説明

洗浄剤組成物

【課題】グリセリルモノエーテル又はポリグリセリルモノエーテルを用いて、より洗浄力が高い洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(a)成分として特定のポリグリセリルモノエーテル、(b)成分として特定のジグリセリルモノエーテル、(c)成分としてデービス法により計算されるHLBが3〜6の非イオン界面活性剤を含有し、(a)成分/(b)成分の質量比が2以上、(a)成分/(c)成分の質量比が1〜20である洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄剤組成物に関する。特に衣料等の繊維製品用に好適に使用できる洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
より環境負荷の少ない商品を、より環境負荷の少ない方法で作ることが社会の持続的発展のために求められており、洗浄剤組成物もその例外ではない。自然環境・社会環境を含めて環境に調和し負荷の少ない産業活動、生活活動の達成は今後の最重要課題となっている。洗浄剤組成物に用いられる界面活性剤も環境負荷への配慮をし過ぎるということはない。従来界面活性剤は主に環境汚染を問題にすることが多かったが、環境負荷を考えた場合、製造から使用を経て廃棄に至るすべての影響を考慮することが大切である。界面活性剤の原料としては天然油脂系と石油系があり、天然油脂系は再生産可能な資源であり、石油系はいずれ枯渇する再生産不能の資源である。再生産可能な資源という観点から天然油脂系が注目される。
【0003】
また、環境負荷の観点から少量で高機能(高洗浄力)の商品が求められている。これは包装材料の低減、輸送負荷の低減という点でも環境負荷低減につながる。
【0004】
このような観点からも、近年、主に植物由来の天然油脂から得られるグリセリンを原料とするグリセリンのモノアルキルエーテル、ポリグリセリンのモノアルキルエーテルと言った非イオン界面活性剤を洗浄剤組成物に配合することが試みられている(特許文献1〜9参照)。
【0005】
一方、高洗浄力(特に皮脂等の油汚れに対する洗浄力向上)を目的として、非イオン界面活性剤のHLB(hydrophile-lipophile balance:親水親油バランス)に着目し、低HLB非イオン界面活性剤(相対的に低いHLB値を示す非イオン界面活性剤)と高HLB非イオン界面活性剤(相対的に高いHLB値を示す非イオン界面活性剤)の組み合わせが試みられている(特許文献10〜15参照)。
【特許文献1】特開2007−112914号公報
【特許文献2】特開2006−348084号公報
【特許文献3】特開2001−49291号公報
【特許文献4】特開2001−49290号公報
【特許文献5】特開平11−335313号公報
【特許文献6】特開平11−310792号公報
【特許文献7】特開平7−500861号公報
【特許文献8】特開平4−506367号公報
【特許文献9】特開平3−174496号公報
【特許文献10】特開2000−273485号公報
【特許文献11】特開平10−501296号公報
【特許文献12】特開平8−505413号公報
【特許文献13】特開平8−503731号公報
【特許文献14】特開平1−268795号公報
【特許文献15】特開平1−247496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、引用文献1〜9に開示されているようなグリセリルモノエーテル又はポリグリセリルモノエーテルは、衣料用洗浄剤組成物等に用いた場合には、必ずしも洗浄力の点で満足の行くものではなかった。また、特許文献10〜15に開示されているようなHLBの調節を、従来知られているグリセリルモノエーテル又はポリグリセリルモノエーテルを適用しても十分な洗浄力は得られなかった。
【0007】
本発明の課題は、洗浄力が高い洗浄剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有し、(a)成分/(b)成分の質量比が2以上、(a)成分/(c)成分の質量比が1〜20である洗浄剤組成物に関する。
(a)成分:一般式(I)で表されるポリグリセリルモノエーテル
R−O−(C362n−H (I)
(式中、Rは炭素数6〜22の炭化水素基を、nはグリセリンの縮合度であり、3〜5の整数を示す。)
(b)成分:一般式(II)で表されるジグリセリルモノエーテル
R−O−(C3622−H (II)
(式中、Rは炭素数6〜22の炭化水素基を示す。)
(c)成分:(a)成分及び(b)成分以外のデービス法により計算されるHLBが3〜6の非イオン界面活性剤
