説明

洗濯乾燥機

【課題】洗濯乾燥機において、薬剤や加熱に拠らずに槽内の除菌・カビ発育の抑制を実現する手段を提供する。
【解決手段】静電霧化発生粒子を発生させるナノイーユニット13と、前記静電霧化発生粒子を洗濯槽2および外槽3に送り込むための送風ファン9および循環送風経路11を設け、洗濯が終了して洗濯物が取り出された後、ナノイーユニット13と送風ファン9を駆動させて洗濯槽2および外槽3の表面に前記静電霧化発生粒子を塗布する槽クリーンコースを運転することで、槽内の除菌とカビの発育抑制を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯槽と外槽に静電霧化発生粒子を供給することによって、衣類や小物などの除菌、消臭および槽内のカビ発育抑制を可能とする洗濯乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、生活空間の衛生が着目され、除菌や消臭などを実現する衛生配慮商品が市場に多々流通している。ランドリー商品においても、衣類や布製品、革製品、玩具や小物などを除菌・消臭する機能を有する洗濯乾燥機が販売されている。一般的には洗濯槽内に対象物を投入し、数十分の運転を行う専用コースを設定している。具体的な除菌・消臭手段については、例えば槽内加熱、オゾン利用、薬剤使用など多岐にわたるが、基本は熱を加えることにより実現している(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
また、洗濯機自体の衛生という意味では、洗濯機の槽内は菌、カビが発生し易い場所であるとして昔より危惧されてきた。これは、洗濯機には何時でも残水などによって多くの湿気を保持すると共に、人が着衣を洗濯機駆動まで洗濯槽内に保持していることにより着衣についた雑菌が槽内に入り込むことなどによる。更に、洗濯乾燥機の登場によって槽の機密性が高くなり、より保温性保湿性が高まったことによる。
【0004】
そこで、洗濯機には洗濯槽の菌、カビ対策を行う方法がいくつか提案されてきている。例えば洗濯槽内部をヒータなどの加熱手段を利用して十分に乾燥させる方法がある。しかしながら、利用者がいつのタイミング・頻度で洗濯槽の乾燥を行えば、効率的に防菌、防カビが可能になるかの判断がつかず、神経質に乾燥を頻繁に行うといった事態が生ずる。このように利用する頻度が高くなると、多くの時間と電気代を伴ってしまい、かえって省エネの効率を低下させることとなる。従って、洗濯槽を乾燥させる方法は菌、カビ対策として良い事であると分かっていても、利用者に活用されない事が多い。
【0005】
他の手段として、洗濯槽に使用させる樹脂部品あるいは金属部品に抗菌成分を添加して除菌、防カビを行うこともある。例えば特許文献1には洗濯槽の表面に有機系微生物繁殖抑制物質を配合した樹脂膜で被覆することが記載されている。
【0006】
また他の手段として、洗濯時に洗濯槽内部に除菌、防カビ成分を供給する方法も提案されている。例えば特許文献2にはすすぎ時にAgイオンを供給することによって衣類の除菌抗菌を行うとともに洗濯槽に対する除菌、防カビを実施しようとするものである。
【特許文献1】特開平8−252392号公報
【特許文献2】特開2001−276484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の除菌・消臭機能では熱を加えてこれを実現するため、熱ストレスの配慮から対象アイテムに制限があった。この場合、通常の乾燥機能と同等に多くのアイテムが使用不可となり、かつ利用者がこれを判断するのは煩雑で難しい。また熱を長時間加えなければならないため多くの電気代を伴ってしまう。その他、水をミスト化して衣類に作用させる消臭手段などにおいても、水に濡らすことによる素材へのストレスが考えられる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するもので、除菌・消臭対象アイテムに、熱を加えたり水で濡らしたりせず、静電霧化発生粒子を風に乗せて対象物に曝露することで除菌・消臭を実
