説明

洗浄剤組成物

【課題】色・柄物衣料と白物衣料とを一緒に洗濯した場合でも、移染防止効果、褪色防止効果の高い洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(a)α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩、(b)粘土鉱物、及び(c)還元剤を、それぞれ特定比率で含有する洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄剤組成物に関する。好ましくは衣料用洗浄剤組成物、特に色・柄物衣料用洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
衣料等の洗浄は、水道水中に殺菌用に配合されている塩素化合物等によって染料等の着色成分の一部が分解漂白されたり、着色成分が洗濯液中に溶出して衣料等から脱落して生ずる「褪色」や、色落ちした着色成分が他の衣料、特に白物衣料に付着する「移染」等の被洗浄物の変色を招くことがある。
【0003】
従来、褪色防止に関しては、アミン類による水道水中の塩素化合物捕捉技術が報告されている(特許文献1等)。移染防止に関しては、洗濯液中に溶出した着色成分と錯体を形成し得る移染防止剤を配合する技術が報告されている。移染防止剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)や、ポリ(ビニルピリジンベタイン)(特許文献2等)、ポリアミンN−オキシド重合体(特許文献3等)等が開示されている。
【特許文献1】特開平10−72772号公報
【特許文献2】特表2001−517730号公報
【特許文献3】特開2000−345192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の知見では、色・柄物衣料と白物衣料とを混在させて洗浄する場合の問題解決には十分とは言えず、色・柄物衣料と白物衣料とを仕分けして、別個に洗浄することが求められていた。
【0005】
本発明の課題は、色・柄物衣料と白物衣料とを一緒に洗濯した場合でも、移染防止効果、褪色防止効果の高い洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(a)α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩〔以下、(a)成分という〕3〜30質量%、(b)粘土鉱物〔以下、(b)成分という〕8〜30質量%、及び(c)還元剤〔以下、(c)成分という〕0.1〜2質量%を含有し、(a)成分/(b)成分の質量比が1/6〜4/3、(b)成分/(c)成分の質量比が100/1〜6/1、(a)成分/(c)成分の質量比が100/1〜2/1である洗浄剤組成物に関する。
【0007】
また、本発明は、(a)α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩3〜30質量%、(b)粘土鉱物8〜30質量%、及び(c)還元剤0.1〜2質量%を含有し、(a)成分/(b)成分の質量比が1/6〜4/3、(b)成分/(c)成分の質量比が100/1〜6/1、(a)成分/(c)成分の質量比が100/1〜2/1である色・柄物衣料用洗浄剤組成物に関する。
【0008】
また、本発明は、(a)α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩3〜30質量%、(b)粘土鉱物8〜30質量%、及び(c)還元剤0.1〜2質量%を含有し、(a)成分/(b)成分の質量比が1/6〜4/3、(b)成分/(c)成分の質量比が100/1〜6/1、(a)成分/(c)成分の質量比が100/1〜2/1である衣料用洗浄剤組成物を、衣料1kg当たり5〜10g使用する洗濯方法に関する。
【0009】
また、本発明は、(a)α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩3〜30質量%、(b)粘土鉱物8〜30質量%、及び(c)還元剤0.1〜2質量%を含有し、(a)成分/(b)成分の質量比が1/6〜4/3、(b)成分/(c)成分の質量比が100/1〜6/1、(a)成分/(c)成分の質量比が100/1〜2/1である衣料用洗浄剤組成物を、色・柄物衣料と白物衣料とが混在する衣料の洗濯浴に用いる洗濯方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、色・柄物衣料と白物衣料とを一緒に洗濯した場合でも、移染防止効果、褪色防止効果の高い洗浄剤組成物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の洗浄剤組成物は、(a)α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩3〜30質量%、(b)粘土鉱物8〜30質量%、及び(c)還元剤0.1〜2質量%含有し、(a)成分/(b)成分の質量比が1/6〜4/3、(b)成分/(c)成分の質量比が100/1〜6/1、(a)成分/(c)成分の質量比が100/1〜2/1である。
