説明

洗浄具及びこれを用いた洗浄方法

【課題】被洗浄物に付いた付着物を簡単に且つ確実に取り除くことができる洗浄具を提供する。
【解決手段】連結・接続部14から延びる第1及び第2柄部10、12と、その先端部に設けられた第1及び第2摘み部16、18とを有する洗浄具本体4と、第1及び第2摘み部16、18に着脱自在に装着された第1及び第2スポンジタワシ6、8とを備えた洗浄具とすることで、第1及び第2スポンジタワシ6、8を一つのスポンジとして食器の表面を洗浄することや、食器の周縁部を挟み込んで洗浄することによって、食器を効率よく洗浄できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器、調理器具などの洗浄に用いる洗浄具及びこれを用いた洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食器、調理器具などを洗剤を用いた洗浄にスポンジタワシが広く用いられている。このスポンジタワシは、一般的に直方体状に形成され、その片側面に硬質のマット材が用いられ、その他側面に軟質の発泡樹脂材が用いられ、マット材及び発泡樹脂材が接着剤を介して接合されている。
【0003】
スポンジタワシを用いて洗浄する場合、例えば、手洗い用洗剤を希釈させた希釈洗剤液にスポンジタワシを浸し、片方の手で被洗浄物(食器、調理器具など)を掴み、他方の手でスポンジタワシを摘み、このスポンジタワシで被洗浄物の表面を擦って付着物を乳化し、その後水又は温水で濯ぎ、付着物を取り除き被洗浄物の洗浄を行っている。
【0004】
このスポンジタワシを用いてコップなどの被洗浄物(細くて深い形態のもの)を洗浄しようとすると、スポンジタワシを掴んでいる手が被洗浄物の中に入らず、被洗浄物の底部をきれいに洗浄することが難しいという問題があり、このような問題を解消するために、柄付き洗浄具が販売されている。この柄付き洗浄具は、手で把持するための把持部を備えた柄部材を備え、この柄部材の先端部に洗浄用のスポンジが取り付けられている。
【0005】
しかし、この公知の柄付き洗浄具では、柄部材の先端部に専用のスポンジが一体的に取り付けられ、スポンジを交換することができず、スポンジが摩耗したときには洗浄具全体を廃棄しなければならない。また、柄部材の先端部に取り付けられるものはスポンジであるので、被洗浄物としてのコップなどに適用し易く、コップなどに付着した液体状の付着物を容易に取り除くことができるが、被洗浄物としての鍋などに適用し難く、鍋などにこびり付いた付着物を取り除くのが容易でない。
【0006】
このようなことから、洗浄具本体の柄に固定アーム及び可動アームを設け、これら固定アーム及び可動アームにスポンジを取り付けた洗浄具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この洗浄具においては、一対のスポンジを希釈洗剤液に浸した後に、可動アームを回動させて固定アーム及び可動アームのスポンジ間に皿などの被洗浄物を挟み込み、このような状態にて柄を動かして一対のスポンジを被洗浄物の両面に作用させて洗浄を行う。
【0007】
また、U字状の取手部の両端部に円筒状の連結部を装着し、この連結部に多角柱状のスポンジ体を取り付けた洗浄具が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この洗浄具においては、一対のスポンジ体を希釈洗浄液に浸した後に、これらスポンジ体間に例えば食器の側面を挟み込み、スポンジ体を食器に対して相対的に回動させて洗浄を行う。更に、一対のスポンジ体を閉じた状態にし、この状態でもって食器の内面及び外面の一部を洗浄する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−305246号公報
【特許文献2】特開2003−93319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の洗浄具では、次の通りの問題がある。第1に、固定アーム及び可動アームに装着されるスポンジとして断面円形状のものを用いているが、このようなスポンジは入手が容易でなく、またスポンジの内部に特殊形状の孔を形成するのが難しい。第2に、可動アームを開くための機構がなく、従って、手でもって可動アームを直接的に開かせる必要があり、この洗浄具を用いた洗浄作業が容易でない。
【0010】
洗浄に関してのこのような問題は、食器、調理器具などの洗浄のみならず、被洗浄物としての自動車などの洗浄にも存在する。
【0011】
本発明の目的は、被洗浄物に付いた付着物を従来に比して半分の労力と時間でもって洗浄することができ、しかも手荒れもなくきれいに洗浄することができる洗浄具を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、各種の被洗浄物の洗浄に広く適用することができる洗浄具を提供することである。
【0013】
本発明の更に他の目的は、食器、調理器具などの被洗浄物に付着した付着物を従来に比して半分の労力と時間でもって洗浄することができ、しかも手荒れなくきれいに、更に省エネで洗浄することができる洗浄方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の請求項1に記載の洗浄具は、連結・接続部と、この連結・接続部から延びる第1及び第2柄部と、前記第1及び第2柄部の先端部に設けられた第1及び第2摘み部とを有するステンレス製の洗浄具本体と;前記洗浄具本体の前記第1及び第2摘み部に着脱自在に装着された第1及び第2スポンジタワシと;を備えており、
前記連結・接続部は、連結ピンを介して相互に旋回自在に連結された第1及び第2連結部を有し、前記第1柄部は前記第1連結部から延び、前記第2柄部は前記第2連結部から延び、前記第1連結部と前記第2連結部との間には板ばねが介在され、前記板ばねの弾性変形によって、前記第1及び第2柄部が相互に近接する方向に移動可能であり、
前記第1及び第2柄部は、前記連結・接続部の第1及び第2連結部からハ字状に拡がっているとともに、前記第1及び第2柄部の先端側は、内側に向けて所定角度で傾斜して延びており、
前記第1及び第2摘み部は、幅方向両側部が内側に向けて弧状で、幅方向中央部が外側に凸状に形成されているとともに、前記第1及び第2摘み部の先端部は内側に折曲されており、
また、前記第1及び第2スポンジタワシは、袋状の第1及び第2タワシ本体を備え、前記第1及び第2タワシ本体は、洗浄用タワシを縦方向に折り返して重ね合わせてその両側部を大型ホッチキスの針で綴じて袋状に形成されており、