現するものである。これにより、対象アイテムの幅が広がり、ランニングコストについても、放電と送風のみの動作であるため電気代が大幅に低減される。
【0009】
また、洗濯機の衛生については前記従来の構成の特許文献1では、洗濯槽の表面に洗濯カス等が付着して、そこを起点に菌、カビが繁殖する場合には、カス等の表面に菌、カビ等が繁殖するため、構成部品の抗菌成分が菌、カビ等に接触せず防菌効果を奏することができず、添加してもあまり効果的でないことが確認されている。
【0010】
さらに従来の構成の特許文献2のように、防カビに必要なAgイオンを防菌の効果が出る程度に供給しようとすると、衣類が黒ずんだり等の洗浄効果そのものへの悪影響も危惧されるとともに、Agイオン発生にかかる費用も無視できなくなる。したがって、より経済的に安価な手段が要望されている。
【0011】
また、ドラム型洗濯機の普及により菌、カビ等の繁殖する部分も多様化している。例えば、従来の縦型洗濯機では、外槽にはあまり菌、カビ等が繁殖せず、洗濯槽の裏側に繁殖しやすいといった特徴がある。これは脱水時に遠心力で飛ばされた水分が外槽の洗濯カス等を洗い落とすためである。対してドラム型洗濯機では、洗濯槽は外槽に溜まった洗濯水の中で回転動作を行うため、洗濯カスが洗い流されて菌、カビ等があまり繁殖しない。逆に外槽は、洗濯水の水面に近い部分で泡や洗剤が付着したまま残りやすく、菌、カビ等が繁殖しやすい環境にある。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するもので、静電霧化発生粒子を風に乗せて洗濯槽と外槽に曝露することで、カビの発育抑制を実現するものである。衣類や筐体にストレスを与えず、比較的経済的に安価な手法でかつ洗濯槽と外槽の隅々まで処理することができ、常に清潔な状態に維持することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記従来の課題を解決するために、本発明の洗濯乾燥機は、洗濯槽と外槽に静電霧化発生粒子を曝露することによって、洗濯槽および外槽に発生するカビの発育抑制を可能とする機能を具備しているものである。この静電霧化発生粒子は、電気を帯びた微細な水分子の塊で酸化分解作用の高いラジカルを含んでおり、静電霧化発生手段によってこの静電霧化発生粒子を供給することで、従来のように熱を使うことなく、除菌・消臭・カビの発育抑制を実現できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の洗濯乾燥機は、静電霧化発生手段から供給される静電霧化発生粒子が、ロスが少なく最適化された風路を経て洗濯槽と外槽に効率よく曝露されることで、洗濯機自体を菌やカビの繁殖から守り、常に清潔な状態に維持することができる。また、従来の除菌・消臭・カビ抑制の手段と違い、熱を使わないことによる低ランニングコスト、対象物に負荷を与えないことによるアイテムフリーを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
第1の発明によれば、洗濯物を収容する洗濯槽と、前記洗濯槽を回転可能に内装した外槽と、前記外槽を弾性支持する筐体と、前記外槽に洗濯水を供給する給水手段と、前記外槽内の空気を加熱する加熱手段と、前記外槽内の空気を加熱手段を経由して循環可能とすると共に外気導入機構を有する送風経路と、前記送風経路内の空気を圧送して循環させる送風手段と、静電霧化発生粒子を前記外槽内に供給するための静電霧化発生手段と、温度検知手段と、前記洗濯槽、前記送風手段および前記静電霧化発生手段の駆動等を制御する制御手段を備え、前記制御手段は、前記送風手段と前記静電霧化発生手段とを駆動させて洗濯槽および前記外槽の消臭・除菌を行う槽クリーンコースを有するように構成する。こ
