説明

洗浄用噴出装置

【課題】洗車装置において主に水が用いられる洗浄液の噴出装置を、洗車能力を落とすことなく洗浄液の節約が可能となるように改良し、洗車等の洗浄に掛るコストを軽減できる経済的な洗車用ノズル装置を開発して提供する。
【解決手段】洗車用ノズル装置において、洗浄液の入口45と、前記入口45から流入されてくる洗浄液を噴出させる出口47とを備え、前記入口45と前記出口47とを連通させる液体経路50における前記出口47の近傍箇所49に、前記液体経路50にエアを混合させるためのエア流入部52が装備されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水や石鹸水といった洗浄液を勢い良く噴出させるためのノズル等の洗浄用噴出装置に係り、詳しくは、ガソリンスタンドやセルフ洗車場に設置されること多い洗車装置等に好適に用いられる洗浄用噴出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の洗浄用噴出装置を有するものとしては、自動洗車機や手動式洗車装置が知られている。自動洗車機としては、特許文献1において開示されるように、地面に敷設された一対のレール上を転がることによって往復移動自在な門型の洗車装置を備えたものが知られている。その洗車装置は、左右一対と上方に配置される回転ブラシやエアブロー機構等を有しており、一対のレール間の所定位置に停車されている自動車に洗浄液や濯ぎ水を撒いて回転ブラシを回転させながら自動車の前後方向に往復移動させることにより、自動的に自動車の洗車及び乾燥を行うものである。このような自動洗車機は、一般には、ガソリンスタンド等に装備されている例が多い。
【0003】
また、手動式洗車装置としては特許文献2において開示されるように、水道水利用の洗浄具とブロワによるエアーブローを用いた乾燥具とを備えて構成されるものが知られている。この人為作業によって洗車する手段は、必要スペースが自動洗車機を設置する場合に比べて明確に小さくて済むとともに、自動車ユーザー或いはガソリンスタンド店員のいずれが洗車作業するにしても、自動式に比べて塗装の傷みも少なくきめ細かに洗車できる点で根強い人気があり、自動洗車機が装備されている店でも人為作業による洗車を頼む顧客が以外に多いという程である。この場合、店に頼む場合の洗車料金は自動洗車機の料金よりも高くなるが、ユーザー自ら行えば無料で済むという利点が選択できるためか、手動式洗車装置の設置を望む声も増えてきている。
【0004】
これら自動、手動いずれの場合の洗車装置であっても、最初の汚れ落しや洗浄後の濯ぎ洗い等においては水を噴出させて行う構成とされている。後者の手動式洗車装置では水の噴出による勢いでブラシを回転させる機構が付設されてはいるが、要は水の噴出を用いたものであることには変わりがない。洗車装置では、汚れ落しや濯ぎ洗いで多量の水を使うことで為されるものであるが、自動手動のいずれにしても水を多く使うに要するコストが高く付き、収益率は芳しくないという慢性的な問題がある。特に、洗車が給油の次に重要なサービスになること多いガソリンスタンドにおいては、この問題は軽視できない。
【特許文献1】特開平9−240439号公報
【特許文献2】特開2004−231055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、洗車装置において主に水が用いられる洗浄液の噴出装置を、洗車能力を落とすことなく洗浄液の節約が可能となるように改良し、洗車等の洗浄に掛るコストを軽減できる経済的な洗浄用噴出層を開発して提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、洗浄用噴出装置において、洗浄液の入口45と、前記入口45から流入されてくる洗浄液を噴出させる出口47とを備え、前記入口45と前記出口47とを連通させる液体経路50における前記出口47の近傍箇所49に、前記液体経路50にエアを混合させるためのエア流入部52が装備されていることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の洗浄用噴出装置において、前記入口45と、前記出口47と、前記エア流入部52とが装備されて手