【0012】
移染防止効果、褪色防止効果の観点から、(a)成分/(b)成分の質量比は1/5〜6/5が好ましく、1/4〜1/1がより好ましく、1/3〜5/6が更に好ましい。
【0013】
移染防止効果、褪色防止効果の観点から、(b)成分/(c)成分の質量比は80/1〜8/1が好ましく、70/1〜10/1がより好ましく、60/1〜12/1が更に好ましい。
【0014】
移染防止効果、褪色防止効果の観点から、(a)成分/(c)成分の質量比は70/1〜4/1が好ましく、50/1〜5/1がより好ましく、30/1〜6/1が更に好ましい。
【0015】
洗浄性能、溶解性の観点から、本発明の洗浄剤組成物のJIS K 3362:1998記載の界面活性剤相当分は20〜50質量%が好ましく、25〜45質量%がより好ましく、30〜40質量%が更に好ましい。
【0016】
本発明の洗浄剤組成物は洗浄性能、損傷性の観点で、JIS K 3362:1998記載の20℃で測定する0.1質量%水溶液のpHが8〜12であることが好ましく、9〜11.5がより好ましく、9.5〜11が更に好ましく、10〜11が特に好ましい。pH調整剤によりこのような範囲になるように調整することが好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム等のアルカリ金属珪酸塩等を用いることができる。
【0017】
本発明の洗浄剤組成物は(b)成分の安定配合の観点から、粉末であることが好ましい。本発明の洗浄剤組成物が粉末である場合、溶解性の観点で、JIS K 3362:1998により規定された方法で測定する見掛け密度は1600g/L以下が好ましく、1300g/L以下がより好ましく、1000g/L以下が更に好ましい。また、利便性や廃棄物(例えば箱等)低減の観点で、見掛け密度は300g/L以上であることが好ましく、600g/L以上がより好ましく、700g/L以上が更に好ましい。溶解性の観点で、JIS Z 8801の標準篩を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる質量分率から求める粉末洗浄剤組成物の平均粒径は150〜1000μmが好ましく、より好ましくは150〜800μm、更に好ましくは180〜600μmである。また、利便性の点で、更に圧縮して錠剤形態にしても良いし、1回の使用量を水溶性或いは水不溶性の容器に収納することができる。
【0018】
移染防止効果、褪色防止効果の観点から、本発明の洗浄剤組成物は被洗浄物1kgに対して、3〜15g用いることが好ましく、5〜10gがより好ましく、6〜9gが更に好ましい。被洗浄物は、繊維製品、特に、衣料が好ましく、なかでも色柄物衣料と白物衣料が混在する衣料が好ましい。
【0019】
以下、本発明の洗浄剤組成物の各成分について説明する。
【0020】
<(a)成分>
本発明の洗浄剤組成物は(a)成分としてα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を3〜30質量%含有する。(a)成分の組成物中の含有量は、移染防止効果、褪色防止効果の観点から3.5〜20質量%が好ましく、4〜15質量%がより好ましく、5〜10質量%が更に好ましい。
【0021】
洗浄性能の観点から、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩としては、炭素数8〜20(好ましくは炭素数12〜18、より好ましくは炭素数14〜16)の飽和又は不飽和α−スルホ脂肪酸のメチル、エチルもしくはプロピルエステル塩が好ましく、特に炭素数12〜18(好ましくは炭素数14〜16)の飽和又は不飽和α−スルホ脂肪酸のメチルエステル塩が好ましい。
【0022】
移染防止効果、褪色防止効果の観点から、(a)成分は、(a1)α−スルホミリスチン酸アルキルエステル塩〔以下、(a1)成分という〕及び(a2)α−パルミチン酸アルキルエステル塩〔以下、(a2)成分という〕を含むことが好ましく、その場合、(a)成分中、(a1)α−スルホミリスチン酸アルキルエステル塩及び(a2)α−パルミチン酸アルキルエステル塩の合計量が80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましく、98質量%以上が特に好ましい。
【0023】
また、移染防止効果、褪色防止効果の観点から、(a1)成分/(a2)成分の質量比は1/9〜3/7が好ましく、12/88〜28/72がより好ましく、15/85〜25/75が更に好ましい。