前記第1スポンジタワシは、前記第1タワシ本体の開口部を通して前記洗浄具本体の前記第1摘み部を覆うように着脱自在に装着され、前記第2スポンジタワシは、前記第2タワシ本体の開口部を通して前記洗浄機本体の前記第2摘み部を覆うように着脱自在に装着されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項2に記載の洗浄具では、前記洗浄タワシの片面に硬質マット材が配設され、その他面に軟質発泡樹脂材が配設され、前記硬質マット材が外側となるように縦方向に折り返してその両側部を前記大型ホッチキスの針で袋状に綴じることにより第1タワシが形成され、前記軟質発泡樹脂材が外側となるように縦方向に折り返してその両側部を前記大型ホッチキスの針で綴じることにより第2タワシが形成され、前記第1及び第2スポンジタワシの前記第1及び第2タワシ本体は、前記第1及び第2タワシのいずれかから構成されることを特徴とする。
また、本発明の請求項3に記載の洗浄具では、前記第1スポンジタワシの前記第1タワシ本体は前記第1タワシから構成され、前記第2スポンジタワシの前記第2タワシ本体は前記第2タワシから構成されていることを特徴とする。
更に、本発明の請求項4に記載の洗浄方法は、温水又は水が噴射される噴射ノズル部及び作業者が把持するグリップ部を備えた噴射体と、前記噴射ノズル部を囲むように前記噴射体に装着されたカバー体とを備え、前記カバー体には、前記噴射ノズル部の外形よりも内径が小さい円形状の貫通孔が設けられ、前記噴射体の前記噴射ノズル部は、前記カバー体の前記貫通孔に遊びを有するように挿入される噴射具と;請求項1〜3のいずれかに記載の洗浄具と;を用いて被洗浄物を洗浄する洗浄方法であって、
前記洗浄具に洗剤を浸して被洗浄物を洗剤でもって洗浄し、次いで水洗い容器に溜めた水に浸して水洗いし、この水洗いした被洗浄物を一時的に所定時間ストックする洗浄具による洗浄工程と、前記噴射具を流し台の水栓に接続し、前記流し台のシンク内に洗浄台を置き、被洗浄物を前記洗浄台上に載置し、前記カバー体を前記洗浄台上に載置し、前記カバー体と前記洗浄台とにより閉鎖空間を形成し、前記噴射具により温水又は水を被洗浄物に噴射しながら洗浄する噴射具による洗浄工程と、を含むことを特徴とする。
洗浄方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1に記載の洗浄具によれば、洗浄具本体の第1及び第2摘み部に第1及び第2スポンジタワシが装着されているので、この第1及び第2スポンジタワシによって食器、調理機器、自動車(例えば、ボディ、ドア、ドアの開閉部分など)の被洗浄物を簡単に洗浄することができ、また手荒れも防止することができる。また、洗浄具本体は第1及び第2柄部を接続する連結・接続部を有し、この第1及び第2柄部の先端部に第1及び第2摘み部が設けられているので、第1及び第2摘み部の間、即ちこれらに装着された第1及び第2スポンジタワシの間に被洗浄物を挟み込むことによって、食器などの被洗浄物を確実に保持しながらその表面側及び裏面側を同時に広範囲に洗浄することができ、また第1及び第2摘み部を合わせることによって、第1及び第2スポンジタワシを一つのスポンジタワシとして使用し、食器などの被洗浄物の表面(表面側及び裏面側)を洗浄することができ、例えば、食器の周縁部については第1及び第2スポンジタワシの間に挟み込んで洗浄し、その中央部については第1及び第2スポンジタワシを合わせて一つにして擦って洗浄することによって、食器を効率よく洗浄することができる。更に、第1及び第2スポンジタワシは洗浄具本体の第1及び第2摘み部に着脱自在であるので、第1及び第2スポンジタワシの片面側が摩耗したときには裏返して装着することによってそれらの他面側を使用することができ、第1及び第2スポンジタワシのほぼ全体を洗浄に用いることができ、更にそれらの両面が摩耗したときには第1及び第2スポンジタワシを新しいものに容易に交換することができる。加えて、洗浄効果の異なる各種スポンジタワシを用意することによって、被洗浄物の汚れ状態などに応じたスポンジタワシを取り換えて装着して被洗浄物を所要の通りに洗浄することができる。更に、使用しないときには洗浄具本体を吊り下げて第1及び第2スポンジタワシを乾燥することができ、このようにすることによって、第1及び第2スポンジタワシを清潔な状態に保つことができる。
【0017】
更にまた、第1及び第2柄部は、連結・接続部からハ字状に拡がっているとともに、それらの先端側が内側に向けて所定角度で傾斜して延びているので、第1及び第2柄部の基部間において充分な空間を確保して摘み操作を容易にし、また摘み操作の際に第1及び第2摘み部が相互に対向した状態でもって内側に移動し、これによって、第1及び第2摘み部間に確実に摘むことができる。また、第1連結部と第2連結部との間に板ばねが介在されているので、この板ばねによって第1及び第2柄部が開いた状態に保持され、また第1及び第2柄部を摘まんで板ばねを弾性変形させることによって、第1及び第2柄部を相互に近接する方向に移動させて第1及び第2摘み部を合わせるようにすることができ、その開閉操作が容易となる。
更に、第1及び第2摘み部は、幅方向両側部が内側に向けて弧状で、幅方向中央部が外側に凸状に形成されているので、それらの強度を高めることができるとともに、第1及び第2スポンジタワシの抜けを防止することができる。また、第1及び第2摘み部の先端部が内側に折曲されているので、折曲された先端部が被洗浄物に強く作用するようになり、これによって、第1及び第2スポンジタワシの洗浄力を高めることができるとともに、第1及び第2スポンジタワシの離脱を効果的に防止することができる。加えて、第1及び第2タワシ本体が洗浄タワシを縦方向に折り返してその両側部を大型ホッチキスの針で綴じて袋状に形成されるので、比較的簡単に製作することができる。
【0018】
また、本発明の請求項2に記載の洗浄具によれば、片面に硬質マット材が設けられ、他面に軟質発泡樹脂材が設けられた洗浄タワシが用いられ、この洗浄タワシの硬質マット材が外側となるように縦方向に折り返して袋状に形成することによって第1タワシが形成され、またその軟質発泡樹脂材が外側となるように縦方向に折り返して袋状に形成することによって第2タワシが形成され、このように洗浄タワシを用いて2種類のタワシを形成することができる。
【0019】
更に、第1及び第2タワシ本体は、外面側に硬質マット材が設けられた第1タワシ及び外面側に軟質発泡樹脂材が設けされた第2タワシのいずれかから構成されるので、洗浄具本体の第1及び第2摘み部に装着されるタワシの種類を変えることによって、各種被洗浄物に適したタワシを用いて洗浄することができる。例えば、付着物が液体状のものであれば第2タワシを好適に用いることができ、また付着物が固体状のものであれば第1タワシを好適に用いることができる。また、第1及び第2タワシを各2個ずつ備え、第1及び第2タワシの使用組合せを選択することによって、3種類の洗浄具として用いることができ、このようにすることによって、被洗浄物に応じて使い分けすることができる。
【0020】