指での把持が可能なグリップガン体25を有して構成されていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の洗浄用噴出装置において、前記入口45から流入されてくる洗浄液の前記エア流入部52への移送を許容する開き状態と、前記エア流入部52への移送を遮断する閉じ状態とを切換える開閉弁48Aが前記グリップガン体25に装備されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の洗浄用噴出装置において、前記開閉弁48Aが流量可変型のものに構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の洗浄用噴出装置において、前記近傍箇所49は、前記液体経路50における前記近傍箇所49と前記入口45とを連通する経路部分50aの径よりも大径なエア混合室49Aに形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の洗浄用噴出装置において、前記エア流入部52は、これから排出されるエアの向きが前記洗浄液の流れに対して交差し、かつ、エアの流れ方向の下手側が洗浄液の流れ方向の下手側となる状態に傾斜配置されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の洗浄用噴出装置において、前記エア流入部52は、エアの流れと前記洗浄液の流れとの挟角が45度又はほぼ45度となるように構成されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項8に係る発明は、請求項1〜7の何れか一項に記載の洗浄用噴出装置において、前記エア流入部52には、前記液体経路50からの洗浄液の逆流を阻止する逆止弁58が装備されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項9に係る発明は、請求項1〜8の何れか一項に記載の洗浄用噴出装置において、前記出口47がノズルで構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、詳しくは実施形態の項にて説明するが、洗浄液にエアを混入させて噴出させると著しく噴出のパワーが増すようになるので、洗浄液だけの圧による噴出パワーと同等の噴出パワーを出す場合の単位時間当たりの洗浄液量が明確に少なくて済むものとなる。例えば、互いに同一な所定の汚れを落とすに必要となる水の量が、本発明によるエア混入構造のものの方が少なくて済み、その分節水することができるという具合に、洗車に必要となる洗浄液量を軽減できてコストダウンが可能となる。その結果、洗浄液の噴出部の直前においてエアを混入させる簡単な改造で済むものでありながら、洗車装置において主に水が用いられる洗浄液の噴出装置を、洗車能力を落とすことなく洗浄液の節約が可能となるように改良でき、洗車等の洗浄に掛るコストを軽減できる経済的な洗浄用噴出装置を提供することができる。
【0016】
請求項2のように、手指で把持可能なグリップガン体を設けて洗浄用噴出装置を構成すれば、洗車用等としてさらに使い易いものになるとともに、請求項3のように、洗浄液の断続が自在な開閉弁がグリップガン体に装備すれば、手元で洗浄液の断続操作が行えて便利で使い易い洗浄用噴出装置を提供することができる。また、請求項4のように、その開閉弁が流量可変型のものにすれば、例えば、量を多くして勢い良く水を掛けたり濯ぎ用として少量の水を流すといった具合に単位時間当たりの流量調節が手元で行えるようになり、さらに便利な洗浄用噴出装置にすることができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、エアを混入させる部分の液体経路が膨張室として機能するようになるから、噴出部直前にエア混入させる構造としながらも、水や石鹸水等の洗浄液とエアとがよく混ざり合った安定した混合状態で噴出させることが可能になる。従って、混ざりが不均一であることに起因した脈動や洗浄液の不安定な飛散状況が回避され、洗浄液とエアとがよく混合されて安定した噴出パワーが得られるとともに、それによって手指で握っての洗浄液の散布操作も行い易い洗浄用噴出装置が得られる。