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、優れた洗浄力を示す洗浄剤組成物が提供される。特に皮脂等の油汚れに対する洗浄力の優れた、衣料等の繊維製品用に好適に使用できる洗浄剤組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<(a)成分>
本発明の(a)成分は、一般式(I)で示されるグリセリン縮合物であるポリグリセリン中の水酸基の水素原子の一つが、炭素数6〜22の炭化水素基で置換させてエーテル結合を形成した、グリセリンの縮合度が3〜5のポリグリセリルモノエーテルである。
【0011】
一般式(I)中のRは、直鎖、分岐鎖、飽和、不飽和の何れでも良く、炭素数10〜18、更に12〜14、特に12のアルキル基が好ましい。(a)成分は、一般式(I)中のRが炭素数12〜14、特に炭素数12及び14のアルキル基であるグリセリルモノエーテル等の比率が、合計で40質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上、更に90質量%以上、最も好ましくは95%以上である。
【0012】
一般式(I)中の縮合するグリセリン部分が−(C362n−Hと標記されている。しかし、これは直鎖型のみを表すものではなく、分岐型、及び直鎖型と分岐型とのランダムな付加を含むものである。表現の便宜上この様に表現したものであることを付言する。
【0013】
(a)成分におけるグリセリンの結合様式は、直線型(グリセリンが1,3位で結合するもの)、分岐型(1,2位でグリセリンが結合するもの、1,2位で結合するグリセリン(2位の方)の1,3位に更にグリセリンが結合するもの等)があるが、いずれでもよい。
【0014】
洗浄力の観点から、(a)成分の原料であるグリセリンの縮合度nは4が最も好ましく、縮合度が3〜5であるグリセリルエーテル中、すなわち(a)成分中、グリセリンの縮合度nが4であるグリセリルモノエーテルの合計の比率が20質量%以上、更に25質量%以上、より更に30質量%以上、特に40質量%以上であることが好ましい。
【0015】
(a)成分は、一般式(I)中のグリセリンの縮合度nが異なる複数の化合物を含み、nの異なる化合物を2種以上、特に3種全てを含むことが低温での洗浄性能の観点から好ましい。(a)成分中、Rが炭素数12及び又は炭素数14のアルキル基であって、且つグリセリンの縮合度nが3〜5のものが最も高い洗浄性能を示す。しかしこの範囲であってもグリセリンの縮合度nが単一のもののみからなる場合、結晶化しやすいため、特に低温で水への溶解性が損なわれ、その結果、洗浄力は低下する傾向を示す場合がある。一方、(a)成分がグリセリンの縮合度nの異なる複数の化合物を含む場合、結晶化が抑制されるため低温でも高い溶解性を示し、その結果、より良好な洗浄性能が得られる。従って、(a)成分であるグリセリンの縮合度nが3〜5であるもののうち、2種以上、更に3種全部(n=3、4、5)を含むことが、より好ましい。
【0016】
(a)成分を構成するグリセリンの縮合度が違うものの質量割合〔(a)成分中の質量割合〕は、ガスクロマトグラフィー(GC)法のエリア%から求めることが出来る。
【0017】
本発明の(a)成分は、例えば、炭素数6〜22のアルコールに所定量の2,3−エポキシ−1−プロパノール(グリシドール)をアルカリ触媒の存在下で反応させることで得られる。また、特開2000−160190号公報の段落0007〜0011に記載されたような方法で製造することもできる。
【0018】
一般に、(a)成分のようなグリセリルモノエーテルは、縮合度の異なる化合物の混合物として得られるが、本発明では、洗浄力の観点から、(a)成分としてグリセリンの縮合度が3〜5である化合物を用いるため、必要に応じて反応物を蒸留等により精製してこの範囲の縮合度の化合物を得ることが出来る。
【0019】
本発明の洗浄剤組成物中、溶解性、洗浄性能の観点より(a)成分の含有量は1〜50質量%が好ましく、2〜40質量%がより好ましく、3〜30質量%が更に好ましく、5〜25質量%が特に好ましい。
【0020】
<(b)成分>
本発明の(b)成分は、一般式(II)で示されるグリセリン縮合物であるジグリセリン中の水酸基の水素原子の一つが、炭素数6〜22の炭化水素基で置換させてエーテル結合を形成した、グリセリンの縮合度が2のジグリセリルモノエーテルである。
【0021】
