説明

洗浄具

【課題】第1・第2洗浄部によって深さの異なる複数種類の容器の内周面全域及び外周面の口部側を良好に洗浄することができるようにしながらも、第2洗浄部を極力短くして洗浄時や保管時の取り扱いの容易化を図る。
【解決手段】柄Hの先端部に、容器1の内周面を洗浄する第1洗浄部3が設けられ、柄Hの中間部には、容器1の外周面を洗浄する第2洗浄部4が設けられ、第1洗浄部3に対する第2洗浄部4の取付け位置を柄長手方向に沿って調節可能な位置調節手段Aが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳瓶や水筒、コップ等の容器の内周面を洗浄する第1洗浄部と容器の外周面を洗浄する第2洗浄部とが柄に設けられている洗浄具に関する。
【背景技術】
【0002】
容器の内周面と外周面とを同時に洗浄する洗浄具としては、従来、特許文献1,2に示すように、前記柄を、把持部となるグリップ部とこれの先端部に固定された長さの異なる略y字状の一対の取付け部とから構成するとともに、前記柄の両取付け部には、容器の内周面を洗浄する第1洗浄部と容器の外周面を洗浄する第2洗浄部とを構成する一つのスポンジを折り曲げた状態で取付けたもの、或いは、特許文献3に示すように、前記柄となるグリップ部の先端部に、容器の内周面を洗浄する第1洗浄部を構成する長尺の洗浄ブラシと、容器の外周面を洗浄する第2洗浄部を構成する短尺の洗浄ブラシとを略y字状に取付けたものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭55−68960号公報
【特許文献2】実開昭62−130558号公報
【特許文献3】実用新案登録第3042918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の洗浄具に装備される第1洗浄部は容器の内周面を洗浄対象とし、前記第2洗浄部は主として容器の外周面における口部側を洗浄対象とするため、第2洗浄部を第1洗浄部よりも短く構成している。しかし、深さ等が異なる多種多様の容器が存在するため、洗浄可能な容器の対象範囲を広げるためには第2洗浄部の長さを容器深さに差分だけ長く構成する必要があり、その結果、洗浄具全体が嵩張るため、洗浄時の取り扱いが不便になるとともに、保管スペースも大きくなる不都合がある。
【0005】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、第1・第2洗浄部によって深さの異なる複数種類の容器の内外周面を良好に洗浄することができるようにしながらも、第2洗浄部を極力短くして洗浄時や保管時の取り扱いの容易化を図ることのできる洗浄具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による第1の特徴構成は、容器の内周面を洗浄する第1洗浄部と容器の外周面を洗浄する第2洗浄部とが柄に設けられている洗浄具であって、
前記第1洗浄部と第2洗浄部との少なくとも一方の取付け位置を柄長手方向に沿って調節可能な位置調節手段が設けられている点にある。
【0007】
上記構成によれば、前記位置調節手段によって第1洗浄部又は第2洗浄部若しくは第1・第2洗浄部の取付け位置を柄長手方向に沿って調節することにより、第1洗浄部と第2洗浄部との相対位置を変更することができるから、深さが異なる容器であっても、第1洗浄部で容器の洗浄対象内周面を確実に洗浄しながら第2洗浄部で容器外周面の洗浄対象部位を確実に洗浄することができる。
【0008】
従って、第1・第2洗浄部によって深さの異なる複数種類の容器の内外周面の洗浄対象部位を確実に洗浄することができるものでありながら、第2洗浄部を極力短くして洗浄時や保管時の取り扱いの容易化を図ることができる。
【0009】
本発明による第2の特徴構成は、柄の先端部に、容器の内周面を洗浄する第1洗浄部が設けられ、前記柄の中間部には、容器の外周面を洗浄する第2洗浄部が設けられている洗浄具であって、
