管524内に引き込まれないように充分であるべきである。測定開始時、リザーバ512内の流体の高さは、フリット漏斗518内のフリットディスクの上表面より約2mm下であるべきである。これは、フリットディスク上に流体の小さい滴を配置して、それがゆっくり流れてリザーバ512に戻るのを重力測定的に観測することにより確認できる。おもりアセンブリ558が、漏斗518内に位置するとき、この高さは有意に変わるべきでない。リザーバは、約40mLの部分を引き抜くと、流体の高さの変化が3mm未満であるように、充分に大きい直径(例えば、約14cm)を有するべきである。
【0085】
測定前に、アセンブリを脱イオン水で充填する。フリット漏斗518内のフリットディスクは前方に流されて、新しい脱イオン水で充填される。可能な範囲まで、フリットディスクの底面と、漏斗をリザーバに接続するシステムとから、空泡が除去される。以下の手順が、三方ストップコックの順次処理により行われる:
1.フリットディスクの上表面上の余分な流体が、フリット漏斗518から除去される(例えば、流し出す)。
2.リザーバ512の溶液の高さ/重量が、適切な高さ/値に調整される。
3.フリット漏斗518が、リザーバ512に関して正しい高さに配置される。
4.次に、フリット漏斗518が、フリット漏斗カバー522で覆われる。
5.リザーバ512及びフリット漏斗518が、ストップコックアセンブリ526及び538の弁528及び540で、開放した接続位置で釣り合わせられる。
6.次に、弁528及び540が閉じられる。
7.次に、弁540を回転させて、排水管544へ漏斗が開放される。
8.この位置で5分間、システムを釣り合わせる。
9.次に、弁540を、その閉じた位置まで戻す。
【0086】
7〜9の工程では、フリット漏斗518の表面を約5cmの小さい静水吸引にさらすことによって、同表面を一時的に「乾燥」させる。管544の開放末端部がフリット漏斗518内のフリットディスクの高さより約5cm下へ伸び、脱イオン水で充填されている場合、この吸引が適用される。典型的には、この処置の間に約0.04gの流体がシステムから排水される。おもり558及び試料560のアセンブリが、フリット漏斗518内に位置するとき、この処置は、脱イオン水が早く吸収されすぎるのを防ぐ。この処置でフリット漏斗から排出される流体の量(フリット漏斗較正重量又は「Wffc」と呼ばれる)が、試料/おもりアセンブリ558及び560なしに20分間、PUP試験(下記参照)を行うことにより測定される。本質的にこの処置によりフリット漏斗から排出される流体の全ては、試験が開始されるとき、非常に迅速に漏斗によって再吸収される。故に、PUP試験(下記参照)中にリザーバから除去される流体の重量から、この較正重量を引く必要がある。
【0087】
打ち抜いた丸い試料560が漏斗518内に配置される。おもり558が試料560の上に配置され、次に、漏斗518の最上部がフリット漏斗カバー522で覆われる。安定性のために、てんびんの読取値が確認された後、漏斗518とリザーバ512とを接続するために弁528及び540を開放することにより、試験が開始される。漏斗518が流体を再吸収し始めると、自動的な開始と共に、データ収集が直ちに開始される。
【0088】
データは、1200秒(20分)の全期間にわたって周期的に記録される。PUP吸収能力は、以下のように決定される:
1200吸収能力(g/g)=[Wr(t=0)−Wr(t=1200)−Wffc]/Wds
式中、t1200吸収能力は、1200秒後のパッドのg/gの能力であり、Wr(t=0)は、開始前のリザーバ512のグラムでの重量であり、Wr(t=1200)は、開始後1200秒でのリザーバ512のグラムでの重量であり、Wffcは、フリット漏斗較正重量であり、Wdsは、洗浄パッド試料の乾燥重量である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明による洗浄パッドの下表面の平面図。
【図2】図1の洗浄パッドを貫いて取った断面図。
【図3】「圧力下の性能」試験に使用される試験装置の概略図。
【図4】「圧力下の性能」試験に使用される試験装置の概略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄器具に取り外し可能に取り付けるための使い捨て洗浄パッドであって、
吸収性構造体と、
前記吸収性構造体において画定され、前記吸収性構造体の厚さ全体にわたって固着させるか又はエンボス加工することによって形成される複数のリザーバと
を備える洗浄パッド。
【請求項2】
前記洗浄パッドを洗浄器具に取り外し可能に取り付けるための手段を更に備える、請求項1に記載の使い捨て洗浄パッド。
【請求項3】
液体洗浄組成物で予め湿らせた、請求項1又は2に記載の使い捨て洗浄パッド。
【請求項4】
前記吸収性構造体が上表面及び下表面を備え、前記リザーバが、前記吸収性構造体の前記上表面と前記下表面を選択された位置で合わせて固着させることにより形成される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使い捨て洗浄パッド。
