説明

洗浄用布帛及びそれを用いたタオル

【課題】優れた泡立ち性、汚れ落ち性及び乾燥性を具備し、ボディタオル等に好適な洗浄用布帛及びその洗浄用布帛を用いて形成した洗浄用タオルを提供する。
【解決手段】浴用ボディタオルに使用する洗浄用布帛2は、経糸3と緯糸4により編成した基布からなり、経糸3と緯糸4の交点間に洗浄用の柄糸5を弛みを持たせてラウンド状に編成している。柄糸5は0.9デシテックスの単繊維からなる極細繊維と柄糸繊維を混成した混成繊維を3本、撚成して構成されている。柄糸5の極細繊維の撚り回数は4回/インチであり、柄糸繊維には、2dtexの繊度のポリ乳酸繊維からなり、繊度が150dtexの撚糸を使用し、極細繊維は柄糸繊維に対して60%混成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばボディタオルや垢すりタオル等に使用される洗浄用布帛及びその布帛により形成されたタオルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な浴用タオルには、ナイロンや綿を用いて、例えば、編地で構成された布帛が使用されている。浴用タオルの場合汚れを拭う分には十分であるが、皮膚や毛穴などに入った細かい汚れを落とすのは難しいため、ボディタオルや垢すりタオルが使用されている。
【0003】
ボディタオル等には、十分な洗浄効果を得るために、編地で構成するだけでなく、布面の起伏を大きくするループパイル等を付与した布帛が使用されている。ボディタオル等の布帛として、具体的には、例えば、特許文献1に開示されているように、綿糸の経糸間にジグザグ状に柄糸を編成したり、また、経糸と緯糸を織成し、それらの交点間にループパイルを形成した布帛が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−75235号公報
【特許文献2】特開2010−167273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のボディタオル等の洗浄用布帛には、柄糸素材として、浴用タオルと同様の合成繊維などを使用しているが、柄糸の形成態様をループ形や弛みのあるラウンド形状にしたりしても、泡立ち性、汚れ落ち性及び乾燥性を向上させるのが難しいといった問題があった。
【0006】
本発明の目的は、上記課題に鑑み、優れた泡立ち性、汚れ落ち性及び乾燥性を具備し、ボディタオル等に好適な洗浄用布帛及びその洗浄用布帛を用いて形成したボディタオル等の洗浄用タオルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記課題につき、ボディタオル等に好適な洗浄用布帛の素材を鋭意検討した結果、特許文献2等に示されているように、一般に高吸水性を具備していることが知られている、1デシテックス(dtex)以下の微細繊維を柄糸に使用することに着眼した。そして、泡立ち性、汚れ落ち性及び乾燥性の洗浄用布帛試験を試みた結果、該微細繊維で構成した柄糸を布帛に使用して、泡立ち性、汚れ落ち性及び乾燥性の夫々が良好に保有可能となる知見を得るに至った。即ち、本発明は係る知見に基づいてなされたものであり、本発明の第1の形態は、経糸間に洗浄用の柄糸を編成又は織成し、あるいは、経糸と緯糸の交点間に洗浄用の柄糸を編成又は織成した洗浄用布帛において、前記柄糸が1デシテックス(dtex)以下の単繊維からなる極細繊維を撚成して少なくとも構成された洗浄用布帛である。
なお、本出願における糸の太さの表記には繊度を用い、具体的には、長さを基準にした恒長式表示法によるデシテックス(dtex)を使用する。恒長式表示法は糸の標準長に対して糸の重さがどれだけあるかを表す表示法であり、糸の長さ10000mに対して糸の重さ1gのとき1dtexと呼称する。
【0008】
本発明の第2の形態は、第1の形態において、前記柄糸が前記極細繊維と前記極細繊維より大きい繊度を有した柄糸繊維と共に撚成して構成された洗浄用布帛である。
【0009】
本発明の第3の形態は、第2の形態において、前記極細繊維を前記柄糸繊維に対して20%以上混成した洗浄用布帛である。
【0010】
