洗浄装置
【課題】薬剤の使用量が少なく洗浄効果の高い洗浄装置を提供する。
【解決手段】便器１０内面に薬剤を吐出する薬剤吐出手段３９と、この被洗浄面の温度を上昇させる加温手段３８とを備えたもので、これによって、薬剤を吐出する便器洗浄面の温度を上昇させ、洗浄効果を向上させることによって、薬剤の使用量を低減するものである。
【解決手段】便器１０内面に薬剤を吐出する薬剤吐出手段３９と、この被洗浄面の温度を上昇させる加温手段３８とを備えたもので、これによって、薬剤を吐出する便器洗浄面の温度を上昇させ、洗浄効果を向上させることによって、薬剤の使用量を低減するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、便器や衛生洗浄装置を洗浄する洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、この種の洗浄装置は、便器内に薬剤を噴霧する薬剤噴霧手段と人体局部を洗浄する人体洗浄手段を有する洗浄装置であって、前記薬剤噴霧手段による薬剤噴霧動作と前記人体洗浄手段による人体洗浄動作とを互いに連動させるものであった（例えば、特許文献１参照）。
【０００３】
図８は、特許文献１に記載された従来の洗浄装置を示すものである。これは、便器に装着された衛生洗浄装置であって、図８に示すように、外部の給水源側から、給水ユニット１と熱交換ユニット２と給水流量調整ユニット３と流路切替ユニット４を備え流路切替ユニット４から先は便器洗浄流路５と人体洗浄流路６の２流路に分かれる。便器洗浄流路５は途中に薬剤混入ユニット７を備え、さらにその先には便器洗浄ノズル８が接続されている。人体洗浄流路６の先には人体洗浄ノズル９が接続されている。洗浄水は給水ユニット１により外部より取り込まれ、熱交換ユニット２へ送り込まれる。熱交換ユニット２で洗浄水は温水化され、給水流量調整ユニット３へ送り込まれる。給水流量調整ユニット３は下流側への洗浄水の流量の調整を行い、調整した流量の洗浄水を流路切替ユニット４へと送り込む。流路切替ユニット４は洗浄水を便器洗浄流路５と人体洗浄流路６のどちらかに対して選択的に洗浄水を供給する。便器洗浄流路５に送り込まれた洗浄水は薬剤混入ユニット７を通過する際に薬剤を付加され、その後便器洗浄ノズル８より便器面に対して噴霧される。人体洗浄流路６に送り込まれた洗浄水は人体洗浄ノズル９へと送り込まれ人体に対して噴霧される。
【０００４】
この洗浄装置において、便器洗浄ノズル８による薬剤噴霧動作と人体洗浄ノズル９による人体洗浄動作とを互いに連動させので、例えば、人体洗浄終了後一定時間後に薬剤を噴霧するような設定にしてやれば人体洗浄装置を使用者が操作して人体洗浄を行うだけで、新たに使用者が何らかの操作を行うこと無く便器内に自動的に薬剤を噴霧することが出来るとしている。
【０００５】
また、熱交換ユニット２より下流側に薬剤混入ユニット７を配置させることにより、温水によって便器洗浄を行うことになり、温水によって便器の汚れを効果的に落とすことが出来るという効果が得られるとしている。
【特許文献１】特開２００３−２７８２１９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら、図８の従来の構成では、便器洗浄ノズル８から温水を噴霧する場合は、薬剤混入ユニット７からは常時薬剤が温水に混入する構成であるため、便器に温水が噴霧されて便器表面の温度が上昇し、洗浄効果が上がってくるまでの間にも薬剤を消費し続けるため、汚れを十分に落とすまでに薬剤の使用量が多くなり、頻繁に薬剤の補給が必要であった。
【０００７】
また、薬剤が温水により希釈されるため、強力な汚れに対して薬剤の効果が発揮できない場合があった。そのため洗浄時間が長くなり薬剤の使用量だけでなく、エネルギーロスも多くなっていた。
【０００８】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、薬剤の使用量が少なく洗浄効果の高い洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
前記従来の課題を解決するために、本発明の洗浄装置は、被洗浄面に薬剤を吐出する薬剤吐出手段と、この被洗浄面の温度を上昇させる加温手段とを備えた、この加温手段により被洗浄面を加熱した後に薬剤を吐出するものである。
【００１０】
これによって、薬剤を吐出する被洗浄面の温度を上昇させ、洗浄効果を向上させるものである。
【発明の効果】
【００１１】
本発明の洗浄装置は、薬剤が吐出される洗浄面の温度が上昇するので、洗浄効果が高くなり、使用する薬剤の量を減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
第１の発明は、少なくとも被洗浄面に薬剤を吐出する薬剤吐出手段と、前記被洗浄面の温度を上昇させる加温手段とを備え、前記加温手段により被洗浄面を加熱した後に薬剤を吐出することにより、薬剤が吐出される被吐出面の温度が上昇するので薬剤の洗浄効果が上がり、結果として薬剤の使用量を減らすことができる。
【００１３】
第２の発明は、特に、第１の発明の加温手段を、被洗浄面を直接加熱する加熱手段より構成にすることにより、被吐出面を直接加熱できるので、簡単な構成で確実に被洗浄面の温度を上昇させることができる。したがって、簡単な構成で洗浄効果の高い洗浄ができる。
【００１４】
