説明

洗浄機能付き排水栓装置

【課題】汚れた弁体,弁座部分を直接触らずに掃除することのできる洗浄機能付き排水栓装置を提供する。
【解決手段】操作部10を操作することによって、排水出口部に設けられた排水栓7を開閉する排水栓装置において、排水栓の弁体7bと操作部10とが連結手段9bで連結され、操作部10の機能筒体102および押圧ボタン103を回転させることにより、弁体7bが弁座7aに圧接された状態で摺動回転して汚れを擦り落とせるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水栓の汚れた弁体および弁座を直接触らずに掃除することのできる洗浄機能付き排水栓装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、シンクの底部に、網カゴを収納したゴミ収納容器が設けられ、このゴミ収納容器の底部にポップアップ式排水栓装置が設けられたものが存在し、排水栓装置の栓蓋によって網カゴの蓋体を昇降させ、ゴミ収納容器の開閉を行えるように構成されている。
【特許文献1】実開平4−53702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示されているような排水栓装置において、排水栓の弁体や弁座には汚れが付着し、それにより止水不良になることがあるが、止水不良が発生した場合には、汚れた排水栓の弁体を取り外し、弁体,弁座の両方を手洗い掃除する必要があり、汚れた排水栓を直接手で触って掃除しなければならないという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、汚れた排水栓を直接手で触ることなく掃除することのできる洗浄機能付き排水栓装置を提供するものであり、その請求項1は、操作部を操作することによって排水出口部に設けられた排水栓を開閉する排水栓装置において、該排水栓の弁体と前記操作部とが連結手段で連結され、前記操作部を回転させることによって前記弁体が回転するように構成したことである。
【0005】
また、請求項2は、前記操作部または前記排水栓にスラストロック機構が備えられていることである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、操作部を操作することによって排水出口部に設けられた排水栓を開閉する排水栓装置において、該排水栓の弁体と前記操作部とが連結手段で連結され、前記操作部を回転させることによって前記弁体が回転するように構成したことにより、排水栓の弁座に対し弁体が当接して排水栓が閉まっている状態で、操作部を回転させることにより、連結手段を介して弁体が弁座に対し摺動回転し、摺動回転により、弁体および弁座に付着した汚れが擦り落とされることとなり、汚れた弁体を取り外すことなく、操作部を回転させることで良好に排水栓の汚れを掃除できて、排水栓の止水不良をなくすことができるものとなり、汚れた排水栓に直接触れる必要がないため掃除が楽で衛生的なものとなる。
【0007】
また、前記操作部または前記排水栓にスラストロック機構が備えられていることにより、スラストロック機構を構成するバネの付勢力により、排水栓の弁座に対し弁体を圧接させることができ、この状態で操作部を回転させて、弁体を回転させることにより、弁体および弁座に付着した汚れを確実に擦り落とすことができるものとなる。
【実施例】
【0008】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、流し台の概略配置構成図であり、流し台1のカウンター2には、シンク3が設けられており、また、カウンター2上にはシンク3内に給水可能に給水栓4が設けられている。
シンク3の底面には、上面が開放されたゴミ収納容器5が設けられており、このゴミ収納容器5内には、上方へ取り出し可能に網カゴ6が収納されている。このゴミ収納容器5の底面に排水栓7が設けられており、排水栓7に連通して下流側にトラップ8が配管されている。
また、排水栓7には、レリース9を介してカウンター2に設けられた操作部10が連結されている。この操作部10を操作することで排水栓7を開閉させることができるものである。
【0009】
図2は、開状態の排水栓7と操作部10の要部縦断面構成図であり、排水栓7には、ゴミ収納容器5の底側で、上面側へ拡径した弁座7aが形成されており、この弁座7aに対し昇降する弁体7bを備えており、弁体7bの底側外周には、弁座7aに摺接するパッキン11が設けられている。
なお、レリース9は、保護管9a内に連結手段としてのレリースワイヤー9bが内装されており、レリースワイヤー9bの先端は弁体7bの底側に固定されており、また保護管9aの先端は、弁座7aの下方の固定部7cに固定されている。また、排水栓7からトラップ8に連通する水路7dが設けられている。
【0010】
一方、操作部10は、上端をカウンター2に面一状にして固定された外ケース101内に、上面が開放された筒状の機能筒体102が、外周に突出した鍔部102aを介して上下動不能かつ水平面内で回転可能に設けられ、この機能筒体102内には、機能筒体102の内周に形成されている縦溝内に押圧ボタン103の外周に突出されたガイド部が嵌まり込んで、押圧ボタン103が機能筒体102に対して回転不能かつ上下動可能に設けられている。