本発明の第4の形態は、第1、第2又は第3の形態において、前記柄糸の1インチ当たりの撚り回数が1.5〜7.5回/インチである洗浄用布帛である。
【0011】
本発明の第5の形態は、第1〜第4のいずれかの形態において、前記柄糸の本数が2〜4本である洗浄用布帛である。
【0012】
本発明の第6の形態は、第1〜第5のいずれかの形態において、前記極細繊維は、複数の前記単繊維を撚成して100〜300デシテックスの繊度を有する洗浄用布帛である。
【0013】
本発明の第7の形態は、第1〜第6のいずれかの形態において、前記極細繊維の素材は、前記経糸及び前記緯糸と異なる合成繊維からなる洗浄用布帛である。
【0014】
本発明の第8の形態は、前記第7の形態において、前記合成繊維はポリエステル、ナイロン又はポリエステルとナイロンの混成素材である洗浄用布帛である。
【0015】
本発明の第9の形態は、第1〜第8のいずれかの形態において、前記経糸、前記緯糸及び前記柄糸繊維はポリ乳酸繊維からなる洗浄用布帛である。
【0016】
本発明の第10の形態は、第1〜第9のいずれかの形態において、前記柄糸を弛み形状又はループ形状に編成又は織成した洗浄用布帛である。
【0017】
本発明の第11の形態は、第1〜第10のいずれかの形態に係る洗浄用布帛を所定形状に裁断して形成されたタオルである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1の形態によれば、前記柄糸を、1デシテックス以下の単繊維からなる極細繊維を撚成して少なくとも構成することにより、優れた泡立ち性、汚れ落ち性及び乾燥性を具備し、ボディタオル等に好適な洗浄用布帛を提供することが可能となる。
【0019】
前記極細繊維には、ポリエステル又はナイロンの樹脂成分からなる繊維材を使用することができ、また、ポリエステル及びナイロン、あるいはポリエステル及びポリプロピレンの混成繊維を使用することができる。
前記極細繊維には、好ましくは1〜0.01dtexの繊度の単繊維を使用することができる。前記極細繊維を撚成した撚糸(柄糸)としては、50〜500dtex、好ましくは100〜300dtexの繊度のものを使用することができる。
【0020】
本発明における布帛は、前記柄糸を経糸(縦糸)間に編成又は織成し、あるいは、前記柄糸を経糸と緯糸(横糸)の交点間に編成又は織成して形成される。前記柄糸を形成するためのベース繊維である経糸又は緯糸には、ポリ乳酸繊維、ナイロン、アクリル、ポリエステル等の合成繊維、綿、絹、羊毛等の天然繊維、あるいはレーヨン等の再生繊維を使用することができる。ベース繊維には、例えば200〜1000dtexの繊度のものを1本〜5本撚ったものを使用することができる。前記ベース繊維のうちポリ乳酸繊維は生分解性を有して環境に優しい素材であり、しかも人間の体内にも存在する乳酸を原料とするため、生体適合性のある安全な素材であり、身体洗浄用布帛のベース材に好適である。
【0021】
本発明における前記柄糸は前記極細繊維を100%として構成されてもよいし、前記極細繊維とは異なる通常繊維との混成にしてもよい。即ち、本発明の第2の形態によれば、前記柄糸を、前記極細繊維と前記極細繊維より大きい繊度を有した柄糸繊維と共に撚成して構成することにより、前記極細繊維単独構成の場合と同様に、優れた泡立ち性、汚れ落ち性及び乾燥性を具備し、ボディタオル等に好適な洗浄用布帛を提供することができる。前記極細繊維と混成する前記柄糸繊維には、例えば繊度が1〜5dtexで、前記極細繊維より大きい繊度を有した単繊維からなり、前掲のベース繊維と同様の繊維材を使用することができる。
【0022】
本発明の第3の形態によれば、前記極細繊維を前記柄糸繊維に対して20%以上混成した柄糸を使用することにより、優れた泡立ち性、汚れ落ち性及び乾燥性を具備し、ボディタオル等に好適な洗浄用布帛を提供することが可能となる。
【0023】
本発明の第4の形態によれば、前記柄糸の撚り回数を1.5〜7.5回/インチにすることにより、優れた泡立ち性、汚れ落ち性及び乾燥性を具備し、ボディタオル等に好適な洗浄用布帛を提供することが可能となる。
【0024】