また、本発明の請求項3に記載の洗浄具によれば、第1スポンジタワシの第1タワシ本体が第1タワシから構成され、その外面側が硬質マット材で、その内面側が軟質発泡樹脂材から構成されているので、この第1スポンジタワシを用いることによって、被洗浄物に付着した固体状の付着物などを好都合に取り除くことができる。また、第2スポンジタワシの第2タワシ本体が第2タワシから構成され、その外側面が軟質発泡樹脂材から構成され、その内面側が硬質マット材から構成されているので、この第2スポンジタワシを用いることによって、被洗浄物に付着した液体状の付着物などを好都合に取り除くことができる。また、第1及び第2タワシは硬質マット材を含んでいるので、それ自体に適度の剛性があり、被洗浄物に沿って作用して所要の通り洗浄することができる。
【0021】
更に、本発明の請求項4に記載の洗浄方法によれば、洗浄具による洗浄工程では請求項1〜3のいずれかに記載の洗浄具を用いて被洗浄物を洗浄するので、従来のスポンジタワシを用いて洗浄する場合に比して半分の時間と労力で洗浄することができ、また手荒れもなく、被洗浄物をきれいに洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に従う洗浄具の第1の実施形態を示す正面図。
【図2】図1の洗浄具の洗浄具本体を示す正面図。
【図3】図1の洗浄具の摘み部を内側から見た部分図。
【図4】図3におけるIV−IV線による断面図。
【図5】洗浄具本体の第1の変形形態を示す正面図。
【図6】洗浄具本体の第2の変形形態を示す正面図。
【図7】図6の洗浄具本体の連結・接続部を示す部分正面図。
【図8】洗浄具本体の第3の変形形態の一部を示す部分拡大図。
【図9】図1の洗浄具のスポンジタワシを示す平面図。
【図10】図9におけるX−X線による断面図。
【図11】図1の洗浄具において、スポンジタワシを洗浄具本体の摘み部に装着した状態を示す断面図。
【図12】スポンジタワシの第1の変形形態の製作方法を説明するための斜視図。
【図13】第1の変形形態のスポンジタワシを示す平面図。
【図14】スポンジタワシの第2の変形形態を示す平面図。
【図15】図14におけるXV−XV線による断面図。
【図16】本発明に従う洗浄具の第2の実施形態を示す正面図。
【図17】図16の洗浄具の洗浄具本体の摘み部にスポンジタワシを装着する前の状態を示す斜視図。
【図18】図1の洗浄具による第1の洗浄使用例を示す説明図。
【図19】図1の洗浄具による第2の洗浄使用例を示す説明図。
【図20】本発明に従う洗浄方法における洗浄具による洗浄工程を実施するためのキッチンの配置例を示す平面図。
【図21】本発明に従う洗浄方法における噴射具による洗浄工程に用いる噴射具の使用状態を示す部分断面図。
【図22】噴射具による洗浄工程を実施するためのキッチンの配置例を示す平面図。
【図23】噴射具を用いた洗浄を説明するための部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う洗浄具及びこれを用いた洗浄方法について説明する。まず、図1を参照して、洗浄具の第1の実施形態について説明する。
【0024】
図1において、図示の洗浄具2は、洗浄具本体4と、この洗浄具本体4に装着される第1及び第2スポンジタワシ6,8とを備えている。図2〜図4をも参照して、この洗浄具本体4は、第1柄部10及び第2柄部12を有し、第1柄部10及び第2柄部12の基部が連結・接続部14を介して接続されている。この形態では、連結・接続部14は略円弧状であり、この片側から第1柄部10が直線状に延び、その他側から第2柄部12が直線状に延び、第1及び第2柄部10,12は、連結・接続部14からハ字状に拡がっている。この連結・接続部14は円弧状の板ばね状に構成され、その半径が8mm以上に形成されている。この連結・接続部14は弾性変形可能であり、摘む及び離す動作によって、第1及び第2柄部10,12は、相互に近接及び離隔する方向に移動することができる。
【0025】
第1柄部10の先端部には第1摘み部16が設けられ、また第2柄部12の先端部には第2摘み部18が設けられている。第1摘み部16は第1柄部10よりも幅が広く、また第2摘み部18は第2柄部12よりも幅が広く、このように幅を広くすることによって、第1及び第2摘み部16,18間に摘み易くなっている(図3参照)。
【0026】
第1及び第2摘み部16,18は、図3及び図4に示すように、幅方向(図3において上下方向、図4において左右方向)両側部20,22が内側に向けて弧状となる(換言すると、幅方向中央部22が外側に弧状に凸状となる)ように形成するのが望ましい。このように構成することによって、第1及び第2摘み部16,18の強度を高めることができるとともに、後述する第1及び第2スポンジタワシ6,8の装着状態からの抜けを抑えることができる。
【0027】
この実施形態の洗浄具本体4では、連結・接続部14、第1及び第2柄部10,12並びに第1及び第2摘み部16,18が一体的に構成され、例えばステンレス鋼、真鍮などの金属材料から形成されている。尚、洗浄具本体4全体を金属材料から形成する必要はなく、連結・接続部14を金属材料(例えば、ステンレス鋼など)から形成し、第1及び第2柄部10,12並びに第1及び第2摘み部16,18を合成樹脂材料から形成するようにしてもよく、或いは連結・接続部14並びに第1及び第2摘み部16,18を金属材料(例えば、ステンレス鋼など)から形成し、第1及び第2柄部10,12を剛性樹脂から形成するようにしてもよい。
【0028】
このような洗浄具本体は、例えば、図5に示すように構成することができる。尚、以下の各種形態において、図1〜図4に示す実施形態と実質上同一の部材には同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0029】
図5において、第1の変形形態の洗浄具本体4Aにおいては、第1及び第2柄部10A,12Aが内側に向けて所定角度θでもって傾斜して延びている。この所定傾斜角度θは、10〜30度程度あるのが望ましく、このように傾斜させることによって、第1及び第2柄部10A,12Aの基部側間において充分な空間を確保することができ、これによって、第1及び第2柄部10A,12Aの摘み操作を容易に行うことができ、また摘み操作の際に第1及び第2摘み部16,18が相互に対向した状態でもって内側に移動され、これによって、第1及び第2摘み部16,18間に確実に摘むことができる。
【0030】
このような洗浄具本体は、例えば、図6及び図7に示す形態のものを用いることもできる。図6及び図7において、第2の変形形態の洗浄具本体4Bにおいては、連結・接続部14Bに改良が施されている。図示の連結・接続部14Bは、第1連結部24及び第2連結部26を有し、第1連結部24に設けられた一対のブラケット部28(図7において一方のみ示す)と第2連結部26に設けられた一対のブラケット部30(図6において手前側のものを示し、図7において背面側のものを示す)が連結ピン32を介して所定角度範囲にわたって旋回自在に連結されている。
【0031】