前記第1洗浄部に対する第2洗浄部の取付け位置を柄長手方向に沿って調節可能な位置調節手段が設けられている点にある。
【0010】
上記構成によれば、前記位置調節手段によって第1洗浄部に対する第2洗浄部の取付け位置を柄長手方向に沿って調節することにより、第1洗浄部と第2洗浄部との相対位置を変更することができるから、深さが異なる容器であっても、第1洗浄部で容器の洗浄対象内周面を確実に洗浄しながら第2洗浄部で容器外周面の洗浄対象部位を確実に洗浄することができる。
【0011】
従って、第1・第2洗浄部によって深さの異なる複数種類の容器の内外周面の洗浄対象部位を確実に洗浄することができるものでありながら、第2洗浄部を極力短くして洗浄時や保管時の取り扱いの容易化を図ることができる。
【0012】
本発明による第3の特徴構成は、前記位置調節手段に、前記第2洗浄部を柄長手方向の複数位置で選択的に係合保持可能な係合部が設けられている点にある。
【0013】
上記構成によれば、容器の深さ、形状等に応じて第1洗浄部に対する第2洗浄部の取付け位置を柄長手方向に沿って複数段に調節することができるとともに、その各調整位置で第2洗浄部を係止保持することができるから、洗浄時における第2洗浄部の柄長手方向での位置ずれを抑制することができる。
【0014】
本発明による第4の特徴構成は、前記第2洗浄部を柄に対して回動操作自在に支持し、且つ、その回動方向の複数位置で選択的に係合保持可能な回動操作手段が設けられている点にある。
【0015】
上記構成によれば、容器の外周面における洗浄対象部位を容器軸芯方向(柄長手方向)に沿って洗浄する場合、柄の把持部は最も押し引き操作し易い姿勢に、且つ、容器は最も安定保持し易い姿勢に夫々維持しながらも、前記回動操作手段によって第2洗浄部を洗浄対象部位に確実、容易に位置させることができるとともに、洗浄時における第2洗浄部の回動手方向での位置ずれも抑制することができる。
【0016】
本発明による第5の特徴構成は、前記柄に対する第2洗浄部の向き姿勢を起伏操作によって変更する起伏操作手段が設けられている点にある。
【0017】
上記構成によれば、容器の外周面における口部から肩部までの距離が短く、且つ、肩部が傾斜又は湾曲している場合でも、前記起伏操作手段によって第2洗浄部を容器の傾斜又は湾曲肩部に沿って傾けることができるから、洗浄可能な容器の対象範囲を拡大することができる。
【0018】
本発明による第6の特徴構成は、前記柄に対して第2洗浄部を容器の口径方向となる径方向に位置変更自在に支持する径方向位置変更手段が設けられている点にある。
【0019】
上記構成によれば、容器の口径が異なる場合でも、前記径方向位置変更手段によって第2洗浄部を径方向に位置変更することにより、この第2洗浄部を容器の外周面の洗浄対称部位に確実に当て付けることができる。
【0020】
本発明による第7の特徴構成は、前記柄に対して第1洗浄部を脱着自在に連結する連結手段が設けられているとともに、前記柄には、取り外された第1洗浄部の基端部を柄長手方向に沿う姿勢で脱着自在に保持する保持部が設けられている点にある。
【0021】
上記構成によれば、非使用時には、前記柄から第1洗浄部を取り外すことができるとともに、この取り外された第1洗浄部の基端部を柄に設けられた保持部に柄長手方向に沿う姿勢で保持させることにより、洗浄具全体をコンパクトな状態で簡便に格納することができる。
【0022】
本発明による第8の特徴構成は、前記柄における第2洗浄部の位置調整領域と把持部との間に位置する部位が、径方向外方側に向かって互いに逆向きに二度屈曲形成され、前記把持部が、径方向外方に偏心した位置において第2洗浄部の位置調節軸芯と略平行な軸芯又は位置調節軸芯に対して傾斜する軸芯周りで回転自在に構成されているとともに、前記柄における把持部よりも先端側の部位には、前記把持部を把持した側の手指で掛止可能な指掛け部が設けられている点にある。
【0023】