【0018】
請求項6の発明によれば、エア流入部から排出されるエアの流れが洗浄液の流れを阻害させることがなく、勢いを増す相乗効果が発揮可能になるとともに、互いに角度が付いて交わることによって良好な攪拌作用が生じ、洗浄液とエアとが良好に混ざり合うことができる高効率な洗浄用噴出装置を提供することができる。この場合、請求項7にように、洗浄液とエアとの交差角度を45度とすれば、最も効率良く混合させることが可能になる。また、請求項8にように、エア流入部に逆止弁を設けておけば、エアを使わないときに洗浄液の逆流を確実に阻止できて好都合であるとともに、請求項9のように、出口をノズルとして洗浄液とエアとの混合流体をより勢い良く噴出させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明による洗浄用噴出装置の実施の形態を、ガソリンスタンドの洗車支援設備に適用される例について図面を参照しながら説明する。図1〜図4は洗車支援設備の各部を示す図であり、図2,4は洗車用構造体のみを描いてある。図5は転動フックの構造図、図6は洗車支援設備の全体正面図、図7洗車支援装置の機能系統を示すブロック図、図8は洗浄用噴出装置である人為操作グリップの構造を示す一部切欠きの側面図、図9は二人作業による洗車状況を示す作用図、図10はエア圧と節水率との関係グラフである。
【0020】
〔実施例1〕
図1〜図3,図6に洗車支援設備Aが示されている。この人為洗車設備とも言うべき洗車支援設備Aは、洗車用構造体Kと洗車支援装置Cとから成り、半自動半手動式の洗浄装置として機能するものであって、例えばガソリンスタンドの一角に配置される。洗車支援設備Aは、洗車ポート11の側脇に置かれた洗車支援装置Cと、この洗車支援装置Cから延設される三種のホース機構h1〜h3と、洗車ポート11の上方に宙吊り片持されて洗車用スペースSを形成する長円形の移動用レール7と、これに移動自在に支持されて各ホース機構h1〜h3を吊設支持する複数の駒部材10等から構成されている。
【0021】
まず、洗車用構造体Kは、防火塀W沿いに地面Gから立設された3本の縦支柱1と、これら縦支柱1の上下中間位置に一端が固定される3本の横支柱2と、各横支柱2の他端と対応する縦支柱1の上端部とを繋ぐ3本の吊りロッド3と、横支柱2の固定部位において隣合う縦支柱1どうしを連結すべく上下の夫々に設けられる一対の短連結部材4,4と、各横支柱2の他端どうしを連結一体化する1本の長連結部材5と、斜交いに装備される種々の補強部材6と、3本の横支柱2に跨る状態でそれらの下側に固定される移動用レール7と、を有して構成されている。移動用レール7には、複数の転動フック10が移動自在に吊設されている。尚、横支柱2の上側に、宣伝用(装飾用)の鋼板パネル8,9,8を装備する構成としても良い。
【0022】
縦支柱1は、図3に示すように、その下端部がコンクリート等のウェイト1Wが一体化された状態で地中に埋設することで立設姿勢に支持されている。一つの縦鋼板パネル9と二つの横鋼板パネル8,8は、いずれもそれらの裏側(内側)に配置された梯子状の支持枠部19,18によって起立姿勢で支持されており、横鋼板パネル8,8や縦鋼板パネル9の夫々の外表面には宣伝や広告、或いは意匠等が施される。
【0023】
図2、図5に示すように、移動用レール7は、自動車幅方向に隔てられる一対の縦レール部7a,7aと、湾曲した一対の横レール部7b,7bとを有する上下方向視形状が長円のループ状を呈する状態にH形鋼(断面が逆T字状の形鋼でも良い)7Aを屈曲加工して構成されており、その下方において地面に区切り形成されている洗車ポート11との上下間に洗車用スペースSを形成している。移動用レール7には、これに沿っての移動が自在な状態に支持される複数の転動フック(駒部材)10が転がり移動自在に吊設されており、各転動フック10は、後述する三種で一対の各供給ホース20,23,26のホース長手方向の中間部分を挿通支持している。
【0024】