この洗浄具本体4Bでは、連結・接続部14Bの第1連結部24から第1柄部10Bから延び、その第2連結部26から第2柄部12Bが延びており、更に、第1連結部24と第2連結部26との間に、連結ピン32を巻くようにばね手段34が介在されている。ばね手段34は、例えば板ばね、コイルばねなどから構成され、第1及び第2連結部24,26(換言すると、第1及び第2柄部10B,12B)を外側に(両者が離隔する方向に)弾性的に偏倚し、第1及び第2柄部10B,12B(第1及び第2摘み部16,18)は、このばね手段34の弾性作用によって図6及び図7に示す開状態に保持される。尚、第1及び第2連結部24,26の上記開状態を越える移動を防止するために、移動防止当接部などを設けることもできる。
【0032】
このような構成の洗浄具本体4Bでも、ばね手段34の弾性変形によって、第1及び第2連結部24,26(即ち、第1及び第2柄部10B,12B)の相互に近接する方向の移動が許容され、第1及び第2摘み部16,18間に物などを摘むことができ、第1の実施形態の洗浄具本体4と同様に、洗浄具に用いることができる。
【0033】
このような洗浄具本体は、例えば、図8に示すように構成することができる。図8において、第3の変形形態の洗浄具本体4Cにおいては、洗浄具本体4Cの第1及び第2摘み部16C,18Cの先端部35が内側に折曲されている。このように折曲することによって、後述する如く第1及び第2スポンジタワシ6,8を装着した状態においては、第1及び第2スポンジタワシ6,8の内側部が内側に凸状となって内側に角度θ2傾斜させたと同様の状態になり、上述した洗浄具本体A4と同様の作用効果が達成することができる。加えて、第1及び第2摘み部16C,18Cの先端部35が被洗浄物の表面に強く作用するようになり、これによって、第1及び第2スポンジタワシ6,8の洗浄力を強化することができる。
【0034】
また、折曲された先端部35が対応する第1及び第2スポンジタワシ6,8の内面に作用し、これによって第1及び第2摘み部16C,18Cからの第1及び第2スポンジタワシ6,8の離脱もより効果的に防止され、被洗浄物を長期間にわたり洗浄することができる。
【0035】
次に、図9〜図11を参照して、第1及び第2スポンジタワシ6,8について説明する。第1及び第2スポンジタワシ6,8は、実質上同一の構成であり、以下、第1スポンジタワシ6(第2スポンジタワシ8)の構成について説明する。
【0036】
図9〜図11において、図示の第1スポンジタワシ6(第2スポンジタワシ8)は、第1タワシ本体42(第2タワシ本体44)を備え、この第1タワシ本体42(第2タワシ本体44)が後述するように洗浄具本体4(4A,4B)の第1摘み部16(第2摘み部18)に着脱自在に装着される。第1タワシ本体42(第2タワシ本体44)は、基部側端(図9において下端)が開放された袋状であり、この開放された開口を通して第1摘み部16(第2摘み部18)に装着される。
【0037】
第1タワシ本体42(第2タワシ本体44)は、硬質のマット材46と軟質の発泡樹脂材48とが接合され二重構造であり、この形態では、外側に硬質のマット材46が設けられ、内側に軟質の発泡樹脂材48が設けられた第1タワシから構成されている。硬質のマット材46としては、例えば、ナイロン製の不織布などを用いることができ、また軟質の発泡樹脂材48としては、例えば、ウレタンスポンジなどを用いることができる。尚、硬質のマット材46と軟質の発砲樹脂材48の二重構造のものを用いることによって、適度の剛性と適度の弾性を確保することができ、被洗浄物の洗浄に好都合に適用することができる。
【0038】
このような第1タワシは、例えば、次のようして製作することができる。図9及び図10から理解されるように、片面側に硬質のマット材46が配設され、他面側に軟質の発泡樹脂材48が配設された洗浄用タワシ(例えば、スポンジタワシとして市販されているもの)を用いることができ、このような洗浄用タワシでは、マット材46と発泡樹脂材48とが接着剤を介して接合されている。この洗浄用タワシを用いる場合、例えば、軟質の発泡樹脂材48が内側となるように折り返して重ね合わせ、このように重ね合わせた状態にて、先端部50及び開放された側部52を例えば大型のホッチキス(図示せず)の針材54で綴じればよく、このように綴じることによって、一端が開放された袋状の第1タワシを製作することができる。大型ホッチキスの針材54としては、例えばマックス株式会社から販売されているマックス針(商品型番:1213FA−H)(サイズ:13mm(幅)×13mm(高さ)×0.75mm(厚み))を用いることができる。
【0039】
このような大型のホッチキス針を用いることに代えて、例えば、折り返して重ね合わせた状態の洗浄用タワシの先端部及び側部52を金属ワイヤ、糸(いずれも図示せず)などを用いて縫い合わせるようにしてもよい。尚、洗浄用タワシを二重又は三重に重ねた状態で折り返して重ね合わせ、かく重ね合わせた状態にて大型ホッチキスの針材54などで綴じるようにしてもよい。
【0040】
このような第1タワシは、洗浄具本体4(4A,4B)の第1及び第2摘み部16,18に装着される。即ち、第1タワシ(第1タワシ本体42)の開放された一端開口を通して第1摘み部16を挿入し、第1タワシ(第2タワシ本体44)の開放された一端開口を通して第2摘み部18を挿入することによって、第1及び第2スポンジタワシ6,8が洗浄具本体4(4A,4B)に着脱自在に装着される。かく装着した状態においては、第1及び第2摘み部16,18が第1及び第2スポンジタワシ6,8で被われ、第1及び第2スポンジタワシ6,8として外面側が硬質のマット材46である第1タワシを用いているので、食器、調理器などの被洗浄物に強く作用し、表面にこびり付いたような汚れを除去するのに好都合であり、強く押しつけて擦ることによって、こびり付いたような汚れをきれいに取り除くことができる。
【0041】
第1タワシ本体42(第2タワシ本体44)としては、上述したものに代えて、外側に軟質の発泡樹脂材48が設けられ、内側に硬質のマット材46が設けられた第2タワシから構成することもできる。この第2タワシは、第1タワシと同様に、片面側に硬質のマット材46が配設され、他面側に軟質の発泡樹脂材48が配設された洗浄用タワシを用いることができ、例えば、軟質の発泡樹脂材48が外側となるように折り返して重ね合わせ、このように重ね合わせた状態にて、先端部50及び開放された側部52を例えば大型のホッチキスの針材54(例えば、上述したサイズのものを用いることができる)で綴じることによって製作することができる。尚、この第2タワシにおいても、軟質の発泡樹脂材48が外側となるように洗浄用タワシを二重又は三重に重ねた状態で折り返して重ね合わせ、このように重ね合わせた状態にて大型ホッチキスの針材54などで綴じるようにしてもよい。
【0042】