上記構成によれば、前記第1洗浄部及び第2洗浄部を回転させて容器の内外周面を洗浄する際、前記柄の把持部を、第2洗浄部の位置調節軸芯に対して径方向外方に偏芯し、かつ、位置調節軸芯と略平行な軸芯又は位置調節軸芯に対して傾斜する軸芯周りで回転操作するから、小さな操作力でスムーズに回転操作することができる。それでいて、前記第1洗浄部及び第2洗浄部を容器軸芯方向(柄長手方向)に押し引き操作する場合には、前記柄における把持部よりも先端側の部位に設けられた指掛け部を、前記把持部を把持した側の手指で掛止することにより、把持部との相対回転を阻止した一体化状態で取り扱うことができ、洗浄具の押し引き操作を容易に行うことができる。
【0024】
本発明による第9の構成は、前記第2洗浄部が、前記保持部に保持された第1洗浄部の洗浄部分を受止め可能な受け部に構成されている点にある。
【0025】
上記構成によれば、取り外された第1洗浄部の基端部を柄に設けられた保持部に柄長手方向に沿う姿勢で保持する際、柄に対して径方向外方に張り出し状態にある第2洗浄部を利用して、前記第1洗浄部の洗浄部分を安定良く受止めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の洗浄具の第1実施形態を示す使用時の斜視図である。
【図2】第1実施形態での使用状態を示す洗浄具全体の側面図である。
【図3】第1実施形態での格納状態を示す洗浄具全体の側面図である。
【図4】第1実施形態での使用状態(a)と格納状態(b)における洗浄具の要部の縦断面図である。
【図5】図4(a)におけるV−V線拡大断面図である。
【図6】図4(b)におけるVI−VI線拡大断面図である。
【図7】第1実施形態での洗浄具を押し引き操作するときの洗浄具全体の斜視図である。
【図8】第1実施形態での第2洗浄ブラシの取付け位置調節操作を示す洗浄具全体の斜視図である。
【図9】本発明の洗浄具の第2実施形態を示す洗浄具の全体の側面図である。
【図10】本発明の洗浄具の第3実施形態を示す洗浄具の全体の側面図である。
【図11】第3実施形態での洗浄具の要部の縦断面図である。
【図12】第3実施形態での洗浄具の要部の拡大縦断面図である。
【図13】第3実施形態での洗浄具の要部の拡大横断面図である。
【図14】本発明の洗浄具の第4実施形態を示す洗浄具の要部の縦断面図である。
【図15】本発明の洗浄具の第5実施形態を示す洗浄具の要部の拡大縦断面である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔第1実施形態〕
図1〜図8は、哺乳瓶や水筒等の容器1の内周面と外周面における口部1A側とを同時に洗浄可能な洗浄具を示し、基端側に把持部となるグリップ2を備えた柄Hの先端部に、容器1の内周面を洗浄可能な第1洗浄部の一例である長尺な第1洗浄ブラシ3が設けられ、前記柄Hの中間部には、容器1の外周面における洗浄対象部位となる口部1A側を洗浄可能な第2洗浄部の一例である短尺な第2洗浄ブラシ4が設けられているとともに、前記第1洗浄ブラシ3に対する第2洗浄ブラシ4の取付け位置を柄長手方向に沿って調節可能な位置調節手段Aが設けられている。
【0028】
前記柄Hは、第1洗浄ブラシ3及び第2洗浄ブラシ4を装備する合成樹脂製の柄本体5と、この柄本体5の基端部に回転自在に装着される合成樹脂製のグリップ2とから構成され、前記柄本体5の基端部には、グリップ2の連結孔2aに対して無理嵌め状態で回転のみ自在に挿嵌される嵌合連結突起5Cが一体形成されているとともに、前記柄本体5における第2洗浄ブラシ4の位置調整領域Wと嵌合連結突起5Cとの間に位置する部位が、容器1の口径方向となる径方向の外方側に向かって互いに逆向きに二度屈曲形成され、前記グリップ2が、径方向外方に偏心した位置において第2洗浄ブラシ4の位置調節軸芯(位置調整領域Wにおける柄長手方向軸芯)Xに対して基端側ほど近づく傾斜軸芯Y周り姿勢で回転自在に構成されている。
【0029】