本発明の第5の形態によれば、前記柄糸の本数を2〜4本にすることにより、優れた泡立ち性、汚れ落ち性及び乾燥性を具備し、ボディタオル等に好適な洗浄用布帛を提供することが可能となる。
【0025】
本発明の第6の形態によれば、複数の前記単繊維を撚成して100〜300デシテックスの繊度を有する前記極細繊維を使用することにより、優れた泡立ち性、汚れ落ち性及び乾燥性を具備し、ボディタオル等に好適な洗浄用布帛を提供することが可能となる。
【0026】
本発明の第7の形態によれば、前記極細繊維の素材として、前記経糸及び前記緯糸と異なる合成繊維を使用するので、例えば、前記極細繊維にポリエステル又はナイロンの繊維材を使用し、且つ前記経糸及び前記緯糸に、ポリエステル又はナイロンと同程度の強度を有し、且つ環境に優しく、しかも生体適合性のある安全なポリ乳酸繊維を使用して、前記極細繊維で構成された柄糸による汚れ落としを良好に行うと共に、該柄糸を起伏に形成するための基布を身体に安全な繊維材で構成することができる。
【0027】
本発明の第8の形態によれば、ポリエステル、ナイロン又はポリエステルとナイロンの混成素材からなる前記極細繊維を使用することにより、優れた泡立ち性、汚れ落ち性及び乾燥性を具備し、ボディタオル等に好適な洗浄用布帛を提供することが可能となる。
【0028】
本発明の第9の形態によれば、前記経糸、前記緯糸及び前記柄糸繊維にポリ乳酸繊維を使用することにより、該柄糸を起伏に形成するためのベース材を環境に優しく、且つ生体適合性があり、しかも安全な身体に安全な素材で構成することができる。
【0029】
本発明の第10の形態によれば、前記柄糸を弛み形状又はループ形状に編成又は織成したので、ボディタオル等の身体洗浄用タオルに好適な洗浄用布帛を提供することができる。
【0030】
本発明の第11の形態によれば、第1〜第10のいずれかの形態に係る洗浄用布帛を所定形状に裁断して形成されているので、優れた泡立ち性、汚れ落ち性及び乾燥性を具備したボディタオル等の身体洗浄用タオルを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態である浴用ボディタオル1の平面図である。
【図2】前記浴用ボディタオルに使用する洗浄用布帛2の部分拡大平面図である。
【図3】本発明の別の実施形態である洗浄用布帛の部分拡大平面図である。
【図4】前記実施形態における各種洗浄用布帛試験の試験結果を示す表である。
【図5】図4の各種洗浄用布帛試験に用いた判定基準を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施形態に係る浴用ボディタオル1を図面を参照して以下に説明する。
図1は本実施形態の浴用ボディタオル1の平面図である。
【0033】
本実施形態の浴用ボディタオル1は長尺状の矩形タオルであり、幅20cm、長さ90cmのサイズを有する。図1のAは浴用ボディタオル1の一部を拡大した布帛面を示す。
【0034】
図2は本実施形態の浴用ボディタオルに使用している洗浄用布帛2の部分拡大平面図である。浴用ボディタオル1は洗浄用布帛2を上記サイズに裁断して形成されている。
洗浄用布帛2は、経糸3と緯糸4のベース繊維により編成した基布からなり、経糸3と緯糸4の交点間に洗浄用の柄糸5を弛みを持たせてラウンド状に編成して基布面に起伏を形成している。経糸3と緯糸4のベース繊維はポリ乳酸繊維からなる。即ち、基布は、生分解性を有して環境に優しい素材であり、しかも生体適合性のある安全な素材であるポリ乳酸繊維を使用して構成されている。ベース繊維の糸径は300dtexの太さを有する。
【0035】
柄糸5は0.9dtexの単繊維からなる極細繊維と柄糸繊維を混成した混成繊維を3本、撚成して構成されている。柄糸5の極細繊維の撚り回数は4回/インチであり、柄糸繊維には、極細繊維より繊度の大きい2dtexのポリ乳酸繊維からなり、繊度が150dtexの撚糸を使用し、極細繊維を柄糸繊維に対して60%の混成率で混成している。柄糸5としては極細繊維100%のものを使用することができ、また、極細繊維を柄糸繊維に混成する場合には、少なくとも20%以上の混成率にするのが好ましく、例えば20〜80%の混成率に設定することができる。上記の柄糸5の撚糸構成は後述の洗浄用布帛試験の結果に基づいて設定されている。