このような第2タワシも、上述した第1タワシと同様に、洗浄具本体4(4A,4B)の第1及び第2摘み部16,18に装着される。即ち、第2タワシ(第1タワシ本体42)の開放された一端開口を通して第1摘み部16を挿入し、第2タワシ(第2タワシ本体44)の開放された一端開口を通して第2摘み部18を挿入することによって、洗浄具本体4(4A,4B)に着脱自在に装着される。かく装着した状態においては、第1及び第2摘み部16,18が第1及び第2スポンジタワシ6,8で被われ、第1及び第2スポンジタワシ6,8として外面側が軟質の発泡樹脂材48である第2タワシを用いているので、食器、調理器などの被洗浄物に優しく作用し、表面に付着した程度の汚れを除去するのに好都合であり、表面への傷を抑えながら汚れをきれいに取り除くことができる。
【0043】
上述した使用例では、洗浄具本体4(4A,4B)の第1及び第2摘み部16,18の双方に第1タワシ(外側が硬質のマット材46であるタワシ)又は第2タワシ(外側が軟質の発泡樹脂材48であるタワシ)を装着しているが、必ずしも同種のタワシを装着する必要はなく、洗浄具本体4(4A,4B)の第1摘み部16に第1タワシ(又は第2タワシ)を装着し、その第2摘み部18に第2タワシ(又は第1タワシ)を装着するようにしてもよく、この場合、洗浄具本体4(4A,4B)に装着されたタワシを使い分けすることによって、食器、調理器具などに付いた種々の汚れを所望の通りに除去してきれいにすることができる。
【0044】
このような第1スポンジタワシ(第2スポンジタワシ)の第1タワシ本体(第2タワシ本体)は、例えば、図12及び図13に示す形態のものを用いることもできる。図12及び図13において、第1の変形形態のタワシでは、洗浄用タワシを折り返して製作するのではなく、二つの洗浄用タワシを重ねて製作している。即ち、この第1の変形形態のタワシでは、外側に硬質のマット材(又は軟質の発泡樹脂材)が配置されるように洗浄用タワシ62を重ね合わせ、このように重ね合わせた状態にて、先端部64及び両側部66,68を上述したと同様に大型のホッチキス(図示せず)の針材68(上述したと同じサイズのものを用いることができる)で綴じればよく、このようにして第1タワシ(第2タワシ)を製作することができる。そして、このように製作した第1タワシ(第2タワシ)は、上述した第1タワシ(第2タワシ)に代えて、第1及び第2スポンジタワシ6A,8Aの第1及び第2タワシ本体42A,44Aとして用いることができる。
【0045】
このような第1スポンジタワシ(第2スポンジタワシ)の第1タワシ本体(第2タワシ本体)は、例えば、図14及び図15に示す形態のものを用いることもできる。図14及び図15において、第2の変形形態のタワシでは、図9〜図11に示すものと同様に、片面側に硬質のマット材72が配設され、他面側に軟質の発泡樹脂材74が配設された洗浄用タワシ(例えば、スポンジタワシとして市販されているもの)を用いることができ、横方向に折り返すのではなく、縦方向(図14において上下方向)に折り返して製作される。例えば、軟質の発泡樹脂材74が内側となるように折り返して重ね合わせ、このように重ね合わせた状態にて、開放された両側部75,77を例えば大型のホッチキス(図示せず)の針材78(例えば、上述したと同様のサイズのものを用いることができる)で綴じればよく、かく綴じることによって、一端が開放された袋状の第1タワシを製作することができる。大型のホッチキスを用いることに代えて、金属ワイヤ、糸(いずれも図示せず)などを用いて縫い合わせるようにしてもよく、洗浄用タワシを二重又は三重に重ねた状態で折り返して重ね合わせ、このように重ね合わせた状態にて大型ホッチキスの針材78などで綴じるようにしてもよい。
【0046】
また、上述した洗浄用タワシを用い、硬質のマット材72が内側となるように折り返し、かく折り返した状態にて、開放された両側部75,77を例えば大型のホッチキス(図示せず)の針材78で綴じることによって、一端が開放された第2タワシを製作することができる。このように製作された第1及び第2タワシは、上述したものと同様に、洗浄部本体4(4A,4B)の第1及び第2摘み部16,18に着脱自在に装着される。
【0047】
次に、図16及び図17を参照して、洗浄具の第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態においては、スポンジタワシに改良が施されている。図16及び図17において、図示の洗浄具101は洗浄具本体102を備え、この洗浄具本体102は、第1の実施形態における洗浄具本体4と実質上同一のものでよく、これに代えて、第1又は第2の変形形態の洗浄具本体4A,4Bを用いるようにしてもよい。
【0048】
洗浄具本体102は、上述したと同様に、第1柄部110及び第2柄部112を有し、第1柄部110及び第2柄部112の基部が連結・接続部114を介して接続され、連結・接続部の片側から第1柄部110が延び、その他側から第2柄部112が延びている。連結・接続部114は板ばね状に形成されて弾性変形可能であり、その弾性変形によって、第1及び第2柄部110,112が相互に近接及び離隔する方向に移動可能である。第1柄部110の先端部には第1摘み部116が設けられ、また第2柄部112の先端部には第2摘み部118が設けられている。
【0049】
この第2の実施形態では、洗浄具本体102の第1及び第2摘み部116,118にわたってスポンジタワシ120が着脱自在に装着される。この第2の実施形態におけるスポンジタワシ120はタワシ本体122を備え、このタワシ本体122が後述するように洗浄具本体104の第1及び第2摘み部116,118に着脱自在に装着される。タワシ本体122は、基部側端(図16において左端)が開放された袋状であり、この開放された開口を通して第1及び第2摘み部116,118に装着される。
【0050】
タワシ本体122は、硬質のマット材124と軟質の発泡樹脂材126とが接合され二重構造であり、この形態では、外側に硬質のマット材124が設けられ、内側に軟質の発泡樹脂材126が設けられた第1タワシから構成され、この第1タワシの構造は、上述した第1の実施形態のものと略同様である。このような第1タワシは、図9及び図10に示すようにして、或いは図12及び図13に示すように又は図14及び図15に示すようにして製作することができる。
【0051】
このような第1タワシは、図16に示すように、洗浄具本体104の第1及び第2摘み部116,118に装着される。即ち、洗浄具本体104の第1及び第2柄部110,112を握って第1及び第2摘み部116,118を近接する方向に移動させて相互に合わせ、かく合わせた状態にて第1及び第2摘み部116,118を第1タワシの開放された一端開口を通して挿入し、このようにして第1タワシ(即ち、スポンジタワシ120)が洗浄具本体104に着脱自在に装着される。
【0052】