転動フック10は、図5に示すように、H形鋼7Aのウェブ7wの左右夫々において下側のフランジ7f上を転がり移動自在な左右及び前後一対の計4個のローラ15と、各供給ホース20,23,26の長手方向中間部分を挿通支持するホース支持部16とを転動枠17に有して構成されている。ホース支持部16は、転動枠17に上下軸心回りでの回動が可能に支承されており、各供給ホース20,23,26は挿通して係止固定する。従って、各供給ホース20,23,26を引張れば、それに追従して転動フック10が移動用レール7に対して軽快に転動移動するようになる。
【0025】
移動用レール7はある程度高さのある自動車(バンや小型トラック等)でも使用できるような高さ位置(地上3.0〜3.5m位)で宙吊り支持されており、その下方の地面に設けられた洗車ポート11との上下間が洗車スペースSに形成されている。洗車ポート11は、幅及び深さが共に微小な側溝11aで囲むことで平面視で矩形形状を呈するように回りの地面から区別された敷地領域として形成されており、移動用レール7の中心域を下方投影された状態で洗車ポート11に示す表示手段Hが装備されている。
【0026】
表示手段Hは、図1等に示すように、周囲と異なった材料による平面部分、例えばモルタル仕上げの洗車ポート11において、部分的に色付コンクリートレンガ等の目印体57を縦列させて敷設する、といったことで構成される。洗車ポート11に洗車対象となる自動車を移動させる場合には、丁度表示手段Hの真上に位置するように自動車を移動させて駐車させることにより、洗車作業が行い易くなるように、平面視形状が長円形の移動用レール7の中心又はほぼ中心に自動車を比較的簡単に位置させることができる、という利点が得られる。
【0027】
次に、洗車支援装置Cは、図6,図7に示すように、隣合う縦支柱1,1間に配置される装置本体12、これに設けられる操作部13、第1〜第3ホース機構h1〜h3等を有して構成されている。第1ホース機構h1は、洗浄液供給ホース20と、これの基端に接続される洗浄液供給源21と、洗浄液供給ホース20の先端に接続される噴出部(洗浄用噴出装置の一例)22と、を有して構成されている。第2ホース機構h2は、水供給ホース23と、これの基端に接続される水供給源24と、水供給ホース23の先端に接続される噴出部(洗浄用噴出装置の一例)25と、を有して構成されている。第3ホース機構h3は、エア供給ホース26と、これの基端に接続されるエア供給源27と、エア供給ホース26の先端に接続される噴出部(洗浄用噴出装置の一例)28と、を有して構成されている。
【0028】
装置本体12に収容される洗浄液供給源21は、洗浄液供給ホース20の基端が接続されるエア混合機構30に出力し、水道水の供給路29を入力とするウォータポンプ(ウォータバルブポンプ)31と、ウォータポンプ31の吸引ホース32が挿入される洗剤タンク33と、を有して構成されている。つまり、供給路29から流入してくる水道水の流れによって作動するウォータポンプ31が洗剤タンク33に貯留されている液体洗剤を吸引して水道水に混合させ、その洗剤の混合された水道水、即ち洗浄液にエア混合機構30にてエアが混ぜられて泡状となった洗浄液が洗浄液供給ホース20を通して、噴出部22である先端ノズル構造の泡グリップ22から噴出させることが自在である。
【0029】
泡グリップ22には開閉弁(図示省略)が内装されており、その切換レバー22aをグリップ部22gと共握りすれば切換弁が「開」となって泡状洗浄液を噴出させることができ、切換レバー22aを握らなければ切換弁が「閉」となって泡状洗浄液の噴出が停止するように構成されている。尚、ウォータポンプ31には、水道水に混ぜる洗剤の量を調節するための洗剤混合比調節部33aが装備されている。また、図7における59は、適所に設けられる水抜きバルブである。
【0030】
装置本体12に収容される水供給源24は、水道水を供給自在な蛇口等の水吐出部34に接続される水ホース35、水道水から異物等を取り除く装置であるストレーナ36、活水装置37等を設けて構成されている。これら三者35,36,37を直列に繋ぐ水流入路38に、分岐路39を介して水供給ホース23が接続されるとともに、洗浄液供給源21の供給路29が分岐路39に接続されている。つまり、水供給源24は第1及び第2ホース機構h1,h2双方に対する水の供給元として機能するものになっている。
【0031】