れにより、洗濯槽および外槽の菌、カビ等の繁殖を抑制し、それらの繁殖にともなう洗濯物のシミや洗濯槽の臭いを防ぐことができる。
【0016】
第2の発明によれば、第1の発明に加え、洗濯槽内に洗濯物を投入する開口部と、前記開口部を開閉自在に覆う扉を備え、最終工程が脱水工程となる洗濯コースは、脱水工程後に前記扉の開閉を検知した後、槽クリーンコースを駆動する構成としている。洗濯物を取り出す際には必然的に扉を開閉するため、ユーザーは煩わしいボタン操作などを行わずに槽クリーンコースを活用することができる。また、槽クリーンコースを駆動させることを忘れたりすることもないため、永続したカビ抑制効果が期待できる。
【0017】
第3の発明によれば、槽クリーンコースでは、開始から所定時間の間送風手段は、第1の回転数で駆動し、その後、第1の回転数より低い第2の回転数で前記送風手段を駆動するような構成としている。一般に洗濯後の洗濯槽内は湿度が高く、一方で前記静電霧化発生手段は高湿状態では効率が悪い。しかし、槽クリーンコース前半で前記送風手段を高回転で駆動させて槽内の換気を短時間で行えば、前記静電霧化手段を効率よく駆動させることができる。また、換気が終わった後半では前期送風手段を低い回転数で駆動することで経路損失などを最低限に抑えられる。上記の結果、防カビ効果を最大限に高めた運転を行うことができる。
【0018】
第4の発明によれば、加熱手段として槽内の除湿も可能とするヒートポンプを用い、前記ヒートポンプを送風手段が第1の回転数で駆動している期間に、所定時間駆動させる構成としている。これにより、洗濯直後の高湿状態をいち早く解消することができ、前記静電霧化発生手段をさらに効率的に駆動させることができる。
【0019】
第5の発明によれば、運転の設定・状況等を表示する操作表示手段は、脱水工程終了後、槽クリーン開始まで省電力モードで駆動する構成としている。これにより、洗濯の終了からユーザーが洗濯物を取り出すまでの待機時間について、消費電力を抑えることができる。
【0020】
第6の発明によれば、最終工程が脱水工程となる洗濯コースは、脱水工程が終了してから所定時間が経過した後、槽クリーンコースを駆動する構成としている。これにより、洗濯終了後から槽クリーンコースが動作するまでに何らかの理由で長期間放置されたときに、延々と待機したまま電力を消費することを防ぐことができる。
【0021】
本実施の形態に係る洗濯乾燥機について、図を参照しながら以下に説明し本発明の理解に供する。なお以下の説明は本発明の具体例であって、特許請求の範囲の内容を限定するものではない。
【0022】
(実施の形態1)
本実施の形態に係る洗濯乾燥機1は、図1、図2、図3に示すように、洗濯槽2を回転軸方向が水平または後部に向け水平方向から下向き傾斜となるようにして外槽3内に設置されている。洗濯槽2の水平配置ないしは図示する傾斜に対応して、外槽3の正面側には洗濯槽2の開口端に通じる衣類出入口が形成され、洗濯乾燥機1の正面側に形成された上向き傾斜面に設けられた開口部5を開閉可能に閉じる扉7を開くことにより、洗濯槽2内に対して洗濯物を出し入れすることができる。扉7が上向き傾斜面に設けられているため、洗濯物を出し入れする作業を、腰を屈めることなく実施できる。洗濯槽2には、その周面に外槽3内に通じる多数の透孔6が形成され、内周面の周方向複数位置に攪拌突起(図示せず)が設けられている。この洗濯槽2は外槽3の後部側に取り付けられたモータ4によって正転及び逆転方向に回転駆動される。また、外槽3には、注水管路及び排水管路が配管接続され、注水弁及び排水弁の制御によって外槽3内への注水及び排水がなされる。
【0023】
本実施の形態にかかる洗濯乾燥機1の運転コースは、洗濯工程のみを行う洗濯コース、乾燥のみを行う乾燥コース、洗濯から乾燥まで連続で行う洗濯乾燥コース、槽内の除菌・消臭を行う槽クリーンコースの4種類の設定が存在する。