このように装着した状態においては、第1及び第2摘み部116,118の全体が一つのスポンジタワシ120で被われる。また、スポンジタワシ120として外面側が硬質のマット材46である第1タワシを用いるので、食器、調理器などの被洗浄物に強く作用し、表面にこびり付いたような汚れをきれいに除去することができる。加えて、第1及び第2摘み部116,118を閉じて合わせた状態にてスポンジタワシ120の開口を通して挿入するので、洗浄具本体104の連結・接続部114の弾性復元力によって、第1及び第2摘み部116,118がスポンジタワシ120の内面にこれを押し拡げるように作用し、弾性復元力によるかかる作用によって、第1及び第2摘み部116,118からのスポンジタワシ120の離脱を防止することができる。
【0053】
タワシ本体122としては、上述したものに代えて、外側に軟質の発泡樹脂材126が設けられ、内側に硬質のマット材124が設けられた第2タワシから構成することもできる。この第2タワシは、第1タワシと同様にして製作することができ、上述した第1タワシと同様に、洗浄具本体104の第1及び第2摘み部116,118に着脱自在に装着され、かく装着した状態においては、第1及び第2摘み部116,118がスポンジタワシ120のタワシ本体122(即ち、第2タワシ)で被われ、このタワシ本体122の外面側が軟質の発泡樹脂材126であるので、食器、調理器などの被洗浄物に優しく作用し、表面への傷を抑えながら汚れをきれいに取り除くことができる。
【0054】
上述した第1の実施形態の洗浄具2は、例えば、図18及び図19に示すようにして食器200などの被洗浄物を洗浄することができる。食器200を効率よく洗浄する場合には、例えば、第1及び第2スポンジタワシ6,8に希釈洗浄剤(洗浄剤として手洗い用洗剤を好都合に用いることができる)を含ませて図18に示すようにして洗浄すればよい。即ち、片方の手(図示せず)で食器200を持ち、他方の手202で洗浄具2の第1及び第2柄部10,12を挟むように持ち、食器200の表面側に第1スポンジタワシ6を位置付け、その裏面側に第2スポンジタワシ8を位置付け、このような状態で第1及び第2柄部10,12を握って第1スポンジタワシ6を食器200の表面に、また第2スポンジタワシ8を食器200の裏面に圧接させる。そして、この第1及び第2スポンジタワシ6,8を圧接状態に保った状態にて、例えば食器200(又は洗浄具2)を回動させて食器200と第1及び第2スポンジタワシ6,8を相対的移動させればよく、このように相対移動させることによって、第1スポンジタワシ6が食器200の表面の周囲に作用して洗浄するとともに、第2スポンジタワシ8が食器200の裏面の周囲に作用して洗浄し、洗浄具2の周縁部を第1及び第2スポンジタワシ6,8でもって食器200の両面を同時に洗浄することができる。
【0055】
また、食器200の残りの部分(例えば、表面側及び裏面側の中央部)を洗浄する場合には、例えば、第1及び第2スポンジタワシ6,8に希釈洗浄剤を含ませて図19に示すようにして洗浄すればよい。即ち、片方の手(図示せず)で食器200を持ち、他方の手202で洗浄具2の第1及び第2柄部10,12を挟むように持ち、第1及び第2柄部10,12を相互に近接するように移動させて第1及び第2スポンジタワシ6,8を相互に圧接させる。そして、この第1及び第2スポンジタワシ6,8を相互に圧接する状態に保った状態にて、例えば食器200の内面側及び裏面側の中央部及びその近傍を擦って作用させればよく、この場合、被洗浄物(食器200)を保持している指に力がかからず、被洗浄物が滑り落ちて破損することがない。
【0056】
被洗浄物としてのガラスコップは数が多くて時間もかかるが、この洗浄具2を用いることによって、洗浄時間や労力を半減することができ、またこれらをきれいに洗うことができる。更に、箸、フォーク、ナイフ及び包丁などは、第1及び第2スポンジタワシ6,8間に挟んで引き抜くことによって洗浄することができ、非常に効果的に洗浄することができる。
【0057】
上述した実施形態では、洗浄具を食器、調理器具などの洗浄に適用して説明したが、これに限定されず、自動車などの洗浄にも適用することができる。
【0058】
また、例えば、上述した各種形態においては、第1及び第2スポンジタワシの第1及び第2タワシ本体として、片面側に硬質のマット材が配設され、他面側に軟質の発泡樹脂材が配設された洗浄用タワシを用いているが、第1及び第2タワシ本体として用いる第1タワシにあっては、全体が硬質のマット材から形成されたものを用いるようにしてもよく、また第1及び第2タワシ本体として用いる第2タワシにあっては、全体が軟質の発泡樹脂材から形成されたものを用いることができる。
【0059】
また、例えば、第1の実施形態の洗浄具2では、洗浄具本体4の第1及び第2摘み部16,18に第1及び第2スポンジタワシ6,8を装着しているが、この第1及び第2摘み部16,18にこれらを一つにするように第2の実施形態と同様のスポンジタワシを装着するようにしてもよい。第1及び第2スポンジタワシ6,8(各摘み部を覆うように装着する第1形態のスポンジタワシ)を用いる第1使用形態では、第1及び第2摘み部16,18間に被洗浄物を挟むことができるので、食器、調理器具などの洗浄に好適に用いることができ、またスポンジタワシ(第1及び第2摘み部を一体的に覆うように装着される第2形態のスポンジタワシ)を用いる第2使用形態では、第1及び第2摘み部16,18が一つになるので、自動車(ボディ、ホイールなど)などの洗浄に好適に用いることができる。
【0060】
このような使用方法は、第2の実施形態の洗浄具(101)にも適用することができ、洗浄具本体102の第1及び第2摘み部116,118に装着される第1の実施形態と同様の第1及び第2スポンジタワシを装着するようにしてもよい。即ち、第1使用形態では、洗浄具本体102の第1及び第2摘み部116,118をそれぞれ覆うように第1及び第2スポンジタワシ116,118を装着し、第2使用形態では、洗浄具本体102の第1及び第2摘み部116,118のそれらが一つになるようにスポンジタワシ120を装着するようにしてもよい。
【0061】
この洗浄具2(101)は、例えば、次の洗浄方法に好都合に用いることができる。洗剤としては手洗い用洗剤が最適である。一般的に、手洗い用洗剤は界面活性剤を主成分として含んでおり、汚れを乳化して落ちやすし、それ故に、短時間で汚れを落とすことができる。一方、界面活性剤が多いと仕上げ洗浄で泡切れが悪く、このことに起因して、省エネ、省資源を達成することが難しくなる。
【0062】
このようなことから、手洗い用洗剤を希釈して使用し、例えば1000倍程度に薄めて使用することが望ましく、このように希釈した洗剤に上述した洗浄具2(101)を浸し、食器などの被洗浄物をキッチンのシンクで希釈洗剤で磨いて洗浄し、容器に溜めた少量の水に短時間浸して界面活性剤の大部分を除去した後に外部でストックする。例えば、食器45点及び小物一式(家庭で使用する一日分の食器の量に相当する)は、容器に溜めた約4リットルの水で充分洗浄可能であり(洗浄具による洗浄工程)、これによって、後に遂行する噴射具による洗浄工程における洗浄を従来に比して約半分の時間や労力で行うことができ、消費エネルギーを約1/3にすることができる。