請求項３に記載の発明は、特に、第１の発明の加温手段を、被洗浄面に温水を吐出する温水吐出手段より構成し、被洗浄面に事前に温水を吐出して加熱し、その後薬剤を吐出することにより、被加熱面を素早く加熱し、洗浄できる。また温水により、汚れを膨潤させたり、剥離させる効果もあるので、より洗浄効果が高まる。
【００１５】
請求項４に記載の発明は、特に、第１の発明の加温手段を、被洗浄面に蒸気を吐出する蒸気吐出手段より構成し、被洗浄面に事前に蒸気を吹き付けて加熱し、その後薬剤を吐出により、被加熱面をより素早く加熱し、洗浄することができる。また、蒸気により洗浄効果が高まるだけでなく、殺菌効果や防カビ効果もある。
【００１６】
請求項５に記載の発明は、特に、第３または４の発明の薬剤吐出手段の薬剤吐出動作と、加温手段の吐出動作とを連動させたもので、薬剤を吐出する前に、加温手段により被吐出面に湯や蒸気を吐出して加熱したり、薬剤吐出後に再び加温手段で被吐出面に湯や蒸気を吐出するなどの動作を、自動的に連動できる。したがって、効率的な洗浄やすすぎ動作を自動的に行なえるので、使い勝手がよい。
【００１７】
請求項６に記載の発明は、特に、第３の発明の薬剤吐出手段として、温水吐出手段の経路に選択的に薬剤を混入するものであって、温水吐出手段により被洗浄面を加熱した後に、温水に薬剤を混入して薬剤を被洗浄面に吐出する構成とすることにより、１つの経路で温水吐出と薬剤吐出が行なえるので、構成が簡単になる。
【００１８】
請求項７に記載の発明は、特に、第１〜６のいずれか１つの発明に薬剤を霧化する霧化手段を備えたもので、薬剤を吐出する場合に、薬剤を微細に霧化して吐出することにより、非洗浄面に薬剤を薄くムラ無く吐出できる。したがって薬剤の洗浄効率が上がり、薬剤の使用量を減らすことができる。
【００１９】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施形態によって本発明が限定されるものではない。
【００２０】
（実施の形態１）
図１は第１の実施の形態における洗浄装置の外観を示すものである。図１において、便器１０には洗浄装置１１が載置され、洗浄装置１１の本体部１１ａ、使用者が着座するための便座１２、便蓋１３、人体の局部を洗浄するための洗浄ノズル１４等から構成されている。本体部１１ａには給水源から洗浄水の給水するための給水管および商用電源から給電するための電気ケーブル（いずれも図示せず）が備えてある。また、洗浄装置１１の内部には使用者が肛門の洗浄を行うためのお尻洗浄機能、小用後の女性局部を洗浄するビデ洗浄機能のほか洗浄後の人体局部を乾燥するための乾燥機能、寒冷時にトイレ空間を暖房する部屋暖房機能等（いずれも図示せず）が備えてあり、各々の操作はリモートコントローラ１５（以下、リモコンとする）によってなされる。また、本体部１１ａには使用者の着座を検知する着座検知手段１６を備えており、着座検知状態時のみ洗浄機能や乾燥機能が動作可能である。この着座検知手段１６は、赤外線により使用者の便座１２への着座の有無を検知するものであるが、方式としては便座の静電容量を検知するもの、超音波等を用いて使用者の便座への着座を検知するもの、さらにはトイレに入室あるいは退室したことを検知するものや、例えばトイレの照明に連動して使用者の存在を検知する方式等でも可能である。
【００２１】
図２はリモコン１５の外観を示すものであり、お尻洗浄スイッチ１７、ビデ洗浄スイッチ１８、乾燥スイッチ１９、各機能のインジケータ２０、調節スイッチ２１、停止スイッチ２２および後述する便器１０の内面を洗浄動作させる便器洗浄スイッチ２３を有している。そして使用者の操作信号は赤外線等の無線信号によって洗浄装置の本体部１１ａへ送信される構成となっている。なお、便器洗浄スイッチ２３が押釦されることによる後述の便器洗浄動作は、上記着座検知手段１６が非着座検知状態時のみ実行されるように構成されている。
【００２２】
図３は第１の実施の形態における洗浄装置１１の水回路を示す模式図である。同図において、給水源２４に接続された分岐水栓２５より洗浄装置１１に水道水を供給する。水道水は、ストレーナ２６、逆止弁２７、定流量弁２８、元電磁弁２９、流量センサ３０を経て、温水ユニット３１に供給される。元電磁弁２９の下流に余剰の水を廃棄する捨て水回路３２が接続されている。流量センサ３０は温水ユニット３１への流量を計測する。温水ユニット３１は内部にヒータを備えて洗浄用の洗浄水を加熱する温水ユニットであり、洗浄時のみ加熱する瞬間湯沸かし型もしくは所定量のお湯を常時所定温に加熱して貯湯しておく貯湯型が適用できる。本第１の実施の形態では瞬間湯沸かし型の温水ユニットを採用している。温水ユニット３１からの供給される温水は、水ポンプ３３で流量が調整され、お尻ノズル３４、ビデノズル３５より成る洗浄ノズル１４および便器洗浄ノズル３６より吐出される。これらノズルへはノズル切換手段３７を介して択一的に供給可能に構成されている。便器洗浄ノズル３６の開放端は便器内面全体に拡散するように配置されており、被洗浄面である便器内部に貯まる水洗水喫水線より上部の壁面を温水により加熱できるように構成される。第１の実施の形態では、この便器１０内面に温水を吐出する温水回路が加温手段３８であり、温水吐出手段を構成している。
【００２３】