前記柄本体5における第1屈曲部5aよりも先端側に位置する横断面が円形の軸状柄部5Aの先端部と第1洗浄ブラシ3の基端部との間には、柄本体5に対して第1洗浄ブラシ3を脱着自在に連結する連結手段Bが設けられ、前記柄本体5の基端部には、取り外された第1洗浄ブラシ3の基端部を柄長手方向に沿う姿勢で脱着自在に保持する保持部6が設けられているとともに、前記柄本体5の第1屈曲部5aと第2屈曲部5bとの間に位置する傾斜柄部5Bには、前記グリップ2を把持した側の手指で掛止可能な指掛け部7が設けられている。
【0030】
前記第1洗浄ブラシ3は、多数のブラシ毛3aを挾持固定してある捻り線材3Aの基端部に、前記軸状柄部5Aの先端部に形成された連結穴9に対して脱着自在に嵌合する合成樹脂製の連結軸部3Bを固着して構成されている。
【0031】
前記第2洗浄ブラシ4は、前記柄本体5の軸状柄部5Aの先端側から位置調節軸芯X方向に沿って摺動操作自在に外嵌される筒状の摺動保持部4Aに、前記軸状柄部5Aの軸芯である位置調節軸芯Xと平行に位置する植毛面4bに多数のブラシ毛4aを植毛してある略への字状の脚部4Bを一体形成して構成されている。
【0032】
前記位置調節手段Aを構成するに、前記柄本体5の軸状柄部5Aの外周面における左右の両側面、つまり、位置調節軸芯Xに対して水平の直交方向で対応する両側面の各々に、第2洗浄ブラシ4の位置調整領域Wに相当する長さで位置調節軸芯X方向に沿って横断面が略半弧状の摺動ガイド溝10が窪み形成され、前記各摺動ガイド溝10には、第2洗浄ブラシ4の摺動保持部4Aの内周面に形成された半球状又は三角錐状若しくはそれらに近い形状の係合突起11が径方向外方側から係合する半球状又は三角錐状若しくはそれらに近い形状の係合凹部12が、位置調節軸芯X方向に沿って一定ピッチで窪み形成されている。
【0033】
さらに、前記第2洗浄ブラシ4の摺動保持部4Aには、位置調節軸芯X方向での摺動操作に連れて少なくとも前記係合突起11が係合凹部12から離脱移動可能な径方向外方位置にまでの弾性復元力に抗した拡径変形を許すべく、その周方向の一箇所で切断分離するスリット状の切込み13が形成され、この切込み13と係合突起11及び係合凹部12とをもって、前記第2洗浄ブラシ4を柄長手方向の複数位置で選択的に係合保持可能な係合部8が構成されている。
【0034】
そして、前記第2洗浄ブラシ4の摺動保持部4Aを柄本体5の軸状柄部5Aに沿って摺動操作して、第1洗浄ブラシ3の洗浄作用部であるブラシ毛3a群と第2洗浄ブラシ4の洗浄作用部であるブラシ毛4a群との柄長手方向での相対取付け位置を調節することにより、深さが異なる容器1であっても、第1洗浄ブラシ3のブラシ毛3a群で容器1の洗浄対象内周面を確実に洗浄しながら、第2洗浄ブラシ4のブラシ毛4a群で容器1の外周面における口部側の洗浄対象部位を確実に洗浄することができる。
【0035】
それ故に、第1・第2洗浄ブラシ3,4によって深さの異なる複数種類の容器1の内周面の洗浄対象部位及び外周面の口部1A側における洗浄対象部位を確実、良好に洗浄することができるものでありながら、第2洗浄ブラシ4を極力短くして洗浄時や保管時の取り扱いの容易化を図ることができる。
【0036】
しかも、前記柄本体5の軸状柄部5Aに形成された摺動ガイド溝10の係合凹部12に対して第2洗浄ブラシ4の摺動保持部4Aに形成された係合突起11が選択的に係合することにより、洗浄対象の容器1の深さ、形状等に応じて第1洗浄ブラシ3に対する第2洗浄ブラシ4の取付け位置を柄長手方向に沿って複数段に調節することができるとともに、その各調整位置で第2洗浄ブラシ4を係止保持することができるから、洗浄時における第2洗浄ブラシ4の柄長手方向での位置ずれを抑制することができる。
【0037】
前記連結手段Bを構成するに、前記柄本体5の軸状柄部5Aにおける連結穴9の形成領域内の特定部位には、前記連結穴9に対して径方向から連通する係合孔15が貫通形成されているとともに、前記第1洗浄ブラシ3の連結軸部3Bには、当該連結軸部3Bが柄本体5の連結穴9に所定装着状態に嵌合されたとき、前記係合孔15に対して径方向内方から係合する半球状の係合突起16が形成されている。