【0063】
この洗浄具による洗浄工程の一例を図20を参照して説明する。図20において、食事に使用した被洗浄物としての食器500(皿、茶碗、コップなど)をトレー352に収納し、このトレー352を移動式作業台305に載置して移動し、流し台400の適当な部位(この例では、図20においてシンク420の右側の部位)にトレー352配置する。そして、食器500の入ったトレー352に隣接して例えばボール600を配置し、このボール600内に希釈した洗剤(手洗い用洗剤)を入れる。
【0064】
この洗浄例では、トレー352を4〜6個を使用し、一つは図20においてシンク420の左側(食器500の入ったトレー352とはシンク42を挟んで反対側の部位)に配置し、このトレー352内に置き水(洗剤を除くための水)を約4リットル入れる。また、移動式作業台305については、図20に示すように、このトレー352の手前側に移動し、この移動式作業台305に残りのトレー352(2〜4個)を載置し、これらトレー352のうち一つは空であり、他のものは未洗浄の食器500が収容されている。
【0065】
洗浄具2(101)による洗浄工程では、トレー352から被洗浄物としての食器500を取り出し、洗浄具2(101)の第1及び第2スポンジタワシ6,8(スポンジタワシ120)をボール600内の希釈洗剤に浸し、取り出した食器500をシンク420の中で磨き、きれいに磨いた後の食器500をトレー352内に投入して水に浸す。この洗浄具による洗浄は、トレー352から食器500を一つずつ取り出して上述したように行い、トレー352の水にある程度の個数の食器500が溜まるまで行う。
【0066】
このようにして浸し用トレー352内に食器500が溜まると、洗浄具2(101)による洗浄を一時中断してトレー352内で水に浸した食器500を取り出して移動式作業台305上の空トレー352内に入れ、水に短時間浸した食器500を外部(トレー352)内にストックする。トレー352は、2〜4個を循環して用い、洗浄具2(101)による洗浄をトレー352内の全ての食器500に対して行い、このようにして洗浄具による洗浄工程が終了する。この洗浄具による洗浄工程では、図20に矢印で示すように、図20の右側のトレー352からボール600、シンク420及び左側のトレー352を経て左下側のトレー352に収容するようになるので、洗浄具2(101)を用いた洗浄作業が流れよく効率的に行うことができる。また、トレー352についても、食器500の洗浄により空になったものを洗浄後の収容用トレー352として用いるので、このような循環的使用によって、トレー352を効率的に用いることができる。
【0067】
次に、図21〜図23を参照して、洗浄具による洗浄工程の後に行われる噴射具による洗浄工程について説明する。図22は、洗浄具による洗浄工程に用いる洗浄乾燥装置を、流し台400に設けた一の実施例を示したものである。
【0068】
噴射具302は、流し台400の水栓410から吐出される温水又は水を噴射して食器500(被洗浄物)を洗浄するものであり、このような噴射具302としては、例えば、本出願人が提案した特許第4311581号公報に開示されたものを好都合に用いることができる。
【0069】
噴射具302は、図21に示すように、温水又は水を噴射する噴射ノズル部321及び作業者が握るグリップ部322を備えた噴射体320と、この噴射体320に揺動可能に設けられ、噴射ノズル部321を囲むカバー体323と、一端部が噴射体320に接続され、他端部が温水又は水の供給路たる水栓410に接続される可撓ホース325と、から構成されている。
【0070】
噴射具302は、噴射体320のグリップ部322に、温水噴射又は水噴射の開始、停止を操作するためのトリガー326を備えており、また、噴射ノズル部321を回転操作することで温水又は水の噴射状態を変更できるように構成されている。トリガー326は、必要なときのみ瞬時に噴射又は一時停止が操作できるので、例えば、次の食器500(被洗浄物)に移る間の噴射を停止して、カバー体323と洗浄台303とにより規定される空間(閉鎖空間)(図23参照)に噴射を開始すれば、飛散は生じないし、無駄な放流を防止出来る。
【0071】
また、カバー体323は、円板状の天板部531と、この天板部531に周設された略円筒形状の周壁部532とから構成されている。なお、カバー体323の形状は、種々の設計変更が可能であり、例えば半球形状に形成してもよい。天板部531の中央には、噴射ノズル部321の外径よりも内径が小さい円形の貫通孔530が開設されており、この貫通孔530と噴射体320との間に隙間(遊び)を有して挿入された状態になっている。このカバー体323は、噴射温水又は噴射水によりはね返った温水又は水の飛散を防止する。また、カバー体323を通して洗浄作業を視認するため、カバー体323は透明乃至半透明の合成樹脂材から形成されているのが好ましい。また、視認性のためには、後述のように食器500からはね返った温水又は水が天板部531及び周壁部532の曇りを取り除き易く又大皿や箸類が収納できるサイズとするのが好ましい。
【0072】
噴射体320と可撓ホース325は、ワンタッチで着脱可能なように、公知の迅速継手(ワンタッチ継手)328を介して接続されている。
【0073】
洗浄台303は、図23に示すように、食器500(例えば、皿、茶碗コップなど)を載置可能な平面視長方形状の平板状の載置部331と、載置部331の下面の四隅に設けられた脚部332とから構成されている。洗浄台303は、被洗浄物を支えるとともに、カバー体323との間に閉鎖空間を形成して食器500を覆うことで、はね返った温水又は水の飛散をより防止する。また、洗浄台303は、温水を用いた洗浄時に噴射温水の熱を蓄熱して被洗浄物の加熱に寄与する。また、この洗浄台303を流し台400のシンク420の底面421に置いたとき、脚部332により載置部331と底面421との間に隙間333が形成される。この隙間333を通して、洗浄時の食材の残物や汚れを含んだ排水を迅速にシンク420の排水口424へ流すことができ、排水による食器500の再汚染を防ぐことができる。洗浄台303としてキッチンまな板を使用することもできる。また、乾燥かご307は、3人家族用で一日分の食器の45点及び小物一式を収容できることを基準とする。
【0074】
移動式作業台305は、4〜6個のトレー352を有し、上述したように、使用した食器500の回収、希釈洗剤に浸した洗浄具2(1010)による磨き洗浄後の食器500の水浸し、更に水浸した後の食器500の収納に用いるとともに、後述するように、噴射具による洗浄工程において、食器500(被洗浄具)の供給、噴射洗浄後の食器500の収納及び乾燥に使用される。
【0075】