薬剤吐出手段３９は、薬剤を貯留する薬剤タンク４０と、薬剤を霧化する霧化手段４１と、霧化した薬剤を便器内部に誘導する吐出口４２より成っている。薬剤は、公知の酸性洗剤もしくは中性洗剤もしくはアルカリ性洗剤もしくは酸素系漂白剤もしくは塩素系漂白剤もしくは便器面への汚れの付着防止効果のあるコーティング剤もしくはアルコールもしくは消毒薬もしくは芳香液のいずれかである。霧化手段４１は、超音波発振手段よりなり、効果的に汚れを剥離させるのは１から２０μｍがよいとされており、この粒子径を実現する手段として超音波発振手段が最適である。
【００２４】
制御手段４３は、便器洗浄の制御を行なうもので、元電磁弁２９、温水ユニット３１、水ポンプ３３、ノズル切換手段３７、霧化手段４１等を制御して、便器内面への温水吐出と薬剤噴霧を行なう。
【００２５】
以上のように構成された洗浄装置について、図４に示すタイムチャートに基づいてその作用、動作について説明する。
【００２６】
洗浄装置１１は、使用者が便座１２に着座し、リモコン１５の各操作スイッチを操作することで局部洗浄、乾燥機能等が実行される。
【００２７】
一方、便器洗浄を実行する場合は、リモコン１５の便器洗浄スイッチ２３を押釦することで実行される。すなわち、図４において便器洗浄スイッチ２３の押釦によってまず着座検知手段１６によって使用者が着座しているか否かが検出され、非着座時のみノズル洗浄動作に移行し、着座時はノズル洗浄動作を実行しない。これにより、着座時に薬剤や便器洗浄用の温水が人体に付着するなどの不都合が回避できる。
【００２８】
非着座である場合は制御手段４３が動作して、まず元電磁弁２９が開弁し、洗浄水が流量センサ３１を経て温水ユニット３２に流入し、給水温から便器洗浄に適した温度に加熱する。ここでは、４０℃前後までの加熱とし、人体洗浄における温度と同レベルに設定することで、安全性を確保している。加熱された温水は水ポンプ３３の運転によって設定流量のＱ1に制御され、ノズル切換手段３７は便器洗浄ノズル３６側に連通して便器１０内に供給される。便器洗浄ノズル３６ではこの開放端から便器１０内面に噴射される。この動作によって被洗浄面である便器内面が加熱される。
【００２９】
温水吐出を所定時間Ｔ１継続した後に元電磁弁２９を閉弁し、薬剤吐出手段３９の霧化手段４１を所定時間Ｔ２だけ駆動させる。霧化手段４１の超音波発振により薬剤タンク４０から霧化された薬剤が溢れ出し、吐出口４２を経て便器１０内面に注がれる。微細化した薬剤粒子は便器内を漂いながら被洗浄面である便器内面全体に付着し、汚れを浮き上がらせる。
【００３０】
さらにＴ２が経過すると霧化手段４１の駆動を停止し、所定時間Ｔ３だけ放置する。この時間帯により薬剤が汚れに浸透して、さらに汚れを剥離させるように作用する。
【００３１】
Ｔ３が経過すると再び元電磁弁２９を所定時間Ｔ４だけ開弁し、水ポンプ３３の運転によって設定流量のＱ２に制御され、便器洗浄ノズル３６より洗浄水を便器の内面面に噴射して、汚れと共に薬剤を洗い流す。この時温水ユニット３２の運転は必要ないが、水温が低い場合はすすぎの効果を上げるのに温水ユニットを運転してもよい。そしてＴ４経過後に元電磁弁２９を閉弁して停止する。そして、ノズル切り換え手段は、便器洗浄ノズル位置から初期の位置へ戻る。
【００３２】
なお、第１の実施の形態では便器内面の加熱、薬剤噴霧、放置、すすぎを実行する例を説明したが、それに限定されるものではない。例えば、放置時間Ｔ３をなくして時間を短縮したり、すすぎを便器自身の水洗機能を利用することもできる。また汚れが少ない場合は、便器内面の加熱行程または薬剤噴霧工程を省略してもよい。
【００３３】
また、本第１の実施の形態での便器内面の加熱では４０℃前後の温水を用いたが、更に高温の温水を用いることにより、被洗浄面の温度を短時間で上昇させることができ、さらに汚れの膨潤効果が上がり、洗浄性能が向上することができる。
【００３４】
また、本第１の実施の形態では薬剤を霧化するのに超音波発振子を用いたが、薬剤タンクを加圧して噴霧ノズルを用いて噴霧してもよい。この場合、噴霧粒子径は大きくなるがコストを低減できる。
【００３５】
以上述べたように本第１の実施の形態では、便器洗浄ノズル３６による温水吐出で、便器内の洗浄面の洗浄面の温度が上昇するので、薬剤を噴霧した場合の洗浄効果が高くなり、使用する薬剤の量を減らすことができる。
【００３６】
また、便器洗浄スイッチ２３を設けたので、トイレ掃除など必要時に押釦することで、薬剤吐出手段３９の薬剤吐出動作と、加温手段３８の温水吐出動作とを自動的に連動させ便器洗浄が実行されるので、使い勝手がよい。
【００３７】
また、着座検知手段１６を備え、この着座検知手段１６の信号が非着座状態時のみ便器洗浄を実行するので、着座時に便器洗浄時の温冷水や薬剤が吐出されることがないので、使い勝手が向上する。
【００３８】
（実施の形態２）
図５は、本発明の第２の実施の形態における洗浄装置の水回路を示す模式図を示すものである。
【００３９】
図５において、第１の実施の形態と異なる所は、加温手段４４を、ノズル切換手段３７と便器洗浄ノズル３６との間に蒸気発生器４５を設け、便器内面に蒸気を吐出する蒸気吐出手段とした点にある。蒸気発生器４５は、ヒータ４６を内蔵し、温水ユニット３１からの温水を加熱して蒸気を生成させる。そして、発生した蒸気は便器洗浄ノズル３６の開放端より便器内面に噴出される。なお、第１の実施の形態と同一符号のものは同一構造を有し、説明は省略する。
【００４０】
第２の実施の形態では、加温手段として蒸気を用いるので、薬剤吐出手段３９の被洗浄面温度をより高温にすることができるので、薬剤の活性が高まり洗浄効果がより向上する。また、蒸気自身にも高い洗浄効果があり、薬剤との相互作用により高い洗浄性能が発揮できる。