【0038】
さらに、前記第1洗浄ブラシ3の連結軸部3Bには、前記係合孔15に係合状態にある係合突起16を径方向外方から係合解除位置に押し込み操作するべく、当該係合突起16の弾性復元力に抗しての径方向内方への弾性変位操作を許容するための中空部17が切欠き形成されている。
【0039】
前記保持部6には、第1洗浄ブラシ3の基端部である連結軸部3Bの先端側部位の外径と同径の内周面を有するCの字状で、かつ、前記連結軸部3Bを脱着自在に挾持保持する挾持凹部6aが形成され、この挾持凹部6aの内面には、前記連結軸部3Bの挾持相当部位に形成された環状溝3bに径方向から嵌合して、保持部6に対する連結軸部3Bの柄長手方向での移動を阻止する位置決め突起6bが形成されている。
【0040】
そして、非使用時には、前記柄本体5の軸状柄部5Aの先端部から取り外された第1洗浄ブラシ3の連結軸部3Bを、柄本体5の基部に位置する保持部6の挾持凹部6aに柄長手方向に沿う姿勢で挾持装着することにより、洗浄具全体をコンパクトな状態で簡便に格納することができる。
【0041】
しかも、この格納状態では、前記挾持凹部6aの内面側の位置決め突起6bが前記連結軸部3Bの挾持相当部位に形成された環状溝3bに径方向から嵌合しているため、保持された第1洗浄ブラシ3が柄長手方向にずれ動くことがない。
【0042】
前記保持部6の挾持凹部6aに第1洗浄ブラシ3の連結軸部3Bを挾持装着した状態では、該第1洗浄ブラシ3のブラシ毛3a群が柄長手方向に姿勢して前記第2洗浄ブラシ4の脚部4B及び指掛け部7に接触し、第1洗浄ブラシ3の姿勢が保持部6と第2洗浄ブラシ4の脚部4B及び指掛け部7との三点で支持される。
【0043】
つまり、前記第2洗浄ブラシ4の脚部4Bと指掛け部7は、前記保持部6に保持された第1洗浄ブラシ3の洗浄部分であるブラシ毛3a群を補助的に受止め可能な受け部に兼用構成されている。
【0044】
前記指掛け部7の指掛け面7aは、前記柄本体5の軸状柄部5Aと傾斜柄部5Bとの境界位置に連続する状態で半円弧状に形成されているとともに、前記保持部6が、前記グリップ2を把持した側の手指で指掛け部7の指掛け面7aを掛止したとき、親指と人差指との付け根相当箇所に当接可能な当り部に兼用構成されている。
【0045】
そして、前記第1洗浄ブラシ3及び第2洗浄ブラシ4を回転させて容器1の内外周面を洗浄する際、前記柄Hのグリップ2が第2洗浄部の位置調節軸芯Xに対して径方向外方に偏芯し、かつ、位置調節軸芯Xに対して緩い傾きの傾斜軸芯Y周りで回転操作自在であるから、小さな操作力でスムーズに回転操作することができる。それでいて、前記第1洗浄ブラシ3及び第2洗浄ブラシ4を容器1の軸芯方向(柄長手方向)に押し引き操作する場合には、前記グリップ2を把持した側の手指を柄本体5の基端部側に位置する指掛け部7に掛止することにより、柄本体5とグリップ2との相対回転を阻止した一体化状態で取り扱うことができ、洗浄具の押し引き操作を容易に行うことができる。
【0046】
〔第2実施形態〕
図9は、洗浄具の第1・第2洗浄部3,4の別実施形態を示し、前記第1洗浄部3は、
前記柄本体5の軸状柄部5Aの先端部に形成された連結穴9(第4図参照)に対して脱着自在に嵌合する連結軸部3Bにスポンジたわし3Cを固着して構成されている。
【0047】
前記第2洗浄部の一例である第2洗浄ブラシ4は、前記柄本体5の軸状柄部5Aに沿って摺動操作自在に外嵌される筒状の摺動保持部4Aに、略への字状の脚部4Bを一体形成するとともに、この脚部4Bの先端部に、多数のブラシ毛3a群を円柱形状に挾持固定してある捻り線材4Dの基端部を固着して構成されている。
【0048】
前記第2洗浄ブラシ4の捻り線材4Dの撓み変形により、前記第2洗浄ブラシ4を柄本体5の軸状柄部5Aに対する第2洗浄ブラシ4の向き姿勢を起伏変更する起伏操作手段Dを構成してもよい。