【0024】
洗浄性能の観点から、(a)成分は、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の水溶性の塩であり、ナトリウム塩、カリウム塩が好ましい。
【0025】
移染防止効果、褪色防止効果の観点から、ナトリウム塩/カリウム塩の質量比は、100/0〜50/50が好ましく、95/5〜60/40がより好ましく、90/10〜70/30が更に好ましい。
【0026】
<(b)成分>
本発明の洗浄剤組成物は(b)成分として粘土鉱物を8〜30質量%含有する。(b)成分の組成物中の含有量は、移染防止効果、褪色防止効果の観点から9〜20質量%が好ましく、10〜18質量%がより好ましく、11〜16質量%が更に好ましい。
【0027】
(b)成分としては、タルク、パイロフィライト、スメクタイト(サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スティーブンサイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト等)、バーミキュライト、雲母(金雲母、黒雲母、チンワルド雲母、白雲母、パラゴナイト、セラドナイト、海緑石等)、緑泥石(クリノクロア、シャモサイト、ニマイト、ペナンタイト、スドーアイト、ドンバサイト等)、脆雲母(クリントナイト、マーガライト等)、スーライト、蛇紋石鉱物(アンチゴライト、リザーダイト、クリソタイル、アメサイト、クロンステダイト、バーチェリン、グリーナライト、ガーニエライト等)、カオリン鉱物(カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト等)等が挙げられる。移染防止効果、褪色防止効果の観点からスメクタイト型粘土鉱物が好ましく、中でも下記一般式(I)で表されるスメクタイト型粘土鉱物が好ましい。
[Si8(MgaAlb)O20(OH)4x-・Mex+ (I)
(式中、0<a≦6、0<b≦4、x=12−2a−3b、MeはNa、K、Li、Ca1/2、Mg1/2およびNH4の少なくとも1種である。但し、Na/Caのモル比が1.0以上である。)
【0028】
更に、式中、Na/Caのモル比は1.5以上が好ましく、2以上が更に好ましい。
【0029】
Na/Caのモル比が高い粘土鉱物を得る方法として、天然品であれば、産地を選択すればよいし、または、例えば粘土造粒物を製造する際に、Na塩等を添加して調整することも可能である。また、合成品であれば公知の方法にて任意に調整が可能である。
【0030】
Na/Caのモル比が高い粘土造粒物を製造する方法として、次の製法が有用である。水分を20%以上含む原料粘土鉱石に粉末の炭酸ナトリウム等のNa塩を添加した後に乾燥する工程を含む製法、または、パウダー状に粉砕した粘土鉱物を造粒機を用いて造粒する際に炭酸ナトリウム等のNa塩の粉末や水溶液を添加する工程を含む製法である。
【0031】
粘土造粒物中のNaとCaのモル比は、粘土造粒物を乳鉢で粉砕し、目開き125μmの篩を通過した試料0.1gをマイクロウェーブ湿式灰化装置(自動)で硫酸−過酸化水素分解したのち、メスフラスコにて50mLにメスアップして、ICP発光分析装置で測定してNaとCa量を定量して計算することができる。
【0032】
<(c)成分>
本発明の洗浄剤組成物は(c)成分として還元剤を0.1〜2質量%含有する。移染防止効果、褪色防止効果の観点から0.15〜1.5質量%が好ましく、0.18〜1.2質量%がより好ましく、0.2〜1質量%が更に好ましい。
【0033】
(c)成分としては、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、チオ硫酸塩、亜ジチオン酸塩、ピロ硫酸塩、亜硝酸塩、ホウ酸塩等が挙げられる。これらの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。移染防止効果、褪色防止効果の観点から亜硫酸塩が好ましく、亜硫酸ナトリウムがより好ましい。
【0034】
<(d)成分>
移染防止効果、褪色防止効果の観点から、本発明の洗浄剤組成物は(d)成分として非イオン界面活性剤を0.1〜10質量%含有することが好ましく、0.5〜9質量%がより好ましく、1〜8質量%が更に好ましい。
【0035】