【請求項5】
前記吸収性構造体が、上側シート、下側シート、及び前記上側シートと前記下側シートとの間に位置する吸収性コアを備え、前記流体リザーバが前記上側シートと前記下側シートとの間に形成される固着により画定され、各流体リザーバが前記吸収性コアの別個の部分を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の洗浄パッド。
【請求項6】
前記リザーバが、前記洗浄パッドを横切って様々な方向に伸びる固着線を交差させることにより画定される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の洗浄パッド。
【請求項7】
前記洗浄パッドが側縁部を有し、前記固着線が、前記洗浄パッドの一方の側縁部から前記洗浄パッドのもう一方の側縁部まで伸びる、請求項6に記載の洗浄パッド。
【請求項8】
前記固着線が前記洗浄パッドの側縁部と鋭角を画定する、請求項7に記載の洗浄パッド。
【請求項9】
前記洗浄パッドがほぼ正方形又は矩形の形状であり、前記固着線が、前記洗浄パッドの前記側縁部にほぼ平行である、請求項7に記載の洗浄パッド。
【請求項10】
前記リザーバが、0.038〜0.127cm(0.015〜0.05インチ)の範囲の距離で互いに分離されている複数の固着箇所により画定される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の洗浄パッド。
【請求項11】
前記リザーバが複数の固着箇所により画定され、各固着箇所が0.10未満の縦横比を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の洗浄パッド。
【請求項12】
前記リザーバが複数の固着箇所により画定され、各固着箇所が0.019cm2(0.003平方インチ)未満の表面積を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の洗浄パッド。
【請求項13】
固着の総面積が、前記吸収性構造体の面積の10%未満を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の洗浄パッド。
【請求項14】
前記吸収性構造体が上表面及び下表面を備え、前記リザーバが、選択された位置で前記上表面と前記下表面とを互いに接触させるように、前記吸収性構造体をエンボス加工することにより形成される、請求項1に記載の洗浄パッド。
【請求項15】
洗浄器具に取り外し可能に取り付けるための使い捨て洗浄パッドであって、
吸収性構造体と、
前記吸収性構造体において画定される複数のリザーバと
を備え、前記リザーバの少なくとも幾つかが、超吸収性材料を含有する、洗浄パッド。
【請求項16】
前記吸収性構造体が、上側シート、下側シート、及び前記上側シートと前記下側シートとの間に位置する吸収性コアを備え、各リザーバが前記吸収性コアの別個の部分を含む、請求項15に記載の洗浄パッド。
【請求項17】
前記流体リザーバが、円形、正方形、矩形、ダイヤモンド形、楕円形、三角形、六角形及びそれらの組み合わせから選択される形状を有する、請求項1〜16のいずれか一項に記載の洗浄パッド。
【請求項18】
隣接するリザーバにおいて、互いに流体が行き来している、請求項1〜17のいずれか一項に記載の洗浄パッド。
【請求項19】
研磨材料のこすり落としストリップを更に備える、請求項1〜18のいずれか一項に記載の洗浄パッド。
【請求項20】
ハンドルと;
前記ハンドルに取り付けられた先端部分と;
前記先端部分に取り外し可能に取り付けられた、請求項1〜19のいずれか一項に記載の洗浄パッドと
を備える洗浄器具。
【請求項21】
前記先端部分が旋回可能に前記ハンドルに取り付けられる、請求項20に記載の洗浄器具。
【請求項22】
ハンドル及び先端部分を備える洗浄器具と;
前記先端部分に取り外し可能に取り付けるための、請求項1〜19のいずれか一項に記載の洗浄パッドと
を備える洗浄キット。
【請求項23】
硬い表面を洗浄する方法であって、
ハンドルと、該ハンドルに取り付けられた先端部分とを備える洗浄器具を用意すること;
請求項1〜19のいずれか一項に記載の洗浄パッドを前記先端部分に取り外し可能に取り付けること;
洗浄される前記表面を前記洗浄パッドで拭くこと;及び
状況に応じて、前記洗浄パッドを取り外すこと
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−507324(P2007−507324A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534456(P2006−534456)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/033536
【国際公開番号】WO2005/034710
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】