参考として活水装置37は、「水本来の持っている力(表面張力・溶解力・浸透力・熱伝導力)を甦らせる装置」であり、例えば、マイナス電荷傾向にある水道水を、磁気の力を使ってプラス電荷状態に活性化させる磁気活水装置が挙げられる。つまり、ファラデーの法則によって生じる磁気モーメントにより、水分子は電子の回転が盛んになって分子間のエネルギー運動が活発化され、分子と分子の衝突が激しくなることによって大きな水分子集団が小さな集団に生まれ変わり、水が活性化される。この活性化により、水による洗浄能力が向上することから洗浄液による汚れ落し作用、並びに水洗いによる洗浄液落し作用のいずれもが改善され、少ない水量でも十分な洗浄効果を得ることができる。その結果、洗車に掛かる経費を大幅に削減することが可能となる。
【0032】
装置本体12に収容されるエア供給源27は、コンプレッサ等の高圧エア(圧搾空気)の供給器40に接続されるエアホース41、エアクリーナ42、第1レギュレータ43、第2レギュレータ44から構成されている。第1レギュレータ43通過後のエアがエア供給ホース26に送られ、また、第2レギュレータ44通過後のエアがエア混合機構30に送られるように構成されている。ガソリンスタンドにおいては新たにエア供給器40を購入しなくても済むように、既設のコンプレッサがエア供給器40に兼用できるようになっている。
【0033】
図7,図8に示すように、第2ホース機構h2の噴出部25と第3ホース機構h3の噴出部28とは、水供給ホース23の接続部(入口の一例)45と、エア供給ホース26の接続部46と、単一のノズル(出口の一例)47と、切換弁48と、混合部(近傍箇所の一例)49とを有する単一の洗車用ノズル装置である人為操作グリップ(グリップガン体の一例)25によって兼用構成されている。人為操作グリップ25におけるグリップ部25gには、内部形成される水移送経路(液体経路の一例)50における水の流れを断続自在な水用開閉弁48Aが装備されており、支点Pで揺動自在に枢支されている操作レバー25aのグリップ部25gとの共握りによる矢印イ方向への揺動移動によって水用開閉弁48Aが開操作され、共握り解除によって実線で描かれた位置へ復帰すべく矢印ロ方向への揺動移動によって水用開閉弁48Aが閉じ操作されるように構成されている。尚、水用開閉弁48Aを、操作レバー25aの握り込み量(角度)が増すに連れて単位時間当たりの水の供給量も増える流量可変型のものに構成すれば、より便利で使い易いものとなる。
【0034】
混合部49は、水移送経路50における混合部49と接続部45とを連通する経路部分50aの内径dよりも大径な内径Dを有するエア混合室49Aを有しており、根元に接続部46を有するエア流入部52が混合部49の周壁49hを貫通する状態で設けられている。エア混合室49Aは、主混合室49aと、これよりも小容積で、かつ、環状の仕切り壁49cで主混合室49aから仕切られる安定室49bとを有して構成されており、安定室49bにノズル47が装着される。エア流入部52は、エア混合室49Aからの水の逆流を阻止する逆止弁58と、エア混合室49Aにエアを勢い良く噴出させるためのノズル部54とを備えている。エア流入部52は、ノズル部54から排出されるエアの向きがエア混合室49Aにおける水の流れに対して交差し、かつ、エアの流れ方向の下手側が水の流れ方向の下手側となる状態に角度θでもって傾斜配置されている。角度θとしては45度が好適であるが、それ以外の角度でも良い。
【0035】
エア供給ホース26の途中部位又はエア流入部52に連設させてエア供給ホース26を断続切換自在なエア用開閉弁48Bが、水用開閉弁48Aとは別にば設けられている。従って、水用開閉弁48Aとエア用開閉弁48Bとの夫々の開閉操作により、水供給ホース23のみがノズル47に連通する水供給状態と、エア供給ホース26のみがノズル47に連通するエア供給状態とが、二つの開閉弁48A,48Bの操作によって切換自在に構成されており、これら水用開閉弁48Aとエア用開閉弁48Bとで切換弁48が構成されている。図8に示す48bはエア用開閉弁48Bを開閉するためのスイッチレバーであり、実線で示す位置が閉」に、そして仮想線で示す位置が「開」にそれぞれ操作される。尚、図8に示すエア用開閉弁48Bは一例であり、人為操作グリップ25とは別体のものとして装備される構成でも良い。
【0036】