【0049】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
上述の第2実施形態の変形として、前記第2洗浄ブラシ4の捻り線材4Dの基端部を、前記脚部4Bの先端部に対して回転自在に取付けてもよい。
また、前記第2洗浄ブラシ4の捻り線材4Dの基端部を、前記脚部4Bの先端部に対して回転方向の複数位置で選択的に固定可能に構成してもよい。
さらに、前記第2洗浄ブラシ4の脚部4Bの先端部に対して捻り線材4Dの基端部を差し替え操作することにより、前記脚部4Bの先端部に対して回転方向の複数位置で選択的に固定可能に構成してもよい。
【0050】
〔第3実施形態〕
図10〜図13は、上述の第1実施形態で説明した洗浄具において、前記位置調節手段Aに、前記第2洗浄ブラシ4を柄本体5の軸状柄部5Aに対して回動操作自在に支持し、且つ、その回動方向の複数位置で選択的に係合保持可能な回動操作手段Cが設けられ、さらに、前記第2洗浄ブラシ4を柄本体5の軸状柄部5Aに対する第2洗浄ブラシ4の向き姿勢を起伏操作によって変更する起伏操作手段Dが付加された第3実施形態を示す。
【0051】
前記回動操作手段Cを構成するに、前記柄本体5の軸状柄部5Aにおける外周面の周方向複数箇所で、且つ、後述の係合突起21の形成数(当該第3実施形態では3箇所)よりも+1以上の複数箇所(当該第3実施形態では8箇所)又は係合突起21の形成数の整数倍となる複数箇所に、第2洗浄ブラシ4の位置調整領域Wに相当する長さで位置調節軸芯X方向に沿って横断面が略半弧状の摺動ガイド溝20が窪み形成され、前記第2洗浄ブラシ4の摺動保持部4Aの内周面には、前記摺動ガイド溝20に選択的に係合可能な三つの半円柱状の係合突起21が一体形成されているとともに、前記第2洗浄ブラシ4の摺動保持部4Aには、位置調節軸芯X周りでの回動操作に連れて少なくとも前記係合突起21が摺動ガイド溝20を乗り越え移動可能な径方向外方位置にまでの弾性復元力に抗した拡径変形を許容すべく、その周方向の一箇所で切断分離するスリット状の切込み22が形成されている。
【0052】
そして、容器1の外周面における口部1A側の特定洗浄対象部位を容器軸芯方向(柄長手方向)に沿って洗浄する場合、柄Hのグリップ2は最も押し引き操作し易い姿勢に、且つ、容器1は最も安定保持し易い姿勢に夫々維持しながらも、前記回動操作手段Cによって第2洗浄ブラシ4を特定洗浄対象部位に確実、容易に当て付けることができるとともに、洗浄時における第2洗浄ブラシ4の回動方向での位置ずれも抑制することができる。
【0053】
前記位置調節手段Aを構成するに、前記各摺動ガイド溝20に、第2洗浄ブラシ4の係合突起21に形成した第2係合突起23が径方向外方側から係合する係合凹部24が、位置調節軸芯X方向に沿って一定ピッチで窪み形成されている。
【0054】
前記起伏操作手段Dを構成するに、前記第2洗浄ブラシ4の脚部4Bの屈曲部分の複数箇所に、その屈曲部分を起点とする柄本体5の軸状柄部5Aから離間する径方向外方側への弾性変形を許容する切込み26が形成されている。
【0055】
そして、容器1の外周面における口部1Aから肩部1B(図1参照)までの距離が短く、且つ、肩部1Bが傾斜又は湾曲している場合でも、前記起伏操作手段Dの切込み26によって第2洗浄ブラシ4の脚部4Bを容器1の肩部1Bにおける傾斜肩部又は湾曲肩部に沿って傾けることができるから、洗浄可能な容器1の対象範囲を拡大することができる。
【0056】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
また、前記第3実施形態における起伏操作手段Dの変形として、前記第2洗浄ブラシ4の脚部4Bを、前記柄本体5の軸状柄部5Aに沿って摺動可能な摺動保持部4Aに対して柄長手方向に直交する横軸芯周りで揺動自在に枢着するとともに、その枢着部に、前記摺動保持部4Aに対して脚部4Bを揺動範囲の複数位置で選択的に係止する係止機構を設けて構成してもよい。