【0024】
まず、洗濯工程の動作について、順に説明する。扉7を開いて洗濯槽2内に洗濯物及び洗剤を投入して洗濯乾燥機1の例えば前面上部に設けられた操作パネルでの操作で、その内側などに設けられた制御基板などによる制御を通じて運転を開始させると、外槽3内には注水管路から所定量の注水がなされ、モータ4により洗濯槽2が回転駆動されて洗い工程が開始される。洗濯槽2の回転により、洗濯槽2内に収容された洗濯物は洗濯槽2の内周壁に設けられた攪拌突起によって回転方向に持ち上げられ、持ち上げられた適当な高さ位置から落下する攪拌動作が繰り返されるので、洗濯物には叩き洗いの作用が及んで洗浄がなされる。所要の洗濯時間の後、汚れた洗濯液は排水管路から排出され、洗濯槽2を高速回転させる脱水動作により洗濯物に含まれた洗濯液をしぼり出し、その後、外槽3内に注水管路から注水してすすぎ工程が実施される。このすすぎ工程においても洗濯槽2内に収容された洗濯物は洗濯槽2の回転により攪拌突起により持ち上げられて落下する攪拌動作が繰り返されてすすぎが実施される。すすぎ工程が終わると排水され、洗濯槽2を高速回転させる脱水動作により洗濯物の水分を飛ばして洗濯を終了する。
【0025】
次に乾燥工程の動作について順に説明する。扉7を開いて洗濯槽2内に洗濯物を投入して洗濯乾燥機1の例えば前面上部に設けられた操作パネルでの操作で、その内側などに設けられた制御基板などによる制御を通じて運転を開始させると、送風ユニット9により循環送風経路11を通じ、外槽3内の空気を吸引してフィルタボックス8を経てヒートポンプユニット12に通し、除湿及び加熱した空気にして外槽3内に循環送風する。この循環を繰り返しながら、衣類に含まれた水分を取り、洗濯物を乾燥させる。乾燥工程においては、乾燥させる対象物に応じて洗濯槽2の回転モード、静止モードを選択することができる。
【0026】
洗濯から乾燥まで連続で行う洗濯乾燥コースは、前記洗濯工程後に、前記乾燥工程が順次実行されるよう制御されたものである。
【0027】
このように乾燥工程までを実行する場合は、最後に、槽が乾燥されるため、これにより雑菌の増殖を抑えることができる。洗濯物が少ない場合、お天気がいい場合等には、乾燥工程を実行せず、脱水のみで洗濯物を取り出すことがある。この場合は、洗濯物を取り出した後、消臭・除菌の操作を行う槽クリーンコースを駆動させることとなる。また、「洗い」や「すすぎ」で洗濯を終了した場合も槽クリーンコースを運転しない。なぜなら、「洗い」「すすぎ」で洗濯を終了すると洗濯水が残った状態になっており、その状態で槽クリーンコースを運転しても除菌効果が期待できないためである。
【0028】
次に、槽クリーンコースについて図4を参照しながら説明する。洗濯が終了するとユーザーは扉7を開けて洗濯槽2から洗濯物を取り出すことになる。その後、ユーザーによって扉7が閉められたことを検知すると、自動的に槽クリーンコースが開始される。ただし、脱水工程が終了しても、洗濯と同時に掃除機による掃除を行っている場合などは扉7の開閉がたちまちに行われない。そのように脱水工程終了から扉の開閉の間に時間がかかっても最大8時間は待機状態とする。これに関しては、別途説明を行う。
【0029】
脱水終了後、扉7の開閉検知がなされると、槽クリーンコースが開始する。槽クリーンコースは、図4に示すように除湿工程とナノイー噴霧工程からなる。
【0030】
通常、洗濯乾燥機における脱水工程の後、残水や密閉度の高さから洗濯槽2内の湿度が
90%以上となっているが、静電霧化発生を安定して行うには湿度85%以下であることが望ましいため、除湿工程を設ける必要がある。従って、図5に示すように、運転開始直後の除湿工程では送風ファンの回転数を高くし、洗濯槽2内の空気と外気の入れ替えを積極的に行い、洗濯槽2内の湿度を素早く低下させる。ただし、送風ファンの回転数を高めれば、ファンの風切り音による騒音が発生するため、ファン回転数を高めるのは湿度を下げるために必要な最低限の時間とすることが望ましい。本実施の形態では除湿工程は5分間としている。