(d)成分としては、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8〜20)エーテル、アルキルポリグリコシド、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8〜20)フェニルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸(炭素数8〜22)エステル、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸(炭素数8〜22)エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーが挙げられる。中でも、下記一般式(II)で示される非イオン界面活性剤が好ましい。
1−X−[(EO)n/(PO)m]−R2 (II)
(式中、R1は炭素数8〜20の疎水基、−X−は、−O−、−COO−、−CONH−を表わす。EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、n及びmは平均付加モル数を表わし、nは3〜20、好ましくは5〜15、mは0〜6、好ましくは0〜3である。なお、EO群とPO群の付加形態はブロックでもランダムでもよい。R2は水素原子又は炭化水素基、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルケニル基である。)
【0036】
式中、R1は炭素数12〜18が好ましく、疎水基は炭化水素基が好ましく、アルキル基又はアルケニル基が好ましく、−X−は、−O−が好ましく、mは0が好ましく、R2は水素原子が好ましい。
【0037】
<(e)成分>
移染防止効果、褪色防止効果の観点から、本発明の洗浄剤組成物は(e)成分として炭酸アルカリ金属塩を5〜40質量%含有することが好ましく、10〜38質量%がより好ましく、20〜36質量%が更に好ましい。
【0038】
(e)成分としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが挙げられる。中でも、炭酸ナトリウム塩及び炭酸カリウム塩の両方を含むことが好ましい。炭酸ナトリウム塩/炭酸カリウム塩の質量比は9/1〜2/3が好ましく、8/1〜1/1がより好ましく、7/1〜2/1が更に好ましく、6/1〜4/1が特に好ましい。(e)成分中、炭酸ナトリウム塩及び炭酸カリウム塩の合計量は90質量%以上、更に95質量%以上が好ましい。
【0039】
<その他成分>
本発明の洗浄剤組成物は、衣料用洗浄剤の分野で公知の他の界面活性剤、ビルダー、再汚染防止剤(カルボキシメチルセルロース等)、柔軟化剤、漂白剤、漂白活性化剤、蛍光増白剤、抑泡剤(シリコーン等)、酵素、着色剤、香料等を含有させることができる。
【0040】
他の界面活性剤としては、(a)成分以外の陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン界面活性剤の1種または2種以上を組み合わせて用いることが出来るが、好ましくは(d)成分に加えて(a)成分以外の陰イオン界面活性剤を組み合わせて用いることである。
【0041】
(a)成分以外の陰イオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩又は脂肪酸塩が好ましい。本発明では特に、アルキル鎖の炭素数が10〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、及び脂肪酸塩(炭素数8〜18)が好ましく、対イオンとしては、アルカリ金属塩やアミン類が好ましく、特にナトリウム及び/又はカリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンが好ましい。アルキルベンゼンスルホン酸塩を用いる場合、洗浄剤組成物中の含有量は5〜12質量%が好ましく、6〜10質量%がより好ましい。また、脂肪酸塩を用いる場合、洗浄剤組成物中の含有量は5〜15質量%が好ましく、7〜12質量%がより好ましい。
【0042】
(e)成分以外のビルダーとしては、洗剤・洗浄の事典、(株)朝倉書店、1990年11月25日初版第1刷、奥山春彦、皆川基編集、56頁〜74頁記載のビルダーが挙げられる。中でも無機系ビルダーとしては、ゼオライト、非晶質アルミノ珪酸塩、結晶性珪酸塩、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、珪酸塩、が好ましく、有機系ビルダーとしては、アミノカルボン酸塩、ヒドロキシアミノカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸塩、シクロカルボン酸塩、エーテルカルボン酸塩、有機カルボン酸(塩)ポリマー、が好ましい。特に無機系ビルダーとしては、ゼオライト、珪酸塩、が好ましく、有機系ビルダーとしては、有機カルボン酸(塩)ポリマー、が好ましい。
【0043】