【0057】
〔第4実施形態〕
図14は、上述の第1実施形態で説明した洗浄具において、前記柄本体5(第1洗浄ブラシ3)に対する第2洗浄ブラシ4の取付け位置を柄長手方向に沿って調節可能な前記位置調節手段Aを第1位置調節手段とすると、前記柄本体5(第2洗浄ブラシ4)に対する第1洗浄ブラシ3の取付け位置を柄長手方向に沿って調節可能な第2位置調節手段Aが付加された第4実施形態を示す。
【0058】
前記第2位置調節手段Aを構成するに、前記連結手段Bを構成する係合孔15を、柄本体5の軸状柄部5Aにおける連結穴9の形成領域内の柄長手方向複数箇所に形成し、この複数の係合孔15に対して前記第1洗浄ブラシ3の連結軸部3Bに設けた係合突起16を選択的に係合させることにより、第1洗浄ブラシ3の洗浄作用部であるブラシ毛3a群と第2洗浄ブラシ4の洗浄作用部であるブラシ毛4a群との柄長手方向での相対取付け位置を調節するように構成されている。
【0059】
前記柄本体5の複数の係合孔15と第1洗浄ブラシ3の係合突起16及び第1洗浄ブラシ3の連結軸部3Bに形成した中空部17とをもって、前記第1洗浄ブラシ3を柄長手方向の複数位置で選択的に係合保持可能な係合部14が構成されている。
【0060】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
また、この第4実施形態では、前記柄本体5(第1洗浄ブラシ3)に対する第2洗浄ブラシ4の取付け位置を柄長手方向に沿って調節可能な第1位置調節手段Aと、前記柄本体5(第2洗浄ブラシ4)に対する第1洗浄ブラシ3の取付け位置を柄長手方向に沿って調節可能な第2位置調節手段Aとを設けたが、前記第2位置調節手段Aのみを設けて実施してもよい。
【0061】
〔第5実施形態〕
図15は、上述の第1実施形態で説明した洗浄具において、前記第2洗浄ブラシ4を柄Hに対して容器1の口径方向となる径方向に位置変更自在に支持する径方向位置変更手段Eが付加された第5実施形態を示す。
【0062】
前記径方向位置変更手段Eを構成するに、前記第2洗浄ブラシ4の脚部4Bを、柄本体5の軸状柄部5Aに外嵌される摺動保持部4A側に一体形成される筒状脚体4Eと、該筒状脚体4Eに対して径方向から伸縮自在に嵌合されるブラシ毛4a側の可動脚体4Fとに分割構成し、前記筒状脚体4Eの径方向複数箇所には、前記可動脚体4Fに突出形成された係合突起31が選択的に係合可能な係合孔32を形成するとともに、前記可動脚体4Fには、前記係合孔32に係合状態にある係合突起31を径方向外方から係合解除位置に押し込み操作するべく、当該係合突起31の弾性復元力に抗しての径方向内方への弾性変位操作を許容するための中空部33が切欠き形成されている。
【0063】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
また、この第5実施形態では、前記筒状脚体4Eに対して可動脚体4Fを径方向の複数位置で選択的に係合保持するように構成したが、この可動脚体4Fを径方向の任意の位置で固定保持できるように構成してもよい。
【0064】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の各実施形態では、前記第1・第2洗浄部3,4として、ブラシ毛3a,4aを備えた第1・第2洗浄ブラシやスポンジたわしから構成したが、不織布等の他の洗浄体から構成してもよい。
【0065】
(2)上述の各実施形態では、前記第2洗浄部4である第2洗浄ブラシを、容器1の外周面における口部1A側を洗浄可能な比較的短尺な長さに構成したが、容器1の外周面における口部1Aから肩部1Bにかけての領域又は肩部から胴部の一部にかけての領域を同時に洗浄可能な長さに構成してもよい。
【0066】