ところで、泡グリップ22と人為操作グリップ25とは夫々一対ずつ設けられており、移動用レール7に到達する手前において各ホース20,23,26は二本ずつの分岐ホース20h、23h、26hに分岐されている。装置本体12に設けられる操作部13には、水道水の供給を遮断する水全停止レバー55と、高圧エアの供給を遮断するエア全停止レバー56とが装備されている(図6参照)。尚、53は合成樹脂材等によって成形されている水桶である。
【0037】
次に、上述の洗車支援設備Aを用いた二人の作業者による洗車作業の例を図6に示す。図6は、洗車ポート11に駐車されている洗車対象である自動車Bの両サイドに作業者m、mが位置し、夫々が泡グリップ22を持って自動車Bに泡状の洗浄液(洗剤水)を吹き付けている状況を示している。尚、洗車作業の進行に伴い、作業者mは泡グリップ22に代えて水やエアを吹き付ける人為操作グリップ25を用いるようになる。
【0038】
一般的な人為洗車は、まず、人為操作グリップ25を用いて自動車全体に水を掛けて砂や泥等を落とすとともに、汚れを落とし易くすべく膨潤させる予備水洗い工程を行う。この予備水洗いの際には、水だけを噴出させても良いし、水流の勢いを増して節水すべくエアを混ぜて噴出させても良い。それから、泡グリップ22に持ち換え、洗剤水(洗浄液)を散布する洗浄液散布工程を行う(図9参照)。そして、洗浄液が塗された状態の自動車を、スポンジやウェス等の拭取り具を用いてボディーを拭き擦りして洗浄し、その拭取り工程の終了後に再び人為操作グリップ25に持ち換え、洗浄液や残りの汚れを落とすべく水を噴出させる濯ぎ工程を行う。この濯ぎ工程でも、エアを水に混ぜてパワーアップさせても良い。最後に、乾燥したウエス等を用いて拭取るか、又は人為操作グリップ25からエアのみを噴出させての送風によって迅速に残存水分を除去及び乾燥させるか、或いは自然乾燥させ、洗車支援設備を用いた一連の人為洗車作業が終了する。尚、汚れ具合によっては最初の予備水洗い工程を省いても良い。
【0039】
そして、使い終わった4個の各グリップ22,22,25,25及び各ホース20,23,26は、各グリップ22,22,25,25の先端部を水桶53に浸ける状態に後始末するだけで良く、地面に散らばっているゴムホース部分を巻き取る等の面倒で汚れる後片付けが不要である。従って、面倒臭がりな作業者であっても迅速にしかも汚したり散らかしたままにすることなくクリーンな状態で作業を終了したり、或いは次の作業者に交代したりすることができる。
【0040】
さて、図8に示す45度傾斜混合型の人為操作グリップ25を用いた水・エア混合状態での噴出動作時の節水効果について説明する。第2ホース機構h2に対して、水道水が圧力4.2kg/cm2 で単位時間(分)当りの流量が17L/minに設定されている条件での節水率は、図10に示すように、第3ホース機構h3に対するエア圧が2kg/cm2 〔単位時間(分)当りの流量が17L/min〕では0%、エア圧が3kg/cm2〔単位時間(分)当りの流量が13L/min〕では24%、エア圧が4kg/cm2〔単位時間(分)当りの流量が10.3L/min〕では39%、エア圧が5kg/cm2 〔単位時間(分)当りの流量が7.3L/min〕では57%であった。
【0041】
ここで節水率とは、ある定まった汚れ状態の自動車ボディをある定まったクリーンな状態にまで汚れを落とすに要する水の量として、水のみの噴出状態で達成するに必要な水量に対する、前述した各エア圧での水・エア混合での噴出状態で達成するに必要な水量の割合を百から減じた単位%の値、として定義することができる。つまり、エア圧3,4,5kg/cm2 では、水だけの噴出時に必要となる水量のそれぞれ76%,61%,43%でもって同等の効果を発揮することができている。従って、このように節水効果抜群の陣操作グリップ25を有する洗浄用噴出装置を用いる洗車支援設備では、一連の洗車に要する水の量を従来のものに比べてに格段に減らすことが可能であり、ランニングコストを大きく軽減できる経済的な洗車が行える利点がある。
【0042】
〔別実施例〕