【００４１】
また、蒸気が被洗浄面全体に拡散し、便器内面全体を効果的に除菌することができる。またこの時の便器内面の表面温度は７０℃以上が望ましく、好ましくは８０℃前後に設定する。すなわち、食品分野において、ビールの殺菌が５５〜６０℃、清酒の殺菌も５５〜６０℃、味噌の殺菌が６０℃前後などの例があるとともに、病原菌の死滅温度は、赤痢菌、腸チフス菌、パラチフス菌、大腸菌、腸炎ビブリオ、ブルセラ菌、連鎖球菌、ブドウ球菌などいずれも６０℃であるといわれている。蒸気の温度は高いほど除菌効果も大きいが、蒸気温度を７０℃〜１１０℃にすることによって、洗浄装置１１の構成部材の各部耐熱温度を含め、装置の故障や損傷をさせることなく、かつ効果的に細菌群や真菌類による汚染を防止することを両立できる。
【００４２】
（実施の形態３）
図６は、本発明の第３の実施の形態における洗浄装置の水回路を示す模式図を示すものである。
【００４３】
図６において、第１の実施の形態と異なる所は、加温手段として、便器１０の被洗浄面である内面の裏側に面状ヒータで構成する加熱手段４７を内蔵して構成し、薬剤吐出手段３９により薬剤を便器内面に噴霧する前に、便器内面を加温する点にある。このことにより、塗布された薬剤の温度も上がり、薬剤の活性が上昇して、洗浄効果が高まる。なお、薬剤のすすぎの工程は便器の水洗機能をそのまま利用するものとして、第１の実施の形態で用いた便器洗浄ノズルは、ここでは用いていない。もちろん第１の実施の形態と同様に便器洗浄ノズル備えて、すすぎを行なってもよい。第１の実施の形態と同一符号のものは同一構造を有し、説明は省略する。
【００４４】
第３の実施の形態では、便器内面を加熱するのに温水吐出の工程がないので温水の使用量を節約できる。
【００４５】
（実施の形態４）
図７は、本発明の第４の実施の形態における洗浄装置の水回路を示す模式図を示すものである。
【００４６】
図７において、第１の実施の形態と異なる所は、薬剤吐出手段として、薬剤タンク４８に貯留する薬剤を薬剤ポンプ４９と逆止弁５０を介して送出し、この送出する薬剤をノズル切換手段３７から便器洗浄ノズル３６に至る経路に混入するように構成した点にある。なお、第１の実施の形態と同一符号のものは同一構造を有し、説明は省略する。そして、便器洗浄を行なう際の、便器内面の加熱の工程では、薬剤ポンプ４９を停止した状態で、便器洗浄ノズル３６から温水を散布して、便器内面を温水により温める。次に薬剤吐出の工程では、便器洗浄ノズル３６から温水を散布したまま、薬剤ポンプ４９を駆動して温水に薬剤を混入して便器内面に散布する。そしてすすぎの工程では、薬剤ポンプ４９と温水ユニット３１を停止して、便器洗浄ノズル３６から水のみを散布して薬剤をすすぎ流すように作用する。
【００４７】
第４の実施の形態では、便器内面の加熱と薬剤の散布を便器洗浄ノズル３６一本でできるので、構成が簡単でコストも低くできる。
【産業上の利用可能性】
【００４８】
以上のように、本発明にかかる洗浄装置は、薬剤を用いた洗浄において被洗浄面温度を上昇させて行なうことにより、洗浄効果を高めて薬剤の使用量を減らすもので、便器の洗浄のほか温水洗浄便座本体や便座の洗浄、浴槽洗浄や洗面ボールの洗浄、台所のシンク内の洗浄、車両洗浄装置等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【００４９】
【図１】本発明の実施の形態１における洗浄装置の外観斜視図
【図２】本発明の実施の形態１におけるリモコンの斜視図
【図３】本発明の実施の形態１における洗浄装置の水回路構成のブロック図
【図４】本発明の実施の形態１における衛生洗浄装置のタイムチャート
【図５】本発明の実施の形態２における衛生洗浄装置の水回路構成のブロック図
【図６】本発明の実施の形態３における衛生洗浄装置の水回路構成のブロック図
【図７】本発明の実施の形態４における衛生洗浄装置の水回路構成のブロック図
【図８】従来の流体加熱装置の構成図
【符号の説明】
【００５０】
１０ 便器
１１ 洗浄装置
３８ 加温手段（温水吐出手段）
３９ 薬剤吐出手段
４０ 霧化手段
４４ 加温手段（蒸気吐出手段）
４７ 加温手段（加熱手段）
【技術分野】
【０００１】
本発明は、便器や衛生洗浄装置を洗浄する洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、この種の洗浄装置は、便器内に薬剤を噴霧する薬剤噴霧手段と人体局部を洗浄する人体洗浄手段を有する洗浄装置であって、前記薬剤噴霧手段による薬剤噴霧動作と前記人体洗浄手段による人体洗浄動作とを互いに連動させるものであった（例えば、特許文献１参照）。
【０００３】
図８は、特許文献１に記載された従来の洗浄装置を示すものである。これは、便器に装着された衛生洗浄装置であって、図８に示すように、外部の給水源側から、給水ユニット１と熱交換ユニット２と給水流量調整ユニット３と流路切替ユニット４を備え流路切替ユニット４から先は便器洗浄流路５と人体洗浄流路６の２流路に分かれる。便器洗浄流路５は途中に薬剤混入ユニット７を備え、さらにその先には便器洗浄ノズル８が接続されている。人体洗浄流路６の先には人体洗浄ノズル９が接続されている。洗浄水は給水ユニット１により外部より取り込まれ、熱交換ユニット２へ送り込まれる。熱交換ユニット２で洗浄水は温水化され、給水流量調整ユニット３へ送り込まれる。給水流量調整ユニット３は下流側への洗浄水の流量の調整を行い、調整した流量の洗浄水を流路切替ユニット４へと送り込む。流路切替ユニット４は洗浄水を便器洗浄流路５と人体洗浄流路６のどちらかに対して選択的に洗浄水を供給する。便器洗浄流路５に送り込まれた洗浄水は薬剤混入ユニット７を通過する際に薬剤を付加され、その後便器洗浄ノズル８より便器面に対して噴霧される。人体洗浄流路６に送り込まれた洗浄水は人体洗浄ノズル９へと送り込まれ人体に対して噴霧される。