一般式(II)中のRは、直鎖、分岐鎖、飽和、不飽和の何れでも良く、炭素数10〜18、更に12〜14、特に12のアルキル基が好ましい。(b)成分は、一般式(II)中のRが炭素数12〜14、特に炭素数12及び14のアルキル基であるグリセリルモノエーテル等の比率が、合計で40質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上、更に90質量%以上、最も好ましくは95%以上である。
【0022】
一般式(II)中の縮合するグリセリン部分が−(C3622−Hと標記されている。しかし、これは直鎖型のみを表すものではなく、分岐型を含むものである。表現の便宜上この様に表現したものであることを付言する。
【0023】
(b)成分におけるグリセリンの結合様式は、直線型(グリセリンが1,3位で結合するもの)、分岐型(1,2位でグリセリンが結合するもの、1,2位で結合するグリセリン(2位の方)の1,3位に更にグリセリンが結合するもの等)があるが、いずれでもよい。
【0024】
洗浄性能の観点から、(a)成分/(b)成分の質量比は2以上であり、2.5以上が好ましく、3以上がより好ましく、4以上が更に好ましい。
【0025】
本発明の組成物中、洗浄性能の観点より(b)成分の含有量は、10質量%以下が好ましく、0.001〜7質量%がより好ましく、0.01〜5質量%が更に好ましく、0.01〜2質量%が特に好ましい。相対的に(a)成分量を増やすことが可能となる。
【0026】
<(c)成分>
本発明の(c)成分は、デービス法(「界面活性剤 物性・応用・化学生態学」,北原文雄ら著,講談社サイエンティフィック,1991年8月1日,第7刷発行,P24〜27に記載の方法)により計算されるHLBが3〜6の非イオン界面活性剤である。洗浄性能の観点より、HLBは3.5〜5.5が好ましく、4〜5がより好ましい。
【0027】
(c)成分としては、蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミドまたはそのアルキレンオキシド付加物、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルグリコシド、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリルモノエーテル等が挙げられる。中でも、一般式(III)で表されるグリセリルモノエーテル及び一般式(IV)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルから選ばれる一種以上が好ましく、一般式(III)で表されるグリセリルモノエーテルがより好ましい。
R−O−(C362)−H (III)
(式中、Rは炭素数10〜16の炭化水素基を示す。)
1−O−[(EO)k/(PO)l]−H (IV)
(式中、R1は炭素数8〜18、好ましくは10〜16、より好ましくは12〜14の炭化水素基を、EOはエチレンオキサイドを、POはプロピレンオキサイドを、k及びlは平均付加モル数であり、kは1〜7、好ましくは2〜5、lは0〜5、好ましくは0〜1の数を示す。)
【0028】
一般式(IV)では、EOとPOの結合順序は問わない。つまり、EOとPOはランダム付加又はEOを付加した後、POを付加してもよく、またその逆のようなブロック付加体でもよい。また、ブロック付加体は3つ以上のブロックであってもよい。
【0029】
本発明の組成物中、洗浄性能の観点より(c)成分の含有量は0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましく、1〜15質量%が更に好ましく、1〜10質量%が特に好ましい。
【0030】
洗浄性能の観点から、(c)成分は一般式(III)で表されるグリセリルモノエーテルである場合、一般式(IV)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルである場合が好ましい。
【0031】
又、洗浄性能の観点から、(a)成分/(c)成分の質量比は1〜20であり、2〜15が好ましく、2〜10がより好ましく、4〜10が更に好ましい。
【0032】
なお、(a)成分及び(b)成分は、デービス法により計算されるHLBが3〜6の範囲外である。つまり、(c)成分は、(a)成分及び(b)成分以外の非イオン界面活性剤であって、当該HLBが3〜6のものである。
【0033】
<その他成分>