この押圧ボタン103の下端側の接合部材104に、レリースワイヤー9bの上端側が接合固定されており、レリースワイヤー9bは機能筒体102および外ケース101を貫通して垂下されており、またレリース9の保護管9aの上端は外ケース101の底面に固定されている。
【0011】
なお、押圧ボタン103の下面と機能筒体102の底面間には、縦方向にバネ106が設けられており、このバネ106により押圧ボタン103は上方へ付勢されている。また、機能筒体102と押圧ボタン103には、図示しない鋸歯状の複数の歯が形成された公知のスラストロック機構が組み込まれており、押圧ボタン103を1回下方へ押すと、図2のように弁体7bが上昇して排水栓7が開状態に保持され、もう一度押圧ボタン103を押すと、図3のように弁体7bが弁座7aに圧接されて排水栓7が閉状態に保持されるように構成されている。
【0012】
図2の状態から押圧ボタン103を下方側へ押すと、スラストロック機構の一部であるバネ106により、図3のように押圧ボタン103は上方へ突出状態となり、この状態ではバネ106の付勢力により、排水栓の弁体7bは弁座7aに圧接されるものである。
この図3の状態で、押圧ボタン103の上面に係止ピン105aを介して収納状態に係止されているハンドル105を、上方へ起こして、押圧ボタン103からハンドル105を起立させ、この状態でハンドル105を手で持ち回転させることで、押圧ボタン103が回転し、これに伴い機能筒体102も外ケース101内で回転され、回転力はレリースワイヤー9bを介して弁体7bに伝達され、弁体7bが弁座7aに対して摺動回転されることとなり、この摺動回転により、弁体7bのパッキン11付近および弁座7aの上面付近に付着している汚れを擦り落とすことができ、汚れが擦り落とされて弁体7bは弁座7aに対して良好に圧接されて、止水不良が解消されるものである。
【0013】
なお、図3の状態では、バネ106の付勢力により弁体7bは強固に弁座7aに圧接されているため、摺動回転で確実に汚れが擦り落とされることとなり、適宜ハンドル105を起こして押圧ボタン103および機能筒体102を回転させて、弁体7bおよび弁座7aに付着する汚れを擦り落とすことができ、従来のように弁体7bを取り外して弁体7bおよび弁座7aを手洗いして掃除する必要がなく、汚れた排水栓7を直接手で触れることなく良好に掃除することができ、衛生的なものとなる。
なお、この図3の排水栓7の閉止状態において、シンク3内に水を溜めることにより、ゴミ収納容器5,網カゴ6を浸け置き洗いすることができるものである。
【0014】
なお、本例では、操作部10は、バネ106を備えたスラストロック機構付きのものを例示しているが、バネ106を有さない構造の操作部10の場合には、弁体7bの自重により弁体7bが弁座7aに圧接され、回転されることで汚れが擦り落とされるように構成しても良い。
また、本例では、連結手段としてレリースワイヤー9bを例示しているが、操作部10の回転を弁体7bへ伝えることができれば、他の構造を採用しても良い。
また、本例では、台所の流し台のシンク3の排水栓7を例示しているが、浴槽の底面あるいは洗面台の洗面ボウルの排水口に設置される排水栓においても同様な構造を採用して、汚れた排水栓を直接手で触ることなく良好に掃除できるように構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】流し台のシンクに設けられた排水栓の概略配置構成図である。
【図2】開状態における排水栓および操作部の拡大縦断面構成図である。
【図3】閉状態の排水栓および操作部の拡大縦断面構成図である。
【符号の説明】
【0016】
1 流し台
2 カウンター
3 シンク
4 給水栓
5 ゴミ収納容器
6 網カゴ
7 排水栓
7a 弁座
7b 弁体
7c 固定部
7d 水路
8 トラップ
9 レリース
9a 保護管
9b レリースワイヤー
10 操作部
11 パッキン
101 外ケース
102 機能筒体
102a 鍔部
103 押圧ボタン
104 接合部材
105 ハンドル
105a 係止ピン
106 バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部を操作することによって排水出口部に設けられた排水栓を開閉する排水栓装置において、
該排水栓の弁体と前記操作部とが連結手段で連結され、前記操作部を回転させることによって前記弁体が回転するように構成したこと
を特徴とする洗浄機能付き排水栓装置。
【請求項2】
前記操作部または前記排水栓にスラストロック機構が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の洗浄機能付き排水栓装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−196239(P2008−196239A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−33841(P2007−33841)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】