【０００４】
この洗浄装置において、便器洗浄ノズル８による薬剤噴霧動作と人体洗浄ノズル９による人体洗浄動作とを互いに連動させので、例えば、人体洗浄終了後一定時間後に薬剤を噴霧するような設定にしてやれば人体洗浄装置を使用者が操作して人体洗浄を行うだけで、新たに使用者が何らかの操作を行うこと無く便器内に自動的に薬剤を噴霧することが出来るとしている。
【０００５】
また、熱交換ユニット２より下流側に薬剤混入ユニット７を配置させることにより、温水によって便器洗浄を行うことになり、温水によって便器の汚れを効果的に落とすことが出来るという効果が得られるとしている。
【特許文献１】特開２００３−２７８２１９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら、図８の従来の構成では、便器洗浄ノズル８から温水を噴霧する場合は、薬剤混入ユニット７からは常時薬剤が温水に混入する構成であるため、便器に温水が噴霧されて便器表面の温度が上昇し、洗浄効果が上がってくるまでの間にも薬剤を消費し続けるため、汚れを十分に落とすまでに薬剤の使用量が多くなり、頻繁に薬剤の補給が必要であった。
【０００７】
また、薬剤が温水により希釈されるため、強力な汚れに対して薬剤の効果が発揮できない場合があった。そのため洗浄時間が長くなり薬剤の使用量だけでなく、エネルギーロスも多くなっていた。
【０００８】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、薬剤の使用量が少なく洗浄効果の高い洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
前記従来の課題を解決するために、本発明の洗浄装置は、被洗浄面に薬剤を吐出する薬剤吐出手段と、この被洗浄面の温度を上昇させる加温手段とを備えた、この加温手段により被洗浄面を加熱した後に薬剤を吐出するものである。
【００１０】
これによって、薬剤を吐出する被洗浄面の温度を上昇させ、洗浄効果を向上させるものである。
【発明の効果】
【００１１】
本発明の洗浄装置は、薬剤が吐出される洗浄面の温度が上昇するので、洗浄効果が高くなり、使用する薬剤の量を減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
第１の発明は、少なくとも被洗浄面に薬剤を吐出する薬剤吐出手段と、前記被洗浄面の温度を上昇させる加温手段とを備え、前記加温手段により被洗浄面を加熱した後に薬剤を吐出することにより、薬剤が吐出される被吐出面の温度が上昇するので薬剤の洗浄効果が上がり、結果として薬剤の使用量を減らすことができる。
【００１３】
第２の発明は、特に、第１の発明の加温手段を、被洗浄面を直接加熱する加熱手段より構成にすることにより、被吐出面を直接加熱できるので、簡単な構成で確実に被洗浄面の温度を上昇させることができる。したがって、簡単な構成で洗浄効果の高い洗浄ができる。
【００１４】
請求項３に記載の発明は、特に、第１の発明の加温手段を、被洗浄面に温水を吐出する温水吐出手段より構成し、被洗浄面に事前に温水を吐出して加熱し、その後薬剤を吐出することにより、被加熱面を素早く加熱し、洗浄できる。また温水により、汚れを膨潤させたり、剥離させる効果もあるので、より洗浄効果が高まる。
【００１５】
請求項４に記載の発明は、特に、第１の発明の加温手段を、被洗浄面に蒸気を吐出する蒸気吐出手段より構成し、被洗浄面に事前に蒸気を吹き付けて加熱し、その後薬剤を吐出により、被加熱面をより素早く加熱し、洗浄することができる。また、蒸気により洗浄効果が高まるだけでなく、殺菌効果や防カビ効果もある。
【００１６】
請求項５に記載の発明は、特に、第３または４の発明の薬剤吐出手段の薬剤吐出動作と、加温手段の吐出動作とを連動させたもので、薬剤を吐出する前に、加温手段により被吐出面に湯や蒸気を吐出して加熱したり、薬剤吐出後に再び加温手段で被吐出面に湯や蒸気を吐出するなどの動作を、自動的に連動できる。したがって、効率的な洗浄やすすぎ動作を自動的に行なえるので、使い勝手がよい。
【００１７】
請求項６に記載の発明は、特に、第３の発明の薬剤吐出手段として、温水吐出手段の経路に選択的に薬剤を混入するものであって、温水吐出手段により被洗浄面を加熱した後に、温水に薬剤を混入して薬剤を被洗浄面に吐出する構成とすることにより、１つの経路で温水吐出と薬剤吐出が行なえるので、構成が簡単になる。
【００１８】
請求項７に記載の発明は、特に、第１〜６のいずれか１つの発明に薬剤を霧化する霧化手段を備えたもので、薬剤を吐出する場合に、薬剤を微細に霧化して吐出することにより、非洗浄面に薬剤を薄くムラ無く吐出できる。したがって薬剤の洗浄効率が上がり、薬剤の使用量を減らすことができる。
【００１９】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施形態によって本発明が限定されるものではない。
【００２０】
（実施の形態１）