【0036】
柄糸5の編成は、図2に示すように、経糸3と緯糸4の交点間に、例えば、経糸3と緯糸4の交点(4,3)と、交点(4,3)と対角斜め下方に最隣接する、経糸3m+1と緯糸4n+1の交点(4n+1,3m+1)に亘って編成され、弛みを持たせたラウンド形状に編成されている。図2の柄糸の編成形態は一例にすぎず、例えば、図3に示すように、最隣接する交点より1本の経糸を挟んで離間した交点に編成した洗浄用布帛6を用いてもよい。具体的には、基布を形成する経糸7と緯糸8の交点間において、例えば、図3の一つの柄糸9n+1は、経糸7と緯糸8の交点(8,7)と、交点(8,7)の一つ置きに隣接する経糸7m+2と、斜め一段下の緯糸8n+1の交点(8n+1,7m+2)に亘って編成され、より大きな弛みを持たせたラウンド形状に編成されている。更に、図3の場合には、交点(8n+1,7m+2)と、経糸7に戻る方向の斜め下方の交点(8n+2,7)との間にも、同様の柄糸9m+2n+2が編成され、基布上に多くの柄糸を形成、付加している。図2及び図3では柄糸形態をラウンド形状にしているが、ループ状にしてループパイル形態にしてもよい。なお、本発明は基布形態に編成又は織成せずに、ベースに経糸のみを使用し、経糸間に蛇行状ないしジグザグ状に柄糸を弛み又はループ状に編成又は織成した布帛を使用することができる。
【0037】
柄糸5の撚糸構成の最適条件を得るために行った洗浄用布帛試験は、極細繊維で構成された柄糸の最適撚り回数を検証する撚り回数検証試験、極細繊維で構成された柄糸の最適本数を検証する柄糸本数検証試験及び柄糸への極細繊維の最適な混合比率(混成率)を検証する極細繊維混合検証試験からなり、以下に夫々の検証試験内容及び検証結果を説明する。
【0038】
図4は本実施形態における各種洗浄用布帛試験の結果を示す。これらの洗浄用布帛試験において、ポリエステル70%とナイロン30%の混成素材からなり、1dtexの極細繊維を撚糸した、150dtexの繊度の柄糸を使用した。経糸と緯糸のベース繊維には、ポリ乳酸繊維からなり、繊度が300dtexの単繊維を2本撚った撚糸を使用して、前記柄糸と共に、図2に示す布帛を編成して製作した。試験用のサンプル片としては、前記布帛を裁断して5×5cmの大きさの試料片を作成した。極細繊維混合検証試験においては、極細繊維で構成された柄糸に混成する柄糸繊維(通常繊維)として、2dtexの太さのポリ乳酸繊維からなり、繊度が150dtexのものを使用した。なお、ベース繊維には、例えば200〜1000dtexの繊度のものを1本〜5本撚ったものを使用することができる。
【0039】
撚り回数検証試験においては、極細繊維で構成された柄糸の1インチ当たりの撚り回数を3分類に変えて行った。即ち、撚り回数の分類は、0〜1.5回/インチ、1.5〜2.5回/インチ及び3.5回/インチ以上の3種類であり、各分類において少なくとも3種類以上の試験を試みた。撚り回数の上限は極細繊維の耐久性を考慮して7.5回とした。図4の(4A)は撚り回数検証試験の検証結果を示す。
【0040】
柄糸本数検証試験においては、極細繊維で構成された柄糸の本数を3分類に変えて行った。即ち、柄糸本数の分類は、1本、2〜3本及び4本の3種類である。図4の(4B)は柄糸本数検証試験の検証結果を示す。
【0041】
極細繊維混合検証試験においては、極細繊維で構成された柄糸における通常繊維に対する極細繊維の混成率を3分類に変えて行った。即ち、極細繊維の混成率の分類は、0〜20%、20〜80%及び80〜100%の3種類であり、各分類において少なくとも3種類以上の試験を実施した。図4の(4C)は極細繊維混合検証試験の検証結果を示す。
【0042】
各検証試験の評価は、泡立ち性を評価する泡立ち試験、汚れ落ち性を評価する汚れ落ち試験及び乾燥性を評価する乾燥性試験によって行った。図5は泡立ち試験、汚れ落ち試験及び乾燥性試験の夫々の評価に用いる判定基準を示す。
【0043】
泡立ち試験は以下の手順により行う。
(1)ボディソープの3%水溶液を作る。
(2)1リットルのメスシリンダーに前記3%水溶液を100ml入れる。