(3)上述の実施形態では、前記第1洗浄部3である第1洗浄ブラシ又は前記第2洗浄部4である第2洗浄ブラシ若しくは第1・第2洗浄ブラシ3,4を柄長手方向の複数位置で選択的に係合保持可能に構成したが、前記第1洗浄ブラシ3又は第2洗浄ブラシ4若しくは第1・第2洗浄ブラシ3,4を柄長手方向の任意の位置で固定保持できるように構成してもよい。
【0067】
(4)上述の各実施形態では、前記グリップ2を、径方向外方に偏心した位置において第2洗浄ブラシ4の位置調節軸芯(位置調整領域Wにおける柄長手方向軸芯)Xに対して基端側ほど近づく傾斜軸芯Y周り姿勢で回転操作自在に構成したが、このグリップ2を、径方向外方に偏心した位置において第2洗浄ブラシ4の位置調節軸芯Xと平行又は略平行な軸芯周りで回転操作自在に構成してもよい。
【符号の説明】
【0068】
A 位置調節手段
B 連結手段
C 回動操作手段
D 起伏操作手段
E 径方向位置変更手段
H 柄
W 位置調整領域
X 位置調節軸芯
Y 傾斜軸芯
1 容器
2 把持部(グリップ)
3 第1洗浄部(第1洗浄ブラシ)
3B 基端部(連結軸部)
4 第2洗浄部(第2洗浄ブラシ)
6 保持部
7 指掛け部
8 係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の内周面を洗浄する第1洗浄部と容器の外周面を洗浄する第2洗浄部とが柄に設けられている洗浄具であって、
前記第1洗浄部と第2洗浄部との少なくとも一方の取付け位置を柄長手方向に沿って調節可能な位置調節手段が設けられている洗浄具。
【請求項2】
柄の先端部に、容器の内周面を洗浄する第1洗浄部が設けられ、前記柄の中間部には、容器の外周面を洗浄する第2洗浄部が設けられている洗浄具であって、
前記第1洗浄部に対する前記第2洗浄部の取付け位置を柄長手方向に沿って調節可能な位置調節手段が設けられている洗浄具。
【請求項3】
前記位置調節手段には、前記第2洗浄部を柄長手方向の複数位置で選択的に係合保持可能な係合部が設けられている請求項2記載の洗浄具。
【請求項4】
前記第2洗浄部を柄に対して回動操作自在に支持し、且つ、その回動方向の複数位置で選択的に係合保持可能な回動操作手段が設けられている請求項1〜3のいずれか1項に洗浄具。
【請求項5】
前記柄に対する第2洗浄部の向き姿勢を起伏操作によって変更する起伏操作手段が設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載の洗浄具。
【請求項6】
前記柄に対して第2洗浄部を容器の口径方向となる径方向に位置変更自在に支持する径方向位置変更手段が設けられている請求項1〜5のいずれか1項に記載の洗浄具。
【請求項7】
前記柄に対して第1洗浄部を脱着自在に連結する連結手段が設けられているとともに、前記柄には、取り外された第1洗浄部の基端部を柄長手方向に沿う姿勢で脱着自在に保持する保持部が設けられている請求項1〜6のいずれか1項に記載の洗浄具。
【請求項8】
前記柄における第2洗浄部の位置調整領域と把持部との間に位置する部位が、径方向外方側に向かって互いに逆向きに二度屈曲形成され、前記把持部が、径方向外方に偏心した位置において第2洗浄部の位置調節軸芯と略平行な軸芯又は位置調節軸芯に対して傾斜する軸芯周りで回転自在に構成されているとともに、前記柄における把持部よりも先端側の部位には、前記把持部を把持した側の手指で掛止可能な指掛け部が設けられている請求項2又は3記載の洗浄具。
【請求項9】
前記第2洗浄部が、前記保持部に保持された第1洗浄部の洗浄部分を受止め可能な受け部に構成されている請求項7記載の洗浄具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−178844(P2010−178844A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23941(P2009−23941)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(000100850)アイセン工業株式会社 (33)
【Fターム(参考)】