図１は第１の実施の形態における洗浄装置の外観を示すものである。図１において、便器１０には洗浄装置１１が載置され、洗浄装置１１の本体部１１ａ、使用者が着座するための便座１２、便蓋１３、人体の局部を洗浄するための洗浄ノズル１４等から構成されている。本体部１１ａには給水源から洗浄水の給水するための給水管および商用電源から給電するための電気ケーブル（いずれも図示せず）が備えてある。また、洗浄装置１１の内部には使用者が肛門の洗浄を行うためのお尻洗浄機能、小用後の女性局部を洗浄するビデ洗浄機能のほか洗浄後の人体局部を乾燥するための乾燥機能、寒冷時にトイレ空間を暖房する部屋暖房機能等（いずれも図示せず）が備えてあり、各々の操作はリモートコントローラ１５（以下、リモコンとする）によってなされる。また、本体部１１ａには使用者の着座を検知する着座検知手段１６を備えており、着座検知状態時のみ洗浄機能や乾燥機能が動作可能である。この着座検知手段１６は、赤外線により使用者の便座１２への着座の有無を検知するものであるが、方式としては便座の静電容量を検知するもの、超音波等を用いて使用者の便座への着座を検知するもの、さらにはトイレに入室あるいは退室したことを検知するものや、例えばトイレの照明に連動して使用者の存在を検知する方式等でも可能である。
【００２１】
図２はリモコン１５の外観を示すものであり、お尻洗浄スイッチ１７、ビデ洗浄スイッチ１８、乾燥スイッチ１９、各機能のインジケータ２０、調節スイッチ２１、停止スイッチ２２および後述する便器１０の内面を洗浄動作させる便器洗浄スイッチ２３を有している。そして使用者の操作信号は赤外線等の無線信号によって洗浄装置の本体部１１ａへ送信される構成となっている。なお、便器洗浄スイッチ２３が押釦されることによる後述の便器洗浄動作は、上記着座検知手段１６が非着座検知状態時のみ実行されるように構成されている。
【００２２】
図３は第１の実施の形態における洗浄装置１１の水回路を示す模式図である。同図において、給水源２４に接続された分岐水栓２５より洗浄装置１１に水道水を供給する。水道水は、ストレーナ２６、逆止弁２７、定流量弁２８、元電磁弁２９、流量センサ３０を経て、温水ユニット３１に供給される。元電磁弁２９の下流に余剰の水を廃棄する捨て水回路３２が接続されている。流量センサ３０は温水ユニット３１への流量を計測する。温水ユニット３１は内部にヒータを備えて洗浄用の洗浄水を加熱する温水ユニットであり、洗浄時のみ加熱する瞬間湯沸かし型もしくは所定量のお湯を常時所定温に加熱して貯湯しておく貯湯型が適用できる。本第１の実施の形態では瞬間湯沸かし型の温水ユニットを採用している。温水ユニット３１からの供給される温水は、水ポンプ３３で流量が調整され、お尻ノズル３４、ビデノズル３５より成る洗浄ノズル１４および便器洗浄ノズル３６より吐出される。これらノズルへはノズル切換手段３７を介して択一的に供給可能に構成されている。便器洗浄ノズル３６の開放端は便器内面全体に拡散するように配置されており、被洗浄面である便器内部に貯まる水洗水喫水線より上部の壁面を温水により加熱できるように構成される。第１の実施の形態では、この便器１０内面に温水を吐出する温水回路が加温手段３８であり、温水吐出手段を構成している。
【００２３】
薬剤吐出手段３９は、薬剤を貯留する薬剤タンク４０と、薬剤を霧化する霧化手段４１と、霧化した薬剤を便器内部に誘導する吐出口４２より成っている。薬剤は、公知の酸性洗剤もしくは中性洗剤もしくはアルカリ性洗剤もしくは酸素系漂白剤もしくは塩素系漂白剤もしくは便器面への汚れの付着防止効果のあるコーティング剤もしくはアルコールもしくは消毒薬もしくは芳香液のいずれかである。霧化手段４１は、超音波発振手段よりなり、効果的に汚れを剥離させるのは１から２０μｍがよいとされており、この粒子径を実現する手段として超音波発振手段が最適である。
【００２４】
制御手段４３は、便器洗浄の制御を行なうもので、元電磁弁２９、温水ユニット３１、水ポンプ３３、ノズル切換手段３７、霧化手段４１等を制御して、便器内面への温水吐出と薬剤噴霧を行なう。
【００２５】
以上のように構成された洗浄装置について、図４に示すタイムチャートに基づいてその作用、動作について説明する。
【００２６】
洗浄装置１１は、使用者が便座１２に着座し、リモコン１５の各操作スイッチを操作することで局部洗浄、乾燥機能等が実行される。
【００２７】
一方、便器洗浄を実行する場合は、リモコン１５の便器洗浄スイッチ２３を押釦することで実行される。すなわち、図４において便器洗浄スイッチ２３の押釦によってまず着座検知手段１６によって使用者が着座しているか否かが検出され、非着座時のみノズル洗浄動作に移行し、着座時はノズル洗浄動作を実行しない。これにより、着座時に薬剤や便器洗浄用の温水が人体に付着するなどの不都合が回避できる。
【００２８】
非着座である場合は制御手段４３が動作して、まず元電磁弁２９が開弁し、洗浄水が流量センサ３１を経て温水ユニット３２に流入し、給水温から便器洗浄に適した温度に加熱する。ここでは、４０℃前後までの加熱とし、人体洗浄における温度と同レベルに設定することで、安全性を確保している。加熱された温水は水ポンプ３３の運転によって設定流量のＱ1に制御され、ノズル切換手段３７は便器洗浄ノズル３６側に連通して便器１０内に供給される。便器洗浄ノズル３６ではこの開放端から便器１０内面に噴射される。この動作によって被洗浄面である便器内面が加熱される。
【００２９】