次に、図22及び図23を参照して、噴射具による洗浄工程について説明するが、その基本的洗浄内容は、特許第4311581号に開示されたものをベースにし、かかる特許の洗浄方法を一層改良して洗浄性能の向上を図ったものである。
【0076】
洗浄具による洗浄工程が終了した後、食器500を収容したトレー352が載置された移動式作業台305は、図22に示すように、乾燥かご307に隣接するように移動される。例えば、右手でもってトレー352から食器500(被洗浄物であって、洗浄具2(101)により洗浄されたもの)を取り出して洗浄台303に載置し、また左手でもって噴射具302を操作して温水又は水を噴射させて洗浄し、洗浄した食器500を乾燥かご307に収容する。この洗浄際に、両手をフルに使用して洗浄することによって効率よく洗浄することができ、図23示すように、洗浄台303に2個の食器500を載置し、一方の食器500にカバー体323を被せて噴射具302により噴射洗浄し、この洗浄柱に他方の食器500を準備することで連続的に洗浄することができ、このようにすることによって、食器500を効率よく洗浄することができる。
【0077】
この洗浄方法では、洗浄具2(101)に希釈洗剤を浸して食器500を早く磨き、その後水に短時間浸して界面活性剤の大部分を除去しているので、噴射具による洗浄工程では、噴射具から水を噴射することによって簡単に泡を切ることができ、水洗浄できれいに洗浄することができ、消費エネルギーを1/3程度に減少することができる。更に、洗浄回数を食器一つ当たり3回から2回(表裏)に減らして噴射時間を短くすることができ、従来3〜5秒要していた時間を2〜3秒に減らすことができ、その結果、約半分の時間でもって噴射洗浄することができ、従って労力も半分となり、洗浄に伴う総合的経費は、食器1日分で約25円程度となり、この経費を最小に抑えることができる。
【0078】
以上、本発明に従う洗浄具の各種形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【符号の説明】
【0079】
2,101 洗浄具
4,4A,4B,4C,102 洗浄具本体
6,6A,6B 第1スポンジタワシ
8,8A,8B 第2スポンジタワシ
10,10A,10C,110 第1柄部
12,12A,12C,112 第2柄部
14,14B,114 連結・接続部
16,116 第1摘み部
18,118 第2摘み部
42,42A,42B 第1タワシ本体
44,44A,44B 第2タワシ本体
46,124 マット材
48,126 発泡樹脂材
120 スポンジタワシ
122 タワシ本体
200,500 食器(被洗浄物)












【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結・接続部と、この連結・接続部から延びる第1及び第2柄部と、前記第1及び第2柄部の先端部に設けられた第1及び第2摘み部とを有するステンレス製の洗浄具本体と;前記洗浄具本体の前記第1及び第2摘み部に着脱自在に装着された第1及び第2スポンジタワシと;を備えており、
前記連結・接続部は、連結ピンを介して相互に旋回自在に連結された第1及び第2連結部を有し、前記第1柄部は前記第1連結部から延び、前記第2柄部は前記第2連結部から延び、前記第1連結部と前記第2連結部との間には板ばねが介在され、前記板ばねの弾性変形によって、前記第1及び第2柄部が相互に近接する方向に移動可能であり、
前記第1及び第2柄部は、前記連結・接続部の第1及び第2連結部からハ字状に拡がっているとともに、前記第1及び第2柄部の先端側は、内側に向けて所定角度で傾斜して延びており、
前記第1及び第2摘み部は、幅方向両側部が内側に向けて弧状で、幅方向中央部が外側に凸状に形成されているとともに、前記第1及び第2摘み部の先端部は内側に折曲されており、
また、前記第1及び第2スポンジタワシは、袋状の第1及び第2タワシ本体を備え、前記第1及び第2タワシ本体は、洗浄用タワシを縦方向に折り返して重ね合わせてその両側部を大型ホッチキスの針で綴じて袋状に形成されており、
前記第1スポンジタワシは、前記第1タワシ本体の開口部を通して前記洗浄具本体の前記第1摘み部を覆うように着脱自在に装着され、前記第2スポンジタワシは、前記第2タワシ本体の開口部を通して前記洗浄機本体の前記第2摘み部を覆うように着脱自在に装着されることを特徴とする洗浄具。
【請求項2】
前記洗浄タワシの片面に硬質マット材が配設され、その他面に軟質発泡樹脂材が配設され、前記硬質マット材が外側となるように縦方向に折り返してその両側部を前記大型ホッチキスの針で袋状に綴じることにより第1タワシが形成され、前記軟質発泡樹脂材が外側となるように縦方向に折り返してその両側部を前記大型ホッチキスの針で綴じることにより第2タワシが形成され、前記第1及び第2スポンジタワシの前記第1及び第2タワシ本体は、前記第1及び第2タワシのいずれかから構成されることを特徴とする請求項1に記載の洗浄具。
【請求項3】
前記第1スポンジタワシの前記第1タワシ本体は前記第1タワシから構成され、前記第2スポンジタワシの前記第2タワシ本体は前記第2タワシから構成されていることを特徴とする請求項2に記載の洗浄具。
【請求項4】
温水又は水が噴射される噴射ノズル部及び作業者が把持するグリップ部を備えた噴射体と、前記噴射ノズル部を囲むように前記噴射体に装着されたカバー体とを備え、前記カバー体には、前記噴射ノズル部の外形よりも内径が小さい円形状の貫通孔が設けられ、前記噴射体の前記噴射ノズル部は、前記カバー体の前記貫通孔に遊びを有するように挿入される噴射具と;請求項1〜3のいずれかに記載の洗浄具と;を用いて被洗浄物を洗浄する洗浄方法であって、
前記洗浄具に洗剤を浸して被洗浄物を洗剤でもって洗浄し、次いで水洗い容器に溜めた水に浸して水洗いし、この水洗いした被洗浄物を一時的に所定時間ストックする洗浄具による洗浄工程と、前記噴射具を流し台の水栓に接続し、前記流し台のシンク内に洗浄台を置き、被洗浄物を前記洗浄台上に載置し、前記カバー体を前記洗浄台上に載置し、前記カバー体と前記洗浄台とにより閉鎖空間を形成し、前記噴射具により温水又は水を被洗浄物に噴射しながら洗浄する噴射具による洗浄工程と、を含むことを特徴とする洗浄方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−78598(P2013−78598A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−266835(P2012−266835)
【出願日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【分割の表示】特願2010−211536(P2010−211536)の分割
【原出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(504457429)有限会社PC技術研究所 (5)
【Fターム(参考)】