洗浄剤粒子の流動性及び耐ケーキング性の観点から、表面改質を行っても良い。表面改質剤としては、例えば、アルミノケイ酸塩、ケイ酸カルシウム、二酸化ケイ素、粘土鉱物、非晶質シリカ誘導体、結晶性シリケート化合物等のシリケート化合物、金属石鹸等の微粉体が挙げられる。より好ましくはアルミノ珪酸塩、結晶性シリケートであり、更に好ましくはアルミノ珪酸塩である。表面改質剤の含量は保存安定性の点で、本発明の洗浄剤組成物中の20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。また、表面改質の点で、本発明の洗浄剤組成物中の1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましい。
【実施例】
【0044】
表1に示した粉末洗浄剤組成物を製造し、移染防止効果、褪色防止効果及び洗浄性能を以下の方法で評価した。なお、表1の組成物は、JIS K 3362:1998記載の20℃で測定する0.1質量%水溶液のpHは何れも10〜11であった。また、JIS K 3362:1998により規定された方法で測定する見掛け密度は何れも700〜1000g/Lであった。また、JIS Z 8801の標準篩を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる質量分率から求める粉末洗浄剤組成物の平均粒径は何れも180〜600μmであった。
【0045】
〔移染防止効果の評価方法〕
青色染料(C.I.ダイレクト・ブルー86)で染色された木綿布(#2003、10cm×10cm)1.5kgと、木綿布(#2003、10cm×10cm)1.5kgとを、洗濯機(松下電器産業(株)製、NA−F60E)に投入し、表1の洗浄剤組成物24gを使用して標準モードで洗濯した後陰干した。このとき使用した水道水の塩素濃度は、1ppmであった。移染による白色布の変色度合いの評価として、日本電色(株)製の色差計(SE200型)にて、洗浄前後について各々木綿布のE*値を測定し、洗浄前後における木綿布5枚の色調変化ΔE*値の平均を求めた。以下の基準で判定した。
ΔE*値が5未満:○
ΔE*値が5以上8未満:△
ΔE*値が8以上:×
【0046】
〔褪色防止効果の評価方法〕
青色染料(C.I.ダイレクト・ブルー86)で染色された木綿布(#2003、10cm×10cm)3kgを、洗濯機(松下電器産業(株)製、NA−F60E)に投入し、表1の洗浄剤組成物24gを使用して標準モードで洗濯した後陰干した。このとき使用した水道水の塩素濃度は、1ppmであった。この操作を30回繰り返し、新品と比較して以下の基準で判定した。
新品と同等の色合いであった:○
褪色がやや見られる:△
褪色が明らかに見られる:×
【0047】
〔洗浄性能の評価方法〕
JIS K3362:1998記載の襟あか布を調製し、これを用いて、JIS K 3362:1998記載の衣料用合成洗剤の洗浄力評価方法に準じ、表1の洗浄剤組成物と洗浄力判定用指標洗剤の洗浄力を比較した。表1の洗浄剤組成物の使用濃度は0.5g/Lとした。但し、使用水に用いた塩化カルシウム・二水和物は270mg/Lとした。以下の基準で判定した。
指標洗剤より洗浄力が勝る:○
指標洗剤と洗浄力が同等:△
指標洗剤より洗浄力が劣る:×
【0048】
【表1】

【0049】
表中の成分は以下のものである。なお、EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドの略である。
・α-SFE−Na1:α−スルホラウリン酸メチルエステルナトリウム
・α-SFE−Na2:α−スルホミリスチン酸メチルエステルナトリウム
・α-SFE−Na3:α−スルホパルミチン酸メチルエステルナトリウム
・α-SFE−Na4:α−スルホステアリン酸メチルエステルナトリウム
・α-SFE−K:α−スルホ脂肪酸メチルエステルカリウム(炭素数14の脂肪酸/炭素数16の脂肪酸=20/80、質量比)
・粘土鉱物1:ラウンドロジルDGA(ズッドケミー社製、一般式(I)の粘土鉱物、Na/Caモル比=2.5)
・粘土鉱物2:ラウンドロジルDG(ズッドケミー社製、一般式(I)においてNa/Caモル比=0.01のもの)
・非イオン界面活性剤1:炭素数12〜14の直鎖第1級アルコールに、EOを平均7モル付加した非イオン界面活性剤
・非イオン界面活性剤2:炭素数12〜14の第2級アルコールに、EOを平均7モル付加した非イオン界面活性剤(株式会社日本触媒、ソフタノール70H)
・非イオン界面活性剤3:炭素数12〜14の直鎖第1級アルコールに、EOを平均5モル、POを平均2モル、EOを平均3モルの順にブロック付加した非イオン界面活性剤
・LAS−Na:アルキル基の炭素数が10〜14のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
・石鹸:パーム核油脂肪酸ナトリウム
・PEG:ポリエチレングリコール(重量平均分子量13000)
・ポリアクリル酸ナトリウム:重量平均分子量10000