温水吐出を所定時間Ｔ１継続した後に元電磁弁２９を閉弁し、薬剤吐出手段３９の霧化手段４１を所定時間Ｔ２だけ駆動させる。霧化手段４１の超音波発振により薬剤タンク４０から霧化された薬剤が溢れ出し、吐出口４２を経て便器１０内面に注がれる。微細化した薬剤粒子は便器内を漂いながら被洗浄面である便器内面全体に付着し、汚れを浮き上がらせる。
【００３０】
さらにＴ２が経過すると霧化手段４１の駆動を停止し、所定時間Ｔ３だけ放置する。この時間帯により薬剤が汚れに浸透して、さらに汚れを剥離させるように作用する。
【００３１】
Ｔ３が経過すると再び元電磁弁２９を所定時間Ｔ４だけ開弁し、水ポンプ３３の運転によって設定流量のＱ２に制御され、便器洗浄ノズル３６より洗浄水を便器の内面面に噴射して、汚れと共に薬剤を洗い流す。この時温水ユニット３２の運転は必要ないが、水温が低い場合はすすぎの効果を上げるのに温水ユニットを運転してもよい。そしてＴ４経過後に元電磁弁２９を閉弁して停止する。そして、ノズル切り換え手段は、便器洗浄ノズル位置から初期の位置へ戻る。
【００３２】
なお、第１の実施の形態では便器内面の加熱、薬剤噴霧、放置、すすぎを実行する例を説明したが、それに限定されるものではない。例えば、放置時間Ｔ３をなくして時間を短縮したり、すすぎを便器自身の水洗機能を利用することもできる。また汚れが少ない場合は、便器内面の加熱行程または薬剤噴霧工程を省略してもよい。
【００３３】
また、本第１の実施の形態での便器内面の加熱では４０℃前後の温水を用いたが、更に高温の温水を用いることにより、被洗浄面の温度を短時間で上昇させることができ、さらに汚れの膨潤効果が上がり、洗浄性能が向上することができる。
【００３４】
また、本第１の実施の形態では薬剤を霧化するのに超音波発振子を用いたが、薬剤タンクを加圧して噴霧ノズルを用いて噴霧してもよい。この場合、噴霧粒子径は大きくなるがコストを低減できる。
【００３５】
以上述べたように本第１の実施の形態では、便器洗浄ノズル３６による温水吐出で、便器内の洗浄面の洗浄面の温度が上昇するので、薬剤を噴霧した場合の洗浄効果が高くなり、使用する薬剤の量を減らすことができる。
【００３６】
また、便器洗浄スイッチ２３を設けたので、トイレ掃除など必要時に押釦することで、薬剤吐出手段３９の薬剤吐出動作と、加温手段３８の温水吐出動作とを自動的に連動させ便器洗浄が実行されるので、使い勝手がよい。
【００３７】
また、着座検知手段１６を備え、この着座検知手段１６の信号が非着座状態時のみ便器洗浄を実行するので、着座時に便器洗浄時の温冷水や薬剤が吐出されることがないので、使い勝手が向上する。
【００３８】
（実施の形態２）
図５は、本発明の第２の実施の形態における洗浄装置の水回路を示す模式図を示すものである。
【００３９】
図５において、第１の実施の形態と異なる所は、加温手段４４を、ノズル切換手段３７と便器洗浄ノズル３６との間に蒸気発生器４５を設け、便器内面に蒸気を吐出する蒸気吐出手段とした点にある。蒸気発生器４５は、ヒータ４６を内蔵し、温水ユニット３１からの温水を加熱して蒸気を生成させる。そして、発生した蒸気は便器洗浄ノズル３６の開放端より便器内面に噴出される。なお、第１の実施の形態と同一符号のものは同一構造を有し、説明は省略する。
【００４０】
第２の実施の形態では、加温手段として蒸気を用いるので、薬剤吐出手段３９の被洗浄面温度をより高温にすることができるので、薬剤の活性が高まり洗浄効果がより向上する。また、蒸気自身にも高い洗浄効果があり、薬剤との相互作用により高い洗浄性能が発揮できる。
【００４１】
また、蒸気が被洗浄面全体に拡散し、便器内面全体を効果的に除菌することができる。またこの時の便器内面の表面温度は７０℃以上が望ましく、好ましくは８０℃前後に設定する。すなわち、食品分野において、ビールの殺菌が５５〜６０℃、清酒の殺菌も５５〜６０℃、味噌の殺菌が６０℃前後などの例があるとともに、病原菌の死滅温度は、赤痢菌、腸チフス菌、パラチフス菌、大腸菌、腸炎ビブリオ、ブルセラ菌、連鎖球菌、ブドウ球菌などいずれも６０℃であるといわれている。蒸気の温度は高いほど除菌効果も大きいが、蒸気温度を７０℃〜１１０℃にすることによって、洗浄装置１１の構成部材の各部耐熱温度を含め、装置の故障や損傷をさせることなく、かつ効果的に細菌群や真菌類による汚染を防止することを両立できる。
【００４２】
（実施の形態３）
図６は、本発明の第３の実施の形態における洗浄装置の水回路を示す模式図を示すものである。
【００４３】
図６において、第１の実施の形態と異なる所は、加温手段として、便器１０の被洗浄面である内面の裏側に面状ヒータで構成する加熱手段４７を内蔵して構成し、薬剤吐出手段３９により薬剤を便器内面に噴霧する前に、便器内面を加温する点にある。このことにより、塗布された薬剤の温度も上がり、薬剤の活性が上昇して、洗浄効果が高まる。なお、薬剤のすすぎの工程は便器の水洗機能をそのまま利用するものとして、第１の実施の形態で用いた便器洗浄ノズルは、ここでは用いていない。もちろん第１の実施の形態と同様に便器洗浄ノズル備えて、すすぎを行なってもよい。第１の実施の形態と同一符号のものは同一構造を有し、説明は省略する。
【００４４】
第３の実施の形態では、便器内面を加熱するのに温水吐出の工程がないので温水の使用量を節約できる。
【００４５】
（実施の形態４）
図７は、本発明の第４の実施の形態における洗浄装置の水回路を示す模式図を示すものである。
【００４６】