本発明の組成物は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分以外の非イオン界面活性剤を含有することができる。(a)成分、(b)成分及び(c)成分以外の非イオン界面活性剤としては、蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミドまたはそのアルキレンオキシド付加物、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルグリコシド、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリグリセリン、ポリグリセリルモノエーテル〔(a)〜(c)成分の何れにも該当しないもの〕等が挙げられる。
【0034】
洗浄性能の観点から、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の合計質量は、非イオン界面活性剤全体の60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が特に好ましく、95質量%以上が最も好ましい。なお、本発明の組成物中、洗浄性能の観点より非イオン界面活性剤の総量は1〜50質量%が好ましく、3〜40質量%がより好ましく、5〜30質量%が更に好ましく、5〜15質量%が特に好ましい。
【0035】
本発明の組成物は非イオン界面活性剤以外の界面活性剤を含有することができる。非イオン界面活性剤以外の界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。陰イオン界面活性剤としては、アルコールの硫酸エステル塩、アルコールのエトキシレート化物の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩又は脂肪酸塩が挙げられる。特に、アルキル鎖の炭素数が12〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数12〜18のアルキル硫酸エステル塩が好ましく、対イオンとしては、アルカリ金属類、アルカノールアミン類が好ましい。陽イオン界面活性剤としては、4級型のモノ長鎖アルキル又はジ長鎖アルキルアンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、イミダゾリニウムベタイン、アミンオキサイド、アルキルアラニン等が挙げられる。
【0036】
洗浄性能の観点から、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の合計質量は、界面活性剤全体の40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましく、70質量%以上が特に好ましく、80質量%以上が最も好ましい。なお、本発明の組成物中、洗浄性能の観点より界面活性剤の総量は5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、15〜40質量%が更に好ましく、20〜40質量%が特に好ましい。
【0037】
本発明の組成物には、洗浄剤の分野で公知のビルダー、漂白剤(過酸化水素、過炭酸塩、過ホウ酸塩、漂白活性化剤等)、再汚染防止剤(カルボキシメチルセルロース等)、柔軟化剤、還元剤(亜硫酸塩等)、抑泡剤(シリコーン等)、蛍光増白剤、香料、酵素(セルラーゼ、プロテアーゼ、ペクチナーゼ、アミラーゼ、リパーゼ等)、酵素安定化剤、抗菌防腐剤、着色剤、ハイドロトロープ剤等の添加剤を含有させることができる。
【0038】
本発明の洗浄剤組成物は洗浄性能の観点で、アルカリ剤を1〜40質量%含有することが好ましく、2〜30質量%がより好ましく、3〜20質量%が更に好ましく、5〜15質量%が特に好ましい。アルカリ剤としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム等のアルカリ金属珪酸塩、オルトリン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩等のポリリン酸塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ホウ酸塩等が挙げられる。アルカリ剤は洗浄性能の観点で、アルカリ剤の0.025質量%濃度の水溶液もしくは分散液の最大pHが10以上(20℃)であり、且つ該水溶液もしくは分散液1リットルをpH9(20℃)にするために0.1Nの塩酸水溶液を10ml以上必要とする化合物であることが好ましい。このような化合物としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、モノエタノールアミン等が挙げられる。中でも炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウムがより好ましく、特に炭酸ナトリウムが好ましい。