【0031】
また、さらに外気との空気の入れ替えを促進するために外気導入機構10を設け、除湿工程中は外気導入機構を開くようにしている。
【0032】
次に、送風ユニット9とナノイーユニット13を同時に動作させ、ナノイーユニット13から発生した静電霧化発生粒子を循環送風経路11を通じ洗濯槽2内に送りこむナノイー噴霧工程を開始する。ナノイー噴霧工程においては、静電霧化発生粒子をできるだけ消滅させることなく広範囲に拡散させることを目的とするため、除湿工程よりも送風ファンの回転数を低く設定する。除湿工程と同様の回転数とすると、送風力が強すぎて、静電霧化発生粒子が循環送風経路11の壁面と衝突し、消滅してしまうから回転数を落とす必要がある。
【0033】
また、槽クリーンコースの場合は、洗濯槽2は回転させない。ここで発生させた静電霧化発生粒子は、送風ファンによる生ずる空気の流れに乗って、まず、循環送風経路11の中を流れ、洗濯乾燥機1の背面から外槽3を通過し、洗濯槽2の中に入り込む。洗濯槽2の背面にはごみなどを取りのぞくためフィルタが設けられており、静電霧化発生粒子は、そのフィルタを通過して洗濯槽2に入り込むこととなる。その際、洗濯槽2が回転していると、フィルタ内の通過孔が移動することにより、静電霧化発生粒子の通過を妨げるとともに、フィルタに衝突してしまい消滅を促進させることとなる。従って、そうクリーンコースの場合は、洗濯槽2を回転させないほうが、静電霧化発生粒子を消滅させることなく広く拡散させることとなる。
【0034】
本実施の形態における洗濯乾燥機1では、送風ファン回転数については除湿工程が4000r/min、ナノイー噴霧工程が3000r/minとしている。
【0035】
(実施の形態2)
次に、第2の実施の形態では加熱手段をヒートポンプユニット12とする。この場合、除湿工程時に送風ファンを駆動させるとともに、遅れてヒートポンプユニット12が駆動する。より効率的に洗濯槽2内の湿度を下げるよう制御している。
【0036】
ただし、ヒートポンプユニット12動作時は一気に洗濯槽2内の湿度が極度に低下してしまう。ナノイーユニット13による静電霧化発生粒子の適切な湿度範囲は、20から85%である。極端な湿度低下の環境が続くと、静電霧化粒子を発生させるに必要な水分が供給されなくなるため、ナノイーユニット13の動作が不安定になる恐れがある。従って、ヒートポンプユニット12動作時は、ナノイーユニット13を駆動させず、停止するよう制御する。ヒートポンプユニット12の駆動が停止すると瞬時に湿度が上昇し適切な湿度の範囲収まるため、理想的な槽クリーンコースでは、開始と同時に、ヒートポンプユニット12を駆動し、2分くらいの駆動で停止した後、ナノイーユニット13を動作させる。本実施の形態では、他のコースとの関係上、除湿工程が開始してしばらくして(3分後)ヒートポンプユニット12を駆動させることとなる。槽クリーンコースは除湿工程5分間、ナノイー噴霧工程55分間の合計60分間で制御されているが、運転時間はこれに限定されるものではなく、より短時間なスピーディーコースやより長時間な念入りコースを設定しても良い。
【0037】
また、洗濯乾燥機1の例えば前面上部に設けられた操作パネルでの操作で、洗濯が終わったあとに槽クリーンコースを運転する/しないを選択することができるようになっている。これにより、定期的に洗剤などで槽内洗浄を行うユーザー等に対して、不必要な槽クリーンコース運転を行うことを回避できる。
【0038】
(実施の形態3)