図７において、第１の実施の形態と異なる所は、薬剤吐出手段として、薬剤タンク４８に貯留する薬剤を薬剤ポンプ４９と逆止弁５０を介して送出し、この送出する薬剤をノズル切換手段３７から便器洗浄ノズル３６に至る経路に混入するように構成した点にある。なお、第１の実施の形態と同一符号のものは同一構造を有し、説明は省略する。そして、便器洗浄を行なう際の、便器内面の加熱の工程では、薬剤ポンプ４９を停止した状態で、便器洗浄ノズル３６から温水を散布して、便器内面を温水により温める。次に薬剤吐出の工程では、便器洗浄ノズル３６から温水を散布したまま、薬剤ポンプ４９を駆動して温水に薬剤を混入して便器内面に散布する。そしてすすぎの工程では、薬剤ポンプ４９と温水ユニット３１を停止して、便器洗浄ノズル３６から水のみを散布して薬剤をすすぎ流すように作用する。
【００４７】
第４の実施の形態では、便器内面の加熱と薬剤の散布を便器洗浄ノズル３６一本でできるので、構成が簡単でコストも低くできる。
【産業上の利用可能性】
【００４８】
以上のように、本発明にかかる洗浄装置は、薬剤を用いた洗浄において被洗浄面温度を上昇させて行なうことにより、洗浄効果を高めて薬剤の使用量を減らすもので、便器の洗浄のほか温水洗浄便座本体や便座の洗浄、浴槽洗浄や洗面ボールの洗浄、台所のシンク内の洗浄、車両洗浄装置等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【００４９】
【図１】本発明の実施の形態１における洗浄装置の外観斜視図
【図２】本発明の実施の形態１におけるリモコンの斜視図
【図３】本発明の実施の形態１における洗浄装置の水回路構成のブロック図
【図４】本発明の実施の形態１における衛生洗浄装置のタイムチャート
【図５】本発明の実施の形態２における衛生洗浄装置の水回路構成のブロック図
【図６】本発明の実施の形態３における衛生洗浄装置の水回路構成のブロック図
【図７】本発明の実施の形態４における衛生洗浄装置の水回路構成のブロック図
【図８】従来の流体加熱装置の構成図
【符号の説明】
【００５０】
１０ 便器
１１ 洗浄装置
３８ 加温手段（温水吐出手段）
３９ 薬剤吐出手段
４０ 霧化手段
４４ 加温手段（蒸気吐出手段）
４７ 加温手段（加熱手段）
【特許請求の範囲】
【請求項１】
被洗浄面に薬剤を吐出する薬剤吐出手段と、前記被洗浄面の温度を上昇させる加温手段とを備え、前記加温手段により被洗浄面を加熱した後に薬剤を吐出する洗浄装置。
【請求項２】
加温手段は、被洗浄面を直接加熱する加熱手段よりなる請求項１に記載の洗浄装置。
【請求項３】
加温手段は、温水を吐出する温水吐出手段よりなり、温水により被洗浄面の温度を上昇させる請求項１に記載の洗浄装置。
【請求項４】
加温手段は、蒸気を吐出する蒸気吐出手段よりなり、蒸気により被洗浄面の温度を上昇させる請求項１に記載の洗浄装置。
【請求項５】
薬剤吐出手段の薬剤吐出動作と、加温手段の吐出動作とを連動させた請求項３または４に記載の洗浄装置。
【請求項６】
薬剤吐出手段は、温水吐出手段の経路に選択的に薬剤を混入するものであって、温水吐出手段により被洗浄面を加熱した後に、温水に薬剤を混入して薬剤を被洗浄面に吐出する請求項３に記載の洗浄装置。
【請求項７】
薬剤を霧化する霧化手段を備えた請求項１〜６のいずれか１項に記載の洗浄装置。
【請求項１】
被洗浄面に薬剤を吐出する薬剤吐出手段と、前記被洗浄面の温度を上昇させる加温手段とを備え、前記加温手段により被洗浄面を加熱した後に薬剤を吐出する洗浄装置。
【請求項２】
加温手段は、被洗浄面を直接加熱する加熱手段よりなる請求項１に記載の洗浄装置。
【請求項３】
加温手段は、温水を吐出する温水吐出手段よりなり、温水により被洗浄面の温度を上昇させる請求項１に記載の洗浄装置。
【請求項４】
加温手段は、蒸気を吐出する蒸気吐出手段よりなり、蒸気により被洗浄面の温度を上昇させる請求項１に記載の洗浄装置。
【請求項５】
薬剤吐出手段の薬剤吐出動作と、加温手段の吐出動作とを連動させた請求項３または４に記載の洗浄装置。
【請求項６】
薬剤吐出手段は、温水吐出手段の経路に選択的に薬剤を混入するものであって、温水吐出手段により被洗浄面を加熱した後に、温水に薬剤を混入して薬剤を被洗浄面に吐出する請求項３に記載の洗浄装置。
【請求項７】
薬剤を霧化する霧化手段を備えた請求項１〜６のいずれか１項に記載の洗浄装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【公開番号】特開２００６−２７４７１０（Ｐ２００６−２７４７１０Ａ）
【公開日】平成１８年１０月１２日（２００６．１０．１２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−９７３９３（Ｐ２００５−９７３９３）
【出願日】平成１７年３月３０日（２００５．３．３０）
【出願人】（０００００５８２１）松下電器産業株式会社 (73,050)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年１０月１２日（２００６．１０．１２）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年３月３０日（２００５．３．３０）
【出願人】（０００００５８２１）松下電器産業株式会社 (73,050)
【Ｆターム（参考）】
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