【0039】
本発明の洗浄剤組成物は、洗浄性能、被洗浄物の変形・変質防止の点で、JIS K3362:1998記載の方法による20℃における0.1質量%水溶液のpHが6〜11であることが好ましく、pH7〜10.9がより好ましく、8〜10.8が更に好ましく、9〜10.7が特に好ましい。
【0040】
洗浄性能の観点で、本発明の洗浄剤組成物の下記測定方法によるカルシウム捕捉量は、20〜300CaCO3mg/gが好ましく、50〜200CaCO3mg/gがより好ましく、100〜150CaCO3mg/gが更に好ましい。
【0041】
(カルシウム捕捉量の測定方法)
カルシウム捕捉量(Ca捕捉量)は、特開平3−277696号公報3頁右下欄6 行目から4頁左上欄6行目記載の方法(但し、陰イオン性界面活性剤を洗浄剤組成物と読み替える)により求める。
【0042】
本発明の洗浄剤組成物は、液体、ペースト、粉末、錠剤、バー等の形状にできる。
【実施例】
【0043】
下記の配合成分及び表1の成分を用いて、表1に示す洗浄剤組成物を調製し、下記の方法で洗浄力を評価した。結果を表1に示す。
【0044】
[1]配合成分
<ポリグリセリルモノエーテル(1)の合成方法>
ラウリルアルコール149g(0.80mol)、ランタントリフラート1.2g(0.002mol)を500mL四つ口フラスコに入れ、窒素気流下、撹拌しながら100℃まで昇温した。次に、その温度を保持しながらグリシドール88.9g(1.2mol)を4時間で滴下し、そのまま3時間撹拌を続け、反応生成物225.8gを得た。得られた反応生成物をメタノール730gに溶解し、(株)ピュロライト・インターナショナル製イオン交換樹脂Purolite(登録商標) MB378LT 100Lを加えて室温で4時間撹拌した。イオン交換樹脂をろ過により除去した後、エバポレーターでメタノールを留去しポリグリセリルモノエーテル(1)を得た。ガスクロマトグラフィーによって分析した結果、ラウリルアルコール19.7質量%、ポリグリセリンの含有量は1.2質量%であった。また得られた化合物中、(a)成分に該当するグリセリンの縮合度nが3〜5の化合物〔一般式(I)中のRはラウリル基〕の割合は、全体の25.5質量%で、nが3、4、5の化合物のいずれも含有していた。また、(b)成分に相当する一般式(II)の化合物〔一般式(II)中のRはラウリル基〕の割合は17.7質量%であり、(c)成分に相当する一般式(III)の化合物〔後述の(c−1)成分、一般式(III)中のRはラウリル基〕の割合は29.8質量%であった。
【0045】
<ポリグリセリルモノエーテル(2)の合成方法>
ポリグリセリルモノエーテル(1)を同様の方法で合成した後、油温205℃、20Paで不純物を留去し、ポリグリセリルモノエーテル(2)109.7gを得た。ガスクロマトグラフィーによって分析した結果、ラウリルアルコール0質量%、ポリグリセリンの含有量は1.2質量%であった。また得られた化合物中、(a)成分に該当するグリセリンの縮合度nが3〜5の化合物〔一般式(I)中のRはラウリル基〕の割合は、全体の62.9質量%で、nが3、4、5モルの化合物のいずれも含有していた。さらにnが3〜5モルの化合物の中、4モルの割合は32.2質量%であった。また、(b)成分に相当する一般式(II)の化合物〔一般式(II)中のRはラウリル基〕の割合は19.1質量%であり、(c)成分に相当する一般式(III)の化合物〔後述の(c−1)成分、一般式(III)中のRはラウリル基〕は0.2質量%であった。
【0046】
<(c−1)ラウリルモノグリセリルエーテル〔(c)成分のうち一般式(III)で表される化合物〕の合成>
n−ラウリルアルコール(花王(株)製、カルコール2098)332g(1.78mol)、アルミニウムトリイソプロポキシド3.61g(17.7mmol)及びp−フェノールスルホン酸9.40g(5.4mol)を1L反応槽に入れ、攪拌しながら90℃まで昇温した。更に減圧下(200mmHg)1時間攪拌後、100℃まで昇温し、エピクロルヒドリン170gを30分で滴下し、更に3時間攪拌した。この反応混合物を50℃に保ち、48%水酸化ナトリウム水溶液800mlを1時間で滴下し、更に3時間攪拌後、400mlの水を加え、分層させた。水層を除去した後、油層を500mlの水で2回洗浄し、粗反応物を280g得た。次に粗反応物140g、水140g、ラウリン酸7.64g及び水酸化カリウム2.14gを2Lオートクレーブに入れ、攪拌しながら157℃まで昇温した。5時間攪拌後、油温194℃、真空度40Paの条件で不純物を留去し、ラウリルモノグリセリルエーテルを得た。デービス法により計算されるHLBは4.98である。