(3)針金の先にボディタオル用布帛のサンプル片を引っ掛けて、前記メスシリンダー内で針金を10回上下させる。上下させる幅はサンプル片下端がメスシリンダー底部を離れる程度まで上にあげ、上下させる。
(4)サンプル片を前記メスシリンダー内で10回上下させた後、サンプル片についた泡を手でしごいて、極力メスシリンダー内に搾り出す。
(5)前記メスシリンダー内に搾り出した泡の量を測定する。この泡測定は泡の上端と下端間の量に基づき行う。
(6)上記1〜5の測定を3回繰り返し行って、得られた泡の量の平均値を求める。
【0044】
図5の(5A)は泡立ち試験の評価に用いる判断基準を示す。即ち、上記泡立ち試験により得られた、泡の量の平均値が800ml以上のとき最高評価◎、600〜800mlのとき優評価○、400〜600mlのとき良評価△、400ml以下のとき不良評価×と判断する。泡立ち試験において、◎、○、△の評価結果を得たとき、サンプルの布帛がボディタオル等の身体洗浄用タオルとして実用可能なものと判断される。
【0045】
汚れ落ち試験は以下の手順により行う。
(1)人口皮膚(ビューラックス社製のバイオスキンを7×10cmサイズにカットして使用)に均一に市販のファンデーションを塗布する。計測対象を撮像して2値化し、その汚れ度合いを計測するカラー識別装置により、前記ファンデーションの塗布面の反射率(Y値)を計測して初期値とする。ボディタオル用布帛のサンプル片はあらかじめイオン交換水で濡らした後、手で固く絞って水切りをしておく。
(2)塗膜の摩耗性を測定するためのウォッシャビリティテスターの小ホルダー(大きさ:4×9cm)に、前記水切りをしたサンプル片を2枚重ねてガムテープで貼着して固定する。
(3)サンプル片の表面にボディソープ2%水溶液を2ml滴下する。
(4)ウォッシャビリティテスターによるブラシ摩耗動作を2往復駆動させて、2往復ごとにファンデーションの剥がれ落ち具合を前記カラー識別装置により計測して、洗浄後のY値を検出する。
(5)2往復後のY値と初期値を基に、(洗浄後のY値−初期値)/初期値から計算して汚れ落ち率を求める。
【0046】
図5の(5B)は汚れ落ち試験の判断基準を示す。即ち、上記汚れ落ち試験により得られた汚れ落ち率が40%以上のとき最高評価◎、30〜40%のとき優評価○、20〜30%のとき良評価△、20%以下のとき不良評価×と判断する。汚れ落ち試験において、◎、○、△の評価結果を得たとき、サンプルの布帛がボディタオル等の身体洗浄用タオルとして実用可能なものと判断される。
【0047】
乾燥性試験は以下の手順により行う。
(1)温調室(室温20℃、湿度65%)にボディタオル用布帛のサンプル片を入れて1日放置した後、重量を測定し初期値とする。
(2)前記サンプル片を水洗した後、手で固くしぼる。
(3)しぼったサンプル片の重量を測定する。
(4)しぼったサンプル片を、再び、片温調室に入れて吊るし放置する。放置後、2時間ごとに重量測定し、サンプル片の重量が初期値に戻るまでの時間を乾燥時間とする。
【0048】
図5の(5C)は乾燥性試験の判断基準を示す。即ち、上記乾燥性試験により得られた乾燥時間が6時間以内のとき最高評価◎、6〜8時間のとき優評価○、8〜10時間のとき良評価△、10時間以上のとき不良評価×と判断する。乾燥性試験において、◎、○、△の評価結果を得たとき、サンプルの布帛がボディタオル等の身体洗浄用タオルとして実用可能なものと判断される。
【0049】
上記撚り回数検証試験によれば、図4の(4A)の試験結果に示すように、1dtexの極細繊維で構成された柄糸を使用する場合、その撚り回数が1.5〜7.5回/インチのときに、泡立ち性、汚れ落ち性及び乾燥性の全てを良好に保有する好適な撚り回数条件となることが分かった。
【0050】
上記柄糸本数検証試験によれば、図4の(4B)の試験結果に示すように、1dtexの太さの極細繊維で構成された柄糸を使用する場合、柄糸の本数が2〜4本であるときに、泡立ち性、汚れ落ち性及び乾燥性の全てを良好に保有する好適な柄糸本数となることが分かった。
【0051】