本実施の形態における洗濯乾燥機1では、洗濯が終了してから扉7が開閉されるまでの間は、省電力モードで動作するようになっている。具体的には、運転状況を表示する液晶パネルのバックライトの輝度を落としたり、必要のないセンサー類への電力供給をカットしたりする。また、省電力モードであってもドア開閉までの待機中にはいくらかの電力を消費する。何らかの理由でユーザーが長期的に洗濯乾燥機の元を離れる場合、選択乾燥機に電力が供給されたまま待機状態をずっと続けることは、安全性・耐久性・省エネ性の観点からも好ましくない。そこで本実施の形態では、洗濯が終了してから8時間が経過すると自動的に槽クリーンコースが運転する構成とした。ただし、ユーザーの使い勝手を考慮して、所定時間が経過したときに槽クリーンコースを運転せずに、自動的に電源が切れるなどの構成にしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上のように、本発明にかかる洗濯乾燥機は、洗濯槽と外槽に静電霧化発生粒子を供給することによって洗濯槽と外槽を菌やカビの繁殖から守り、常に清潔な状態に維持することができる。よって継続的な除菌・カビ抑制や消臭が必要な水回り設備機器などに適用できる。またランニングコストがかからず安全無害のため、家庭用機器に適する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の洗濯乾燥機の側面図
【図2】本発明の洗濯乾燥機の後面図
【図3】本発明のヒートポンプユニット及び送風ユニット図
【図4】本発明の洗濯および槽クリーンコースの工程図
【図5】本発明の槽クリーンコースの動作図
【符号の説明】
【0041】
1 洗濯乾燥機
2 洗濯槽
3 外槽
4 モータ
5 開口部
6 透孔
7 扉
8 フィルタボックス
9 送風ユニット
10 外気導入機構
11 循環送風経路
12 ヒートポンプユニット
13 ナノイーユニット
14 温度検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物を収容する洗濯槽と、前記洗濯槽を回転可能に内装した外槽と、前記外槽を弾性支持する筐体と、前記外槽に洗濯水を供給する給水手段と、前記外槽内の空気を加熱する加熱手段と、前記外槽内の空気を加熱手段を経由して循環可能とすると共に外気導入機構を有する送風経路と、前記送風経路内の空気を圧送して循環させる送風手段と、静電霧化発生粒子を前記外槽内に供給するための静電霧化発生手段と、温度検知手段と、前記洗濯槽、前記送風手段および前記静電霧化発生手段の駆動等を制御する制御手段を備え、前記制御手段は、前記送風手段と前記静電霧化発生手段とを駆動させて洗濯槽及び前記外槽の消臭・除菌を行う槽クリーンコースを有する洗濯乾燥機。
【請求項2】
洗濯槽内に洗濯物を投入する開口部と、前記開口部を開閉自在に覆う扉を備え、最終工程が脱水工程となる洗濯コースは、脱水工程後に前記扉の開閉を検知した後、槽クリーンコースを駆動する請求項1記載の洗濯乾燥機。
【請求項3】
槽クリーンコースでは、開始から所定時間の間送風手段は、第1の回転数で駆動し、その後、第1の回転数より低い第2の回転数で前記送風手段を駆動する請求項1または2記載の洗濯乾燥機。
【請求項4】
加熱手段として槽内の除湿も可能とするヒートポンプを用い、ヒートポンプを前記送風手段が第1の回転数で駆動している期間に、所定時間駆動させる請求項3記載の洗濯乾燥機。
【請求項5】
運転の設定・状況等を表示する操作表示手段は、脱水工程終了後、槽クリーン開始まで省電力モードで駆動する請求項1または2記載の洗濯乾燥機。
【請求項6】
最終工程が脱水工程となる洗濯コースは、脱水工程が終了してから所定時間が経過した後、槽クリーンコースを駆動する請求項1から5いずれか1項記載の洗濯乾燥機。

【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−82086(P2010−82086A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253129(P2008−253129)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】