・蛍光染料:チノパールCBS−X(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・酵素:セルラーゼK(特開昭63−264699号公報記載)、リポラーゼ100T(ノボ社製)を3:1の質量比で混合したもの

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩3〜30質量%、(b)粘土鉱物8〜30質量%、及び(c)還元剤0.1〜2質量%を含有し、(a)成分/(b)成分の質量比が1/6〜4/3、(b)成分/(c)成分の質量比が100/1〜6/1、(a)成分/(c)成分の質量比が100/1〜2/1である洗浄剤組成物。
【請求項2】
更に、(d)非イオン界面活性剤0.1〜10質量%を含有する請求項1記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
更に、(e)炭酸アルカリ金属塩5〜40質量%を含有し、炭酸ナトリウム塩/炭酸カリウム塩の質量比が9/1〜2/3である請求項1又は2何れか記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
更に、洗浄剤組成物中における、JIS K 3362:1998記載の界面活性剤相当分が20〜50質量%である請求項1〜3何れか記載の洗浄剤組成物。
【請求項5】
(a)成分が、(a1)α−スルホミリスチン酸アルキルエステル塩及び(a2)α−パルミチン酸アルキルエステル塩を含み、(a1)/(a2)の質量比が1/9〜3/7であり、(a)成分中の(a1)成分と(a2)成分の合計量が80質量%以上である請求項1〜4何れか記載の洗浄剤組成物。
【請求項6】
(b)成分が、下記一般式(I)で表されるスメクタイト型粘土鉱物である請求項1〜5何れか記載の洗浄剤組成物。
[Si8(MgaAlb)O20(OH)4x-・Mex+ (I)
(式中、0<a≦6、0<b≦4、x=12−2a−3b、MeはNa、K、Li、Ca1/2、Mg1/2およびNH4の少なくとも1種である。但し、Na/Caのモル比が1.0以上である。)
【請求項7】
(c)成分が、亜硫酸塩である請求項1〜6何れか記載の洗浄剤組成物。
【請求項8】
(d)成分が、下記一般式(II)で示される非イオン界面活性剤である請求項2〜7何れか記載の洗浄剤組成物。
1−X−[(EO)n/(PO)m]−R2 (II)
(式中、R1は炭素数8〜20の疎水基、−X−は−O−、−COO−、−CONH−を表わす。EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、n及びmは平均付加モル数を表わし、nは3〜20、mは0〜6である。なお、EO群とPO群の付加形態はブロックでもランダムでもよい。R2は水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基である。)
【請求項9】
(a)α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩3〜30質量%、(b)粘土鉱物8〜30質量%、及び(c)還元剤0.1〜2質量%を含有し、(a)成分/(b)成分の質量比が1/6〜4/3、(b)成分/(c)成分の質量比が100/1〜6/1、(a)成分/(c)成分の質量比が100/1〜2/1である色・柄物衣料用洗浄剤組成物。
【請求項10】
(a)α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩3〜30質量%、(b)粘土鉱物8〜30質量%、及び(c)還元剤0.1〜2質量%を含有し、(a)成分/(b)成分の質量比が1/6〜4/3、(b)成分/(c)成分の質量比が100/1〜6/1、(a)成分/(c)成分の質量比が100/1〜2/1である衣料用洗浄剤組成物を、衣料1kg当たり5〜10g使用する洗濯方法。
【請求項11】
(a)α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩3〜30質量%、(b)粘土鉱物8〜30質量%、及び(c)還元剤0.1〜2質量%を含有し、(a)成分/(b)成分の質量比が1/6〜4/3、(b)成分/(c)成分の質量比が100/1〜6/1、(a)成分/(c)成分の質量比が100/1〜2/1である衣料用洗浄剤組成物を、色・柄物衣料と白物衣料とが混在する衣料の洗濯浴に用いる洗濯方法。

【公開番号】特開2008−44987(P2008−44987A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−219624(P2006−219624)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】