上記極細繊維混合検証試験によれば、図4の(4C)の試験結果に示すように、1dtexの繊度の極細繊維で構成された柄糸を使用する場合、通常繊維に対する極細繊維の混成率を20%以上有することが、泡立ち性、汚れ落ち性及び乾燥性の全てを良好に保有する好適な柄糸混合率となることが分かった。
以上の撚り回数検証試験、柄糸本数検証試験及び極細繊維混合検証試験においては、1dtex未満の繊度、即ち、0.01〜0.9dtexの繊度の極細繊維で構成され柄糸を使用した場合にも同様の検証結果が得られた。また、柄糸の撚糸形態として、前記極細繊維を撚成した撚糸が50〜500dtex(好ましくは100〜300dtex)の繊度のものを使用しても同様の検証結果が得られた。ポリエステルとナイロンの混成率を変えた柄糸あるいは夫々、100%構成の柄糸を使用した場合にも同様の検証結果が得られた。
【0052】
本実施形態においては、柄糸5には0.9dtexの単繊維からなる極細繊維と柄糸繊維を混成した混成繊維を3本、撚成して構成しており、しかも柄糸5の撚り回数は4回/インチであるので、上記の好適な柄糸本数、柄糸混合率及び撚り回数条件の条件を満たしている。従って、本実施形態に係るボディタオルは、優れた泡立ち性、汚れ落ち性及び乾燥性を具備し洗浄用布帛により構成されており、泡立ち及び汚れ落ちが良好で、しかも乾燥時間も短くて済む身体洗浄用に好適なタオル特性を具備している。
【0053】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明によれば、優れた泡立ち性、汚れ落ち性及び乾燥性を具備し洗浄用布帛により、泡立ち及び汚れ落ちに優れ、しかも乾燥時間も短くて済む身体洗浄用ボディタオル等の洗浄用タオルを実現することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 浴用ボディタオル
2 洗浄用布帛
3 経糸
4 緯糸
5 柄糸
6 洗浄用布帛
7 経糸
8 緯糸
9 柄糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経糸間に洗浄用の柄糸を編成又は織成し、あるいは、経糸と緯糸の交点間に洗浄用の柄糸を編成又は織成した洗浄用布帛において、前記柄糸が1デシテックス以下の単繊維からなる極細繊維を撚成して少なくとも構成されたことを特徴とする洗浄用布帛。
【請求項2】
前記柄糸が、前記極細繊維と、前記極細繊維より大きい繊度を有した柄糸繊維と共に撚成して構成された請求項1に記載の洗浄用布帛。
【請求項3】
前記極細繊維を前記柄糸繊維に対して20%以上混成した請求項2に記載の洗浄用布帛。
【請求項4】
前記柄糸の1インチ当たりの撚り回数が1.5〜7.5回/インチである請求項1、2又は3に記載の洗浄用布帛。
【請求項5】
前記柄糸の本数が2〜4本である請求項1〜4のいずれかに記載の洗浄用布帛。
【請求項6】
前記極細繊維は、複数の前記単繊維を撚成して100〜300デシテックスの繊度を有する請求項1〜5のいずれかに記載の洗浄用布帛。
【請求項7】
前記極細繊維の素材は、前記経糸及び前記緯糸と異なる合成繊維からなる請求項1〜6のいずれかに記載の洗浄用布帛。
【請求項8】
前記合成繊維はポリエステル、ナイロン又はポリエステルとナイロンの混成素材である請求項7に記載の洗浄用布帛。
【請求項9】
前記経糸、前記緯糸及び前記柄糸繊維をポリ乳酸繊維により形成した請求項1〜8のいずれかに記載の洗浄用布帛。
【請求項10】
前記柄糸を弛み形状又はループ形状に編成又は織成した請求項1〜9のいずれかに記載の洗浄用布帛。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の洗浄用布帛を所定形状に裁断して形成されたことを特徴とするタオル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−70954(P2012−70954A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218165(P2010−218165)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000133445)株式会社ダスキン (119)
【Fターム(参考)】