グリップガン体である人為操作グリップ(洗車用ノズル装置)としての25(28)においては、ノズル部54からの噴出エアと混合部49基端部における水の流れ方向との為す角度は、エア混合室49Aの大きさ(径や長さ等)、水の単位時間当たりの流量、流速、エア圧、エア流量等の各種の条件から適宜に求めればよく、例えば15度や30度や60度等、種々の傾斜角に設定することが可能である。また、エア混合室49Aに挿入配置されるエア流入部52を複数設けるとか、それに加えて傾斜角度を互いに同じ或いは異なる角度とする等、種々の変更が可能である。
【0043】
また、5kg/cm2 を越えるエア圧や、2kg/cm2 を越えて3kg/cm2 以下のエア圧でも良いとともに、水圧に対してどれだけ高いエア圧にするかとか、どれだけのエア量にする等の設定は、適宜に行うことが自在である。洗浄用噴出部である人為操作グリップ25(28)の出口47は、ノズルのほかオリフィスや単純孔で構成されても良く、また、エア流入部52を出口近くに設ける構造を、洗剤水、石鹸水等の洗浄液のを供給する泡グリップ22に適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】洗車支援設備の概略全体を示す見下ろしの斜視図
【図2】図1における洗車用構造体を示す見上げ斜視図
【図3】図1の洗車支援設備の断面側面図
【図4】図1における洗車用構造体を示す正面図
【図5】移動用レールと転動フックとの係合部分を示す図
【図6】洗車支援設備の正面図
【図7】洗車支援装置の概略の構造を示す機能系統図
【図8】人為操作グリップの内部構造を示す要部の一部切欠きの側面図(実施例1)
【図9】二人作業で自動車の洗車作業を行う状態を示す作用図
【図10】水・エア混合噴出時のエア圧と節水率との関係グラフを示す図
【符号の説明】
【0045】
25 グリップガン体
45 洗浄液の入口
47 洗浄液の出口(ノズル)
48A 開閉弁
49 近傍箇所
49A エア混合室
50 液体経路
50a 経路部分
52 エア流入部
58 逆止弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液の入口と、前記入口から流入されてくる洗浄液を噴出させる出口とを備え、前記入口と前記出口とを連通させる液体経路における前記出口の近傍箇所に、前記液体経路にエアを混合させるためのエア流入部が装備されている洗浄用噴出装置。
【請求項2】
前記入口と、前記出口と、前記エア流入部とが装備されて手指での把持が可能なグリップガン体を有して構成されている請求項1に記載の洗浄用噴出装置。
【請求項3】
前記入口から流入されてくる洗浄液の前記エア流入部への移送を許容する開き状態と、前記エア流入部への移送を遮断する閉じ状態とを切換える開閉弁が前記グリップガン体に装備されている請求項2に記載の洗浄用噴出装置。
【請求項4】
前記開閉弁が流量可変型のものに構成されている請求項3に記載の洗浄用噴出装置。
【請求項5】
前記近傍箇所は、前記液体経路における前記近傍箇所と前記入口とを連通する経路部分の径よりも大径なエア混合室に形成されている請求項1〜4の何れか一項に記載の洗浄用噴出装置。
【請求項6】
前記エア流入部は、これから排出されるエアの向きが前記洗浄液の流れに対して交差し、かつ、エアの流れ方向の下手側が洗浄液の流れ方向の下手側となる状態に傾斜配置されている請求項1〜5の何れか一項に記載の洗浄用噴出装置。
【請求項7】
前記エア流入部は、エアの流れと前記洗浄液の流れとの挟角が45度又はほぼ45度となるように構成されている請求項6に記載の洗浄用噴出装置。
【請求項8】
前記エア流入部には、前記液体経路からの洗浄液の逆流を阻止する逆止弁が装備されている請求項1〜7の何れか一項に記載の洗浄用噴出装置。
【請求項9】
前記出口がノズルで構成されている請求項1〜8の何れか一項に記載の洗浄用噴出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−105482(P2008−105482A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−288321(P2006−288321)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【出願人】(000114363)ムラキ株式会社 (11)
【Fターム(参考)】