【0047】
<(c−2)エトキシレートノニオン1>
(c−2)成分として、アルキル鎖長が炭素数12でエチレンオキサイドが4モルのみ付加した、エトキシレートノニオン、日光ケミカルズ株式会社製BL−4SYを用いた。この化合物は、一般式(IV)中のR1が炭素数12のアルキル基、kが4、lが0の化合物である。デービス法により計算されるHLBは4.52である。
【0048】
<(c−3)エトキシレートノニオン2>
(c−3)成分として、株式会社日本触媒製ソフタノール33を用いた。この化合物は、一般式(IV)中のR1が炭素数平均13.1のアルキル基、kが3、lが0の化合物である。デービス法により計算されるHLBは平均4.11である。(c−3)成分は、HLBが4〜6の成分を98.3質量%、HLBが4〜5の成分を45.8質量%含んでいた。
【0049】
<AS>
ASは、花王(株)製のテトラデシル硫酸エステルナトリウムを用いた。
【0050】
<ゼオライト>
ゼオライトは、(株)東ソー製、平均粒径3μmの4A型ゼオライトを用いた。
【0051】
<炭酸ナトリウム>
炭酸ナトリウムにはセントラル硝子(株)製デンス灰を用いた。
【0052】
<硫酸ナトリウム>
硫酸ナトリウムは四国化成(株)製の無水ボウ硝を用いた。
【0053】
<モノエタノールアミン>
モノエタノールアミンは三井化学(株)製を用いた。
【0054】
[2]洗浄力の評価方法
水道水1Lに対して表1に示す洗浄剤組成物0.6667gを溶解した後、下記の通り調製したミートソース汚染布5枚を入れ、ターゴトメータを用いて80回転/分の条件で20℃(液温)、10分間洗濯を行った。十分すすいだ後に乾燥させ、下記の式により洗浄率を測定した。結果を表1に示す。
洗浄率(%)=(洗浄後の反射率−洗浄前の反射率)/(白布の反射率−洗浄前の反射率)×100
反射率は日本電色工業(株)製NDR-10DPで460nmフィルターを使用して測定した。
【0055】
<ミートソース汚染布の調製>
市販のミートソース(カゴメ(株)製、「完熟トマトのミートソース」)を50℃に加熱し、目開き710μmのメッシュを通過させて固形分を濾過して得られた液体、0.4mLを6cm×6cmの木綿金布#2023上に均一に塗布し、20℃、65%RHで15時間乾燥させたものを試験に供した。
【0056】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有し、(a)成分/(b)成分の質量比が2以上、(a)成分/(c)成分の質量比が1〜20である洗浄剤組成物。
(a)成分:一般式(I)で表されるポリグリセリルモノエーテル
R−O−(C362n−H (I)
(式中、Rは炭素数6〜22の炭化水素基を、nはグリセリンの縮合度であり、3〜5の整数を示す。)
(b)成分:一般式(II)で表されるジグリセリルモノエーテル
R−O−(C3622−H (II)
(式中、Rは炭素数6〜22の炭化水素基を示す。)
(c)成分:(a)成分及び(b)成分以外のデービス法により計算されるHLBが3〜6の非イオン界面活性剤
【請求項2】
非イオン界面活性剤中(a)成分、(b)成分及び(c)成分の合計量が60質量%以上である請求項1記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
界面活性剤中(a)成分、(b)成分及び(c)成分の合計量が40質量%以上である請求項1又は2何れか記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
(c)成分が一般式(III)で表されるグリセリルモノエーテル及び一般式(IV)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルから選ばれる一種以上である請求項1〜3何れか記載の洗浄剤組成物。
R−O−(C362)−H (III)
(式中、Rは炭素数10〜16の炭化水素基を示す。)
1−O−[(EO)k/(PO)l]−H (IV)
(式中、R1は炭素数8〜18の炭化水素基を、EOはエチレンオキサイドを、POはプロピレンオキサイドを、k及びlは平均付加モル数であり、kは1〜7、lは0〜5の数を示す。)

【公開番号】特開2010−70677(P2010−70677A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−240773(P2008−240773)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】